JP2008239460A - 金属酸化物微粒子分散物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、多層構造からなる金属酸化物微粒子と、強酸とを、アルコールを含む水溶液中で分散させてなる金属酸化物微粒子分散物であって、前記金属酸化物微粒子分散物における波長800nmでの光線透過率が90%以上である金属酸化物微粒子分散物である。該金属酸化物微粒子分散物における波長500nmでの光線透過率が90%以上である態様、該金属酸化物微粒子の体積加重平均粒径が、1nm〜10nmである態様などが好ましい。
【選択図】なし
Description
また、これらの金属酸化物微粒子を物理的、化学的に高機能化させるため、同種又は異種金属によって表面を覆うなどの多層構造とすることが知られている。
いずれの性能をも充分に発揮させるためには、多層構造である最終粒子のコアとなる粒子を充分に小さくしておく必要がある。この場合、コアとなる金属酸化物微粒子及び最終粒子である多層構造粒子が、分散媒中に凝集することなく均一に分散されることが必要となるが、単位体積当りの表面積が大きいことが粒子間の凝集を促進させ、金属酸化物微粒子分散物の濃度が高くなるにつれて凝集の程度が増大し、充分に期待される物理的及び光学的な性能が得られないという課題がある。
<1> 少なくとも、多層構造からなる金属酸化物微粒子と、強酸とを、アルコールを含む水溶液中で分散させてなる金属酸化物微粒子分散物であって、
前記金属酸化物微粒子分散物における波長800nmでの光線透過率が90%以上であることを特徴とする金属酸化物微粒子分散物である。
<2> 金属酸化物微粒子分散物における波長500nmでの光線透過率が90%以上である前記<1>に記載の金属酸化物微粒子分散物である。
<3> 金属酸化物微粒子の体積加重平均粒径が、1nm〜10nmである前記<1>から<2>のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散物である。
<4> 多層構造がコアシェル構造であり、コアとシェルとが、同種金属酸化物及び異種金属酸化物のいずれかからなる前記<1>から<3>のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散物である。
<5> 強酸が、下記式(1)中のB値が−0.01以下である嵩高いアニオンを含む強酸である前記<1>から<4>のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散物である。
η=η0(1+A√c+Bc) ・・・ 式(1)
ただし、前記式(1)中、ηは溶液の粘度、η0は溶媒の粘度、A及びBは酸固有の定数、cは溶液の濃度をそれぞれ表す。
<6> 嵩高いアニオンが、Br−、I−、PF6 −、ClO3 −、NO3 −、ClO4 −、及びIO4 −から選択される少なくとも1種である前記<5>に記載の金属酸化物微粒子分散物である。
<7> 多層構造からなる金属酸化物微粒子と、強酸と、カルボン酸化合物とをアルコールを含む水溶液中で分散させてなる前記<1>から<6>のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散物である。
<8> 少なくともコア用金属酸化物前駆体と、強酸とを、アルコールを含む水溶液中で混合して金属酸化物微粒子からなるコアを形成するコア形成工程と、
該金属酸化物微粒子からなるコアの水分散物にシェル用金属酸化物前駆体を混合して前記コアにシェルを形成するシェル形成工程と、を含むことを特徴とする金属酸化物微粒子分散物の製造方法である。
<9> 金属酸化物前駆体が、有機金属化合物、金属塩、及び金属水酸化物のいずれかを含有する前記<8>に記載の金属酸化物微粒子分散物の製造方法である。
<10> コアとシェルとが、同種金属酸化物及び異種金属酸化物のいずれかからなるコアシェル構造である前記<8>から<9>のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散物の製造方法である。
本発明の金属酸化物微粒子分散物は、少なくとも、多層構造からなる金属酸化物微粒子と、強酸とを、アルコールを含む水溶液中で分散させてなり、カルボン酸化合物、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
また、前記金属酸化物微粒子分散物における波長500nmでの光線透過率が90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
