JP5769932B2 - 酸化チタンゾル及びその製造方法、並びに酸化チタン含有ポリマー - Google Patents

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Description

本発明は、高濃度でも安定な酸化チタンゾルおよびその製造方法に関する。さらに、この酸化チタンゾルを用いた酸化チタン含有ポリマーに関する。
従来、酸化チタン粒子を媒液に分散させた酸化チタンゾルにおいて、酸化チタン粒子の表面を改質することにより、酸化チタンゾルの有する各種の性能を向上させる試みがなされている。このような表面改質の一例として、水性の酸化チタンゾルへシランカップリング剤を添加し、これを加水分解した生成物により酸化チタン粒子を被覆した水性の酸化チタンゾルと、この酸化チタンゾルに対し、媒液を有機溶媒で置換した酸化チタンゾルが開示されている(特許文献1)。
特開2006−83033号公報
酸化チタンゾルは、高濃度に濃縮可能であることが好ましく、シランカップリング剤や分散剤を用いることで有機溶媒中での分散安定性を高める方法が知られている。しかし、従来の方法では、濃縮過程において沈殿が生じ易く、高濃度で安定させるのが容易でない。本発明は、高濃度に濃縮可能であり、高濃度で安定な酸化チタンゾルや、その製造方法、並びに高濃度の酸化チタンゾルを用いたポリマーを提供する。
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、平均粒径が100nm以下であり、表面に有機シラン化合物の重縮合物を含む被覆を有する酸化チタン粒子と、少なくとも水を含む媒液とを含む酸化チタンゾルが、相溶性有機溶媒を用いた酸化チタンゾルの前駆体として好適であることを見出した。
また、前記の重縮合物を含む被覆は、有機シラン化合物の加水分解生成物を接触させ、
スラリーのpHを中性或いは弱アルカリ性領域に調整し、形成されものであることが好ましい。
また、上記の工程を経て得られる水性酸化チタンゾルについて、水を含む媒液を相溶性有機溶媒で置換して、酸化チタンの固形分を25〜35重量%に調整することにより、透明性が高く、安定な酸化チタンゾルを製造できることを見出した。
また、上記の酸化チタンゾルと、不飽和結合をもつ有機化合物とを重合反応させることで、酸化チタンをポリマーに担持させた酸化チタン含有ポリマーを製造可能であることを見出した。
本発明により、有機シラン化合物を処理した酸化チタンゾルを、高濃度に濃縮したまま安定させることができる。
実施例1で得られた試料A及び比較例2で得られた試料Dの分光透過率を示す図である。 実施例2で得られた試料B及び比較例3で得られた試料Eの分光透過率を示す図である。 実施例3で得られた試料Cの、透過型電子顕微鏡により撮影した画像を示す図である。
以下、本発明の酸化チタンゾルについて、説明する。
本発明の酸化チタンゾルは、平均粒径が100nm以下であり、表面に有機シラン化合物の重縮合物を含む被覆を有する酸化チタン粒子と、相溶性有機溶媒と、を含み、酸化チタンの濃度が25〜35重量%となるものである。
酸化チタン粒子は、その結晶形によらず、アナターゼ型やルチル型等のいずれも使用可能である。アナターゼ型の酸化チタン粒子を用いた場合、光550nmの波長を有する光の分光透過率が、酸化チタン粒子の固形分を5重量%に希釈した時に70%以上であることが好ましく、80%以上であることが、更に好ましい。一方、ルチル型の酸化チタン粒子を用いた場合、光550nmの波長を有する光の分光透過率が、酸化チタン粒子の固形分を0.5重量%に希釈した時に30〜60%であることが好ましい。
本発明における酸化チタン粒子には、本発明の目的を阻害しない程度であれば、種々の目的でドーパントが添加されていても良い。また、酸化チタン粒子は、一次粒子、一次粒子が集合して構成された二次粒子等を、広く包含する。
本発明に用いる酸化チタン粒子としては、平均粒径が100nm以下のものが用いられ、2〜60nmの範囲にあることが好ましい。平均粒径が100nmを越える酸化チタン粒子を含む酸化チタンゾルを用いて基材を被覆処理した場合、酸化チタンゾルは白濁して不透明になる傾向がある。
