JP2009227835A - 有機無機複合組成物、成型品の製造方法および光学部品 - Google Patents

有機無機複合組成物、成型品の製造方法および光学部品 Download PDF

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修 沢登
Tatsuhiko Obayashi
達彦 大林
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Abstract

【課題】光線透過率と屈折率が高くて、成型時の離型性に優れている有機無機複合組成物を提供すること。
【解決手段】高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有し、かつ下記式(1)を満たす有機無機複合組成物。
Figure 2009227835

[γs pは25℃・相対湿度60%で測定した組成物の表面自由エネルギーの極性成分(mN/m)であり、αは組成物の25℃〜50℃の平均線膨張係数(/K)であり、Eは25℃・相対湿度60%で測定した組成物のヤング率(N/m2)である。]
【選択図】なし

Description

本発明は、光線透過率と屈折率が高くて、成型性に優れている有機無機複合組成物、および、これを含んで構成されるレンズ基材(例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ等)等の光学部品に関する。
近年、光学材料の研究が盛んに行われており、特にレンズ材料の分野においては高屈折性、透明性、軽量性、易成型性、離型性等に優れた材料の開発が強く望まれている。
プラスチックレンズは、ガラスなどの無機材料に比べ軽量で割れにくく、様々な形状に加工できるため、眼鏡レンズのみならず近年では携帯カメラ用レンズやピックアップレンズ等の光学材料にも急速に普及しつつある。
それに伴い、レンズを薄肉化するために素材自体を高屈折率化することが求められるようになっており、例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(特許文献1、特許文献2参照)や、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(特許文献3参照)や、インデン誘導体とビニル単量体との共重合体を用いる技術(特許文献4参照)等が活発に研究されてきた。しかし、十分に屈折率が大きくて良好な透明性を有しており、ガラスの代替となるようなプラスチック材料は未だ開発されるに至っていない。
屈折率を有機物のみで上げることは難しいため、高屈折率を有する無機物を樹脂マトリックス中に分散させることによって高屈折率材料をつくる試みがなされている(特許文献5、6参照)。また、レイリー散乱による透過光の減衰を低減するためには、粒子径が15nm以下の無機微粒子を樹脂マトリクス中に均一に分散させることが好ましい。しかし、粒子径が15nm以下の一次粒子は非常に凝集しやすいために、樹脂マトリクス中に、均一に分散させることは極めて難しい。またレンズの厚みに相当する光路長における透過光の減衰を考慮すると、無機微粒子の添加量を制限せざるを得ない。このため、樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリクス中に分散させることが求められていた。
このような要求に応えるものとして、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂中に無機微粒子を分散させた有機無機複合組成物が提案されている(特許文献7参照)。この有機無機複合組成物は、無機微粒子の分散性が良好で、屈折率1.60以上を達成している。
特開2002−131502号公報 特開平10−298287号公報 特開2004−244444号公報 特開2001−89537号公報 特開昭61−291650号公報 特開2003−73564号公報 特開2007−238929号公報
しかしながら、特許文献7に記載される有機無機複合組成物を用いて光学レンズを製造しようとすると、離型性が良好ではないという課題があることが本発明者らにより明らかになった。
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、光線透過率と屈折率が高くて、成型時の離型性に優れている有機無機複合組成物と、その有機無機複合組成物を用いた簡便な成型方法を提供することにある。
本発明者らは前記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有し、特定の条件を満たす有機無機複合組成物が、高屈折性と優れた透明性を有しながら成型時の離型性も良好であることを見出して、以下に記載する本発明の完成に至った。
[1] 高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有し、かつ下記式(1)を満たすことを特徴とする有機無機複合組成物。
Figure 2009227835
[上式において、γs pは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物の表面自由エネルギーの極性成分(mN/m)であり、αは前記有機無機複合組成物の25℃〜50℃の平均線膨張係数(/K)であり、Eは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物のヤング率(N/m2)である。]
[2] 線膨張率α(/K)が1.0×104(/K)以下であることを特徴とする、[1]に記載の有機無機複合組成物。
[3] 前記熱可塑性樹脂が、85℃以上のガラス転移温度を有することを特徴とする、[1]または[2]に記載の有機無機複合組成物。
[4] 前記熱可塑性樹脂が、
Figure 2009227835
[R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、および、−Si(OR17n18 n[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]からなる群より選択される1以上の官能基を有することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[5] 前記熱可塑性樹脂が、前記官能基を高分子鎖1本あたり平均0.1〜20個有していることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[6] 前記熱可塑性樹脂が、スチレンまたはスチレン誘導体を重合することにより形成される単位構造を少なくとも一つ有することを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[7] 前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(21)〜(23)のいずれかで表される単位構造を少なくとも一種有することを特徴とする、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
Figure 2009227835
[ 一般式(21)中、R1はアルキル基、パーフルオロアルキル基またはアリール基を表し、nは5以上の整数を表す。]
Figure 2009227835
[一般式(22)中、mは1以上の整数を表す。]
Figure 2009227835
[一般式(23)中、qは4以上の整数を表す。]
[8] 前記熱可塑性樹脂が下記一般式(4)で表される単位構造を有することを特徴とする、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
Figure 2009227835
[一般式(4)中、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4はメチル基またはフェニル基を表し、R5は水素原子またはアルキル基を表し、Xはアルキレン基またはアリーレン基からなる二価の連結基を表し、nは5以上の整数を表す。]
[9] 前記熱可塑性樹脂が下記一般式(5)で表される単位構造を少なくとも一つ有することを特徴とする、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
Figure 2009227835
[一般式(5)中、Xは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。]
[10] 前記無機微粒子の粒子サイズが1〜30nmであることを特徴とする、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[11] 前記無機微粒子を20質量%以上含むことを特徴とする、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[12] 厚さ1mm換算の光線透過率が波長589nmにおいて70%以上であることを特徴とする、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[13] 波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[14] 前記無機微粒子が、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれるいずれか一つであることを特徴とする、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[15] [1]〜[14]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を溶融して金型内に充填し、充填した有機無機複合組成物を固化した後に前記金型から成型品を取り出すことを特徴とする成型品の製造方法。
