JP5279306B2 - 有機無機複合組成物、成形体および光学部品 - Google Patents

有機無機複合組成物、成形体および光学部品 Download PDF

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Description

本発明は、無機微粒子の分散性が良好で、透明性、耐衝撃性、離型性に優れた有機無機複合組成物、および、これを含んで構成されるレンズ基材(例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ等)等の光学部品に関する。
近年、光学材料の研究が盛んに行われており、特にレンズ材料の分野においては高屈折性、透明性、易成形性、軽量性、耐衝撃性、離型性等に優れた材料の開発が強く望まれている。
プラスチックレンズは、ガラスなどの無機材料に比べ軽量で割れにくく、様々な形状に加工できるため、眼鏡レンズのみならず近年では携帯カメラ用レンズやピックアップレンズ等の光学材料にも急速に普及しつつある。
それに伴い、レンズを薄肉化するために素材自体を高屈折率化することが求められるようになっており、例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(特許文献1、特許文献2参照)や、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(特許文献3参照)や、インデン誘導体とビニル単量体との共重合体を用いる技術(特許文献4参照)等が活発に研究されてきた。しかし、十分に屈折率が大きくて良好な透明性を有しており、ガラスの代替となるようなプラスチック材料は未だ開発されるに至っていない。
屈折率を有機物のみで上げることは難しいため、高屈折率を有する無機物を樹脂マトリックス中に分散させることによって高屈折率材料をつくる試みがなされている(特許文献5、6参照)。また、レイリー散乱による透過光の減衰を低減するためには、粒子径が15nm以下の無機微粒子を樹脂マトリクス中に均一に分散させることが好ましい。しかし、粒子径が15nm以下の一次粒子は非常に凝集しやすいために、樹脂マトリクス中に、均一に分散させることは極めて難しい。またレンズの厚みに相当する光路長における透過光の減衰を考慮すると、無機微粒子の添加量を制限せざるを得ない。このため、樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリクス中に分散させることが求められていた。
このような要求に応えるものとして、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂中に無機微粒子を分散させた有機無機複合組成物が提案されている(特許文献7参照)。この有機無機複合組成物は、無機微粒子の分散性が良好で、屈折率1.60以上を達成している。
特開2002−131502号公報 特開平10−298287号公報 特開2004−244444号公報 特開2001−89537号公報 特開昭61−291650号公報 特開2003−73564号公報 特開2007−238929号公報
しかしながら、特許文献7に記載される有機無機複合組成物を用いて光学レンズを製造しようとすると、離型性が良好ではないという課題があることが本発明者らにより明らかになった。また、製造される光学レンズの耐衝撃性が良好ではないという課題もあることが明らかになった。
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、無機微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散していて、透明性、耐衝撃性、離型性に優れた有機無機複合組成物、ならびに、これを用いたレンズ基材等の光学部品を提供することにある。
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造単位を有する樹脂中に数平均粒子径が1〜15nmの無機微粒子を分散させた有機無機複合材料が、無機微粒子の均一分散効果により、高屈折性と優れた透明性を有し、さらに耐衝撃性と離型性も兼ね備えることを見出し、本発明の完成に至った。すなわち、課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] 下記一般式(1)で表される単位構造を少なくとも一つ有している熱可塑性樹脂中に数平均粒子径が1〜15nmの無機微粒子を含有していることを特徴とする有機無機複合組成物。
Figure 0005279306
[一般式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアシルオキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のアミノ基、または、シアノ基を表す。]
[2] 前記熱可塑性樹脂の波長589nmにおける屈折率が1.55以上であることを特徴とする[1]に記載の有機無機複合組成物。
[3] 前記熱可塑性樹脂の数平均分子量が10000〜200000であることを特徴とする[1]または[2]に記載の有機無機複合組成物。
[4] 前記一般式(1)で表される単位構造を前記熱可塑性樹脂中に1〜70質量%含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[5] 前記熱可塑性樹脂が下記から選ばれる1以上の官能基を有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の有機無機複合組成物。
Figure 0005279306
[R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OHまたはその塩、−Si(OR17n18 3-n [R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]
[6] 前記熱可塑性樹脂が、前記官能基を有するビニルモノマーに由来する構造単位をポリマー鎖1本あたり平均0.1〜20個有していることを特徴とする[5]に記載の有機無機複合組成物。
[7] 前記熱可塑性樹脂が、芳香族基を有するビニルモノマーに由来する単位構造を20〜99質量%含むことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[8] 前記無機微粒子の波長589nmにおける屈折率が1.90〜3.00であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[9] 前記無機微粒子が、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[10] 有機無機複合組成物の波長589nmにおける屈折率が1.63以上であり、かつ、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[11] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を成形した成形体。
