JP2008179338A - ガラスラン及びその取付構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】外観品質、シール性の向上を図るとともに、製造コスト、製造工数の著しい低減を図ることのできるガラスランを提供する。
【解決手段】ガラスラン1はドアフレームの内周に沿って取着され、基底部14、車外側側壁部15及び車内側側壁部16を備える本体部11と、本体部11内側に延びるシールリップ12,13とを備え、長手方向全域が押出成形により形成される。基底部14と車外側側壁部15との間、基底部14と車内側側壁部16との間がそれぞれ変形連結部21によって連結される。変形連結部21は基底部14及び両側壁部15,16よりも薄肉で、かつ、幅方向に所定長を有するべく断面略J字状をなす。ガラスラン4の両コーナー部にあっては、折れ点BPにおいて折れ曲がることで変形連結部21が変形し、基底部14が内周側にスムースに位置し、スリットや切り欠かれが設けられることなく連続して曲げられている。
【選択図】 図5
【解決手段】ガラスラン1はドアフレームの内周に沿って取着され、基底部14、車外側側壁部15及び車内側側壁部16を備える本体部11と、本体部11内側に延びるシールリップ12,13とを備え、長手方向全域が押出成形により形成される。基底部14と車外側側壁部15との間、基底部14と車内側側壁部16との間がそれぞれ変形連結部21によって連結される。変形連結部21は基底部14及び両側壁部15,16よりも薄肉で、かつ、幅方向に所定長を有するべく断面略J字状をなす。ガラスラン4の両コーナー部にあっては、折れ点BPにおいて折れ曲がることで変形連結部21が変形し、基底部14が内周側にスムースに位置し、スリットや切り欠かれが設けられることなく連続して曲げられている。
【選択図】 図5
Description
本発明は、ガラスラン及びその取付構造に関するものである。
一般に、自動車のドアフレームの内周に沿ってガラスランが設けられている。ガラスランは、その断面方向から見ると、基底部及び該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部よりなる断面コ字形の本体部を備えるとともに、本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップを備えている。上記ガラスランは、本体部がドアフレームの内周に沿って設けられた取付部(例えばチャンネル部)に取着され、両シールリップによって、ドアガラスの内外面の周縁部が挟まれるようにしてシールされる。
近年におけるガラスランは、ほぼ直線状に成形された押出成形部と、押出成形部同士を所定の角度をなした状態で接続する型成形部とから構成されており、例えばドアフレームの形状に沿って前縦辺部、上辺部及び後縦辺部からなる。すなわち、型成形部は、コーナー部に対応して設けられる(例えば、特許文献1参照)。
また、押出成形により形成した長尺体を部分的に切り欠き、当該部分を折り曲げることでコーナー形状を構成した上で、ガラスランを装着するという技術もある(例えば、特許文献2参照)。
特開平6−219160号公報
特開平2002−274187号公報
しかしながら、上記特許文献1のように、ガラスランを押出成形部と型成形部とから構成する場合には、押出成形部と型成形部との接続線が外観に表れてしまい、これに起因して外観品質の低下を招くおそれがある。また、押出成形部と型成形部とでは構成材料が異なる場合もあり、その表面の色・艶が大きく相違してしまい、このような色・艶の相違によっても、外観品質の低下を招いてしまうおそれがある。さらに、押出成形部と型成形部との境界部(接続部)においては段差が形成されやすく、シール性の低下を招くおそれもある。また、押出成形とは別に、型成形を必要とするため、その分製造コスト、製造工数の増大を招いてしまう。
また、上記特許文献2のように部分的に切り欠き(スリット)を設けることでコーナー形状を形成する場合であっても、当該コーナー形状を形成するための加工を要する。そのため、やはりその分だけ製造コスト、製造工数の増大を招いてしまうことになる。
ところで、ドアガラスの開閉(昇降)に際し、ドアガラスの開閉応力がガラスランに作用して、ガラスランが長手方向にずれ移動してしまうことが懸念される。かかる懸念を払拭するべく、一般に、押出成形部と型成形部とにより構成されるガラスランにおいては、型成形部に対し、取付部に形成された孔部又は凹部に係止されるずれ防止用の突部が部分的に設けられている。
しかしながら、上記特許文献2のように、ガラスランの長手方向全域を押出成形体により構成する場合には、同一断面形状で押出成形されるため、成形と同時に、上記のようにずれ防止用の突部を部分的に設けることはできない。つまり、ずれ防止用の突部を部分的に設けようとする場合には、押出成形後に、別途型成形で突部を部分的に設ける工程を必要とする。このため、製造効率の低下を招いてしまい、長手方向全域を押出成形体により構成することの意義が減殺されてしまうおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、外観品質、シール性の向上を図るとともに、製造コスト、製造工数の著しい低減を図ることのできるガラスランを提供することにある。また、第2の目的は、外観品質の向上を図るとともに、製造効率の低下を抑制しつつ、ドアガラス開閉時の応力に起因するずれ移動を防止することのできるガラスランの取付構造を提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部、車内側側壁部及び車外側側壁部を具備する断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備えたガラスランであって、
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とからなる長手方向全域が押出成形によって形成され、かつ、スリットや切り欠かれを設けることなく連続して曲げられることでコーナー部が形成されていることを特徴とするガラスラン。
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とからなる長手方向全域が押出成形によって形成され、かつ、スリットや切り欠かれを設けることなく連続して曲げられることでコーナー部が形成されていることを特徴とするガラスラン。
手段1によれば、上辺部、前縦辺部、後縦辺部、及び両コーナー部からなるガラスランの長手方向全域が押出成形によって形成される。このため、押出成形体を含む複数の成形体を型成形で繋ぐことでガラスランを構成する場合とは異なり、接続線が外観に表れてしまうといった事態を回避することができる。また、ガラスランの長手方向(周方向)において部分的に色・艶の相違が生じてしまうといった事態を回避することができる。結果として、外観品質の向上が図られる。また、ガラスランの長手方向に接続による段差が形成されてしまうといったおそれを回避することができ、かかる意味でシール性の向上が図られる。また、型成形を要しない分、製造コスト、製造工数の低減を図ることができる。
さらに、スリットや切り欠かれが設けられることなく連続して曲げられることでコーナー部が形成されているため、切り欠き等のコーナー部を形成するための加工を要しない分、製造コスト、製造工数の低減を図ることができる。
