JP2008239920A - 金型成形用樹脂組成物および成形体 - Google Patents

金型成形用樹脂組成物および成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】金型からの離型性に優れ、成形性の良好な樹脂組成物を提供する。
【解決手段】100〜400℃の加熱により分解してガスを発生する化合物を含有することを特徴とする、金型成形用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、圧縮成形、押し出し成形、射出成形など金型を用いた成形に好適な離形性に優れる樹脂組成物、離形性とともに透明性に優れる金型成形用高屈折率樹脂組成物、並びに、これを含んで構成されるレンズ基材(例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、または、マイクロレンズアレイ等を構成するレンズ基材)等の透明成形体に関する。
樹脂はガラスに比べて軽量性、耐衝撃性、成形性に優れ、かつ経済的である等の長所を有し、近年レンズ等の光学部品においても、樹脂による光学ガラスの代替化が進んでいる。
樹脂の成形方法として、溶融した状態で金型中に流し込んで成形する射出成形法・押し出し成形法・圧縮成形法等の手法が広く用いられているが、しばしば樹脂の金型からの離型性が問題となっている。
特に近年、高屈折率化、高耐熱化等の高機能化を目的として無機ナノ粒子を樹脂中に微細分散した材料の開発等が行われているが(例えば特許文献1、2参照)、無機ナノ粒子やこれを分散するための極性基含有樹脂は特に金属金型への吸着性が高く離形性を悪化させることが大きな問題であった。
従来、樹脂の金型からの離形性を向上させる手段としては、金型に離型剤を塗布する方法(例えば特許文献3)、あるいは樹脂中に離型剤(例えば長鎖脂肪族のカルボン酸/アミド/エステル/金属塩、長鎖脂肪族アルコール並びにそのエステル、モンタンワックスまたはパラフィンワックスなど、特に汎用的なものとして挙げられるのはグリセロールモノステアレート、ステアリルアルコール、ステアリン酸金属塩、グリセロールベヘン酸エステル、セチルアルコール、パルミチン酸、カルナウバワックス、蜜ろう等)を配合する方法等が知られている(例えば特許文献4参照)。しかしながら、金型に離型成分を塗布する方法では永続性に乏しく、かつ工程が煩雑で効率が悪いという問題があり、樹脂自体への内部離型剤の配合ではある程度の効果が認められる場合も有るが、なお十分とはいえず、特にナノ粒子配合樹脂など極性成分を有する樹脂では成形時に樹脂と金型との密着性が高くなり、離型時に金型表面に樹脂が付着したり、過大な応力がかかるため、成形物に変形が生じたり、成形物内部に光学歪みが生じる等の問題があり改善が望まれていた。
特開昭61−291650号公報 特開2003−73564号公報 特開2005−270801号公報 特開昭61−73754号公報
上述のように金型を用いた成型において、特に極性基を有する樹脂にも効果的な離形技術の開発が望まれていた。
本発明は前記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は金型からの離型性に優れ、成形性の良好な樹脂組成物を提供することにあり、特に高屈折率微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性を有し、かつ優れた金型離型性および成形性を有する樹脂組成物、並びに、これを用いたレンズ基材等の成形体を提供することにある。
本発明者らは前記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、加熱によりガスを発生する化合物を樹脂中に配合することにより優れた離型性が得られ、さらに微粒子を配合した高屈折率透明樹脂組成物の離型性改良に好適であり、該高屈折率樹脂組成物はレンズ基材等の光学部品の製造に有用であることを見出し本発明を完成するに至った。
[1] 100〜400℃の加熱により分解してガスを発生する化合物を含有することを特徴とする、金型成形用樹脂組成物。
[2] 前記ガスを発生する化合物が、二酸化炭素、窒素またはエチレン誘導体であることを特徴とする[1]に記載の金型成形用樹脂組成物。
[3] 前記ガスを発生する化合物が、2級または3級のアルコキシカルボニル基を含有する化合物、スルホニル酢酸誘導体、またはアゾ化合物のいずれかであることを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載の金型成形用樹脂組成物。
[4] 無機微粒子を含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の金型成形用樹脂組成物。
[5] 前記無機微粒子が589nmにおいて1.9〜3.0の屈折率有する金属酸化物微粒子であることを特徴とする[4]に記載の金型成形用樹脂組成物。
[6] 前記無機微粒子が酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、または酸化チタンを含有する微粒子であることを特徴とする[4]または[5]に記載の金型成形用樹脂組成物。
[7] 前記無機微粒子の数平均粒子サイズが1〜15nmであることを特徴とする[4]〜[6]にいずれか一項に記載の金型成形用樹脂組成物。
[8] 前記無機微粒子を20質量%以上含むことを特徴とする[4]〜[7]のいずれか一項に記載の金型成形用樹脂組成物。
[9] 前記無機微粒子と化学結合しうる官能基を少なくとも片末端に有する熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする[1]〜[8]に記載の金型成形用樹脂組成物。
[10] 前記無機微粒子と化学結合しうる官能基を側鎖に有する熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする[9]に記載の金型成形用樹脂組成物。
[11] 前記官能基が前記熱可塑性樹脂のポリマー鎖1本あたりに平均0.1〜20個の範囲で含まれていることを特徴とする[10]に記載の金型成形用樹脂組成物。
[12] 前記官能基が
Figure 2008239920
−SO3H、−OSO3H、−CO2H、および、−Si(OR5m6 3-mからなる群より選ばれる官能基(前記R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは置換または無置換のアリール基を表す)またはその塩であることを特徴とする[9]〜[11]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[13] 前記熱可塑性樹脂が下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するコポリマーを含むことを特徴とする[9]〜[12]のいずれか一項に記載の金型成形用樹脂組成物。
一般式(1)
Figure 2008239920
〔一般式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは−CO2−、−OCO−、−CONH−、−OCONH−、−OCOO−、−O−、−S−、−NH−、置換または無置換のアリーレン基からなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Yは炭素原子数が1〜30である2価の連結基を表し、lは0〜18の整数を表す。Zは
Figure 2008239920
