特許文献1の技術を採用することで、車内側側壁部及び車外側側壁部の先端同士が大きく広がるような展開形状に成形しなくても、両シールリップを十分に離間させることができる。従って、取付部への取付けに際し、側壁部を傾動させるようにしてガラスランを窄める必要がなくなるため、コーナー部位の角度等が取付けの前後で変化してしまうといった事態を抑制することができる。
しかしながら、上辺部に形成される連結部と、縦辺部に形成される連結部とがガラスランの長手方向に沿って連続して延在するとともに、ガラスランのコーナー部位の角度が小さい場合には、連結部を収縮させる際に、上辺部に形成される連結部と縦辺部に形成される連結部とが干渉し合ってしまい、連結部を収縮させ難くなるおそれがある。これに起因して、取付け不良の発生が懸念される上、無理に収縮させた場合に、そのときの応力に基づいてコーナー部位の屈曲角度等が変化してしまうことも懸念される。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、取付部への取付状態の安定化等を図ることのできるガラスランを提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.基底部と、該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部とを具備して断面略コ字状をなし、車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着される本体部と、
前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備え、
昇降するドアガラスの上縁部に対応して設けられる上辺部と、ドアガラスの縦縁部に対応して設けられる縦辺部とが交わるコーナー部位が型成形により形成されるとともに、
前記基底部において車内外方向に伸縮可能に構成され、伸長状態において断面略コ字状又は断面略V字状をなす連結部を備えてなるガラスランであって、
前記連結部は、前記上辺部において形成される上側連結部と、前記縦辺部において形成される縦側連結部とを具備して前記本体部の長手方向全域に形成されるとともに、車内外方向における前記連結部の形成位置は、前記本体部の長手方向全域にわたり同じ位置に統一され、
前記上側連結部及び前記縦側連結部のうち一方の連結部は他方の連結部の内側に入り込むまで延び、前記一方の連結部の端縁と前記他方の連結部とが連結されていることを特徴とするガラスラン。
手段1によれば、上側連結部及び縦側連結部のうち一方の連結部は他方の連結部の内側に入り込むまで延びている。このため、コーナー部位(の屈曲部)において上側連結部と縦側連結部とが車内外方向に重なり合うこととなり、連結部を収縮させる際には上側連結部と縦側連結部とが折り畳まれるようにして追従的に変形する。これにより、取付部への取付けに際して連結部を収縮させた場合に、コーナー部位の連結部の各部位に働く変形応力を吸収することができる。従って、連結部を比較的スムースに収縮させることができる上、コーナー部位の角度(曲率半径)や周長が変化してしまうといった事態を抑止することができる。結果として、取付不良をなくして、取付部に対するガラスランの取付状態の安定化等を図ることができる。
尚、「型成形に際し、前記連結部が伸長された形状で、前記基底部及び前記連結部が一体的に形成されるとともに、前記連結部が収縮された状態で前記取付部に取付けられること」としてもよい。また、断面略V字状及び断面略コ字状とあるのは、角部を丸くした形状(例えば、断面略U字状)についても含む趣旨である。
手段2.前記上側連結部及び前記縦側連結部のうち車内外方向において互いに重なり合う部位の肉厚は、その他の部位の肉厚よりも薄く形成されていることを特徴とする手段1に記載のガラスラン。
上側連結部と縦側連結部とが重なり合う部位において、上側連結部及び縦側連結部のうち一方の連結部が内側に入り込んだ他方の連結部に関しては、連結部のその他の部位と同程度に収縮させることができない。このため、当該部位におけるガラスランの横幅が大きくなり、取付作業性の低下等を招くおそれがある。これに対し、本手段2によれば、連結部のうち互いに重なり合う部位の肉厚を薄くしているため、上側連結部及び縦側連結部が重なり合う部位における前記他方の連結部の外側面間の距離を極力小さくすることができる(上側連結部及び縦側連結部を小さく折り畳むことができる)。従って、上側連結部と縦側連結部とが折り重ねられることに起因して、当該部位のガラスランの横幅が大きくなってしまうといった事態を抑制することができる。
