JP2010043191A - 光学部品およびプラスチックレンズ - Google Patents
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- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
Abstract
Description
本発明は高屈折率で透明性に優れ、光学異方性が小さい硫黄含有ポリマーおよび金属酸化物微粒子により形成される光学部部品(例えば、眼鏡レンズ、各種光学機器用レンズ(ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ等)、マイクロレンズアレイ、プリズム、プリズムシート、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、LEDの封止剤等)に関する。
近年、光学材料の研究が盛んに行われており、特にレンズ材料の分野においては高屈折性、低分散性(すなわち高いアッベ数)、耐熱性、透明性、易成形性、軽量性、耐薬品性・耐溶剤性等に優れた材料の開発が強く望まれている。
プラスチックレンズは、ガラスなどの無機材料に比べ軽量で割れにくく、様々な形状に加工できるため、眼鏡レンズのみならず近年では携帯カメラ用レンズやピックアップレンズ等の光学材料にも急速に普及しつつある。
それに伴い、レンズを薄肉化するために素材自体を高屈折率化することが求められるようになっており、例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献1および2参照)や、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献3参照)等が活発に研究されてきた。また、高屈折率と低光学歪の両立に対する試みとして、フルオレン骨格および硫黄原子含有ポリマーが提案されている(特許文献4参照)。しかし、光学部品用の樹脂材料に対しては高屈折率、低複屈折、高透明の両立という要求にはなお十分なレベルの材料はなく、光学設計の自由度を広げる意味からも特性の向上が求められているのが現状である。
それに伴い、レンズを薄肉化するために素材自体を高屈折率化することが求められるようになっており、例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献1および2参照)や、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献3参照)等が活発に研究されてきた。また、高屈折率と低光学歪の両立に対する試みとして、フルオレン骨格および硫黄原子含有ポリマーが提案されている(特許文献4参照)。しかし、光学部品用の樹脂材料に対しては高屈折率、低複屈折、高透明の両立という要求にはなお十分なレベルの材料はなく、光学設計の自由度を広げる意味からも特性の向上が求められているのが現状である。
有機物のみで屈折率を高めることは難しいことから、高屈折率を有する無機物を樹脂マトリックス中に分散させることによって高屈折率材料をつくる手法が報告されている(例えば特許文献5)。しかしながら、レンズなどの厚みのある成形物においてはレイリー散乱による透過率の低下を抑制することが困難な課題であった。本発明者らはこれまでに、硫黄を含有したスピロあるいはカルド構造を有する樹脂に特定サイズ以下のナノ粒子を分散することで非常に高い屈折率、低複屈折かつ良好な透明性を有する有機無機複合材料が得られることを見出してきたが(特許文献6)、やはり本材料も高温での熱成形過程を経てレンズなどの厚みのある成形物を製造する場合には粒子の部分的な凝集に起因する透過率の低下が起こりやすく、さらなる改良が望まれていた。一方で、有機無機複合材料の透明性を向上させる技術として、本発明者らはこれまでに樹脂中に無機微粒子と結合する官能基を導入する技術を開発してきたが(特許文献7)、無機微粒子の導入による衝撃強度の低下が大きく、成形過程で破損が起こるなどの別の問題を抱えており、高屈折率、高透明、かつ耐衝撃性の良好な材料の開発が望まれていた。
特開2002−131502号公報
特開平10−298287号公報
特開2004−244444号公報
特開2001−106761号公報
特開2003−73559号公報
特開2007−238884号公報
特開2007−238929号公報
さらに、前記特許文献6および7に記載の製造方法を本発明者らが検討したところ、金型からの離型性の面で、不十分な性能であることが判明した。
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、成形時に優れた透明性、高い屈折率、良好な衝撃強度を有し、かつ金型からの離型性に優れる有機無機複合材料を提供することにある。
本発明者らは前記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、硫黄原子を含むスピロ構造またはカルド構造単位含有ポリマーの側鎖またはポリマー主鎖末端に、無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を導入することで、高温成形を通しても良好な透明性を有し高屈折率でかつ良好な衝撃強度を有し、かつ金型からの離型性に優れる有機無機複合材料が得られることを見出し以下に記載する本発明の完成に至った。
[1] 下記一般式(1)で表される構造単位を有し、かつ、側鎖またはポリマー主鎖末端に無機微粒子と任意の化学結合を形成し得る官能基を有する樹脂と、無機微粒子とを含有することを特徴とする有機無機複合材料。
(一般式(1)中、Arは芳香環を含む2価の基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。)
[2] 前記一般式(1)で表される構造単位が下記一般式(2)または一般式(3)で表されることを特徴とする[1]に記載の有機無機複合材料。
(一般式(2)中、環αは芳香環を含む環を表し、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、2つの環はスピロ結合によって結合している。Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。)
(一般式(3)中、環βおよび環γはそれぞれ独立に単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結している。Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。)
[3] 前記一般式(2)または一般式(3)で表わされる構造単位が、下記一般式(4)〜一般式(7)のいずれか1つで表わされる構造単位であることを特徴とする[2]に記載の有機無機複合材料。
(一般式(4)中、R11およびR12はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R13は置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。pおよびqはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。)
(一般式(5)中、R21はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R22はそれぞれ独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。pおよびqはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。Xは酸素原子または硫黄原子を表す。)
(一般式(6)中、R31はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R32はそれぞれ独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。pおよびqはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。Xは酸素原子または硫黄原子を表す。)
(一般式(7)中、R61およびR62はそれぞれ独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。jおよびkはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。)
[4] 前記一般式(3)で表わされる構造単位が、下記一般式(8)で表わされる構造単位であることを特徴とする[2]に記載の有機無機複合材料。
(一般式(8)中、R73はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R71およびR72は夫々独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。jおよびkはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。Lは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。)
[5] 前記樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[6] 前記樹脂が、側鎖に下記から選ばれる官能基を有する樹脂であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[R1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、−Si(OR7)nR8 n[R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]
[7] 前記官能基がポリマー鎖1本あたり平均0.5〜20個含まれていることを特徴とする[1]〜[6]に記載の有機無機複合材料。
[8] 前記樹脂が、ポリマー主鎖末端の少なくとも1箇所に、下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[R1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、−Si(OR7)nR8 n[R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]
[9] 前記無機微粒子の数平均粒子サイズが1〜15nmであることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[10] 前記無機微粒子が、屈折率が1.90〜3.00の金属カルコゲナイドであることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[11] 前記無機微粒子が、ジルコニウムのカルコゲナイド、亜鉛のカルコゲナイドまたはチタンのカルコゲナイドを含有することを特徴とする[1]〜[10]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[12] 前記無機微粒子を5質量%以上含むことを特徴とする[1]〜[11]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[13] 熱可塑性であることを特徴とする、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[14] [1]〜[13]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料を成形した成形体。
[15] 波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であり、屈折率が1.65以上であることを特徴とする[14]に記載の成形体。
[16] 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする[14]または[15]に記載の成形体。
[17] [14]〜[16]のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
[18] レンズ基材であることを特徴とする[17]に記載の光学部品。
[2] 前記一般式(1)で表される構造単位が下記一般式(2)または一般式(3)で表されることを特徴とする[1]に記載の有機無機複合材料。
[3] 前記一般式(2)または一般式(3)で表わされる構造単位が、下記一般式(4)〜一般式(7)のいずれか1つで表わされる構造単位であることを特徴とする[2]に記載の有機無機複合材料。