−SO3H、−OSO3H、−CO2H、および、−Si(OR5m6 3-mからなる群より選ばれる官能基(前記R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは置換または無置換のアリール基を表す)またはその塩を表す。mは0〜3の整数を表す。〕
[14] 前記コポリマーが下記一般式(2)で表されるモノマーを重合することにより製造されることを特徴とする[13]に記載の金型成形用樹脂組成物。
一般式(2)
Figure 2008239920
〔一般式(2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは−CO2−、−OCO−、−CONH−、−OCONH−、−OCOO−、−O−、−S−、−NH−、置換または無置換のアリーレン基からなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Yは炭素原子数が1〜30である2価の連結基を表し、lは0〜18の整数を表す。Zは
Figure 2008239920
−SO3H、−OSO3H、−CO2H、および、−Si(OR5m6 3-mからなる群より選ばれる官能基(前記R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは置換または無置換のアリール基を表す)またはその塩を表す。mは0〜3の整数を表す。〕
[15] [1]〜[14]のいずれか一項に記載の金型成形用樹脂組成物を成形した成形体。
[16] 波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であることを特徴とする[15]に記載の成形体。
[17] 波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする[15]または[16]に記載の成形体。
[18] 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする[15]〜[17]のいずれか一項に記載の成形体。
[19] [1]〜[14]のいずれか一項に記載の金型成形用樹脂組成物を用いて金型成形することを特徴とする成形体の製造方法。
本発明によれば、樹脂の特性を低下させずに、金型離型性が良く成形性に優れる樹脂組成物を提供することができる。特に、無機微粒子を配合した高屈折率の透明樹脂組成物は、成形適性に優れ、高屈折率光学部品の製造に好適である。
以下において、本発明の樹脂組成物、並びに、レンズ基材等の成形体について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[樹脂組成物]
<ガス発生剤>
本発明の樹脂組成物は、100〜400℃の加熱により分解してガスを発生する化合物(ガス発生剤)を必須の構成成分として含有する。好ましくは100℃〜300℃、より好ましくは100〜200℃の加熱により分解してガスを発生する化合物である。本発明の組成物に含ませる樹脂は一般に100℃以上で加工するものであり、また、400℃を超えると一般に分解してしまう。
ガス発生剤の分解性に関しては加速度熱量計(ARC)、示差走査熱量計(DCS)および示差熱分析(DTA)等を利用して測定できる。該化合物を適切な量樹脂中に含有させることにより、成形時の加熱により分解してガスが発生することにより、金型と樹脂の離型性が改良される。
発生するガスとしては、二酸化炭素、窒素、またはエチレン誘導体(例えば、エチレン、イソブチレンなど)が好ましく、樹脂組成物から均一にガスが抜けやすいという観点で二酸化炭素ガスを発生する化合物がより好ましい。
このような化合物の例として、二酸化炭素を発生する化合物としては、β−位に電子求引性基を有する酢酸誘導体(例えばスルホニル酢酸誘導体、β−ケト酸誘導体、マロン酸誘導体など)、オキサミド酸誘導体、プロピオール酸誘導体、β−ハロ桂皮酸誘導体、α,β−エポキシカルボン酸誘導体、電子吸引基置換安息香酸誘導体、ポリヒドロキシ安息香酸誘導体、アミノ安息香酸誘導体、カルバミン酸誘導体、ジエンと二酸化炭素の付加体などを挙げることができ、窒素を発生する化合物としてはジアゾニウム塩誘導体、ジアゾ化合物誘導体、アゾ化合物誘導体、アジド化合物誘導体、トリアゼン誘導体、テトラゾール誘導体、ヒドラジン誘導体、ジエンと窒素の付加体などを挙げることができ、エチレン誘導体としては、2級または3級のアルキルエステル誘導体(例えばt−ブチルエステル、イソプロピルエステル、シクロヘキシルエステル)などを挙げることができるが、より好ましくはスルホニル酢酸誘導体であり、特に好ましくはスルホニル酢酸の2級または3級のアルキルエステル誘導体である。
これらの化合物として例えば特開平10−16410号公報、同10−86512号公報、同10−287055号公報、同10−337954号公報等に記載の化合物を利用できる。
本発明では、1種類のガス発生剤を用いてもよいし、2種以上のガス発生剤を組み合わせて用いてもよい。
前記ガス発生剤の添加量が多すぎると成形体中にガスが閉じ込められることによる気泡の生成や表面平滑性が問題になり、添加量が少なすぎると効果が出ない問題がある。好ましい添加量は樹脂組成物1gあたり、0.001mmol〜1mmol程度が好ましく、0.01〜0.5mmol程度がより好ましく、0.02〜0.2mmol程度が特に好ましい。
以下に本発明に有用なガス発生剤の具体例を示すが、本発明で用いることができるガス発生剤はこれらに限定されるものではない。なお、以下のガス発生剤は、いずれも100〜300℃の加熱により分解してガスを発生する。
Figure 2008239920
Figure 2008239920
Figure 2008239920
Figure 2008239920
Figure 2008239920
Figure 2008239920
<マトリックス樹脂>
マトリックスとなる樹脂には特に制限はないが、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリチオエーテルポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリウレタン等の樹脂を広く用いることが可能である。特に本発明では、高屈折率光学部品への展開に有用な、無機微粒子を分散した熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
無機微粒子を分散する熱可塑性樹脂組成物としては、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂および無機微粒子を含有する樹脂組成物が好ましい。さらに成形によって波長589nmにおける屈折率が1.60以上かつ該波長における1mm厚み換算の光線透過率が70%以上の透明性成形体を与えるものが好ましい。なお本発明において前記化学結合とは、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合を含むものと定義する。本発明における屈折率は22℃で測定される値である。
本発明に用いられる無機微粒子を分散する熱可塑性樹脂の基本骨格には特に制限はなく、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリビニルカルバゾール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリチオエーテルなど公知の樹脂骨格を利用することができるが、好ましくはビニル重合体、ポリアリレート、およびポリカーボネートであり、より好ましくはビニル重合体である。
該熱可塑性樹脂は側鎖または末端に無機微粒子と結合して無機微粒子を安定分散させる官能基を有していることが好ましい。該官能基としては、