手段3.前記上側連結部及前記縦側連結部のうち、一方の連結部はドアフレーム外周側に向けて凸形状をなし、他方の連結部はドアフレームの内周側に向けて凸形状をなしていることを特徴とする手段1又は2に記載のガラスラン。
本手段3によれば、上側連結部及縦側連結部をそのまま上辺部や縦辺部の端縁にまで延長させるようにして形成するだけで、上側連結部及び縦側連結部のうち一方の連結部を他方の連結部の内側に入り込むまで延在させる形状とすることができる。このため、かかる形状を満足させるべく、上側連結部や縦側連結部の断面形状を一部大幅に変化させるといった必要がなく、構成の複雑化を抑制することができる。結果として、コーナー部位の成形に際しての製造作業性の向上、金型装置の簡素化等を図ることができる。
尚、例えば、両連結部がドアフレーム内周側に凸形状に構成される場合、上側連結部及び縦側連結部のうち一方の連結部を他方の連結部の内側に入り込むまで延在させる形状とするべく、前記他方の連結部の端末部を、ドアフレーム外周側に凸となるように折り返すようにして成形する必要がある。この場合、前記他方の連結部自体が、その端末部において車内外方向に2重に折り重なることとなる。これに対し、本手段3のように、上側連結部及び縦側連結部の一方がドアフレーム外周側に凸形状で、他方がドアフレーム内周側に凸形状である場合には、前記他方の連結部自体が、その端末部において車内外方向に2重に折り重なることがなく、上辺部と縦辺部とのコーナー部において車内外方向に重なり合う連結部の枚数が少なくて済む。このため、上記手段2の作用効果が一層確実に奏される。
また、例えば、車両には、取付部のうちガラスランの縦辺部が取付けられる部位のドアフレーム外周側にスペースのないものも多く、縦辺部の基底部から連結部がドアフレーム外周側に突出したガラスランでは取付不良が発生する等の不具合を招いてしまうことが懸念される。これに対し、「上側連結部はドアフレーム外周側に凸形状をなし、縦側連結部はドアフレーム内周側に凸形状をなしていること」としてもよい。当該構成を採用することで、取付部のうちガラスランの縦辺部が取付けられる部位のドアフレーム外周側にスペースのない車両に対しても好適にガラスランを取付けることができる。
手段4.前記上側連結部及び前記縦側連結部はともにドアフレーム内周側に凸形状となっていることを特徴とする手段1又は2に記載のガラスラン。
手段4によれば、例えば、縦辺部の基底部から連結部がドアフレーム外周側に突出することに起因して、連結部が取付部等に圧接し、連結部の反発力により取付部からガラスランが浮き上がってしまうといった事態を抑止することができる。また、上辺部や縦辺部の一般部位を押出成形で形成する場合において、当該上辺部及び縦辺部の一般部位を同じ断面形状とすることもでき、押出成形部の製造作業性の向上等を図ることができる。
手段5.基底部と、該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部とを具備して断面略コ字状をなし、車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着される本体部と、
前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備え、
昇降するドアガラスの上縁部に対応して設けられる上辺部と、ドアガラスの前縁部に対応して設けられる前縦辺部と、ドアガラスの後縁部に対応して設けられる後縦辺部と、前記上辺部と前記各縦辺部とを所定の角度をなした状態で型接続するコーナー形成部とによって長手方向全域が構成されるとともに、
前記基底部において車内外方向に伸縮可能に構成され、伸長状態において断面略コ字状又は断面略V字状をなす連結部が長手方向全域に形成されたガラスランであって、
前記上辺部及び前記各縦辺部において形成される前記連結部は、前記上辺部及び前記各縦辺部の各長手方向に沿って形成されているとともに、前記上辺部及び前記各縦辺部においてそれぞれ形成された前記連結部の車内外方向における形成位置はいずれも同じ位置に統一され、
前記コーナー形成部において形成される前記連結部は、前記上辺部に形成された前記連結部と連続して延びる上側連結部と、前記縦辺部に形成された前記連結部と連続して延びる縦側連結部とを有し、
前記上側連結部及び前記縦側連結部のうち一方の連結部は他方の連結部の内側に入り込むまで延び、前記一方の連結部の端縁と前記他方の連結部とが連結されていることを特徴とするガラスラン。
(第1実施形態)