[12] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を含んで構成される光学部品。
本発明によれば、無機微粒子の分散性が良好であって、透明性、耐衝撃性、離型性に優れた有機無機複合組成物、およびそれを含んで構成される、透明性と屈折率が高くて耐衝撃性と離型性に優れた光学部品が提供できる。
以下において、本発明の有機無機複合材料とその製造方法、およびそれを含んで構成される光学部品について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[熱可塑性樹脂]
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、一般式(1)で表される単位構造を少なくとも一つ有している。また、本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、側鎖にカルボキシル基を有するランダム共重合体であることが好ましい。ポリマーの種類としては、ビニルモノマーの重合によって得られるビニルポリマー、ポリエーテル、開環メタセシス重合ポリマーおよび縮合ポリマー(ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンなど)など従来公知のポリマーのいずれからでも選択可能であるが、ビニルポリマー、開環メタセシス重合ポリマー、ポリカーボネート、ポリエステルが好ましく、製造適性の点からビニルポリマーがより好ましい。
<一般式(1)で表される単位構造>
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、下記一般式(1)で表される単位構造を少なくとも一つ有している。
Figure 0005279306
一般式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアシルオキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のアミノ基、または、シアノ基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
アルキル基は、直鎖であっても、分岐を有するものであっても、環状であってもよいが、好ましくは直鎖または分岐アルキル基である。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基を挙げることができ、なかでもメチル基、エチル基をより好ましい例として挙げることができる。
アルコキシ基とアルキルチオ基とアシルオキシ基のアルキル部分の説明と好ましい範囲については、上記のアルキル基の説明と好ましい範囲と同じである。
アリール基は、単環式であっても多環式であってもよく、炭素数は6〜30が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。アリール基の具体例として、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基を挙げることができ、なかでもフェニル基、ナフチル基をより好ましい例として挙げることができる。
アリールオキシ基とアリールチオ基のアリール部分の説明と好ましい範囲については、上記のアリール基の説明と好ましい範囲と同じである。
アミノ基は置換基を有しているものが好ましい。
アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アミノ基が有することができる置換基として、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、置換または無置換のカルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル基)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基)、ニトロ基、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド基、エトキシカルボニルアミノ基)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基)、イミド基(例えば、スクシンイミド基、フタルイミド基)、イミノ基(例えば、ベンジリデンアミノ基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基)、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニリオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(例えば、ベンゼンスルホニルオキシ基)、スルホ基、置換または無置換のスルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基)、ヘテロ環類などを挙げることができる。これらの置換基は、さらにここに挙げた置換基で置換されていてもよい。
一般式(1)のR1〜R3としてより好ましいのは、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアシルオキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、シアノ基であり、より好ましいのは、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、シアノ基である。
一般式(1)のR1〜R3はいずれも水素原子以外の基であってもよいが、好ましくはR1〜R3のうちの1〜3つが水素原子である場合であり、より好ましくはR1〜R3のうちの2つまたは3つが水素原子である場合である。また、一般式(1)のR1〜R3はいずれもシアノ基であってもよいが、好ましくはR1〜R3のうちの0〜2つがシアノ基である場合であり、より好ましくはR1〜R3のうちの0または1つがシアノ基である場合である。
本発明の熱可塑性樹脂には、1分子中に一般式(1)で表される単位構造が1種のみ存在していてもよいし、複数種存在していてもよい。また、一般式(1)で表される特定種の単位構造は、分子中に連続してブロック状に存在していてもよいし、ランダムに存在していてもよい。
一般式(1)で表される単位構造は、下記一般式(2)で表されるモノマーを重合させることにより形成することができる。
Figure 0005279306
[一般式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアシルオキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のアミノ基、または、シアノ基を表す。]
以下に、一般式(2)で表されるモノマーの具体例をA−1〜A−30として挙げるが、本発明で採用することができるモノマーはこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0005279306