[16] 金型が、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、モリブデン、バナジウム、およびタングステンからなる群から選択される、少なくとも一つ以上の元素を含有することを特徴とする[15]に記載の成型品の製造方法。
[17] 溶融した前記有機無機複合組成物を金型に直接充填することを特徴とする[15]または[16]に記載の成型品の製造方法。
[18] 高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有し、かつ下記式(1)を満たす有機無機複合組成物を選択することを特徴とする、金型からの離型性が良好な有機無機複合組成物の選択方法。
Figure 2009227835
[上式において、γs pは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物の表面自由エネルギーの極性成分(mN/m)であり、αは前記有機無機複合組成物の25℃〜50℃の平均線膨張係数(/K)であり、Eは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物のヤング率(N/m2)である。]
[19] 有機無機複合組成物を溶融して金型内に充填し、充填した有機無機複合組成物を固化した後に前記金型から成型品を取り出す工程において、前記金型から前記成型品を取り出す際の離型性を改善する方法であって、
前記有機無機複合組成物として、高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有し、かつ下記式(1)を満たす有機無機複合組成物を選択することを特徴とする、金型から成型品を取り出す際の離型性を改善する方法。
Figure 2009227835
[上式において、γs pは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物の表面自由エネルギーの極性成分(mN/m)であり、αは前記有機無機複合組成物の25℃〜50℃の平均線膨張係数(/K)であり、Eは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物のヤング率(N/m2)である。]
[20] [1]〜[14]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を含んで構成される光学部品。
[21] 前記光学部品がレンズであることを特徴とする、[20]に記載の光学部品。
本発明の有機無機複合組成物は、光線透過率と屈折率が高くて、成型時の離型性に優れている。また、本発明の成型方法によれば、成型体を簡便な方法で製造することが可能である。さらに本発明の光学部品は、優れた透明性と高い屈折率を有する。
以下において、本発明の有機無機複合組成物とその利用形態について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[熱可塑性樹脂]
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂の基本構造には特に制限がなく、たとえば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルカルバゾール、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリチオエーテ、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等の公知の構造を有する樹脂を例示することができる。
高分子鎖末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂として、以下の熱可塑性樹脂(1)〜(3)のいずれかを選択することが好ましい。
熱可塑性樹脂(1):側鎖に下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂
Figure 2009227835
[R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、および、−Si(OR17n18 n[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]からなる群より選択される1以上の官能基
熱可塑性樹脂(2):高分子末端の少なくとも1箇所に、下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂
Figure 2009227835
[R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、および、−Si(OR17n18 n[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]からなる群より選択される1以上の官能基
熱可塑性樹脂(3):疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体;
以下、これらの熱可塑性樹脂(1)〜(3)について、詳細に説明する。
熱可塑性樹脂(1)
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)は、側鎖に無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有する。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられ、官能基が複数存在する場合は、それぞれ無機微粒子と異なる化学結合を形成しうるものであってもよい。化学結合を形成しうるか否かは、有機溶媒中において熱可塑性樹脂と無機微粒子とを混合したときに、熱可塑性樹脂の官能基が無機微粒子と化学結合を形成しうるか否かで判定する。熱可塑性樹脂の官能基は、そのすべてが無機微粒子と化学結合を形成していてもよいし、一部が無機微粒子と化学結合を形成していてもよい。
無機微粒子と結合しうる官能基は、無機微粒子と化学結合を形成することによって、無機微粒子を熱可塑性樹脂中に安定に分散させる機能を有する。無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基は、
Figure 2009227835
[R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、および、−Si(OR17n18 n[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]からなる群より選択される1以上の官能基である。
11、R12、R13、R14、R15、R16の好ましい範囲は、次の範囲である。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R11、R12、R13、R14として特に好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、さらに好ましいのは水素原子である。
17、R18の好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14、R15、R16と同様である。nは、好ましくは3である。
これらの官能基の中でも、好ましくは、
Figure 2009227835
、−SO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−Si(OR15m116 3-m1であり、より好ましくは、
Figure 2009227835
または−CO2Hまたはその塩である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、下記一般式(11)で表される繰り返し単位を有するコポリマーであることが特に好ましい。このようなコポリマーは、下記一般式(12)で表わされるビニルモノマーを共重合することにより得ることができる。
Figure 2009227835
Figure 2009227835
一般式(11)および一般式(12)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは−CO2−、−OCO−、−CONH−、−OCONH−、−OCOO−、−O−、−S−、−NH−、および、置換または無置換のアリーレン基からなる群より選ばれる2価の連結基を表し、より好ましくは−CO2−またはp−フェニレン基である。
Yは炭素数が1〜30である2価の連結基を表す。炭素数は1〜20が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜5がさらに好ましい。具体的には、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アリーレン基、アリーレンオキシ基、アリーレンオキシカルボニル基、およびこれらを組み合わせた基を挙げることができ、好ましくはアルキレン基である。
qは0〜18の整数を表す。より好ましくは0〜10の整数であり、さらに好ましくは0〜5の整数であり、特に好ましくは0〜1の整数である。
Zは、
Figure 2009227835
[R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、および、−Si(OR17n18 n[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]からなる群より選択される1以上の官能基を表し、好ましくは
Figure 2009227835