手段2.車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部、車内側側壁部及び車外側側壁部を具備する断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備えたガラスランであって、
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部に対応する前縦辺部と、ドアガラスの後縁部に対応する後縦辺部と、前記上辺部及び前縦辺部のコーナー部と、前記上辺部及び後縦辺部のコーナー部とを有し、
両コーナー部にあっては、それ以外の一般部に比べて、前記基底部が内周側に位置し、スリットや切り欠かれを設けることなく連続して曲げられ、
前記各部が長手方向全域で押出成形によって1本の連続体として形成されていることを特徴とするガラスラン。
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部に対応する前縦辺部と、ドアガラスの後縁部に対応する後縦辺部と、前記上辺部及び前縦辺部のコーナー部と、前記上辺部及び後縦辺部のコーナー部とを有し、
両コーナー部にあっては、それ以外の一般部に比べて、前記基底部が内周側に位置し、スリットや切り欠かれを設けることなく連続して曲げられ、
前記各部が長手方向全域で押出成形によって1本の連続体として形成されていることを特徴とするガラスラン。
手段2によれば、基本的には、手段1と同様の作用効果が奏される。また特に、手段2では、両コーナー部にあっては、それ以外の一般部に比べて、基底部が内周側に位置することで曲げられている。これにより、スリットなど形成せずとも無理のないスムースな曲げが可能となり、曲げに伴う応力によって、コーナー部における断面形状が著しくいびつなものとなってしまうといった事態が回避される。結果として、ガラスランの容易かつ安定した装着が可能となり、ガラスランの機能を十分に発揮させることができる。
手段3.車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部、車内側側壁部及び車外側側壁部を具備する断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備えたガラスランであって、
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部に対応する前縦辺部と、ドアガラスの後縁部に対応する後縦辺部と、前記上辺部及び前縦辺部のコーナー部と、前記上辺部及び後縦辺部のコーナー部とを有し、かつ、
前記基底部及び車内側側壁部、並びに、前記基底部及び車外側側壁部をそれぞれ連結するとともに前記基底部及び両側壁部よりも薄肉で幅方向に所定長を有する変形連結部を具備し、
両コーナー部にあっては、それ以外の一般部に比べて、前記変形連結部が変形することで前記基底部が内周側に位置し、スリットや切り欠かれを設けることなく連続して曲げられ、
前記各部が長手方向全域で押出成形によって1本の連続体として形成されていることを特徴とするガラスラン。
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部に対応する前縦辺部と、ドアガラスの後縁部に対応する後縦辺部と、前記上辺部及び前縦辺部のコーナー部と、前記上辺部及び後縦辺部のコーナー部とを有し、かつ、
前記基底部及び車内側側壁部、並びに、前記基底部及び車外側側壁部をそれぞれ連結するとともに前記基底部及び両側壁部よりも薄肉で幅方向に所定長を有する変形連結部を具備し、
両コーナー部にあっては、それ以外の一般部に比べて、前記変形連結部が変形することで前記基底部が内周側に位置し、スリットや切り欠かれを設けることなく連続して曲げられ、
前記各部が長手方向全域で押出成形によって1本の連続体として形成されていることを特徴とするガラスラン。
手段3によれば、基本的には手段2と同様の作用効果が奏される。また特に、手段3におけるガラスランは、基底部及び車内側側壁部、並びに、基底部及び車外側側壁部をそれぞれ連結するとともに前記基底部及び両側壁部よりも薄肉で幅方向に所定長を有する変形連結部を具備する。そして、両コーナー部にあっては、それ以外の一般部に比べて、前記変形連結部が変形することでスムースに基底部が内周側に位置しやすい。結果として、上述した手段2の作用効果がより確実に奏されることとなる。
手段4.前記変形連結部は、断面略J字状をなすとともに、前記車内側側壁部及び車外側側壁部側の端部又はその近傍において折れ部を具備し、前記コーナー部にあっては、当該折れ部において折れ曲がることで前記変形連結部が変形することを特徴とするガラスラン。
手段4によれば、断面略J字状をなす一対の変形連結部が、両側壁部側の端部又はその近傍において折れ部(断面視では折れ点)を具備する。そして、コーナー部にあっては、当該折れ部において折れ曲がることで一対の変形連結部が変形する。このため、両コーナー部にあっては、よりスムースに基底部が内周側に位置しやすいものとなり、上述した作用効果がより一層確実に奏される。
手段5.前記本体部は、幅方向中央を中心に対称形状をなすことを特徴とするガラスラン。
手段5によれば、本体部は、幅方向中央を中心に対称形状をなす。このため、両コーナー部において、基底部が内周側に位置するに際し、基底部が傾いてしまうといった事態が起こりにくく、両側壁部に対する基底部の角度関係を保ちながらスムースに基底部が内周側に位置し得る。結果として、コーナー部において断面形状がいびつなものとなってしまうといった事態をより一層回避しやすい。
手段6.前記基底部の内周面に、当該基底部から前記車内側側壁部及び車外側側壁部に向かって延び、先端が前記車内側側壁部及び車外側側壁部に当接又はほぼ当接するガイドリップを設けたことを特徴とするガラスラン。
手段6によれば、基底部の内周面にガイドリップが設けられている。このため、両コーナー部において、基底部が内周側に位置するに際し、両ガイドリップが両側壁部によってガイドされながら(時として両側壁部壁面に沿って摺動しながら)基底部がスムースに内周側に位置し得る。結果として、コーナー部において断面形状がいびつなものとなってしまうといった事態をより一層回避しやすい。さらに、手段5に示したように対称形状となっている場合には、上記効果はより一層確実なものとなる。
手段7.前記基底部の外周面に、前記取付部を構成するチャンネル部に当接可能な水浸入防止リップを設けたことを特徴とするガラスラン。
手段7によれば、ガラスランが装着された場合に、基底部の外周面に設けられた水浸入防止リップが取付部を構成するチャンネル部に当接し得る。これにより、チャンネル部を介して水が浸入してしまうといった事態を防止できる。
手段8.前記水浸入防止リップは対をなし、前記車外側側壁部側の水浸入防止リップは先端が車外側に向かって延び、前記車内側側壁部側の水浸入防止リップは先端が車内側に向かって延びていることを特徴とするガラスラン。
手段8によれば、車外側側壁部側の水浸入防止リップは先端が車外側に向かって延び、車内側側壁部側の水浸入防止リップは先端が車内側に向かって延びているため、より一層確実に水の浸入を防止できる。さらに、手段5に示したように、対称形状となっている場合には、装着の間違いによる不具合が払拭される。
