JP2010065063A - 有機無機複合組成物および光学部品 - Google Patents

有機無機複合組成物および光学部品 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折性、耐熱性、透明性および軽量性を併せ持つ有機無機複合組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含む有機無機複合組成物。
Figure 2010065063

[Rは水素原子、アルキル基、もしくはアリール基;Gは2価の連結基;Aは酸素原子、硫黄原子、もしくは−N(R1)−;R1は水素原子、アルキル基、もしくはアリール基;Qは複素環を形成する原子群;lは0もしくは1を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、高屈折性、透明性、軽量性、加工性に優れる有機無機複合組成物、並びに、これを含んで構成されるレンズ基材(例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ等)等の光学部品に関する。
近年、光学材料の研究が盛んに行われており、特にレンズ材料の分野においては高屈折性、低分散性(すなわち高いアッベ数)、耐熱性、透明性、易成形性、軽量性、耐薬品性・耐溶剤性等に優れた材料の開発が強く望まれている。
プラスチックレンズは、ガラスなどの無機材料に比べ軽量で割れにくく、様々な形状に加工できるため、眼鏡レンズのみならず近年では携帯カメラ用レンズやピックアップレンズ等の光学材料にも急速に普及しつつある。
それに伴い、レンズを薄肉化するために素材自体を高屈折率化することが求められるようになっており、例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献1および2参照)や、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献3参照)等が活発に研究されてきた。しかし、屈折率が大きくて良好な透明性を有しており、ガラスの代替となるようなプラスチック材料は未だ開発されるに至っていない。また、光ファイバーや光導波路では、異なる屈折率を有する材料を併用したり、屈折率に分布を有する材料を使用する。これらに対応するために、屈折率を任意に調節できる技術の開発も望まれている。
有機物のみで屈折率を高めることは難しいことから、高屈折率を有する無機物を樹脂マトリックス中に分散させることによって高屈折率材料をつくる手法が報告されている(例えば、特許文献4参照)。また、レイリー散乱による透過光の減衰を低減するためには、粒子サイズが15nm以下の無機微粒子を樹脂マトリックス中に均一に分散させることが好ましい。しかし、粒子サイズが15nm以下の1次粒子は非常に凝集しやすいために、樹脂マトリックス中に均一に分散させることは極めて難しい。また、レンズの厚みに相当する光路長における透過光の減衰を考慮すると、無機微粒子の添加量を制限せざるを得ない。このため、樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリックスに分散することはこれまでできなかった。
また、数平均粒子サイズ0.5〜50nmの超微粒子が分散した熱可塑性樹脂組成物を主体とする成形体であって、光波長1mm当たりの複屈折率の平均が10nm以下である樹脂組成物成形体(例えば、特許文献5)や、特定の数式で示される屈折率およびアッベ数を有する熱可塑性樹脂と、特定の平均粒子直径と屈折率とを有する無機微粒子とからなる熱可塑性材料組成物およびこれを用いた光学部品が報告されている(例えば、特許文献6〜8)。これらも樹脂中に無機微粒子を分散させたものであるが、いずれも樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリックスに分散するといった観点からは十分な性能を発揮するものではなかった。
一方、有機無機複合組成物としては、例えば、表面有機修飾した無機粒子と、酸性基含有樹脂を溶融混練する方法が報告されているが、無機粒子の添加量は1質量%程度であり、充分とはいえない(特許文献9)。また、無機粒子の表面修飾基と樹脂をリンカーを介して結合させる有機無機複合組成物も報告されているが(特許文献10)、結合形成に高温を要するなど操作が煩雑であり、ゲル化の懸念もあることから成形加工性の観点から充分な性能を発揮するのもではなかった。またいずれにも高屈折率のレンズに使用可能な厚い透明成形体に関しては記載されていない。
特開2002−131502号公報 特開平10−298287号公報 特開2004−244444号公報 特開2003−73559号公報 特開2003−147090号公報 特開2003−73563号公報 特開2003−73564号公報 特開2004−524396号公報 特開2004−217714号公報 特表2004−352975号公報
上記のように、高屈折性、耐熱性、透明性および軽量性を併せ持ち、さらには屈折率を任意に制御できる材料組成物、およびそれを含んで構成される光学部品は未だ見出されておらず、その開発が望まれていた。
本発明は前記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性と高い屈折率とを有する有機無機複合組成物、並びに、これを用いたレンズ基材等の光学部品を提供することにある。
本発明者らは前記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、高屈折率を有する透明性に優れた特定の樹脂と無機微粒子とを原料とした有機無機複合組成物が、微粒子の均一分散効果により、高屈折性と優れた透明性とを有することを見出し、以下に記載する本発明の完成に至った。
[1] 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含むことを特徴とする有機無機複合組成物。
Figure 2010065063
[一般式(1)中、Rは水素原子、アルキル基、もしくはアリール基を表し、Gは、2価の連結基を表し、Aは酸素原子、硫黄原子、もしくは−N(R1)−を表し、R1は水素原子、アルキル基、もしくはアリール基を表し、Qは複素環を形成する原子群を表し、lは0もしくは1を表す。]
[2] 前記熱可塑製樹脂の波長589nmにおける屈折率が1.63以上であることを特徴とする[1]に記載の有機無機複合組成物。
[3] 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を前記熱可塑性樹脂中に1〜99質量%含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の有機無機複合組成物。
[4] 前記熱可塑性樹脂が下記から選ばれる官能基を有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
Figure 2010065063
[R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、または−Si(OR17m118 3-m1[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、m1は1〜3の整数を表す。]
[5] 前記熱可塑性樹脂が前記官能基をポリマー鎖1本あたり平均0.1〜20個有していることを特徴とする[4]に記載の有機無機複合組成物。
