JP2016023212A - ポリマー吸着タングステン酸ジルコニウム粒子およびそれを含む樹脂組成物 - Google Patents
ポリマー吸着タングステン酸ジルコニウム粒子およびそれを含む樹脂組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 粒子間の凝集がなく、かつ広範なポリマーとの親和性がよいポリマー吸着ZrW2O8粒子を提供する。また、そのようなポリマー吸着ZrW2O8粒子を高濃度で均一に分散した樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】 本発明のポリマー吸着ZrW2O8粒子は、分子中にアルキル側鎖および/または芳香族側鎖と1×10−6〜1×10−3モル/gの水酸基とを有する低誘電率溶媒可溶性ポリマーが吸着している。また、本発明の樹脂組成物は、ポリマー吸着ZrW2O8粒子をZrW2O8粒子換算で1〜90体積%含む。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明のポリマー吸着ZrW2O8粒子は、分子中にアルキル側鎖および/または芳香族側鎖と1×10−6〜1×10−3モル/gの水酸基とを有する低誘電率溶媒可溶性ポリマーが吸着している。また、本発明の樹脂組成物は、ポリマー吸着ZrW2O8粒子をZrW2O8粒子換算で1〜90体積%含む。
【選択図】 なし
Description
本発明は負の熱膨張係数を持つ無機粒子からなる低熱膨張性材料、およびそれを含む樹脂組成物に関する。
様々な機器の小型化、軽量化によりポリマー材料が多用されるようになり、ポリマー材料と他材料との熱膨張の差による歪発生防止やポリマー材料自身の低熱膨張化等のニーズが高まっている。従来はシリカ粒子などの無機フィラーをポリマーに高充填することで熱膨張が抑制されてきたが、近年、負の熱膨張係数を有する粒子を配合することが検討されている(特許文献1)。
現在最も広く検討されている負の熱膨張係数を有する粒子は、タングステン酸ジルコニウム(ZrW2O8)である。これは、高温で酸化タングステンと酸化ジルコニウムを固溶させる方法、または水熱反応で合成される(非特許文献1)。後者では1マイクロメートル以下の微粒子を合成できるメリットがあるが、高温焼成時に微粒子同士が強く凝集するため、焼成後に解砕処理をしなければポリマーへ均一分散させにくい問題がある。さらに、ZrW2O8粒子自体は親水性が強くて疎水性のポリマーとの親和性が悪いので、そのままでは均一に混ざらないばかりでなく粒子とマトリックスポリマーとの間で界面剥離が起こりやすい。
現在最も広く検討されている負の熱膨張係数を有する粒子は、タングステン酸ジルコニウム(ZrW2O8)である。これは、高温で酸化タングステンと酸化ジルコニウムを固溶させる方法、または水熱反応で合成される(非特許文献1)。後者では1マイクロメートル以下の微粒子を合成できるメリットがあるが、高温焼成時に微粒子同士が強く凝集するため、焼成後に解砕処理をしなければポリマーへ均一分散させにくい問題がある。さらに、ZrW2O8粒子自体は親水性が強くて疎水性のポリマーとの親和性が悪いので、そのままでは均一に混ざらないばかりでなく粒子とマトリックスポリマーとの間で界面剥離が起こりやすい。
ZrW2O8粒子表面のポリマーへの親和性を改善するために、シランカップリング剤処理が検討されている(非特許文献1)。また、特開2006−307199号公報(特許文献2)に記載のグラフトポリマー、または特開2008−266103号公報(特許文献3)に記載のカプセル技術を利用すれば、ZrW2O8粒子を表面処理することなく解砕してポリマーと複合できる可能性がある。
しかしながら、特許文献2および3に記載の技術では、グラフトポリマーの他ポリマーへの相溶性に関して考慮されていないため、グラフトポリマーと親和性のない他ポリマーへのZrW2O8粒子の均一分散は困難であり、他ポリマーとの間で界面剥離が起こりやすいと考えられる。
Jounal of Crystal Growth, 283, 208−214 (2005)
Materals Chemistry and Physics,137, 448−457 (2012)
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、粒子間の凝集がなく、かつ広範なポリマーとの親和性がよいZrW2O8粒子を提供することにある。また、そのようなZrW2O8粒子を高濃度で均一に分散した樹脂組成物を提供することにある。
本発明のポリマー吸着ZrW2O8粒子は、ZrW2O8粒子に分子中アルキル側鎖および/または芳香族側鎖と水酸基とを有するポリマーを吸着したポリマー吸着ZrW2O8粒子であって、
前記アルキル鎖は、前記ポリマーの主鎖に直接結合またはポリマーの主鎖に直接結合しているアルキル鎖にエステル結合もしくはエーテル結合によって結合し、
前記芳香族鎖は、前記ポリマーの主鎖に直接結合またはポリマーの主鎖に直接結合しているアルキル鎖にエステル結合もしくはエーテル結合によって結合し、