前記光線透過率は、例えばレファレンスとして蒸留水を用い、金属酸化物微粒子分散物を光路長1cmとなる石英セルに注ぎ、株式会社日立製作所製のU−3310型分光光度計により、波長800nm及び500nmで測定することができる。
前記金属酸化物微粒子は、多層構造からなる。該多層構造としては、コア/シェル型構造が好ましい。
前記コアを構成する金属酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタンとジルコニウムの複合酸化物、チタンとジルコニアとハフニウムの複合酸化物、チタンとバリウムの複合酸化物、チタンとアルミニウムの複合酸化物、チタンとケイ素の複合酸化物、チタンとケイ素とアルミニウムの複合酸化物、チタンとジルコニウムとアルミニウムの複合酸化物、チタンとジルコニウムとケイ素の複合酸化物、チタンとジルコニウムとアルミニウムとケイ素の複合酸化物、チタンと錫の複合酸化物、チタンとジルコニアと錫の複合酸化物などが挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタンとジルコニウムの複合酸化物、チタンとジルコニアとハフニウムの複合酸化物が特に好ましい。
また、前記金属酸化物は、ドーパントとして他の金属元素を含有することができる。添加される金属元素の種類、添加量は目的により適宜選択することができる。例えば前記酸化チタン微粒子としては、例えばFe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Y、Rh、Pb、Ag、Ta、Pt、及びAuから選択される少なくとも1種の金属元素を0.1原子%〜20原子%ドープすることができる。
前記体積比率は、コアを形成した段階、及びシェルを形成した段階でそれぞれ、透過型電子顕微鏡(TEM)で大きさを測定し、体積を算出して、求めることができる。
前記金属酸化物微粒子の体積加重平均粒径は、例えばNIKKISO社製のマイクロトラック(Microtrac)粒度分布測定装置を用いて、金属酸化物微粒子の4質量%水溶液をそのまま測定することにより求めることができる。あるいは水分散物をカーボン蒸着した銅メッシュ(マイクログリッド)上に滴下し、乾燥させたものを透過型顕微鏡で観察することで粒子サイズを得ることができる。具体的には、透過電子顕微鏡による観察像を写真ネガに露光する、デジタル画像として取り込むなどを行ったのち、充分粒径を観察できる大きさのプリントを作成する。このプリントから粒子径を得ることができる。TEM画像は2次元画像なので、特に不定形の粒子の場合は、正確な粒子径を求めることが困難であるが、2次元画像として得られる300個以上の粒子の投影面積に等しい円の直径(円相当径)を粒子サイズとして測定できる。
コアシェル構造におけるコアが結晶性の金属酸化物微粒子であり、シェルが結晶性の低い金属酸化物であってもよく、逆に、結晶性が低い金属酸化物微粒子をコアとし、シェルが結晶性の金属酸化物であってもよく、更にコア及びシェルともに結晶性の金属酸化物であっても構わない。
ここで、前記金属酸化物微粒子が結晶性であることを確認する一般的な手法としては、例えばX線回折法があり、リガク株式会社製のRINT1500(線源:銅Kα、波長1.5418Å)を用いて、該当する単結晶のピークとの整合性から確認することができる。しかし、コアシェル構造の粒子は、表面の結晶状態を反映することがあり、例えば粒子のコアが結晶で、シェルがアモルファスの場合は、コアの結晶の情報が現れ難くなる。
前記分散溶媒としては、アルコール及び水が用いられる。該アルコールは金属酸化物前駆体としての金属アルコキシドの加水分解開始時に特に重要である。前記水は加水分解開始後の反応と、金属酸化物の分散媒としての働きをする。
前記アルコールの分散物における含有量が、6体積%〜60体積%が好ましく、10体積%〜50体積%が更に好ましい。この範囲外では分散物の調製条件にもよるが、分散物がゲル状になってしまったり、粒子同士が凝集して分散物として成り立たなくなることがある。
前記水としては、無機イオンを含まない脱イオン水が好ましい。最終的な分散物中の含有量は、生成する金属酸化物微粒子の種類やサイズにより異なり一概には規定できないが、最終的な分散物の体積に占める水は40%以上であることが好ましい。
前記強酸としては、金属酸化物前駆体としての金属アルコキシドの加水分解反応を促進するものとして使用するのが好ましく、例えば、硝酸、過塩素酸、塩酸、HBr水、HI水、HPF6、HClO3、HIO4などが挙げられる。