[6] 前記無機微粒子の波長589nmにおける屈折率が1.90〜3.00の範囲にあることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[7] 前記無機微粒子が酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[8] 前記無機微粒子の数平均粒子サイズが1〜15nmであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[9] 前記無機微粒子を20質量%以上含むことを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を成形した成形体。
[11] 波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であることを特徴とする[10]に記載の成形体。
[12] 波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする[10]または[11]に記載の成形体。
[13] 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする[10]〜[13]のいずれか一項に記載の成形体。
[14] [10]〜[13]のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
[15] レンズ基材であることを特徴とする[14]に記載の光学部品。
本発明の有機無機複合組成物および光学部材は、高屈折性、耐熱性、透明性および軽量性を併せ持つ。また、本発明によれば屈折率を任意に制御することが可能である。
以下において、本発明の有機無機複合組成物およびそれを含んで構成されるレンズ基材等の光学部品について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[熱可塑性樹脂]
(一般式(1)で表される繰り返し単位)
本発明の有機無機複合組成物は、無機微粒子と、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂とを含むことを特徴とする。該熱可塑性樹脂は、ビニルモノマーの重合により得ることができるビニルポリマーである。
Figure 2010065063
一般式(1)中、Rは水素原子、アルキル基、もしくはアリール基を表す。アルキル基としては炭素数1〜10であるものが好ましく、炭素数1〜6であるものがより好ましく、炭素数1〜3であるものがさらに好ましい(例えばメチル基、エチル基、プロピル基)。最も好ましいのはメチル基である。アリール基としては、炭素数6〜18であるものが好ましく、炭素数6〜10であるものがより好ましく、炭素数6のフェニル基が最も好ましい。Rは、水素原子、もしくはアルキル基であることが好ましく、水素原子、もしくはメチル基がであることがより好ましい。
Gは2価の連結基を表し、−C(=O)O−、−C(=O)−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−O−、−S−、−CH2−、アリーレン基、もしくはこれらの任意の組み合わせからなる2価の連結基であることが好ましい。任意の組み合わせからなる2価の連結基としては、アリーレン基−(CH2p−O−、アリーレン基−(CH2p−O−アリーレン基、アリーレン基−C(=O)O−アリーレン基、−C(=O)O−アリーレン基、−C(=O)O−(CH2p−、−C(=O)O−(CH2p−アリーレン基、−C(=O)O−(CH2p−O−、−C(=O)O−アリーレン基−O−(pは1〜4の整数を表し、1〜2が好ましい)などを挙げることができる。アリーレン基の結合部位はo位、m位、p位のいずれであってもよいが、o位、もしくはp位であることが好ましい。また、アリーレン基の炭素数は6〜18であることが好ましく、6〜10であることがより好ましく、6であることがさらに好ましい。Gは、アリーレン基を含む連結基であることが好ましく、フェニレン基を含む連結基であることがより好ましい。Gとして好ましい連結基は、−C(=O)−、アリーレン基、アリーレン基−(CH2p−O−アリーレン基、アリーレン基−C(=O)O−アリーレン基、C(=O)O−アリーレン基、C(=O)O−(CH2p−、C(=O)O−(CH2p−アリーレン基、C(=O)O−(CH2p−O−である。
Aは酸素原子、硫黄原子、もしくは−N(R1)−を表し、酸素原子、硫黄原子が好ましく、硫黄原子がより好ましい。R1は水素原子、アルキル基、もしくはアリール基を表す。アルキル基およびアリール基の具体例と好ましい範囲は、上記Rのアルキル基およびアリール基の具体例と好ましい範囲と同じである。R1は水素原子、もしくはアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
Qは含窒素複素環を形成する原子群を表し、5〜7員環が好ましく、5もしくは6員環がより好ましく、5員環がさらに好ましく、ベンゾ縮環であることが特に好ましい。具体的には、ベンゾチアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズイミダゾール環等を挙げることができ、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズオキサゾール環が好ましい。
lは0もしくは1を表す。
Rがとり得るアルキル基やアリール基、Gの連結基を構成しうるメチレン基やアリーレン基等、R1がとり得るアルキル基やアリール基、Qで形成される含窒素複素環は置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、シアノ基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基)などを挙げることができる。これらの置換基はさらに置換されていてもよく、置換基が複数ある場合は、各置換基が同一でも異なっていてもよい。置換基として好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基である。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂は、特に下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましい。
Figure 2010065063
一般式(2)中、R、A、Qは一般式(1)と同義である。
一般式(2)中、Wは−C(=O)O−、−C(=O)−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−O−、−S−から選ばれる連結基を表す。Wは、−C(=O)O−、もしくは−C(=O)−であることが好ましく、−C(=O)O−であることがより好ましい。
Lは−CH2−、−O−、−C(=O)−、アリーレン基、もしくはこれらの組み合わせからなる連結基を表す。ただし、連結基のW側の端が−O−または−C(=O)−であることはない。このため、主鎖に−O−または−C(=O)−が直結している場合は、当該−O−または−C(=O)−はWとみなされる。Lとしては、−(CH2p−、アリーレン基、アリーレン基−C(=O)O−、アリーレン基−C(=O)O−アリーレン基、−(CH2p−O−、アリーレン基−(CH2p−、アリーレン基−(CH2p−O−、アリーレン基−(CH2p−O−アリーレン基、−(CH2p−アリーレン基、−(CH2p−アリーレン基−O−、−(CH2p−アリーレン基−O−アリーレン基−(pは1〜4の整数を表し、1〜2が好ましい)などを挙げることができ、−CH2−、アリーレン基、アリーレン基−C(=O)O−アリーレン基、−(CH2p−O−、アリーレン基−(CH2p−O−、アリーレン基−(CH2p−O−アリーレン基、−(CH2p−アリーレン基(pは1〜4の整数を表し、1〜2が好ましい)が好ましい。アリーレン基の結合部位はo位、m位、p位のいずれであってもよいが、o位、もしくはp位であることが好ましい。Lは、アリーレン基を含む連結基であることが好ましく、フェニレン基を含む連結基であることがより好ましい。Lは、さらにアリーレン基であることが好ましく、炭素数6〜18のアリーレン基であることがより好ましく、炭素数6〜10のアリーレン基であることがさらに好ましく、フェニレン基であることがもっとも好ましい。
