JP2009087523A - 磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 界面活性剤(A)を含有してなる磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤であって、洗浄液として使用される場合の有効成分濃度における25℃でのpHが5未満であり、pH及び同濃度における25℃での酸化還元電位(V)[単位はmV、vsSHE]が下記数式(1)を満たすことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤。
V ≦ −38.7×pH+550 (1)
【選択図】なし
Description
(第1発明)界面活性剤(A)を含有してなる磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤であって、洗浄液として使用される場合の有効成分濃度における25℃でのpHが5未満であり、pH及び同濃度における25℃での酸化還元電位(V)[単位はmV、vsSHE]が下記数式(1)を満たすことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤;
V ≦ −38.7×pH+550 (1)
(第2発明)
界面活性剤(A)を含有してなる磁気ディスク用ガラス基板洗浄液であって、有効成分濃度が0.01〜15重量%であり、25℃でのpHが5未満であり、pHと洗浄液の25℃での酸化還元電位(V)[単位はmV、vsSHE]が下記数式(1)を満たすことを特徴とする磁気ディスク基板用洗浄液;
V ≦ −38.7×pH+550 (1)
(第3発明)該洗浄液中で磁気ディスク用ガラス基板を洗浄する磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法;
(第4発明)該洗浄方法で磁気ディスク用ガラス基板を洗浄する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法;である。
本発明の洗浄剤の有効成分濃度は、通常0.8〜100%(上記及び以下において、特に限定しない限り、%は重量%を表す)、好ましくは1〜50%であり、洗浄液として使用される場合は、通常は水、特にイオン交換水又は高純度水で希釈されて、洗浄液としての有効成分濃度としては、好ましくは0.01〜15%、更に好ましくは0.05〜10%である。尚、本発明における有効成分とは水以外の成分をいう。
V ≦ −38.7×pH+550 (1)
例えば、pHが4.9のとき、酸化還元電位(V)が360.4mV以下、pHが3のとき、(V)が433.9mV以下、pHが1のとき、(V)が511.3mV以下であると本発明の効果を発揮する。
酸化還元電位(25℃)が、数式(1)を満たさないと、基板表面が著しくエッチングされて表面の平坦性が損なわれ、またパーティクルの除去性が悪くなるため好ましくない。
V ≦ −38.7×pH+500 (2)
V ≦ −38.7×pH+450 (3)
<酸化還元電位の測定方法>
白金電極及び参照電極(塩化銀電極)で構成される酸化還元電位(ORP)複合電極(例えば、型番:PST−5421C、東亜ディーケーケー株式会社)を用いて、25℃の液の電位値(V1)を測定する。液の酸化還元電位(mV、vsSHE)は、電位値(V1)に参照電極(塩化銀電極)の単極電位差(199mV、25℃)を加えることにより求められる。例えば、電位値(V1)が−100mVの場合、酸化還元電位(mV、vsSHE)は−100+199=+99mVである。
(A−1b)としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレート等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル並びにラウリン酸モノエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
ポリスチレンスルホン酸、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、ポリ{2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸}、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/スチレン共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/アクリルアミド共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/(メタ)アクリル酸共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/(メタ)アクリル酸/アクリルアミド共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/スチレン/アクリルアミド共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ジメチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物及びアニリンスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等;