酸化チタン粒子の表面は、有機シラン化合物が加水分解することで生じた加水分解生成物が重縮合したもの(以下、有機シラン化合物の重縮合物という)により、一部又は全部が被覆されている。有機シラン化合物としては、一般式Rn−Si−(OR’)4−n〔式中Rはアルキル基、ビニル基、メタクリル基の少なくとも1種を含む炭素数10以下の炭化水素基であり、R’はメチル基又はエチル基であり、nは1〜3の整数である。但し、nが2または3のときは、Rは同種の炭化水素基であってもよいし、異種の炭化水素基であってもよい。〕で表されるものが望ましい。Rの炭化水素基の炭素数が11以上になると加水分解させることが困難になるため、好ましくない。なお、本発明でいう有機シラン化合物の重縮合物とは、上式に示す有機シラン化合物のアルコキシ基が加水分解されてシラノールになったもの同士が、さらに重縮合し、シロキサン結合を有するオリゴマーやポリマーになったもの、及びそれらから選ばれる2種以上の混合物をいうが、未反応のシラン化合物を含んでいてもよい。
前記有機シラン化合物の具体例としては、例えばメチルトリエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。上記有機シラン化合物のうち、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の、メタクリロキシ基を有するものが、相溶性有機溶媒を低分子アルコールとした時に分散安定化の効果が高いこと、不飽和結合を有するため、有機化合物と重合反応可能であること等の理由から好ましい。
有機シラン化合物の重縮合物の量は、基体となる酸化チタンに対し、有機シラン化合物に換算して、好ましくは0.05〜100.0重量%であり、さらに好ましくは1.0〜60.0重量%である。0.05重量%より少ないと酸化チタン粒子表面の水酸基の封鎖効果が小さいので、優れた分散性が得られない。一方、100.0重量%より多く加えても有機シラン化合物の添加量に見合った効果が認められず、経済的にも不利である。
酸化チタン粒子は、無機化合物により、一部又は全部が被覆されても良い。無機化合物としては、リン酸アルミニウム、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、その他公知の含水化合物又は酸化物から選ばれる1種あるいは複数種の化合物が含まれてよい。このように、酸化チタン粒子は、無機化合物による被覆を有していてもよく、また、これらの位置も特に限定されないが、有機シラン化合物の重縮合物を含む被覆よりも、内側にあることが好ましい。
有機シラン化合物の重縮合物の状態を把握するためには、「Si−置換基」の結合を検出できる29 Si−NMR測定が好適である。
有機シラン化合物中にSi−O−Si結合をn個(nは、0〜3の整数)有するものは、RSi(OSi)(OR’)3−n(Rはアルキル基を、R’はCH或いはHを、それぞれ表す)で表される。これらの化合物は29Si−NMR測定で検出され、そのピークは一般にTnとして表される。
一方、有機シラン化合物中にSi−O−Si結合をn個有し、かつ、Si−O−Ti結合をk個(kはn+k≦3を満たす0以上の整数)有するものは、RSi(OSi)(OTi)(OR')3−n−kで表される。これらの化合物に由来するピークは、Si−OーTi結合の数により分割することが難しいため、複合ピークとして、TnTiで表される。
上記の酸化チタンは相溶性有機溶媒に分散している。相溶性有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、エチレングリコールおよびそのモノアルキルエーテル、その他の水と混合して用いることが可能な有機溶媒であるが、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールのような低級アルコールが好ましい。
以下、上記の酸化チタンゾルと、その前駆体であって媒液に水を含む酸化チタンゾル(以下、単に「水性酸化チタンゾル」という)について、製造方法を説明する。
(水性酸化チタンゾル)
水性酸化チタンゾルは、少なくとも水を含む媒液のスラリー中で、平均粒径が100nm以下の酸化チタン粒子と有機シラン化合物の加水分解生成物を接触させ、前記加水分解生成物を含む被覆を形成する第一工程と、中和反応などによってスラリーのpHを中性流域或いは弱アルカリ性領域に調整する第二工程とを経ることにより、得られる。後述するように、スラリーのpHは、第一工程の終点において酸性領域にある。
(第一工程に用いる水性スラリー)