m、nはそれぞれ独立に0もしくは1を表す。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂は、特に下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有する新規な樹脂であることがより好ましい。
Figure 2010065063
一般式(3)中、R、W、L、は一般式(1)と同義である。Raは置換基を表す。m1、n1は0もしくは1を表し、m1+n1は1もしくは2である。
一般式(3)のRaがとり得る置換基の好ましい例は、一般式(1)のQで形成される複素環の置換基として挙げたものと同様である。置換基はさらに置換されていてもよく、置換基が複数ある場合はそれぞれ同じでも異なっても良い。m1、n1は、m1=1且つn1=1であるか、もしくは、m1=0且つn1=1であることが好ましい。
以下に、重合によって一般式(1)で表される繰り返し単位を形成することができるビニルモノマーの具体例を挙げるが、本発明に用いることができるモノマーはこれらに限定されるものではない。以下のビニルモノマーのビニル基をエチレン基に置き換えることにより、一般式(1)の繰り返し単位の具体例とすることができる。
Figure 2010065063
Figure 2010065063
(共重合可能なモノマー)
本発明の熱可塑性樹脂は、一般式(1)で表される繰り返し単位を形成しうるモノマーと、その他のモノマーとを共重合したものであってもよい。共重合可能な他の種類のモノマーとしては、例えばPolymer Handbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience (1975) Chapter 2 Page 1〜483に記載のものを用いることができる。
具体的には、例えば、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イタコン酸ジアルキル類、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
前記スチレン誘導体としては、スチレン、4−クロロスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、2−フェニルスチレン等が挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−フェニル−フェニル、アクリル酸4−フェニル−フェニル、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
前記メタクリル酸エステル類としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−フェニル−フェニル、メタクリル酸4−フェニル−フェニル、クロロクロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
前記アクリルアミド類としては、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等が挙げられる。
前記メタクリルアミド類としては、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミド等が挙げられる。
前記アリル化合物としては、アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノール等が挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、アルキルビニルエーテル(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等が挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート等が挙げられる。
前記イタコン酸ジアルキル類としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等が挙げられ、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類としては、ジブチルフマレート等が挙げられる。
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリルなど等も挙げることができる。
共重合モノマーとして好ましいのは、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリロニトリルであり、より好ましいのは、スチレン誘導体、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリロニトリルである。
一般式(1)で表される繰り返し単位を形成しうるモノマーと、その他のモノマーとを共重合させる場合の共重合比は特に制限されないが、全モノマーに対する一般式(1)で表される繰り返し単位を形成しうるモノマーの割合が10〜100重量%であることが好ましく、30〜100重量%であることがより好ましく、50〜100重量%であることがさらに好ましい
以下に、本発明の熱可塑性樹脂を合成する際に共重合可能なモノマーの好ましい具体例を挙げるが、本発明で用いることができる共重合可能なモノマーはこれらに限定されるものではない。
Figure 2010065063
(官能基)
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有することが好ましい。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられ、官能基が複数存在する場合は、それぞれ無機微粒子と異なる化学結合を形成しうるものであってもよい。化学結合を形成しうるか否かは、有機溶媒中において熱可塑性樹脂と無機微粒子とを混合したときに、熱可塑性樹脂の官能基が無機微粒子と化学結合を形成しうるか否かで判定する。熱可塑性樹脂の官能基は、そのすべてが無機微粒子と化学結合を形成していてもよいし、一部が無機微粒子と化学結合を形成していてもよい。無機微粒子と結合しうる官能基は、ポリマーの側鎖に有していてもよいし、末端に有していてもよいし、その両方に有していてもよい。
無機微粒子と結合しうる官能基は、無機微粒子と化学結合を形成することによって、無機微粒子を熱可塑性樹脂中に安定に分散させる機能を有する。無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基は、下記のいずれかの構造を有する官能基である。
Figure 2010065063
上式において、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、または−Si(OR17m118 3-m1[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、m1は1〜3の整数を表す。