以下に、第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、自動車のドア用開口部に開閉可能に設けられるフロントドア(以下、単に「ドア1」と称する)には、昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応して設けられ、ドアガラスGの昇降を案内するとともに、ドアガラスGが上昇して窓部Wが閉じられたときに、ドアガラスGの周縁部とドアフレーム2との間をシールするガラスラン5とが設けられている。
ガラスラン5は、ドアガラスGの上縁部に対応する押出成形部6、ドアガラスGの前後の縦縁部に対応する押出成形部7、8と、押出成形部6−7、6−8の端部同士を接続する型成形部9、10(図1で散点模様を付した部分)とから構成されている。各押出成形部6〜8は、図示しない押出成形機によりほぼ直線状に形成される。型成形部9、10は、2つの押出成形部6−7、6−8が所定の角度をなした状態で相互に接続されるように図示しない金型装置にて接続成形される。すなわち、型成形部9、10は、ガラスラン5のコーナー部位に対応する。そして、窓部Wの外周に沿って形成されるサッシュ部DS、及びサッシュ部DSの前後の縦辺部を下方に延長するようにしてドアパネル3内に設けられたチャンネル部DCの内周に当該ガラスラン5が取付けられている。本実施形態では、ガラスラン5がEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)により構成されている。また、本実施形態では、サッシュ部DS及びチャンネル部DCが取付部に相当する。
図2に示すように、ドアガラスGの上縁部に対応する押出成形部6は、基底部14と、該基底部14から延びる車外側側壁部15及び車内側側壁部16とを具備して断面略コ字状をなし、サッシュ部DSに嵌め込まれる本体部11と、車外側側壁部15の先端部から車内側に向けて延びる車外側シールリップ12と、車内側側壁部16の先端部から車外側に向けて延びる車内側シールリップ13とを備えている。ドアガラスGにより窓部Wが閉じられた状態においては、車外側シールリップ12がドアガラスGの外側面に対して圧接され、車内側シールリップ13がドアガラスGの内側面に対して圧接される。これにより、ドアガラスGの車外側及び車内側がそれぞれシールされるようになっている。また、車外側側壁部15から車外側に向って延びる車外側意匠リップ17、及び車内側側壁部16から車内側に向かって延びる車内側意匠リップ18が設けられている。尚、車外側シールリップ12は車内側シールリップ13よりも小さく(短く)構成されている。これにより、ドアガラスGが車外側に寄せられ、フラッシュサーフィス化が図られる。
さらに、図3に示すように、本実施形態では、基底部14において車内外方向(ドア1の厚み方向)に伸縮可能な連結部21が設けられている。本実施形態では、基底部14は、連結部21を挟んで車外側の部位(車外側基底部14a)と、車内側の部位(車内側基底部14b)とに分けられており、連結部21は、押出成形部6の長手方向全域において車外側基底部14aと車内側基底部14bとを連結している。具体的に、連結部21は、伸長状態において車外側基底部14aの端縁から車内側かつ本体部11外周側に延びる第1可変部21aと、車内側基底部14bの端縁から第1可変部21aの先端縁にかけて、車外側かつ本体部11外周側に向けて延びる第2可変部21bとを備え、全体としてドアフレーム2外周側(本体部11外周側)に凸となる断面略V字状に構成されている。本実施形態では、押出成形部6は、連結部21が車内外方向に伸長し、車外側基底部14aと車内側基底部14bとが離間した形状で、本体部11、シールリップ12、13、及び連結部21が一体的に押出形成される。
また、図4に示すように、ドアガラスGの後縁部に対応する押出成形部8についても押出成形部6と同様に、本体部11及び一対のシールリップ12、13等を備えている。また、図5に示すように、押出成形部8の基底部14においても、車内外方向に伸縮可能な連結部22が設けられている。但し、押出成形部8の連結部22は、伸長状態において車外側基底部14aの端縁から車内側かつ本体部11内周側に延びる第1可変部22aと、車内側基底部14bの端縁から第1可変部22aの先端縁にかけて、車外側かつ本体部11内周側に向けて延びる第2可変部22bとを備え、ドアフレーム2内周側に凸となる断面略V字状に構成されている。尚、図示は省略するが、ドアガラスGの前縁部に対応する押出成形部7は、押出成形部8と同様の断面形状をなしている。また、押出成形部7、8のうち、ベルトラインよりも下方のドアパネル3内に配設され、外観に現れない部位については、車外側意匠リップ17及び車内側意匠リップ18が省略されており、かかる部位が取着されるチャンネル部DCとともに小型化が図られている。