前記水酸基は、ポリマー分子中に1×10−6〜1×10−3モル/gであり、
前記ポリマー分子が、低誘電率溶媒可溶性ポリマーである。
前記アルキル鎖は、前記ポリマーの主鎖に直接結合またはポリマーの主鎖に直接結合しているアルキル鎖にエステル結合もしくはエーテル結合によって結合し、
前記芳香族鎖は、前記ポリマーの主鎖に直接結合またはポリマーの主鎖に直接結合しているアルキル鎖にエステル結合もしくはエーテル結合によって結合し、
前記水酸基は、ポリマー分子中に1×10−6〜1×10−3モル/gであり、
前記ポリマー分子が、低誘電率溶媒可溶性ポリマーである。
好ましい実施態様においては、前記ポリマー分子中の前記アルキル鎖が1×10−5〜5×10−2モル/gであり、前記ポリマー分子中の前記芳香族鎖が1×10−5〜5×10−2モル/gである。
好ましい実施態様においては、前記低誘電率溶媒可溶性ポリマーは、比誘電率5以下の有機溶媒に可溶である。
好ましい実施態様においては、ZrW2O8粒子は、長さ10nm〜10μm、最大幅10nm〜10μmの結晶である。
本発明の樹脂組成物は、ポリマー吸着ZrW2O8粒子をZrW2O8粒子換算で1〜90体積%含む。
好ましい実施態様においては、前記樹脂組成物は、低誘電率溶媒可溶性ポリマーが吸着したポリマー吸着ZrW2O8粒子の他に少なくとも1種類の金属酸化物を含む。
好ましい実施態様においては、前記樹脂組成物は、低誘電率溶媒可溶性ポリマーが吸着したポリマー吸着ZrW2O8粒子の他に少なくとも1種類の金属酸化物を含む。
本発明によれば、粒子間の凝集がなく、かつ広範なポリマーとの親和性がよいポリマー吸着ZrW2O8粒子を提供することができる。また、そのようなポリマー吸着ZrW2O8粒子を用いることにより、生産性良くZrW2O8粒子を高濃度で均一に分散した樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本発明に用いられるZrW2O8粒子は、長さ10nm〜10μmで最大幅10nm〜10μmの棒状、球状、多面体、楕円体状および立方体状のいずれか1種以上の結晶であり、棒状結晶の断面形状は、長方形、正方形、楕円、円形のいずれかであり、前記最大幅とは、断面形状で最も長いところを意味する。そして、前記結晶は、好ましくは長さ10nm〜5μmで最大幅10nm〜5μmの結晶、より好ましくは長さ20nm〜1μmで最大幅20nm〜1μmの結晶である。10nmより小さいと粒子を含むポリマーの熱膨張を抑制する効果が小さくなる。長さおよび最大幅が、10μmより大きいと例えばフィルム等の薄膜に利用し難くなる。長さと最大幅の比は30:1〜1:1の範囲にあり、好ましくは20:1〜1:1の範囲であり、より好ましくは10:1〜1:1の範囲であり、1:1にできるだけ近い方がZrW2O8粒子のポリマー中での分散が均一となりやすい。30:1より比が大きくなるとZrW2O8粒子を含むポリマーの熱膨張が等方的でなくなる。
このようなZrW2O8粒子は、非特許文献1に記載の合成方法を援用することで合成可能である。原料であるジルコニウム塩の種類、反応時間、反応温度、酸の種類と濃度の設定により棒状結晶のサイズを制御することができる。なお、前記のようなサイズの棒状結晶を合成できる反応時間、反応温度および酸濃度の条件は金属塩原料の仕込み量によって異なり、例えば、原料となるタングステン酸ナトリウム・2水和物の仕込み量が、6N塩酸10ml中0.002モルであれば、反応温度150℃で4時間が反応条件の目安となる。なお、撹拌することにより、粒度分布と粒子径は小さくなる傾向がある。生成物の確認は、ラマンスペクトルとX線回折によって実施できる。
本発明のポリマー吸着ZrW2O8粒子は、ZrW2O8粒子に、分子中に1×10−5〜5×10−2モル/gのアルキル側鎖および/または1×10−5〜5×10−2モル/gの芳香族側鎖と1×10−6〜1×10−3モル/gの水酸基とを有する低誘電率溶媒可溶性のポリマーが吸着している(以降、これを吸着ポリマーとする)。吸着量としては、ZrW2O8粒子1gに対して0.005〜1g、好ましくは0.02〜0.5g、より好ましくは0.05〜0.25gである。0.005gより少ないと吸着効果が発揮されない。1gより多いと吸着していないポリマーが多く存在することになる。
吸着量は、吸着処理を行ったポリマー吸着ZrW2O8粒子を低誘電率溶媒で遠心分離などを用いて洗浄した後、乾燥物の熱分析をすることで決定することができる。また、吸着状態は洗浄後のポリマー吸着ZrW2O8粒子を透過型電子顕微鏡で観察することで評価することができる。
吸着ポリマーのZrW2O8粒子への吸着処理は、低誘電率溶媒に吸着ポリマーを溶解させ、これにZrW2O8粒子を加えて1〜24時間撹拌、あるいは必要に応じて混合液を超音波ホモジナイザー処理または混合液にジルコニアビーズを加えてミル分散することで実施できる。また、必要に応じてこれらの処理を行った分散液から遠心分離を用いてポリマー吸着ZrW2O8粒子を回収し、再度低誘電率溶媒に分散させる工程を繰り返して未吸着の吸着ポリマーを除いてもよい。最終的には得られたポリマー吸着ZrW2O8粒子分散液から溶媒を除去して乾燥状態のポリマー吸着ZrW2O8粒子を回収する。