酸化チタンを含有する水性スラリー(以下、単に「水性スラリー」という。)は、チタン化合物水溶液を加熱加水分解したり、チタン化合物水溶液にアルカリを添加し中和したりして得た酸化チタン粒子に、水と、必要に応じて相溶性有機溶媒を添加し、混合すること等、公知の方法で得られる。水性スラリー中の酸化チタン粒子は、ルチル型、アナターゼ型等いずれの結晶形であるかを問わず、本発明の目的を阻害しない程度であれば、種々の目的でドーパントが添加されていても良い。この酸化チタン粒子は、一次粒子、一次粒子が集合して構成された二次粒子等、その形状を問わないが、平均粒径が1〜100nmのものが必要であり、2〜60nmの範囲にあることが好ましい。平均粒径が100nmを超える場合、そのままでは酸化チタン粒子の分散性低いため、機械的粉砕などによって凝集体を解砕し、平均粒径が前記の範囲内となるよう微粉化する工程を設けることで適用できる。
本発明における「酸化チタン粒子を含有する水性スラリー」とは、溶質として酸化チタン粒子を含み、少なくとも水を含む媒液を用いたものであり、必要に応じて相溶性有機溶媒を添加したものである。また、「水性酸化チタンゾル」とは、溶媒として水を用いたものであり、必要に応じて相溶性有機溶媒が添加された酸化チタンゾルである。
(第一工程)
このようにして得られた水性スラリーに、有機シラン化合物の加水分解生成物を含む被覆を形成する。有機シラン化合物の加水分解生成物は、例えば、水性スラリーに有機シラン化合物を添加する方法や、相溶性有機溶媒に希釈した有機シラン化合物を添加する方法等、いずれの方法でも生成される。第一工程の始点において、水性スラリーのpHは、酸性領域、中性領域、アルカリ性領域のいずれにあっても良いが、第一工程の終点においては、水性スラリーのpHは酸性領域にある。一例として、水性スラリーのpHを中性領域として第一工程を出発した場合、反応が進むにつれpHが下がり、第一工程の終点では、pHは酸性領域となる。有機シラン化合物は、加水分解によるシラノールの生成後、酸化チタン表面または自己のシラノール基と縮合反応を起こすことが知られている。加水分解反応においては、反応率を高めるために有機シランを添加前に事前に加水分解することが可能である。縮合反応においては、過剰な自己縮合反応を抑制し、同時に酸化チタンとの反応によって被覆を形成する必要があるため、反応温度は低く、反応時に添加する相溶性有機溶媒は多いほど良い。反応時の相溶性有機溶媒の比率を高めるため、必要に応じて事前に水性スラリーを相溶性有機溶媒に溶媒置換しても良い。この溶媒置換の工程等によって、スラリー中の酸化チタンが過度な凝集状態となってしまった場合は、機械的粉砕などにより凝集粒子を解砕する工程を設けても良い。なお、水性スラリーの粘性が高い場合は、必要に応じて攪拌等の処理をしても良い。
(第二工程)
次いで、水性スラリーのpHが中性領域或いは弱アルカリ性領域となるよう調整する。水性スラリー中に含まれる酸成分は、加水分解生成物の被覆をもつ酸化チタン粒子を相溶性有機溶媒中で分散せしめるのに障害となるからである。調整方法として、アルカリの添加や、脱イオン等が利用できる。pHを調整する過程では、白濁した水性スラリーが瞬時に透明になる場合や(実施例1)、水性スラリーの粘性が急激に低下して透明度が上昇する(実施例2)場合等、顕著な現象があるが、最終的に水性スラリーは、透明性が高く、安定した酸化チタンゾルとなる。このpHの調整による分散は瞬時に起こり、また可逆的であることから、第二工程によって有機シランが縮合するなどの反応をしているとは考えにくい。第二工程の終点におけるpHは、6.0〜9.0が好ましく、8.0〜9.0が、より好ましい。
上記メカニズムは、下記のように推察される。
まず、有機シランは第一工程の終点で既に一定の割合で自己縮合しており、シロキサンのネットワークが立体的に形成されることで、酸化チタン粒子を保護していると考えられる。次に、第二工程において水性スラリーのpHが中性領域或いは弱アルカリ性領域に調整されることにより、酸化チタン粒子の表面電位や、ネットワークの立体構造が生じ、結果として、透明性が高く、安定した酸化チタンゾルを得ることができる。
(第三工程)
上記の水性酸化チタンゾルを、例えば、限外濾過と有機溶媒による希釈を繰り返すことにより、水分を除去するとともに溶媒置換をする。これにより、水性酸化チタンゾルの溶媒を相溶性酸化チタンゾルへ転換することができる。相溶性溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、エチレングリコールおよびそのモノアルキルエーテル、その他の水と混合可能な有機溶媒が用いられるが、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールのような低級アルコールが好ましい。また、分散安定性を向上させるために種々の分散剤および添加剤を加えてもかまわない。尚、第一工程の直後に、水性スラリーが高い透明度を示し一見して酸化チタンゾルになっている場合があるが、第二工程を行わずに本工程を行った場合、溶媒中の水分が一定量を下回ったり、酸化チタンの濃度が一定量を超えたりすると、直ちに凝集して著しい増粘や沈殿を生成し、良好な酸化チタンゾルは得られない。