前記強酸としては、解離したときのアニオンが構造上、嵩高いものである方が最終的なゾルの透明性が高くする効果が大きいので好ましい。
前記嵩高いアニオンは水和している水分子が少なく、金属酸化物微粒子分散物の粘性を低下させて、金属酸化物微粒子の凝集を抑制することができると考えられる。機構的に、嵩高い構造を有する強酸による凝集抑制効果は、溶媒中のアルコール含量が多くなると効果が低くなる。
前記嵩高いアニオンを含む酸化合物としては、JonesとDoleらによる下記式(1)中のB値が−0.01以下であるアニオンを含む。
η=η0(1+A√c+Bc) ・・・ 式(1)
ただし、前記式(1)中、ηは溶液の粘度、η0は溶媒の粘度、A及びBは酸固有の定数、cは溶液の濃度をそれぞれ表す。
ここで、前記B値はアニオンの立体的な嵩高さに関連し、B値の負の値が大きいほどアニオンが立体的に嵩高いことを意味する(G.Jones and M.Dole J.Am.Chem.Soc., 51 2950(1929))。また、HSAB理論的によれば、立体的に嵩高くなることによりソフトになることを意味する。
前記嵩高いアニオンを含む酸化合物としては、例えば、HBr、HI、HPF6、HClO4、HClO3、HNO3、HIO4、又はこれらの塩、などが挙げられる。前記塩としては、例えば、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
本発明の金属酸化物微粒子分散物は、粒子の分散性を高める目的からカルボン酸化合物を含有することが好ましい。前記カルボン酸化合物としては、カルボン酸、カルボン酸の塩、及びカルボン酸無水物から選択される少なくとも1種が用いられる。
前記カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の飽和脂肪族カルボン酸;アクリル酸、プロピオール酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪族カルボン酸;乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カルボン酸の前記金属酸化物微粒子分散物における含有量は、生成する金属酸化物微粒子の種類やサイズにより異なり一概には規定できないが、金属1mol当り0.15mol〜3molが好ましい。
前記カルボン酸の塩も解離することによって、実質上対応するカルボン酸を用いた場合と同じ効果が認められる。
前記カルボン酸の塩におけるカルボン酸としては、上記カルボン酸と同じものが挙げられる。
前記カルボン酸の塩における塩としては、例えば、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
前記カルボン酸の塩の前記金属酸化物微粒子分散物における含有量は、生成する金属酸化物微粒子の種類やサイズにより異なり一概には規定できないが、金属1mol当り0.15mol〜3molが好ましい。
前記カルボン酸無水物は、カルボン酸2分子が水1分子を失って縮合したカルボン酸無水物も水溶液中においては対応するカルボン酸と同じ効果が得られる。
前記カルボン酸無水物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カルボン酸無水物の前記金属酸化物微粒子分散物における含有量は、生成する金属酸化物微粒子の種類やサイズにより異なり一概には規定できないが、金属1mol当り0.075mol〜1.5molが好ましい。
本発明の多層構造からなる金属酸化物微粒子分散物の製造方法は、コア形成工程と、
シェル形成工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記コア形成工程は、少なくともコア用金属酸化物前駆体と、強酸と、必要に応じてカルボン酸化合物とを、アルコールを含む水溶液中で混合して金属酸化物微粒子からなるコアを形成する工程である。
前記強酸、前記カルボン酸化合物、前記アルコールとしては、上述したものの中から適宜選択して用いることができる。
前記アルコールの添加量は、水分散物に対し、6体積%〜60体積%が好ましく、10体積%〜50体積%がより好ましい。
前記シェル形成工程は、前記金属酸化物微粒子からなるコアの分散物にシェル用金属酸化物前駆体を混合し、必要に応じて加熱処理して、前記コアにシェルを形成する工程である。
前記加熱処理としては、ウォーターバス等を用いて、40℃〜95℃で5分間〜240分間行うのが好ましい。
前記金属酸化物前駆体の状態としては固体であっても、液体であってもよいが、アルコールや水に溶解し、溶液として扱えるものが好ましい。
