ところで、ガラスランの長手方向において部分的にガラスラン(本体部)の取付部への押込み量が少ない部位が存在すると、当該部位のみが窓部内周側(ガラスラン上辺部では下方)に突出してしまうおそれがある。この場合、図6に示すように、ガラスラン80(上辺部80a)の窓部内周側の縁部(下縁部)が長手方向に見て波打つように変形してしまうことが懸念される。従って、かかる不具合を払拭するためには、本体部81の取付部91への押込み量を均一にする必要がある。
しかしながら、図5に示すように、支持部94aにより基底部84を支持する構成を採用する場合には、上辺部80aの取付に際し、側壁部85、86と意匠リップ87、88との境界部と、フランジ部95、96とが略当接する前の段階で、基底部84と支持部94aとが突き当たり、本体部81をそれ以上押込めなくなってしまうおそれがある。このように、フランジ部95、96を側壁部85、86と意匠リップ87、88との境界部にまで押込める部位と、押込めない部位とが存在すると、本体部81の取付部91への押込み量を均一にすることが非常に困難(事実上不可能)となってしまうことが懸念される。尚、当該問題は、上記特許文献1に記載のストッパ部材が設けられる場合にも同様に起こり得る。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、意匠リップの口開きを防止するとともに、上辺部の下縁部が長手方向に波打つようにして変形してしまうといった事態を防止することができるガラスランの取付構造を提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.基底部と、車内側側壁部及び車外側側壁部と、前記基底部と前記車内側側壁部とを連結する車内側連結部と、前記基底部と前記車外側側壁部とを連結する車外側連結部とを具備する断面略コ字状の本体部と、
前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部の内側に向けて延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備え、
前記車内側連結部及び前記車外側連結部は、前記本体部のその他の部位よりも薄肉に構成され、
ドアのベルトラインよりも上方に設けられるフレーム対応部に関しては、
前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部の外側に向けて延びる車内側意匠リップ及び車外側意匠リップを備え、
少なくともコーナー部を除く上辺部が押出成形されてなるガラスランと、
ドアフレームの内周に沿って設けられた互いに対向する車内側フランジ部及び車外側フランジ部を具備する取付部とを備え、
前記本体部が前記一対のフランジ部の間に押し込まれ、前記車内側意匠リップと前記車内側側壁部とで前記車内側フランジ部が挟み込まれるとともに、前記車外側意匠リップと前記車外側側壁部とで前記車外側フランジ部が挟み込まれることで、前記ガラスランが前記取付部に取着されてなるガラスランの取付構造であって、
前記車外側フランジ部は、前記車外側側壁部と前記車外側意匠リップとの境界部と略当接状態とされ、
ドアガラスが上昇してドアの窓部が閉鎖された際に、前記ドアガラスの上縁部で押圧されるガラスラン上辺部の前記基底部を前記ガラスランの長手方向において部分的に支持して、前記上辺部の上方への変位を規制する支持手段が設けられ、
前記上辺部の前記基底部は、窓部外周側に突出して先端部が前記連結部及び前記側壁部よりも窓部外周側に位置するとともに、前記支持手段と当接可能な突部を備え、
前記突部が前記支持手段に圧接した場合にあっては、
前記基底部のうち前記圧接した部位に対応する部分が、前記両側壁部に対し相対変位することで、
前記ガラスラン上辺部のうち、前記支持手段にて支持されている部分と、前記支持手段にて支持されていない部分とで、前記車外側側壁部と前記車外側意匠リップとの境界部に対する前記基底部の相対位置関係を異ならせ、
前記ガラスラン上辺部における前記車外側側壁部と前記車外側意匠リップとの境界部と、前記車外側フランジ部との略当接状態を維持可能としたことを特徴とするガラスランの取付構造。
手段1によれば、支持手段により、ガラスラン上辺部の上方への変位を規制することができる。このため、窓部の閉鎖時に当該上辺部(基底部)がドアガラスで押上げられることに起因して、一対の意匠リップが本体部の外側に向けて広がるように変形(口開き)してしまうといった事態を防止することができる。