[4] 前記一般式(3)で表わされる構造単位が、下記一般式(8)で表わされる構造単位であることを特徴とする[2]に記載の有機無機複合材料。
[5] 前記樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[6] 前記樹脂が、側鎖に下記から選ばれる官能基を有する樹脂であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[7] 前記官能基がポリマー鎖1本あたり平均0.5〜20個含まれていることを特徴とする[1]〜[6]に記載の有機無機複合材料。
[8] 前記樹脂が、ポリマー主鎖末端の少なくとも1箇所に、下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[9] 前記無機微粒子の数平均粒子サイズが1〜15nmであることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[10] 前記無機微粒子が、屈折率が1.90〜3.00の金属カルコゲナイドであることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[11] 前記無機微粒子が、ジルコニウムのカルコゲナイド、亜鉛のカルコゲナイドまたはチタンのカルコゲナイドを含有することを特徴とする[1]〜[10]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[12] 前記無機微粒子を5質量%以上含むことを特徴とする[1]〜[11]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[13] 熱可塑性であることを特徴とする、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[14] [1]〜[13]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料を成形した成形体。
[15] 波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であり、屈折率が1.65以上であることを特徴とする[14]に記載の成形体。
[16] 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする[14]または[15]に記載の成形体。
[17] [14]〜[16]のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
[18] レンズ基材であることを特徴とする[17]に記載の光学部品。
以下において、本発明の有機無機複合材料とその利用形態について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「構造単位」と「部分構造」は同義である。
また、本明細書において、「構造単位」と「部分構造」は同義である。
<樹脂>
本発明の有機無機複合材料で用いられる樹脂は、一般式(1)で表される部分構造を少なくとも有し、かつ側鎖またはポリマー主鎖末端に無機微粒子と任意の化学結合を形成し得る官能基を有することを特徴とする。
本発明の有機無機複合材料で用いられる樹脂は、一般式(1)で表される部分構造を少なくとも有し、かつ側鎖またはポリマー主鎖末端に無機微粒子と任意の化学結合を形成し得る官能基を有することを特徴とする。
(樹脂骨格)
以下において、まず一般式(1)で表される部分構造を含む樹脂骨格について詳しく説明する。
以下において、まず一般式(1)で表される部分構造を含む樹脂骨格について詳しく説明する。
前記一般式(1)におけるArは芳香環を含む2価の連結基を表す。前記Arは、芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環のうち少なくとも一つを含む2価の連結基であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フラン環およびチオフェン環のうち少なくとも一つを含む2価の連結基であることがより好ましい。また、前記芳香環は他の環と縮合して環を形成していてもよく、していなくてもよいが、他の環と縮合して環を形成していることが好ましい。また、前記Arは置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はない。
前記Lは2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1から10の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜10の脂肪族の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜5の脂肪族の連結基を表す。例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、オキシエチレン、オキシブチレン、チオエチレン、チオブチレン、アミノメチレン、アミノブチレン、カルボニレン等が挙げられる。2つのLは同一であっても異なってもよい。
前記nは0または1を表し、0であることが好ましい。2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記Lは2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1から10の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜10の脂肪族の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜5の脂肪族の連結基を表す。例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、オキシエチレン、オキシブチレン、チオエチレン、チオブチレン、アミノメチレン、アミノブチレン、カルボニレン等が挙げられる。2つのLは同一であっても異なってもよい。
前記nは0または1を表し、0であることが好ましい。2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記一般式(1)で表される構造のうちで特に好ましい構造として、一般式(2)または一般式(3)で表される構造が挙げられる。
まず、一般式(2)で表される構造について説明する。
まず、一般式(2)で表される構造について説明する。
前記一般式(2)における環αは、芳香環を含む環を表し、2つの環はスピロ結合によって結合している。2つの環αは同じであっても異なっていてもよい。
前記環αの例としては、インダン環誘導体、インダノン環誘導体、クロマン環誘導体、ジヒドロベンゾフラン環誘導体、ジヒドロベンゾチオフェン環誘導体等が挙げられるが、好ましくは、インダン環誘導体、クロマン環誘導体またはジヒドロベンゾフラン環誘導体であり、特に好ましくはインダン環誘導体である。
前記一般式(2)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記環αの例としては、インダン環誘導体、インダノン環誘導体、クロマン環誘導体、ジヒドロベンゾフラン環誘導体、ジヒドロベンゾチオフェン環誘導体等が挙げられるが、好ましくは、インダン環誘導体、クロマン環誘導体またはジヒドロベンゾフラン環誘導体であり、特に好ましくはインダン環誘導体である。
前記一般式(2)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記一般式(2)で表される部分構造のより好ましい例としては、一般式(4)〜一般式(6)で表される部分構造が挙げられる。
一般式(4)中、R11およびR12はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R13は置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。各R11、各R12および各R13が置換基である場合の好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基である。前記各R11およびR12はより好ましくは水素原子、メチル基、フェニル基である。前記各R13はより好ましくは水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、アリル基、エチニル基である。また、複数個ある各R11は同じであっても異なっていてもよく、複数個ある各R12は同じであっても異なっていてもよく、複数個ある各R13は同じであっても異なっていてもよい。
前記pおよびqはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、好ましくは、0〜2であり、より好ましくは0である。
前記一般式(4)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記pおよびqはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、好ましくは、0〜2であり、より好ましくは0である。
前記一般式(4)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記一般式(5)中、前記各R21はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、各R22はそれぞれ独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。前記各R21の定義および好ましい範囲は前記一般式(4)におけるR11の定義および好ましい範囲と同様であり、R22の定義および好ましい範囲は前記一般式(4)におけるR13の定義および好ましい範囲と同様である。複数個ある各R21は同じであっても異なっていてもよく、複数個ある各R22は同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(5)におけるpおよびqの定義および好ましい範囲は、前記一般式(4)におけるpおよびqの定義および好ましい範囲と同様である。
前記一般式(5)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記Xは酸素原子または硫黄原子を表し、硫黄原子であることがより好ましい。また、複数個ある各Xは同じであっても異なっていてもよいが、ともに硫黄原子であることがより好ましい。
前記一般式(5)におけるpおよびqの定義および好ましい範囲は、前記一般式(4)におけるpおよびqの定義および好ましい範囲と同様である。
前記一般式(5)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記Xは酸素原子または硫黄原子を表し、硫黄原子であることがより好ましい。また、複数個ある各Xは同じであっても異なっていてもよいが、ともに硫黄原子であることがより好ましい。
前記一般式(6)中、各R31はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R32はそれぞれ独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。前記各R31の定義および好ましい範囲は前記一般式(4)におけるR11の定義および好ましい範囲と同様であり、R32の定義および好ましい範囲は前記一般式(4)におけるR13の定義および好ましい範囲と同様である。複数個ある各R31は同じであっても異なっていてもよく、複数個ある各R32は同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(6)におけるpおよびqの定義および好ましい範囲は、前記一般式(4)におけるpおよびqの定義および好ましい範囲と同様である。
前記一般式(6)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記一般式(6)におけるXは、前記一般式(1)におけるXと同義であり、好ましい範囲も同様である。また、複数個ある各Xは同じであっても異なっていてもよいが、ともに同じ原子であることがより好ましい。
前記一般式(6)におけるpおよびqの定義および好ましい範囲は、前記一般式(4)におけるpおよびqの定義および好ましい範囲と同様である。
前記一般式(6)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記一般式(6)におけるXは、前記一般式(1)におけるXと同義であり、好ましい範囲も同様である。また、複数個ある各Xは同じであっても異なっていてもよいが、ともに同じ原子であることがより好ましい。
