JP2017210597A - 無機充填剤の表面処理方法 - Google Patents

無機充填剤の表面処理方法 Download PDF

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松川 公洋
Koyo Matsukawa
公洋 松川
星児 渡瀬
Seiji Watase
星児 渡瀬
紘志 御田村
Koji Mitamura
紘志 御田村
和秀 吉山
Kazuhide Yoshiyama
和秀 吉山
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Abstract

【課題】高分子などの材料に安定して分散する無機充填剤が得られる、新規な表面処理方法及び表面処理無機充填剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(A)の有機酸無水物にて無機充填剤の表面処理を施す無機充填剤の表面処理方法。
Figure 2017210597

[R1はC2〜10のシクロアルカン、C2〜10のシクロアルケン、C3〜11のビシクロアルカン、C3〜11のビシクロアルケン又はC4〜12の芳香環;R2は、H、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、R1を含むC2〜10シクロアルカン、R1を含むC2〜10のシクロアルケン、R1を含むC4〜12の芳香環又はR1を含むC1〜4の複素環;]
【選択図】なし

Description

本発明は、無機充填剤の表面処理方法、表面処理された無機充填剤、複合材料用組成物、及び薄膜の形成方法に関するものである。
従来より、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カーボン繊維、ガラス繊維などの無機充填剤をシランカップリング剤で表面処理することで無機充填剤表面に官能基を付与し、この表面処理無機充填剤をマトリックスとなるエポキシ樹脂などの高分子材料に充填して、無機充填剤と高分子材料との親和性を高めて、機械的強度、耐水性、接着性などの物性が改善された複合材料を得ることが広く行われている。
しかし、上記のような無機充填剤の粒子径がナノサイズになると、シランカップリング剤との反応性が乏しくなり、サブミクロン程度の粒子とは異なる粒子表面特性、相互材用が発現し、粒子が凝集しやくすなる問題がある。また、未反応のシランカップリング剤がシロキサン結合を形成することで再凝集を起こし、安定な分散状態を得ることが難しい。
これまでに上記のような未反応カップリング剤やカップリング剤同士の縮合物などの低減のために各種の検討が行われてきた。しかしいずれも粒子径がナノサイズの無機充填剤に十分に対応できないことや洗浄工程が必要となることなどの問題がある。
特許文献1には、30℃から400℃に加熱処理した際の重量減少が2重量%以下である表面改質された無機微粒子、及び無機微粒子をシランカップリング剤などの表面改質剤で処理した後、有機溶媒中で加熱し、次いで固液分離する無機微粒子の製造方法が記載されている。
特許文献2には、無機微粒子を表面改質剤で処理した後、次いで相対湿度50%以上で加熱処理をする無機微粒子の製造方法が記載されている。
特許文献3には、樹脂バインダーと充填材とを混練して、樹脂バインダー中に上記充填材が混合分散した樹脂組成物を調製する樹脂組成物の製造方法において、上記充填材にシランカップリング剤を添加して混合し、添加したシランカップリング剤の95%以下を反応させる一次カップリング処理を施して、アルコール可溶の未反応シランカップリング剤が添加量の5%以上存在するカップリング処理充填材を調製し、次いでこのカップリング処理充填材について添加した全シランカップリング剤の5%以上に相当する上記未反応シランカップリング剤を上記一次カップリング処理よりも緩徐に反応させる二次カップリング処理を施すことにより、最終的に添加した全シランカップリング剤の10〜100%を反応させて、上記未反応シランカップリング剤の存在量が全シランカップリング剤添加量に対して90%以下のカップリング処理充填材とした後、このカップリング処理充填材を上記樹脂バインダーと混練する樹脂組成物の製造方法が記載されている。
特許文献4には、ナノフィラーを溶媒中に分散させるとともに、シランカップリング剤やシリル化剤などの改質剤を添加して表面改質する工程と、前記ナノフィラーを含む前記溶媒を直接洗浄し、前記溶媒中に前記改質剤の残存成分として存在している遊離改質剤を除去して精製する工程と、を具えるナノフィラーの表面改質方法が記載されている。
特開平10−316406号 特開2000−95517号 特開2001−233963号 特開2006−299126号
本発明は、無機充填剤に対して良好な表面処理効果を達成でき、高分子などの各種材料に対して安定に分散する無機充填剤が得られる、新規な表面処理方法及び表面処理された無機充填剤を提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(A)で示される有機酸無水物で無機充填剤の表面を処理することを特徴とする無機充填剤の表面処理方法に関する。
Figure 2017210597