Figure 2008239920
−SO3H、−OSO3H、−CO2H、金属アルコキシド基(好ましくは−Si(OR5m6 3-m)、−OH、−NH2、−SH等が例示されるが、好ましくは
Figure 2008239920
−SO3H、−CO2H、または−Si(OR5m6 3-mであり、より好ましくは、
Figure 2008239920
−CO2Hであり、特に好ましくは
Figure 2008239920
である。
なお前記、R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基(炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基など)、置換または無置換のアラルキル基(炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基など)、置換または無置換のアルケニル基(炭素数2〜30のアルケニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基など)、置換または無置換のアルキニル基(炭素数2〜20のアルキニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10のアルキニル基、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基など)、置換または無置換のアリール基(炭素数6〜30のアリール基が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20のアリール基、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基など)を表し、特に好ましくは水素原子である。mは0〜3の整数を表す。
熱可塑性樹脂中への前記官能基の導入方法としては、官能基を有するモノマーを共重合させる方法、官能基前駆体部位(例えばエステルなど)を有するモノマーを共重合させた後に加水分解などの手法により官能基に変換する方法、水酸基、アミノ基、芳香環などの反応性部位を有する前駆体樹脂を合成した後に該反応性部位に官能基を導入する方法、前記官能基を含有する重合開始剤あるいは、前記官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合反応を行うことによりポリマー末端部のみに前記官能基を導入する方法などが挙げられる。本発明に利用される樹脂は前記いずれの方法で製造されても良いが、特に好ましくは官能基を含有するモノマーを共重合する方法が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むコポリマーを含むことが特に好ましい。
一般式(1)
Figure 2008239920
また、前記熱可塑性樹脂は下記一般式(2)で表わされる官能基を有するビニルモノマーのコポリマーを含むことが特に好ましい。
一般式(2)
Figure 2008239920
一般式(1)および一般式(2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは−CO2−、−OCO−、−CONH−、−OCONH−、−OCOO−、−O−、−S−、−NH−、および、置換または無置換のアリーレン基からなる群より選ばれる2価の連結基を表し、より好ましくは−CO2−またはp−フェニレン基である。
Yは炭素原子数が1〜30である2価の連結基を表し、lは0〜18の整数を表す。
Zは
Figure 2008239920
−SO3H、−OSO3H、−CO2H、および、−Si(OR5m6 3-mからなる群より選ばれる官能基を表し、好ましくは
Figure 2008239920
であり、さらに好ましくは
Figure 2008239920
である。R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表し、好ましくは水素原子またはアルキル基である。mは0〜3の整数を表す。
以下に一般式(2)で表されるモノマーの具体例を挙げるが、本発明で用いることができる一般式(2)のモノマーはこれらに限定されるものではない。
Figure 2008239920
本発明において一般式(2)で表わされるモノマーと共重合可能な他の種類のモノマーとしては、Polymer Handbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience (1975) Chapter 2 Page 1〜483に記載のものを用いることができる。
具体的には、例えば、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イタコン酸ジアルキル類、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
前記スチレン誘導体としては、スチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、2−フェニルスチレン等が挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、クロロクロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
前記メタクリル酸エステル類としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、クロロクロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
前記アクリルアミド類としては、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等が挙げられる。
前記メタクリルアミド類としては、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミド等が挙げられる。
前記アリル化合物としては、アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノール等が挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、アルキルビニルエーテル(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロクロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等が挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロクロロアセテート、ビニルジクロロクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート等が挙げられる。
前記イタコン酸ジアルキル類としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等が挙げられ、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類としては、ジブチルフマレート等が挙げられる。
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリルなど等も挙げることができる。
前記可塑性樹脂の重量平均分子量は1000〜500000であることが好ましく、3000〜300000であることがさらに好ましく、10000〜100000であることが特に好ましい。前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量が500000より大きいと成形加工性が悪くなり、1000未満の場合には十分な力学強度のある有機無機複合組成物を得ることができない。