手段9.車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部及び該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部よりなる断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備え、
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とからなる長手方向全域が押出成形体により構成されるガラスランの取付構造において、
前記前縦辺部及び前記後縦辺部のうち少なくとも一方には、ベルトラインよりも下方に取着される部位において、一部が切欠かれることで形成された係合部が設けられ、
前記取付部には、ガラスランの取着状態において前記係合部と係合する被係合部が設けられていることを特徴とするガラスランの取付構造。
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とからなる長手方向全域が押出成形体により構成されるガラスランの取付構造において、
前記前縦辺部及び前記後縦辺部のうち少なくとも一方には、ベルトラインよりも下方に取着される部位において、一部が切欠かれることで形成された係合部が設けられ、
前記取付部には、ガラスランの取着状態において前記係合部と係合する被係合部が設けられていることを特徴とするガラスランの取付構造。
手段9によれば、ガラスランの長手方向全域が押出成形体により構成される。従って、基本的に上記手段1と同様の作用効果が奏される。
また、ガラスランに切欠形成された係合部と、取付部に設けられた被係合部とが係合することにより、ガラスランの長手方向へのずれ移動が規制される。従って、ドアガラスの開閉(昇降)等に際し、ガラスランが長手方向にずれ移動してしまうといった事態を防止することができる。さらに、係合部及び被係合部はベルトラインよりも下方、すなわち、ドアパネル内に位置して外観に表れない部位に設けられている。従って、係合部及び被係合部が視認されることに起因して、外観品質の低下を招いてしまうといった事態を回避することができる。加えて、例えば、押出成形体に対し、取付部に形成された孔部又は凹部に係止されるずれ防止用の突起を部分的に設ける場合のように、押出成形後に別途の型成形工程等を実施するといった必要がないため、製造効率の低下を抑制することができる。
手段10.前記車内側側壁部の略先端から車内側に延びる車内側意匠リップと、前記車外側側壁部の略先端から車外側に延びる車外側意匠リップとを備え、
前記係合部は、前記車内側意匠リップ及び前記車外側意匠リップのうち少なくとも一方に形成されることを特徴とする手段9に記載のガラスランの取付構造。
前記係合部は、前記車内側意匠リップ及び前記車外側意匠リップのうち少なくとも一方に形成されることを特徴とする手段9に記載のガラスランの取付構造。
手段10によれば、意匠リップに係合部が切欠形成される。このため、例えば、本体部やシールリップに係合部を形成することに起因して、ガラスランとしての機能の低下(シール性の低下等)を招いてしまうといった事態を防止することができる。また、切欠き作業も比較的簡単に行うことができる。尚、押出成形に際し、本体部から外方に突出する突条部を形成し、押出成形後、当該突条部の一部を切り欠くことで前記係合部を形成することとしてもよい。この場合においても、本体部及びシールリップの機能を損なうことなく、係合部を形成することができる。
手段11.前記取付部のうち前記ベルトラインよりも下方部位に関しては、前記本体部を内側に嵌合する断面略コ字状のチャンネル部材と、前記チャンネル部材とドア本体とを連結する連結部とを備え、
前記連結部を、前記チャンネル部材の外側面に沿って、ドアガラスにより開閉されるガラス開口部の内周側に向けて延出形成することで、前記チャンネル部材の外側面に圧接される前記車内側意匠リップ及び前記車外側意匠リップのうち少なくとも一方に形成された前記係合部と係合する前記被係合部が形成されることを特徴とする手段10に記載のガラスランの取付構造。
前記連結部を、前記チャンネル部材の外側面に沿って、ドアガラスにより開閉されるガラス開口部の内周側に向けて延出形成することで、前記チャンネル部材の外側面に圧接される前記車内側意匠リップ及び前記車外側意匠リップのうち少なくとも一方に形成された前記係合部と係合する前記被係合部が形成されることを特徴とする手段10に記載のガラスランの取付構造。
手段11によれば、チャンネル部材をドア本体に固定するための連結部の形状を一部変更することにより、比較的容易に被係合部を形成することができる。従って、被係合部を形成することに起因して製造効率の低下を招いてしまうといった事態を抑制することができる。
尚、前記取付部のうち前記ベルトラインよりも上方部位に関しては、ドアフレームを構成するインナパネルとアウタパネルとの間に断面略コ字状のチャンネル部材が取付けられないチャンネルレス構造となっており、ガラスランは、インナパネル及びアウタパネルの先端部間に嵌合されることとしてもよい。この場合、ベルトラインよりも上方部位においてチャンネル部材を設けなくてもよい分、コストの削減を図ることができる。
手段12.前記取付部のうち前記ベルトラインよりも下方部位に関しては、前記本体部を内側に嵌合する断面略コ字状のチャンネル部材と、前記チャンネル部材とドア本体とを連結する連結部とを備え、
前記チャンネル部材の一部を折り曲げ形成することで、前記チャンネル部材の外側面に圧接される前記車内側意匠リップ及び前記車外側意匠リップのうち少なくとも一方に形成された前記係合部と係合する前記被係合部が形成されることを特徴とする手段10に記載のガラスランの取付構造。
前記チャンネル部材の一部を折り曲げ形成することで、前記チャンネル部材の外側面に圧接される前記車内側意匠リップ及び前記車外側意匠リップのうち少なくとも一方に形成された前記係合部と係合する前記被係合部が形成されることを特徴とする手段10に記載のガラスランの取付構造。
手段12によれば、チャンネル部材の形状を一部変更することにより、比較的容易に被係合部を形成することができる。従って、被係合部を形成することに起因して製造効率の低下を招いてしまうといった事態を抑制することができる。
手段13.前記基底部と前記車内側側壁部との境界部、及び前記基底部と前記車外側側壁部との境界部には、前記本体部のその他の部位よりも薄肉な変形連結部が設けられ、
前記取付部のコーナー部に対してガラスランを取着することで、コーナー部に対応するガラスランの前記変形連結部がガラス開口部の内周側に向けて傾倒変形し、前記基底部がガラス開口部の内周側に変位することを特徴とする手段9乃至12のいずれかに記載のガラスランの取付構造。
前記取付部のコーナー部に対してガラスランを取着することで、コーナー部に対応するガラスランの前記変形連結部がガラス開口部の内周側に向けて傾倒変形し、前記基底部がガラス開口部の内周側に変位することを特徴とする手段9乃至12のいずれかに記載のガラスランの取付構造。
