JP2008179514A - 表面被覆ナノ粒子及びその製造方法並びに表面被覆ナノ粒子分散液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面被覆ナノ粒子は、結晶子の大きさが0.5nm以上かつ1.5nm以下の一部が結晶化したアモルファス酸化チタンおよび/またはアモルファス酸化ジルコニウムからなるアモルファス酸化物ナノ粒子の表面に、表面処理剤による被覆膜が形成され、かつ、屈折率が1.7以上である。
【選択図】図1
Description
例えば、有機材料と無機フィラーとを複合化させた難燃材料、有機材料と高熱伝導性無機フィラーとを複合化させた高熱伝導材料、透明有機材料と高屈折率無機フィラーとを複合化した高屈折率材料、透明有機材料と低屈折率無機フィラーとを複合化した低屈折率材料、有機材料と低誘電率無機フィラーとを複合化した低誘電率材料等である。
これらの酸化物ナノ粒子をシングルナノオーダーでポリマー中に分散できるようになると、例えば、レンズ材料においては、現在主流のガラス材料から高屈折率樹脂材料へ変更することができる。高屈折率樹脂材料に変更した場合、ガラス材料では問題となっていた成形性、加工性をクリアすることができ、さらには、軽量かつ薄型のレンズを実現することができ、レンズの用途の幅が広がるというメリットがある。
また、上記の酸化物ナノ粒子を樹脂とハイブリッド化するにあたっては、酸化物ナノ粒子の粒子径を制御することができないと、酸化物ナノ粒子自体に光散乱が生じる。また、酸化物ナノ粒子が樹脂中にきれいに相溶することができないと、樹脂中で酸化物ナノ粒子が凝集して白濁し、高い透明性を維持することが困難であった。
また、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の高屈折率酸化物ナノ粒子の表面を表面処理剤で被覆した高屈折率表面被覆ナノ粒子も提案されている(特許文献2〜4)。
TADAHIRO MURAKATA, RYOICHI YAMAMOTO,etc ,"Preparation of Ultra Fine TiO2 Particles Dispersible in Organic Solvents and Their Photocatalytic Properties", Journal of Chemical engineering of Japan,(社)化学工学会、第81巻、第1号、1998年、p.21〜28 Jullian F. Bandield, Brian L. Bischoff, Marc A. Anderson, "TiO2 accessory minerals:coarsening, and transformation Kenetics in pure and doped synthetic nanocrystalline materials", Chemical Geology, エルセビア、第110巻、第1〜3号、1993年、p.211〜231
したがって、従来の高屈折率表面被覆ナノ粒子では、様々な用途に適用することが難しく、しかも、高屈折率、高透明性の両方を満足させるものではなかった。
前記アモルファス酸化物ナノ粒子の結晶子の大きさは、0.5nm以上かつ1.5nm以下であることが好ましい。
前記アモルファス酸化物は、アモルファス酸化チタンおよび/またはアモルファス酸化ジルコニウムであることが好ましい。
前記被覆膜の重量は、前記アモルファス酸化物ナノ粒子の重量以下であることが好ましい。
前記アモルファス酸化物ナノ粒子の一部が結晶化された表面被覆ナノ粒子の分散後の結晶子の大きさは、2nm以上かつ9nm以下であることが好ましい。
体積分布平均分散粒子径は、25nm以下であることが好ましい。
前記表面被覆ナノ粒子の含有率を2重量%としたとき、光路長5mmでの可視光線透過率は、80%以上であることが好ましい。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明の表面被覆ナノ粒子は、アモルファス酸化物ナノ粒子の表面に表面処理剤による被覆膜が形成された表面被覆ナノ粒子であり、屈折率が1.7以上である。
ここで、アモルファス酸化物ナノ粒子とは、平均粒子径が10nm未満のアモルファス状の酸化物粒子のことであり、アモルファス状とは、X線回折法により得られたX線回折図形(XRDチャート)が全体にブロードなハローを示し、結晶固有の回折線が認められないか、極めて微少なピークのみが認められるもののことである。
このアモルファス酸化物ナノ粒子は、その一部が結晶化していることが好ましい。