11、R12、R13、R14、R15、R16の好ましい範囲は以下のとおりである。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R11、R12、R13、R14、R15、R16として特に好ましいのは水素原子である。
17、R18の好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14、R15、R16と同様である。
m1は、好ましくは3である。
これらの官能基の中でも、好ましくは、
Figure 2010065063
、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、または−Si(OR15m116 3-m1であり、より好ましくは、
Figure 2010065063
または−CO2Hまたはその塩であり、特に好ましくは、
Figure 2010065063
または−CO2Hまたはその塩である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、下記一般式(11)で表される繰り返し単位を有するコポリマーであることが特に好ましい。このようなコポリマーは、下記一般式(12)で表わされるビニルモノマーを共重合することにより得ることができる。
Figure 2010065063
Figure 2010065063
一般式(11)および一般式(12)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは−CO2−、−OCO−、−CONH−、−OCONH−、−OCOO−、−O−、−S−、−NH−、および、置換または無置換のアリーレン基からなる群より選ばれる2価の連結基を表し、より好ましくは−CO2−またはp−フェニレン基である。
Yは炭素数が1〜30である2価の連結基を表す。炭素数は1〜20が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜5がさらに好ましい。具体的には、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アリーレン基、アリーレンオキシ基、アリーレンオキシカルボニル基、およびこれらを組み合わせた基を挙げることができ、好ましくはアルキレン基である。
qは0〜18の整数を表す。より好ましくは0〜10の整数であり、さらに好ましくは0〜5の整数であり、特に好ましくは0〜1の整数である。
Zは、
Figure 2010065063
、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、または−Si(OR15m116 3-m1からなる群より選ばれる官能基を表し、好ましくは
Figure 2010065063
または−CO2Hまたはその塩であり、さらに好ましくは、
Figure 2010065063
または−CO2Hまたはその塩である。
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびm1の定義および具体例は、それぞれ独立に、上述したR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびm1の定義および具体例と同義である。但しR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18は、それぞれ、水素原子またはアルキル基である。
以下に一般式(12)で表されるモノマーの具体例を挙げるが、本発明で用いることができるモノマーはこれらに限定されるものではない。
Figure 2010065063
Figure 2010065063
(熱可塑性樹脂の物性)
本発明で用いられる熱可塑性樹脂の重量平均分子量は1,000〜500,000であることが好ましく、3,000〜300,000であることがさらに好ましく、10,000〜100,000であることが特に好ましい。前記熱可塑性樹脂(1)の重量平均分子量を500,000以下とすることにより、成形加工性が向上する傾向にあり、1,000以上とすることにより力学強度が向上する傾向にある。
ここで、上述の重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は90℃〜400℃であることが好ましく、110℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が90℃以上の樹脂を用いれば十分な耐熱性を有する光学部品が得られやすくなり、また、ガラス転移温度が400℃以下の樹脂を用いれば成形加工が行いやすくなる傾向がある。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂の屈折率が1.63以上であることが好ましく、1.65以上であることがより好ましく、1.68以上であることがさらに好ましい。なお、これらの屈折率は22℃、波長589nmにおける値である。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(1)は、波長589nmにおける厚み1mm換算の光線透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
(熱可塑性樹脂の具体例)
以下に、本発明で使用することができる熱可塑性樹脂の好ましい具体例を挙げるが、本発明で用いることができる熱可塑性樹脂はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010065063
これらの熱可塑性樹脂は、1種類のみを単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
[無機微粒子]
本発明に用いられる無機微粒子としては特に制限はなく、例えば特開2002−241612号公報、特開2005−298717号、2006−70069号公報等に記載の微粒子を用いることができる。
具体的には、酸化物微粒子(酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化テルル、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化錫等)、複酸化物微粒子(ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウムなど)、硫化物微粒子(硫化亜鉛、硫化カドミウム等)、その他半導体結晶微粒子(セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム等)、あるいはLiAlSiO4、PbTiO3、Sc2312、ZrW28、AlPO4、Nb25,LiNO3などを用いることができる。
これらの中でも特に、金属酸化物微粒子が好ましく、中でも酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれるいずれか一つであることが好ましく、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛および酸化チタンからなる群より選ばれるいずれか一つであることがより好ましく、さらには可視域透明性が良好で光触媒活性の低い酸化ジルコニウム微粒子を用いることが特に好ましい。