手段13によれば、ガラスランの取付部への取着に際し、コーナー部にあっては、それ以外の部位(直線部位)に比べて、基底部がガラス開口部の内周側に変位する。これにより、ガラスランのコーナー部に対応する部位にスリットなど形成せずとも無理のないスムースな曲げが可能となる。従って、曲げに伴う応力によって、コーナー部における断面形状が著しくいびつなものとなってしまうといった事態が回避される。結果として、ガラスランの容易かつ安定した装着が可能となり、ガラスランの機能を十分に発揮させることができる。また、例えば、ガラスランをスムースに屈曲させるべく、ガラスランのうちコーナー部に対応する部位において、本体部やシールリップに対し、スリットや切欠き等を形成する必要がないことから、シール性の低下や外観品質の低下を防止することができる。
(第1実施形態)
以下に、第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、車両としての自動車1のドア開口部2にはフロントドア3(以下、単にドアという)が開閉可能に設けられている。ドア3は、昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応したガラスラン4とを備えている。
以下に、第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、車両としての自動車1のドア開口部2にはフロントドア3(以下、単にドアという)が開閉可能に設けられている。ドア3は、昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応したガラスラン4とを備えている。
図2に示すように、ガラスラン4は、ドアガラスGの上縁部に対応する部位である上辺部6、上辺部6の前端部から下方に延び、ドアガラスGの前縁部に対応する部位である前縦辺部7、及び上辺部6の後端部から下方に延び、ドアガラスGの後縁部に対応する部位である後縦辺部8を備えている。本実施形態におけるガラスラン4は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合)ゴムよりなり、前縦辺部7、上辺部6及び後縦辺部8からなる長手方向全域が押出成形によって形成され、かつ、スリットや切り欠かれが設けられることなくそれぞれ2ヶ所で連続して曲げられることでコーナー部C1,C2が形成されている(この点については後に詳述する)。
図3,4に示すように、ガラスラン4は、本体部11及び車外側シールリップ12及び車内側シールリップ13を備えている。本体部11は、ドア3のアウタパネル3A及びインナパネル3Bによって構成される取付部に嵌め込まれる基底部14と、該基底部14に対し略直交する方向に延びる車外側側壁部15及び車内側側壁部16とを備え、全体として断面略コ字状をなしている。車外側シールリップ12は、車外側側壁部15の略先端から本体部11内周側に向けて延び、車内側シールリップ13は、車内側側壁部16の略先端から本体部11内周側に向けて延びている。そして、ドアガラスGが閉じられた状態においては、車外側シールリップ12がドアガラスGの外側面に対して圧接され、車内側シールリップ13がドアガラスGの内側面に対して圧接される。これにより、ドアガラスGの車外側及び車内側がそれぞれシールされるようになっている。また、車外側側壁部15から車外側に向って延びる車外側意匠リップ17、及び車内側側壁部16から車内側に向かって延びる車内側意匠リップ18が設けられている。
また、本実施形態では、ガラスラン4の長手方向全域が押出成形のみによって1本の連続体として形成されていることから、上辺部6、前縦辺部7及び後縦辺部8のいずれについても、本体部11及び一対のシールリップ12,13等を備えており、同様の断面形状をなしている。但し、ガラスラン1のうち、前縦辺部7や後縦辺部8の下部については、アウタパネル3A及びインナパネル3B間に、チャンネル部3Cが設けられており、当該チャンネル部3C内にガラスラン4が取着されている。また、図示はしないが、上辺部6の上部に対応して金属製の支持部(ストッパ)が設けられており、上辺部6の基底部14が当該支持部に当接可能となっている。これにより、ドアガラスG上動時における応力を受け止めることができるようになっている。
次に、本実施形態における特徴的構成について説明する。
本実施形態では、基底部と両側壁部とが直接連結されている訳ではなく、基底部14と車外側側壁部15との間、並びに、基底部14と車内側側壁部16との間が、それぞれ変形連結部21によって連結されている。変形連結部21は、基底部14及び両側壁部15,16よりも薄肉で、かつ、幅方向に所定長を有するべく断面略J字状をなしている。そして、かかる構成下、ガラスラン4の両コーナー部C1,C2は、スリットや切り欠かれが設けられることなく連続して曲げられている。ここで、図5に示すように、変形連結部21のうち、車外側側壁部15及び車内側側壁部16側の端部近傍において折れ部(断面視では折れ点BP)を具備しており、前記両コーナー部C1,C2にあっては、当該折れ部(折れ点BP)において折れ曲がることで変形連結部21が変形する。これにより、両コーナー部C1,C2にあっては、基底部14が内周側(図の下側)にスムースに位置することとなる。つまり、両コーナー部C1,C2にあっては、それ以外の一般部に比べて、基底部14が内周側に位置し、しかも当該ポジショニングがスムースに行われることで、断面形状がいびつなものとなってしまうことなく曲げられているのである。
また、本実施形態においては、基底部14の内周面に、当該基底部14から各側壁部15,16に向かって延び、先端が各側壁部15,16にほぼ当接するガイドリップ22,23が設けられている。
さらに、基底部14の外周面には、前記チャンネル部3Cに当接可能な水浸入防止リップ24,25が設けられている。本実施形態では、水浸入防止リップ24,25は対をなし、車外側側壁部15側の水浸入防止リップ24はその先端が車外側に向かって延び、車内側側壁部16側の水浸入防止リップ25はその先端が車内側に向かって延びている。
併せて、本実施形態では、前記ガイドリップ22,23及び浸入防止リップ24,25を包含する本体部11は、幅方向中央を中心に対称形状をなしている。
以上のようにして構成されてなる本実施形態によれば、上辺部6、前縦辺部7、後縦辺部8及び両コーナー部C1,C2からなるガラスラン4の長手方向全域が押出成形によって形成されるため、型成形で繋ぐことでガラスランを構成する場合とは異なり、接続線が外観に表れてしまうといった事態を回避することができる。また、ガラスラン4の長手方向(周方向)において部分的に色・艶の相違が生じてしまうといった事態を回避することができる。結果として、外観品質の向上を図ることができる。また、ガラスラン4の長手方向に接続による段差が形成されてしまうといったおそれを回避することができ、かかる意味でシール性の向上をも図ることができる。勿論、型成形を要しない分、製造コスト、製造工数の低減を図ることもできる。
さらに、スリットや切り欠かれが設けられることなく曲げられることでコーナー部C1,C2が形成されているため、切り欠き等のコーナー部を形成するための加工を要しない分、製造コスト、製造工数の低減を図ることができる。