ここで、アモルファス酸化物ナノ粒子の結晶子の大きさを上記の範囲に限定した理由は、結晶子の大きさが0.5nm未満であると、結晶子が小さすぎて結晶化の効果が発現し難くなり、一方、結晶子の大きさが1.5nmを越えると、結晶化が顕著に現れることとなり、アモルファスと認められなくなるからであり、また、透明性も悪くなるからである。
ここで、表面被覆ナノ粒子の被覆膜の重量を、アモルファス酸化物ナノ粒子の重量以下とした理由は、被覆膜の重量がアモルファス酸化物ナノ粒子の重量を超えると、この表面被覆ナノ粒子を樹脂中に分散させた場合に、被覆膜の出発原料である表面処理剤が分散媒である樹脂の特性へ及ぼす影響が大きくなり、透明性、屈折率等の複合体特性が低下するからである。
本発明の表面被覆ナノ粒子の製造方法は、アモルファス酸化物ナノ粒子と表面処理剤を含む溶液とを混合し、これらを反応させることにより、前記アモルファス酸化物ナノ粒子の表面に被覆膜を形成し、次いで、熱処理または電磁波照射を施して前記アモルファス酸化物ナノ粒子の一部または全部を結晶化する方法である。
このアモルファス酸化物ナノ粒子をアモルファス酸化チタンおよび/またはアモルファス酸化ジルコニウムで構成した場合、この金属アルコキシドとしては、チタンアルコキシドおよび/またはジルコニウムアルコキシドが好適に用いられる。
また、ジルコニウムアルコキシドとしては、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムアセテートを挙げることができる。
これらのアルコキシドのうち、加水分解速度の制御性、および入手容易性を考慮すると、テトライソプロポキシチタン、テトラノルマルプロポキシチタン、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシドが好適である。
この水のpHは、金属アルコキシドそれぞれに最適なpHがあるので、用いる金属アルコキシドに合わせて最適なpHに調製する必要があり、概ね1〜4の範囲である。なお、pHが低すぎると金属アルコキシドが溶解状態となり、また、高すぎると金属アルコキシドの加水分解物が分散せず凝集するので好ましくない。
また、この金属アルコキシドを加水分解するときの反応温度は、20℃〜60℃が好ましい。
このように、金属アルコキシドをpH1〜4に調整した水に滴下することにより、平均粒子径が10nm未満(シングルナノオーダー)のアモルファス酸化物ナノ粒子が水に分散した分散液を得ることができる。
この分散液からアモルファス酸化物ナノ粒子を分離し乾燥することにより、アモルファス酸化物ナノ粒子を得ることができる。
例えば、表面処理剤を、アルコール、pHを調整した水、またはその混合溶液に強攪拌しながら溶解し、得られた表面処理剤溶液に上記のアモルファス酸化物ナノ粒子水分散液を、強攪拌しながら滴下し、表面処理剤とアモルファス酸化物ナノ粒子とを反応させる。この反応により、アモルファス酸化物ナノ粒子の表面には被覆膜が形成され、疎水化される。
このような表面処理剤の中でも、屈折率が比較的高く、かつ反応性の良いものとしては、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p―スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、メチルフェニルシリコーンレジン等が挙げられる。
表面処理剤の量が上記の範囲より少ないと、後述する結晶化時に凝集してしまい溶媒中に分散しなくなるからであり、一方、表面処理剤の量が上記の範囲より多すぎると、表面処理剤により形成された被覆膜の屈折率が反映されて、表面被覆ナノ粒子の屈折率が低下してしまうからである。
また、この反応の際の攪拌速度としては、300rpm程度でよい。
なお、表面処理剤の種類により反応温度及び反応時間の最適な範囲が異なるので、使用する表面処理剤の種類に合わせて最適な反応温度及び反応時間を設定すればよい。
このようにして得られた表面被覆ナノ粒子は、被覆膜の重量がアモルファス酸化物ナノ粒子の重量以下、好ましくはアモルファス酸化物ナノ粒子の1/2重量以下になっている。
熱処理の場合、100℃〜200℃にて10分〜60分である。しかし、乾燥させ過ぎると、結晶化は進むが同時にハードな凝集も生じるので、好ましくは100℃〜150℃にて10分〜30分である。
一方、電磁波照射の場合、2.45GHz、500〜2000Wのマイクロ波を10分〜60分照射、好ましくは20分〜40分照射する。
この表面被覆ナノ粒子と有機溶媒とを相溶させるためには、表面被覆ナノ粒子の溶解性パラメータと有機溶媒の溶解性パラメータをできるだけ近い値にしなければならない。