また、ガラスラン上辺部の基底部には、窓部外周側(上方)に突出する突部が設けられている。このため、突部が支持手段と圧接した場合には、本体部のその他の部位よりも薄肉に構成された連結部が積極的に変形するとともに、側壁部に対し基底部が相対的に窓部内周側に変位することとなる。
このため、ガラスランを取付部に取付ける際に、車外側フランジ部が車外側側壁部と車外側意匠リップとの境界部に当接する前の段階で、突部が支持手段に当接した場合であっても、連結部を変形させることで、側壁部をさらに取付部の奥側へと押込み、車外側側壁部と車外側意匠リップとの境界部と、車外側フランジ部とを略当接させることができる。従って、ガラスラン上辺部の下縁部において、支持手段に支持される被支持部位とその他の一般部位との境界部に段差が形成されてしまう(ガラスランが長手方向に沿って波打つようにして変形してしまう)といった事態を抑止することができ、これに起因する外観品質の低下を防止することができる。さらに、取付部に対する側壁部、シールリップ、及び意匠リップの相対位置をほぼ均一にすることができるため、シール性の向上及び取付状態の安定化等を図ることができる。
また、突部は基底部に設けられていることから、基底部両側に位置する連結部は突部の存在によって阻害されることなくスムースに変形することができる。従って、突部と支持手段との圧接に起因する応力が側壁部に作用し、側壁部が変形してしまうといった事態をより確実に抑制することができる。加えて、突部が設けられることにより、突部が設けられていない場合に比べ、ドアガラスが基底部を介して支持手段と衝突した際の衝撃を緩和することができる。さらに、突部の存在により、基底部と支持手段とが面で圧接してしまうといった事態を抑制することができる。従って、基底部と支持手段とが密着した状態から離間する際に発生するおそれのある異音(剥離音)を抑制することができる。
また、例えば、基底部の車幅方向中央部が窓部内周側に凸となるようにして湾曲変形した場合、ドアの窓部を閉め切る際に、ドアガラスの上縁部が変形した基底部によって案内され、ドアガラスが車幅方向に位置ずれしてしまうおそれがある。これに対し、本手段によれば、突部と支持手段とが圧接した場合、連結部が変形し、基底部は断面形状をそれほど変化させることなく窓部内周側に変位することとなる。このため、ドアガラスの上縁部が基底部に圧接した際に、ドアガラスが車幅方向に位置ずれしてしまうといった事態を防止することができる。
手段2.前記突部の先端部は、前記車外側連結部よりも車内側、かつ、前記車内側連結部よりも車外側に位置していることを特徴とする手段1に記載のガラスランの取付構造。
手段2によれば、突部と支持手段とが圧接した際に、突部が連結部の上方に覆い被さるようにして傾倒変形して連結部の変形を阻害したり、突部が側壁部の上方に覆い被さるようにして傾倒変形して基底部に対する側壁部の上方への相対変位を阻害してしまったりするといった事態を回避することができる。尚、突部は昇降するドアガラスの移動方向に沿って突出していることが望ましい。この場合、突部と支持手段とが圧接した際に突部自身が変形してしまうといった事態を抑制することができ、突部の変形に起因して、ガラスランが所期の変形動作とは異なった変形動作をしてしまうといった事態をより確実に防止することができる。
手段3.前記各連結部は、前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の付根部から窓部外周側に延出する第1辺部と、前記第1辺部の窓部外周側の端縁と前記基底部の車幅方向側縁部とを連結し、車幅方向に所定長さの幅を有する第2辺部とを備えて断面略L字状をなしていることを特徴とする手段1又は2に記載のガラスランの取付構造。
手段3によれば、連結部が変形し易く、突部と支持手段との圧接に起因する応力が側壁部に作用しにくくなることから、連結部の変形(基底部の変位)に伴って側壁部が変形してしまう(側壁部、シールリップ、及び意匠リップの断面形状がいびつに変形してしまう)といった事態をより確実に防止することができる。また、変形させられた連結部の弾性力(復元力)によりガラスランの取付状態の悪化を招いてしまうといった事態を抑止することができる。結果として、ガラスランの安定した装着及び安定したシール性の確保が可能となり、ガラスランの機能を十分に発揮させることができる。
手段4.前記上辺部の前記本体部には、前記基底部の内側面のうち前記ドアガラスと当接する部位を覆うようにして延び、前記車内側シールリップと前記車外側シールリップとの間に挿通された前記ドアガラスの上縁部と圧接する内リップが設けられていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のガラスランの取付構造。