ここで、上述の重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
前記熱可塑性樹脂において粒子と結合する前記官能基はポリマー鎖1本あたり平均0.1〜20個であることが好ましく、0.5〜10個であることがより好ましく、1〜5個であることが特に好ましい。前記官能基の含有量がポリマー鎖一本あたり平均20個より大きいと本発明における熱可塑性樹脂が2個以上の無機微粒子に配位する確率が高くなり、溶液状態で高粘度化やゲル化がおこりやすくなる場合があリ、ポリマー鎖一本あたり平均官能基の数が0.1個より少ないと無機微粒子を安定に分散するのが困難になる。
上記熱可塑性樹脂のガラス転移温度は80℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が80℃以上の樹脂を用いれば十分な耐熱性を有する光学部品が得られやすくなり、また、ガラス転移温度が400℃以下の樹脂を用いれば成形加工が行いやすくなる傾向がある。
上記熱可塑性樹脂の屈折率と無機微粒子の屈折率差が大きい場合には、レイリー散乱が起こりやすくなるため透明性を維持して複合できる微粒子の量が少なくなる。樹脂の屈折率は1.48程度あれば屈折率1.60レベルの透明性成形体を達成できるが、1.65以上の屈折率を実現するためには本発明に用いられる樹脂としては屈折量が1.55以上あることが好ましく、1.58以上であることがより好ましい。なお前記は波長589nmにおける値である。
上記熱可塑性樹脂は、波長589nmにおける厚み1mmでの光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、88%以上であることが特に好ましい。
以下に、本発明で使用することができる熱可塑性樹脂の好ましい具体例を挙げるが、本発明で用いることができる分散ポリマーはこれらに限定されるものではない。
Figure 2008239920
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これらの樹脂は1種のみを用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
<無機微粒子>
本発明に用いられる無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子等が挙げられる。より具体的には酸化ジルコニウム微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化錫微粒子、硫化亜鉛微粒子等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも特に、金属酸化物微粒子が好ましく、中でも酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれるいずれか一つであることが好ましく、さらには可視域透明性が良好で光触媒活性の低い酸化ジルコニウム微粒子を用いることが特に好ましい。本発明における無機微粒子は、屈折率や透明性や安定性の観点から、これらの無機物の複合物として用いてもよい。またこれらの微粒子は光触媒活性低減、吸水率低減など種々の目的から、異種元素をドーピングしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面修飾した微粒子であっても良い。
本発明に用いられる無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる。
具体的には、酸化ジルコニウム微粒子またはその懸濁液を得る方法として、ジルコニウム塩を含む水溶液をアルカリで中和し水和ジルコニウムを得た後、乾燥および焼成し、溶媒に分散させて酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法;ジルコニウム塩を含む水溶液を加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法;ジルコニウム塩を含む水溶液を加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得た後、限外ろ過する方法;ジルコニウムアルコキシドを加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法;およびジルコニウム塩を含む水溶液を水熱の加圧下で加熱処理することにより酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法等が知られており、これらのいずれの方法を用いてもよい。
また、酸化チタンナノ粒子の合成原料としては硫酸チタニルが例示され、酸化亜鉛ナノ粒子の合成原料として酢酸亜鉛や硝酸亜鉛等の亜鉛塩が例示される。テトラエトキシシランやチタニウムテトライソプロポキサイド等の金属アルコキシド類も無機微粒子の原料として好適である。このような無機微粒子の合成方法としては、例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)、あるいは、ラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)に記載の公知の方法を用いることができる。
特にゾル生成法により酸化物ナノ粒子を合成する場合においては、例えば硫酸チタニルを原料として用いる酸化チタンナノ粒子の合成のように、水酸化物等の前駆体を経由し次いで酸やアルカリによりこれを脱水縮合または解膠してヒドロゾルを生成させる手順も可能である。かかる前駆体を経由する手順では、該前駆体を、濾過や遠心分離等の任意の方法で単離精製することが最終製品の純度の点で好適である。
また、水中で加水分解させる方法以外には有機溶媒中や本発明における熱可塑性樹脂が溶解した有機溶媒中で無機微粒子を作製してもよい。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に該数平均粒子サイズが大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、樹脂組成物の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズの下限値は、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上であり、上限値は好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは7nm以下である。すなわち、本発明における無機微粒子の数平均粒子サイズとしては、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmがさらに好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。
ここで、上述の数平均粒子サイズとは例えば、X線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)で測定することができる。
本発明で用いられる無機微粒子の屈折率は22℃で589nmの波長において1.9〜3.0であることが好ましく、より好ましくは2.0〜2.7であり、特に好ましくは2.1〜2.5の場合である。微粒子の屈折率が3.0より高いと樹脂との屈折率差が大きくなりレイリー散乱を抑制するのが難しくなる一方で、屈折率が前記範囲より低いと本来の目的である高屈折率化の効果が十分得られないため好ましくない。