これらの構造単位の中でも、前記一般式(2)で表される部分構造は、前記一般式(4)であることが好ましい。
前記一般式(3)中、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環γはそれぞれ環β上の1つの4級炭素に連結している。
前記環βの例としては、フルオレン環、インダンジオン環、インダノン環、インデン環、インダン環、テトラロン環、アントロン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる、好ましくはフルオレン環が挙げられる。
前記環γの例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ピリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、インダン環、クロマン環、インドール環、α−ピロン環等が挙げられ、好ましくはベンゼン環である。
前記一般式(3)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記環βの例としては、フルオレン環、インダンジオン環、インダノン環、インデン環、インダン環、テトラロン環、アントロン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる、好ましくはフルオレン環が挙げられる。
前記環γの例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ピリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、インダン環、クロマン環、インドール環、α−ピロン環等が挙げられ、好ましくはベンゼン環である。
前記一般式(3)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記一般式(3)で表わされる部分構造のより好ましい例としては、下記一般式(7)で表わされる構造が挙げられる。また、下記一般式(8)で表わされる構造が挙げられる。
前記一般式(7)中、各R61およびR62はそれぞれ独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。各R61および各R62の好ましい範囲は、前記一般式(4)におけるR13の好ましい範囲と同様である。複数個ある各R61は同じであっても異なっていてもよく、複数個ある各R62は同じであっても異なっていてもよい。
前記jおよびkはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは、0〜2であり、より好ましくは0である。
前記一般式(7)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記jおよびkはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは、0〜2であり、より好ましくは0である。
前記一般式(7)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記一般式(8)中、R73はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R71およびR72はそれぞれ独立に置換基を表す。また、それぞれが連結して環を形成してもよい。各R71および各R72の好ましい範囲は、前記一般式(4)におけるR13の好ましい範囲と同様である。複数個ある各R71は同じであっても異なっていてもよく、複数個ある各R72は同じであっても異なっていてもよい。各R73は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、カルボニル基、またはチオカルボニル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。また、R73は、さらに置換基を有していてもよい。複数個ある各R73は同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(8)におけるjおよびkは前記一般式(7)におけるjおよびkと同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(8)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記一般式(8)におけるjおよびkは前記一般式(7)におけるjおよびkと同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(8)におけるLおよびnは前記一般式(1)におけるLおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。2つのLは同一であっても異なってもよく、2つのnは同一であっても異なってもよい。
前記一般式(1)で表される部分構造は、前記一般式(4)または一般式(7)で表される部分構造を有することが特に好ましい。また、前記一般式(8)で表される部分構造を有することも特に好ましい。
本発明において、前記一般式(1)で表される部分構造を有する樹脂は、前記一般式(1)で表される部分構造を有するジチオール誘導体モノマー(以下、ジチオール化合物とも言う)と、チオールによる付加または置換が可能な反応性基を1分子中に少なくとも2つ以上有するモノマーとの共重合体であることが好ましい。
前記ジチオール化合物は、例えばスピロビインダン骨格を有するジオール(例えば米国特許3,544,638号公報、特開昭62−10030号公報などに記載の方法で合成できる)、スピロビクロマン骨格を有するジオール(例えばJournal of Chemical Society,111巻,4953ページ(1989年)、特開昭62−130735号公報記載の方法で合成できる)、スピロビベンゾフラン骨格を有するジオール(例えば特開2005−225996号公報記載の方法で合成できる)を用いて、Journal of Polymer Science,PartA:Polymer Chemistry(2001),39(7),1040-1050または特開2002−338540号公報記載の方法に準じて2つの水酸基をそれぞれメルカプト基に変換するなどの手法により合成することができる。
前記チオールによる付加または置換が可能な反応性基としては、イソシアナート基、イソチオシアナート基、ビニル基、アクリロイル基等の不飽和基、エポキシ基、エピスルフィド基等が挙げられる。チオールによる置換が可能な反応性基としては、活性化アシル基(アシルクロライド、アシルブロマイド等のアシルハライド、フェノキシカルボニル基、アセトキシカルボニル基等の活性エステル基)、活性スルホニル基(たとえばスルホニルクロライド、フェニルスルホネート等)、ハライド(例えばフルオライド、アイオダイド等)が挙げられる。
これらの反応性基を1分子中に少なくとも2つ以上有する化合物と前記ジチオール化合物とを重合させて樹脂骨格を形成し、さらに後述の方法により無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を側鎖またはポリマー主鎖末端に導入することにより、本発明に用いられる樹脂を合成することができる。さらに、成型性等の観点から、これら以外のモノマー成分を加えてもよい。なお、樹脂骨格の形成時期と前記無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基の導入時期は、同時であっても異なっていてもよい。
本発明に用いられる樹脂における硫黄原子の割合は、高屈折率化の観点から、1〜60質量%であることが好ましく、5〜55質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが特に好ましい。
本発明に用いられる樹脂における硫黄原子の割合は、高屈折率化の観点から、1〜60質量%であることが好ましく、5〜55質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが特に好ましい。
本発明に用いられる樹脂骨格は、熱可塑性樹脂であっても、反応させながら成型する成型方法に適した硬化性樹脂であっても構わないが、短い成形時間および成形体の形状精度、の観点から熱可塑性樹脂であることが好ましく、屈折率および金型からの離型性の観点から前記ジチオール化合物と前記反応性基を1分子中に少なくとも2つ以上有する化合物との重縮合体または重付加体であることがより好ましい。本発明に用いられる樹脂骨格としては、ポリチオウレタン、ポリチオエステル、ポリチオカーボネート、ポリチオエーテル等が好ましい例として挙げられる。
これらの樹脂の製造方法については、「高分子合成の実験法」大津隆行・木下雅悦著、化学同人編(1996年)に記載された方法を適用することができる。
(無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基)
次に、側鎖またはポリマー主鎖末端に導入される無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基について説明する。
次に、側鎖またはポリマー主鎖末端に導入される無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基について説明する。
前記無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基としては、以下の官能基を例示することができる。なお、本発明における無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基は、これらの具体例に限定されるものではない。
[R1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、−Si(OR7)nR8 n[R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]
R1、R2、R3、R4、R5、R6の好ましい範囲は、次の範囲である。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R1、R2、R3、R4、R5、R6として特に好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、さらに好ましいのは水素原子である。
R7、R8の好ましい範囲は、R1、R2、R3、R4、R5、R6と同様である。nは、好ましくは3である。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R1、R2、R3、R4、R5、R6として特に好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、さらに好ましいのは水素原子である。
R7、R8の好ましい範囲は、R1、R2、R3、R4、R5、R6と同様である。nは、好ましくは3である。
これらの官能基の中でも、好ましくは、
−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、または−Si(OR7)m1R8 3-m1であり、より好ましくは、
−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩であり、さらに好ましくは、
または、SO3Hまたはその塩である。
本発明の第一の態様では、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を前記樹脂骨格の側鎖に導入することが好ましい。また、本発明の第二の態様では、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を前記樹脂骨格のポリマー主鎖末端に導入することが好ましい。
まず、本発明の第一の態様について説明する。
無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を前記樹脂骨格の側鎖に導入するには、該官能基もしくはその前駆体を有する重合性モノマーを用いて重合反応を行う方法や、樹脂を反応剤と反応させて該官能基もしくはその前駆体を導入する方法を挙げることができる。
無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を前記樹脂骨格の側鎖に導入するには、該官能基もしくはその前駆体を有する重合性モノマーを用いて重合反応を行う方法や、樹脂を反応剤と反応させて該官能基もしくはその前駆体を導入する方法を挙げることができる。