例えば、上辺部のうち支持手段に対応する被支持部位の基底部が下方へと変位した場合には、被支持部位とその他の一般部位とで基底部の高さ位置が異なり、被支持部位の基底部にはドアガラスの上縁部が当接するが、一般部位の基底部にはドアガラスの上縁部が当接しないといった事態を招くことが懸念される。この場合、ドアガラスと基底部とが当接していない部位に関しては、シール性の低下を招くことが懸念される。
これに対し、本手段4によれば、内リップが設けられているため、一般部位においても内リップとドアガラスとを圧接させることができ、これにより基底部とドアガラスとの間が確実にシールされる。従って、シール性の低下を防止することができる。また、内リップにより、ドアガラスの突き当たりよる衝撃を吸収することができ、結果として、ドアガラスを閉め切るときの衝突音を抑制したり、支持手段等の損傷を抑制したりすることができる。
手段5.前記基底部の内側面のうち前記ドアガラスと当接しない部位において、当該基底部から前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部に向かって延び、先端が前記車内側側壁部及び車外側側壁部に略当接するガイドリップを設けたことを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のガラスランの取付構造。
手段5によれば、基底部の内側面にガイドリップが設けられている。このため、基底部が窓部内周側に変位する場合に、両ガイドリップが両側壁部にガイドされ、基底部がスムースに変位し得る。結果として、本体部の断面形状がいびつなものとなってしまうといった事態を抑制することができる。加えて、ガイドリップはドアガラスと当接しない位置に設けられていることから、窓部を閉め切る際に、ドアガラスがガイドリップと当接することに起因して、ドアガラスの昇降動作が制約を受けてしまうといった事態を回避することができる。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1はドアの概略構成を示す正面模式図である。図2はガラスラン及びストッパ部材を示す図1のJ−J線断面図である。図3はガラスラン及びリーンフォースを示す図2のK−K線断面図である。図4はガラスラン及びリーンフォースを示す図3のL−L線断面図である。尚、図3では、便宜上、内リップ及びガイドリップの図示を省略している。
図1に示すように、自動車のドア用開口部に開閉可能に設けられるフロントドア(以下、単に「ドア61」と称する)には、昇降可能なドアガラスDGと、当該ドアガラスDGの外周形状に対応して設けられ、ドアガラスDGの昇降を案内するとともに、ドアガラスDGが上昇して窓部Wが閉じられたときに、ドアガラスDGの周縁部とドアフレーム62との間をシールするガラスラン1とが設けられている。
ガラスラン1は、その長手方向にみて上辺部に対応する押出成形部2、前後の縦辺部に対応する押出成形部3、4と、2つの押出成形部2、3及び2、4の端部同士を接続する型成形部5、6(図1で散点模様を付した部分)を備えている。各押出成形部2〜4は、図示しない押出成形機によりほぼ直線状に形成される。型成形部5、6は、2つの押出成形部2、3、及び2、4が所定の角度をなした状態で相互に接続されるように図示しない金型装置にて接続成形される。そして、窓部Wの外周に沿って形成されたサッシュ部DS、及びサッシュ部DSの前後の縦辺部を下方に延長するようにしてドアパネル63内に設けられたチャンネル部DCの内周に当該ガラスラン1が取付けられている。
本実施形態におけるガラスラン1は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)により構成されている。また、ドア61には、ベルトラインに沿ってガラスウエザストリップ(ベルトラインモール9)が設けられている。尚、本実施形態では、サッシュ部DS及びチャンネル部DCが取付部に相当する。
図2に示すように、押出成形部2は、サッシュ部DSに嵌め込まれる本体部11と、車外側シールリップ12及び車内側シールリップ13とを備えている。本体部11は、基底部14と、車外側側壁部15及び車内側側壁部16とを備え、断面略コ字状をなしている。但し、本実施形態の本体部11は、基底部14と両側壁部15、16とが直接連結されている訳ではなく、基底部14と車外側側壁部15との間、並びに、基底部14と車内側側壁部16との間が、それぞれ車外側連結部21及び車内側連結部22によって連結されている。
