JPWO2011016418A1 - シリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
予後の診断の容易性の観点から、歯科用コンポジットレジンに配合する充填材には、上記透明性の他に、X線造影性が付与されていることが有益である。したがって、歯科用コンポジットレジンに配合する充填材としては、シリカと他の金属酸化物とが複合されたシリカ系複合酸化物粒子が通常使用される。前記シリカ系複合酸化物粒子に複合させる金属酸化物としては、X線造影性を有するチタニア、ジルコニア、バリウム酸化物等が好ましい。これら金属酸化物の配合比率を調節して充填材の屈折率を樹脂の屈折率と一致させることで、透明性と該X線造影性とを兼ね備えた歯科用の充填材が得られる。
単分散性の良いシリカ系複合酸化物粒子を製造する方法として、ゾル−ゲル法の反応液に含水アセトニトリルを用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。反応液中のアセトニトリルの濃度は、20質量%以上である。この提案は、上記課題の解決に関して大変効果的である。実際、単分散性に優れるシリカ系複合酸化物粒子を効率的に製造することができる。
一般に、前記シリカ系複合酸化物粒子は、該粒子を構成するシリカと複合している金属酸化物に起因して、シリカ単体で構成される粒子と異なり、その表面に強い酸点が形成されている。この酸点が形成されている粒子を歯科用コンポジットレジンに配合する場合、コンポジットレジンを構成する樹脂マトリックス部分の変質や、充填材同士の凝集を引き起す。更に、酸点は、含有されている微量成分(顔料、重合開始剤、重合禁止剤等)の吸着を促進し、その結果、これらの果すべき機能が十分に発揮され無くなる。したがって、シリカ系複合酸化物粒子の表面は、不活性なシリカ層で被覆されていることが、酸点の活性の低減に極めて効果的である。
本発明者らは、シリカ系複合酸化物粒子の表面をシリカ層で被覆するために、引き続いて同じ反応液中でシリコンのアルコキシドを反応させた。この場合、反応液中の該粒子の単分散性は急激に悪化し、凝集粒子の発生は顕著であった。特に、被覆されるシリカ系複合酸化物粒子のシリカ以外の金属酸化物の含有率が10モル%以上の場合、この凝集は著しかった。
上述のように、該複層粒子を、単分散性良く、且つ安定的に製造できない状況は、工業的に大きな問題を有する。
即ち、本発明者らは、上記アセトニトリルを含有する含水溶媒中で製造されるシリカ系複合酸化物粒子分散液を用いて、該分散液中の複合酸化物粒子の表面にシリカ層を被覆する反応においては、種々のシリカ系複合酸化物粒子の内、シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子を被覆する場合のみに、複合酸化物粒子の凝集が顕著に抑制されることを見出した。その結果、シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子を被覆する場合には、目的とするシリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子が極めて効率的に製造できることを確認した。本発明は、上記研究に基づいて完成するに至った。
本発明の製造方法により製造するシリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子は、優れたX線造影性を備えている。更に、シリカとジルコニアとの配合比率を調整することにより、シリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子と樹脂との屈折率を一致させることができる。従って、本発明の製造方法により製造される、シリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子は、人間の視覚的透明性とX線造影性とを兼ね備えた充填材として利用できる。この充填材は、歯科用コンポジットレジンへ配合する充填材等として有用である。
シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子は、表面に酸点を有する。従って、シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の表面は活性が高い。これに対し、本発明により製造される表面がシリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子は、表面を覆うシリカ層により、前記酸性の表面性状が被覆され、不活性になっている。本発明の製造方法によれば、表面性状が不活性のシリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子を、凝集を生じること無く、安定して製造することができる。
(第1段の反応工程)
第1段の反応工程は、基本的には、従来のゾル−ゲル法によるシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の製造方法と同様である。即ち、含水溶媒中にシリカ原料物質、及びジルコニア原料物質を添加して、これら原料物質を反応させる。