この表面被覆ナノ粒子の溶解性パラメータ(δ)は6以上かつ9以下であるから、有機溶媒としては、溶解性パラメータ(δ)が7以上かつ15以下の有機溶媒が好ましい。
δ=√(ΔE/V) ……(1)
(式(1)中、ΔEは分子凝集エネルギー(cal/mol)、Vは分子容(ml/mol))
で表されるもので、凝集エネルギー密度の平方根に相当する。
この混合物は懸濁液であるので、これを超音波ホモジナイザー等で超音波壊砕することにより、表面被覆ナノ粒子の含有率が2重量%であり、光路長5mmでの可視光線透過率が80%以上の表面被覆ナノ粒子分散液を得ることができる。
なお、超音波による壊砕時間は、表面処理剤の種類によって異なるが、10分〜60分である。
ここで、分散後の結晶子の大きさを上記の範囲とした理由は、結晶子径が大きくなると分散粒子径も大きくなり、したがって、散乱が大きくなり透光性が悪くなるからである。
ここで、体積分布平均分散粒子径を25nm以下とした理由は、体積分布平均分散粒子径が25nmを越えると、透光性が悪くなるからである。
上記の表面被覆ナノ粒子は、下記の評価方法により評価することができる。
(1)表面被覆ナノ粒子の相同定及び結晶子径の測定
X線回折装置を用いて相同定及び結晶子径の測定を行うことにより、相や結晶の微細構造の評価ができる。
表面処理剤の吸着量を測定することにより、被覆膜の重量を算出することができる。
まず、表面処理剤単独での不揮発分と灰分を測定し、表面処理剤単独での減少量を計算する。計算は全て重量%で行う。
表面処理剤単独での不揮発分は、表面処理剤を150℃にて30分乾燥した後の重量を測定することで求められる。また、表面処理剤単独での灰分は、この表面処理剤を750℃にて2時間焼成した後の重量を測定することで求められる。
表面被覆ナノ粒子の不揮発分は、表面被覆ナノ粒子を150℃にて30分乾燥した後の重量を測定することで求められる。また、表面被覆ナノ粒子の灰分は、表面被覆ナノ粒子を750℃にて2時間焼成した後の重量を測定することで求められる。
ここでは「表面処理剤の有機分:表面処理剤の灰分=表面被覆ナノ粒子の有機分:表面被覆ナノ粒子の表面処理剤由来の無機分」から、表面被覆ナノ粒子の表面処理剤由来の無機分が算出される。
(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン+ZrO2)
5重量%のアモルファス酸化ジルコニウムナノ粒子水分散液を作製した。
容量1Lのガラス容器に45℃に加温した純水250mLを入れ、撹拌羽にて400rpmで撹拌しながら、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド(松本製薬工業社製)43gを滴下した。滴下終了後、撹拌を1時間行い、白色水性懸濁液を得た。この白色水性懸濁液に酢酸を滴下してpHを3.2に調製し、その後、60℃に加温して6時間攪拌を行い、白色水性懸濁液を溶解・分散させ、アモルファス酸化ジルコニウムナノ粒子水分散液を得た。なお、濃度は灰分測定後、上記の酢酸を用いて調製した。
滴下終了後60℃に加温し、6時間攪拌した。その後、吸引濾過により固液分離を行った。
回収した固形物40gに十倍量のメタノールを加えて懸濁液を作製し、1時間攪拌した後に再び吸引濾過し、固液分離を行い、余剰の3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを除去した。得られた固形分は25gであった。
この乾燥粉の相同定及び結晶子径の測定を、X線回折装置 X’Pert PRO MPD(PANalytical社製)を用いて行った。
次いで、この乾燥粉をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC:SP値=9.2)に投入し、超音波ホモジナイザーで超音波壊砕することにより分散させた。
(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン+ルチル型TiO2)
5重量%のアモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を作製した。
容量1Lのガラス容器に15℃に冷却した純水250mLを入れ、撹拌羽にて400rpmで撹拌しながら、無水塩化スズ(関東化学社製)1.65gを溶解させ、さらに、チタンテトライソプロポキシド(高純度化学社製)36gを30分掛けて全量をゆっくり滴下した。滴下終了後、60℃に加温して6時間攪拌を行い、アモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を得た。なお、濃度は灰分測定後、酢酸を用いて調製した。