であり、さらに好ましくは、
Figure 2009227835
である。
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびnの定義および具体例は、それぞれ独立に、上述したR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびnの定義および具体例と同義である。但し、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびnは、それぞれ、水素原子またはアルキル基であることが好ましい。
以下に一般式(12)で表されるモノマーの具体例を挙げるが、本発明で用いることができるモノマーはこれらに限定されるものではない。
Figure 2009227835
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、表面自由エネルギーの観点から、下記一般式(21)〜(23)のいずれかで表される単位構造を少なくとも一種有することが好ましい。
Figure 2009227835
[ 一般式(21)中、R1はアルキル基、パーフルオロアルキル基またはアリール基を表し、nは5以上の整数を表す。]
Figure 2009227835
[一般式(22)中、mは1以上の整数を表す。]
Figure 2009227835
[一般式(23)中、qは4以上の整数を表す。]
上記一般式(21)〜(23)のいずれかで表される単位構造を少なくとも一種有するモノマーの具体例を以下にS−1〜S−35として挙げるが、本発明で採用することができるモノマーはこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2009227835
Figure 2009227835
Figure 2009227835
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、靭性の観点から、下記一般式(25)で表される単位構造を少なくとも一種有することが好ましい。
Figure 2009227835
[一般式(25)中、Xは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。]
下記一般式(25)で表される単位構造を有するモノマーの具体例を以下にA−1〜A−27として挙げるが、本発明で採用することができるモノマーはこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2009227835
Figure 2009227835
[他モノマー]
本発明において一般式(12)、(21)〜(23)、(25)で表される単位構造を有するモノマーと共重合可能な他の種類のモノマーとしては、Polymer Handbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience (1975) Chapter 2 Page 1〜483に記載のものを用いることができる。
具体的には、例えば、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イタコン酸ジアルキル類、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
前記スチレン誘導体としては、スチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、2−フェニルスチレン等が挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸tert−ブチル、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
前記メタクリル酸エステル類としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
前記アクリルアミド類としては、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等が挙げられる。
前記メタクリルアミド類としては、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミド等が挙げられる。
前記アリル化合物としては、アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノール等が挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、アルキルビニルエーテル(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等が挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート等が挙げられる。
前記イタコン酸ジアルキル類としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等が挙げられ、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類としては、ジブチルフマレート等が挙げられる。
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリルなど等も挙げることができる。
具体例としては、例えば、以下のものが挙げられるが、本発明で採用することができるモノマーはこれらの具体例に限定されるものではない。なお、以下においてnは1以上の整数を表す。
Figure 2009227835
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)の重量平均分子量は1,000〜500,000であることが好ましく、3,000〜300,000であることがさらに好ましく、10,000〜100,000であることが特に好ましい。前記熱可塑性樹脂(1)の重量平均分子量を500,000以下とすることにより、成形加工性が向上する傾向にあり、1,000以上とすることにより力学強度が向上する傾向にある。
ここで、上述の重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)において、無機微粒子と結合する上記官能基はポリマー鎖1本あたり平均0.1〜20個であることが好ましく、0.5〜10個であることがより好ましく、1〜5個であることが特に好ましい。前記官能基の含有量がポリマー鎖一本あたり平均20個以下であれば、熱可塑性樹脂(1)が複数の無機微粒子に配位して溶液状態で高粘度化やゲル化が起こるのを防ぎやすい傾向がある。また、ポリマー鎖一本あたり平均官能基の数が0.1個以上であれば、無機微粒子を安定に分散させやすい傾向がある。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)のガラス転移温度は85℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が80℃以上の樹脂を用いれば十分な耐熱性を有する光学部品が得られやすくなり、また、ガラス転移温度が400℃以下の樹脂を用いれば成形加工が行いやすくなる傾向がある。
熱可塑性樹脂(1)の屈折率と無機微粒子の屈折率差が大きい場合には、レイリー散乱が起こりやすくなるため透明性を維持して複合できる微粒子の量が少なくなる。熱可塑性樹脂(1)の屈折率が1.48程度であれば屈折率1.60レベルの透明性成形体を提供することができるが、1.65以上の屈折率を実現するためには本発明に用いられる熱可塑性樹脂(1)の屈折率は1.55以上であることが好ましく、1.58以上であることがより好ましい。なお、これらの屈折率は22℃、波長589nmにおける値である。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(1)は、波長589nmにおける厚み1mm換算の光線透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、88%以上であることが特に好ましい。
以下に、本発明で使用することができる熱可塑性樹脂の好ましい具体例を挙げるが、本発明で用いることができる熱可塑性樹脂はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009227835
これらの熱可塑性樹脂(1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、熱可塑性樹脂(2)および/または(3)と併用してもよい。
熱可塑性樹脂(2)
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)は、高分子末端の少なくとも1箇所に、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有する。ここで、官能基は、高分子鎖の片末端のみに存在しても、両末端に存在してもよいが、高分子鎖の片末端のみに存在することが好ましい。また、官能基は末端に複数存在していてもよい。ここでいう末端とは、高分子鎖を構成する繰り返し単位と繰り返し単位で挟まれている構造を除く部分を意味する。ここで、「化学結合」とは、上記熱可塑性樹脂(1)と同様に考えることができる。
無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基は、
Figure 2009227835
[R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、および、−Si(OR17n18 n[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]からなる群より選択される1以上の官能基である。