本発明においては、このシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子を製造する第1段の反応工程を、常に所定濃度のアセトニトリルの存在下で行う点に特徴を有する。
本発明の製造方法においては、反応液中にアセトニトリルを10質量%以上含有している含水溶媒中で第1段の反応工程を行なう。なお、反応液とは、反応開始時における反応溶媒(水を含む有機溶媒。複合酸化物粒子が生成している場合は、同時に分散媒である。)、触媒、反応により生成する固体成分(シリカ系複合酸化物粒子)、反応により生成するアルコールなどの副生物、反応系に残存する未反応の反応原料、及び必要に応じて反応中に添加される水や有機溶媒などの全ての成分を含む混合物を意味する。上記アセトニトリルの濃度は、前記混合物の総質量を基準とする。
上述のように、シリカと複合する他の金属としてジルコニウムを選択する場合にのみ、第2段の反応工程において、粒子の凝集が高度に抑制される原因は必ずしも明確に解明されていない。一般に、他の金属酸化物の関与する反応と比較して、ジルコニウムが関与する重縮合反応は穏やかに進行する。この反応の穏やかさと、アセトニトリルを配合することによる凝集抑制効果とが相乗的に作用し合い、その結果、第2段の反応が極めて穏やかに進行することが、凝集の抑制に寄与していると、本発明者らは考えている。
更に、この凝集現象は、生成するシリカ系複合酸化物粒子の分散量に比例して激しくなる。粒子間の反発エネルギーが減少し、個々の粒子の表面電位が更に低下するためである。
しかし、10モル%以上のジルコニアを含有率するシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子を製造する際の分散性は特に悪くなる。この様な凝集し易い粒子を製造する場合や、単分散性が良く且つ粒子の円形性も特に良好な粒子を製造する場合は、該アセトニトリルの濃度は15〜85質量%が好ましく、15〜60質量%がより好ましい。
粒子の円形度は、粒子がどれだけ球に近いかを表すパラメーターである。円形度は、走査型や透過型の電子顕微鏡で観察される粒子の投影面積をS、周囲長をLとしたときの、(4πxS)/L2で表される値である。
(1)一般式Si(OR)4またはSiR’n(OR)4−nで示されるシリコンのアルコキシド(前記式中、RおよびR’はエーテル結合、エステル結合を含んでも良い有機基であり、nは1〜3の整数である。)、
(2)上記シリコンのアルコキシドを部分的に加水分解して得られる低縮合物(該低縮合物は、分子内にアルコキシ基又は水酸基を有している縮合可能な化合物、即ち可縮合性化合物である)、又は
(3)これら(1)、(2)の混合物
である。
なお、上記一般式で示されるシリコンのアルコキシドにおいて、1分子中に含まれる複数のRは、同一でも、互いに異なっていても良い。原料の入手が容易であるため、通常は1分子に含まれる複数のRは同一有機基である化合物が好ましい。RおよびR’は上記有機基であるが、これら有機基としては、アルキル基が好ましい。原料物質の入手が容易であるからである。RおよびR’ が特にメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基などの低級アルキル基である場合、これらのシリカ原料物質と有機溶媒とは相溶性が良好で、また加水分解の結果生成するアルコールの沸点が低いので、容易に粒子から除去できるため好ましい。
具体的には、シリコンのアルコキシドを示す前記一般式において、SiをZrに置き換えたアルコキシド、及びこれらジルコニアのアルコキシドを部分的に加水分解して得られる低縮合物(該低縮合物も、可縮合性化合物である)、又はこれらの混合物が好適に使用できる。
触媒としては、金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応を促進する機能を有するものであれば特に限定されない。通常、酸や塩基が使用できる。球状で単分散性の高い粒子が得られるという理由から、塩基触媒を使用することが好ましい。
触媒として最も好適なアンモニアを触媒として使用する場合は、第1段の反応の開始から第2段の反応の終了まで、反応液の質量を基準として2〜20質量%、好ましくは3〜15質量%の範囲で、アンモニアを共存させることが好ましい。ここ反応液の質量とは、具体的には、初期に仕込んだ水を含む有機溶媒、供給された原料、供給された触媒などを含む反応液全体の質量である。
シリカ原料物質としてシリコンのアルコキシドを使用する際には、前記混合に先立ち、シリコンのアルコキシドの一部又は全部を部分的に加水分解させておく(以下では、部分加水分解ともいう)ことが好ましい。この方法により、より均質な複合酸化物粒子が得られる。部分加水分解を行う際には、該アルコキシドと水の両方に対して相溶性のある、アルコール等の有機溶媒を水と併用することが好ましい。部分加水分解を行う際に、触媒を添加すると、部分加水分解反応が迅速に進行する。触媒としては、酸が好ましい。具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、シュウ酸などが挙げられるが、特に制限はない。酸の濃度としては、pHが1〜4の範囲の酸を使用することが好ましい。