車外側連結部21及び車内側連結部22は、車外側側壁部15及び車内側側壁部16の付根部から窓部W外周側(上方)に延びる第1辺部21a、22aと、第1辺部21a、22aの窓部W外周側端縁(上縁部)と基底部14の車幅方向両側部とを連結し、車幅方向に所定長さの幅を有する第2辺部21b、22bとを備え、断面略L字状をなしている。また、車外側連結部21及び車内側連結部22(第1辺部21a、22a及び第2辺部21b、22b)は、本体部11のその他の部位よりも薄肉に構成されている。
車外側シールリップ12は、車外側側壁部15の略先端から本体部11の内側(車内側かつ基底部14側)に向けて延び、車内側シールリップ13は、車内側側壁部16の略先端から本体部11の内側(車外側かつ基底部14側)に向けて延びている。ドアガラスDGにより窓部Wが閉じられた状態においては、車外側シールリップ12がドアガラスDGの外側面に対して圧接され、車内側シールリップ13がドアガラスDGの内側面に対して圧接される。これにより、ドアガラスDGの車外側及び車内側がそれぞれシールされるようになっている。尚、車内側シールリップ13は車外側シールリップ12よりも大きく(長く)構成されている。このため、ドアガラスDGが車外側に寄せられ、フラッシュサーフィス化が図られる。
さらに、押出成形部2には、車外側側壁部15の略先端から本体部11の外側(車外側かつ窓部W外周側)に向けて延びる車外側意匠リップ17と、車内側側壁部16の略先端から本体部11の外側(車内側かつ窓部W外周側)に向けて延びる車内側意匠リップ18とが設けられている。
図2に示すように、サッシュ部DSは、ドアフレーム62を構成するドアアウタパネル65及びドアインナパネル66の端部を窓部Wの内周側(図2では下側)に折り曲げることで形成された車外側フランジ部65a及び車内側フランジ部66aを備え、車外側フランジ部65a及び車内側フランジ部66a間に略コ字状のチャンネル部材を介在させない構成(チャンネルレス構造)となっている。そして、本体部11を車外側フランジ部65aと車内側フランジ部66aとの間に嵌め込むことで、車外側フランジ部65aが車外側意匠リップ17と車外側側壁部15とで挟み込まれるとともに、当該車内側フランジ部66aが車内側意匠リップ18と車内側側壁部16とで挟み込まれる。これにより、ガラスラン1がサッシュ部DSに取付けられている。
本実施形態では、ガラスラン1の取付状態において、車外側フランジ部65aが車外側側壁部15と車外側意匠リップ17との境界部に略当接状態とされ、車内側フランジ部66aが車内側側壁部16と車内側意匠リップ18との境界部に略当接状態とされている。
また、サッシュ部DSに取付けられた押出成形部2の基底部14と対向する位置には、ドアインナパネル66が折り曲げられることで形成された取付壁部68が設けられている。取付壁部68は、ガラスラン1以外のドア61を構成する部品(例えば、ドア61の外周に沿って設けられるドアウエザストリップを取付けるための取付部)の位置決めや固定を行うためのものでもある。このため、当該取付壁部68はガラスラン1の基底部14を支持するように構成されてはおらず、当該取付壁部68とサッシュ部DSに取付けられたガラスラン1の基底部14との間には、窓部Wの内外周方向(押出成形部2に関しては上下方向)において隙間が形成されている。
さらに、サッシュ部DSが形成されるドア61の端縁部においては、当該端縁部の強度を高めるべく、ドアアウタパネル65とドアインナパネル66との間にリーンフォース71が設けられている。リーンフォース71は、車内側フランジ部66aの車外側の面と当接するインナフランジ72と、インナフランジ72の窓部W外周側(ドアフレーム62外周側)の端縁から車外側に延出し、取付壁部68と対向して延びる支持板部73と、支持板部73の車外側の端縁から窓部W外周側に延出し、ドアアウタパネル65の車内側の面と当接するアウタフランジ74とを備えている。
また、図3に示すように、支持板部73は、取付壁部68と面で当接する位置決め部75と、取付壁部68から離間する支持部76とを備えている。そして、位置決め部75と取付壁部68とを当接させて位置決めした状態で、インナフランジ72と車内側フランジ部66aとをスポット溶接することで、リーンフォース71がドアインナパネル66に固定されている。尚、位置決め部75と取付壁部68とをスポット溶接することとしてもよい。
さて、本実施形態では、押出成形部2の基底部14は、押出成形部2の長手方向に沿って上方に突出形成された一対の車外側突条部25及び車内側突条部26を備えている。突条部25、26は、押出成形に際して、基底部14と同じ素材により基底部14と一体的に形成される。また、車外側突条部25は車外側連結部21の車内側に隣接して設けられ、車内側突条部26は車内側連結部22の車外側に隣接して設けられている。尚、本実施形態では、突条部25、26が突部に相当する。