ポリ{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート硫酸エステル}、2−ヒドロキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート硫酸エステル共重合体及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート硫酸エステル共重合体、ポリ{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート}の硫酸エステル化物、ポリ{(メタ)アクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステル}、(メタ)アクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステル/アクリル酸共重合体及びセルロース、メチルセルロース又はエチルセルロースの硫酸エステル化物等;
ポリ{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートリン酸エステル}、2−ヒドロキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレートリン酸エステル共重合体及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステル共重合体、ポリ{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート}のリン酸エステル化物、ポリ{(メタ)アクリロイルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル}、(メタ)アクリロイルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル/アクリル酸共重合体及びセルロース、メチルセルロース又はエチルセルロースのリン酸エステル化物等;
ポリ{(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート}、2−ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルオキシエチルホスフェート共重合体及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリロイルオキシエチルホスフェート共重合体、ナフタレンホスホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンホスホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ジメチルナフタレンホスホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンホスホン酸ホルムアルデヒド縮合物及びアニリンホスホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等;
ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸−イタコン酸共重合体、(メタ)アクリル酸−フマル酸共重合体、(メタ)アクリル酸/酢酸ビニル共重合体及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート}のカルボキシメチル化物、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、安息香酸ホルムアルデヒド縮合物及び安息香酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等。
低分子型スルホン酸系界面活性剤(A−2b−1)としては、炭素数6〜24のアルコールのスルホコハク酸(モノ、ジ)エステル(塩)、炭素数8〜24のα−オレフィンのスルホン酸化物(塩)、炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(塩)、石油スルホネート(塩)、トルエンスルホン酸(塩)、キシレンスルホン酸(塩)及びクメンスルホン酸(塩)等が挙げられる。(A−2b−1)の具体例としては、ジオクチルスルホコハク酸(塩)、パラトルエンスルホン酸(塩)、オルトトルエンスルホン酸(塩)、メタキシレンスルホン酸(塩)及びパラキシレンスルホン酸(塩)等が挙げられる。
(A−2)は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。パーティクルの分散性の観点から、2種以上を併用する方がより好ましい。
ヒドロキシカルボン酸(塩)(B−2){例えば、ヒドロキシ酢酸(塩)、酒石酸(塩)、クエン酸(塩)、グルコン酸(塩)等};
シクロカルボン酸(塩)(B−3){例えば、ピロメリット酸(塩)、ベンゾポリカルボン酸(塩)、シクロペンタンテトラカルボン酸(塩)等};
エーテルカルボン酸(塩)(B−4)(例えば、カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノサクシネート、酒石酸ジサクシネート等);
その他カルボン酸(塩)(B−5){例えば、マレイン酸誘導体、シュウ酸(塩)等};