一方で、切り欠き等の加工を施さないため、曲げによる断面形状に歪み等が生じてしまうことが懸念されるところであるが、本実施形態では、両コーナー部C1,C2において、それ以外の一般部に比べて、基底部14が内周側に位置することで曲げられている。より詳しくは、基底部14と車外側側壁部15との間、並びに、基底部14と車内側側壁部16との間が、薄肉で、かつ、幅方向に所定長を有するべく断面略J字状をなす変形連結部21によって連結されている。そして、両コーナー部C1,C2にあっては、変形連結部21の折れ部(折れ点BP)において折れ曲がることで変形連結部21が変形し、これにより、基底部14が内周側にスムースに位置する。その結果、切り欠きなど形成せずとも無理のないスムースな曲げが可能となり、曲げに伴う応力によって、コーナー部C1,C2における断面形状が著しくいびつなものとなってしまうといった事態が回避される(例えば、曲率半径60mmであっても特段のいびつな変形を招くことなく曲げが可能である)。結果として、ガラスラン4の容易かつ安定した装着が可能となり、しかもガラスラン4の機能を十分に発揮させることができる。
特に、本実施形態では、本体部11が幅方向中央を中心に対称形状をなすため、両コーナー部C1,C2において基底部14が内周側に位置するに際し、基底部14が傾いてしまうといった事態が起こりにくく、両側壁部15,16に対する基底部14の角度関係を保ちながらスムースに基底部14が内周側に位置し得る。結果として、コーナー部C1,C2において断面形状がいびつなものとなってしまうといった事態をより一層回避しやすくなる。
また、本実施形態では、基底部14の内周面にガイドリップ22,23が設けられている。このため、両コーナー部C1,C2において基底部14が内周側に位置するに際し、図5に示すように、両ガイドリップ22,23が両側壁部15,16によってガイドされながら(時として両側壁部壁面に沿って摺動しながら)基底部14がスムースに内周側に位置し得る。結果として、コーナー部C1,C2において断面形状がいびつなものとなってしまうといった事態をより一層回避しやすい。特に、本実施形態のように対称形状となっていることで、上記効果をより一層確実なものとすることができる。
さらに、基底部14の外周面に水浸入防止リップ24,25が設けられていることからチャンネル部C3を介して水が内部に浸入してしまうといった事態を防止できる。特に、水浸入防止リップ24,25は上述したように対をなすとともに、全体として対称形状をなす。このため、より一層確実に水の浸入を防止できるのみならず、装着の間違いによる不具合を防止することができる。
(第2実施形態)
以下に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。図6はドアの概略構成を示す正面模式図である。図7はガラスランの上辺部を示す図6のX−X線断面図である。図8はコーナー部におけるガラスランを示す図6のY−Y線断面図である。図9はガラスランの後縦辺部を示す図6のZ−Z線断面図である。
以下に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。図6はドアの概略構成を示す正面模式図である。図7はガラスランの上辺部を示す図6のX−X線断面図である。図8はコーナー部におけるガラスランを示す図6のY−Y線断面図である。図9はガラスランの後縦辺部を示す図6のZ−Z線断面図である。
図6に示すように、自動車のドア用開口部に開閉可能に設けられるフロントドア101(以下、単にドアという)には、昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応して設けられ、ドアガラスGの昇降を案内するとともに、ドアガラスGが上昇してガラス開口部Wが閉じられたときに、ドアガラスGの外周とドアフレーム102との間をシールするガラスラン105とが設けられている。また、ドア101には、ベルトラインに沿ってガラスウエザストリップ(ベルトラインモール109)が設けられている。
ガラスラン105は、ドアガラスGの上縁部に対応する部位である上辺部106、上辺部106の前端部から下方に延び、ドアガラスGの前縁部に対応する部位である前縦辺部107、及び上辺部106の後端部から下方に延び、ドアガラスGの後縁部に対応する部位である後縦辺部108を備えている。本実施形態におけるガラスラン105は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合)ゴムよりなり、前縦辺部107、上辺部106及び後縦辺部108からなる長手方向全域が押出成形によって形成されている。そして、ドアフレーム102の内周に沿って形成された取付部104の内側に当該ガラスラン105が取付けられている。
図7に示すように、ガラスラン105の上辺部106は、本体部111及び車外側シールリップ112及び車内側シールリップ113を備えている。本体部111は、取付部104に嵌め込まれる基底部114と、該基底部114に対し略直交する方向に延びる車外側側壁部115及び車内側側壁部116とを備え、全体として断面略コ字状をなしている。車外側シールリップ112は、車外側側壁部115の略先端から本体部111の内側に向けて延び、車内側シールリップ113は、車内側側壁部116の略先端から本体部111の内側に向けて延びている。そして、ドアガラスGが閉じられた状態においては、車外側シールリップ112がドアガラスGの外側面に対して圧接され、車内側シールリップ113がドアガラスGの内側面に対して圧接される。これにより、ドアガラスGの車外側及び車内側がそれぞれシールされるようになっている。また、車外側側壁部115から車外側に向けて延びる車外側意匠リップ117、及び車内側側壁部116から車内側に向けて延びる車内側意匠リップ118が設けられている。
また、本実施形態では、ガラスラン105の長手方向全域が押出成形のみによって1本の連続体として形成されていることから、上辺部106、前縦辺部107及び後縦辺部108のいずれについても、本体部111及び一対のシールリップ112、113等を備えており、基本的には同様の断面形状をなしている。
但し、取付部104に関しては、ベルトライン(ベルトラインモール109)よりも上方に位置し、ガラス開口部Wの外周に沿って設けられる部位(以下、サッシュ部DSと称する)と、ベルトラインよりも下方に位置し、ドアパネル103内に設けられる部位(以下、チャンネル部DCと称する)とで断面形状が異なっている。
図7、図8に示すように、サッシュ部DSは、ドアフレーム102を構成するアウタパネル102A及びインナパネル102Bの端部をガラス開口部Wの内周側(図7では下側)に折り曲げることで構成されている。すなわち、アウタパネル102Aを車外側意匠リップ117と車外側側壁部115とで挟み込み、インナパネル102Bを車内側意匠リップ118と車内側側壁部116とで挟み込むようにして、本体部111がアウタパネル102Aとインナパネル102Bとの間に嵌め込まれることで、サッシュ部DSに対してガラスラン105が取付けられている。
一方、図9等に示すように、チャンネル部DCは、ドアガラスGの前後の縦辺部に沿って上下方向に延び、断面略コ字状をなすチャンネル部材103Aと、チャンネル部材103Aの所定部位とインナパネル102Bとを連結する連結部103Bとを備えている。そして、車外側意匠リップ117と車外側側壁部115との間、及び、車内側意匠リップ118と車内側側壁部116との間にチャンネル部材103Aの側壁部を挟み込むようにして、チャンネル部材103Aの内側に本体部111を嵌め込むことで、ガラスラン105がチャンネル部DCに取付けられている。尚、連結部103Bはチャンネル部材103Aの上下二箇所に設けられている。