本発明における無機微粒子は、屈折率、透明性、安定性などの観点から、複数の成分による複合物として用いてもよい。またこれらの微粒子は光触媒活性低減、吸水率低減など種々の目的から、異種元素をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)などで表面修飾した微粒子であっても良い。さらに目的に応じて2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において無機微粒子の屈折率の制限はないが、本発明の有機無機複合材料成形体が高屈折率を必要とする光学部品に用いられる場合には、無機微粒子は上記熱温度依存性に加えて高屈折率特性を併せ持つことが好ましい。この場合、用いられる無機微粒子の屈折率は22℃で589nmの波長において1.9〜3.0であることが好ましく、より好ましくは2.0〜2.7であり、特に好ましくは2.1〜2.5の場合である。微粒子の屈折率が3.0より高いと樹脂との屈折率差が大きくなりレイリー散乱を抑制するのが難しくなる一方で、屈折率が上記範囲より低いと高屈折率化の効果が十分得られなくなる。
微粒子の屈折率は例えば本発明の熱可塑性樹脂と複合化した複合物を透明フイルムとして、アッベ屈折計(例えば、アタゴ社製「DM−M4」)で屈折率を測定し、別途測定した樹脂成分のみの屈折率とから換算する方法、あるいは濃度の異なる微粒子分散液の屈折率を測定することにより微粒子の屈折率を算出する方法などによって見積もることができる。
本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に該数平均粒子サイズが大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、材料組成物の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズの下限値は、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上であり、上限値は好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは7nm以下である。すなわち、本発明における無機微粒子の数平均粒子サイズとしては、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmがさらに好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。
また本発明に用いられる微粒子は上記の平均粒子サイズを満たし、かつ粒子径分布が狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば特開2006−160992号公報に記載されるような数値規定範囲が本願で用いられる微粒子の好ましい粒径分布範囲にも当てはまる。
ここで、上述の数平均粒子サイズとは例えば、X線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
本発明に用いられる無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。
例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができ、例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)、あるいは、ラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)等に記載されている。
また、水中で加水分解させる方法以外には有機溶媒中や本発明における熱可塑性樹脂が溶解した有機溶媒中で無機微粒子を作製してもよい。この際必要に応じて各種表面処理剤(シランカップリング剤類、アルミネートカップリング剤類、チタネートカップリング剤類、有機酸類(カルボン酸類、スルホン類、ホスホン酸類など))を共存させてもよい。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
微粒子合成法としては上記以外に、分子ビームエピタキシー法やCVD法のような真空プロセスで作製する方法など、例えば特開2006−70069号公報等に記載される各種一般的な微粒子合成法に従ってもよい。
本発明の透明性成形体における前記無機微粒子の含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、20〜95質量%が好ましく、25〜70質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。また、本発明における前記無機微粒子と熱可塑性樹脂(分散ポリマー)との質量比は、分散性の点から、1:0.01〜1:100が好ましく、1:0.05〜1:10がさらに好ましく、1:0.05〜1:5が特に好ましい。
[有機無機複合組成物]
本発明の材料組成物の光線透過率は、波長589nmにおいて厚さ1mm換算で70%以上であるが、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。また波長405nmにおける光線透過率は60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であればより好ましい性質を有するレンズ基材を得やすい。なお、本発明における厚さ1mm換算の光線透過率は、材料組成物を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置(UV−3100、(株)島津製作所製)で測定した値である。
また本発明の樹脂成形体は波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることが好ましく、1.65以上であることがより好ましく、1.67以上であることが特に好ましい。
本発明の材料組成物では、樹脂と無機微粒子とを必須の構成成分とするが、この他に必要に応じて別種の樹脂、分散剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤等の添加剤を含んでいても良い。
本発明の材料組成物は成形体への埃の付着などを防ぐ目的から帯電しにくいことが望ましい。帯電圧は−2〜15kVであることが好ましく、−1.5〜7.5kVであることがより好ましく、−1.0〜7.0kVであることが特に好ましい。帯電圧を調節するために、帯電防止剤を添加することができるが、本願の有機無機複合材料では、光学特性改良の目的で添加した無機微粒子自体が別の効果である帯電防止効果にも寄与する場合がある。帯電防止剤を添加する場合には、アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯防止剤、ノ二オン性帯電防止剤、両性イオン性帯電防止剤、高分子帯電防止剤、あるいは帯電性微粒子などが挙げられ、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの例としては、特開2007−4131号公報、特開2003−201396号公報に記載された化合物を挙げることができる。
帯電防止剤の添加量はまちまちであるが、全固形分の0.001〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜30質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明の材料組成物は、ガラス転移温度が100℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が100℃以上であれば十分な耐熱性が得られやすく、ガラス転移温度が400℃以下であれば成形加工を行いやすくなる傾向がある。