さらに、突条部25、26は基底部14の上面から垂直に突出しており(昇降するドアガラスDGの移動方向に沿って突出しており)、その先端部は、車外側連結部21よりも車内側、かつ、車内側連結部22よりも車外側に位置している。また、突条部25、26の先端部は、連結部21、22よりも窓部W外周側に位置している。加えて、車外側突条部25及び車内側突条部26の断面形状は、ほぼ同形状かつほぼ同じ大きさに構成されている。
また、本実施形態では、ガラスラン1(押出成形部2)の取付状態において、リーンフォース71の支持部76と突条部25、26とが当接状態とされている。このため、上昇するドアガラスDGが押出成形部2の基底部14と当接した時点で、ドアガラスDGが基底部14を介して支持部76に支持され、ドアガラスDGのそれ以上の上方への変位が規制されることとなる。すなわち、支持部76は、ドアガラスDGが上昇してドア61の窓部Wが閉鎖された際に、ドアガラスDGの上縁部で押圧される押出成形部2の基底部14を支持して、押出成形部2の上方への変位を規制する機能を有している。従って、本実施形態では、支持部76が支持手段を構成する。また、詳しくは後述するが、本実施形態では、押出成形部2をサッシュ部DSに取付けると、突条部25、26と支持部76とが圧接し、追従的に連結部21、22が変形するとともに、基底部14が下方に変位することとなる。
加えて、基底部14の内側面には、当該基底部14の連結部21、22との境界部付近から各側壁部15、16に向かって延び、先端が各側壁部15、16に略当接する車外側ガイドリップ27、車内側ガイドリップ28が設けられている。ガイドリップ27、28は、基本的には基底部14のうちドアガラスDGと当接しない位置に設けられている。
さらに、基底部14には、車内側ガイドリップ28の近傍から車外側かつ窓部W内周側に向けて傾斜して延びる内リップ29が設けられている。当該内リップ29は、基底部14の内側面のうちドアガラスDGと当接する部位を覆うようにして設けられている。これにより、窓部Wの閉鎖状態において、押出成形部2の車外側シールリップ12と車内側シールリップ13との間に挿通されたドアガラスDGの上縁部が内リップ29と圧接し、基底部14とドアガラスDGとの間がシールされることとなる。
尚、押出成形部3、4、型成形部5、6についても基本的に押出成形部2と同様の断面形状をなし、本体部11及びシールリップ12、13を備えている。但し、ガラスラン1のうち、ベルトラインよりも上方に位置するドアサッシュDSに取付けられる部位(フレーム対応部)に関しては意匠リップ17、18が設けられているが、ベルトラインの下方に延設されているチャンネル部DCに取付けられる部位(パネル対応部)に関しては、意匠リップ17、18が省略されている。具体的に、図示は省略するが、チャンネル部DCは、ドアガラスDGの前後の縦縁部に沿って上下方向に延び、断面略コ字状をなすチャンネル部材と、チャンネル部材の所定部位とドアインナパネル66とを連結する図示しない連結部とを備え、パネル対応部は、チャンネル部材の内側に本体部11が嵌め込まれることでチャンネル部DCに取付けられている。また、押出成形部3、4、型成形部5、6に関しては、突条部25、26及び内リップ29が省略されている。
次に、押出成形部2のうち、リーンフォース71の支持部76に対して基底部14から突出する突条部25、26を圧接させて取付ける部位の変形態様について説明する。図4に示すように、押出成形部2をサッシュ部DSに取付けると、突条部25、26が支持部76に圧接することとなる。上記のように、本実施形態では、突条部25、26が基底部14に設けられている。このため、突条部25、26と支持部76とが当接した状態において、基底部14の上方への変位は規制されるが、連結部21、22を変形させることで、両側壁部15、16の上方への変位は許容される。従って、突条部25、26と支持部76とが当接した後も本体部11をサッシュ部DSに押込むことで、連結部21、22を変形させつつ、側壁部15、16(本体部11)をサッシュ部DSの奥まで(支持部76が設けられていない部位と同程度にまで)挿通させることができる。
また、連結部21、22は第1辺部21a、22aと第2辺部21b、22bとを備えており、突条部25、26が支持部76に押付けられると、第1辺部21a、22a及び第2辺部21b、22bが協働して積極的に変形することとなる。これにより、基底部14がその断面形状を保ちつつ、側壁部15、16に対して窓部Wの内周側(図の下側)にスムースに相対変位することとなる。