重合反応によって樹脂を得る場合、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有するモノマーとして、ジオール化合物やジチオール化合物、ジカルボン酸化合物など、本発明で用いる他のモノマーと重合反応できるモノマーを採用することができる。好ましい例として以下のものを挙げることができるが、本発明で使用することができる官能基を有するモノマーはこれらに限定されない。
なお、これらモノマーに含まれる無機微粒子吸着性官能基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム等のカチオンと塩を形成していてもよい。カルボキシル基を2つ以上含むモノマー(MC−5、MC−9)は、2つのカルボキシル基が縮合反応に供され、残りのカルボキシル基が無機微粒子吸着性官能基として供される。
樹脂を反応剤と反応させて官能基を導入する方法としては、樹脂の側鎖に導入した水酸基、アミノ基などの反応性基に対して、官能基あるいは官能基前駆体(エステル体など)を含有する活性ハライド(クロロスルホン酸、オキシ塩化リン、ブロモ酢酸エステルなど)、酸無水物(2−スルホ安息香酸無水物、無水フタル酸等)を作用させる方法、樹脂中の芳香環に対してクロロスルホン酸などで直接スルホ基を導入する方法、フリーデルクラフツ反応を利用して官能基を導入する方法、樹脂の側鎖に導入した不飽和基に対して、ヒドロシリル化反応を用いてシリル基を導入する方法など有機化学反応として一般的な手法を利用することができる。
次に、本発明の第二の態様について説明する。
樹脂のポリマー主鎖末端に無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を導入する方法としては、縮合系樹脂末端の水酸基、メルカプト基、アミノ基などの反応性基に対して、前記側鎖に官能基を導入する方法と同様に反応剤を作用させる方法、重縮合反応において官能基あるいは官能基前駆体を有する末端停止剤を添加する方法などが利用できる。
樹脂のポリマー主鎖末端に無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を導入する方法としては、縮合系樹脂末端の水酸基、メルカプト基、アミノ基などの反応性基に対して、前記側鎖に官能基を導入する方法と同様に反応剤を作用させる方法、重縮合反応において官能基あるいは官能基前駆体を有する末端停止剤を添加する方法などが利用できる。
(樹脂の性質)
本発明に用いられる樹脂の性質について説明する。
本発明において、前記官能基はポリマー鎖1本あたり平均0.5〜20個であることが好ましく、0.5〜10個であることがより好ましく、1〜5個であることが特に好ましい。前記官能基の含有量がポリマー鎖一本あたり平均20個以下であれば、熱可塑性樹脂が複数の無機微粒子に配位して溶液状態で高粘度化やゲル化が起こるのを防ぎやすい傾向がある。また、ポリマー鎖一本あたり平均官能基の数が0.5個以上であれば、無機微粒子を安定に分散させやすい傾向がある。なお、
本発明に用いられる樹脂の性質について説明する。
本発明において、前記官能基はポリマー鎖1本あたり平均0.5〜20個であることが好ましく、0.5〜10個であることがより好ましく、1〜5個であることが特に好ましい。前記官能基の含有量がポリマー鎖一本あたり平均20個以下であれば、熱可塑性樹脂が複数の無機微粒子に配位して溶液状態で高粘度化やゲル化が起こるのを防ぎやすい傾向がある。また、ポリマー鎖一本あたり平均官能基の数が0.5個以上であれば、無機微粒子を安定に分散させやすい傾向がある。なお、
本発明で用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、熱可塑性樹脂であることが短い成形時間および成形体の形状精度の観点から好ましい。
本発明で用いられる樹脂の数平均分子量は、1,000〜5,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜1,000,000の範囲であることがより好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがより好ましい。前記熱可塑性樹脂(1)の数平均分子量を5,000,000以下とすることにより、成形加工性が向上する傾向にあり、1,000以上とすることにより力学強度が向上する傾向にある。
ここで、上述の数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒とするポリスチレン換算GPC測定により、GPC(東ソー(株)製HLC−8220GPC)を用いて、ポリスチレンの分子量標準品と比較して求めることができる。
ここで、上述の数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒とするポリスチレン換算GPC測定により、GPC(東ソー(株)製HLC−8220GPC)を用いて、ポリスチレンの分子量標準品と比較して求めることができる。
本発明で用いられる樹脂のガラス転移温度は、耐熱性と成型性の観点から80℃〜280℃であることが好ましく、100℃〜250℃であることがより好ましく、120℃〜230℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度が80℃以上の樹脂を用いれば十分な耐熱性を有する光学部品が得られやすくなり、また、ガラス転移温度が280℃以下の樹脂を用いれば成形加工が行いやすくなる傾向がある。
以下に本発明で用いられる樹脂の具体的な構造を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<無機微粒子>
本発明において用いる無機微粒子として、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子等が挙げられる(以下、酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物の化合物のことをカルコゲナイドとも言う)。より具体的には、例えば酸化ジルコニウム、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化錫、硫化亜鉛微粒子等を挙げることができる。本発明に用いられる無機微粒子は、金属カルコゲナイドを含有する無機微粒子であることが好ましく、ジルコニウムのカルコゲナイド、亜鉛のカルコゲナイドまたはチタンのカルコゲナイドを含有する粒子であることがより好ましく、酸化ジルコニウム微粒子および酸化チタン微粒子であることが特に好ましく、酸化ジルコニウム微粒子であることが最も好ましい。
本発明において用いる無機微粒子として、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子等が挙げられる(以下、酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物の化合物のことをカルコゲナイドとも言う)。より具体的には、例えば酸化ジルコニウム、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化錫、硫化亜鉛微粒子等を挙げることができる。本発明に用いられる無機微粒子は、金属カルコゲナイドを含有する無機微粒子であることが好ましく、ジルコニウムのカルコゲナイド、亜鉛のカルコゲナイドまたはチタンのカルコゲナイドを含有する粒子であることがより好ましく、酸化ジルコニウム微粒子および酸化チタン微粒子であることが特に好ましく、酸化ジルコニウム微粒子であることが最も好ましい。
前記無機微粒子は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本発明で用いられる無機微粒子は、屈折率、透明性、安定性などの観点から、複数の成分による複合物であってもよい。また無機微粒子には、光触媒活性低減、吸水率低減など種々の目的から、異種元素をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)または有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾しても良い。さらに目的に応じて、これらの2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において用いる無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる。
例えば、酸化ジルコニウム微粒子の製造方法は、ジルコニウム塩を含む水溶液をアルカリで中和し水和ジルコニウムを得た後、乾燥および焼成し、溶媒に分散させて酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法、ジルコニウム塩を含む水溶液を加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法、ジルコニウム塩を含む水溶液を加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得た後、限外ろ過する方法、ジルコニウムアルコキシドを加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法、ジルコニウム塩を含む水溶液を水熱の加圧下で加熱処理することにより酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法が知られており、これらのいずれの方法を用いてもよい。
例えば、酸化ジルコニウム微粒子の製造方法は、ジルコニウム塩を含む水溶液をアルカリで中和し水和ジルコニウムを得た後、乾燥および焼成し、溶媒に分散させて酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法、ジルコニウム塩を含む水溶液を加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法、ジルコニウム塩を含む水溶液を加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得た後、限外ろ過する方法、ジルコニウムアルコキシドを加水分解して酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法、ジルコニウム塩を含む水溶液を水熱の加圧下で加熱処理することにより酸化ジルコニウム懸濁液を得る方法が知られており、これらのいずれの方法を用いてもよい。
また、例えば酸化チタンナノ粒子の合成原料には硫酸チタニルが、酸化亜鉛ナノ粒子の合成には酢酸亜鉛や硝酸亜鉛等の亜鉛塩が、それぞれ例示される。テトラエトキシシランやチタニウムテトライソプロポキサイド等の金属アルコキシド類も原料として好適に使用可能である。例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁あるいは(1998年)ラングミュア第16巻第1号241〜2―46頁(2000年)に記載の公知の方法を用いることができる。特にゾル生成法により酸化物ナノ粒子を合成する場合においては、例えば硫酸チタニルを原料として用いる酸化チタンナノ粒子の合成のように、水酸化物等の前駆体を経由し次いで酸やアルカリによりこれを脱水縮合または解膠してヒドロゾルを生成させる手順も可能である。かかる前駆体を経由する手順では、該前駆体を、濾過や遠心分離等の任意の方法で単離精製することが最終製品の純度の点で好適である。該ヒドロゾルにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(略称DBS)やジアルキルスルホスクシネートモノナトリウム塩(三洋化成工業(株)製、商標名はエレミノールJS−2)等の適当な界面活性剤を加えて、ゾル粒子を非水溶化させて単離してもよい。例えば、色材,57巻6号,305〜308(1984)に記載の公知の方法を用いることができる。
また、水中で加水分解させる方法以外には有機溶媒中や本発明に使用する樹脂が溶解した有機溶媒中で無機微粒子を作成してもよい。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
本発明で用いる無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該無機微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に該数平均粒子サイズが大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、材料組成物の透明性が極端に低下する場合がある。また、本発明で用いる無機微粒子の数平均粒子サイズの下限値は、好ましくは1nm、より好ましくは2nm、さらに好ましくは3nmであり、上限値は好ましくは15nm、より好ましくは10nm、さらに好ましくは5nmである。すなわち、本発明における無機微粒子の数平均1次粒子サイズとしては、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmがさらに好ましく、3nm〜5nmが特に好ましい。