前記金属塩の金属成分としては、対応する金属酸化物の金属成分が該当する。
前記金属塩としては、例えば、所望の金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩などが挙げられる。前記有機酸塩としては、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩ナフテン酸塩、オクチル酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩などが挙げられる。
前記金属水酸化物としては、例えば、四塩化チタン水溶液をアルカリ溶液で中和した非晶質水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、チタンとジルコニウムの複合水酸化物などを用いることもできる。
前記金属アルコキシド化合物としては、テトラアルコキシチタニウム、アルコキシジルコニウムなどが挙げられる。
前記テトラアルコキシチタニウムとしては、例えばテトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトラプロポキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラブトキシチタニウム、テトライソブトキシチタニウム、テトラキス(2−メチルプロポキシ)チタニウム、テトラキスペントキシチタニウム、テトラキス(2−エチルブトキシ)チタニウム、テトラキス(オクトキシ)チタニウム、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタニウムなどが挙げられる。テトラアルコキシチタニウムに含まれるアルコキシル基の炭素数が大き過ぎると、加水分解が不十分となることがあり、アルコキシル基の炭素数が小さ過ぎると、反応性が高くなって反応制御が難しくなることがあるため、テトラプロポキシチタニウム及びテトライソプロポキシチタニウムが特に好ましい。
前記アルコキシジルコニウムとしては、例えばメトキシジルコニウム、エトキシジルコニウム、プロポキシジルコニウム、ブトキシジルコニウム、イソブトキシジルコニウム、キス(2−メチルプロポキシ)ジルコニウムなどが挙げられる。これらの中でも、ブトキシジルコニウムが特に好ましい。
チタン、ジルコニウム以外の金属アルコキシド化合物としては、金属がハフニウム、アルミニウム、ケイ素、バリウム、錫、マグネシウム、カルシウム、鉄、ビスマス、ガリウム、ゲルマニウム、インジューム、モリブデン、ニオブ、鉛、アンチモン、ストロンチウム、タングステン、イットリアなどが好ましい。それら金属のアルコキシドは必要により、カリウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシドなどの金属アルコキシドと所望の金属を作用させて生成させることができる。
前記金属水酸化物としては、例えば、四塩化チタン水溶液をアルカリ溶液で中和した非晶質水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、チタンとジルコニウムの複合水酸化物などを用いることもできる。
(1)室温で、アルコールに金属アルコキシド化合物を混合し、10分間攪拌した。その後、強酸を添加し、10分間攪拌した後、多量の水を作用させ、適宜加熱処理し、金属アルコキシ化合物、金属アセチルアセトネート化合物、金属塩、及び金属水酸化物から選択される少なくとも1種を添加し、加熱処理することで金属酸化物微粒子分散物を作製することができる。
また、前記(1)において、強酸の添加時期を変えた下記(1’)の製造方法も好適である。
(1’)室温で、アルコールに強酸を添加し、10分間攪拌した。更に金属アルコキシドを添加して10分間攪拌した後、多量の水を作用させ、適宜加熱処理し、更に金属アルコキシ化合物、金属アセチルアセトネート化合物、金属塩、及び金属水酸化物から選択される少なくとも1種を添加し、加熱処理することで金属酸化物微粒子分散物を作製することができる。
また、前記(1)において、はじめはアルコールを共存させない下記(1”)の製造方法も好ましい。
(1”)室温で、金属アルコキシド化合物に強酸を添加し、10分間攪拌した。その後、アルコールを添加し10分間攪拌した後、多量の水を作用させ、適宜加熱処理し、更に金属アルコキシ化合物、金属アセチルアセトネート化合物、金属塩、及び金属水酸化物から選択される少なくとも1種を添加し、加熱処理することで金属酸化物微粒子分散物を作製することができる。