以上のように、押出成形部2をサッシュ部DSに取付けることで、押出成形部2のうち支持部76に対応する(支持される)被支持部位にあっては、それ以外の一般部位に比べて、基底部14が下方(窓部Wの内周側)に位置することとなる。但し、図3に示すように、被支持部位においても、側壁部15、16を押込んで、フランジ部65a、66aを側壁部15、16と意匠リップ17、18との境界部に略当接させることができることから、被支持部位と一般部位との境界部において本体部11の下縁部に段差が形成されることはない。また、基底部14の変位に起因して、被支持部位のシールリップ12、13や意匠リップ17、18が変位したり変形したりすることもなく、高さ位置や断面形状は一般部位のシールリップ12、13や意匠リップ17、18と同じである。
尚、本実施形態では、サッシュ部DS、ドアインナパネル66、及びガラスラン1等の製造誤差に起因して、支持部76と基底部14との相対位置が互いに近付くようにして位置ずれして設けられた場合(例えば、支持部76が下方に位置ずれして設けられた場合)を想定した上で、押出成形部2のうち突条部25、26のみを支持部76に当接可能な部位として設定している。すなわち、上記のような製造誤差が生じたとしても、突条部25、26以外の部位は支持部76に当接しないように突条部25、26の突出長が設定されている。従って、製造誤差に起因して支持部76が下方に最も位置ずれして設けられた場合においても、側壁部15、16や連結部21、22が支持部76に当接しない又は当接しにくいようになっている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、リーンフォース71に支持部76が形成されていることにより、ガラスラン1の上辺部に相当する押出成形部2の上方への変位を規制することができる。このため、窓部Wの閉鎖時に当該押出成形部2(基底部14)がドアガラスDGで押上げられることに起因して、一対の意匠リップ17、18が本体部11の外側に向けて広がるように変形(口開き)してしまうといった事態を防止することができる。
また、押出成形部2の基底部14には、窓部W外周側(上方)に突出する突条部25、26が設けられている。従って、突条部25、26が支持部76と圧接した場合には、本体部11のその他の部位よりも薄肉に構成された連結部21、22が積極的に変形するとともに、側壁部15、16に対し基底部14が相対的に窓部W内周側に変位することとなる。
このため、ガラスラン1を取付部に取付ける際に、フランジ部65a、66aが側壁部15、16と意匠リップ17、18との境界部に当接する前の段階で、突条部25、26が支持部76に当接した場合であっても、連結部21、22を変形させることで、側壁部15、16をさらにサッシュ部DSの奥側へと押込み、側壁部15、16と意匠リップ17、18との境界部と、フランジ部65a、66aとを略当接させることができる。従って、押出成形部2の下縁部において、支持部76に支持される被支持部位とその他の一般部位との境界部に段差が形成されてしまう(ガラスラン1が長手方向に沿って波打つようにして変形してしまう)といった事態を抑止することができ、これに起因する外観品質の低下を防止することができる。さらに、サッシュ部DSに対する各側壁部15、16、シールリップ12、13、及び意匠リップ17、18の相対位置をほぼ均一にすることができるため、シール性の向上及び取付状態の安定化等を図ることができる。
また、突条部25、26は基底部14に配置されていることから、基底部14の両側方に位置する連結部21、22は突条部25、26の存在によって阻害されることなくスムースに変形することができる。従って、突条部25、26と支持部76との圧接に起因する応力が側壁部15、16に作用し、側壁部15、16が変形してしまうといった事態をより確実に抑制することができる。特に、突条部25、26は 昇降するドアガラスDGの移動方向に沿って突出し、その先端部は、車外側連結部21よりも車内側、かつ、車内側連結部22よりも車外側に位置しているため、かかる作用効果が一層確実に奏される。
加えて、突条部25、26が設けられることにより、突条部25、26が設けられていない場合に比べ、ドアガラスDGが基底部14を介して支持部76と衝突した際の衝撃を緩和することができる。さらに、突条部25、26の存在により、基底部14と支持部76とが面で圧接してしまうといった事態を抑制することができる。従って、基底部14と支持部76とが密着した状態から離間する際に発生するおそれのある異音(剥離音)を抑制することができる。