本発明の材料組成物は、200℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、230℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であることであり、特に好ましくは250℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であることである。
本発明の材料組成物の飽和吸水率は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%であることが特に好ましい。
[他の添加剤]
本発明の有機無機複合組成物には、上記の前記一般式(1)で表される化合物や熱可塑性樹脂や無機微粒子以外に、均一分散性、離型性、耐候性等観点から適宜各種添加剤を配合してもよい。
これら添加剤の配合割合は目的に応じて異なるが、前記無機微粒子および熱可塑性樹脂の合計量に対して、0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましく、0〜20質量%であることが特に好ましい。
(表面処理剤)
本発明では、後述するように水中またはアルコール溶媒中に分散された無機微粒子を熱可塑性樹脂と混合する際に、有機溶媒への抽出性または置換性を高める目的、熱可塑性樹脂への均一分散性を高める目的、微粒子の吸水性を下げる目的、あるいは耐候性を高める目的など種々目的に応じて、上記熱可塑性樹脂以外の微粒子表面修飾剤を添加してもよい。該表面処理剤の重量平均分子量は50〜50,000であることが好ましく、より好ましくは100〜20,000、さらに好ましくは200〜10,000である。
前記表面処理剤としては、下記一般式(4)で表される構造を有するものが好ましい。
一般式(4)
A−B
一般式(4)中、Aは本発明で用いられる無機微粒子の表面と化学結合を形成しうる官能基を表し、Bは本発明で用いられる熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂マトリックスに対する相溶性または反応性を有する炭素数1〜30の1価の基またはポリマーを表す。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等をいう。
Aで表わされる基の好ましい例は、本発明で用いられる熱可塑性樹脂の官能基として前記したものと同じである。
一方、Bで表される基の化学構造は、相溶性の観点から該樹脂マトリックスの主体である熱可塑性樹脂の化学構造と同一または類似するものであることが好ましい。本発明では特に高屈折率化の観点から、前記熱可塑性樹脂とともにBの化学構造が芳香環を有していることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる、表面処理剤の例としては例えば、p−オクチル安息香酸、p−プロピル安息香酸、酢酸、プロピオン酸、シクロペンタンカルボン酸、燐酸ジベンジル、燐酸モノベンジル、燐酸ジフェニル、燐酸ジ−α−ナフチル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸モノフェニルエステル、KAYAMER PM−21(商品名;日本化薬社製)、KAYAMER PM−2(商品名;日本化薬社製)、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、パラオクチルベンゼンスルホン酸、あるいは特開平5−221640号、特開平9−100111号、特開2002−187921号各公報記載のシランカップリング剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの表面処理剤は1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
これら表面処理剤の添加量の総量は無機微粒子に対して、質量換算で0.01〜2倍であることが好ましく、0.03〜1倍であることがより好ましく、0.05〜0.5倍であることが特に好ましい。
(その他の添加剤)
前記化合物以外に、離型効果を高めたり、成形時の流動性をさらに向上させる目的でカルナバワックス、ライスワックス、綿ロウ、木ロウ等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、およびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等の天然ワックスの外、フィッシャ・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、ステアリン酸アミド、塩素化炭化水素等の長鎖脂肪族アミド、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、および、デュポン社製のゾニルFSN、ゾニルFSO等のフッ素テロマー類を添加することもできる。また耐光性や熱劣化を改良する目的で、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系等の公知の劣化防止剤を適宜添加してもよく、これらを配合する場合には樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
[有機無機複合組成物の製造方法]
本発明に用いられる無機微粒子は、前記官能基を有する熱可塑性樹脂と化学結合して樹脂中に分散される。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で熱可塑性樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合物の好ましい製造方法としては、[1]無機粒子を上記表面処理剤の存在下に表面処理を行い、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記熱可塑性樹脂および前記一般式(1)で表される化合物と均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法、[2]無機微粒子と熱可塑性樹脂および一般式(1)で表される化合物および他の添加剤を均一分散あるいは溶解できる溶媒を用いて全ての成分を均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法が挙げられる。
上記[1]の方法によって無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する場合には、有機溶媒としてトルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性の溶媒が用いられる。微粒子の有機溶剤への抽出に用いられる表面処理剤と前記熱可塑性樹脂は同種のものであっても異種のものであってもよいが、好ましく用いられる表面処理剤については、前述<表面処理剤>の欄で述べたものが挙げられる。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と熱可塑性樹脂を混合する際に、前記一般式(1)で表される化合物も添加し、さらに可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