ホスホン酸(塩)(B−6){例えば、メチルジホスホン酸(塩)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(塩)、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸(塩)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(塩)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)(塩)、トリアミノトリエチルアミンヘキサ(メチレンホスホン酸)(塩)、トランス−1、2−シクロヘキサンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、グリコールエーテルジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)及びテトラエチレンペンタミンヘプタ(メチレンホスホン酸)(塩)等};
縮合リン酸(塩)(B−7){例えば、メタリン酸(塩)、トリポリリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)等};
等が挙げられる。尚、これらの塩としては、上述のアニオン性界面活性剤(A−2)で例示したものが挙げられる。またこれらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
炭素数1〜12の有機酸類としては、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酪酸、マレイン酸、2−オキソプロパン酸、マロン酸、没食子酸及びこれらの塩が挙げられる。
尚、前記(B−2)及び(B−5)も還元剤としての効果を有する。
炭素数1〜12のアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド及びビニルアルデヒド等が挙げられる。
炭素数6〜9のレダクトン類としては、L−アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル、アスコルビン酸イソパルミネート、エリソルビン酸、エリソルビン酸リン酸エステル、エリソルビン酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸エリソビル及びこれらの塩等が挙げられる。
炭素数3〜15のアミジン化合物としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1Hイミダゾール、2−メチル−1H−イミダゾール、2−エチル−1H−イミダゾール、4,5−ジヒドロ−1Hイミダゾール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−1Hイミダゾール、1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン、1,6(4)−ジヒドロピリミジン等が挙げられる。
炭素数4〜30のポリ(n=2〜5)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜6)アミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンヘプタミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン及びペンタエチレンヘキサミン等が挙げられる。
炭素数7〜12の芳香族アルデヒドとしては、ベンズアルデヒド及びシンナムアルデヒド等が挙げられる。
炭素数6〜9の芳香族アミンとしては、p−フェニレンジアミン及びp−アミノフェノール等が挙げられる。
これらの還元剤(C)を形成する塩としては、上記(A−2)で例示したものと同様のものが使用できる。
(C)が塩を形成する場合の対イオンとしては特に限定無いが、上記の(A−2)で例示したものと同様のものが使用できる。
また(C)は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
炭素数1〜24のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘキコシル基、ドコシル基、トリコシル基及びテトラコシル基等が挙げられる。
本発明の洗浄剤が通常キレート剤(B)及び還元剤(C)を含有する場合の好ましい範囲は(A)の重量に基づいて、(B)が0.1〜60%、(C)が0.1〜20%、更に好ましくは(B)が1〜33%、(C)が0.5〜13%、特に好ましくは(B)が3〜27%、(C)が1〜8%である。
これら分散剤(E)を含有する場合、これらの分散剤(E)の含有量は、本発明の洗浄剤の有効成分の重量に基づいて、好ましくは10%以下、更に好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下である。
(F1)脂肪族多価アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等);
(F2)(F1)の脱水縮合物(ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン及びペンタグリセリン等);
(F3)糖類、例えば単糖類{ペントース(アラビノース、キシロース、リボース、キシルロース及びリブロース等)、ヘキソース(グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース及びタガトース等)及びヘプトース(セドヘプツロース等)等}、二糖類(トレハロース、サッカロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース及びラクトース等)並びに三糖類(ラフィノース及びマルトトリオース等)等;