また、例えば、基底部14の車幅方向中央部が窓部W内周側に凸となるようにして湾曲変形した場合、窓部Wを閉め切る際に、ドアガラスDGの上縁部が変形した基底部14によって案内され、ドアガラスDGが車幅方向に位置ずれしてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態によれば、突条部25、26と支持部76とが圧接した場合、連結部21、22が積極的に変形し、基底部14は断面形状をそれほど変化させることなく窓部W内周側に変位することとなる。このため、ドアガラスDGの上縁部が基底部14に圧接した際に、ドアガラスDGが車幅方向に位置ずれしてしまうといった事態を防止することができる。
さらに、各連結部21、22は、側壁部15、16の付根部から窓部W外周側に延出する第1辺部21a、22aと、第1辺部21a、22aの窓部W外周側の端縁と基底部14の車幅方向側縁部とを連結し、車幅方向に所定長さの幅を有する第2辺部21b、22bとを備えて断面略L字状をなしている。このため、連結部21、22が変形し易くなり、突条部25、26と支持部76との圧接に起因する応力が側壁部15、16に作用しにくくなる。従って、連結部21、22の変形(基底部14の変位)に伴って側壁部15、16が変形してしまう(側壁部15、16、シールリップ12、13、及び意匠リップ17、18の断面形状がいびつに変形してしまう)といった事態をより確実に防止することができる。また、変形させられた連結部21、22の弾性力(復元力)によりガラスラン1の取付状態の悪化を招いてしまうといった事態を抑止することができる。結果として、ガラスラン1の安定した装着及び安定したシール性の確保が可能となり、ガラスランの機能を十分に発揮させることができる。
また、押出成形部2の基底部14には、基底部14の内側面のうちドアガラスDGと当接する部位を覆うようにして延び、車内側シールリップ13と車外側シールリップ12との間に挿通されたドアガラスDGの上縁部と圧接する内リップ29が設けられている。すなわち、本実施形態のように、押出成形部2のうち支持部76に対応する被支持部位の基底部14が下方へと変位する場合には、被支持部位とその他の一般部位とで基底部14の高さ位置が異なり、被支持部位の基底部14にはドアガラスDGの上縁部が当接するが、一般部位の基底部14にはドアガラスDGの上縁部が当接しないといった事態を招くことが懸念される。この場合、ドアガラスDGと基底部14とが当接していない部位に関しては、シール性の低下を招くおそれがある。
これに対し、上記内リップ29が設けられることで、一般部位においても内リップ29とドアガラスDGとを圧接させることができ、これにより基底部14とドアガラスDGとの間が確実にシールされる。従って、シール性の低下を防止することができる。また、内リップ29により、ドアガラスDGの突き当たりよる衝撃を吸収することができ、結果として、ドアガラスDGを閉め切るときの衝突音を抑制したり、支持部76等の損傷を抑制したりすることができる。
加えて、基底部14の内側面にはガイドリップ27、28が設けられている。このため、基底部14が下方に変位する場合に、両ガイドリップ27、28が両側壁部15、16によってガイドされながら(両側壁部15、16の内側面に摺動しながら)基底部14がスムースに変位し得る。結果として、本体部11の断面形状がいびつなものとなってしまうといった事態を抑制することができる。加えて、ガイドリップ27、28はドアガラスDGと当接しない位置に設けられていることから、窓部Wを閉め切る際に、ドアガラスDGがガイドリップ27、28と当接することに起因して、ドアガラスDGの昇降動作が制約を受けてしまうといった事態を回避することができる。
加えて、突条部25、26が車幅方向に離間して一対で設けられ、車外側突条部25及び車内側突条部26の断面形状がほぼ同形状かつほぼ同じ大きさに構成されている。このため、例えば、突条部が1つだけ設けられる場合や車外側突条部25及び車内側突条部26の大きさが著しく異なる場合に比べ、支持部76と突条部とが圧接した場合に、基底部14が比較的大きく傾いてしまうといった事態を防止することができる。