[式中、Rはシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、シクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、ビシクロアルカンを形成する炭素数3〜11の基、ビシクロアルケンを形成する炭素数3〜11の基、又は芳香環を形成する炭素数4〜12の基を示し、Rは、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、Rの炭素を含んでシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んでシクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んで芳香環を形成する炭素数4〜12の基及びRの炭素を含んで複素環を形成する炭素数1〜4の基から選ばれる基を示す。nは1〜8の数を示す。]
また、本発明は、下記一般式(A)で示される有機酸無水物で表面処理された無機充填剤に関する。
Figure 2017210597
[式中、Rはシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、シクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、ビシクロアルカンを形成する炭素数3〜11の基、ビシクロアルケンを形成する炭素数3〜11の基、又は芳香環を形成する炭素数4〜12の基を示し、Rは、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、Rの炭素を含んでシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んでシクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んで芳香環を形成する炭素数4〜12の基及びRの炭素を含んで複素環を形成する炭素数1〜4の基から選ばれる基を示す。nは1〜8の数を示す。]
また、本発明は、上記本発明の無機充填剤と、高分子用材料とを含有する複合材料用組成物に関する。
また、本発明は、上記本発明の複合材料用組成物を薄膜状とし、前記組成物中の高分子用材料を反応させて硬化させる、薄膜の形成方法に関する。
本発明によれば、有機酸無水物の開環により得られる2本のカルボン酸を介して無機充填剤を表面修飾することで、表面との結合が強固になり、無機材料への十分な改質処理効果が得られる。また、有機酸無水物のみでの表面修飾により、シロキサン結合を導入すること無く安定な分散状態を得ることができる。
以下、本発明の酸無水物による無機充填剤の新規表面処理方法を、その好ましい実施形態に基づいて詳述するが、本発明はこれらの内容に限定されない。
[有機酸無水物]
まず、有機酸無水物について説明する。
本発明に使用する有機酸無水物は、一般式(A)で表される。
Figure 2017210597
[式中、Rはシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、シクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、ビシクロアルカンを形成する炭素数3〜11の基、ビシクロアルケンを形成する炭素数3〜11の基、又は芳香環を形成する炭素数4〜12の基を示し、Rは、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、Rの炭素を含んでシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んでシクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んで芳香環を形成する炭素数4〜12の基及びRの炭素を含んで複素環を形成する炭素数1〜4の基から選ばれる基を示す。nは1〜8の数を示す。]
一般式(A)中、Rは、式中の点線部分と共に環状構造を形成する。Rはその環状構造に結合する水素又は置換基である。Rは、Rの炭素を含んでシクロアルカン等の環構造を形成してもよい。
一般式(A)中、シクロアルカンを形成するRの炭素数は3〜10が好ましい。また、シクロアルケンを形成するRの炭素数は4〜10が好ましい。また、ビシクロアルカンを形成するRの炭素数は5〜22が好ましい。また、ビシクロアルケンを形成するRの炭素数は5〜22が好ましい。また、芳香環を形成するRの炭素数は4〜12が好ましい。Rは、五員環もしくは六員環を形成することが好ましい。
を含んで形成される構造は、好ましくは、炭素数6のシクロアルカン、炭素数6のシクロアルケン、炭素数7のビシクロアルカン、又は炭素数7のビシクロアルケンであり、より好ましくは、炭素数6のシクロアルケン、又は炭素数7のビシクロアルケンである。
のアルキル基は、炭素数1〜20、更に炭素数1〜6が好ましい。また、Rのアルコキシ基は、炭素数1〜20、更に炭素数1〜6が好ましい。また、Rのハロゲン基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。Rの炭素を含んでシクロアルカンを形成するRの炭素数は2〜10が好ましい。また、Rの炭素を含んでシクロアルケンを形成するRの炭素数は2〜10が好ましい。また、Rの炭素を含んで芳香環を形成するRの炭素数は4〜12が好ましい。また、Rの炭素を含んで複素環を形成するRの炭素数は1〜4が好ましい。複素環は、チオフェン、フラン、ピロール、ピロリジン、イミダゾリンなどが挙げられる。