(F4)糖アルコール(アラビトール、アドニトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール及びズルシトール等);
(F5)トリスフェノール(トリスフェノールPA等);
並びにこれらのアルキレンオキシド(炭素数2〜4)付加物(付加モル数1〜7モル)等。
また、(F)は単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
(G)の具体例としては、スルホキシド{ジメチルスルホキシド、スルホラン、ブチルスルホン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等};スルホン{ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン等};アミド{N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド等};ラクタム{N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン等};ラクトン{β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等};アルコール{メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル等};グリコール及びグリコールエーテル{エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等};オキサゾリジノン(N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノン等);ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ベンゾニトリル等);カーボネート(エチレンカーボネート、プロピオンカーボネート等);ケトン(アセトン、ジエチルケトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジアセトンアルコール等);環状エーテル(テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等)等が挙げられる。
また(G)は単独で使用しても、2種以上併用して使用してもよい。
(2)酸化還元電位が数式(1)を満たさない場合は、酸化還元電位を低下させる成分、例えばキレート剤(B)、還元剤(C)及び/又はアルカリ成分(D)等を添加して、pHと酸化還元電位が数式(1)を満たす様に酸化還元電位を調整する。
尚、特定の範囲のpHを有する洗浄液を得る場合は、上記操作に加えて以下の方法でpH調整を行う。
上記(1)又は(2)の操作におけるpHが所望のpHの範囲より低い場合は、pHを上昇させる成分、例えばアルカリ成分(D)、その他の添加剤(H)の内のpH調整剤及び/又はアニオン性界面活性剤(A−2)等を添加してpHを所望の範囲に調整する。
上記(1)又は(2)の操作におけるpHが所望のpHの範囲より高い場合は、pHを下降させる成分、例えばキレート剤(B)、還元剤(C)、その他の添加剤(H)の内のpH調整剤及び/又は緩衝剤等を添加してpHを所望の範囲に調整する。
V ≦ −38.7×pH+550 (1)
本発明の洗浄液中の成分や酸化還元電位の測定法等は、前述の通りである。
本発明における表面張力は、JIS K3362:1998の輪環法:対応ISO 304に従って測定できる。
前記の研磨工程が、研磨剤としてシリカ又は酸化セリウムのいずれかを用いる研磨工程であり、前記のテクスチャー加工工程又はミラーポリッシュ加工工程が、研磨剤としてダイヤモンドを用いるテクスチャー加工工程又はミラーポリッシュ加工工程であると、本発明の洗浄方法の効果が特に発揮されやすい。
また、基板表面に大気中に浮遊する汚れ(パーティクル及び有機物汚れ等)が強固に付着することを防止する為に、上記の洗浄工程前後において当該基板を本発明の洗浄液に浸漬してもよい。
尚、磁気ディスク基板表面の表面粗さ(Ra)は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、E−sweepを用いて下記の条件により測定した。
測定モード:DFM(タッピングモード)
スキャンエリア:10μm×10μm
走査線数 :256本(Y方向スキャン)
補正 :X,Y方向のフラット補正あり
撹拌装置、温度制御装置付きの容積1リットルのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコールを200部(1.1モル部)及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド(以下、TMAHと略記)の25%水溶液を10部(0.027モル部)を仕込み、100℃、4kPa以下の減圧下で30分間脱水した。EO430部(9.8モル部)を、反応温度を100℃に制御しながら、3時間かけて滴下した後、100℃で3時間熟成し、粗生成物を得た。この粗生成物を2.6kPa以下の減圧下に、150℃で2時間保持して、残存するTMAHを分解及び除去し、ノニオン性界面活性剤であるラウリルアルコールEO9モル付加物(A−1−1)630部を得た。