さらに、本実施形態では、押出成形部6、7、8のいずれにおいても、車内外方向における車外側基底部14a及び車内側基底部14bの横幅は同一となっており、第1可変部21a、22aの付根部、第2可変部21b、22bの付根部、及び第1可変部21a、22aと第2可変部21b、22bとの連接部は、車内外方向においてそれぞれ同じ位置に設けられている。尚、本実施形態の連結部21、22はドアガラスGの昇降の妨げとならないように、ドアガラスGの内側面よりも車内側に形成されている。
さて、図6に示すように、押出成形部6と押出成形部8とを連結する型成形部10は、ドアガラスGの上縁部に対応する上辺対応部31と、ドアガラスGの後縁部に対応する縦辺対応部32とを備えている。
上辺対応部31は、基本的に押出成形部6と同様の断面形状をなしており、上辺対応部31の基底部14においては、押出成形部6の連結部21と連続して延びる上側連結部33が形成されている。以下、上側連結部33を構成する第1可変部33aと第2可変部33bとの連接部のことを上側頂部33cとも称する。
縦辺対応部32は、基本的に押出成形部8と同様の断面形状をなしており、縦辺対応部32の基底部14においては、押出成形部8の連結部22と連続して延びる縦側連結部34が形成されている。以下、縦側連結部34を構成する第1可変部34aと第2可変部34bとの連接部を縦側頂部34cとも称する。
尚、車内外方向において、上側頂部33cと縦側頂部34cとが同じ位置にあり、第1可変部33aと第1可変部34aとが同じ位置にあり、第2可変部33bと第2可変部34bとが同じ位置にある。また、型成形部10は、連結部21、22が伸長した状態で押出成形部6、8の端部を金型装置にセットし、金型装置に未加硫のEPDMを充填・加硫することで、連結部33、34が伸長した状態で成形される。そして、図2、図4に示すように、連結部21、22(33、34)が収縮し、車外側基底部14aと車内側基底部14bとが当接した状態において、ガラスラン5がサッシュ部DS(チャンネル部DC)に取付けられることとなる。
図7に示すように、本実施形態では、ドアフレーム2内周側に凸形状である縦側連結部34の縦側頂部34cが、縦辺対応部32(縦側連結部34)の延在方向に沿って、ドアフレーム2外周側に凸形状である上側連結部33の上側頂部33cにまで延びている。また、上側連結部33の第1可変部33a及び第2可変部33bの付根部(基底部14a、14bとの境界部)が、上辺対応部31(上側連結部33)の延在方向に沿って、縦側連結部34の第1可変部34a及び第2可変部34bの付根部にまで延びている。そして、上側頂部33cと縦側頂部34cとが交わった点と、第1可変部33a、34a同士が交わる点、及び、第2可変部33b、34b同士が交わる点とをそれぞれ結ぶラインに沿って、上側連結部33の端縁と縦側連結部34の端縁とが連結されている。結果的に、縦側連結部34は上側連結部33の内側に入り込むまで延び、車内外方向において上側連結部33と縦側連結部34とが重なり合っている。尚、上辺対応部31及び縦辺対応部32の基底部14(車外側基底部14a、車内側基底部14b)、側壁部15、16、シールリップ12、13、意匠リップ17、18に関しては、上辺対応部31及び縦辺対応部32をそれぞれ延長させた場合に突き当たるところで連結されている。
また、上側連結部33及び縦側連結部34のうち互いに重なり合っている部分の肉厚は、重なり合っていない部分の肉厚よりも薄くなっている。本実施形態では、上側連結部33及び縦側連結部34のうち互いに重なり合っている部分の第1可動部33a、34a、第2可動部33b、34bの肉厚はそれぞれ0.5mmであり、上側連結部33及び縦側連結部34のうち互いに重なり合っていない部位、及び押出成形部6、7、8における第1可動部33a、34a、21a、22a、第2可動部33b、34b、21b、21bの肉厚はそれぞれ1.0mmとなっている。尚、押出成形部6、7を連結する型成形部9についても、型成形部10と同様の構成を備えている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、基底部14において車内外方向(車幅方向)に伸縮可能な連結部21、22,33、34を備えており、連結部21、22、33、34が車内外方向に伸長した形状で型成形される。従って、両シールリップ12,13を十分に離間させることができるため、車外側側壁部15及び車内側側壁部16の先端同士が大きく広がるような展開形状とする必要がなくなる。従って、サッシュ部DS(チャンネル部DC)への取付けに際し、断面形状を大きく変形させる必要がなくなるため、サッシュ部DS(チャンネル部DC)に対するガラスラン5の取付状態の安定化、シール性の向上等を図ることができる。