は、好ましくは水素、又は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、及びRの炭素を含んで芳香環を形成する炭素数4〜12の基から選ばれる基である。Rがシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、シクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、ビシクロアルカンを形成する炭素数3〜11の基、又はビシクロアルケンを形成する炭素数3〜11の基である場合、Rは、好ましくは、水素である。
一般式(A)中、nは、1〜8の数であり、好ましくは1〜4の数である。Rがシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、シクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、ビシクロアルカンを形成する炭素数3〜11の基、又はビシクロアルケンを形成する炭素数3〜11の基である場合、nは、好ましくは1である。
一般式(A)で表される有機酸無水物の具体例は、下記化学式(1)〜(6)で例示される。
Figure 2017210597
前記化合物の中では、前記化学式(1)の化合物、前記化学式(2)の化合物、前記化学式(3)の化合物、前記化学式(5)の化合物及び前記化学式(6)の化合物から選ばれる化合物が好ましく、前記化学式(2)の化合物、前記化学式(3)の化合物及び前記化学式(6)の化合物から選ばれる化合物がより好ましい。
一般式(A)で表される有機酸無水物としては、更に、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2017210597
Figure 2017210597
本発明は、前記一般式(A)で示される有機酸無水物からなる無機充填剤用表面処理剤を提供する。また、本発明は、前記一般式(A)で示される有機酸無水物を含有する無機充填剤用表面処理剤組成物を提供する。
本発明は、前記一般式(A)で示される有機酸無水物で無機充填剤の表面を処理することを特徴とする無機充填剤の表面処理方法であって、前記有機酸無水物のRが、Rは、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、及びエポキシ基から選ばれる基である、無機充填剤の表面処理方法を包含する。
また、本発明は、前記一般式(A)で示される有機酸無水物で無機充填剤の表面を処理することを特徴とする無機充填剤の表面処理方法であって、前記有機酸無水物のRが、Rの炭素を含んでシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んでシクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んで芳香環を形成する炭素数4〜12の基及びRの炭素を含んで複素環を形成する炭素数1〜4の基から選ばれる基である、無機充填剤の表面処理方法を包含する。
[無機充填剤]
本発明に使用される無機充填剤としては、(1)シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、(2)フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等のフッ化物、(3)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩、(4)硫化鉄、硫化マグネシウム、硫化亜鉛等の硫化物、(5)窒化マグネシウム、窒化炭素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の窒化物等が挙げられる。
無機充填剤は、好ましくは、(1)金属酸化物及び(5)窒化物から選ばれる無機充填剤である。
無機充填剤は、より好ましくは、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び窒化マグネシウムから選ばれる無機充填剤である。
無機充填剤は、更に好ましくは、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム及びチタン酸バリウムから選ばれる無機充填剤である。
無機充填剤としては、粒子状無機充填剤が挙げられる。無機充填剤としては、前記化合物からなる粒子状無機充填剤が挙げられる。
処理前の無機充填剤の粒子径は、好ましくは1〜1000nm、より好ましくは5〜100nm、更に好ましくは10〜20nmである。この粒子径は、粒度分布測定により得た平均粒子径である。
[無機充填剤の表面処理方法]
次に、前記有機酸無水物と前記無機充填剤とを用いて、無機充填剤に表面処理を施す方法について説明する。
本発明の表面処理方法では、無機充填剤を解砕して前記有機酸無水物と接触させることが好ましい。一般に、微細な粉末状無機充填剤は二次粒子として凝集していることが多いため、この方法のように解砕を行うことが好ましい。例えば、ビーズミル、ホモジナイザー、超音波照射等の機械力により無機充填剤を解砕しながら混合することが好ましい。無機充填剤を解砕して前記有機酸無水物と接触させることにより、無機充填剤の新たな粒子表面が露出し、前記有機酸無水物を加水分解して得られたジカルボン酸を介して、無機充填剤の表面に前記有機酸無水物が結合し、良好な表面処理効果を達成できるものと推測される。
本発明の表面処理方法では、前記有機酸無水物の使用量は、無機充填剤に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜20質量%である。