Figure 0005279306
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、一般式(1)で表される単位構造を1〜70質量%含むものであることが好ましく、3〜70質量%含むものであることがより好ましく、5〜50質量%含むものであることがさらに好ましく、7〜30質量%含むものであることがさらにより好ましい。ここでいう一般式(1)で表される構造単位を1〜70質量%含む熱可塑性樹脂とは、重合することによって一般式(1)で表される構造を与えうるモノマー(一般式(2)で表されるモノマー)を、モノマー混合物中にモノマー総量の1〜70質量%で存在させて重合することにより得られる熱可塑性樹脂をいう。
<共重合可能なモノマー>
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、重合することによって一般式(1)で表される単位構造を形成することができるモノマーとともに、他のモノマーを共重合させることにより製造することができる。そのような他のモノマーとして、Polymer Handbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience (1975) Chapter 2 Page 1〜483に記載のものなどを用いることができる。
具体的には、例えば、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イタコン酸ジアルキル類、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
前記スチレン誘導体としては、スチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、2−フェニルスチレン、4−クロロスチレン等が挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸tert−ブチル、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
前記メタクリル酸エステル類としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
前記アクリルアミド類としては、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等が挙げられる。
前記メタクリルアミド類としては、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミド等が挙げられる。
前記アリル化合物としては、アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノール等が挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、アルキルビニルエーテル(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等が挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート等が挙げられる。
前記イタコン酸ジアルキル類としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等が挙げられ、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類としては、ジブチルフマレート等が挙げられる。
その他、クロトン酸、イタコン酸など等も挙げることができる。
重合することによって一般式(1)で表される単位構造を形成することができるモノマーとともに共重合することができるモノマーとしては、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類が好ましく、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾールがより好ましい。
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、上記の共重合することができるモノマーに由来する構造単位を30〜99質量%含むものであることが好ましく、30〜97質量%含むものであることがより好ましく、50〜95質量%含むものであることがさらに好ましく、70〜93質量%含むものであることがさらにより好ましい。本発明で用いる熱可塑性樹脂は、特に芳香族基を有するビニルモノマーに由来する単位構造を20〜99質量%含むものであることが好ましく、30〜97質量%含むものであることがより好ましく、40〜93質量%含むものであることがさらに好ましい。
本発明では、共重合することができるモノマーとして、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有するモノマーを用いることが好ましい。無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基として、例えば以下の構造を有する官能基を挙げることができる。
Figure 0005279306
[R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OHまたはその塩、−Si(OR17n18 3-n [R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]
11、R12、R13、R14、R15、R16の好ましい範囲は、次の範囲である。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R11、R12、R13、R14として特に好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、さらに好ましいのは水素原子である。
17、R18の好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14、R15、R16と同様である。nは、好ましくは3である。
上記のうち塩を形成しうる官能基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム等のカチオンと塩を形成していてもよい。
これらの官能基の中でも、好ましくは、
Figure 0005279306
−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、または−Si(OR17m118 3-m1であり、より好ましくは、
Figure 0005279306
−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩であり、さらに好ましくは、
Figure 0005279306
または−CO2Hまたはその塩である。