上記のように、取付部104のうちベルトラインよりも上方部位(サッシュ部DS)に関し、アウタパネル102A及びインナパネル102B間にチャンネル部材を介在させない構成(チャンネルレス構造)とすることで、コストの削減及び軽量化が図られている。
加えて、基底部114の内側面やシールリップ112、113のドアガラス摺動面等には、ドアガラスGの摺動性を向上させるべく表面処理が施されている。表面処理としては、例えば、基底部114の内側面にポリエチレン(PE)テープ等を貼着して摺動層を形成したり、シールリップ112、113の表面に塗膜(例えばウレタン塗膜)を形成したり、シールリップ112、113の表面に植毛したりすること等が挙げられる。
また、本実施形態では、基底部114と車外側側壁部115との境界部、及び、基底部114と車内側側壁部116との境界部において、変形連結部121が形成されている。変形連結部121は、本体部111のそれ以外の部位(基底部114及び両側壁部115、116)よりも薄肉となっている。また、左右一対の変形連結部121は、車外側側壁部115及び車内側側壁部116からガラス開口部Wの外周側(図7、図8では上方)に向けて互いに近づく方向に傾斜して延出するとともに、各先端部がガラス開口部Wの内周側(本体部111の内側)に向けて屈曲形成されており、全体として断面略J字状をなしている。
そして、ガラスラン105の取付部104(サッシュ部DS)への取付に際し、コーナー部形状に倣わせてガラスラン105を屈曲させると、図8に示すように、変形連結部121が本体部111の内側に傾倒するようにして変形する。これにより、基底部114が図8の二点鎖線で示す位置から、同図実線で示す位置となるまで、ガラス開口部Wの内周側(図8では下側)にスムースに変位する。つまり、コーナー部にあっては、それ以外の部位(直線部位)に比べて、基底部114がガラス開口部Wの内周側に位置し、しかも当該ポジショニングがスムースに行われることで、断面形状がいびつなものとなってしまうことなく曲げられているのである。
さらに、基底部114の内側面には、当該基底部114から各側壁部115、116に向かって延び、先端が各側壁部115、116にほぼ当接するガイドリップ122、123が設けられており、両コーナー部において基底部114がガラス開口部Wの内周側へ変位するに際し、両ガイドリップ122、123が両側壁部115、116によってガイドされる。これにより、コーナー部において断面形状がいびつなものとなってしまうといった事態をより一層回避しやすい。また、本実施形態では、変形連結部121及びガイドリップ122、123等を包含する本体部111は、幅方向中央を中心に対称形状をなしている。このため、コーナー部において基底部114がガラス開口部Wの内周側へ変位するに際し、基底部114が傾いてしまうといった事態が起こりにくく、両側壁部115、116に対する基底部114の角度関係を保ちながらスムースに基底部114が内周側に位置し得る。結果として、コーナー部において断面形状がいびつなものとなってしまうといった事態をより一層回避しやすくなる。
さて、本実施形態では、ベルトライン(ベルトラインモール109)よりも下方において、ガラスラン105の長手方向における位置ずれを防止する構成を具備している。以下、かかる構成について図9、図10を参照して説明する。尚、図10は、チャンネル部DCに取付けられたガラスラン105(後縦辺部108)を示す部分斜視図である。
図10に示すように、チャンネル部DCの連結部103Bは、チャンネル部材103Aの背面に対してスポット溶接により固定される背当て部133と、背当て部133から車内側に延出し、インナパネル102Bに対してボルトやリベット等の固定部材により固定される固定部134と、背当て部133から上方に突出する差込部135とを備えている。差込部135は、チャンネル部DCをインナパネル102Bに取付ける際に、ベルトライン上方におけるドアフレーム102に形成された凹部(図示略)に差し込まれるものである。当該差込部135によって、チャンネル部DCの回転方向への位置ずれが規制されるようになっている。
本実施形態では、背当て部133は、チャンネル部材103Aの両側面に沿ってガラス開口部Wの内周側に向けて延びる一対の係合突部137を備えている。つまり、背当て部133及び係合突部137は、全体として、チャンネル部材103Aを囲むようにして断面略コ字状に形成されている。また、係合突部137は、チャンネル部材103Aの側壁部よりもガラス開口部Wの内周側(図9では下側、図10では右側)にまで延出している上、チャンネル部材103Aの側壁部外面と略当接している。尚、連結部103Bの固定部134はインナパネル102Bに固定される構成のため、連結部103Bとインナパネル102Bとの接続部位が外観に露出することなく、外観品質の低下を防止することができる。
一方、後縦辺部108には、係合突部137に対応する部位において、車外側意匠リップ117、及び車内側意匠リップ118が切り欠かれることで形成された係合凹部127が設けられている。そして、ガラスラン105(後縦辺部108)の取付部104(チャンネル部DC)への取付状態においては、係合突部137が係合凹部127に係合されることとなる。より詳しくは、チャンネル部材103Aに嵌め込まれた後縦辺部108の意匠リップ117、118は、車幅方向(図9では左右方向)において、係合突部137の内側面よりも外側に位置しており、長手方向(上下方向)に見た場合、意匠リップ117、118の少なくとも一部が係合突部137と重なり合っている。このため、ガラスラン105に対して長手方向へのずれ応力が作用した場合であっても、意匠リップ117、118が、係合凹部127の上縁部や下縁部において係合突部137と当接し、長手方向へのずれ移動が規制されることとなる。本実施形態では、係合凹部127により係合部が構成され、係合突部137により被係合部が構成されている。
尚、本実施形態では、ガラスラン105の取付状態において、係合突部137と係合凹部127との間に、製造誤差や組付け誤差を許容するための隙間が(例えば上下に3mm程度ずつ)形成されるように設計されている。また、前縦辺部107に関しても、後縦辺部108と同様にして、連結部103Bの係合突部137に対応する部位が切り欠かれることで形成された係合凹部127が設けられており、当該係合凹部127が対応する係合突部137に係合されることとなる。
以上のようにして構成されてなる本実施形態によれば、上辺部106、前縦辺部107、後縦辺部108からなるガラスラン105の長手方向全域が押出成形によって形成されるため、押出成形部と型成形部とを長手方向に繋ぐことでガラスランを構成する場合とは異なり、接続線が外観に表れてしまうといった事態を回避することができる。また、ガラスラン105の長手方向(周方向)において部分的に色・艶の相違が生じてしまうといった事態を回避することができる。結果として、外観品質の向上を図ることができる。また、ガラスラン105の長手方向に接続に起因する不要な段差が形成されてしまうといったおそれを回避することができ、かかる意味でシール性の向上をも図ることができる。さらに、製造に要する工数の飛躍的な低減、ひいては、製造効率の向上を図ることができる。