本発明の表面処理方法では、有機分散媒の存在下に、前記有機酸無水物を用いて無機充填剤の表面処理を施すことが好ましい。
有機分散媒の種類としては、(1)メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン、(2)ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、(3)メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール、(4)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル、(5)酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類、(6)ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドが挙げられる。これらの有機分散媒は、1種または2種以上を混合して使用できる。有機分散媒は、好ましくは(1)ケトンであり、より好ましくはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、及びシクロヘキサノンから選ばれるケトンである。
本発明の方法により、表面処理された本発明の無機充填剤と、分散媒とを含有する無機充填剤組成物を得ることができる。該組成物中の無機充填剤の含有量は、好ましくは1〜70質量%、より好ましくは1〜30質量%である。この範囲となるように有機分散媒を用いることが好ましい。
本発明の表面処理方法では、ビーズミルを用いて前記有機酸無水物と無機充填剤とを混合することが好ましい。
ビーズミルの処理条件としては、周速5〜15m/sが好ましい。この条件で混合して混合物の粘度の低下が確認できるまで混合を継続する。ビーズミル処理の際は、ガラスビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ等のメディアビーズを使用することができる。ビーズ径は、好ましくは0.015〜0.5mmであり、より好ましくは0.03〜0.1mmである。
なお、無機充填剤の表面が前記一般式(A)で表される有機酸無水物で表面処理されているかどうかは、例えば、実施例で示したように、赤外分光法(IR)と熱重量分析(TGA)とを用いた観察により確認することができる。
[表面処理された無機充填剤]
本発明は、前記一般式(A)で示される有機酸無水物で表面処理された無機充填剤に関する。本発明は、無機充填剤の表面が前記一般式(A)で示される有機酸無水物で表面処理されてなる表面処理された無機充填剤に関する。
表面処理された無機充填剤は、本発明の表面処理方法で得られた無機充填剤が好ましい。
表面処理された無機充填剤の粒子径は、好ましくは1〜300nm、より好ましくは2〜20nm、更に好ましくは5〜15nmである。
本発明の表面処理された無機充填剤は、樹脂用充填剤、ナノコンポジット用充填剤、薄膜用充填剤などに使用できる。
本発明は、前記一般式(A)で示される有機酸無水物で表面処理された無機充填剤と、分散媒とを含有する無機充填剤組成物を提供する。無機充填剤組成物の一例は、本発明の表面処理された無機充填剤と、分散媒とを含有する分散液である。本発明の表面処理された無機充填剤は、適当な分散媒に分散させた分散液として用いることが好ましい。
無機充填剤組成物中、表面処理された無機充填剤の含有量は、好ましくは1〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
分散媒は、本発明の表面処理方法で述べたものが使用される。
分散媒は、無機充填剤組成物の残部である。
本発明の表面処理方法を、分散媒の存在下で行うと、本発明の無機充填剤組成物を容易に得ることができる。得られた無機充填剤組成物は、そのまま複合材料の調製に用いることができる。すなわち、本発明の複合材料用組成物に、そのまま配合することができる。
[複合材料用組成物]
本発明は、本発明の表面処理された無機充填剤と、高分子用材料とを含有する複合材料用組成物を提供する。
本発明では、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウムなどの無機充填剤を、一般式(A)で表される有機酸無水物で表面処理することで、無機充填剤表面に官能基を付与し、この表面処理無機充填剤をマトリックスとなるエポキシ樹脂などの高分子材料に充填して、無機充填剤と高分子材料との親和性を高めて、機械的強度、耐水性、耐熱性、接着性などの物性がより改善された複合材料を得ることができる。
高分子用材料は、反応により硬化して高分子を形成する化合物である。高分子用材料は、反応性単量体である。単量体のみならず、プレポリマーとして、ウレタンプレポリマー、エポキシプレポリマーなどが挙げられる。高分子用材料は、硬化性単量体、光硬化性単量体又は熱硬化性単量体が好ましい。高分子用材料は、目的とする高分子に応じて適宜選択できる。
本発明の複合材料用組成物は、本発明の表面処理された無機充填剤、硬化性単量体、該単量体の硬化剤を含有することが好ましい。
本発明の複合材料用組成物は、強化樹脂、ナノコンポジット、薄膜などの製造に使用できる。
[薄膜の形成方法]
本発明は、本発明の複合材料用組成物を薄膜状とし、前記組成物中の高分子用材料を反応させて硬化させる、薄膜の形成方法を提供する。
本発明の複合材料用組成物を薄膜状にする方法は、基板への塗布、濃縮後の成型などが挙げられる。