11、R12、R13、R14、R15、R16の好ましい範囲は、次の範囲である。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R11、R12、R13、R14として特に好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、さらに好ましいのは水素原子である。
17、R18の好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14、R15、R16と同様である。nは、好ましくは3である。
これらの官能基の中でも、好ましくは、
Figure 2009227835
−SO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−Si(OR15m116 3-m1であり、より好ましくは、
Figure 2009227835
−SO3Hまたはその塩、あるいは、−CO2Hまたはその塩であり、さらに好ましくは、
Figure 2009227835
あるいは、−CO2Hまたはその塩である。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(2)の基本骨格には特に制限はなく、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリビニルカルバゾール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリチオエーテル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなど公知の樹脂骨格を採用することができる。好ましくはビニル重合体、ポリアリレート、および芳香族含有ポリカーボネートであり、より好ましくはビニル重合体である。これらの具体例は、上記熱可塑性樹脂(1)で述べたものと同様である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)は、屈折率が1.50より大きいことが好ましく、1.55より大きいことがより好ましく、1.60より大きいことがさらに好ましく、1.65より大きいことが特に好ましい。なお、本発明における屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ社製、「DR−M4」)にて波長589nmの光について測定した値である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)は、ガラス転移温度が50℃〜400℃であることが好ましく、85℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度を50℃以上とすることにより、耐熱性が向上する傾向にあり、ガラス転移温度を400℃以下とすることにより、成形加工が行いやすくなる傾向がある。
また、本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)は、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることが特に好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)の数平均分子量は1,000〜500,000である。熱可塑性樹脂(2)の数平均分子量は3,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜200,000であることがさらに好ましく、10,000〜100,000であることが特に好ましい。熱可塑性樹脂(2)の数平均分子量を1,000以上とすることにより、力学強度が向上する傾向にあり、数平均分子量を500,000以下とすることにより、成形加工性が向上する傾向にある。
高分子鎖末端に前記官能基を導入する方法としては、特に制限はなく、例えば、新高分子実験学4 高分子の合成・反応(3)高分子の反応と分解(高分子学会編)」第3章「末端反応性ポリマー」に記載のように、重合時に導入してもよいし、重合後、一旦単離したポリマーの末端官能基変換または主鎖分解をしてもよい。官能基および/または保護された官能基をもつ開始剤、停止剤、連鎖移動剤などを用いて重合し高分子を得る方法や、例えばビスフェノールAから得られるポリカーボネートのフェノール末端部を、官能基を含有する反応剤で修飾する方法などの高分子反応を用いることもできる。例えば、「新高分子実験学2 高分子の合成・反応(1)付加系高分子の合成(高分子学会編)」110項〜112項に記載の硫黄含有連鎖移動剤を用いた連載移動法ビニル系モノマーのラジカル重合;「新高分子実験学2、高分子の合成・反応(1)付加系高分子の合成(高分子学会編)」255項〜256項に記載の官能基含有開始剤および/または官能基含有停止剤を用いるリビングカチオン重合;「Macromolecules,36巻」7020項〜7026項(2003年)に記載の硫黄含有連鎖移動剤を用いた開環メタセシス重合などを挙げることができる。
これらの熱可塑性樹脂(2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの熱可塑性樹脂は、他の共重合成分を含んでもよい。
熱可塑性樹脂(3)
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(3)は、疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体である。
ここで、疎水性セグメント(A)とは、セグメント(A)のみからなるポリマーが水またはメタノールに溶解しない特性を有するセグメントをいい、親水性セグメント(B)とは、セグメント(B)のみからなるポリマーが水またはメタノールに溶解する特性を有するセグメントをいう。前記ブロック共重合体の型としては、AB型、B1AB2型(2つの親水性セグメントB1とB2とは同じでも異なっていてもよい)およびA1BA2型(2つの疎水性セグメントA1とA2とは同じでも異なっていてもよい)が挙げられ、分散特性が良好な点から、AB型あるいはA1BA2型のブロック共重合体が好ましく、製造適性の点から、AB型あるいはABA型(A1BA2型の2つの疎水性セグメントが同じ型)がより好ましく、AB型が特に好ましい。
前記疎水性セグメントおよび前記親水性セグメントは、各々、ビニルモノマーの重合によって得られるビニルポリマー、ポリエーテル、開環メタセシス重合ポリマーおよび縮合ポリマー(ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンなど)など従来公知のポリマーのいずれからでも選択可能であるが、ビニルポリマー、開環メタセシス重合ポリマー、ポリカーボネート、ポリエステルが好ましく、製造適性の点からビニルポリマーがより好ましい。
前記疎水性セグメント(A)を形成するビニルモノマー(A)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(エステル基は置換または無置換の脂肪族エステル基、置換または無置換の芳香族エステル基であり、例えば、メチル基、フェニル基、ナフチル基など);
アクリルアミド類、メタクリルアミド類、具体的には、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド(モノ置換体およびジ置換体の置換基は、置換または無置換の脂肪族基、置換または無置換の芳香族基であり、前記置換基としては、例えば、メチル基、フェニル基、ナフチル基など);
オレフィン類、具体的には、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン誘導体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、ビニルカルバゾールなど;スチレン類、具体的には、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、トリブロモスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなど;
ビニルエーテル類、具体的には、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなど;その他のモノマーとして、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、ビニリデンクロライド、メチレンマロンニトリル、ビニリデン、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどが挙げられる。
中でも、エステル基が無置換の脂肪族基、置換または無置換芳香族基であるアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;置換基が無置換の脂肪族基、置換または無置換芳香族基であるN−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミドおよびN−ジ置換メタクリルアミド;スチレン類;が好ましく、エステル基が置換または無置換芳香族基であるアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;スチレン類;がより好ましい。
前記親水性セグメント(B)を形成するビニルモノマー(B)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