前記のように、シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子は、該粒子の分散濃度が高くなるほど凝集が激しくなる。さらには、該粒子の凝集しやすさに基因し、次工程である第2段の反応工程におけるシリカ層の被覆反応の際にも、粒子は更に凝集し易くなる。したがって、上記高濃度の粒子分散液の場合、凝集を抑える本発明の効果が特に顕著に発揮される。
シリカ系複合酸化物粒子の生成反応が終了する際に、反応液中の該粒子の濃度が30質量%を越える場合、他の金属酸化物がジルコニアであっても粒子の凝集が激しくなる。その結果、アセトニトリルの濃度を前記範囲に制御しても、凝集を抑制することは難しい。
斯様な条件で反応させることによって、上記粒子濃度範囲で、かつ平均粒子径が0.1〜1.0μmのシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子が反応液中に生成する。
触媒の添加方法は、原料物質と共に、別途調製されたアルカリ性水溶液を、反応液中に同時に滴下することが好ましい。アルカリ性水溶液の滴下方法としては、特に液中滴下方法による必要はない。しかし、撹拌羽根近傍でアルカリ性水溶液を液中滴下すると、反応液中において撹拌が充分に行われるので好ましい。上記のようにアルカリ性水溶液を原料物質と同時滴下することによって、反応期間中に継続して反応槽内のアルカリ量を一定に保つことができる。その結果、反応期間を通して反応速度が高い状態に保たれる。即ち、アルカリによって発生する反応基質の濃度は高く保たれる。結果として、固形分濃度が高い状態で粒子を合成できるので、収量(生産性)の高い合成が可能となる。
なお、アルカリ性水溶液の同時滴下に際しては、同時に供給される原料物質に含まれるシリコンとジルコニアの金属の総モル数に対して、供給されるアルカリ性水溶液中の水のモル数が1〜6倍、好ましくは2〜5倍となるようにアルカリ性水溶液を滴下することが好ましい。
(第2段の反応工程)
第2段の反応工程においては、第1段の反応工程で得られる分散液をそのまま用いて、反応液中で該複合酸化物粒子の表面をシリカ層で被覆することが好ましい。
具体的には、上記シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液中で、シリコンのアルコキシド及び/又は該アルコキシドから誘導される可縮合性化合物の加水分解・重縮合を行う。
凝集粒子の発生機構は、現在、必ずしも明確になっていないが、本発明者らは以下のように考えている。
即ち、第1段の反応工程の終期においては、反応液に原料を供給することを停止して、反応を一旦終了させる。その後、第2段の反応工程を開始する。しかし、第2段の反応工程は、前工程とは異なる反応条件で反応が再開される。この場合は、反応液が安定化するまで、粒子の凝集し易い状態になっていると考えられる。この状態において、少量の粒子の凝集が起き、この凝集粒子が核となって、第2段の反応工程全体にわたって凝集が成長する。更には、部分的に凝集粒子の解砕等も生じる。これらの結果、前記顕著な単分散性の低下を引き起こす。
その理由は定かではない。しかし、本発明者らは以下のように考えている。即ち、第1段の反応工程における穏やかなシリカ−ジルコニア系の反応性により、得られる複合酸化物粒子の表面性状が、他の金属酸化物の複合酸化物の場合よりも、より凝集し難い性状を帯びる様になっているのではないかと、発明者らは考えている。
例えば、この第2段の反応工程をアセトニトリルの補充なく実行した結果、反応の途中で該アセトニトリルの濃度が前記10質量%を多少下回るようなこと(好適には7質量%を下回らない範囲)がある場合でも、粒子の凝集は許容できる程度の僅かな発生に留めることができる。もちろん、この第2段の反応工程においても、シリカ原料物質の供給と併行して、必要に応じてアセトニトリルを補充し、その濃度を前記規定値内(10質量%以上、より好適には15〜85質量%)に保持する場合は、第2段の反応工程で得られる粒子の単分散性は一層高くなる。
シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子表面にシリカ層を被覆する方法は、反応液に分散しているシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子と、シリコンのアルコキシドなどのシリカ原料物質とを直接もしくは溶媒に希釈、または部分加水分解させて反応させる方法が例示される。シリカ原料物質としては、第1段目の反応工程と同様に、一般式Si(OR)4またはSiR’n(OR)4−nで示されるのが好ましい。
(1)「平均粒子径」、「粒子径の変動係数」、及び「円形度」
これら物性は、走査型電子顕微鏡の撮影像から無作為に選んだ200個の粒子像を、画像解析装置を用いて解析することにより求めた。ここで、「平均粒子径」とは画像解析によって得られた200個の粒子径の平均値をいい、「粒子径の変動係数」は以下の式によって算出した。
円形度-=(4πxS)/L2
ここで、Sは粒子の投影面積、Lは粒子の投影周囲長である。
「円形度」は、粒子がどれだけ球に近いかを表すパラメーターである。
(2)屈折率
粒子の屈折率は液浸法により測定した。即ち、異なる屈折率の溶媒(例えば、トルエン、1−ブロモナフタレン、1−クロロナフタレン、ジヨードメタン、イオウ入りジヨードメタンなど)を適当に混合することにより、任意の屈折率の混合溶媒を作った。前記屈折率の異なる混合溶媒中に粒子を分散させて粒子の分散液を作製した。25℃において最も透明な粒子の分散液の屈折率を粒子の屈折率とした。混合溶媒の屈折率はアッベ屈折率計を用いて25℃で測定した。