また、ガラスラン105に形成された係合凹部127が、チャンネル部DC(連結部103B)に設けられた係合突部137に係合することにより、ガラスラン105の長手方向へのずれ移動が規制される。従って、ドアガラスGの開閉(昇降)等に際し、ガラスラン105が長手方向にずれ移動してしまうといった事態を防止することができる。さらに、係合凹部127及び係合突部137はベルトライン(ベルトラインモール109)よりも下方、すなわち、ドアパネル3内に位置して外観に表れない部位に設けられている。従って、係合凹部127及び係合突部137が視認されることに起因して、外観品質の低下を招いてしまうといった事態を回避することができる。加えて、例えば、押出成形体に対し、取付部に形成された孔部又は凹部に係止されるずれ防止用の突起を部分的に設ける場合のように、押出成形後に別途型成形工程を実施するといった必要がないため、製造効率の低下を抑制することができる。
また、係合凹部127は意匠リップ117、118に形成されている。このため、例えば、本体部111やシールリップ112、113に係合凹部127を形成することに起因して、ガラスランとしての機能の低下(シール性の低下等)を招いてしまうといった事態を防止することができる。
さらに、係合凹部127に係合する係合突部137は、チャンネル部材103Aをインナパネル102Bに固定するための連結部103B(背当て部133)の形状を一部変更することにより比較的容易に形成することができる。従って、係合突部137を形成することに起因して製造効率の低下を招いてしまうといった事態を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、ガラスラン105の取付部104(サッシュ部DS)への取着に際し、コーナー部にあっては、それ以外の部位に比べて、基底部114がガラス開口部Wの内周側に変位する。これにより、ガラスラン105のコーナー部に対応する部位にスリットなど形成せずとも無理のないスムースな曲げが可能となる。従って、曲げに伴う応力によって、コーナー部における断面形状が著しくいびつなものとなってしまうといった事態が回避される。結果として、ガラスラン105の容易かつ安定した装着が可能となり、ガラスランの機能を十分に発揮させることができる。また、本実施形態によれば、本体部111やシールリップ112、113に対してスリットや切欠き等を形成する必要がないことから、シール性の低下や外観品質の低下を確実に防止することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記第1実施形態では、本体部11が幅方向中央を中心に対称形状をなすこととしているが、必ずしも対称形状でなくてもよい。
(b)上記第1実施形態におけるガイドリップ22,23を省略することとしてもよい。また、水浸入防止リップ24,25を省略することとしてもよし、単一の水浸入防止リップを設けることとしてもよい。
(c)上記第1実施形態における両意匠リップ17、18を省略することとしてもよい。
(d)上記第1実施形態では特に言及していないが、ドアフレーム内におけるガラスラン4の長手方向へのズレを防止するための手段を別途設けることとしてもよい。
(e)上記第1実施形態ではガラスラン4をEPDMにより構成しているが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の別の素材により構成してもよい。
(f)上記第1実施形態では、フロントドアのガラスラン1に関して特に詳しく説明しているが、リアドアのガラスラン等においても同様に構成してもよい。
(g)上記第2実施形態では、チャンネル部DCの連結部103B(背当て部133)に対して係合凹部127に係合する係合突部137が形成されているが、例えば、図11(a)、(b)に示すように、チャンネル部材103Aの一部を折り曲げ形成することで係合突部141、142を形成してもよい。尚、当該構成を採用する場合、上記実施形態における背当て部133の係合突部137を省略することとする。また、図11に示すように、チャンネル部DCの回転方向における位置ずれを防止するための差込部135をチャンネル部材103Aに設けることとしてもよい。尚、差込部135を省略することも可能である。
(h)上記第2実施形態では、前縦辺部107及び後縦辺部108に係合凹部127が形成されているが、少なくとも一方の縦辺部7、8に係合凹部127が形成されていればよい。さらに、車外側意匠リップ117及び車内側意匠リップ118に係合凹部127が形成されているが、少なくとも一方の意匠リップ117、118に係合凹部127が形成されていればよい。
また、上記実施形態では、意匠リップ117、118に係合凹部127が形成されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、その他の部位に係合凹部127を形成してもよい。但し、本体部111自体(基底部114及び両側壁部115、116)や、シールリップ112、113自体を切り欠くと、ガラスランとしての機能が損なわれるおそれがあるため、それ以外の部位を別途設けておき、当該別部位に切欠きを設けることが望ましい。例えば、押出成形に際し、本体部111(基底部114)から外方に突出する突条部を形成しておき、押出成形後、当該突条部を長手方向において一部切り欠くことで係合凹部を形成することとしてもよい。また、例えば、側壁部115、116から外方に突出し、チャンネル部材103Aの内側面に圧接されたり、チャンネル部材103Aの内周側に形成される瘤状部に係止されたりする突部やリップを(若干大きめに)設け、当該突部やリップに対して係合凹部を形成することとしてもよい。これらの構成を採用する場合においても、本体部111及びシールリップ112、113の機能を損なうことなく、係合凹部127を形成することができる。尚、当該構成を採用する場合、係合突部137はチャンネル部材103Aの一部を内側に折り曲げることで形成されることとしてもよい。
(i)上記第2実施形態では、本体部111が幅方向中央を中心に対称形状をなすこととしているが、必ずしも対称形状でなくてもよい。また、ガイドリップ122、123を省略することとしてもよい。
(j)上記第2実施形態ではガラスラン105をEPDMにより構成しているが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の別の素材により構成してもよい。また、フロントドアのガラスラン105に関して特に詳しく説明しているが、リアドアのガラスラン等においても同様に構成してもよい。
1…自動車、3…ドア、4…ガラスラン、6…上辺部、7…前縦辺部、8…後縦辺部、11…本体部、12…車外側シールリップ、13…車内側シールリップ、14…基底部、15…車外側側壁部、16…車内側側壁部、21…変形連結部、22,23…ガイドリップ、24,25…水浸入防止リップ、C1,C2…コーナー部、BP…折れ点、G…ドアガラス、101…ドア、102…ドアフレーム、103A…チャンネル部材、103B…連結部、104…取付部、105…ガラスラン、106…上辺部、107…前縦辺部、108…後縦辺部、111…本体部、112…車外側シールリップ、113…車内側シールリップ、114…基底部、115…車外側側壁部、116…車内側側壁部、117…車外側意匠リップ、118…車内側意匠リップ、121…変形連結部、127…係合凹部、133…背当て部、134…固定部、137…係合突部。