無機粒子と化学結合を形成しうる官能基を熱可塑性樹脂中に導入するには、該官能基もしくはその前駆体を有する重合性モノマーを用いて重合反応を行う方法や、樹脂を反応剤と反応させて該官能基もしくはその前駆体を導入する方法を挙げることができる。官能基導入量の制御の容易さから、該官能基もしくはその前駆体を有する重合モノマーを用いて重合反応を行って樹脂を得る方法を採用することが好ましい。
重合反応によって樹脂を得る場合、無機粒子と化学結合を形成しうる官能基を有するモノマーとして、ジオール化合物やジチオール化合物、ジカルボン酸化合物など、本発明で用いる他のモノマーと重合反応できるモノマーを採用することができる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、前記官能基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を0.1〜5質量%含むことが好ましく、0.3〜3質量%含むことがより好ましく、0.4〜2.5質量%含むことがさらに好ましい。また、本発明で用いる熱可塑性樹脂において、上記官能基はポリマー鎖1本あたり平均0.1〜20個であることが好ましく、0.5〜10個であることがより好ましく、1〜5個であることが特に好ましい。
重合することによって一般式(1)で表される単位構造を形成することができるモノマーとともに共重合することができるモノマーとしては、例えば以下のものが挙げられるが、本発明で採用することができるモノマーはこれらの具体例に限定されるものではない。なお、以下においてnは1以上の整数を表す。
Figure 0005279306
Figure 0005279306
<樹脂の合成法>
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、上記の一般式(2)で表されるモノマーと、それと共重合しうるモノマーを含む混合物を重合させることにより合成することができる。このとき、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有するモノマーも含ませておくことにより、一度の反応で目的とする樹脂を得ることができる。重合反応を行う混合物の中には、成型性等の観点から特定のモノマー成分を適宜加えておくこともできる。
合成する樹脂は熱可塑性樹脂であり、縮合系樹脂であることが好ましく、より好ましい例としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂を挙げることができ、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が更に好ましく、ポリエステル系樹脂であることが特に好ましい。
これらの樹脂の製造方法については、「高分子合成の実験法」大津隆行・木下雅悦著、化学同人編(1996年)に記載された方法を適用することができる。
<熱可塑性樹脂の具体例>
以下の表に、本発明で使用することができる熱可塑性樹脂の好ましい具体例を挙げる。表に記載される種類のモノマーを表に記載される質量割合で混合して共重合することにより、熱可塑性樹脂を製造することができる。ただし、本発明で用いることができる熱可塑性樹脂はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005279306
これらの熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いる熱可塑性樹脂の数平均分子量は10000〜200000であることが好ましく、20000〜200000であることがより好ましく、50000〜200000であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性と成型性の観点から80℃〜400℃であることが好ましく、100〜380℃であることがより好ましく、100〜300℃であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂の屈折率に特に制限はないが、本発明の有機無機複合材料が高屈折率を必要とする光学部品に用いられる場合には、熱可塑性樹脂は高屈折率特性を持つことが好ましい。この場合、用いられる熱可塑性樹脂の屈折率は22℃、589nmの波長において1.55以上であることが好ましく、1.57以上であることがより好ましく、1.58以上であることがさらに好ましい。
[無機微粒子]
本発明の有機無機複合材料に用いられる無機微粒子としては特に制限はなく、例えば特開2002−241612号公報、特開2005−298717号、特開2006−70069号各公報等に記載の微粒子を用いることができる。
具体的には、酸化物微粒子(酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化テルル、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化錫等)、複酸化物微粒子(ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウムなど)、硫化物微粒子(硫化亜鉛、硫化カドミウム等)、その他半導体結晶微粒子(セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム等)、あるいはLiAlSiO4、PbTiO3、Sc2312、ZrW28、AlPO4、Nb25,LiNO3などを用いることができる。なかでも、ジルコニウム、亜鉛、錫またはチタンのカルコゲナイドが好ましく、具体的には、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。
無機微粒子は2種類以上を併用してもよい。
本発明で用いられる無機微粒子は、屈折率、透明性、安定性などの観点から、複数の成分による複合物であってもよい。また無機微粒子には、光触媒活性低減、吸水率低減など種々の目的から、異種元素をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)などで表面修飾しても良い。さらに目的に応じて、これらの2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で用いられる無機微粒子の屈折率に特に制限はないが、本発明の有機無機複合材料が高屈折率を必要とする光学部品に用いられる場合には、無機微粒子は高屈折率特性を持つことが好ましい。この場合、用いられる無機微粒子の屈折率は22℃、589nmの波長において1.90〜3.00であることが好ましく、より好ましくは2.00〜2.70であり、特に好ましくは2.10〜2.50である。微粒子の屈折率が3.0以下であれば樹脂との屈折率差が比較的小さいためレイリー散乱を抑制しやすくなる傾向がある。また、屈折率が1.9以上であれば高屈折率化の効果が得られやすくなる傾向がある。