従って、一対の連結部21、22のうちの一方の変形量が他方の変形量に比べて著しく大きくなり、当該一方の連結部21、22が基底部14の変位を吸収しきれずに、対応する側壁部15、16が変位(変形)してしまうといった事態を回避することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、押出成形部2をサッシュ部DSに取付けると、突条部25、26と支持部76とが圧接し、長手方向において部分的に基底部14が窓部W内周側に変位する構成となっているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、押出成形部2が取付けられ、かつ、窓部Wが開放された状態において、連結部21、22を変形させることなく、支持部76と突条部25、26とが略当接するように構成してもよい。少なくとも、支持部76と突条部25、26との相対位置関係をこのように設定しておくことで、支持部76と突条部25、26とが上下に離間するような誤差が生じた場合であっても、当該誤差を、「押出成形部2がドアガラスDGによって押上げられた際に、連結部21、22が追従的に変形する働きによって意匠リップ17、18の口開きが生じない範囲」に極力収めることができる。従って、意匠リップ17、18の口開きを防止することができ、これに起因する外観品質の低下をより確実に回避することができる。
(b)上記実施形態では、リーンフォース71に対して押出成形部2の基底部14の上面を支持(当接)する支持部76を形成することで、押出成形部2(の基底部14)の上方への変位を規制しているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、支持部76又はリーンフォース71を省略するとともに、ドアインナパネル66の取付壁部68又は支持板部73に対し、これらとは別体として構成され、押出成形部2の基底部14の上面と当接するストッパ部材を固定することで、押出成形部2の上方への変位を規制する構成としてもよい。
(c)上記実施形態ではガラスラン1をEPDMにより構成しているが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の別の素材により構成してもよい。また、フロントドアのガラスラン1に関して特に詳しく説明しているが、リアドアのガラスラン等においても同様に構成してもよい。加えて、上記実施形態では、ガラスラン1の上辺部(の大部分)を押出成形体により構成しているが、型成形体により構成してもよい。また、突条部25、26は押出成形部2の長手方向全域に設けられているが、少なくとも支持部76に対応する部位に設けられていればよい。
(d)上記実施形態において、突条部25、26を、車幅方向において、基底部14のうちドアガラスDGの上縁部が当接する部位よりも連結部21、22側に設けることとしてもよい。このように、突条部25、26を基底部14のうちドアガラスDGが当接する部位から外れた位置に設けることで、ドアガラスDGが基底部14と衝突して、突条部25、26が支持部76と圧接した際に、突条部25、26が変形してしまうといった事態を抑制することができる。従って、当該変形に起因して、側壁部15、16を変形させるような応力が発生したり、断面形状が著しくいびつになったり、突条部25、26の付根部が損傷したりしてしまうといった事態を抑制することができる。
また、上記実施形態では、車外側突条部25及び車内側突条部26の断面形状が同形状かつ同じ大きさとなっているが、例えば、車内側突条部26の突出長を車外側突条部25の突出長よりも若干長くすることとしてもよい。この場合、ドアガラスDGが基底部14と衝突した際に、ドアガラスDGの上縁部が傾いた基底部14に案内され、車外側に寄せられる。従って、ドアガラスDGのフラッシュサーフィス化を図ることができる。但し、基底部14を大きく傾かせすぎると一対の連結部21、22のうちの一方の変形量が他方の変形量に比べて著しく大きくなり、当該一方の連結部21、22の変形に伴って対応する側壁部15、16が変形してしまうおそれがあるため、車外側突条部25及び車内側突条部26は、その断面形状がほぼ同形状かつほぼ同じ大きさとなっていることが望ましい。
1…ガラスラン、2〜4…押出成形部、5,6…型成形部、11…本体部、12…車外側シールリップ、13…車内側シールリップ、14…基底部、15…車外側側壁部、16…車内側側壁部、17…車外側意匠リップ、18…車内側意匠リップ、21…車外側連結部、22…車内側連結部、25…車外側突条部、26…車内側突条部、27,28…ガイドリップ、29…内リップ、61…ドア、62…ドアフレーム、65…ドアアウタパネル、65a…車外側フランジ部、66…ドアインナパネル、66a…車内側フランジ部、68…取付壁部、71…リーンフォース、76…支持部、DC…チャンネル部、DS…サッシュ部、DG…ドアガラス、W…窓部。