吸着処理において用いることのできる低誘電率溶媒としては、比誘電率5以下の有機溶媒が好ましい。ヘキサンやシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエンなどの芳香族炭化水素、クロロホルムなどのハロ化脂肪族炭化水素、ジエチルエーテルなどのエーテルなどを挙げることができる。
前記吸着ポリマーおいて、水酸基はZrW2O8粒子への吸着点となる部分であり、ポリマー1gあたり1×10−6〜1×10−2モル/g、好ましくは3×10−5〜8×10−2モル/g、より好ましくは5×10−6〜5×10−2モル/g存在する。1×10−6モル/gより少ないと吸着できない。1×10−2モル/gより多いと吸着ポリマー自体が低誘電率溶媒に溶けにくくなる。
こうした水酸基は、吸着ポリマーとなるポリマーが元から水酸基を持っている場合は、水酸基をエステル化またはエーテル化することによって吸着点となる水酸基量を調節することができる。吸着ポリマーとなるポリマーが水酸基を持っていない場合は、ラジカル開始剤やN-ヒドロキシフタルイミドを用いてポリマー分子上に生成させたアルキルラジカルに水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アリルアルコールなどの水酸基または加水分解などによって水酸基を生成するような基をもつ不飽和化合物を反応させる、あるいは酸素分子を反応させることによって、水酸基を導入することができる。これらの反応は公知の反応条件を援用して実施できる。なお、水酸基を導入する方法はこれらに限定されず、吸着ポリマーとなるポリマーの構造によって当業者であれば容易に実施できる方法も含まれる。
水酸基の量は、1H−NMR、13C−NMRなどを用いて検出、あるいは酢酸を用いて滴定することにより定量できる。例えば、不飽和化合物を反応させた場合、不飽和化合物に由来する分子構造の一部を1Hまたは13C−NMRを用いて定量することで実施可能である。
アルキル側鎖および芳香族側鎖は、それぞれ、吸着ポリマーの他ポリマーとの親和性を改善する機能を有しており、他ポリマーの種類によって適宜選択することができる。例えば、他ポリマーがポリオレフィンであればアルキル側鎖が好ましく、ポリカーボネートやポリスチレンのような芳香族基を有するポリマーであれば芳香族側鎖が好ましく、ABSのような共重合体であれば両方の側鎖を有することが好ましい。
アルキル側鎖は、アルキル基を主体とする有機基がポリマーの主鎖に直接結合する形態、あるいは、ポリマーの主鎖に直接結合しているアルキル鎖に1つまたは複数のアルキル基を主体とする有機基がエステル結合またはエーテル結合を介して結合する形態を有している。また、アルキル側鎖は、構造の一部にカルボキシル基、水酸基などの官能基を有していてもよい。
前記アルキル基を主体とする有機基は、プロピル基、ヘキシル基、ヘキサデシル基などのC3〜C16の鎖状アルキル基;イソプロピル基、2−エチルヘキシル基などのC3〜C16の分岐状アルキル基;シクロヘキシル基、アダマンチル基などのC6〜C16の環状アルキル基;シクロヘキシルエチル基、アダマンチルエチル基などのC6〜C16の環状アルキル基を有するC1〜C6アルキル基;および、C3〜C16の鎖状アルキル基、C3〜C16の分岐状アルキル基またはC6〜C16の環状アルキル基を有するアリール基;ならびに、カルボキシル基および/または水酸基を有するプロピル基、ヘキシル基、ヘキサデシル基などのC3〜C16の鎖状アルキル基;イソプロピル基、2−エチルヘキシル基などのC3〜C16の分岐状アルキル基;シクロヘキシル基、アダマンチル基などのC6〜C16の環状アルキル基;シクロヘキシルエチル基、アダマンチルエチル基などのC6〜C16の環状アルキル基を有するC1〜C6アルキル基;およびC3〜C16の鎖状アルキル基、C3〜C16の分岐状アルキル基またはC6〜C16の環状アルキル基を有するアリール基;からなる群より少なくとも1つ選択される。
アルキル基を主体とする有機基の量は、ポリマー1gあたり1×10−5〜5×10−2モル/g、好ましくは5×10−5〜1×10−2モル/g、より好ましくは1×10−4〜5×10−3モル/g存在する。1×10−5モル/gより少ないと、吸着ポリマーの他ポリマーとの親和性を改善する効果を発揮できない。
こうしたアルキル側鎖は、吸着ポリマーとなるポリマーが元から側鎖として前記のようなアルキル基を主体とする有機基を持っている場合は、そのまま利用できる。一方、吸着ポリマーとなるポリマーがアルキル側鎖を持っていない場合は、ラジカル開始剤やN-ヒドロキシフタルイミドを用いてポリマー分子上に生成させたアルキルラジカルに前記のようなアルキル基を主体とする有機基を有する(メタ)アクリル酸エステル、アルケンまたはアルキンを反応させることによって、アルキル側鎖を導入することができる。これらの反応は公知の反応条件を援用して実施できる。なお、アルキル側鎖を導入する方法はこれらに限定されず、吸着ポリマーとなるポリマーの構造によって当業者であれば容易に実施できる方法も含まれる。