また本発明に用いられる無機微粒子は上記の平均粒子サイズを満たし、かつ粒子サイズ分布が狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば特開2006−160992号公報に記載されるような数値規定範囲が、本発明で用いられる微粒子の好ましい粒径分布範囲にも当てはまる。
ここで、上述の数平均1次粒子サイズとは例えば、X線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
ここで、上述の数平均1次粒子サイズとは例えば、X線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
本発明で用いられる無機微粒子の屈折率に特に制限はないが、本発明の有機無機複合材料が高屈折率を必要とする光学部品に用いられる場合には、無機微粒子は高屈折率特性を持つことが好ましい。この場合、用いられる無機微粒子の屈折率は22℃、589nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることがより好ましく、2.00〜2.70であることがさらに好ましい。屈折率が1.90以上である無機微粒子を用いれば屈折率が1.70より大きい有機無機複合材料を作成しやすくなり、屈折率が3.00以下の無機微粒子を用いれば透過率が80%以上の有機無機複合材料を作製しやすい傾向がある。また、前記無機微粒子が屈折率が1.90〜3.00の金属カルコゲナイド粒子であることが好ましい。
無機微粒子の屈折率は、例えば本発明で用いる樹脂と複合化した有機無機複合材料を透明フィルムに成形して、アッベ屈折計(例えば、アタゴ社製「DM−M4」)で屈折率を測定し、別途測定した樹脂成分のみの屈折率から算出する方法、あるいは濃度の異なる微粒子分散液の屈折率を測定することにより微粒子の屈折率を算出する方法などによって見積もることができる。またシリコンウエハ等の光学特性が既知な基板上に例えばスピンコート等で薄膜を作製し、十分乾燥した後エリプソメータで干渉パターンのフィッティングにより屈折率を求めることもできる。
本発明の有機無機複合材料における無機微粒子の含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10〜70質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
(分散剤)
本発明に用いる無機微粒子は、分散剤を用いて、樹脂中に分散されていることが好ましい。本発明に使用される分散剤の分子量は、通常50〜10000、より好ましくは100〜5000、さらに好ましくは200〜1000である。分子量が大きすぎると、材料組成物の屈折率を上げることが難しくなる傾向がある。
本発明に用いる無機微粒子は、分散剤を用いて、樹脂中に分散されていることが好ましい。本発明に使用される分散剤の分子量は、通常50〜10000、より好ましくは100〜5000、さらに好ましくは200〜1000である。分子量が大きすぎると、材料組成物の屈折率を上げることが難しくなる傾向がある。
本発明に使用する前記無機微粒子は、前記樹脂を主体とする樹脂マトリクスへの相溶性を有する有機化合物(本発明では「分散剤」と称する)を配位あるいは修飾すると、該樹脂マトリクスへの無機微粒子の分散性が向上し、本発明の材料組成物の透明性や機械的強度が向上する場合がある。分散剤の効果は、無機微粒子同士の凝集が抑制される効果、上記樹脂マトリクスへの相溶性が向上する効果等の組み合わせによるものと考えられる。
前記分散剤の好ましい構造は下記一般式(11)で表される。
一般式(11)
A−R
ただし、Aは無機微粒子の表面と任意の化学結合を形成しうる官能基を表し、Rは樹脂マトリクスとの相溶性または反応性を有する炭素数1〜30の1価の基またはポリマーを表す。前記化学結合としては、例えば共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等である。
一般式(11)
A−R
ただし、Aは無機微粒子の表面と任意の化学結合を形成しうる官能基を表し、Rは樹脂マトリクスとの相溶性または反応性を有する炭素数1〜30の1価の基またはポリマーを表す。前記化学結合としては、例えば共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等である。
かかる無機微粒子への分散剤の配位方法および共有結合による修飾方法とこれに使用する有機物の分子構造に制限はないが、無機微粒子に配位する上記Aの具体例としてはチオールやスルホン酸類等の硫黄含有有機化合物、ホスフィンやホスフィンオキシド等を有するリン含有有機配位子、アルキルアミンや芳香族アミン等を有する窒素含有配位子、カルボン酸類を有する配位子が有効である。これら例示のうち、好ましく用いられるのはリン含有有機配位子であり、例えば、日本化薬製のKAYAMER PM−21(商品名)などが好適である。
また、共有結合で修飾する前記Aの具体例としては、シリカ、アルミナ、チタニア等の酸化物の表面処理に従来使用されているシランカップリング剤やチタネート系カップリング剤やアルミニウム系カップリング剤等の活性官能基である金属アルコキシド基が有効である。この中でもシランカップリング剤が好ましく、特開平5−221640号、特開平9−100111号、特開2002−187921号各公報などに記載の方法を用いることができる。
一方、前記Rが上記樹脂マトリクスとの相溶性または反応性を有する基である場合その化学構造は、該樹脂マトリクスの主体である樹脂の化学構造の一部または全部と同一または類似であることが好ましい。
これらの分散剤は、1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
これらの分散剤は、1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
<可塑化剤>
樹脂のガラス転移温度が高い場合、成形が必ずしも容易でないことがある。このため、成形温度を下げるために可塑剤を使用してもよい。本発明で使用する可塑剤としては、下記一般式(12)で表される構造を有するものが好ましい。
(一般式(12)中、B1 およびB2 は炭素数6〜18のアルキル基またはアリールアルキル基を表し、mは0または1を表し、Xは
のうちのいずれかであり、R51 およびR52は水素原子または炭素数4以下のアルキル基を示す。)
樹脂のガラス転移温度が高い場合、成形が必ずしも容易でないことがある。このため、成形温度を下げるために可塑剤を使用してもよい。本発明で使用する可塑剤としては、下記一般式(12)で表される構造を有するものが好ましい。
また、一般式(12)で表わされる化合物において、B1 ,B2は炭素数6〜18の範囲内において任意のアルキル基またはアラルキル基を選ぶことができる。炭素数が6未満では、分子量が低すぎてポリマーの溶融温度で沸騰し、気泡を生じたりする場合がある。また、炭素数が18を超えると、ポリマーとの相溶性が悪くなるので添加効果が不十分である。
B1 ,B2 の基としては、具体的には、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。本発明に用いる一般式8で示される化合物の具体例としては、次に示すものが挙げられ、中でも、W−1(花王株式会社製の商品名〔KP−L155〕)が好ましい。
B1 ,B2 の基としては、具体的には、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。本発明に用いる一般式8で示される化合物の具体例としては、次に示すものが挙げられ、中でも、W−1(花王株式会社製の商品名〔KP−L155〕)が好ましい。
<その他添加物>
本発明の有機無機複合材料に用いられる樹脂は目的に応じて、適宜その他の樹脂とブレンドしてもよい。ブレンドされる樹脂材料は熱可塑性であっても、硬化性樹脂であってもよい。
本発明の有機無機複合材料に用いられる樹脂は目的に応じて、適宜その他の樹脂とブレンドしてもよい。ブレンドされる樹脂材料は熱可塑性であっても、硬化性樹脂であってもよい。
前記ブレンドされる熱可塑性樹脂としては、以下のようなものが例として挙げられるが本発明はこれらに限定されるものではない。
メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物など。
メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物など。
前記その他の樹脂としては、ガラス転移点温度(Tg)が100℃以上であることが好ましい。
前記その他の樹脂の例としては(括弧内はTgを示す)、ポリカーボネート樹脂(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン樹脂(例えば日本ゼオン(株)製 ゼオノア1600:160℃、JSR(株)製 アートン:170℃)、ポリアリレート樹脂(PAr:200℃)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES:220℃)、ポリスルホン樹脂(PSF:190℃)、ポリエステル樹脂(例えば鐘紡(株)製 O−PET:125℃、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の実施例1の化合物:162℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂(BCF−PC:特開2000−227603号公報の実施例−4の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート樹脂(IP−PC:特開2000−227603号公報の実施例−5の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の実施例−1の化合物:300℃以上)等が挙げられる。
本発明の樹脂にブレンドされる樹脂として、耐溶剤性、耐熱性などの観点から架橋樹脂も好ましく用いることができる。架橋樹脂の種類としては熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができる。熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。その他架橋方法としては共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物を用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する系も特に制限なく使用できる。ただし、このような系は製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。一方で1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤として市販もされている。市販されているブロックタイプ硬化剤として、三井武田ケミカル(株)製B−882N、日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2513(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製サイメル303(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1のようなブロック化カルボン酸も知られている。
活性エネルギー線線硬化樹脂としては、ラジカル硬化性樹脂、カチオン硬化性樹脂に大別される。ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な例として分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が用いられる。ラジカル硬化性樹脂の代表的な硬化方法として、電子線を照射する方法、紫外線を照射する方法が挙げられる。通常、紫外線を照射する方法においては紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤を添加する。なお、加熱によりラジカルを発生する重合開始剤を添加すれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として紫外線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基などの開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