アルコール及び強酸は、上述したものの中から適宜選択して用いることができ、前記アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エトキシメタノール、エトキシエタノール、エトキシプロパノールなどが挙げられる。是前記強酸としては、硝酸、過塩素酸、塩酸、硫酸、リン酸などが挙げられるが、解離したときのアニオンが構造上嵩高いものである、硝酸、過塩素酸が特に好ましい。
本発明の多層構造からなる金属酸化物微粒子の分散物は、そのまま或いは濃縮して水分散体として使用することができる以外にも、バインダー成分(樹脂成分)などを加えて成膜用組成物(塗料組成物)とし、これを基材に塗布して微粒子分散膜を形成したり、あるいは、同様にバインダー成分(樹脂成分)などに含有させて成形用樹脂組成物などとすることができる。また、濃縮乾固や遠心分離で溶媒を除去した後、加熱や乾燥をして微粒子粉体として取り扱うこともできる。
−分散物A−1〜A−23の作製−
表1−1の記載に基いて、室温(22℃)において、イソプロパノール35ccにチタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業株式会社製)20ccを混合し、10分間攪拌した後、強酸を混合した後、再び10分間攪拌したものを、ウォーターバスにて予め60℃に保っておいた温水を混合し、10分間攪拌した後、必要に応じてカルボン酸化合物を加え、オキシ塩化ジルコニウムを添加し(あるいは添加せず)、4時間攪拌した後、室温に冷却して水性分散物を作製した。
得られた粒子はコア/シェル構造(コア:酸化チタン、シェル:酸化ジルコニウム)となっていた。
表1−1には、チタンに対するジルコニアの量(mol fr.)、各分散物について用いた強酸の種類とチタンに対する量(mol fr.)、カルボン酸の種類とチタンに対する量(mol fr.)を示した。
得られた各酸化チタンジルコニア微粒子について、以下のようにして、結晶性、体積加重平均粒径、光線透過率、及びメチレンブルーによる光吸収変化により光触媒性の評価を行った。結果を表1−2に示す。
得られた各酸化チタンジルコニア微粒子について、リガク株式会社製のRINT1500(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)を用いて、23℃でX線回折(XRD)スペクトルを測定した。これらはいずれもアナターゼ型酸化チタン(結晶性)とジルコニアの中間的なピークであった。
株式会社日立製作所製のH−9000UHR型透過型電子顕微鏡(加速電圧:200kV、観察時の真空度:約7.6×10−9Pa)にて行い、測定する分散物をカーボン蒸着した銅メッシュ(マイクログリッド)上に滴下して乾燥させたものを25,000倍で5視野以上観察し、酸化チタンジルコニア微粒子150個の体積加重平均粒径を求めた。
得られた各酸化チタンジルコニア微粒子の4質量%分散物及びレファレンスとして蒸留水をそれぞれ光路長1cmとなる石英セルに注ぎ、株式会社日立製作所製のU−3310型分光光度計で波長800nm及び500nmでの光線透過率を測定した。
希硝酸溶液(濃硝酸の1/100水希釈品)により、酸化チタン及び酸化チタンジルコニウム微粒子の分散物を1質量%相当に希釈して、その4ccにメチレンブルー水溶液(0.4質量%)を0.01cc加え、4ccのバイエル瓶に詰め、UVP社のUVLMS−38を用い、365nm光を5cmの距離にて9時間照射したときの、メチレンブルーによる670nm吸収の変化を追跡した。メチレンブルーの光吸収測定は、溶液を光路長1cmとなる石英セルに注ぎ、株式会社日立製作所製のU−3310型分光光度計で実施した。
−分散物B−1〜B−26の作製−
表2−1の記載に基いて、室温(22℃)において、イソプロパノール35ccにチタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業株式会社製)20ccを混合し、10分間攪拌した後、強酸を混合した後、再び10分間攪拌したものを、ウォーターバスにて予め60℃に保っておいた温水を混合し、10分間攪拌した後、必要に応じてカルボン酸化合物を加え、塩化スズ(IV)・5水和物を添加し(あるいは添加せず)、4時間攪拌した後、室温に冷却して分散物を作製した。
得られた粒子はコア/シェル構造(コア:酸化チタン、シェル:酸化スズ)となっていた。
表2−1には、チタンに対する錫の量(mol fr.)、各分散物について用いた強酸の種類とチタンに対する量(mol fr.)、カルボン酸化合物の種類とチタンに対する量(mol fr.)を示した。