アクリル酸、メタクリル酸、エステル部位に親水性の置換基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;芳香環部に親水性の置換基を有するスチレン類;親水性の置換基を有するビニルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミドならびにN−ジ置換メタクリルアミドなどが挙げられる。
親水性の置換基としては、
Figure 2009227835
[R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、および、−Si(OR17n18 n[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]からなる群より選択される1以上の官能基である。
11、R12、R13、R14、R15、R16の好ましい範囲は、次の範囲である。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R11、R12、R13、R14として特に好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、さらに好ましいのは水素原子である。
17、R18の好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14、R15、R16と同様である。nは、好ましくは3である。
これらの官能基の中でも、好ましくは、
Figure 2009227835
−SO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−Si(OR15m116 3-m1であり、より好ましくは、
Figure 2009227835
あるいは、−CO2Hまたはその塩であり、さらに好ましくは、
Figure 2009227835
である。
本発明では特に、前記ブロック共重合体が上記官能基を0.05mmol/g〜5.0mmol/gで含む熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
中でも、親水性セグメント(B)としては、アクリル酸、メタクリル酸、エステル部位に親水性の置換基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類、芳香環部に親水性の置換基を有するスチレン類が好ましい。
前記疎水性セグメント(A)を形成するビニルモノマー(A)は疎水性の特性を妨げない範囲で、前記ビニルモノマー(B)を含有していてもよい。前記疎水性セグメント(A)に含有される前記ビニルモノマー(A)と前記ビニルモノマー(B)とのモル比は、100:0〜60:40であるのが好ましい。
前記親水性セグメント(B)を形成するビニルモノマー(B)は親水性の特性を妨げない範囲で、前記ビニルモノマー(A)を含有していてもよい。前記親水性セグメント(B)に含有される前記ビニルモノマー(B)と前記ビニルモノマー(A)とのモル比は、100:0〜60:40であるのが好ましい。
前記ビニルモノマー(A)および前記ビニルモノマー(B)は各々、1種類を単独で用いても、2種類以上を用いてもよい。前記ビニルモノマー(A)および前記ビニルモノマー(B)は、種々の目的(例えば、酸含量調節やガラス転移点(Tg)の調節、有機溶剤や水への溶解性調節、分散物安定性の調節)に応じて選択される。
前記官能基の含有量は前記ブロック共重合体の全体に対して0.05〜5.0mmol/gであるのが好ましく、0.1〜4.5mmol/gであるのがさらに好ましく、0.15〜3.5mmol/gであるのが特に好ましい。前記官能基の含有量が少なすぎると分散適性が小さくなる場合があり、多すぎると水溶性が高くなりすぎたり、有機無機複合組成物がゲル化したりする場合がある。尚、前記ブロック共重合体において、前記官能基はアルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+など)またはアンモニウムイオンなどカチオン性のイオンと塩を形成していてもよい。
前記ブロック共重合体の分子量(Mn)としては、1000〜100000が好ましく、2000〜80000であることがより好ましく、3000〜50000であることが特に好ましい。ブロック共重合体の分子量を1000以上とすることにより、安定な分散物を得やすくなる傾向にあり、100000以下とすることにより、有機溶剤への溶解性が向上する傾向にあり好ましい。
本発明で用いられるブロック共重合体は、屈折率が1.50より大きいことが好ましく、1.55以上であることがより好ましく、1.60より大きいことがさらに好ましく、1.65より大きいことが特に好ましい。なお、ここでいう、屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ社「DR−M4」)にて波長589nmの光について測定した値である。
本発明において用いられるブロック共重合体は、ガラス転移温度が85℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度を80℃以上とすることにより、耐熱性が向上する傾向にあり、ガラス転移温度を400℃以下とすることにより、成形加工性が向上する傾向にある。
本発明において用いられるブロック共重合体は、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることが特に好ましい。
前記ブロック共重合体は、必要に応じてカルボキシル基などを保護したり、ポリマーに官能基を導入する手法を用いてリビングラジカル重合およびリビングイオン重合を利用して合成することができる。また、末端官能基ポリマーからのラジカル重合および末端官能基ポリマー同士の連結によって合成することができる。中でも、分子量制御やブロック共重合体の収率の点から、リビングラジカル重合およびリビングイオン重合を利用するのが好ましい。前記ブロック共重合体の製造方法については、例えば、「高分子の合成と反応(1)(高分子学会編、共立出版(株)発行(1992))」、「精密重合(日本化学会編、学会出版センター発行(1993))」、「高分子の合成・反応(1)(高分子学会編、共立出版(株)発行(1995))」、「テレケリックポリマー:合成と性質、応用(R.Jerome他、Prog.Polym.Sci.Vol16.837−906頁(1991))」、「光によるブロック,グラフト共重合体の合成(Y.Yagch他、Prog.Polym.Sci.Vol15.551−601頁(1990))」、米国特許5085698号明細書などに記載されている。
これらの樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
[可塑剤]
樹脂のガラス転移温度が高い場合、成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、成形温度を下げるために本発明では可塑剤を使用してもよい。本発明で使用する可塑剤としては、一般式(32)で表される構造を有するものが好ましい。
Figure 2009227835
(式中、B1 およびB2 は炭素数6〜18のアルキル基またはアリールアルキル基、mは0または1、Xは
Figure 2009227835
のうちのいずれかであり、R1 およびR2 は水素原子または炭素数4以下のアルキル基を示す。)
また、一般式(32)で表される化合物において、B1 ,B2 は炭素数6〜18の範囲内において任意のアルキル基またはアリールアルキル基を選ぶことができる。炭素数が6未満では、分子量が低すぎてポリマーの溶融温度で沸騰し、気泡を生じたりする場合がある。また、炭素数が18を超えると、ポリマーとの相溶性が悪くなるので添加効果が不十分である。
1 ,B2 の基としては、具体的には、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。本発明に用いる一般式(32)で示される化合物の具体例としては、 次に示すものが挙げられ、中でも、W−1(花王株式会社製の商品名[KP−L155])が好ましい。
Figure 2009227835
[無機微粒子]
本発明で用いられる無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子等が挙げられる。より具体的には酸化ジルコニウム微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化錫微粒子、硫化亜鉛微粒子等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも特に、金属酸化物微粒子が好ましく、中でも酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれるいずれか一つであることが好ましく、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛および酸化チタンからなる群より選ばれるいずれか一つであることがより好ましく、さらには可視域透明性が良好で光触媒活性の低い酸化ジルコニウム微粒子を用いることが特に好ましい。本発明では、屈折率や透明性や安定性の観点から、これらの無機物の複合物を用いてもよい。またこれらの微粒子は光触媒活性低減、吸水率低減など種々の目的から、異種元素をドーピングしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面修飾したものであってもよい。
本発明に用いられる無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる。