本発明に用いられる樹脂は単独で用いても、複数種を混合して用いてもよく、さらに上記で挙げた本発明の樹脂にブレンド可能な樹脂についても、複数種を混合してもちいてもよい。
さらに本発明では上記以外にも本発明の効果を損なわない範囲において、可塑剤、染顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、無機微粒子、離型剤、レベリング剤、および潤滑剤などの各種添加剤(樹脂改質剤)を添加することもできる。これらの樹脂改質剤の添加量は目的に応じて、適宜選択されるが、全固形分に対して、0.01〜10質量%の範囲で添加されるのが一般的であり、好ましくは0.1〜5質量%程度である。
[有機無機複合材料]
本発明に用いられる無機微粒子は、側鎖または末端に前記官能基を有する樹脂と結合して樹脂中に分散され、本発明の有機無機複合材料を得ることができる。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で上記樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合物の好ましい製造方法としては(1)無機微粒子を上記表面処理剤の存在下に表面処理を行い、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記樹脂と均一混合して無機微粒子と樹脂の複合物を製造する方法、(2)無機微粒子と樹脂の両者を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて両者を均一混合して無機微粒子と樹脂の複合物を製造する方法、が挙げられる。
本発明に用いられる無機微粒子は、側鎖または末端に前記官能基を有する樹脂と結合して樹脂中に分散され、本発明の有機無機複合材料を得ることができる。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で上記樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合物の好ましい製造方法としては(1)無機微粒子を上記表面処理剤の存在下に表面処理を行い、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記樹脂と均一混合して無機微粒子と樹脂の複合物を製造する方法、(2)無機微粒子と樹脂の両者を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて両者を均一混合して無機微粒子と樹脂の複合物を製造する方法、が挙げられる。
上記(1)の手法によって有機無機複合材料を製造する場合には、有機溶媒としてトルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性の溶媒が用いられる。無機微粒子の有機溶剤への抽出に用いられる分散剤と前記樹脂は同種のものであっても異種のものであってもよいが、好ましく用いられる分散剤については、前述<分散剤>の箇所で述べたものが挙げられる。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と樹脂を混合する際に、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と樹脂を混合する際に、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
上記(2)の場合には、溶剤として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシー2−プロパノール、tert−ブタノール、酢酸、プロピオン酸等の親水的な極性溶媒の単独または混合溶媒、あるいはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性溶媒と上記極性溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。この際、前述の熱可塑性樹脂とは別に分散剤、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマーを必要に応じて添加してもよい。水/メタノールに分散された無機微粒子を用いる際には、水/メタノールより高沸点で熱可塑性樹脂を溶解する親水的な溶媒を添加した後、水/メタノールを濃縮留去することによって、無機微粒子の分散液を極性有機溶媒に置換した後、樹脂と混合することが好ましい。この際前記分散剤を添加してもよい。
上記(1)、(2)の方法によって得られた有機無機複合材料は、そのままキャスト成形して透明成形体を得ることもできるが、本発明では特に、該溶液を濃縮(スプレイドライ、減圧濃縮など)、凍結乾燥、あるいは適当な貧溶媒から再沈澱させる等の手法により溶剤を除去した後、粉体化した固形分を射出成形、圧縮成形等の手法によって成形することが好ましい。
本発明の有機無機複合材料は、熱可塑性であることが、短い成形時間と成形体の形状精度の観点から好ましい。
[成型体]
本発明の有機無機複合材料を成形することで、本発明の成形体を得ることができる。以下、本発明の成型体およびその製造方法について説明する。
(成型体の製造方法)
本発明の有機無機複合材料を光学レンズのような成型体とする方法には特に制限はなく、公知の技術(射出成型法、射出圧縮成型法、圧縮成型法、真空成型法、注型重合法、トランスファー成型法、ブロー成型法、押出成型法、加圧成型法、キャスティング成型法等)を利用できる。熱可塑性樹脂の場合には樹脂を溶融状態にして、金型に注入した後、冷却して型から取り外す射出成型法により製造されるのが一般的であり、硬化性樹脂の場合には熱硬化型が好ましく、ガラスまたは金属製の型に反応性化合物を含む原料の混合物を注入し、重合硬化させた後に型を取り外す注型重合法で製造されるのが一般的である。
本発明の有機無機複合材料を成形することで、本発明の成形体を得ることができる。以下、本発明の成型体およびその製造方法について説明する。
(成型体の製造方法)
本発明の有機無機複合材料を光学レンズのような成型体とする方法には特に制限はなく、公知の技術(射出成型法、射出圧縮成型法、圧縮成型法、真空成型法、注型重合法、トランスファー成型法、ブロー成型法、押出成型法、加圧成型法、キャスティング成型法等)を利用できる。熱可塑性樹脂の場合には樹脂を溶融状態にして、金型に注入した後、冷却して型から取り外す射出成型法により製造されるのが一般的であり、硬化性樹脂の場合には熱硬化型が好ましく、ガラスまたは金属製の型に反応性化合物を含む原料の混合物を注入し、重合硬化させた後に型を取り外す注型重合法で製造されるのが一般的である。
主原料、副原料はあらかじめ脱気・乾燥を十分に行ない、同一容器内に同時に添加して攪拌下混合してから金型に注入することが好ましいが、各原料を段階的に添加混合してから金型内に注入してもよく、また数成分を別々に混合後、同一容器内で再度混合してから金型内に注入してもよい。混合機としては、リボン型、ヘリカル型、パドル型、スクリュー等が挙げられるが特に制約はない。原料は粉体のまま成型機に導入してもよいが、一旦ペレット化してから導入することが好ましい。
熱可塑成樹脂の射出成型の場合、樹脂温度は樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも150℃程度高くすることが望ましく、実際には200〜380℃の温度範囲が好ましく、230〜350℃程度の温度範囲にすることがより好ましい。金型温度は、Tg〜(Tg−20)℃程度の温度が好ましく、(Tg−2)℃〜(Tg−10)℃の温度範囲にすることがより好ましく、具体的には、80〜300℃、より好ましくは100〜250℃程度の温度である。
本発明において樹脂組成物をフィルムまたはシート形状に成形する方法としては公知の方法が採用できるが、溶液流延法、押出成形法(溶融成型法)が好ましい方法として挙げられる。
溶液流延法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、米国特許2367603号、米国特許2492078号、米国特許2492977号、米国特許2492978号、米国特許2607704号、米国特許2739069号、米国特許2739070号、英国特許640731号、英国特許736892号の各明細書、特公昭45−4554号、特公昭49−5614号、特開昭60−176834号、特開昭60−203430号、特開昭62−115035号の各公報に記載がある。樹脂溶液は、表面温度が30℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましく用いられ、特に、10〜20℃の金属支持体温度であることが好ましい。
溶液流延法にて製造する製造装置の例としては特開2002−189126号公報、段落〔0061〕〜〔0068〕に記載の製造装置、図1、図2などが例として挙げられるが本発明はこれらに限定されるものではない。
溶液流延法にて製造する製造装置の例としては特開2002−189126号公報、段落〔0061〕〜〔0068〕に記載の製造装置、図1、図2などが例として挙げられるが本発明はこれらに限定されるものではない。
溶液流延法において使用する溶媒は本発明の樹脂組成物を溶解するものであればいずれの溶媒を用いても構わないが、特に25℃において固形分濃度10質量%以上溶解できる溶媒が好ましい。また、使用する溶媒の沸点は200℃以下のものが好ましく、さらに好ましくは150℃以下のものである。沸点が高い場合、溶媒の乾燥が不十分となり、フィルム中に残存する恐れがある。
このような溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、アセトン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。
混合溶媒の例としては塩化メチレンに炭素数1〜5のアルコールを一種ないし数種混合した溶媒が挙げられ、この場合、アルコールの含有量は溶媒全体に対し5〜20質量%が好ましい。さらに、それぞれ炭素数3〜12のエーテル、ケトンおよびエステルの適宣混合した溶媒が好ましい例として挙げられ、この際炭素数1〜5のアルコールを一種ないし数種混合してもよい。
また、発明協会公開技報2001−1745号、段落6に記載の有機溶媒の例なども好ましい例として挙げられる。
また、溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。
混合溶媒の例としては塩化メチレンに炭素数1〜5のアルコールを一種ないし数種混合した溶媒が挙げられ、この場合、アルコールの含有量は溶媒全体に対し5〜20質量%が好ましい。さらに、それぞれ炭素数3〜12のエーテル、ケトンおよびエステルの適宣混合した溶媒が好ましい例として挙げられ、この際炭素数1〜5のアルコールを一種ないし数種混合してもよい。
また、発明協会公開技報2001−1745号、段落6に記載の有機溶媒の例なども好ましい例として挙げられる。
溶液流延に用いる溶液中の樹脂濃度は5〜60質量%、好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。樹脂の濃度が低すぎると粘度が低く厚さの調節が困難となり、高すぎると製膜性が悪くムラが大きくなる。
溶液流延する方法は特に限定されないが、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターブレード、ロールコート、ダイコート等を用いて平板、またはロール上に流延することができる。
溶媒を乾燥する温度は、使用する溶媒の沸点によって異なるが、2段階に分けて乾燥することが好ましい。第一段階としては30〜100℃で溶媒の質量濃度が10%以下になる、より好ましくは5%以下になるまで乾燥する。次いで、第二段階として平板またはロールからフィルムを剥がし、60℃以上、樹脂のガラス転移温度以下の範囲で乾燥する。
平板またはロールからフィルムを剥がす際、第一段階の乾燥終了直後に剥がしても、いったん冷却してから剥がしてもよい。
平板またはロールからフィルムを剥がす際、第一段階の乾燥終了直後に剥がしても、いったん冷却してから剥がしてもよい。
押出成型法の条件は、一般的な光学樹脂に用いられる条件と同様であり、溶融温度としては、上記射出成型法で好ましい範囲が使用される。