本発明により形成される薄膜は、有機無機ハイブリッド薄膜、有機無機ハイブリッド自立膜が挙げられる。以下、これらを製造する場合を例にして説明する。
[有機無機ハイブリッド薄膜]
有機無機ハイブリッド薄膜は、好適には、本発明の表面処理された無機充填剤と、高分子用材料である多官能チオール及び多官能アリル化合物と、光ラジカル開始剤とを含有する複合材料用組成物〔以下、複合材料用組成物(1)という〕を用いて作製する。
この複合材料用組成物(1)を基板上に表面コートし、紫外線などの放射線を照射することで、混合物中の多官能アクリレートが光架橋され、ハイブリッド膜が得られる。
多官能チオールとしては、トリス(3−メルカプトプロピオン酸)トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)ペンタエリスリトール、テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられる。
多官能アリル化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
多官能アリル化合物の使用量は、チオール基のモル数と同当量が好ましい。
光ラジカル開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等が挙げられる。
光ラジカル開始剤の使用量は、多官能チオールに対して、1〜10質量%が好ましい。
また、本発明に適用される光源としては、例えば、紫外線の場合は高圧水銀ランプ、メタルハライドランプが適している。
複合材料用組成物(1)から製造された有機無機ハイブリッド薄膜における無機充填剤の含有量は、好ましくは1〜90質量%、より好ましくは1〜80質量%、更に好ましくは1〜70質量%である。
[有機無機ハイブリッド自立膜]
有機無機ハイブリッド自立膜は、好適には、本発明の表面処理された無機充填剤及び分散媒を含む分散液と、酸無水物、好ましくは一般式(A)で表される酸無水物と、高分子用材料であるエポキシ樹脂用単量体とを含有する複合材料用組成物〔以下、複合材料用組成物(2)という〕用いて作製する。
前記分散液を用いる場合、複合材料用組成物(2)から分散媒、例えば有機分散媒を除去し、成型後に熱硬化することでハイブリッド自立膜が得られる。複合材料用組成物(2)を用いる場合の熱硬化時の温度としては、好ましくは90〜200℃、より好ましくは90〜150℃である。
エポキシ樹脂用単量体としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェノール、レゾルシン、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類のエポキシ化物、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性−3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂用単量体は、1種または2種以上を混合して使用できる。
複合材料用組成物(2)から製造された有機無機ハイブリッド自立膜における無機充填剤の含有量は、好ましくは1〜90質量%、より好ましくは1〜70質量%、更に好ましくは1〜50質量%である。
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[酸無水物による表面処理]
[実施例1]
酸化ジルコニウム粒子(関東電化工業株式会社製、一次粒子径10〜20nm)20gに対し、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、C0493)を3g、及びメチルエチルケトンを377g配合し、ビーズミル条件周速8m/sにて120分処理し回収して粒子径(メジアン径)13.5nmの酸化ジルコニウム分散液を得た。酸化ジルコニウム分散液をエバポレーターで減圧にて溶媒除去後、得られた酸化ジルコニウム粉末を赤外分光法(IR)と熱重量分析(TGA)により観察した結果、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が酸化ジルコニウム粒子表面に修飾されていることを確認した。
[実施例2]
酸化ジルコニウム粒子(関東電化工業株式会社製、一次粒子径10〜20nm)60gに対し、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、C0493)を9g、及びメチルエチルケトンを331g配合し、ビーズミル条件周速9m/sにて120分処理し回収して粒子径(メジアン径)17.3nmの酸化ジルコニウム分散液を得た。酸化ジルコニウム分散液をエバポレーターで減圧にて溶媒除去後、得られた酸化ジルコニウム粉末を赤外分光法(IR)と熱重量分析(TGA)により観察した結果、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が酸化ジルコニウム粒子表面に修飾されていることを確認した。
[実施例3]
酸化ジルコニウム粒子(関東電化工業株式会社製、一次粒子径10〜20nm)120gに対し、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、M0567)を18g、及びメチルエチルケトン262g配合し、ビーズミル条件周速7m/sにて120分処理し回収して粒子径(メジアン径)11.2nmの酸化ジルコニウム分散液を得た。酸化ジルコニウム分散液をエバポレーターで減圧にて溶媒除去後、得られた酸化ジルコニウム粉末を赤外分光法(IR)と熱重量分析(TGA)により観察した結果、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物が酸化ジルコニウム粒子表面に修飾されていることを確認した。