また、本実施形態では、型成形部10(型成形部9)において、縦側連結部34は上側連結部33の内側に入り込むまで延びている。このため、型成形部10のコーナー部において上側連結部33と縦側連結部34とが車内外方向に重なり合うこととなり、連結部21、22、33、34を収縮させる際には上側連結部33と縦側連結部34とが折り畳まれるようにして追従的に変形する。これにより、サッシュ部DSへの取付けに際して連結部21、22、33、34を収縮させた場合に、型成形部10の連結部33、34の各部位に働く変形応力を吸収することができる。従って、連結部33、34を比較的スムースに収縮させることができる上、ガラスラン5のコーナー部位の角度(曲率半径)や周長が変化してしまうといった事態を抑止することができる。結果として、取付不良をなくして、ガラスラン5の取付状態の安定化等を図ることができる。
尚、例えば、上側連結部33の位置と縦側連結部34の位置とが車内外方向にずれている場合であって、コーナー部位の屈曲角度が小さい場合、コーナー部位において両連結部33、34を斜めに繋げようとすると、コーナー部位の本体部11の断面を急激に変化させる必要が生じ、これに起因して各種不具合(例えば連結部33、34が収縮し難くなる等)を招くおそれがある。これに対し、車内外方向における連結部33、34の形成位置が、本体部11の長手方向におけるいずれの部位でも同じ位置に統一されることで、上記事態を回避することができる。
また、本実施形態では、上側連結部33と縦側連結部34とが重なり合う部位において、縦側連結部34が内側に入り込んだ上側連結部33に関しては、連結部33、34のその他の部位と同程度に収縮させることができない。このため、当該部位におけるガラスラン5の横幅が大きくなり、取付作業性の低下等を招くおそれがある。これに対し、本実施形態によれば、連結部33、34のうち互いに重なり合う部位の肉厚を薄くしているため、連結部33、34が重なり合う部位における上側連結部33の外側面間の距離を極力小さくすることができる。従って、上側連結部33と縦側連結部34とが折り重ねられることに起因して、当該部位のガラスラン5の横幅が大きくなってしまうといった事態を抑制することができる。
さらに、本実施形態によれば、上側連結部33がドアフレーム2外周側に凸形状とされ、縦側連結部34がドアフレーム2内周側に凸形状とされている。このため、上側連結部33及縦側連結部34をそのまま上辺対応部31や縦辺対応部32の端縁にまで延長させるようにして形成するだけで、縦側連結部34を上側連結部33の内側に入り込むまで延在させる形状とすることができる。このため、かかる形状を満足させるべく、上側連結部33や縦側連結部34の断面形状を一部大幅に変化させるといった必要がなく、構成の複雑化を抑制することができる。結果として、型成形部10(型成形部9)の成形に際しての製造作業性の向上、金型装置の簡素化等を図ることができる。
尚、例えば、上側連結部33及び縦側連結部34がドアフレーム2内周側に凸形状に構成される場合、上側連結部33及び縦側連結部34のうち一方の連結部を他方の連結部の内側に入り込むまで延在させる形状とするべく、前記他方の連結部の端末部を、前記一方の連結部の延在方向に沿って延びるようにして折り返した形状となるように成形する必要がある。この場合、前記他方の連結部自体が、その端末部において車内外方向に2重に折り重なることとなる。これに対し、本実施形態のように、上側連結部33及び縦側連結部34の一方がドアフレーム2外周側に凸形状で、他方がドアフレーム2内周側に凸形状である場合には、前記他方の連結部自体が、その端末部において車内外方向に2重に折り重なることがなく、上辺対応部31と縦辺対応部32とのコーナー部(型成形部10の屈曲部)において車内外方向に重なり合う連結部の枚数が少なくて済む。このため、上側連結部33と縦側連結部34とが折り重ねられることに起因して、当該部位のガラスラン5の横幅が大きくなってしまうといった事態を抑制するといった作用効果が一層確実に奏される。