無機微粒子の屈折率は、例えば本発明で用いる熱可塑性樹脂と複合化した複合物を透明フィルムに成形して、アッベ屈折計(例えば、アタゴ社製「DM−M4」)で屈折率を測定し、別途測定した樹脂成分のみの屈折率から算出する方法、あるいは濃度の異なる微粒子分散液の屈折率を測定することにより微粒子の屈折率を算出する方法などによって見積もることができる。
本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に該数平均粒子サイズが大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、有機無機複合材料の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズの下限値は、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上であり、上限値は好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは7nm以下である。すなわち、本発明における無機微粒子の数平均粒子サイズとしては、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmがさらに好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。
また本発明に用いられる無機微粒子は上記の平均粒子サイズを満たし、かつ粒子サイズ分布が狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば特開2006−160992号公報に記載されるような数値規定範囲が、本発明で用いられる微粒子の好ましい粒径分布範囲にも当てはまる。
ここで、上述の数平均粒子サイズとは例えば、X線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
本発明に用いられる無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。
例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる。この方法の詳細は、例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)、あるいは、ラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)等に記載されている。
また、水中で加水分解させる方法以外の方法として、有機溶媒中や本発明における熱可塑性樹脂が溶解した有機溶媒中で無機微粒子を作製する方法を採用してもよい。この際、必要に応じて各種表面処理剤(シランカップリング剤類、アルミネートカップリング剤類、チタネートカップリング剤類、有機酸類(カルボン酸類、スルホン類、ホスホン酸類など))を共存させてもよい。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
無機微粒子の合成法としては、上記以外に、分子ビームエピタキシー法やCVD法のような真空プロセスで作製する方法など、例えば特開2006−70069号公報等に記載される各種一般的な微粒子合成法を挙げることができる。
本発明の有機無機複合材料における無機微粒子の含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、20〜95質量%が好ましく、25〜70質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
[添加剤]
本発明においては上記熱可塑性樹脂および無機微粒子以外に均一分散性、成形時の流動性、離型性、耐候性等観点から適宜各種添加剤を配合しても良い。例えば、表面処理剤、可塑化剤、帯電防止剤、分散剤、離型剤等を挙げることができる。また前記熱可塑性樹脂以外に前記官能基を有さない樹脂を添加しても良く、このような樹脂の種類に特に制限はないが、前記熱可塑性樹脂と同様の光学物性、熱物性、分子量を有するものが好ましい。
これら添加剤の配合割合は目的に応じて異なるが、前記無機微粒子および熱可塑性樹脂を足しあわせた量に対して、0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがよりこのましく、0〜20質量%であることが特に好ましい。
<表面処理剤>
本発明では、後述するように水中またはアルコール溶媒中に分散された無機微粒子を熱可塑性樹脂と混合する際に、有機溶媒への抽出性または置換性を高める目的、熱可塑性樹脂への均一分散性を高める目的、微粒子の吸水性を下げる目的、あるいは耐候性を高める目的など種々目的に応じて、上記熱可塑性樹脂以外の微粒子表面修飾剤を添加しても良い。該表面処理剤の重量平均分子量は50〜50000であることが好ましく、より好ましくは100〜20000、さらに好ましくは100〜10000である。
前記表面処理剤としては、下記一般式(2)で表される構造を有するものが好ましい。
一般式(2)
A−B
一般式(2)中、Aは本発明における無機微粒子の表面と任意の化学結合を形成しうる官能基を表し、Bは本発明における樹脂を主成分とする樹脂マトリックスに対する相溶性または反応性を有する炭素数1〜30の1価の基またはポリマーを表す。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられる。
Aで表わされる基の好ましい例は、本発明の熱可塑性樹脂中に導入される微粒子結合性の官能基として前記したものと同じである。
一方、前記Bの化学構造は、相溶性の観点から該樹脂マトリックスの主体である熱可塑性樹脂の化学構造と同一または類似であることが好ましい。本発明では特に高屈折率化の観点から前記熱可塑性樹脂とともにBの化学構造が芳香環を有していることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる、表面処理剤の例としては例えば、p−オクチル安息香酸、p−プロピル安息香酸、酢酸、プロピオン酸、シクロペンタンカルボン酸、燐酸ジベンジル、燐酸モノベンジル、燐酸ジフェニル、燐酸ジ-α-ナフチル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸モノフェニルエステル、KAYAMER PM−21(商品名;日本化薬社製)、KAYAMER PM−2(商品名;日本化薬社製)、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、パラオクチルベンゼンスルホン酸、あるいは特開平5−221640号、特開平9−100111号、特開2002−187921号各公報記載のシランカップリング剤などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらの表面処理剤は1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用しても良い。
これら表面処理剤の添加量の総量は無機微粒子に対して、質量換算で、0.01〜2倍であることが好ましく、0.03〜1倍であることがより好ましく、0.05〜0.5倍であることが特に好ましい。