[実施例4]
酸化ジルコニウム粒子(第一稀元素化学工業株式会社製、一次粒子径10〜20nm)20gに対し、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、C0478)を3g、及びメチルエチルケトン377g配合し、ビーズミル条件周速8m/sにて120分処理し回収して粒子径(メジアン径)23.1nmの酸化ジルコニウム分散液を得た。酸化ジルコニウム分散液をエバポレーターで減圧にて溶媒除去後、得られた酸化ジルコニウム粉末を赤外分光法(IR)と熱重量分析(TGA)により観察した結果、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物が酸化ジルコニウム粒子表面に修飾されていることを確認した。
[実施例5]
酸化ジルコニウム粒子(第一稀元素化学工業株式会社製、一次粒子径10〜20nm)20gに対し、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、C0478)を3g、及びメチルエチルケトン377g配合し、ビーズミル条件周速8m/sにて75分処理し回収して粒子径(メジアン径)14.2nmの酸化ジルコニウム分散液を得た。酸化ジルコニウム分散液をエバポレーターで減圧にて溶媒除去後、得られた酸化ジルコニウム粉末を赤外分光法(IR)と熱重量分析(TGA)により観察した結果、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物が酸化ジルコニウム粒子表面に修飾されていることを確認した。
[実施例6]
酸化ジルコニウム粒子(関東電化工業株式会社製、一次粒子径10〜20nm)120gに対し、Cis−9,10,11,15−テトラヒドロ−9,10[3’,4’]−フラノアントラセン−12,14−ジオンを18g、及びメチルエチルケトン262g配合し、ビーズミル条件周速7m/sにて120分処理し回収して粒子径(メジアン径)15.0nmの酸化ジルコニウム分散液を得た。酸化ジルコニウム分散液をエバポレーターで減圧にて溶媒除去後、得られた酸化ジルコニウム粉末を赤外分光法(IR)と熱重量分析(TGA)により観察した結果、Cis−9,10,11,15−テトラヒドロ−9,10[3’,4’]−フラノアントラセン−12,14−ジオンが酸化ジルコニウム粒子表面に修飾されていることを確認した。
[実施例7]
酸化マグネシウム粒子(関東電化工業株式会社製、一次粒子径35〜45nm)20gに対し、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、C0493)を3g、及びメチルエチルケトン377g配合し、ビーズミル条件周速6m/sにて50分処理し回収して粒子径(メジアン径)42.8nmの酸化マグネシウム分散液を得た。酸化マグネシウム分散液をエバポレーターで減圧にて溶媒除去後、得られた酸化マグネシウム粉末を赤外分光法(IR)と熱重量分析(TGA)により観察した結果、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が酸化マグネシウム粒子表面に修飾されていることを確認した。
[実施例8]
チタン酸バリウム粒子(関東電化工業株式会社製、一次粒子径25〜35nm)20gに対し、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、M0567)を3g、及びメチルエチルケトン377g配合し、ビーズミル条件周速6m/sにて35分処理し回収して粒子径(メジアン径)55.8nmのチタン酸バリウム分散液を得た。チタン酸バリウム分散液をエバポレーターで減圧にて溶媒除去後、得られたチタン酸バリウム粉末を赤外分光法(IR)と熱重量分析(TGA)により観察した結果、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物がチタン酸バリウム粒子表面に修飾されていることを確認した。
[ZrOハイブリッド薄膜の作製]
[作製例1−1]
実施例1で得られた酸化ジルコニウム分散液20g、トリス(3−メルカプトプロピオン酸)トリメチロールプロパン0.5g(和光純薬工業株式会社製、320−21632)、トリアリルイソシアヌレート0.5g(東京化成工業株式会社製、I0279)を混合し、酸化ジルコニウムの質量が50質量%になるよう調製した。これに光ラジカル開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン,BASF社製)を5mg添加した。得られた溶液をガラス基板上にスピンコートし、紫外線照射装置にて紫外光(365nm,5mW/cm)を30秒間照射し硬化することでハイブリッド薄膜を作製した。
[作製例1−2]
実施例1で得られた酸化ジルコニウム分散液20g、トリス(3−メルカプトプロピオン酸)トリメチロールプロパン0.4g(和光純薬工業株式会社製、320−21632)、トリアリルイソシアヌレート0.4g(東京化成工業株式会社製、I0279)を混合し、酸化ジルコニウムの質量が55質量%になるよう調製した。これに光ラジカル開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン,BASF社製)を5mg添加した。得られた溶液をガラス基板上にスピンコートし、紫外線照射装置にて紫外光(365nm,5mW/cm)を30秒間照射し硬化することでハイブリッド薄膜を作製した。