アルキル基を主体とする有機基の量は、反応させた(メタ)アクリル酸エステル、アルケンまたはアルキンに由来する分子構造の一部を1Hまたは13C−NMRを用いて定量することで実施可能である。
芳香族側鎖は、芳香族基を主体とする有機基がポリマーの主鎖に直接結合する形態、あるいは、ポリマーの主鎖に直接結合しているアルキル鎖に1つまたは複数の芳香族基を主体とする有機基がエステル結合またはエーテル結合を介して結合する形態を有している。また、芳香族側鎖は、構造の一部にカルボキシル基、水酸基などの官能基を有していてもよい。
前記芳香族基を主体とする有機基は、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピレニル基などの単環または多環芳香族基;ピリジル基、キノリル基、ベンゾピラニル基などの複素芳香族基;およびこれらの基を持つC1〜C6アルキル基;ならびに、カルボキシル基および/または水酸基を有するフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ピレニル基などの単環または多環芳香族基;ピリジル基、キノリル基、ベンゾピラニル基などの複素芳香族基;およびこれらの基を持つC1〜C6アルキル基からなる群より少なくとも1つ選択される。
前記芳香族基を主体とする有機基の量は、ポリマー1gあたり1×10−5〜5×10−2モル/g、好ましくは5×10−5〜1×10−2モル/g、より好ましくは1×10−4〜5×10−3モル/g存在する。1×10−5モル/gより少ないと、吸着ポリマーの他ポリマーとの親和性を改善する効果を発揮できない。5×10−2モル/gより多いと吸着ポリマー自体が低誘電率溶媒に溶けにくくなる。
こうした芳香族側鎖は、吸着ポリマーとなるポリマーが元から側鎖として芳香族系有機基を持っている場合は、そのまま利用できる。一方、吸着ポリマーとなるポリマーが芳香族側鎖を持っていない場合は、ラジカル開始剤やN-ヒドロキシフタルイミドを用いてポリマー分子上に生成させたアルキルラジカルに前記のような芳香族基を主体とする有機基を有する(メタ)アクリル酸エステル、アルケンまたはアルキンを反応させることによって、芳香族側鎖を導入することができる。これらの反応は公知の反応条件を援用して実施できる。なお、芳香族側鎖を導入する方法はこれらに限定されず、吸着ポリマーとなるポリマーの構造によって当業者であれば容易に実施できる方法も含まれる。
芳香族基を主体とする有機基の量は、反応させた(メタ)アクリル酸エステル、アルケンまたはアルキンに由来する分子構造の一部を1Hまたは13C−NMRを用いて定量することで実施可能である。
吸着ポリマーは、分子中に1×10−5〜5×10−2モル/gのアルキル側鎖および/または芳香族側鎖と1×10−6〜1×10−3モル/gの水酸基とを有する低誘電率溶媒に可溶なポリマーであれば特に限定されない。また、分子中にアルキル側鎖、芳香族側鎖、水酸基のいずれか、またはすべてを持っていないポリマーであってもこれらが導入された後に低誘電率溶媒に可溶となれば、そのポリマーは特に限定されない。通常、分子中にアルキル側鎖、芳香族側鎖および水酸基のすべてを有するようなポリマーは存在しないか、あっても入手が容易ではないので、後からこれらの基を導入する方が好ましい。導入しやすいポリマーとしては、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、有機溶剤に可溶なシクロオレフィンポリマー、低分子量ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、ビスフェノールFまたはビスフェノールZ骨格を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFまたはビスフェノールZ骨格を有するポリカーボネートなどを挙げることができる。また、原子移動ラジカル重合のようなリビングラジカル重合を用いて合成される構造が制御されたブロック共重合体、例えばポリステアリルアクリレートまたはポリベンジルアクリレートブロックの間に1〜2個のヒドロキシエチルアクリレート重合ユニットが挟まれるような構造を持つブロック共重合体も利用できる。
本発明の樹脂組成物は、ポリマーまたはプレポリマーと本発明のポリマー吸着ZrW2O8粒子とを含み、ZrW2O8粒子をZrW2O8粒子換算で1〜90体積%含む。ZrW2O8粒子の含有量によって樹脂組成物の熱膨張率を制御できるため、含有量は用途によって前記範囲内で適宜選択することができる。なお、ZrW2O8粒子の大きさにもよるが、90体積%より多くなると粉状になりやすい。