具体的には、酸化ジルコニウム微粒子またはその懸濁液を得る方法として、ジルコニウム塩を含む水溶液をアルカリで中和し水和ジルコニウムを得た後、乾燥および焼成し、溶媒に分散させて酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法;ジルコニウム塩を含む水溶液を加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法;ジルコニウム塩を含む水溶液を加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得た後、限外ろ過する方法;ジルコニウムアルコキシドを加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法;およびジルコニウム塩を含む水溶液を水熱の加圧下で加熱処理することにより酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法等が知られており、これらのいずれの方法を用いてもよい。
また、酸化チタン微粒子の合成原料としては硫酸チタニルが例示され、酸化亜鉛ナノ粒子の合成原料として酢酸亜鉛や硝酸亜鉛等の亜鉛塩が例示される。テトラエトキシシランやチタニウムテトライソプロポキサイド等の金属アルコキシド類も無機微粒子の原料として好適である。このような無機微粒子の合成方法としては、例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)、あるいは、ラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)に記載の方法を挙げることができる。
特にゾル生成法により酸化物ナノ粒子を合成する場合においては、例えば硫酸チタニルを原料として用いる酸化チタンナノ粒子の合成のように、水酸化物等の前駆体を経由し、次いで酸やアルカリによりこれを脱水縮合または解膠してヒドロゾルを生成させる手順も可能である。かかる前駆体を経由する手順では、該前駆体を、濾過や遠心分離等の任意の方法で単離精製することが最終製品の純度の点で好適である。得られたヒドロゾルにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(略称DBS)やジアルキルスルホスクシネートモノナトリウム塩(三洋化成工業(株)製、商標名「エレミノールJS−2」)等の適当な界面活性剤を加えて、ゾル粒子を非水溶化させて単離してもよく、例えば、「色材」57巻6号,305〜308頁(1984)に記載の公知の方法を用いることができる。
また、水中で加水分解させる方法以外の方法として、有機溶媒中で無機微粒子を作製する方法も挙げることができる。このとき、有機溶媒中には、本発明で用いる熱可塑性樹脂が溶解していてもよい。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、有機無機複合組成物の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズの下限値は、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上であり、上限値は好ましくは30nm以下、より好ましくは15nm以下、さらに好ましくは10nm以下、特に好ましくは7nm以下である。すなわち、本発明における無機微粒子の数平均粒子サイズとしては、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmがさらに好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。
ここで、上述の数平均粒子サイズとは例えば、X線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)で測定することができる。
本発明で用いられる無機微粒子の屈折率の範囲は、22℃で589nmの波長において1.9〜3.0であることが好ましく、より好ましくは2.0〜2.7であり、特に好ましくは2.1〜2.5である。微粒子の屈折率が3.0以下であれば熱可塑性樹脂との屈折率差がさほど大きくないためレイリー散乱を抑制しやすい傾向がある。また、屈折率が1.9以上であれば高屈折率化を図りやすい傾向がある。
無機微粒子の屈折率は例えば本発明で用いられる熱可塑性樹脂と複合化した複合物を透明フィルムとして、アッベ屈折計(例えば、アタゴ社製「DM−M4」)で屈折率を測定し、別途測定した樹脂成分のみの屈折率とから換算する方法、あるいは濃度の異なる微粒子分散液の屈折率を測定することにより微粒子の屈折率を算出する方法などによって見積もることができる。
本発明の有機無機複合組成物における無機微粒子の含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、20〜95質量%が好ましく、25〜70質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。また、本発明における前記無機微粒子と熱可塑性樹脂(分散ポリマー)との質量比は、分散性の点から、1:0.01〜1:100が好ましく、1:0.05〜1:10がさらに好ましく、1:0.05〜1:5が特に好ましい。
[有機無機複合組成物の製造方法]
本発明の有機無機複合組成物は、熱可塑性樹脂と無機微粒子等の成分を混合することにより製造することができる。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが比較的小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で上記熱可塑性樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合組成物の好ましい製造方法としては、(1)無機粒子を上記表面処理剤の存在下にて表面処理し、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記熱可塑性樹脂と均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合組成物を製造する方法、(2)無機微粒子と熱可塑性樹脂の両者を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて両者を均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合組成物を製造する方法、が挙げられる。
上記(1)の手法によって無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合組成物を製造する場合には、有機溶媒としてトルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性の溶媒が用いられる。微粒子の有機溶剤への抽出に用いられる表面処理剤と前記熱可塑性樹脂は同種のものであっても異種のものであってもよいが、好ましく用いられる表面処理剤については、前述<表面処理剤>の箇所で述べたものが挙げられる。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と熱可塑性樹脂を混合する際に、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加しても良い。
上記(2)の場合には、溶剤として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシー2−プロパノール、t−ブタノール、酢酸、プロピオン酸等の親水的な極性溶媒の単独または混合溶媒、あるいはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性溶媒と上記極性溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。この際、前述の熱可塑性樹脂とは別に分散剤、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマーを必要に応じて添加しても良い。水/メタノールに分散された微粒子を用いる際には、水/メタノールより高沸点で熱可塑性樹脂を溶解する親水的な溶媒を添加した後、水/メタノールを濃縮留去することによって、微粒子の分散液を極性有機溶媒に置換した後、樹脂と混合することが好ましい。この際前記表面処理剤を添加しても良い。
上記(1)、(2)の方法によって得られた有機無機複合組成物の溶液は、そのままキャスト成形して透明成形体を得ることもできるが、本発明では特に、該溶液を濃縮、凍結乾燥、あるいは適当な貧溶媒から再沈澱させる等の手法により溶剤を除去した後、粉体化した固形分を射出成形、圧縮成形等の公知の手法によって成形することが好ましい。またこの際、本発明の粉状の有機無機複合組成物を直接加熱溶融あるいは圧縮などによりレンズ等の成形体に加工することもできるが、いったん押し出し法などの手法で、一定の重さ、形状を有するプリフォーム(前駆体)を作成した後、該プリフォームを圧縮成形で変形させてレンズ等の光学部品を作成することもできる。この場合目的の形状を効率的に作成するために、プリフォームに適当な曲率をもたせることもできる。
上記有機無機複合組成物をマスターバッチとして他の樹脂に混合して用いても良い。
本発明の有機無機複合組成物は、以下の式(1)を満たすものである。
Figure 2009227835
[上式において、γs pは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物の表面自由エネルギーの極性成分(mN/m)であり、αは前記有機無機複合組成物の25℃〜50℃の平均線膨張係数(/K)であり、Eは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物のヤング率(N/m2)である。]