(3)結晶形態
粒子の結晶形態は、X線回折装置を用いて同定した。
(4)シリカ被覆層の厚み
シリカ被覆層の厚みは、粒子を透過型電子顕微鏡を用いて観察し、その撮影像から無作為に選んだ10個の粒子像を画像解析することにより求めた。
(5)粒子濃度
シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液の10g計り取り、オーブンを用いて100℃で12時間乾燥した後の質量を測定した。粒子濃度は以下の式を用いて算出した。
(6)アセトニトリルの濃度
反応前のアセトニトリルの濃度は、仕込み量を用いて算出した。反応後のアセトニトリルの濃度は、得られたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液を遠心分離して濾液を得、このろ液を高速液体クロマトグラフを用いて分析した。分析値を基礎とし、比重を用いて質量に変換することによって、反応溶媒中のアセトニトリル濃度を求めた。また(5)で算出された粒子濃度を用いて、シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液全体に占めるアセトニトリルの濃度を求めた。
(7)粒子の分散性
反応によって得られたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液3gを分取し、10mlサンプル管に入れて30秒間静置した。この際に、分散液が液と沈降物とに分離する状態を、目視で評価した。僅かでも沈降粒子の分離が確認できた場合を「沈降」と評価した。次いで、「沈降」と評価されなかった分散液を一滴、走査型電子顕微鏡の試料台に滴下して乾燥させた。その後、該走査型電子顕微鏡の視野内に一次粒子が200個以上観察される倍率で、乾燥した粒子を観察した。2個以上の凝集粒子が全く無く、全てが単分散していた場合を「E」、2個以上の凝集粒子が僅かに観察された場合を「G」、2個以上の凝集粒子が多量に観察された場合を「B」とした。
実施例1
(複合酸化物粒子用アルコキシド溶液の調製)
2リットルのエルレンマイヤーフラスコに、テトラエトキシシラン(コルコート(株))356g、イソブチルアルコール427gを仕込み撹拌した。この中に0.06質量%の希硫酸8.9gを加え、17時間撹拌してテトラエトキシシランの部分加水分解を行った。続いて、得られた反応液にテトラブチルジルコネート(北興化学工業(株)、商品名:HZ−NB)114g、28%ナトリウムメトキサイド(和光純薬)17.3gを加え、無色透明の複合酸化物粒子製造用アルコキシド溶液を得た。
(シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の製造)
撹拌翼をセットした内容積3リットルのジャケット付ガラス製反応器に、アセトニトリル370g、イソブチルアルコール107gおよびアンモニア水(25質量%)260gを仕込んだ。ジャケットの循環水の温度を40℃に設定し、180rpmで撹拌翼を回転させて反応器内を撹拌した。次に、このようにして調製した反応溶媒に、予め調製した上記複合酸化物粒子製造用アルコキシド溶液の全量923.2gを7時間かけて供給した。その後20分間攪拌し、シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液を得た。
(シリカ層の被覆)
1Lのエルレンマイヤーフラスコにテトラエトキシシラン(コルコート(株))89.3g、メチルアルコール300gを仕込み撹拌し、シリカ被覆用アルコキシド溶液を調整した。得られたシリカ被覆用アルコキシド溶液の全量を上記シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液に撹拌しながら2時間かけて液中滴下した。供給後20分間攪拌した。反応終了時のアセトニトリルの濃度は17質量%であった。
粒子の分散性を評価したところ「E」であった。その後、シリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子を凝集沈降させ、ろ別し、乾燥させた。乾燥した粒子の一部を880℃で5時間焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した結果、平均粒子径は8%ほど小さくなっていることが分った。その他の数値は上記とほぼ同様で、変化は認められなかった。粒子の屈折率は1.54であった。X線回折の結果、乾燥した粒子、焼成した粒子は、何れもほぼ非晶質であった。
実施例2
(複合酸化物粒子製造用アルコキシド溶液の調製)
3リットルのエルレンマイヤーフラスコに、テトラエトキシシラン(コルコート(株))786g、イソブチルアルコール444gを仕込み撹拌した。更に、0.06質量%希硫酸22.2gを加え、テトラエトキシシランの部分加水分解を17時間行った。続いて、得られた反応液にテトラブチルジルコネート(北興化学工業(株)、商品名:HZ−NB)228g、28%ナトリウムメトキサイド(和光純薬)34.6gを加え、無色透明な複合酸化物粒子製造用アルコキシド溶液を得た。
(シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の製造)
撹拌翼をセットした内容積3リットルのジャケット付ガラス製反応器に、アセトニトリル300g、アンモニア水(25質量%)280gをそれぞれ仕込み、ジャケットの循環水の温度を40℃に設定した。撹拌翼を180rpmで撹拌した。次に、このようにして調製した反応溶媒に予め調製した上記複合酸化物粒子製造用アルコキシド溶液1514.8gを7時間かけて全量を供給した。更に、供給後20分間反応液を攪拌した。
(シリカ層の被覆)
1Lのエルレンマイヤーフラスコにテトラエトキシシラン(コルコート(株))268g、メチルアルコール500gを仕込み、撹拌してシリカ被覆用アルコキシド溶液を調製した。得られたシリカ被覆用アルコキシド溶液を、上記調製したシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液に5時間かけて滴下し、供給後20分間攪拌した。反応終了時のアセトニトリルの濃度は8質量%であった。
シリカ層の被覆厚みは9nmであった。その後、シリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子を凝集沈降させ、ろ別した。乾燥した粒子の一部を860℃で6時間焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した結果、平均粒子径は7%ほど小さくなっていることが分った。その他の数値は上記とほぼ同様であった。また、粒子の屈折率は1.54であった。X線回折の結果、乾燥した粒子、焼成した粒子は、何れもほぼ非晶質であった。
実施例3
(複合酸化物粒子用アルコキシド溶液の調製)
実施例1で用いた複合酸化物粒子製造用アルコキシド溶液と同じものを用いた。
(シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の製造)
撹拌翼をセットした内容積3リットルのジャケット付ガラス製反応器に、アセトニトリル477gおよびアンモニア水260g(25質量%)を仕込み、ジャケットの循環水の温度を40℃に設定した。撹拌翼を180rpmで回転させ、反応器内を撹拌した。この反応溶媒に、予め調製した上記複合酸化物粒子製造用アルコキシド溶液923.2g(全量)を7時間かけて供給し、供給後20分間攪拌した。
上記反応により、シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液を得た。粒子濃度は11質量%であった。粒子の分散性を評価したところ、「E」であった。生成したシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の組成は、原料物質の仕込み量から算出すると、SiO283.3モル%、ZrO214.5モル%、Na2O2.2モル%であった。
(シリカ層の被覆)
1Lのエルレンマイヤーフラスコに、テトラエトキシシラン(コルコート(株))89.3g、アセトニトリル300gを仕込み撹拌し、シリカ被覆用アルコキシド溶液を調製した。得られたシリカ被覆用アルコキシド溶液の全量を上記シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液に撹拌しながら2時間かけて液中滴下した。
実施例4〜10
表1および表2に示す反応条件に変更する以外は、実施例1に記載の操作に準じて操作し、シリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子を製造した。結果を、表1および表2に併せて示した。
比較例1
(複合酸化物粒子用アルコキシド溶液の調製)
2リットルのエルレンマイヤーフラスコに、テトラメトキシシラン(多摩化学(株))518g、メタノール160gを仕込み撹拌した。この中に0.06質量%希硫酸8.9gを加え、テトラエトキシシランの部分加水分解を撹拌下に17時間行った。続いて、チタンテトライソプロポキシド(日本曹達(株)、商品名:A−1)170.5gを加え、無色透明な複合酸化物粒子製造用アルコキシド溶液を得た。
(シリカ−チタニア複合酸化物粒子の製造)
撹拌翼をセットした内容積3リットルのジャケット付ガラス製反応器に、アセトニトリル667gおよびアンモニア水(25質量%)133gを仕込み、ジャケットの循環水の温度を40℃に設定した。180rpmで撹拌翼を回転させて反応器内を撹拌した。次に、このようにして調製した反応溶媒に、予め調製した上記複合酸化物粒子用アルコキシド溶液の全量857.4gを7時間かけて供給した。その後20分間攪拌し、シリカ−チタニア複合酸化物粒子分散液を得た。
(シリカ層の被覆)
1Lのエルレンマイヤーフラスコにテトラエトキシシラン(コルコート(株))89.3g、MeOH300gを仕込んで撹拌し、シリカ被覆用アルコキシド溶液を調製した。得られたシリカ被覆用アルコキシド溶液を上記シリカ−チタニア複合酸化物粒子分散液に滴下した。滴下を開始してから、約1時間後に粒子の激しい凝集が見られた。その結果、単分散した粒子は得られなかった。
比較例2
実施例1において、(複合酸化物粒子製造用アルコキシド溶液の調製)工程で、テトラブチルジルコネート114gに代えて、アルミニウムエトキシド(和光純薬、試薬)を等モル量の41g使用した以外は、該実施例1と同様に操作して、シリカ層被覆シリカ−アルミナ複合酸化物粒子の製造を試みた。