本発明のポリマー吸着ZrW2O8粒子をポリマーまたはプレポリマーと混合する方法は、ポリマーまたはプレポリマーが固体の場合は、これらと吸着ポリマーが吸着したZrW2O8粒子を紛体で混合した後、ニーダーや二軸押出機などを用いて溶融混合する乾式プロセス、あるいは、ポリマーまたはプレポリマーを適切な溶剤に溶解してポリマー吸着ZrW2O8粒子と混合・撹拌またはホモジナイザーやビーズミルを用いた分散処理をする湿式プロセスで行うことができる。これらの方法は、用いるポリマーまたはプレポリマーの性状によって適宜選択することができる。ポリマーまたはプレポリマーが液状の場合は、これらとポリマー吸着ZrW2O8粒子とを攪拌機、3本ロールやニーダーなどを用いて混合、あるいは、ポリマーまたはプレポリマーを適切な溶剤または希釈剤で希釈してポリマー吸着ZrW2O8粒子と混合・撹拌またはホモジナイザーやビーズミルを用いた分散処理をすることで混合処理できる。これらの方法は、用いるポリマーまたはプレポリマーの性状によって適宜選択することができる。
本発明のポリマー吸着ZrW2O8粒子と混合するポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、ABS,ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィドなどを挙げることができる。
本発明のポリマー吸着ZrW2O8粒子と混合するプレポリマーとしては、硬化剤や重合開始剤などの反応性化合物または光や熱などの外部刺激によって高分子化する反応性化合物を挙げることができる。そのようなものとしては、例えばエポキシ樹脂、反応性シリコーン、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテルなどの不飽和低分子化合物などを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じてさらに硬化剤、架橋剤、重合開始剤、物性を調整するための高分子化合物または低分子化合物、シリカやクレイのような無機フィラーを含むことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例には限定されない。
[ZrW2O8粒子の合成]
Na2WO4・2H2O 0.66gを蒸留水3mlに溶解させた水溶液にZrOCl2・8H2O 0.45gを蒸留水2mlに溶解させた水溶液を加え、さらに濃塩酸5mlを加えて室温で30分撹拌した。得られた薄黄色ゲルを50mlテフロン(登録商標)インサート付きのオートクレーブに入れ、150℃で4時間反応させた。反応後、生成物を取出し、蒸留水で数度洗浄した。次いでメタノールで洗浄後、乾燥(60℃)させた。乾燥後、無色粉を軽く乳鉢ですり潰し、電気炉で600℃ 30分熱処理した。生成物のラマンスペクトルとX線回折を測定して、生成物がZrW2O8であることを確認した。また、透過型電子顕微鏡で粒子を観察したところ、平均長径500nm、平均直径50nmの針状晶であった。
Na2WO4・2H2O 0.66gを蒸留水3mlに溶解させた水溶液にZrOCl2・8H2O 0.45gを蒸留水2mlに溶解させた水溶液を加え、さらに濃塩酸5mlを加えて室温で30分撹拌した。得られた薄黄色ゲルを50mlテフロン(登録商標)インサート付きのオートクレーブに入れ、150℃で4時間反応させた。反応後、生成物を取出し、蒸留水で数度洗浄した。次いでメタノールで洗浄後、乾燥(60℃)させた。乾燥後、無色粉を軽く乳鉢ですり潰し、電気炉で600℃ 30分熱処理した。生成物のラマンスペクトルとX線回折を測定して、生成物がZrW2O8であることを確認した。また、透過型電子顕微鏡で粒子を観察したところ、平均長径500nm、平均直径50nmの針状晶であった。
[吸着ポリマー1の作製]
過酸化ベンゾイル(ナカライテスク製、水25%含有品)1gをトルエン14gに溶解し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この過酸化ベンゾイルの5%トルエン溶液12gとトルエン48gを100mlバイアル瓶に入れ、これにポリカーボネート(三菱ガス化学製、PCZ400)5gを溶解させた。さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)0.5gを加えて封管した後、窒素を20分間バブリングして窒素置換した。この液を100℃のオイルバス中で6時間攪拌した。反応液を室温に冷却後、メタノール200mlに投入して反応ポリマーを沈澱させた。沈殿物をTHF30mlに溶解し、メタノール200mlを徐々に加えて再沈澱させた。沈殿物を再びTHF30mlに溶解させ、メタノールを投入して沈澱させ、60℃の熱風乾燥機で8時間乾燥させた。得られたポリマーを重クロロホルムに溶解し、トリオキサンを内部基準として1H−NMRでHEAの導入量を測定した。1H−NMRでHEAの4.2ppmのピーク面積とポリカーボネートの7.0〜7.5ppmのベンゼン環のピーク面積の比から、ポリマー1g中の導入HEA量は、1.3×10−5molと算出した。