上記[2]の方法を採用する場合は、溶剤として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシー2−プロパノール、tert−ブタノール、酢酸、プロピオン酸等の親水的な極性溶媒の単独または混合溶媒、あるいはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性溶媒と上記極性溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。この際、前述の熱可塑性樹脂とは別に分散剤、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマーを必要に応じて添加してもよい。水/メタノールに分散された微粒子を用いる際には、水/メタノールより高沸点で熱可塑性樹脂を溶解する親水的な溶媒を添加した後、水/メタノールを濃縮留去することによって、微粒子の分散液を極性有機溶媒に置換した後、樹脂と混合することが好ましい。このとき、前記表面処理剤を添加してもよい。
上記(1)、(2)の方法によって得られた材料組成物溶液は、そのままキャスト成形して透明成形体を得ることもできるが、本発明では特に、該溶液を濃縮、凍結乾燥、あるいは適当な貧溶媒から再沈澱させる等の手法により溶剤を除去した後、粉体化した固形分を射出成形、圧縮成形等の公知の手法によって成形することが好ましい。またこの際、本発明の材料粉体を直接加熱溶融あるいは圧縮などによりレンズ等の成形体に加工することもできるが、いったん押し出し法などの手法で、一定の重さ、形状を有するプリフォーム(前駆体)を作成した後、該プリフォームを圧縮成形で変形させてレンズ等の光学部品を作成することもできる。この場合目的の形状を効率的に作成するために、プリフォームに適当な曲率をもたせることもできる。
[成形体]
上述の本発明の材料組成物を成形することにより、本発明の成形体を製造することができる。本発明の成形体では、材料組成物の説明で前記した屈折率、光学特性を示すものが有用である。また本発明の成形体は最大0.1mm以上の厚みを有する高屈折率の光学部品に対して特に有用であり、好ましくは0.1〜5mmの厚みを有する光学部品への適用であり、特に好ましくは1〜3mmの厚みを有する透明部品への適用である。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の材料を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する材料とすることができる。
[光学部品]
本発明の成形体は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れた成形体である。本発明の光学部品は、このような成形体からなるものである。本発明の光学部品の種類は、特に制限されない。特に、有機無機複合組成物の優れた光学特性を利用した光学部品、特に光を透過する光学部品(いわゆるパッシブ光学部品)として好適に利用することができる。かかる光学部品を備えた光学機能装置としては、例えば、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。
また、光学機能装置に用いられる前記パッシブ光学部品としては、例えば、レンズ、プリズム、プリズムシート、パネル(板状成形体)、フィルム、光導波路(フィルム状やファイバー状等)、光ディスク、LEDの封止剤等が例示される。かかるパッシブ光学部品には、必要に応じて任意の被覆層、例えば摩擦や摩耗による塗布面の機械的損傷を防止する保護層、無機粒子や基材等の劣化原因となる望ましくない波長の光線を吸収する光線吸収層、水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑制あるいは防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、低屈折率層等や、任意の付加機能層を設けて多層構造としてもよい。かかる任意の被覆層の具体例としては、無機酸化物コーティング層からなる透明導電膜やガスバリア膜、有機物コーティング層からなるガスバリア膜やハードコート等が挙げられ、そのコーティング法としては真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、ディップコート法、スピンコート法等公知のコーティング法を用いることができる。
本発明の有機無機複合組成物を用いた光学部品は、特にレンズ基材に好適である。本発明の有機無機複合組成物を用いて製造されたレンズ基材は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、有機無機複合組成物を構成するモノマーの種類や分散させる無機微粒子の量を適宜調節することにより、レンズ基材の屈折率を任意に調節することが可能である。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
本発明におけるレンズ基材をレンズとして利用するに際しては、本発明のレンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、前記のように膜や枠などを付加してレンズとして用いてもよい。本発明のレンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。本発明のレンズ基材は、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等)に使用される。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[分析および評価方法]
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製「H−9000UHR型透過型電子顕微鏡」(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
(2)光線透過率測定
測定する試料を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」((株)島津製作所製)を用いて波長589nmの光で測定した。
(3)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製「DR−M4」)にて、波長589nmの光について行った。
(4)X線回折(XRD)スペクトル測定
リガク(株)製「RINT1500」(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)を用いて、23℃で測定した。
(5)分子量測定
数平均分子量、重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒としてテトラハイドロフランを用いて測定した。分子量は、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した。
[有機無機複合組成物の合成]
(1)酸化チタン微粒子の合成
特開2003−73559号公報の合成例9に記載の方法に従い、酸化チタン微粒子を合成した。XRDとTEMより、アナタ−ス型酸化チタン微粒子(数平均粒子サイズは約5nm)の生成を確認した。微粒子の屈折率は2.5であった。
(2)酸化ジルコニウム微粒子の合成
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmの酸化ジルコニウム微粒子の生成を確認した。微粒子の屈折率は2.1であった。