微粒子の屈折率は例えば本発明の熱可塑性樹脂と複合化した複合物を透明フイルムとして、アッベ屈折計(例えば、アタゴ社製「DM−M4」)で屈折率を測定し、別途測定した樹脂成分のみの屈折率とから換算する方法、あるいは濃度の異なる微粒子分散液の屈折率を測定することにより微粒子の屈折率を算出する方法などによって見積もることができる。
本発明の透明性成形体における前記無機微粒子の含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、20〜95質量%が好ましく、25〜70質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。また、本発明における前記無機微粒子と熱可塑性樹脂(分散ポリマー)との質量比は、分散性の点から、1:0.01〜1:100が好ましく、1:0.05〜1:10がさらに好ましく、1:0.05〜1:5が特に好ましい。
<他の添加剤>
本発明においては前記ガス発生剤、樹脂および無機微粒子以外に均一分散性、成形時の流動性、耐候性等観点から適宜各種添加剤を配合しても良い。また前記熱可塑性樹脂以外に前記官能基を有さない樹脂を添加しても良く、このような樹脂の種類に特に制限はないが、前記樹脂と同様の光学物性、熱物性、分子量を有するものが好ましい。
これら添加剤の配合割合は目的に応じて異なるが、樹脂組成物総量の0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましく、0〜20質量%であることが特に好ましい。
−表面処理剤−
本発明では、後述するように水中またはアルコール溶媒中に分散された無機微粒子を熱可塑性樹脂と混合する際に、有機溶媒への抽出性または置換性を高める目的、熱可塑性樹脂への均一分散性を高める目的、微粒子の吸水性を下げる目的、あるいは耐候性を高める目的など種々目的に応じて、前記熱可塑性樹脂以外の微粒子表面修飾剤を添加しても良い。該表面処理剤の重量平均分子量は50〜50000であることが好ましく、より好ましくは100〜20000、さらに好ましくは200〜10000である。
前記表面処理剤としては、下記一般式(3)で表される構造を有するものが好ましい。
一般式(3)
A−B
一般式(3)中、Aは本発明における無機微粒子の表面と任意の化学結合を形成しうる官能基を表し、Bは本発明における樹脂を主成分とする樹脂マトリックスに対する相溶性または反応性を有する炭素数1〜30の1価の基またはポリマーを表す。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられる。
Aで表わされる基の好ましい例は、本発明の熱可塑性樹脂中に導入される微粒子結合性の官能基として前記したものと同じである。
一方、前記Bの化学構造は、相溶性の観点から該樹脂マトリックスの主体である熱可塑性樹脂の化学構造と同一または類似であることが好ましい。本発明では特に高屈折率化の観点から前記熱可塑性樹脂とともにBの化学構造が芳香環を有していることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる、表面処理剤の例としては例えば、p−オクチル安息香酸、p−プロピル安息香酸、酢酸、プロピオン酸、シクロペンタンカルボン酸、燐酸ジベンジル、燐酸モノベンジル、燐酸ジフェニル、燐酸ジ−α−ナフチル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸モノフェニルエステル、KAYAMER PM−21(商品名;日本化薬社製)、KAYAMER PM−2(商品名;日本化薬社製)、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、パラオクチルベンゼンスルホン酸、あるいは特開平5−221640号、特開平9−100111号、特開2002−187921号各公報記載のシランカップリング剤などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらの表面処理剤は1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用しても良い。
これら表面処理剤の添加量の総量は無機微粒子に対して、質量換算で、0.01〜2倍であることが好ましく、0.03〜1倍であることがより好ましく、0.05〜0.5倍であることがとくにこのましい。
−可塑化剤−
本発明で用いられる樹脂のガラス転移温度が高い場合、組成物の成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、本発明の組成物の成形温度を下げるために可塑剤を使用してもよい。可塑化剤を添加する場合の添加量は樹脂組成物総量の1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明で使用できる可塑剤は樹脂との相溶性、耐候性、可塑化効果などトータルで考える必要があり、最適な材料は他の組成物に依存するため一概には言えないが、屈折率の観点からは芳香環を有するものが好ましく、代表的な例として下記一般式(4)で表される構造を有するものを挙げることができる。
一般式(4)
Figure 2008239920
一般式(4)中、B1およびB2は炭素数6〜18のアルキル基またはアリールアルキル基を表し、mは0または1を表す。Xは、下記の2価の結合基のうちいずれかを表す。
Figure 2008239920
(R11 およびR12 はそれぞれ独立に水素原子または炭素数4以下のアルキル基を示す。)
また、一般式(4)で表される化合物において、B1,B2は炭素数6〜18の範囲内において任意のアルキル基またはアリールアルキル基を選ぶことができる。炭素数が6未満では、分子量が低すぎてポリマーの溶融温度で沸騰し、気泡を生じたりする場合がある。また、炭素数が18を超えると、ポリマーとの相溶性が悪くなる場合があり添加効果が不十分となることがある。
前記B1,B2としては、具体的に、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。また、前記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、次に示すものが挙げられ、中でも、W−1(花王株式会社製の商品名「KP−L155」)が好ましい。
Figure 2008239920
<その他>
前記ガス発生剤成分以外に、離型効果をさらに高めたり、成形時の流動性を向上させる目的でカルナバワックス、ライスワックス、綿ロウ、木ロウ等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、およびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等の天然ワックスの外、フィッシャ・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、ステアリン酸アミド、塩素化炭化水素等の長鎖脂肪族アミド、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、および、デュポン社製のゾニルFSN、ゾニルFSO等のフッ素テロマー類を添加することもできる。また耐光性や熱劣化を改良する目的で、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系等の公知の劣化防止剤を適宜添加しても良く、これらを配合する場合には樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