本発明の成型体は、波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であり、屈折率が1.65以上であることが好ましい。
前記光線透過率は75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
前記屈折率は1.67以上であることがより好ましく、1.69以上であることが特に好ましい。
前記光線透過率は75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
前記屈折率は1.67以上であることがより好ましく、1.69以上であることが特に好ましい。
本発明の成型体は、最大厚みが0.1mm以上であることがレンズ性能の観点から好ましく、0.1〜5mmの厚みであることがより好ましく、1〜3mmの厚みであることが特に好ましい。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の有機無機複合材料を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する光学部品とすることができる。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の有機無機複合材料を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する光学部品とすることができる。
(光学部品)
本発明の成形体は、特に光学部品として好ましく用いることができる。
本発明の光学部品の屈折率(Nd)は1.65以上であることが好ましく、1.67以上であることがより好ましく、1.69以上であることが特に好ましい。
本発明の光学部品では波長589nmにおいて厚さ1mm換算の全光透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。
本発明の成形体は、特に光学部品として好ましく用いることができる。
本発明の光学部品の屈折率(Nd)は1.65以上であることが好ましく、1.67以上であることがより好ましく、1.69以上であることが特に好ましい。
本発明の光学部品では波長589nmにおいて厚さ1mm換算の全光透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。
本発明の有機無機複合材料を利用した光学部品は、本発明の有機無機複合材料の優れた光学特性を利用した光学部品であれば特に限定はないが、例えば、レンズ基材や、特に光を透過する光学部品(いわゆるパッシブ光学部品)に使用することも可能である。かかる光学部品を備えた機能装置としては、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。かかる光学機能装置における前記パッシブ光学部品としては、レンズ、ディスク基盤、導光板、プリズム、プリズムシート、パネル、フィルム、光導波路、光ディスク、LEDの封止剤等が例示される。
本発明の有機無機複合材料を用いた光学部品は、特にレンズ基材に好適である。本発明の有機無機複合材料を用いて製造されたレンズ基材は、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、有機無機複合材料を構成するモノマーの種類や分散させる無機微粒子の量を適宜調節することにより、レンズ基材の屈折率を任意に調節することが可能である。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
本発明におけるレンズ基材をレンズとして利用するに際しては、本発明のレンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、前記のように膜や枠などを付加してレンズとして用いてもよい。本発明のレンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。本発明のレンズ基材は、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ(双眼鏡レンズ、顕微鏡レンズ)、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、撮像レンズ(車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ等;ズームレンズや、正/負のパワーレンズなど各種公知の撮像レンズを含む)、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等)に使用される。また、プロジェクターレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラレンズ、fθレンズ、ヘッドランプレンズ、ピックアップレンズ、またはファインダーレンズなど、球面および非球面レンズに使用される。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中における各種の測定は、下記のとおり行った。
[分析および評価方法]
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製「H−9000UHR型透過型電子顕微鏡」(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
[分析および評価方法]
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製「H−9000UHR型透過型電子顕微鏡」(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
(2)X線回折(XRD)スペクトル測定
リガク(株)製「RINT1500」(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)を用いて、23℃で測定した。
リガク(株)製「RINT1500」(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)を用いて、23℃で測定した。
(3)無機微粒子の分散性評価
無機微粒子と樹脂を含む成形体(レンズ基材)を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が樹脂中に均一に分散しているか否かを以下の基準により評価した。
○ 樹脂中に無機微粒子が均一に分散している
△ 樹脂中で一部無機微粒子の凝集が認められ、成形体がやや白濁している。
× 無機微粒子が凝集して成形体が白濁している
無機微粒子と樹脂を含む成形体(レンズ基材)を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が樹脂中に均一に分散しているか否かを以下の基準により評価した。
○ 樹脂中に無機微粒子が均一に分散している
△ 樹脂中で一部無機微粒子の凝集が認められ、成形体がやや白濁している。
× 無機微粒子が凝集して成形体が白濁している
(4)光線透過率測定
測定する材料を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」((株)島津製作所製)で測定した。
測定する材料を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」((株)島津製作所製)で測定した。
(5)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製「DR−M4」)にて、波長589nmの光について行った。
アッベ屈折計(アタゴ社製「DR−M4」)にて、波長589nmの光について行った。
(6)分子量測定
重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
(8)酸価測定
平沼産業製「COM−1600ST」にて、樹脂のTHF/水溶液を、アルコール性の0.1mol/L水酸化カリウム溶液で滴定することにより測定した。
平沼産業製「COM−1600ST」にて、樹脂のTHF/水溶液を、アルコール性の0.1mol/L水酸化カリウム溶液で滴定することにより測定した。
(9)耐衝撃試験
外形8mm、厚み1mmの円盤状のサンプルを作製し、重さ500gのアルミ製冶倶の座ぐり部にワッッシャーで固定して、3mの高さからコンクリート上に5回落下させた。該試験を10個のサンプルで行いクラックまたは破損の生じたサンプルの個数に応じて下記判定基準を設定した。
クラックが生じるか破損したサンプルの個数 …0個 ◎
1〜2個 ○
3〜5個 △
6個以上 ×
外形8mm、厚み1mmの円盤状のサンプルを作製し、重さ500gのアルミ製冶倶の座ぐり部にワッッシャーで固定して、3mの高さからコンクリート上に5回落下させた。該試験を10個のサンプルで行いクラックまたは破損の生じたサンプルの個数に応じて下記判定基準を設定した。
クラックが生じるか破損したサンプルの個数 …0個 ◎
1〜2個 ○
3〜5個 △
6個以上 ×
(10)離型性評価
加熱成形後、ステンレスでできた金型から成形体を外す際の離型性を下記基準に従って評価した。
◎:自然に離型した。
○:若干の力を必要とするものの、容易に離型した。
△:無理な力が必要となり、破損はないものの、内部歪みやレンズ面の変形のために光学的に影響を受けた。
×:大きな力が必要となり、破損した。
加熱成形後、ステンレスでできた金型から成形体を外す際の離型性を下記基準に従って評価した。
◎:自然に離型した。
○:若干の力を必要とするものの、容易に離型した。
△:無理な力が必要となり、破損はないものの、内部歪みやレンズ面の変形のために光学的に影響を受けた。
×:大きな力が必要となり、破損した。
[ベース樹脂の合成]
以下で使用した樹脂の原料モノマーとして、9,9’−ビスチオフェノールフルオレン、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン−6,6’−ジチオールは、Journal of Polymer Science,PartA:Polymer Chemistry(2001),39(7),1040-1050、あるいは特開2002−338540号公報に記載の手法に準拠し、対応するアルコール(9,9’−ビスフェノールフルオレン、あるいは3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン−6,6’−ジオール)を出発原料として合成した。また9,9’−ビスフェノールフルオレンにエチレンオキサイドを作用させることにより、ヒドロエチル基を導入したポリエステル原料のモノマーを合成した。
さらにこれらのモノマ−を原料として、特開2001−106761号公報記載の手法に準じて、ポリチオカーボネート(R−1)および(R−2)、ポリエステル(R−3)、ポリチオウレタン(R−4)を合成した。
以下で使用した樹脂の原料モノマーとして、9,9’−ビスチオフェノールフルオレン、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン−6,6’−ジチオールは、Journal of Polymer Science,PartA:Polymer Chemistry(2001),39(7),1040-1050、あるいは特開2002−338540号公報に記載の手法に準拠し、対応するアルコール(9,9’−ビスフェノールフルオレン、あるいは3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン−6,6’−ジオール)を出発原料として合成した。また9,9’−ビスフェノールフルオレンにエチレンオキサイドを作用させることにより、ヒドロエチル基を導入したポリエステル原料のモノマーを合成した。
さらにこれらのモノマ−を原料として、特開2001−106761号公報記載の手法に準じて、ポリチオカーボネート(R−1)および(R−2)、ポリエステル(R−3)、ポリチオウレタン(R−4)を合成した。
(本発明に用いられる樹脂の合成)
上記ポリチオカーボネート(R−1)および(R−2)に対して、クロロスルホン酸を作用させることにより対応する官能基含有樹脂(P−2)および(P−4)を合成した。ポリチオカーボネート(R−1)およびポリエステル(R−3)に対してスルホ安息香酸無水物を作用させることにより対応する官能基含有樹脂(P−13)および(P−22)を合成した。ポリウレタン(R−4)に対して、スルホ安息香酸無水物を作用させることにより対応する官能基含有樹脂(P-24)を合成した。またポリエステル(R−3)に対してオキシ塩化リンを作用させ加水分解することで対応する官能基含有樹脂(P−28)を合成した。