<可塑化剤>
本発明における熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高い場合、有機無機複合材料の成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、本発明の有機無機複合材料の成形温度を下げるために可塑剤を使用してもよい。可塑化剤を添加する場合の添加量は、有機無機複合材料の総量の1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明で使用できる可塑剤は樹脂との相溶性、耐候性、可塑化効果などトータルで考える必要があり、最適な可塑剤は他の材料に依存するため一概には言えないが、屈折率の観点からは芳香環を有するものが好ましく、代表的な例として下記一般式(3)で表される構造を有するものを挙げることができる。
Figure 0005279306
(式中、B1およびB2は炭素数6〜18のアルキル基またはアリールアルキル基を表し、mは0または1を表す。Xは、下記の2価の結合基のうちいずれかを表す。)
Figure 0005279306
(式中、R31およびR32はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
また、一般式(3)で表される化合物において、B1,B2は炭素数6〜18の範囲内において任意のアルキル基またはアリールアルキル基を選ぶことができる。炭素数が6未満では、分子量が低すぎてポリマーの溶融温度で沸騰し、気泡を生じたりする場合がある。また、炭素数が18を超えると、ポリマーとの相溶性が悪くなる場合があり添加効果が不十分となることがある。
前記B1,B2としては、具体的に、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。また、前記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、次に示すものが挙げられ、中でも、W−1(花王株式会社製の商品名「KP−L155」)が好ましい。
Figure 0005279306
<帯電防止剤>
本発明の有機無機複合材料の帯電圧を調節するために、帯電防止剤を添加することができる。本発明の有機無機複合材料では、光学特性改良の目的で添加した無機微粒子自体が別の効果である帯電防止効果にも寄与する場合がある。帯電防止剤を添加する場合には、アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯防止剤、ノ二オン性帯電防止剤、両性イオン性帯電防止剤、高分子帯電防止剤、あるいは帯電性微粒子などが挙げられ、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの例としては、特開2007−4131号公報、特開2003−201396号公報に記載された化合物を挙げることができる。
帯電防止剤の添加量はまちまちであるが、全固形分の0.001〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜30質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
<その他の添加剤>
上記成分以外に、成形性を改良する目的で変性シリコーンオイル等の公知の離型剤を添加したり、耐光性や熱劣化を改良する目的で、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系等の公知の劣化防止剤を適宜添加しても良く、これらを配合する場合には有機無機複合材料の全固形分に対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
[有機無機複合材料の製造方法]
本発明の有機無機複合材料は、熱可塑性樹脂と無機微粒子等の成分を混合することにより製造することができる。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが比較的小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で上記熱可塑性樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合材料の好ましい製造方法としては、(1)無機粒子を上記表面処理剤の存在下にて表面処理し、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記熱可塑性樹脂と均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合材料を製造する方法、(2)無機微粒子と熱可塑性樹脂の両者を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて両者を均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合材料を製造する方法、が挙げられる。
上記(1)の手法によって無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合材料を製造する場合には、有機溶媒としてトルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性の溶媒が用いられる。微粒子の有機溶剤への抽出に用いられる表面処理剤と前記熱可塑性樹脂は同種のものであっても異種のものであってもよいが、好ましく用いられる表面処理剤については、前述<表面処理剤>の箇所で述べたものが挙げられる。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と熱可塑性樹脂を混合する際に、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加しても良い。
上記(2)の場合には、溶剤として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシー2−プロパノール、t−ブタノール、酢酸、プロピオン酸等の親水的な極性溶媒の単独または混合溶媒、あるいはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性溶媒と上記極性溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。この際、前述の熱可塑性樹脂とは別に分散剤、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマーを必要に応じて添加しても良い。水/メタノールに分散された微粒子を用いる際には、水/メタノールより高沸点で熱可塑性樹脂を溶解する親水的な溶媒を添加した後、水/メタノールを濃縮留去することによって、微粒子の分散液を極性有機溶媒に置換した後、樹脂と混合することが好ましい。この際前記表面処理剤を添加しても良い。