本発明の樹脂組成物の光線透過率は、波長589nmにおいて厚さ1mm換算で70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。また波長405nmにおける光線透過率は60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であればより好ましい性質を有するレンズ基材を得やすい。なお、本発明における厚さ1mm換算の光線透過率は、樹脂組成物を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置(UV−3100、(株)島津製作所製)で測定した値である。
本発明の樹脂組成物の屈折率は波長589nmにおいて1.60以上であることが好ましく、1.65以上であることがより好ましく、1.67以上であることが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ガラス転移温度が100℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が100℃以上であれば十分な耐熱性が得られやすく、ガラス転移温度が400℃以下であれば成形加工を行いやすくなる傾向がある。
[微粒子分散樹脂組成物の製造方法]
本発明に用いられる無機微粒子は、側鎖に前記官能基を有する熱可塑性樹脂と結合して樹脂中に分散される。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で前記熱可塑性樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合物の好ましい製造方法としては(1)無機粒子を前記表面処理剤の存在下に表面処理を行い、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記熱可塑性樹脂およびガス発生剤と均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法、(2)無機微粒子、熱可塑性樹脂およびガス発生剤および他の添加剤を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて全ての成分を均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法、が挙げられる。
前記(1)の手法によって樹脂組成物を製造する場合には、有機溶媒としてトルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性の溶媒が用いられる。微粒子の有機溶剤への抽出に用いられる表面処理剤と前記熱可塑性樹脂は同種のものであっても異種のものであってもよいが、好ましく用いられる表面処理剤については、前述−表面処理剤−の箇所で述べたものが挙げられる。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と熱可塑性樹脂を混合する際に前記ガス発生剤も添加しさらに可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加しても良い。
前記(2)の場合には、溶剤として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシー2−プロパノール、t−ブタノール、酢酸、プロピオン酸等の親水的な極性溶媒の単独または混合溶媒、あるいはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性溶媒と前記極性溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。この際、前述の熱可塑性樹脂とは別に分散剤、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマーを必要に応じて添加しても良い。水/メタノールに分散された微粒子を用いる際には、水/メタノールより高沸点で熱可塑性樹脂を溶解する親水的な溶媒を添加した後、水/メタノールを濃縮留去することによって、微粒子の分散液を極性有機溶媒に置換した後、樹脂と混合することが好ましい。この際前記表面処理剤を添加しても良い。
前記(1)、(2)の方法によって得られた樹脂組成物は濃縮、凍結乾燥、あるいは適当な貧溶媒から再沈澱させる等の手法により溶剤を除去した後、粉体化した固形分を金属金型を用いて射出成形、押し出し成形、圧縮成形等の手法によって成形することが好ましい。
[透明成形体]
上述の本発明の樹脂組成物を成形することにより、本発明の透明成形体を製造することができる。本発明の透明成形体では、樹脂組成物の説明で前記した屈折率、光学特性を示すものが有用である。
また本発明の透明成形体は最大0.1mm以上の厚みを有する高屈折率の光学部品に対して特に有用であり、好ましくは0.1〜5mmの厚みを有する光学部品への適用であり、特に好ましくは1〜3mmの厚みを有する透明部品への適用である。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の材料を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する材料とすることができる。
発明の透明成形体を利用した光学部品は、本発明の樹脂組成物の優れた光学特性を利用した光学部品であれば特に限定はないが、例えば、レンズ基材や、特に光を透過する光学部品(いわゆるパッシブ光学部品)に使用することも可能である。かかる光学部品を備えた機能装置としては、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。かかる光学機能装置における前記パッシブ光学部品としては、レンズ、プリズム、プリズムシート、パネル、フィルム、光導波路、光ディスク、LEDの封止剤等が例示される。
本発明の樹脂組成物を用いた光学部品は、特にレンズ基材に好適である。本発明の樹脂組成物を用いて製造されたレンズ基材は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、樹脂組成物を構成するモノマーの種類や分散させる無機微粒子の量を適宜調節することにより、レンズ基材の屈折率を任意に調節することが可能である。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
本発明におけるレンズ基材をレンズとして利用するに際しては、本発明のレンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、前記のように膜や枠などを付加してレンズとして用いてもよい。本発明のレンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。本発明のレンズ基材は、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等)に使用される。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[分析および評価方法]
本実施例において、各分析および評価方法は、下記の手段でおこなった。
(1)X線回折(XRD)スペクトル測定
リガク(株)製「RINT1500」(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)を用いて、23℃で測定した。
(2)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製「H−9000UHR型透過型電子顕微鏡」(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