(複合アルコキシド溶液の調製)
実施例1と同様に、2リットルのエルレンマイヤーフラスコに、テトラエトキシシラン(コルコート(株))356g、イソブチルアルコール427gを仕込み撹拌した。この中に0.06質量%希硫酸8.9gを加え17時間テトラエトキシシランの部分加水分解を行った。続いて、得られた反応液にテトライソブチルジルコニウム(北興化学工業(株)、商品名:HZ−NB)114g、28%ナトリウムメトキサイド(和光純薬)17.3gを加え、無色透明な複合アルコキシド溶液を得た。
(シリカ系複合酸化物粒子の製造)
撹拌翼をセットした内容積3リットルのジャケット付ガラス製反応器に、アセトニトリル130g、イソブチルアルコール(IBA)200gおよびアンモニア水(25質量%)360gを仕込み、ジャケットの循環水の温度を40℃に設定し、180rpmで撹拌した。次に、このようにして調製した反応溶媒に予め調製した上記複合アルコキシド溶液の全量923.2gを7時間かけて供給した。
(シリカ層の被覆)
1Lのエルレンマイヤーフラスコにテトラエトキシシラン(コルコート(株))89.3g、メチルアルコール300gを仕込み撹拌した。調整した反応液を上記シリカ系複合酸化物粒子の分散液に2時間かけて滴下したところ、滴下を開始してから約1時間後に、粒子の激しい凝集が見られた。その結果、単分散した粒子は得られなかった。
Claims (5)
- シリコンのアルコキシド及び/又は該アルコキシドから誘導される可縮合性化合物と、ジルコニウムのアルコキシド及び/又は該アルコキシドから誘導される可縮合性化合物とを、アセトニトリルが反応液中に10質量%以上含有される含水溶媒中で反応させることによりシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液を得、
次いで、前記シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液中で該分散液中に分散しているシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子とシリコンのアルコキシド及び/又は該アルコキシドから誘導される可縮合性化合物とを反応させることにより、該シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の表面をシリカ層で被覆させることを特徴とする、シリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の製造方法。 - シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液に分散するシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の平均粒子径が0.05〜1.0μmである請求項1に記載のシリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の製造方法。
- シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の表面を被覆するシリカ層の厚みが5〜30nmである請求項2に記載のシリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の製造方法。
- シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液中で、該シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の表面をシリカ層で被覆させる反応を、アセトニトリルが10質量%以上含有される反応液中で実施する請求項1に記載のシリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の製造方法。
- シリコンのアルコキシド及び/又は該アルコキシドから誘導される可縮合性化合物と、ジルコニウムのアルコキシド及び/又は該アルコキシドから誘導される可縮合性化合物とを、アセトニトリルが反応液中に10質量%以上含有される含水溶媒中で反応させることによりシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液を得、
次いで、前記シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子分散液中で該分散液中に分散しているシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子とシリコンのアルコキシド及び/又は該アルコキシドから誘導される可縮合性化合物とを反応させることにより、該シリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の表面をシリカ層で被覆させることを特徴とする、歯科用コンポジットレジン用の充填剤であるシリカ層で被覆されたシリカ−ジルコニア複合酸化物粒子の製造方法。
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