上記(1)、(2)の方法によって得られた有機無機複合材料の溶液は、そのままキャスト成形して透明成形体を得ることもできるが、本発明では特に、該溶液を濃縮、凍結乾燥、あるいは適当な貧溶媒から再沈澱させる等の手法により溶剤を除去した後、粉体化した固形分を射出成形、圧縮成形等の公知の手法によって成形することが好ましい。またこの際、本発明の粉状の有機無機複合材料を直接加熱溶融あるいは圧縮などによりレンズ等の成形体に加工することもできるが、いったん押し出し法などの手法で、一定の重さ、形状を有するプリフォーム(前駆体)を作成した後、該プリフォームを圧縮成形で変形させてレンズ等の光学部品を作成することもできる。この場合目的の形状を効率的に作成するために、プリフォームに適当な曲率をもたせることもできる。
上記有機無機複合材料をマスターバッチとして他の樹脂に混合して用いても良い。
[光学部品]
上述の本発明の有機無機複合材料を成形することにより、本発明の光学部品を製造することができる。本発明の光学部品は、有機無機複合材料の説明で前記した屈折率や光学特性を示すものが有用である。
また本発明の光学部品としては、最大0.1mm以上の厚みを有する高屈折率の光学部品が特に有用である。好ましくは0.1〜5mmの厚みを有する光学部品への適用であり、特に好ましくは1〜3mmの厚みを有する透明物品への適用である。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の有機無機複合材料を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する光学部品とすることができる。
本発明の有機無機複合材料を利用した光学部品は、本発明の有機無機複合材料の優れた光学特性を利用した光学部品であれば特に限定はないが、例えば、レンズ基材や、特に光を透過する光学部品(いわゆるパッシブ光学部品)に使用することも可能である。かかる光学部品を備えた機能装置としては、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。かかる光学機能装置における前記パッシブ光学部品としては、レンズ、プリズム、プリズムシート、パネル、フィルム、光導波路、光ディスク、LEDの封止剤等が例示される。
本発明の有機無機複合材料を用いた光学部品は、特にレンズ基材に好適である。本発明の有機無機複合材料を用いて製造されたレンズ基材は、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、有機無機複合材料を構成するモノマーの種類や分散させる無機微粒子の量を適宜調節することにより、レンズ基材の屈折率を任意に調節することが可能である。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
本発明におけるレンズ基材をレンズとして利用するに際しては、本発明のレンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、前記のように膜や枠などを付加してレンズとして用いてもよい。本発明のレンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。本発明のレンズ基材は、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、撮像レンズ(車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ等;ズームレンズや、正/負のパワーレンズなど各種公知の撮像レンズを含む)、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等)に使用される。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[分析および評価方法]
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製H−9000UHR型透過型電子顕微鏡(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
(2)光線透過率測定
測定する樹脂を成形して厚さ1.0mmの基板を作成し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所製)で波長589nmの光について測定した。
(3)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製DR−M4)にて、波長589nmの光について行った。
(4)耐衝撃性試験
外径8mm、厚さ1mmの円盤状の成形体を作製し、重さ300gのアルミ製治具の座ぐり部にワッシャーで固定し、高さ1.5mからコンクリート板に24回自由落下させた。試験後に破損したレンズの数を十個中いくつあるかに応じて、評価した。破損した成形体の数が0個であれば◎、1個であれば○、2〜3個であれば△、4個以上であれば×とした。
(5)離型性評価
レンズ形状への加熱成形において、金型からの取り出し時に、光学部品がカケや割れのために破損したものを×、光学面への影響は無いが、一部カケや割れが発生したものを△、光学面への影響は無く、ごく一部カケや割れが発生したものを○、カケや割れが全く発生しないものを◎とした。
[材料の調製]
(1)チタニア微粒子の合成
0.1モル/Lの硫酸チタニル水溶液を攪拌しながら、同容量の1.5モル/Lの炭酸ナトリウム水溶液を室温で10分かけて滴下した。こうして得た白色の超微粒子の懸濁液を、3500rpmで遠心分離し、上澄み液のデカンテーションによる除去および水洗の工程を繰り返すことにより精製した。こうして得た白色沈殿を0.3モル/Lの希塩酸中に攪拌分散しながら50℃で約1時間加熱して、透明感のある酸性ヒドロゾルを得た。この酸性ヒドロゾルを氷冷し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の水溶液を加えたところ白色沈殿を生じたので、次いでトルエンで抽出し、乾燥後濃縮した。この濃縮残渣のXRDとTEMより、アナタース型チタニア微粒子(数平均粒子径は約5nm)の生成を確認した。
(2)ジルコニア微粒子の合成
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒としてジルコニア換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理してジルコニア微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子径が5nmのジルコニア微粒子の生成を確認した。
(3)ジルコニア微粒子トルエン分散液の調製
前記(2)で合成したジルコニア微粒子懸濁液と東京化成製のp−プロピル安息香酸を溶解させたトルエン溶液を混合し、50℃で8時間攪拌した後、トルエン溶液を抽出し、ジルコニア微粒子トルエン分散液を作製した。
他の分散剤を用いる場合にも、同様の方法により調製できる。
(4)樹脂の合成