得られた相溶性酸化チタンゾルは、限外ろ過濃縮等の方法により、酸化チタンの固形分が25〜35重量%となるまで濃縮することができる。上記の製造方法で得られた相溶性酸化チタンゾルは、濃縮後であっても透明性が高く、安定した状態を維持することができるが、有機シランのオリゴマーやポリマーにより粒子表面が均一に被覆されたことで、濃縮される際に酸化チタン粒子同士が接近しても凝集しないためと考えられる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(第一工程)
酸性のアナターゼ型酸化チタンゾル(石原産業製STS−100)に陰イオン交換樹脂を添加してpHを4.0に調整した後、直ちに陰イオン交換樹脂を分離しメタノールで希釈することで、a液(メタノール及び水が溶媒である、酸化チタンゾル)を得た。一方、酸化チタンの固形分に対し50重量%の3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランをメタノール中で30分混合し、b液を得た。a液を35℃にて攪拌しながらb液を徐々に添加し、添加終了後1時間保持し、酸化チタンの濃度が1重量%、溶媒中の水が11重量%の安定した水性酸化チタンゾル(溶媒はメタノール及び水)を得た。反応終了後のpHは2.5であり、酸化チタンゾルは透明であった。
(第二工程)
得られた水性酸化チタンゾルにNHを添加し、中和した。pH付近から白濁し、pHが7.0を超えるあたりで透明な水性酸化チタンゾルとなった。最終的なpHを8.0とした。
(第三工程)
得られた水性酸化チタンゾルに対し、限外ろ過濃縮とメタノールによる希釈を繰り返すことで溶媒をメタノールに置換し、次いで酸化チタンの固形分が25重量%となるまで濃縮し、酸化チタンゾル(試料A:溶媒はメタノール)を得た。
実施例2
(第一工程)
四塩化チタンを中和して得たルチル型酸化チタンを解膠し、SiOにより処理した中性のルチル型酸化チタンゾルを、硫酸でpHを1.5に調整して凝集させ、ろ過洗浄することでルチル型酸化チタンの湿ケーキを得た。湿ケーキをマヨネーズ瓶に回収し、メタノールと、酸化チタンの固形分に対し50重量%の3−メタクリロキシトリメトキシシランを添加し、0.03mmのセラミックビーズを仕込み、ペイントシェーカーで1時間粉砕し、粘性の高い水性スラリー(溶媒中の水の割合は5重量%未満であった)を得た。反応終了時のpHは5.0付近であった。
(第二工程)
得られた水性スラリーをNHで中和したところ、pH7.0付近で急激に粘性が低下し、透明な水性酸化チタンゾルとなった。最終的なpHを8.0とした。
(第三工程)
得られた水性酸化チタンゾルに対し、限界ろ過濃縮とエタノールによる希釈を繰り返すことで溶媒をエタノールに置換し、次いで酸化チタンの固形分が30重量%となるまで濃縮し、酸化チタンゾル(試料B:溶媒はエタノール)を得た。
実施例3
エタノールと水にポリビニルピロリドンを溶解し、試料Aを添加した。次に、スチレンに重合開始剤であるAIBNを溶解させ、両者を混合した。この混合溶液を窒素雰囲気中60℃で24時間保持することによって分散重合を行った。析出した沈殿をエタノールで洗浄し、40℃で乾燥しポリスチレン−TiO複合体粉末(試料C)を得た。
比較例1
前記a液を35℃にて攪拌しながらb液を徐々に添加し、添加終了後1時間保持し、酸化チタンの固形分が1重量%で、溶媒中の水がメタノールに対して12.5重量%の酸化チタンゾルを得た。反応終了後のpHは、2.5であり、水性酸化チタンゾルは透明であった。得られた酸化チタンゾルを第二工程のように中和せず、エタノールによる溶媒置換を試みたところ、その途中で沈殿が生じた。
比較例2
酸性のアナターゼ型酸化チタンゾル(石原産業製STS−100)を、試料Dとする。
比較例3
四塩化チタンを中和して得たルチル型酸化チタンを解膠し、SiOにより処理した中性のルチル型酸化チタンゾルを、試料Eとする。
評価1
(分光透過率の測定)
試料A、B、D、Eにつき、下記の条件で希釈した後、10mm厚の石英セルに入れ、分光光度計(U−3010:日立製)を用いて正透過での分光スペクトル(波長200〜900nm)を測定した。光路長1cmの条件で、分光透過率を測定した。試料A及び試料D(アナターゼ型の酸化チタンゾル)について得られた測定結果を、図1に示す。試料B及び試料E(ルチル型の酸化チタンゾル)について得られた測定結果を図2に示す。