本発明の有機無機複合組成物は、以下の式(1a)を満たすものであることがより好ましく、式(1b)を満たすものであることがより好ましく、式(1c)を満たすものであることがさらに好ましい。
Figure 2009227835
本発明の有機無機複合組成物のγs pは、通常3.5mN/m以下であり、2.0mN/mであることが好ましく、1.0mN/m以下であることがより好ましい。γs pは、例えば、熱可塑性樹脂中の官能基量の制御、無機微粒子径の制御により調整が可能である。
本発明の有機無機複合組成物の線膨張率α(/K)は、1.0×10―4(/K)以下であることが好ましく、1.0×10―6〜1.0×10―4(/K)であることがより好ましく、1.0×10―5〜1.0×10―4(/K)であることがさらに好ましい。線膨張率αは、例えば熱可塑性樹脂のモノマーユニット種、モノマーユニット含率の制御により調整が可能である。
本発明の有機無機複合組成物のヤング率Eは、3.0×108〜3.0×1010N/m2であることが好ましく、3.0×108〜1.0×1010N/m2であることがより好ましく、1.0×109〜1.0×1010N/m2であることがさらに好ましい。ヤング率Eは、例えば熱可塑性樹脂のモノマーユニット種、モノマーユニット含率の制御により調整が可能である。
[光学部品]
上述の本発明の有機無機複合組成物を成形することにより、本発明の光学部品を製造することができる。本発明の光学部品は、有機無機複合組成物の説明で前記した屈折率や光学特性を示すものが有用である。
また本発明の光学部品としては、最大0.1mm以上の厚みを有する高屈折率の光学部品が特に有用である。好ましくは0.1〜5mmの厚みを有する光学部品への適用であり、特に好ましくは1〜3mmの厚みを有する透明物品への適用である。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の有機無機複合組成物を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する光学部品とすることができる。
本発明の有機無機複合組成物を利用した光学部品は、本発明の有機無機複合組成物の優れた光学特性を利用した光学部品であれば特に限定はないが、例えば、レンズ基材や、特に光を透過する光学部品(いわゆるパッシブ光学部品)に使用することも可能である。かかる光学部品を備えた機能装置としては、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。かかる光学機能装置における前記パッシブ光学部品としては、レンズ、プリズム、プリズムシート、パネル、フィルム、光導波路、光ディスク、LEDの封止剤等が例示される。
本発明の有機無機複合組成物を用いた光学部品は、特にレンズ基材に好適である。本発明の有機無機複合組成物を用いて製造されたレンズ基材は、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、有機無機複合組成物を構成するモノマーの種類や分散させる無機微粒子の量を適宜調節することにより、レンズ基材の屈折率を任意に調節することが可能である。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
本発明におけるレンズ基材をレンズとして利用するに際しては、本発明のレンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、前記のように膜や枠などを付加してレンズとして用いてもよい。本発明のレンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。本発明のレンズ基材は、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、撮像レンズ(車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ等;ズームレンズや、正/負のパワーレンズなど各種公知の撮像レンズを含む)、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等)に使用される。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[分析および評価方法]
(1)成形性
加熱成形後、ステンレスでできた金型から成型体を外す際のボタンの取れやすさを以下の基準で官能評価した。
○:自然に金型からボタンが取れる。
△:少し力を入れると金型からボタンが取れる。
×:かなり力を入れないと金型からボタンが取れない。
(2)光線透過率測定
有機無機複合組成物を成形して厚さ1.0mmのサンプルを作成し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所製)で測定した。
(3)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製DR−M4)にて、波長589nmの光について行った。
(4)耐熱性(ガラス転移点)
示差走査熱量計DSC7200(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)により測定した。
(5)接触角
接触角計(CA−X型接触角計、協和界面科学(株)製)を用い、乾燥状態(20℃/65%RH)で、液体として純水およびヨウカメチレンを使用して直径1.0mmの液滴を針先に作り、これをサンプルの表面に接触させてサンプル上に液滴を作った。サンプルと液体とが接する点における、液体表面に対する接線とサンプルがなす角で、液体を含む側の角度を接触角とする。
(6)表面自由エネルギー
表面自由エネルギーは、接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明の場合、接触角法を用いることが好ましく、本明細書に記載される表面自由エネルギーは接触角法で測定した値である。
具体的には、表面自由エネルギーが既知である純水およびヨウカメチレンをサンプルに滴下し、液滴の表面とサンプル表面との交点において、液滴に引いた接線とサンプル表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、以下の計算式(2)(3)に適用することによりサンプルの表面自由エネルギーを算出できる。
Figure 2009227835
Figure 2009227835
(7)線膨張係数
有機無機複合組成物を成形して厚さ1.0mmのサンプルを作成し、温度60℃・相対湿度50%で24時間アニール後、24時間常温で保管し、その後、熱・応力・歪測定装置EXSTER6000 TMA/SS6100(エスエスアイ・ナノテクノロジー株式会社製)で測定した。
(8)ヤング率
材料組成物を形成して10□×0.2mmの試料を作製し、温度25℃・相対湿度60%で24時間調湿したのち、株式会社エー・アンド・デイ社製テンシロン万能試験機RTC−1150A(3点支持モード、押込み速度2mm/min)でSS曲線を測定し、ヤング率を得た。
[材料の合成]
(1)チタニア微粒子の合成
0.1モル/Lの硫酸チタニル水溶液を攪拌しながら、同容量の1.5モル/Lの炭酸ナトリウム水溶液を室温で10分かけて滴下した。こうして得た白色の超微粒子の懸濁液を、3500rpmで遠心分離し、上澄み液のデカンテーションによる除去および水洗の工程を繰り返すことにより精製した。こうして得た白色沈殿を0.3モル/Lの希塩酸中に攪拌分散しながら50℃で約1時間加熱して、透明感のある酸性ヒドロゾルを得た。この酸性ヒドロゾルを氷冷し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の水溶液を加えたところ白色沈殿を生じたので、次いでトルエンで抽出し、乾燥後濃縮した。この濃縮残渣のXRDとTEMより、アナタース型チタニア微粒子(数平均粒子サイズは約5nm)の生成を確認した。
(2)ジルコニア微粒子の合成
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒としてジルコニア換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理してジルコニア微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmのジルコニア微粒子の生成を確認した。
(3)ジルコニア微粒子トルエン分散液の調製
前記(2)で合成したジルコニア微粒子懸濁液と東京化成製のp−プロピル安息香酸を溶解させたトルエン溶液を混合し、50℃で8時間攪拌した後、トルエン溶液を抽出し、ジルコニア微粒子トルエン分散液を作製した。
他の分散剤を用いる場合にも、同様の方法により調製できる。
(4)熱可塑性樹脂の合成
還流冷却器、ガス導入コックを付した300ml三口フラスコに、チッソ株式会社製サイラプレーンFM−0725(S-6、n=131)0.5gを添加し、2回窒素置換した後、スチレン(A−1)40.0g、N−(4−クロルフェニル)マレイミド(A−6)9.0g、2−カルボキシエチルアクリレート5.0g、2−カルボキシエチルアクリレート(C−3)0.5g、酢酸エチル21.4g、さらに開始剤として和光純薬工業株式会社製V−601 0.5gを添加し、さらに2回窒素置換した後、窒素気流下80℃で3時間加熱した。室温に戻した後、酢酸エチル30mlを添加後、10分間攪拌し、メタノール2Lに投入し、再沈殿した。沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥することにより熱可塑性樹脂P−1を得た(収率32%、数平均分子量62,000)。
他の例示したポリマーについても、同様の方法で調製できる。
(5)有機無機複合組成物の調製