(3)光線透過率測定
測定する樹脂を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」((株)島津製作所製)で測定した。
(4)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製「DR−M4」)にて、波長589nmの光について行った。
(5)分子量測定
重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
(6)ガス発生剤の分解・ガス発生温度
TG/DTA6200(SII社製)を用いて30℃から300℃まで10℃/分の昇温速度で加熱することにより、熱分解・ガス発生温度を測定した。
(7)離型性
加熱成形後、金型から成形体を外す際に、加熱成形後、ステンレスでできた金型から成形体を外す際に、自然に離型した場合を◎、若干の力を必要とするものの、容易に離型した場合を○、無理な力が必要となり、破損はないものの、内部歪みやレンズ面の変形のために光学的に影響を受けた場合を△、大きな力が必要となり、破損してしまった場合を×とした。
[無機微粒子分散液の調整]
(1)チタニア微粒子の合成
特開2003−73559号公報の合成例9に記載される方法に従い、酸化チタン微粒子を合成した。X線解析(XRD)と透過型電子顕微鏡(TEM)により、アナタ−ス型酸化チタン微粒子(数平均粒子サイズは約5nm)の生成を確認した。前記酸化チタン微粒子を1−ブタノールに懸濁させ、超音波処理を30分行った後、100℃にて30分加熱し、酸化チタン分散液を得た。微粒子の屈折率は2.4であった。
(2)酸化ジルコニウム水分散物の調製
50g/lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水を溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmの酸化ジルコニウム微粒子の生成を確認した。微粒子の屈折率は2.1であった。
(3)酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散物の調製
前記(2)で調製した酸化ジルコニウム分散物(15質量%水分散物)500gに500gのN,N'−ジメチルアセトアミドを加え約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った後、N,N'−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調製をすることで15質量%の酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散物(2)を得た。
[熱可塑性樹脂の合成]
(1)熱可塑性樹脂(B−11)の合成
スチレン246.25g、β‐カルボキシエチルアクリレート3.75g、および和光純薬(株)社製重合開始剤V−601(商品名)の2.5gを酢酸エチル107.1gに溶解し、窒素下80℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−11)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は32000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.58であった。
(2)熱可塑性樹脂(B−36)の合成
<リビングラジカル重合開始剤Aの合成>
還流冷却器、ガス導入コックを付した200ml三口フラスコにα,α'−ジブロモ−p−キシレン20g(75.8mmol)、m−キシレン70mlを仕込み、加熱還流しながら、窒素気流下、トリイソプロピルホスファイト16.8g(80.7mmol)をm−キシレン20mlに溶解した溶液を滴下する。滴下終了後3時間加熱還流し、溶媒を留去する。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、開始剤Aを収量53%で得る。
Figure 2008239920
<例示化合物B−36の合成>
還流冷却器、ガス導入コックを付した200ml三口フラスコに臭化銅0.41g(2.86mmol)、スチレン42.7g(0.407mol)、N,N,N',N',N"−ペンタメチルジエチレントリアミン0.5g(2.86mmol)、開始剤A1.0g(2.86mmol)を仕込み、5回窒素置換した後、窒素気流下80℃で5時間加熱する。室温に戻した後、アルミナ30gとトルエン50mlを添加し10分間攪拌し、セライト濾過する。濾液を大量のメタノールに投入し、沈殿させ、沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥する。収量38%。
ガス導入コックを付した100ml三口フラスコに前記で得られたポリマー10g、トリメチルシリルブロマイド2.3g(15mmol)、塩化メチレン40mlを仕込み、窒素気流下、室温で24時間攪拌する。水10mlを添加し1時間攪拌した後、大量のメタノールに投入し、沈殿させ、沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥する。収量97%。数平均分子量18,000、重量平均分子量20,000。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.58であった。
[樹脂組成物の調整並びに透明成形体(レンズ基材)の作製]
[実施例1]
前記酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液に熱可塑性樹脂(B−11)、ガス発生剤(G−2)、表面処理剤(n−オクチル安息香酸)、および可塑化剤(KP−L155(商品名;花王株式会社製))を質量比が、ZrO2固形分/B−11/G−2/n−オクチル安息香酸/KP−L155=35.7/39.9/3.0/7.1/14.3となるように添加して均一に攪拌混合した後、加熱減圧下ジメチルアセトアミド溶媒を濃縮した。該濃縮残渣を表面をSUS製の金型で加熱圧縮成形し(温度;180℃、圧力;13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
成形体の光線透過率、屈折率および離型性を表1に示す。
[実施例2〜5および比較例1,2,4,5]
実施例1における熱可塑性樹脂、ガス発生剤をそれぞれ表1のように置き換えた以外は実施例1と同様にして実施例2〜5およびの透明成形体(レンズ基材)を得た。
実施例1および5の方法においてガス発生剤を添加しない以外は実施例1と同様にして比較例1および2の透明成形体(レンズ基材)を得た。
実施例1および5におけるガス発生剤の代わりにステアリン酸亜鉛を添加した以外は実施例1と同様にして、比較例4および5の透明成形体(レンズ基材)を得た。
上記で得られた成形体の光線透過率、屈折率および離形性を表1に示す。
[実施例6および比較例3および6]
前述した酸化チタン分散液を、分散ポリマーB−36、表面処理剤((n−オクチル安息香酸)が溶解したクロロホルム溶液に撹拌しながら常温で5分かけて滴下した。得られた混合液にガス発生剤(G−2)および可塑化剤(KP−L155)を添加して溶解した後、溶媒を留去し、濃縮残渣を実施例1と同様にして成形することにより実施例6の透明成形体(レンズ基材)を得た。
実施例6においてガス発生剤(G−2)を添加しない以外は実施例1と同様にして、比較例3の透明成形体(レンズ基材)を得た。