滴下終了後60℃に加温し、6時間攪拌した。その後、吸引濾過により固液分離を行った。
回収した固形物55gに十倍量のメタノールを加えて懸濁液を作製し、1時間攪拌した後に再び吸引濾過し、固液分離を行い、余剰の3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを除去した。得られた固形分は25gであった。
この乾燥粉の相同定及び結晶子径の測定を、X線回折装置 X’Pert PRO MPD(PANalytical社製)を用いて行った。
図1は、本実施例のアモルファス酸化チタンナノ粒子(上記の固形分)、120℃にて結晶化したルチル型酸化チタン(上記の乾燥粉)及び市販のルチル型酸化チタン各々のX線回折図形(XRDチャート)を示す図である。図中、Aはアモルファス酸化チタンナノ粒子、Bは結晶化したルチル型酸化チタン、Cはルチル型酸化チタン(市販品)をそれぞれ示している。
図によれば、結晶化したルチル型酸化チタン(B)は、アモルファス酸化チタンナノ粒子(A)と比べて、ブロードではあるがルチル型酸化チタン特有の回折線がハロー上に現れており、一部が結晶化していることが分かる。
次いで、この乾燥粉をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)に投入し、超音波ホモジナイザーで超音波壊砕することにより分散させた。
(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン+アナターゼ型TiO2)
5重量%のアモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を作製した。
容量1Lのガラス容器に45℃に加温した純水250mLを入れ、撹拌羽にて400rpmで撹拌しながら、チタンテトライソプロポキシド(高純度化学社製)36gを滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を行い、白色水性懸濁液を得た。この白色水性懸濁液に硫酸を滴下してpHを1.5に調製し、次いで、45℃に加温し、そのまま6時間攪拌を行い、白色水性懸濁液を溶解・分散させ、アモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を得た。なお、濃度は灰分測定後、硫酸を用いて調製した。
滴下終了後60℃に加温し、6時間攪拌した。その後、吸引濾過により固液分離を行った。
回収した固形物60gに十倍量のメタノールを加えて懸濁液を作製し、1時間攪拌した後に再び吸引濾過して固液分離を行い、余剰の3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを除去した。得られた固形分は35gであった。
この乾燥粉の相同定及び結晶子径の測定を、X線回折装置 X’Pert PRO MPD(PANalytical社製)を用いて行った。
次いで、この乾燥粉をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)に投入し、超音波ホモジナイザーで超音波壊砕することにより分散させた。
(フェニルトリメトキシシラン+ルチル型TiO2)
5重量%のアモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を作製した。
容量1Lのガラス容器に15℃に冷却した純水250mLを入れ、撹拌羽にて400rpmで撹拌しながら、無水塩化スズ(関東化学社製)1.65gを溶解させ、さらに、チタンテトライソプロポキシド(高純度化学社製)36gを30分掛けて全量をゆっくり滴下した。滴下終了後、60℃に加温して6時間攪拌を行い、アモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を得た。なお、濃度は灰分測定後、酢酸を用いて調製した。
滴下終了後60℃に加温し、24時間攪拌した。その後、吸引濾過により固液分離を行った。
回収した固形物105gに十倍量のメタノールを加えて懸濁液を作製し、1時間攪拌した後に再び吸引濾過し、固液分離を行い、余剰のフェニルトリメトキシシランを除去した。得られた固形分は30gであった。
この乾燥粉の相同定及び結晶子径の測定を、X線回折装置 X’Pert PRO MPD(PANalytical社製)を用いて行った。
次いで、この乾燥粉をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)に投入し、超音波ホモジナイザーで超音波壊砕することにより分散させた。