[作製例1−3]
実施例1で得られた酸化ジルコニウム分散液20g、トリス(3−メルカプトプロピオン酸)トリメチロールプロパン0.33g(和光純薬工業株式会社製、320−21632)、トリアリルイソシアヌレート0.33g(東京化成工業株式会社製、I0279)を混合し、酸化ジルコニウムの質量が60質量%になるよう調製した。これに光ラジカル開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン,BASF社製)を10mg添加した。得られた溶液をガラス基板上にスピンコートし、紫外線照射装置にて紫外光(365nm,5mW/cm)を30秒間照射し硬化することでハイブリッド薄膜を作製した。
[作製例1−4]
実施例1で得られた酸化ジルコニウム分散液20g、トリス(3−メルカプトプロピオン酸)トリメチロールプロパン0.27g(和光純薬工業株式会社製、320−21632)、トリアリルイソシアヌレート0.27g(東京化成工業株式会社製、I0279)を混合し、酸化ジルコニウムの質量が65質量%になるよう調製した。これに光ラジカル開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン,BASF社製)を10mg添加した。得られた溶液をガラス基板上にスピンコートし、紫外線照射装置にて紫外光(365nm,5mW/cm)を30秒間照射し硬化することでハイブリッド薄膜を作製した。
[作製例1−5]
実施例1で得られた酸化ジルコニウム分散液20g、トリス(3−メルカプトプロピオン酸)トリメチロールプロパン0.21g(和光純薬工業株式会社製、320−21632)、トリアリルイソシアヌレート0.21g(東京化成工業株式会社製、I0279)を混合し、酸化ジルコニウムの質量が70質量%になるよう調製した。これに光ラジカル開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン,BASF社製)を10mg添加した。得られた溶液をガラス基板上にスピンコートし、紫外線照射装置にて紫外光(365nm,5mW/cm)を30秒間照射し硬化することでハイブリッド薄膜を作製した。
[比較作製例1−1]
トリス(3−メルカプトプロピオン酸)トリメチロールプロパン1.0g(和光純薬工業株式会社製、320−21632)、トリアリルイソシアヌレート1.0g(東京化成工業株式会社製、I0279)を混合し、これに光ラジカル開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン,BASF社製)を10mg添加した。得られた溶液をガラス基板上にスピンコートし、紫外線照射装置にて紫外光(365nm,5mW/cm)を30秒間照射し硬化することで薄膜を作製した。
これらの作製例及び比較作製例で得られた薄膜について、屈折率、全光線透過率、ヘイズ値を測定した。屈折率の測定については、卓上型分光エリプソメータ(大塚電子株式会社製:FE−5000S)を用いて測定した。全光透過率及びヘイズ値の測定については、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製:V−560−DS)を用いて測定した。結果を表1に示す。表1には、薄膜中の酸化ジルコニウム含有率と薄膜の厚みも示した。
Figure 2017210597
表1から、本発明の方法で作製した、表面処理された無機充填剤を含む分散液を用いてハイブリッド膜を作製することで、酸化ジルコニウムを充填しつつ、全光線透過率は高くヘイズも低い値が得られた。無機充填剤が凝集することなく高い分散性を維持し、屈折率を向上していることが判る。
[ZrOハイブリッド自立膜の作製]
[作製例2−1]
実施例3で得られた酸化ジルコニウム分散液10g、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、M0567)1.5g、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート1.5gを混合し、自立膜作製後の酸化ジルコニウムの質量が50質量%になるよう調製した。これを濃縮し有機溶媒を除去した。得られた混合物をテフロン(登録商標)枠で成型し、150℃で4時間熱硬化することでハイブリッド自立膜を得た。
[作製例2−2]
実施例3で得られた酸化ジルコニウム分散液10g、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、M0567)2.5g、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート2.5gを混合し、自立膜作製後の酸化ジルコニウムの質量が60質量%になるよう調製した。これを濃縮し有機溶媒を除去した。得られた混合物をテフロン(登録商標)枠で成型し、150℃で4時間熱硬化することでハイブリッド自立膜を得た。
[作製例2−3]
実施例3で得られた酸化ジルコニウム分散液10g、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、M0567)0.65g、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート0.65gを混合し、自立膜作製後の酸化ジルコニウムの質量が70質量%になるよう調製した。これを濃縮し有機溶媒を除去した。得られた混合物をテフロン(登録商標)枠で成型し、150℃で4時間熱硬化することでハイブリッド自立膜を得た。