還流冷却器、ガス導入コックを付した500ml三口フラスコに、アクリロニトリル(A−1)20.0g、スチレン(B−1)79.0g、2−カルボキシエチルアクリレート(C−3)1.0g、酢酸エチル85.7gを添加し、2回窒素置換した後、開始剤として和光純薬工業株式会社製V−601(商品名)1.0gを添加し、さらに2回窒素置換した後、窒素気流下80℃で3時間加熱した。室温に戻した後、酢酸エチル100mlを添加後、10分間攪拌し、メタノール5Lに投入し、再沈殿した。沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥することによりP−1を得た(収率35%、数平均分子量34,000、重量平均分子量60,000)。
他の例示したポリマーについても、同様の方法で調製できる。
(5)有機無機複合材料の調製
(3)で合成したジルコニア微粒子のトルエン分散液(ジルコニア:p−プロピル安息香酸=10:1)を樹脂P−1およびテトラフェニルエーテル(商品名:S−3103、(株)松村石油研究所製)を溶解させたトルエン溶液に5分かけて滴下し、これを1時間攪拌した後、溶媒を除去することにより、有機無機複合材料を粉体として得た。
他の有機無機複合材料についても、同様の方法で調製した。
[加熱成形による光学部品の製造]
実施例1〜14と比較例1〜5の各レンズを下記の手順で製造した。使用した無機微粒子の種類と無機成分としての使用量は表2に示す通りとした。但し、p−プロピル安息香酸を8.3質量%およびS−3103を4.2質量%含み、残りを樹脂が占めるものである。比較例1では、樹脂としてポリメチルメタクリレート(アルドリッチ社製、製品番号44,574−6、分子量350000)を用い、比較例2では樹脂としてQ−1(構成モノマーはB−1を95質量%、C−2を5質量%であり、数平均分子量は34000)を用い、比較例3では樹脂としてQ−2(構成モノマーはB−1を95質量%、C−1を5質量%であり、数平均分子量は31000)を用い、比較例4では樹脂としてQ−3(構成モノマーはB−1を99質量%、C−3を1質量%であり、数平均分子量は32000)を用い、比較例5ではポリスチレン(アルドリッチ社製、製品番号18,242−7、分子量280000)を用いた。
製造した各有機無機複合材料を180℃で加熱成形し、厚さ1mmのレンズ用成形体を作成した。このとき金型からの離型性を評価した。成形体を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が熱可塑性樹脂中に均一に分散しているか否かを確認した。さらに光線透過率測定と屈折率測定を行った。これらの結果は以下の表2に記載した。その後、レンズ用成形体をレンズの形状に成形して、光学部品であるレンズを得た。
Figure 0005279306
表2から明らかなように、本発明により屈折率が1.63より大きくて、無機微粒子の分散性および透明性が良好であり、耐衝撃性および離型性のある光学部品が得られた(実施例1〜13)。一方、ポリメチルメタクリレートを用いた比較例1では、分散性が低いために無機微粒子を均一に分散することができず、微粒子が凝集しており、光線透過率が低いためにアッベ屈折率計での屈折率測定を行えなかった。また、比較用の熱可塑性樹脂Q−1〜3を用いた比較例2〜4では耐衝撃性および離型性が不十分であった。さらに、樹脂としてポリスチレンを用いた比較例5では、分散性が低いために無機微粒子を均一に分散することができず、微粒子が凝集しており、光線透過率が低いためにアッベ屈折率計での屈折率測定を行えなかった。
なお、実施例1〜13の有機無機複合材料は、いずれも耐電圧が−1.0〜7.0kVの範囲内であり、250℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であり、飽和吸水率は2質量%以下であった。また、実施例1〜13の有機無機複合材料は、生産性よくかつ型の形状に合わせて正確に凹凸レンズ形状を形成することができるものであった。

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表される単位構造を少なくとも一つ有しており且つ下記群(A)から選ばれる1以上の官能基を有する熱可塑性樹脂中に数平均粒子径が1〜15nmの無機微粒子を含有していることを特徴とする有機無機複合組成物。
    Figure 0005279306
    [一般式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアシルオキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のアミノ基、または、シアノ基を表す。]
    Figure 0005279306
    [R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OHまたはその塩、および−Si(OR17n18 3-n [R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]
  2. 前記熱可塑性樹脂の波長589nmにおける屈折率が1.55以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機無機複合組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂の数平均分子量が10000〜200000であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機複合組成物。
  4. 前記一般式(1)で表される単位構造を前記熱可塑性樹脂中に1〜70質量%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、前記官能基を有するビニルモノマーに由来する構造単位をポリマー鎖1本あたり平均0.1〜20個有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  6. 前記熱可塑性樹脂が、芳香族基を有するビニルモノマーに由来する単位構造を20〜99質量%含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  7. 前記無機微粒子の波長589nmにおける屈折率が1.90〜3.00であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  8. 前記無機微粒子が、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  9. 有機無機複合組成物の波長589nmにおける屈折率が1.63以上であり、かつ、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を成形した成形体。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を含んで構成される光学部品。
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