(デシルトリメトキシシラン+ルチル型TiO2)
5重量%のアモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を作製した。
容量1Lのガラス容器に15℃に冷却した純水250mLを入れ、撹拌羽にて400rpmで撹拌しながら、無水塩化スズ(関東化学社製)1.65gを溶解させ、さらに、チタンテトライソプロポキシド(高純度化学社製)36gを30分掛けて全量をゆっくり滴下した。滴下終了後、60℃に加温して6時間攪拌を行い、アモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を得た。なお、濃度は灰分測定後、酢酸を用いて調製した。
滴下終了後60℃に加温し、24時間攪拌した。その後、吸引濾過により固液分離を行った。
回収した固形物52gを、真空乾燥機を用いて24時間、真空乾燥を行った。この真空乾燥粉の回収量は24gであった。
この乾燥粉の相同定及び結晶子径の測定を、X線回折装置 X’Pert PRO MPD(PANalytical社製)を用いて行った。
次いで、この乾燥粉をトルエンに投入し、超音波ホモジナイザーで超音波壊砕することにより分散させた。
(ステアリン酸+ルチル型TiO2)
5重量%のアモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を作製した。
容量1Lのガラス容器に15℃に冷却した純水250mLを入れ、撹拌羽にて400rpmで撹拌しながら、無水塩化スズ(関東化学社製)1.65gを溶解させ、さらに、チタンテトライソプロポキシド(高純度化学社製)36gを30分掛けて全量をゆっくり滴下した。滴下終了後、60℃に加温して6時間攪拌を行い、アモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を得た。なお、濃度は灰分測定後、酢酸を用いて調製した。
滴下終了後70℃のまま、24時間攪拌した。その後、吸引濾過により固液分離を行った。
回収した固形物40gを、真空乾燥機を用いて24時間、真空乾燥を行った。この真空乾燥粉の回収量は29gであった。
次いで、この固形分をボックス型乾燥機を用いて120℃にて10分間乾燥させた。乾燥後の重量は23gであった。
この乾燥粉の相同定及び結晶子径の測定を、X線回折装置 X’Pert PRO MPD(PANalytical社製)を用いて行った。
次いで、この乾燥粉をトルエンに投入し、超音波ホモジナイザーで超音波壊砕することにより分散させた。
(メチルフェニルシリコーンレジン+ZrO2)
5重量%のアモルファス酸化ジルコニウムナノ粒子水分散液を作製した。
容量1Lのガラス容器に45℃に加温した純水250mLを入れ、撹拌羽にて400rpmで撹拌しながら、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド(松本製薬工業社製)43gを滴下した。滴下終了後、撹拌を1時間行い、白色水性懸濁液を得た。この白色水性懸濁液に酢酸を滴下してpHを3.2に調製し、その後、60℃に加温して6時間攪拌を行い、白色水性懸濁液を溶解・分散させ、アモルファス酸化ジルコニウムナノ粒子水分散液を得た。なお、濃度は灰分測定後、上記の酢酸を用いて調製した。
次いで、このメタノール溶液に、上記のアモルファス酸化ジルコニウムナノ粒子水分散液300gを、撹拌羽を用いて300rpmで撹拌しながらチューブポンプを用いて20分掛けてゆっくり滴下した。
滴下終了後60℃に加温し、8時間攪拌し、乳白色の液体を得た。その後、この乳白色の液体を遠心分離機を用いて、回転数8000rpmで30分の遠心分離操作を3回繰り返し、固液分離を行った。
回収した固形物115gに十倍量のメタノールを加えて懸濁液を作製し、1時間攪拌した後に再び上記の遠心分離機を用いて、回転数8000rpmで30分の遠心分離操作を3回繰り返して固液分離を行い、余剰のメチルフェニルシリコーンレジンを除去した。得られた固形分は70gであった。
この乾燥粉の相同定及び結晶子径の測定を、X線回折装置 X’Pert PRO MPD(PANalytical社製)を用いて行った。
次いで、この乾燥粉をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)に投入し、超音波ホモジナイザーで超音波壊砕することにより分散させた。
(メチルフェニルシリコーンレジン+ルチル型TiO2)
5重量%のアモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を作製した。