(3)で合成したジルコニア微粒子のトルエン分散液(ジルコニア:p−プロピル安息香酸=10:1)を熱可塑性樹脂P−1および株式会社松村石油研究所製S−3103を溶解させたトルエン溶液に5分かけて滴下し、これを1時間攪拌した後、溶媒を除去することにより、有機無機複合組成物を粉体として得た。
他の有機無機複合組成物についても、同様の方法で調製した。
[加熱成形による光学部品の製造]
実施例1〜9と比較例1、2の各レンズを以下の手順で製造した。使用した無機微粒子の種類と無機成分としての使用量は表2に示す通りとした。但し、p−プロピル安息香酸を8.3質量%およびS−3103を4.2質量%含み、残りを樹脂が占めるものである。比較例1では、樹脂としてQ−1(構成モノマーはB−2を60質量%、C−5を40質量%であり、数平均分子量は14000、比較例2では、樹脂としてB−1を60質量%、C−5を40質量%であり、数平均分子量は16000を用いた)。
製造した各有機無機複合組成物をDSCにかけてガラス転移温度を測定した。また、製造した各有機無機複合組成物を180℃で加熱成形し、厚さ1mmのレンズ用成形体を作成した。このとき成型性を評価した。成形体を利用して光線透過率測定、屈折率測定、線膨張係数、および接触角測定を行い、接触角測定の結果から表面自由エネルギーを計算した。さらに、材料組成物を形成して10□×0.2mmの試料を作製し、テンシロンによる測定とヤング率の計算を行った。これらの結果は以下の表2に記載した。レンズ用成形体は、その後レンズの形状に成形して、光学部品であるレンズを得た。
Figure 2009227835
表2から明らかなように、本発明により成型性に優れ、屈折率が1.60より大きくて透明性が良好な樹脂材料が得られた(実施例1〜9)。比較例1〜2では、表面自由エネルギーの極性成分γsp、線膨張係数α、およびヤング率Eが式(1)を満たさないため、成型性が悪かった。
本発明の光学部品は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、成型性が良好な材料組成物を含むものである。本発明によれば、屈折率を任意に調節した光学部品を比較的容易に提供することができる。このため、本発明は、高屈折レンズ等の広範な光学部品の提供に有用であり、産業上の利用可能性が高い。

Claims (20)

  1. 高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有し、かつ下記式(1)を満たすことを特徴とする有機無機複合組成物。
    Figure 2009227835
    [上式において、γs pは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物の表面自由エネルギーの極性成分(mN/m)であり、αは前記有機無機複合組成物の25℃〜50℃の平均線膨張係数(/K)であり、Eは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物のヤング率(N/m2)である。]
  2. 前記線膨張率α(/K)が1.0×10-4(/K)以下であることを特徴とする、請求項1に記載の有機無機複合組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、85℃以上のガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の有機無機複合組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、
    Figure 2009227835
    [R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、および、−Si(OR17n18 n[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]からなる群より選択される1以上の官能基を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、前記官能基を高分子鎖1本あたり平均0.1〜20個有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  6. 前記熱可塑性樹脂が、スチレンまたはスチレン誘導体を重合することにより形成される単位構造を少なくとも一つ有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  7. 前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(21)〜(23)のいずれかで表される単位構造を少なくとも一種有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
    Figure 2009227835
    [ 一般式(21)中、R1はアルキル基、パーフルオロアルキル基またはアリール基を表し、nは5以上の整数を表す。]
    Figure 2009227835
    [一般式(22)中、mは1以上の整数を表す。]
    Figure 2009227835
    [一般式(23)中、qは4以上の整数を表す。]
  8. 前記熱可塑性樹脂が下記一般式(4)で表される単位構造を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
    Figure 2009227835
    [一般式(4)中、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4はメチル基またはフェニル基を表し、R5は水素原子またはアルキル基を表し、Xはアルキレン基またはアリーレン基からなる二価の連結基を表し、nは5以上の整数を表す。]
  9. 前記熱可塑性樹脂が下記一般式(5)で表される単位構造を少なくとも一つ有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
    Figure 2009227835
    [一般式(5)中、Xは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。]
  10. 前記無機微粒子の粒子サイズが1〜30nmであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  11. 前記無機微粒子を20質量%以上含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  12. 厚さ1mm換算の光線透過率が波長589nmにおいて70%以上であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  13. 波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  14. 前記無機微粒子が、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれるいずれか一つであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を溶融して金型内に充填し、充填した有機無機複合組成物を固化した後に前記金型から成型品を取り出すことを特徴とする成型品の製造方法。
  16. 溶融した前記有機無機複合組成物を金型に直接充填することを特徴とする請求項15に記載の成型品の製造方法。
  17. 高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有し、かつ下記式(1)を満たす有機無機複合組成物を選択することを特徴とする、金型からの離型性が良好な有機無機複合組成物の選択方法。
    Figure 2009227835
    [上式において、γs pは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物の表面自由エネルギーの極性成分(mN/m)であり、αは前記有機無機複合組成物の25℃〜50℃の平均線膨張係数(/K)であり、Eは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物のヤング率(N/m2)である。]
  18. 有機無機複合組成物を溶融して金型内に充填し、充填した有機無機複合組成物を固化した後に前記金型から成型品を取り出す工程において、前記金型から前記成型品を取り出す際の離型性を改善する方法であって、
    前記有機無機複合組成物として、高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有し、かつ下記式(1)を満たす有機無機複合組成物を選択することを特徴とする、金型から成型品を取り出す際の離型性を改善する方法。
    Figure 2009227835
    [上式において、γs pは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物の表面自由エネルギーの極性成分(mN/m)であり、αは前記有機無機複合組成物の25℃〜50℃の平均線膨張係数(/K)であり、Eは温度25℃・相対湿度60%の条件下で測定した前記有機無機複合組成物のヤング率(N/m2)である。]
  19. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を含んで構成される光学部品。
  20. 前記光学部品がレンズであることを特徴とする、請求項19に記載の光学部品。
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