得られた各酸化チタン錫微粒子について、以下のようにして、結晶性、体積加重平均粒径、光線透過率、及びメチレンブルーによる光吸収変化により光触媒性の評価を行った。結果を表1−2に示す。
得られた各酸化チタン錫微粒子について、リガク株式会社製のRINT1500(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)を用いて、23℃でX線回折(XRD)スペクトルを測定した。これらはいずれもアナターゼ型酸化チタン(結晶性)と錫の中間的なピークであった。
株式会社日立製作所製のH−9000UHR型透過型電子顕微鏡(加速電圧:200kV、観察時の真空度:約7.6×10−9Pa)にて行い、測定する分散物をカーボン蒸着した銅メッシュ(マイクログリッド)上に滴下して乾燥させたものを25,000倍で5視野以上観察し、酸化チタン錫微粒子150個の体積加重平均粒径を求めた。
得られた各酸化チタン錫微粒子の4質量%分散物、及びレファレンスとして蒸留水をそれぞれ光路長1cmとなる石英セルに注ぎ、株式会社日立製作所製のU−3310型分光光度計で波長800nm及び500nmでの光線透過率を測定した。
希硝酸溶液(濃硝酸の1/100水希釈品)により、酸化チタン、及び酸化チタン錫微粒子の分散物を1質量%相当に希釈して、その4ccにメチレンブルー水溶液(0.4質量%)を0.01cc加え、4ccのバイエル瓶に詰め、UVP社のUVLMS−38を用い、365nm光を5cmの距離にて9時間照射したときの、メチレンブルーによる670nm吸収の変化を追跡した。メチレンブルーの光吸収測定は、溶液を光路長1cmとなる石英セルに注ぎ、株式会社日立製作所製のU−3310型分光光度計で実施した。
Claims (10)
- 少なくとも、多層構造からなる金属酸化物微粒子と、強酸とを、アルコールを含む水溶液中で分散させてなる金属酸化物微粒子分散物であって、
前記金属酸化物微粒子分散物における波長800nmでの光線透過率が90%以上であることを特徴とする金属酸化物微粒子分散物。 - 金属酸化物微粒子分散物における波長500nmでの光線透過率が90%以上である請求項1に記載の金属酸化物微粒子分散物。
- 金属酸化物微粒子の体積加重平均粒径が、1nm〜10nmである請求項1から2のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散物。
- 多層構造がコアシェル構造であり、コアとシェルとが、同種金属酸化物及び異種金属酸化物のいずれかからなる請求項1から3のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散物。
- 強酸が、下記式(1)中のB値が−0.01以下である嵩高いアニオンを含む強酸である請求項1から4のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散物。
η=η0(1+A√c+Bc) ・・・ 式(1)
ただし、前記式(1)中、ηは溶液の粘度、η0は溶媒の粘度、A及びBは酸固有の定数、cは溶液の濃度をそれぞれ表す。 - 嵩高いアニオンが、Br−、I−、PF6 −、ClO3 −、NO3 −、ClO4 −、及びIO4 −から選択される少なくとも1種である請求項5に記載の金属酸化物微粒子分散物。
- 多層構造からなる金属酸化物微粒子と、強酸と、カルボン酸化合物とをアルコールを含む水溶液中で分散させてなる請求項1から6のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散物。
- 少なくともコア用金属酸化物前駆体と、強酸とを、アルコールを含む水溶液中で混合して金属酸化物微粒子からなるコアを形成するコア形成工程と、
該金属酸化物微粒子からなるコアの水分散物にシェル用金属酸化物前駆体を混合して前記コアにシェルを形成するシェル形成工程とを含むことを特徴とする金属酸化物微粒子分散物の製造方法。 - 金属酸化物前駆体が、有機金属化合物、金属塩、及び金属水酸化物のいずれかを含有する請求項8に記載の金属酸化物微粒子分散物の製造方法。
- コアとシェルとが、同種金属酸化物及び異種金属酸化物のいずれかからなるコアシェル構造である請求項8から9のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散物の製造方法。
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