実施例6においてガス発生剤(G−2)の代わりにステアリン酸亜鉛を添加した以外は実施例1と同様にして、比較例6の透明成形体(レンズ基材)を得た。
上記で得られた成形体の光線透過率、屈折率および離型性を表1に示す。
Figure 2008239920
表2から明らかなように、本発明により屈折率が1.60より大きくて透明性が良好な光学部品が得られた(実施例1〜6)。比較例1〜2では成形後の離型性が不十分でに、レンズ表面に一部破損が生じ、比較例3〜6では公知の離型剤添加によっても若干離型性は改良されるが、不十分であり光線透過率もやや低下した。
表1から本発明のガス発生剤含有樹脂組成物は良好な金型離型性を有し、高い屈折率と1mmの厚い成形体でも良好な透明性を併せ持つ光学部品の製造に適していることが分かる。
また熱可塑性樹脂を主体とした本発明の樹脂組成物は、生産性よく凹レンズ、凸レンズ等の金型形状に合わせて正確にレンズ形状を形成できることを確認した。
本発明によれば、樹脂の特性を低下させずに、金型離型性が良く成形性に優れる樹脂組成物を提供することができる。また、本発明の樹脂組成物は、成形適性に優れ、無機微粒子を添加して屈折率を任意に調節したレンズを容易に提供することができる。このため、高屈折率レンズ等の広範な光学部品の提供に有用であり、産業上の利用価値が高い。

Claims (19)

  1. 100〜400℃の加熱により分解してガスを発生する化合物を含有することを特徴とする、金型成形用樹脂組成物。
  2. 前記ガスを発生する化合物が、二酸化炭素、窒素またはエチレン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の金型成形用樹脂組成物。
  3. 前記ガスを発生する化合物が、2級または3級のアルコキシカルボニル基を含有する化合物、スルホニル酢酸誘導体、またはアゾ化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の金型成形用樹脂組成物。
  4. 無機微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金型成形用樹脂組成物。
  5. 前記無機微粒子が589nmにおいて1.9〜3.0の屈折率有する金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項4に記載の金型成形用樹脂組成物。
  6. 前記無機微粒子が酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、または酸化チタンを含有する微粒子であることを特徴とする請求項4または5に記載の金型成形用樹脂組成物。
  7. 前記無機微粒子の数平均粒子サイズが1〜15nmであることを特徴とする請求項4〜6にいずれか一項に記載の金型成形用樹脂組成物。
  8. 前記無機微粒子を20質量%以上含むことを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の金型成形用樹脂組成物。
  9. 前記無機微粒子と化学結合しうる官能基を少なくとも片末端に有する熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜8に記載の金型成形用樹脂組成物。
  10. 前記無機微粒子と化学結合しうる官能基を側鎖に有する熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項9に記載の金型成形用樹脂組成物。
  11. 前記官能基が前記熱可塑性樹脂のポリマー鎖1本あたりに平均0.1〜20個の範囲で含まれていることを特徴とする請求項10に記載の金型成形用樹脂組成物。
  12. 前記官能基が
    Figure 2008239920
    −SO3H、−OSO3H、−CO2H、および、−Si(OR5m6 3-mからなる群より選ばれる官能基(前記R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは置換または無置換のアリール基を表す)またはその塩であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  13. 前記熱可塑性樹脂が下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するコポリマーを含むことを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の金型成形用樹脂組成物。
    一般式(1)
    Figure 2008239920
    〔一般式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは−CO2−、−OCO−、−CONH−、−OCONH−、−OCOO−、−O−、−S−、−NH−、置換または無置換のアリーレン基からなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Yは炭素原子数が1〜30である2価の連結基を表し、lは0〜18の整数を表す。Zは
    Figure 2008239920
    −SO3H、−OSO3H、−CO2H、および、−Si(OR5m6 3-mからなる群より選ばれる官能基(前記R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは置換または無置換のアリール基を表す)またはその塩を表す。mは0〜3の整数を表す。〕
  14. 前記コポリマーが下記一般式(2)で表されるモノマーを重合することにより製造されることを特徴とする請求項13に記載の金型成形用樹脂組成物。
    一般式(2)
    Figure 2008239920
    〔一般式(2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは−CO2−、−OCO−、−CONH−、−OCONH−、−OCOO−、−O−、−S−、−NH−、置換または無置換のアリーレン基からなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Yは炭素原子数が1〜30である2価の連結基を表し、lは0〜18の整数を表す。Zは
    Figure 2008239920
    −SO3H、−OSO3H、−CO2H、および、−Si(OR5m6 3-mからなる群より選ばれる官能基(前記R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは置換または無置換のアリール基を表す)またはその塩を表す。mは0〜3の整数を表す。〕
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の金型成形用樹脂組成物を成形した成形体。
  16. 波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であることを特徴とする請求項15に記載の成形体。
  17. 波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする請求項15または16に記載の成形体。
  18. 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載の成形体。
  19. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の金型成形用樹脂組成物を用いて金型成形することを特徴とする成形体の製造方法。
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