容量1Lのガラス容器に15℃に冷却した純水250mLを入れ、撹拌羽にて400rpmで撹拌しながら、無水塩化スズ(関東化学社製)1.65gを溶解させ、さらに、チタンテトライソプロポキシド(高純度化学社製)36gを30分掛けて全量をゆっくり滴下した。滴下終了後、60℃に加温して6時間攪拌を行い、アモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を得た。なお、濃度は灰分測定後、酢酸を用いて調製した。
次いで、このメタノール溶液に上記のアモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液300gを、撹拌羽を用いて300rpmで撹拌しながらチューブポンプを用いて20分掛けてゆっくり滴下した。滴下終了後60℃に加温し、8時間攪拌し、乳白色の液体を得た。その後、この乳白色の液体を遠心分離機を用いて、回転数8000rpmで30分の遠心分離操作を3回繰り返し、固液分離を行った。
回収した固形物135gに十倍量のメタノールを加えて懸濁液を作製し、1時間攪拌した後に再び上記の遠心分離機を用いて、回転数8000rpmで30分の遠心分離操作を3回繰り返して固液分離を行い、余剰のメチルフェニルシリコーンレジンを除去した。得られた固形分は45gであった。
この乾燥粉の相同定及び結晶子径の測定を、X線回折装置 X’Pert PRO MPD(PANalytical社製)を用いて行った。
次いで、この乾燥粉をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)に投入し、超音波ホモジナイザーで超音波壊砕することにより分散させた。
(メチルフェニルシリコーンレジン+ルチル型TiO2)
実施例8にて得られた120℃乾燥の乾燥粉をヘキサンに投入して懸濁液を作製し、この懸濁液にデシルトリメトキシシランを乾燥粉に対して15重量%添加し、次いで、超音波ホモジナイザーで超音波壊砕することにより分散させた。
(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン+結晶性ルチル型TiO2)
容量3Lのガラス容器に純水735mLを入れ、さらに酢酸を滴下してpHを4に調製し、撹拌羽を用いて300rpmで撹拌しながら3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン15gを20分掛けてゆっくり滴下した。滴下終了後30分攪拌し、表面処理剤水溶液とした。
滴下終了後60℃に加温し、6時間攪拌した。その後、吸引濾過により固液分離を行った。
回収した固形物25gに十倍量のメタノールを加えて懸濁液を作製し、1時間攪拌した後に再び吸引濾過し、固液分離を行い、余剰の3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを除去した。得られた固形分は19gであった。
次いで、この真空乾燥粉をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)に投入し、超音波ホモジナイザーで超音波壊砕することにより分散させた。
(アモルファスTiO2)
5重量%のアモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を作製した。
容量1Lのガラス容器に15℃に冷却した純水250mLを入れ、撹拌羽にて400rpmで撹拌しながら、無水塩化スズ(関東化学社製)1.65gを溶解させ、さらに、チタンテトライソプロポキシド(高純度化学社製)36gを30分掛けて全量をゆっくり滴下した。滴下終了後、60℃に加温して6時間攪拌を行い、アモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を得た。なお、濃度は灰分測定後、酢酸を用いて調製した。
なお、ここで、このアモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液と有機溶媒との相溶性を確認するために、このアモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液にメタノール以外の様々な有機溶媒を添加したところ、エタノール、エチレングリコール、2−プロパノールは相溶したが、その他の有機溶媒は粒子が凝集し白濁した。また、相溶したものもエバポレーターで含水率を減らしていくと凝集し白濁した。
(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン+アモルファスTiO2)