[比較作製例2−1]
4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、M0567)5.0g、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート5.0gを混合した。これをテフロン(登録商標)枠で成型し、150℃で4時間熱硬化することでエポキシ樹脂自立膜を得た。
[比較作製例2−2]
メチルトリエトキシシランにより表面処理することで得られた酸化ジルコニウム分散液(酸化ジルコニウム固形分濃度30%)10g、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製、M0567)1.5g、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート1.5gを混合し、自立膜作製後の酸化ジルコニウムの質量が50質量%になるよう調製した。これを濃縮し有機溶媒を除去した。得られた混合物をテフロン(登録商標)枠で成型し、150℃で4時間熱硬化することでハイブリッド自立膜を得た。
これらの作製例及び比較作製例で得られた自立膜について、屈折率、分光透過率を測定した。屈折率の測定については、多波長アッベ屈折計(株式会社アタゴ製:DR−M4)を用いて測定した。分光透過率の測定については、レシオビーム分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製:U−5100)を用いて測定した。結果を表2に示す。表2には、自立膜中の酸化ジルコニウム含有率と自立膜の厚みも示した。
Figure 2017210597
表2から、本発明の方法で作製した、表面処理された無機充填剤を含む分散液を用いてハイブリッド自立膜を作製することで、酸化ジルコニウム50〜70質量%を含みつつ600μm以上の厚膜においても波長400nmで35%以上、波長780nmで72%以上の透明性を示した。無機充填剤が凝集することなく高い分散性を維持し、屈折率を向上していることが判る。

Claims (7)

  1. 下記一般式(A)で示される有機酸無水物で無機充填剤の表面を処理することを特徴とする無機充填剤の表面処理方法。
    Figure 2017210597

    [式中、Rはシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、シクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、ビシクロアルカンを形成する炭素数3〜11の基、ビシクロアルケンを形成する炭素数3〜11の基、又は芳香環を形成する炭素数4〜12の基を示し、Rは、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、Rの炭素を含んでシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んでシクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んで芳香環を形成する炭素数4〜12の基及びRの炭素を含んで複素環を形成する炭素数1〜4の基から選ばれる基を示す。nは1〜8の数を示す。]
  2. 無機充填剤が、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び窒化マグネシウムから選ばれる無機充填剤であることを特徴とする請求項1記載の表面処理方法。
  3. 下記一般式(A)で示される有機酸無水物で表面処理された無機充填剤。
    Figure 2017210597

    [式中、Rはシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、シクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、ビシクロアルカンを形成する炭素数3〜11の基、ビシクロアルケンを形成する炭素数3〜11の基、又は芳香環を形成する炭素数4〜12の基を示し、Rは、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、Rの炭素を含んでシクロアルカンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んでシクロアルケンを形成する炭素数2〜10の基、Rの炭素を含んで芳香環を形成する炭素数4〜12の基及びRの炭素を含んで複素環を形成する炭素数1〜4の基から選ばれる基を示す。nは1〜8の数を示す。]
  4. 無機充填剤が、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び窒化マグネシウムから選ばれる無機充填剤であることを特徴とする請求項3記載の無機充填剤。
  5. 請求項3又は4記載の無機充填剤と、高分子用材料とを含有する複合材料用組成物。
  6. 高分子用材料が、光硬化性単量体又は熱硬化性単量体である請求項5記載の複合材料用組成物。
  7. 請求項5又は6記載の複合材料用組成物を薄膜状とし、前記組成物中の高分子用材料を反応させて硬化させる、薄膜の形成方法。
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