希釈条件
試料A:酸化チタンの濃度が0.5重量%となるまでメタノールで希釈。
試料B:酸化チタンの濃度が5.0重量%となるまでエタノールで希釈。
試料:酸化チタンの濃度が0.5重量%となるまで水で希釈。
試料:酸化チタンの濃度が5.0重量%となるまで水で希釈。
試料Aについては、550nmの波長を有する光の分光透過率が87.8%であった。また、試料Aは、図1に示すように、試料Aの原材料である試料と同等の透過率を有しているが、この結果は、前記の第一工程〜第三工程により、酸化チタンゾルの透明性が損なわれなかったことを意味する。
公知の方法にて得られた試料では、550nmの波長を有する光の分光透過率が11.1%であったのに対し、試料Bでは、37.9%であった。試料に比べて試料Bの分光透過率は大きく向上しているが、これは、試料Bが粉砕工程を経て得られたためである。
評価2
(Si−NMR測定)
試料A〜Bをそれぞれ乾燥し、下記の条件にてSi−NMR測定を行った。
測定結果を、表1に示す。

測定条件
装置:CMX−300(Chemagnetics社製)
測定法:DD/MAS法、逐次飽和法
スペクトル幅:30.03kHz
パルス幅:2.2μsec(45°パルス、DD/MAS法)
4.5μsec(90°パルス、逐次飽和法)
パルス繰り返し時間:ACQTM:68.2msec.
PD:150sec.(DD/MAS法)、
:1sec.(逐次飽和法)
基準物質:ヘキサメチルシクロトリシロキサン(−9.66ppm)
温度:22℃
試料回転数:4kHz
Figure 0005769932
表に示すように、有機シラン化合物の加水分解物のうち、酸化チタン粒子に担持されたもの(Si−O−Ti結合を、構造内に有するものであり、表1において、T0Ti+T1Ti+T2Tiとして表される)の割合は、試料Aでは26.5%であり、試料Bでは29.0%であった。このように、Si−O−Ti結合を有する加水分解生成物の割合が20%以上であることは、有機シラン化合物の自己縮合が80%以下に抑制されていることを表している。有機シラン化合物同士の自己縮合によるシロキサンネットワークの生成は、分散安定化に寄与するものの多すぎると逆に被覆の均一性が低下したり、異なる粒子を架橋して、逆に分散安定性が低下してしまう。このような理由からSi−O−Ti結合の割合が20%以上であることが好ましい。25%以上であることが、より好ましい。
評価3
(透過型電子顕微鏡による観察)
試料を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ポリスチレン粒子に酸化チタン粒子が分散していた。試料を透過型電子顕微鏡で撮影した画像を、図3に示す。

本発明の酸化チタンゾルは、相溶性有機溶媒を用いていることから、プラスチックやガラスの基材表面に塗布膜を形成するために好適である。

Claims (5)

  1. 平均粒径が100nm以下の酸化チタン粒子表面に、Si−O−Ti結合を20%以上有する有機シラン化合物の重縮合物を前記酸化チタンに対して1.0〜60.0重量%含む被覆を有する酸化チタン粒子と、相溶性有機溶媒とを含み、酸化チタンの固形分が25〜35重量%である酸化チタンゾル。
  2. 有機シラン化合物がメタクリロキシ基を含む、請求項1に記載の酸化チタンゾル。
  3. 水と相溶性有機溶媒を含む媒液のスラリー中で、平均粒径が100nm以下の酸化チタン粒子と有機シラン化合物の加水分解生成物を接触させ、前記加水分解生成物を含む被覆を形成する第一工程と、
    スラリーのpHを6〜9に調整する第二工程と、
    前記の水を含む媒液を相溶性有機溶媒で置換して、酸化チタンの固形分を25〜35重量%に調整する第三工程を含む、Si−O−Ti結合を20%以上有する有機シラン化合物の重縮合物を前記酸化チタンに対して1.0〜60.0重量%含む被覆を有する酸化チタンゾルの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の酸化チタンゾルと、不飽和結合をもつ有機化合物とを重合反応させて得られる、酸化チタン含有ポリマー。
  5. 前記の不飽和結合をもつ有機化合物がスチレンである、請求項4に記載の酸化チタン含有ポリマー。
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