次に、過酸化ベンゾイル2gをトルエン50gに溶解し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この過酸化ベンゾイルトルエン溶液40gを100mlバイアル瓶に入れ、これにHEAを導入したポリカーボネート3.5gを溶解させた。さらに、イソボルニルアクリレート(IBA)1gを加えて封管した後、窒素を20分間バブリングして窒素置換した。この液を100℃のオイルバス中で12時間攪拌した。反応液を室温に冷却後、アセトン200mlに投入して反応ポリマーを沈澱させた。沈殿物をTHF30mlに溶解し、アセトン200mlを徐々に加えて再沈澱させた。沈殿物を再びTHF30mlに溶解させ、アセトンを投入して沈澱させ、60℃の熱風乾燥機で8時間乾燥させた。得られたポリマーを重クロロホルムに溶解し、トリオキサンを内部基準として1H−NMRでIBAの導入量を測定した。IBAのベンゼン環のプロトンに帰属される3.9ppmのピークの面積とシクロオレフィンポリマーの0.5〜2.5ppmのピーク面積の比から、ポリマー1g中の導入IBA量は、4×10−5モルと算出された。得られたポリマーはトルエンに溶解した。
過酸化ベンゾイル(ナカライテスク製、水25%含有品)1gをトルエン14gに溶解し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この過酸化ベンゾイルの5%トルエン溶液12gとトルエン48gを100mlバイアル瓶に入れ、これにポリカーボネート(三菱ガス化学製、PCZ400)5gを溶解させた。さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)0.5gを加えて封管した後、窒素を20分間バブリングして窒素置換した。この液を100℃のオイルバス中で6時間攪拌した。反応液を室温に冷却後、メタノール200mlに投入して反応ポリマーを沈澱させた。沈殿物をTHF30mlに溶解し、メタノール200mlを徐々に加えて再沈澱させた。沈殿物を再びTHF30mlに溶解させ、メタノールを投入して沈澱させ、60℃の熱風乾燥機で8時間乾燥させた。得られたポリマーを重クロロホルムに溶解し、トリオキサンを内部基準として1H−NMRでHEAの導入量を測定した。1H−NMRでHEAの4.2ppmのピーク面積とポリカーボネートの7.0〜7.5ppmのベンゼン環のピーク面積の比から、ポリマー1g中の導入HEA量は、1.3×10−5molと算出した。
次に、過酸化ベンゾイル2gをトルエン50gに溶解し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この過酸化ベンゾイルトルエン溶液40gを100mlバイアル瓶に入れ、これにHEAを導入したポリカーボネート3.5gを溶解させた。さらに、イソボルニルアクリレート(IBA)1gを加えて封管した後、窒素を20分間バブリングして窒素置換した。この液を100℃のオイルバス中で12時間攪拌した。反応液を室温に冷却後、アセトン200mlに投入して反応ポリマーを沈澱させた。沈殿物をTHF30mlに溶解し、アセトン200mlを徐々に加えて再沈澱させた。沈殿物を再びTHF30mlに溶解させ、アセトンを投入して沈澱させ、60℃の熱風乾燥機で8時間乾燥させた。得られたポリマーを重クロロホルムに溶解し、トリオキサンを内部基準として1H−NMRでIBAの導入量を測定した。IBAのベンゼン環のプロトンに帰属される3.9ppmのピークの面積とシクロオレフィンポリマーの0.5〜2.5ppmのピーク面積の比から、ポリマー1g中の導入IBA量は、4×10−5モルと算出された。得られたポリマーはトルエンに溶解した。
[吸着ポリマー2の作製]
過酸化ベンゾイル1gをトルエン14gに溶解し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この過酸化ベンゾイルの5%トルエン溶液12gとトルエン48gを100mlバイアル瓶に入れ、これにシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン製、ZEONEX330R)5gを溶解させた。さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)0.5gを加えて封管した後、窒素を20分間バブリングして窒素置換した。この液を100℃のオイルバス中で6時間攪拌した。反応液を室温に冷却後、アセトン200mlに投入して反応ポリマーを沈澱させた。沈殿物をシクロヘキサン30mlに溶解し、アセトン200mlを徐々に加えて再沈澱させた。沈殿物を再びシクロヘキサン30mlに溶解させ、アセトンを投入して沈澱させ、60℃の熱風乾燥機で8時間乾燥させた。得られたポリマーを重クロロホルムに溶解し、トリオキサンを内部基準として1H−NMRでHEAの導入量を測定した。HEAの水酸基の隣のプロトンに帰属される3.6ppmのピークの面積とシクロオレフィンポリマーの0.5〜2.5ppmのピーク面積の比から、ポリマー1g中の導入HEA量は、8×10−5モルと算出された。