撹拌装置、温度制御装置付きの容積1リットルのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアミン185部(1.0モル部)及び25%TMAH水溶液3.6部(0.01モル部)を仕込み、100℃、4kPa以下の減圧下で30分間脱水した。EO264部(6.0モル部)を、反応温度を100℃に制御しながら、3時間かけて滴下した後、100℃で3時間熟成し、粗生成物を得た。この粗生成物を2.6kPa以下の減圧下、150℃で2時間保持して、残存するTMAHを分解及び除去し、ノニオン性界面活性剤であるラウリルアミンEO6モル付加物(A−1−2)445部を得た。
撹拌装置及び温度制御装置付きの容積1リットルのステンレス製オートクレーブに、クミルフェノール212部(1.0モル部)及び25%TMAH水溶液2.9部(0.008モル部)を仕込み、100℃、4kPa以下の減圧下で30分間脱水した。EO352部(8.0モル部)を、反応温度を100℃に制御しながら、3時間かけて滴下した後、100℃で3時間熟成し、粗生成物を得た。この粗生成物を2.6kPa以下の減圧下、150℃で2時間保持して、残存するTMAHを分解及び除去し、ノニオン性界面活性剤であるクミルフェノールEO8モル付加物(A−1−3)560部を得た。
温調及び攪拌が可能な反応容器にイソプロピルアルコール300部及び超純水100部を仕込み、窒素置換後、75℃に昇温した。撹拌下で、アクリル酸の75%水溶液407部及びジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートの15%イソプロピルアルコール溶液95部を3.5時間かけてそれぞれ同時に滴下した。滴下終了後、75℃で5時間撹拌した後、系内が固化しないように超純水を間欠的に投入し、イソプロピルアルコールが検出できなくなるまで水とイソプロピルアルコールの混合物を留去した。得られたポリアクリル酸水溶液をDBU(約450部)でpHが7になるまで中和し、超純水で濃度調整することにより、アニオン性界面活性剤であるポリアクリル酸DBU塩(A−2−1)の40%水溶液を得た。尚、(A−2−1)のMwは10,000であった。
温調及び還流が可能な攪拌付き反応容器にエチレンジクロライド100部を仕込み、攪拌下、窒素置換した後に90℃まで昇温し、エチレンジクロライドを還流させた。スチレン120部と、予め2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.7部をエチレンジクロライド20部に溶かした開始剤溶液を、それぞれ別々に6時間かけて反応容器内に同時に滴下し、滴下終了後更に1時間重合を行った。重合後、窒素シール下で20℃に冷却した後、温度を20℃にコントロールしながら無水硫酸105部を10時間かけて滴下し、滴下終了後更に3時間スルホン化反応させた。反応後、溶媒を留去し固化させた後、超純水345部を投入して溶解し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液を25%TMAH水溶液(約400部)でpHが7になるまで中和し、超純水で濃度調整することにより、アニオン性界面活性剤であるポリスチレンスルホン酸TMAH塩(A−2−2)の40%水溶液を得た。尚、(A−2−2)のMwは、40,000、スルホン化率は97%であった。
攪拌付き反応容器にナフタレンスルホン酸21部及び超純水を10部仕込み、37%ホルムアルデヒド8部を80℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃に昇温して25時間反応した後、室温(約25℃)まで冷却して水浴中、25℃に調整しながらDBUを徐々に加え、pH6.5に調製した(DBU約15部使用)。超純水を加えて固形分を40%に調整して、アニオン性界面活性剤であるナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のDBU塩(A−2−3)の40%水溶液を得た。尚、(A−2−3)のMwは、5,000であった。
アクリル酸の75%水溶液407部の代わりに、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸227部、アクリル酸78部及び超純水131部からなる70%モノマー水溶液436部を使用したこと以外は、製造例4と同様に重合後、イソプロピルアルコールが検出できなくなるまで水とイソプロピルアルコールの混合物を留去して、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸/アクリル酸共重合体水溶液を得た。得られたアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸/アクリル酸共重合体水溶液を25℃に調整しながらDBUを徐々に加えてpH6.5に調製し(DBU約280部使用)超純水で濃度調整することにより、アニオン性界面活性剤であるアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸/アクリル酸共重合体DBU塩(A−2−4)の40%水溶液を得た。尚、(A−2−4)のMwは8,000であった。