(3)酸化ジルコニウム微粒子トルエン分散液の調製
前記(2)で合成した酸化ジルコニウム微粒子懸濁液と日本化薬製の「KAYAMER PM−21」を溶解させたトルエン溶液を混合し、50℃で8時間攪拌した後、トルエン溶液を抽出して酸化ジルコニウム微粒子トルエン分散液を作製した。
(4)酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液の調製
前記(2)で調製した酸化ジルコニウム分散液(15質量%水分散液)500gに500gのN,N’−ジメチルアセトアミドを加え約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った後、N,N’−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調整をすることによって15質量%の酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液を得た。
[熱可塑性樹脂の合成]
熱可塑性樹脂(P−1)の合成
メタクリル酸2−(2−ベンゾチアゾリル)フェニル(M−13)99.0g、β−カルボキシエチルアクリレート(A−4)1.0g、重合開始剤(和光純薬(株)製、商品名V−601)0.10gを酢酸エチル100gに溶解し、窒素下80℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(P−1)を合成した。GPCで測定したところ数平均分子量は50,000、重量平均分子量は122,000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.69であった。
他の例示したポリマーについても、同様方法で調製できる。
[樹脂組成物の調製および透明成形体(レンズ基材)の作製]
(実施例1)
前記酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液に熱可塑性樹脂(P−1)、および表面処理剤(4−プロピル安息香酸:4−C3BA)を質量比が、ZrO2固形分/P−1/4−C3BA=40.0/52.0/8.0となるように添加して均一に攪拌混合した後、加熱減圧下ジメチルアセトアミド溶媒を濃縮した。該濃縮残渣を表面をSUS製の金型で加熱圧縮成形し(温度;190℃、圧力;13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
成形体の光線透過率、屈折率を表2に示す。
(実施例2〜9および比較例1,2)
実施例1におけるZrO2固形分、熱可塑性樹脂、4−C3BAの比をそれぞれ表1のように置き換えた以外は実施例1と同様にして実施例2〜9、および比較例1、2の成形体を得た。
比較例3〜5では、無機粒子を添加せず、樹脂のみを成形した。
上記で得られた成形体の光線透過率、屈折率を表2に示す。
(実施例10)
前述した酸化チタン分散液を、熱可塑性樹脂P−5、表面処理剤4−C3BAが溶解したクロロホルム溶液に撹拌しながら常温で5分かけて滴下した後、溶媒を留去した(TiO2固形分/P−1/4−C3BA=35/58/7)。濃縮残渣を実施例1と同様にして成形することにより実施例10の透明成形体(レンズ基材)を得た。
上記で得られた成形体の光線透過率、屈折率を表2に示す。
Figure 2010065063
表2から明らかなように、本発明により屈折率が大きくて透明性が良好な光学部品が得られた(実施例1〜10)。比較例1、2では試料が白濁し、透明成形体は得られなかった。比較例3〜5は、実施例に比べて屈折率が劣っていた。
また熱可塑性樹脂を主体とした本発明の樹脂組成物は、生産性よく凹レンズ、凸レンズ等の金型形状に合わせて正確にレンズ形状を形成できることを確認した。
本発明の有機無機複合組成物は、優れた透明性と高い屈折率とを併せもつ。また、本発明によれば屈折率を任意に調整することが可能である。さらに、本発明の有機無機複合組成物を用いれば、機械的強度や耐熱性・耐候性、成形性が良好な光学部品を提供しやすい。したがって、本発明は産業上の利用可能性が高い。

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含むことを特徴とする有機無機複合組成物。
    Figure 2010065063
    [一般式(1)中、Rは水素原子、アルキル基、もしくはアリール基を表し、Gは、2価の連結基を表し、Aは酸素原子、硫黄原子、もしくは−N(R1)−を表し、R1は水素原子、アルキル基、もしくはアリール基を表し、Qは複素環を形成する原子群を表し、lは0もしくは1を表す。]
  2. 前記熱可塑製樹脂の波長589nmにおける屈折率が1.63以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機無機複合組成物。
  3. 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を前記熱可塑性樹脂中に1〜99質量%含むことを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機複合組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂が下記から選ばれる官能基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
    Figure 2010065063
    [R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、または−Si(OR17m118 3-m1[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、m1は1〜3の整数を表す。]
  5. 前記熱可塑性樹脂が前記官能基をポリマー鎖1本あたり平均0.1〜20個有していることを特徴とする請求項4に記載の有機無機複合組成物。
  6. 前記無機微粒子の波長589nmにおける屈折率が1.90〜3.00の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  7. 前記無機微粒子が酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  8. 前記無機微粒子の数平均粒子サイズが1〜15nmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  9. 前記無機微粒子を20質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を成形した成形体。
  11. 波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であることを特徴とする請求項10に記載の成形体。
  12. 波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする請求項10または11に記載の成形体。
  13. 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の成形体。
  14. 請求項10〜13のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
  15. レンズ基材であることを特徴とする請求項14に記載の光学部品。
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