次に、過酸化ベンゾイル1gをトルエン14gに溶解し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この過酸化ベンゾイルの5%トルエン溶液12gとトルエン48gを100mlバイアル瓶に入れ、これにHEAを導入したシクロオレフィンポリマー4gを溶解させた。さらに、4−ビニル安息香酸(VBA)0.5gを加えて封管した後、窒素を20分間バブリングして窒素置換した。この液を100℃のオイルバス中で6時間攪拌した。反応液を室温に冷却後、メタノール200mlに投入して反応ポリマーを沈澱させた。沈殿物をTHF30mlに溶解し、メタノール200mlを徐々に加えて再沈澱させた。沈殿物を再びTHF30mlに溶解させ、アセトンを投入して沈澱させ、60℃の熱風乾燥機で8時間乾燥させた。得られたポリマーを重クロロホルムに溶解し、トリオキサンを内部基準として1H−NMRでVBAの導入量を測定した。VBAのベンゼン環プロトンに帰属される7.7ppmのピークの面積とシクロオレフィンポリマーの0.5〜2.5ppmのピーク面積の比から、ポリマー1g中の導入VBA量は、3×10−4モルと算出された。得られたポリマーはシクロヘキサン、トルエンに溶解した。
過酸化ベンゾイル1gをトルエン14gに溶解し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この過酸化ベンゾイルの5%トルエン溶液12gとトルエン48gを100mlバイアル瓶に入れ、これにシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン製、ZEONEX330R)5gを溶解させた。さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)0.5gを加えて封管した後、窒素を20分間バブリングして窒素置換した。この液を100℃のオイルバス中で6時間攪拌した。反応液を室温に冷却後、アセトン200mlに投入して反応ポリマーを沈澱させた。沈殿物をシクロヘキサン30mlに溶解し、アセトン200mlを徐々に加えて再沈澱させた。沈殿物を再びシクロヘキサン30mlに溶解させ、アセトンを投入して沈澱させ、60℃の熱風乾燥機で8時間乾燥させた。得られたポリマーを重クロロホルムに溶解し、トリオキサンを内部基準として1H−NMRでHEAの導入量を測定した。HEAの水酸基の隣のプロトンに帰属される3.6ppmのピークの面積とシクロオレフィンポリマーの0.5〜2.5ppmのピーク面積の比から、ポリマー1g中の導入HEA量は、8×10−5モルと算出された。
次に、過酸化ベンゾイル1gをトルエン14gに溶解し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この過酸化ベンゾイルの5%トルエン溶液12gとトルエン48gを100mlバイアル瓶に入れ、これにHEAを導入したシクロオレフィンポリマー4gを溶解させた。さらに、4−ビニル安息香酸(VBA)0.5gを加えて封管した後、窒素を20分間バブリングして窒素置換した。この液を100℃のオイルバス中で6時間攪拌した。反応液を室温に冷却後、メタノール200mlに投入して反応ポリマーを沈澱させた。沈殿物をTHF30mlに溶解し、メタノール200mlを徐々に加えて再沈澱させた。沈殿物を再びTHF30mlに溶解させ、アセトンを投入して沈澱させ、60℃の熱風乾燥機で8時間乾燥させた。得られたポリマーを重クロロホルムに溶解し、トリオキサンを内部基準として1H−NMRでVBAの導入量を測定した。VBAのベンゼン環プロトンに帰属される7.7ppmのピークの面積とシクロオレフィンポリマーの0.5〜2.5ppmのピーク面積の比から、ポリマー1g中の導入VBA量は、3×10−4モルと算出された。得られたポリマーはシクロヘキサン、トルエンに溶解した。
[吸着ポリマー1の吸着したZrW2O8粒子の作製]
30mlガラス瓶中で吸着ポリマー1 0.1gをトルエン3mlに溶解させた後、これにシクロヘキサン3ml、ZrW2O8粒子0.5g、および3mmφジルコニアビーズ10mlを加えてミル分散を2時間行ったところ、均一分散液が得られた。
分散液をトルエン100mlで希釈して遠心沈降させた。沈降物を再度トルエンに分散して遠心沈降させ、吸着ポリマー1の吸着したZrW2O8粒子を回収した。得られた粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ZrW2O8粒子表面にコントラストの異なる薄い層が不均一に観察された。この層は吸着ポリマーと考えられる。また、酸素雰囲気下で熱分析を行ったところ、約5重量%の重量減少が見られた。
30mlガラス瓶中で吸着ポリマー1 0.1gをトルエン3mlに溶解させた後、これにシクロヘキサン3ml、ZrW2O8粒子0.5g、および3mmφジルコニアビーズ10mlを加えてミル分散を2時間行ったところ、均一分散液が得られた。
分散液をトルエン100mlで希釈して遠心沈降させた。沈降物を再度トルエンに分散して遠心沈降させ、吸着ポリマー1の吸着したZrW2O8粒子を回収した。得られた粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ZrW2O8粒子表面にコントラストの異なる薄い層が不均一に観察された。この層は吸着ポリマーと考えられる。また、酸素雰囲気下で熱分析を行ったところ、約5重量%の重量減少が見られた。
[吸着ポリマー1の吸着したZrW2O8粒子を含む樹脂組成物]