アクリル酸の75%水溶液407部の代わりに、メタクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステルナトリウム塩の50%水溶液[三洋化成(株)社製、エレミノールRS−30]320部及びアクリル酸145部からなる65%モノマー水溶液465部を使用したこと以外は、製造例4と同様に重合後、イソプロピルアルコールが検出できなくなるまで水とイソプロピルアルコールの混合物を留去して、メタクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステルナトリウム塩/アクリル酸共重合体水溶液を得た。得られた共重合体水溶液を固形分濃度10%になるように超純水で希釈した後、陽イオン交換樹脂「アンバーライトIR−120B」(オルガノ株式会社製)を用いて、溶液中のナトリウムイオンが1ppm以下になるまで除去した。尚、ナトリウム含量はICP発光分析装置(VARIAN社製、Varian730−ES)を用いて測定した。得られたメタクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステル/アクリル酸共重合体水溶液を25℃に調整しながら25%TMAH水溶液(約600部)でpHが7になるまで中和し、超純水で濃度調整することにより、アニオン性界面活性剤であるメタクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステル/アクリル酸共重合体TMAH塩(A−2−5)の10%水溶液を得た。尚、(A−2−5)のMwは9,000であった。
オクチルベンゼンスルホン酸136部及び超純水245部を1Lのビーカーに仕込み、均一になるまで溶解した。得られたオクチルベンゼンスルホン酸水溶液をDBN(約65部)でpHが7になるまで中和し、超純水で濃度調整することにより、アニオン性界面活性剤であるオクチルベンゼンスルホン酸DBN塩(A−2−6)の40%水溶液を得た。
2−エチルヘキサン酸144部及び超純水300部を1Lのビーカーに仕込み、均一になるまで溶解した。得られた2−エチルヘキサン酸水溶液をジエタノールアミン(約105部)でpHが7になるまで中和し、超純水で濃度調整することにより、アニオン性界面活性剤である2−エチルヘキサン酸ジエタノールアミン塩(A−2−7)の40%水溶液を得た。
攪拌装置及び温度制御付きのガラス製反応装置に2−エチルヘキサノール256部を仕込み、攪拌下で0℃まで冷却し、系内温度を0℃に保ちながらクロロスルホン酸229部を3時間かけて滴下し、硫酸エステルを得た。更に48%水酸化カリウム水溶液(約230部)でpHが7になるまで中和し,超純水で濃度調製することにより、アニオン性界面活性剤である2−エチルヘキサノール硫酸エステルカリウム塩(A−2−8)の40%水溶液を得た。
表1及び表2に記載の各成分を、表1及び表2記載の配合部数で、1Lのビーカー中で室温(約20℃)で均一撹拌・混合して実施例1〜20及び比較例1〜2の洗浄剤を作製し、超純水で10倍に希釈して洗浄液として以下の評価方法に基づいて評価した結果を表1及び表2に示す。
尚、表1及び表2に記載の超純水以外の各成分の配合部数は有効成分換算での値である。また、表1及び表2に記載の超純水の量は、製造例1〜11で得た界面活性剤及びTMAHの水溶液中の超純水を含む量である。
HEDP:1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸
HMP:ヘキサメタリン酸ナトリウム
AA:アスコルビン酸
Cys:L−システイン
次亜リン酸1Na:次亜リン酸モノナトリウム塩
MDEA:N−メチルジエタノールアミン
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
DEG−B:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
研磨剤としての市販の酸化セリウムスラリー(粒径約100nm)及び研磨布を用いて、2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板を研磨した後、超純水で表面をリンスし、窒素でブローすることにより、汚染基板を調製した。上記調製した各洗浄液1,000部を1Lガラス製ビーカーにとり、調製した汚染基板を浸漬し、超音波洗浄機(200kHz)内で、30℃、5分間の洗浄を行った。洗浄後、基板を取り出し、超純水で十分にリンスを行った後、窒素ガスでブローして乾燥し、下記の評価基準に従い、基板表面の洗浄性を微分干渉顕微鏡(Nikon社製、OPTIPHOT−2、倍率400倍)で評価した。尚、本評価は大気からの汚染を防ぐため、クラス1,000(FED−STD−209D、米国連邦規格、1988年)のクリーンルーム内で実施した。
◎:ほぼ完全に除去できている。
○:ほとんど洗浄できている。
△:若干粒子が残留している。
×:ほとんど洗浄できていない。
研磨剤として市販のコロイダルシリカスラリー(粒径約30nm)を用いた以外は、洗浄性評価−1と同様に評価した。
20mlのガラス製容器に各洗浄液を10ml採り、30℃に温調した後、磁気ディスク用ガラス基板を1cm×1cmの大きさにカットした基板を入れ、30℃で20分間浸漬して洗浄した。洗浄後、ピンセットを用いて基板を取り出し、超純水で十分にリンスして洗浄液を除去した後、室温下(25℃)、窒素でブローすることで基板を乾燥した。乾燥した基板表面の表面粗さ(Ra)を原子間力顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、E−Sweep)を用いて測定し、表面平坦性を評価した。尚、試験前の基板の表面粗さ(Ra)は、0.20nmであった。