上記ポリチオカーボネート(R−1)および(R−2)に対して、クロロスルホン酸を作用させることにより対応する官能基含有樹脂(P−2)および(P−4)を合成した。ポリチオカーボネート(R−1)およびポリエステル(R−3)に対してスルホ安息香酸無水物を作用させることにより対応する官能基含有樹脂(P−13)および(P−22)を合成した。ポリウレタン(R−4)に対して、スルホ安息香酸無水物を作用させることにより対応する官能基含有樹脂(P-24)を合成した。またポリエステル(R−3)に対してオキシ塩化リンを作用させ加水分解することで対応する官能基含有樹脂(P−28)を合成した。
(比較化合物の合成)
一方、比較化合物として、特開2007−238929号公報の実施例9に使用の樹脂(B−2)を該公報記載の手法に準じて合成した。下記(B−2)は、l=4と5の混合物である。
一方、比較化合物として、特開2007−238929号公報の実施例9に使用の樹脂(B−2)を該公報記載の手法に準じて合成した。下記(B−2)は、l=4と5の混合物である。
[無機微粒子分散液の調製]
(酸化ジルコニウム微粒子の合成)
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmの酸化ジルコニウム微粒子の生成を確認した。無機微粒子の屈折率は2.1であった。
(酸化ジルコニウム微粒子の合成)
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmの酸化ジルコニウム微粒子の生成を確認した。無機微粒子の屈折率は2.1であった。
(酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液の調製)
前記(1)で調製した酸化ジルコニウム微粒子懸濁液(濃度10質量%)500gに、500gのN,N’−ジメチルアセトアミドを加え約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った後、N,N’−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調整をすることによって10質量%の酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液を得た。
前記(1)で調製した酸化ジルコニウム微粒子懸濁液(濃度10質量%)500gに、500gのN,N’−ジメチルアセトアミドを加え約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った後、N,N’−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調整をすることによって10質量%の酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液を得た。
(酸化チタン微粒子分散液の調整)
特開2003−73559号公報の合成例9に記載される方法に従い、酸化チタン微粒子を合成した。X線解析(XRD)と透過型電子顕微鏡(TEM)により、アナタ―ス型酸化チタン微粒子(数平均粒子サイズは約5nm)の生成を確認した。前記酸化チタン微粒子を1−ブタノールに懸濁させ、超音波処理を30分行った後、100℃にて30分間加熱し、酸化チタン白色分散液を得た。
特開2003−73559号公報の合成例9に記載される方法に従い、酸化チタン微粒子を合成した。X線解析(XRD)と透過型電子顕微鏡(TEM)により、アナタ―ス型酸化チタン微粒子(数平均粒子サイズは約5nm)の生成を確認した。前記酸化チタン微粒子を1−ブタノールに懸濁させ、超音波処理を30分行った後、100℃にて30分間加熱し、酸化チタン白色分散液を得た。
[有機無機複合組成物の調製および透明成形体(レンズ基材)の作製]
[実施例1]
前記酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液に、樹脂(P−2)および4−n−プロピル安息香酸(以下、C3BAとも言う)を、質量比がPA−1/ZrO2固形分/C3BA=52/40/8となるように添加して均一に攪拌混合した後、加熱減圧下ジメチルアセトアミド溶媒を濃縮した。該濃縮残渣をSUS製の金型で加熱圧縮成形し(温度180℃、圧力13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
[実施例1]
前記酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液に、樹脂(P−2)および4−n−プロピル安息香酸(以下、C3BAとも言う)を、質量比がPA−1/ZrO2固形分/C3BA=52/40/8となるように添加して均一に攪拌混合した後、加熱減圧下ジメチルアセトアミド溶媒を濃縮した。該濃縮残渣をSUS製の金型で加熱圧縮成形し(温度180℃、圧力13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
各実施例および比較例で用いた樹脂を下記表1に記載する。
[実施例2〜6、比較例1〜3]
上記実施例1と同様にして、表1に示す構成成分からなる有機無機複合組成物を調製して、透明成形体(レンズ基材)を得た。但し、実施例2は、温度220℃、圧力13.7MPa、時間2分で加熱圧縮成形した。
上記実施例1と同様にして、表1に示す構成成分からなる有機無機複合組成物を調製して、透明成形体(レンズ基材)を得た。但し、実施例2は、温度220℃、圧力13.7MPa、時間2分で加熱圧縮成形した。
[実施例7]
上記無機微粒子の合成例2に記載の方法に従って得られた酸化チタン微粒子白濁液を、酸化チタンの固形部分が全固形分の20質量%となる様に、樹脂(P−2)が10質量%で溶解したクロロホルム溶液に撹拌しながら常温で5分かけて滴下した。得られた混合液から溶媒を留去することにより得られた濃縮残渣を実施例1と同様にして加熱圧縮成形し(温度180℃、圧力13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
上記無機微粒子の合成例2に記載の方法に従って得られた酸化チタン微粒子白濁液を、酸化チタンの固形部分が全固形分の20質量%となる様に、樹脂(P−2)が10質量%で溶解したクロロホルム溶液に撹拌しながら常温で5分かけて滴下した。得られた混合液から溶媒を留去することにより得られた濃縮残渣を実施例1と同様にして加熱圧縮成形し(温度180℃、圧力13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
[実施例8〜12、および比較例4〜6]
上記実施例7と同様にして、表1に示す構成成分からなる有機無機複合組成物を調製して、透明成形体(レンズ基材)を得た。但し、実施例8および比較例5は、温度220℃、圧力13.7MPa、時間2分で加熱圧縮成形した。
上記実施例7と同様にして、表1に示す構成成分からなる有機無機複合組成物を調製して、透明成形体(レンズ基材)を得た。但し、実施例8および比較例5は、温度220℃、圧力13.7MPa、時間2分で加熱圧縮成形した。
[比較例7]
特開2007−238929号公報実施例9と同様にして、前記樹脂(B−2)を用いて有機無機複合材料を調整し、溶媒を留去することにより得られた濃縮残渣を実施例1と同様にして加熱圧縮成形し(温度180℃、圧力13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
特開2007−238929号公報実施例9と同様にして、前記樹脂(B−2)を用いて有機無機複合材料を調整し、溶媒を留去することにより得られた濃縮残渣を実施例1と同様にして加熱圧縮成形し(温度180℃、圧力13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
[試験結果]
実施例1〜12と比較例1〜7で調製した各成形体(レンズ基材)を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が樹脂中に均一に分散しているか否かを確認した。さらに光線透過率測定、屈折率測定、耐衝撃試験および離型性評価を行った。これらの結果を以下の表2に示す。
実施例1〜12と比較例1〜7で調製した各成形体(レンズ基材)を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が樹脂中に均一に分散しているか否かを確認した。さらに光線透過率測定、屈折率測定、耐衝撃試験および離型性評価を行った。これらの結果を以下の表2に示す。
上記表2から明らかなように、特開2007−238884号公報に記載の手法で得られた比較例1〜6の有機無機複合材料に比べて、本発明の実施例1〜12の有機無機複合材料は高温高圧による成形条件を経てもより良好な粒子分散性を維持し、同等の高い屈折率を示し、特に厚さ1mmとした場合であっても光線透過率に非常に優れる成形物を与えることが分かる。また、特開2007−238884号公報に記載の手法で得られた比較例1〜6の有機無機複合材料や特開2007−238929号公報の実施例9に記載の有機無機複合材料を使用した比較例7の成形体に比べて、本発明の実施例1〜12の有機無機複合材料は衝撃強度に優れていることがわかった。さらに、驚くべきことに比較例1〜7に対して実施例1〜12の有機無機複合材料は、金型からの離型性が大幅に向上したことがわかった。このように硫黄原子と芳香環とを含む構造単位含有ポリマーの側鎖またはポリマー主鎖末端に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を導入することで金型からの離型性が大幅に向上することは、従来技術から予想できない効果であった。
また、本発明の有機無機複合組成を用いて、凹レンズ、凸レンズ等の金型形状に合わせて生産性よく正確にレンズ形状を形成できることを確認した。
また、本発明の有機無機複合組成を用いて、凹レンズ、凸レンズ等の金型形状に合わせて生産性よく正確にレンズ形状を形成できることを確認した。
Claims (18)
- 前記一般式(2)または一般式(3)で表わされる構造単位が、下記一般式(4)〜一般式(7)のいずれか1つで表わされる構造単位であることを特徴とする請求項2に記載の有機無機複合材料。
- 前記樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 前記樹脂が、側鎖に下記から選ばれる官能基を有する樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
- 前記官能基がポリマー鎖1本あたり平均0.5〜20個含まれていることを特徴とする請求項1〜6に記載の有機無機複合材料。
- 前記樹脂が、ポリマー主鎖末端の少なくとも1箇所に、下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
- 前記無機微粒子の数平均粒子サイズが1〜15nmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
- 前記無機微粒子が、屈折率が1.90〜3.00の金属カルコゲナイドであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 前記無機微粒子が、ジルコニウムのカルコゲナイド、亜鉛のカルコゲナイドまたはチタンのカルコゲナイドを含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 前記無機微粒子を5質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 熱可塑性であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の有機無機複合材料を成形した成形体。
- 波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であり、屈折率が1.65以上であることを特徴とする請求項14に記載の成形体。
- 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする請求項14または15に記載の成形体。
- 請求項14〜16のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
- レンズ基材であることを特徴とする請求項17に記載の光学部品。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-08-13 JP JP2008208427A patent/JP2010043191A/ja active Pending
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