Claims (13)
- 車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部、車内側側壁部及び車外側側壁部を具備する断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備えたガラスランであって、
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とからなる長手方向全域が押出成形によって形成され、かつ、スリットや切り欠かれを設けることなく連続して曲げられることでコーナー部が形成されていることを特徴とするガラスラン。 - 車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部、車内側側壁部及び車外側側壁部を具備する断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備えたガラスランであって、
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部に対応する前縦辺部と、ドアガラスの後縁部に対応する後縦辺部と、前記上辺部及び前縦辺部のコーナー部と、前記上辺部及び後縦辺部のコーナー部とを有し、
両コーナー部にあっては、それ以外の一般部に比べて、前記基底部が内周側に位置し、スリットや切り欠かれを設けることなく連続して曲げられ、
前記各部が長手方向全域で押出成形によって1本の連続体として形成されていることを特徴とするガラスラン。 - 車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部、車内側側壁部及び車外側側壁部を具備する断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備えたガラスランであって、
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部に対応する前縦辺部と、ドアガラスの後縁部に対応する後縦辺部と、前記上辺部及び前縦辺部のコーナー部と、前記上辺部及び後縦辺部のコーナー部とを有し、かつ、
前記基底部及び車内側側壁部、並びに、前記基底部及び車外側側壁部をそれぞれ連結するとともに前記基底部及び両側壁部よりも薄肉で幅方向に所定長を有する変形連結部を具備し、
両コーナー部にあっては、それ以外の一般部に比べて、前記変形連結部が変形することで前記基底部が内周側に位置し、スリットや切り欠かれを設けることなく連続して曲げられ、
前記各部が長手方向全域で押出成形によって1本の連続体として形成されていることを特徴とするガラスラン。 - 前記変形連結部は、断面略J字状をなすとともに、前記車内側側壁部及び車外側側壁部側の端部又はその近傍において折れ部を具備し、前記コーナー部にあっては、当該折れ部において折れ曲がることで前記変形連結部が変形することを特徴とする請求項3に記載のガラスラン。
- 前記本体部は、幅方向中央を中心に対称形状をなすことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のガラスラン。
- 前記基底部の内周面に、当該基底部から前記車内側側壁部及び車外側側壁部に向かって延び、先端が前記車内側側壁部及び車外側側壁部に当接又はほぼ当接するガイドリップを設けたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のガラスラン。
- 前記基底部の外周面に、前記取付部を構成するチャンネル部に当接可能な水浸入防止リップを設けたことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のガラスラン。
- 前記水浸入防止リップは対をなし、前記車外側側壁部側の水浸入防止リップは先端が車外側に向かって延び、前記車内側側壁部側の水浸入防止リップは先端が車内側に向かって延びていることを特徴とする請求項7に記載のガラスラン。
- 車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、基底部及び該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部よりなる断面略コ字状をなす本体部と、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備え、
ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とからなる長手方向全域が押出成形体により構成されるガラスランの取付構造において、
前記前縦辺部及び前記後縦辺部のうち少なくとも一方には、ベルトラインよりも下方に取着される部位において、一部が切欠かれることで形成された係合部が設けられ、
前記取付部には、ガラスランの取着状態において前記係合部と係合する被係合部が設けられていることを特徴とするガラスランの取付構造。 - 前記車内側側壁部の略先端から車内側に延びる車内側意匠リップと、前記車外側側壁部の略先端から車外側に延びる車外側意匠リップとを備え、
前記係合部は、前記車内側意匠リップ及び前記車外側意匠リップのうち少なくとも一方に形成されることを特徴とする請求項9に記載のガラスランの取付構造。 - 前記取付部のうち前記ベルトラインよりも下方部位に関しては、前記本体部を内側に嵌合する断面略コ字状のチャンネル部材と、前記チャンネル部材とドア本体とを連結する連結部とを備え、
前記連結部を、前記チャンネル部材の外側面に沿って、ドアガラスにより開閉されるガラス開口部の内周側に向けて延出形成することで、前記チャンネル部材の外側面に圧接される前記車内側意匠リップ及び前記車外側意匠リップのうち少なくとも一方に形成された前記係合部と係合する前記被係合部が形成されることを特徴とする請求項10に記載のガラスランの取付構造。 - 前記取付部のうち前記ベルトラインよりも下方部位に関しては、前記本体部を内側に嵌合する断面略コ字状のチャンネル部材と、前記チャンネル部材とドア本体とを連結する連結部とを備え、
前記チャンネル部材の一部を折り曲げ形成することで、前記チャンネル部材の外側面に圧接される前記車内側意匠リップ及び前記車外側意匠リップのうち少なくとも一方に形成された前記係合部と係合する前記被係合部が形成されることを特徴とする請求項10に記載のガラスランの取付構造。 - 前記基底部と前記車内側側壁部との境界部、及び前記基底部と前記車外側側壁部との境界部には、前記本体部のその他の部位よりも薄肉な変形連結部が設けられ、
前記取付部のコーナー部に対してガラスランを取着することで、コーナー部に対応するガラスランの前記変形連結部がガラス開口部の内周側に向けて傾倒変形し、前記基底部がガラス開口部の内周側に変位することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載のガラスランの取付構造。
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