1Lのポリプロピレン製容器に各洗浄液100部を採り、その中に2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板1枚を入れ、上部にポリ塩化ビニリデン製フィルムをかけて水分が蒸発しないように密閉し、23℃に温調された室内で12時間静置した。静置後、各洗浄液を採取し、ICP発光分析装置(VARIAN社製、Varian730−ES)で洗浄液中のNi含量を測定した。尚、予め試験前の各洗浄液についても同様にSi含量を測定しておき、その差を求めることで試験中に溶出したSi含量(ppb)を求めた。この溶出したSi含量が多いほど、エッチング性が高い。
上記洗浄性試験−1で評価した直後の基板について、全自動接触角計(協和界面科学(株)社製、PD−W)を用いて、水に対する接触角(25℃、1秒後)を測定した。
50mlのガラス製容器に各洗浄液を30部採り、これに前記洗浄性評価−2で使用した市販のコロイダルシリカスラリー(粒径約30nm)0.3部を加えてマグネティックスターラーを用いて1分間攪拌した。5分間静置した後、動的光散乱式粒径分布測定装置[(株)堀場製作所社製、LB−550V]を用いて粒径(メジアン粒径)を測定した。粒径が小さい程分散性に優れる。
加えて、コロイダルシリカに対する分散性が良く、これらのパーティクルの基板への再付着防止性にも優れていることから、上記の優れた洗浄性を発現できることがわかった。
Claims (14)
- 界面活性剤(A)を含有してなる磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤であって、洗浄液として使用される場合の有効成分濃度における25℃でのpHが5未満であり、pH及び同濃度における25℃での酸化還元電位(V)[単位はmV、vsSHE]が下記数式(1)を満たすことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤。
V ≦ −38.7×pH+550 (1) - 洗浄液として使用される場合の有効成分濃度が0.01〜15重量%である請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤。
- 界面活性剤(A)が、アニオン性界面活性剤(A−2)又は(A−2)と非イオン性界面活性剤(A−1)の混合物である請求項1又は2記載の磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤。
- 更にキレート剤(B)及び還元剤(C)からなる群から選ばれる1種以上を含む請求項1〜3のいずれか記載の磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤。
- キレート剤(B)がアミノポリカルボン酸(塩)(B−1)、ヒドロキシカルボン酸(塩)(B−2)、ホスホン酸(塩)(B−6)及び縮合リン酸(塩)(B−7)からなる群から選ばれる1種以上のキレート剤である請求項4記載の磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤。
- 還元剤(C)が、炭素数1〜12のアルデヒド類、炭素数6〜9のレダクトン類、炭素数1〜30の脂肪族アミン、チオール系還元剤、硫黄のオキソ酸類及びリンのオキソ酸類からなる群から選ばれる1種以上の還元剤である請求項4又は5記載の磁気ディスク用ガラス基板洗浄剤。
- 界面活性剤(A)を含有してなる磁気ディスク用ガラス基板洗浄液であって、有効成分濃度が0.01〜15重量%であり、25℃でのpHが5未満であり、pHと洗浄液の25℃での酸化還元電位(V)[単位はmV、vsSHE]が下記数式(1)を満たすことを特徴とする磁気ディスク基板用洗浄液。
V ≦ −38.7×pH+550 (1) - 表面張力(25℃)が65mN/m以下である請求項7記載の磁気ディスク用ガラス基板洗浄液。
- 請求項7又は8記載の洗浄液中で磁気ディスク用ガラス基板を洗浄する磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法。
- 研削工程後の洗浄工程、研磨工程後の洗浄工程又はテクスチャー加工工程若しくはミラーポリッシュ加工工程後の洗浄工程のいずれかの洗浄工程で磁気ディスク基板を洗浄する請求項9記載の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法。
- 研磨工程が、研磨剤としてシリカ又は酸化セリウムを用いる研磨工程であり、テクスチャー加工工程又はミラーポリッシュ加工工程が、研磨剤としてダイヤモンドを用いるテクスチャー加工工程又はミラーポリッシュ加工工程である請求項10記載の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法。
- 超音波洗浄、シャワー洗浄、スプレー洗浄、ブラシ洗浄、浸漬洗浄、浸漬揺動洗浄及び枚葉式洗浄からなる群から選ばれる少なくとも1種の洗浄方式を用いて行われる請求項9〜11のいずれか記載の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法。
- 洗浄後の基板に対する水の接触角(25℃)が、20°以下である請求項9〜12のいずれか記載の磁気ディスク基板の洗浄方法。
- 請求項9〜13のいずれか記載の洗浄方法で磁気ディスク用ガラス基板を洗浄する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
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