5重量%のアモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を作製した。
容量1Lのガラス容器に15℃に冷却した純水250mLを入れ、撹拌羽にて400rpmで撹拌しながら、無水塩化スズ(関東化学社製)1.65gを溶解させ、さらに、チタンテトライソプロポキシド(高純度化学社製)36gを30分掛けて全量をゆっくり滴下した。滴下終了後、60℃に加温して6時間攪拌を行い、アモルファス酸化チタンナノ粒子水分散液を得た。なお、濃度は灰分測定後、酢酸を用いて調製した。
滴下終了後60℃に加温し、6時間攪拌した。その後、吸引濾過により固液分離を行った。
回収した固形物140gに十倍量のメタノールを加えて懸濁液を作製し、1時間攪拌した後に再び吸引濾過し、固液分離を行い、余剰の3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを除去した。得られた固形分は115gであった。
次いで、この真空乾燥粉をメタノールに投入し、超音波ホモジナイザーで超音波壊砕することにより分散させた。
なお、この真空乾燥粉と有機溶媒との相溶性を確認するために、この真空乾燥粉をメタノール以外の様々な有機溶媒に分散させたところ、エチレングリコールは分散したが、その他の有機溶媒には分散しなかった。
実施例1〜9及び比較例1〜3それぞれの分散液及びナノ粒子(または微粒子)の評価を行った。
分散液の可視光線透過率を分光光度計 V−570(日本分光社製)を用いて測定した。
また、ナノ粒子(または微粒子)の屈折率は、ガラス基板上に分散液をスピンコートにより塗布して塗膜を形成し、この塗膜の膜屈折率をプリズムカプラ モデル2010(Metricon社製)を用いて測定し、ナノ粒子(または微粒子)の屈折率を算出した。
これらの結果を表1に示す。
また、分散液の粒度分布の評価については、粒度分布計 HPPS(Malvern Instruments Ltd.社製)を用いて分散液の体積分布分散粒子径を測定した。
これらの結果を表2に示す。
以上、実施例を挙げながら本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、様々な変形や変更が可能である。
Claims (11)
- アモルファス酸化物ナノ粒子の表面に表面処理剤による被覆膜が形成された表面被覆ナノ粒子であって、
屈折率が1.7以上であることを特徴とする表面被覆ナノ粒子。 - 前記アモルファス酸化物ナノ粒子の一部が結晶化していることを特徴とする請求項1記載の表面被覆ナノ粒子。
- 前記アモルファス酸化物ナノ粒子の結晶子の大きさは、0.5nm以上かつ1.5nm以下であることを特徴とする請求項2記載の表面被覆ナノ粒子。
- 前記アモルファス酸化物は、アモルファス酸化チタンおよび/またはアモルファス酸化ジルコニウムであることを特徴とする請求項1、2または3記載の表面被覆ナノ粒子。
- 前記被覆膜の重量は、前記アモルファス酸化物ナノ粒子の重量以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の表面被覆ナノ粒子。
- アモルファス酸化物ナノ粒子と表面処理剤を含む溶液とを混合し、これらを反応させることにより、前記アモルファス酸化物ナノ粒子の表面に被覆膜を形成し、次いで、熱処理または電磁波照射を施して前記アモルファス酸化物ナノ粒子の一部を結晶化することを特徴とする表面被覆ナノ粒子の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項記載の表面被覆ナノ粒子を有機溶媒中に分散してなることを特徴とする表面被覆ナノ粒子分散液。
- 前記有機溶媒の溶解性パラメータは、7以上かつ15以下であることを特徴とする請求項7記載の表面被覆ナノ粒子分散液。
- 前記アモルファス酸化物ナノ粒子の一部が結晶化された表面被覆ナノ粒子の分散後の結晶子の大きさは、2nm以上かつ9nm以下であることを特徴とする請求項7または8記載の表面被覆ナノ粒子分散液。
- 体積分布平均分散粒子径は、25nm以下であることを特徴とする請求項7、8または9記載の表面被覆ナノ粒子分散液。
- 前記表面被覆ナノ粒子の含有率を2重量%としたとき、光路長5mmでの可視光線透過率は、80%以上であることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1項記載の表面被覆ナノ粒子分散液。
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