吸着ポリマー1の吸着したZrW2O8粒子1.5gをシクロオレフィンポリマー(JSR製ARTON1420R)13.5gとニーダーを用いて溶融混合し、プレス成型にて厚さ0.2mmの成形板を作製した。40℃から100℃の範囲で、この試料の熱膨張係数(CTE)を測定(TA社 DMAQ800使用)したところ、45.6ppm/Kであった。同様にして作製したARTON1420Rの0.2mm成形板は、53.0ppm/Kであった。ZrW2O8粒子を含むことにより15%程度の熱膨張が抑制されている。
吸着ポリマー1の吸着したZrW2O8粒子1.5gをシクロオレフィンポリマー(JSR製ARTON1420R)13.5gとニーダーを用いて溶融混合し、プレス成型にて厚さ0.2mmの成形板を作製した。40℃から100℃の範囲で、この試料の熱膨張係数(CTE)を測定(TA社 DMAQ800使用)したところ、45.6ppm/Kであった。同様にして作製したARTON1420Rの0.2mm成形板は、53.0ppm/Kであった。ZrW2O8粒子を含むことにより15%程度の熱膨張が抑制されている。
[比較例]
何も処理していないZrW2O8粒子1.5gをシクロオレフィンポリマー(JSR製ARTON1420R)13.5gとニーダーを用いて溶融混合し、プレス成型にて厚さ0.2mmの成形板を作製した。成形板はひじょうに脆くて測定用試料を切り出すことが困難であったため、CTEの測定はできなかった。
何も処理していないZrW2O8粒子1.5gをシクロオレフィンポリマー(JSR製ARTON1420R)13.5gとニーダーを用いて溶融混合し、プレス成型にて厚さ0.2mmの成形板を作製した。成形板はひじょうに脆くて測定用試料を切り出すことが困難であったため、CTEの測定はできなかった。
本発明のポリマー吸着ZrW2O8粒子、本発明のポリマー吸着ZrW2O8粒子を含む樹脂組成物は、低熱膨張材料の開発に利用できる。
Claims (6)
- ZrW2O8粒子に分子中アルキル側鎖および/または芳香族側鎖と水酸基とを有するポリマーを吸着したポリマー吸着ZrW2O8粒子であって、
前記アルキル鎖は、前記ポリマーの主鎖に直接結合またはポリマーの主鎖に直接結合しているアルキル鎖にエステル結合もしくはエーテル結合によって結合し、
前記芳香族鎖は、前記ポリマーの主鎖に直接結合またはポリマーの主鎖に直接結合しているアルキル鎖にエステル結合もしくはエーテル結合によって結合し、
前記水酸基は、ポリマー分子中に1×10−6〜1×10−3モル/gであり、
前記ポリマー分子が、低誘電率溶媒可溶性ポリマーであるポリマー吸着ZrW2O8粒子。 - 前記ポリマー分子中の前記アルキル鎖が1×10−5〜5×10−2モル/gであり、前記ポリマー分子中の前記芳香族鎖が1×10−5〜5×10−2モル/gである請求項1に記載のポリマー吸着ZrW2O8粒子。
- 前記低誘電率溶媒可溶性ポリマーが比誘電率5以下の有機溶媒に可溶である請求項1又は請求項2に記載のポリマー吸着ZrW2O8粒子。
- ZrW2O8粒子が長さ10nm〜10μm、最大幅10nm〜10μmの結晶である、請求項1から3のいずれかに記載のポリマー吸着ZrW2O8粒子。
- 請求項1から4のいずれかに記載のポリマー吸着ZrW2O8粒子を、ZrW2O8粒子換算で1〜90体積%含む樹脂組成物。
- 前記ポリマー吸着ZrW2O8粒子の他に少なくとも1種類の金属酸化物を含む請求項5に記載の樹脂組成物。
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JP2014147271A JP2016023212A (ja) | 2014-07-18 | 2014-07-18 | ポリマー吸着タングステン酸ジルコニウム粒子およびそれを含む樹脂組成物 |
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JP2021017514A (ja) * | 2019-07-23 | 2021-02-15 | 国立大学法人東京工業大学 | 樹脂組成物およびその樹脂成形体 |
JP2021138832A (ja) * | 2020-03-04 | 2021-09-16 | 株式会社球体研究所 | 負熱膨張微粒子及びその製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009029938A (ja) * | 2007-07-27 | 2009-02-12 | Fujifilm Corp | 有機無機複合材料および光学物品 |
-
2014
- 2014-07-18 JP JP2014147271A patent/JP2016023212A/ja active Pending
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JP7351477B2 (ja) | 2019-07-23 | 2023-09-27 | 国立大学法人東京工業大学 | 樹脂組成物およびその樹脂成形体 |
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