加えて、押出成形部7、8、及び型成形部9、10の縦辺対応部32において形成される連結部22及び縦側連結部34は、ドアフレーム2内周側に凸形状となっている、このため、例えば、縦辺対応部32の基底部14から縦側連結部34がドアフレーム2外周側に突出することに起因して、縦側連結部34がサッシュ部DS等に圧接し、連結部縦側連結部34の反発力によりサッシュ部DSからガラスラン5が浮き上がってしまうといった事態を抑止することができる。従って、当該構成を採用することで、サッシュ部DSのうちガラスラン5の縦辺部(押出成形部7、8、縦辺対応部32)が取付けられる部位のドアフレーム2外周側にスペースのない自動車に対しても好適にガラスラン5を取付けることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図面を参照して説明する。但し、第1実施形態と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。尚、図8〜図9では、押出成形部6、7の端部同士を連結する型成形部9を図示する。また、説明の便宜上、第1実施形態と同様の部材名称及び部材番号を使用して説明する。
本実施形態では、ドアガラスGの上縁部に対応する押出成形部6において形成される連結部21は、ドアフレーム2内周側に凸形状となっている。また、ドアガラスGの前縁部及び後縁部に対応する押出成形部7、8において形成される連結部22は、第1実施形態と同様に、ドアフレーム2内周側に凸形状となっている。すなわち、押出成形部6、7、8はいずれも図4、図5に示すような断面形状をなしている。
さて、上記のように、本実施形態では、押出成形部6に形成される連結部21の突出方向が、第1実施形態の連結部21の突出方向と逆向きである。このため、図8〜図10に示すように、型成形部10の上辺対応部31において形成され、押出成形部6の連結部21と連続して延びる上側連結部33の突出向きに関しても、第1実施形態の上側連結部33と逆向きである。
尚、本実施形態においても第1実施形態と同様に、上側連結部33及び縦側連結部34は、基本的に同じ断面形状をなすとともに、車内外方向において同じ位置に形成されている。また、上辺対応部31及び縦辺対応部32の基底部14(車外側基底部14a、車内側基底部14b)、側壁部15、16、シールリップ12、13、意匠リップ17、18に関しては、上辺対応部31及び縦辺対応部32をそれぞれ延長させた場合に突き当たるところで連結されている。
さて、図9、図10に示すように、本実施形態では、上側連結部33が縦側連結部34の内側にまで延びている。これにより、車内外方向において上側連結部33と縦側連結部34とが重なり合っている。
これに対し、縦側連結部34は、図10に示すように、押出成形部8との連接部から上側連結部33の上側頂部33cの近傍までドアフレーム2内周側に凸形状となっているが、それから先は、ドアフレーム2外周側に凸となるように(ドアフレーム2内周側に凹となるように)折り返されるようにして、上側連結部33の端縁まで延びている。これにより、縦側連結部34と上側連結部33との干渉が回避され、上側連結部33の縦側連結部34内側への延長(進入)が許容される。
尚、本実施形態では、縦側連結部34の端末部において第1可変部34a及び第2可変部34bをドアフレーム2外周側に折り返すように成形することで、縦側連結部34の内側への上側連結部33の進入を許容しているため、上側連結部33と縦側連結部34とが重なり合っている部位において、縦側連結部34自体(第1可変部34a及び第2可変部34b)が2重になっている。
また、上記第1実施形態と同様に、上側連結部33及び縦側連結部34のうち互いに重なり合っている部分の肉厚は、重なり合っていない部分の肉厚よりも薄くなっている。尚、押出成形部6、8を連結する型成形部10についても、型成形部9と同様の構成を備えている。
以上詳述したように、本実施形態では、型成形部9(型成形部10)において、上側連結部33は縦側連結部34の内側に入り込むまで延び、型成形部9のコーナー部において上側連結部33と縦側連結部34とが車内外方向に重なり合っている。このため、連結部21、22、33、34を収縮させる際には上側連結部33と縦側連結部34とが折り畳まれるようにして追従的に変形し、型成形部9(10)の連結部33、34の各部位に働く変形応力を吸収することができる。結果として、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
また、押出成形部6、7、8に形成される連結部21、22、上側連結部33、及び縦側連結部34はいずれもドアフレーム2内周側に凸形状となっている。このため、例えば、押出成形部7の基底部14から縦側連結部34がドアフレーム2外周側に突出することに起因して、縦側連結部34がサッシュ部DSに圧接し、縦側連結部34の反発力によりサッシュ部DSからガラスラン5が浮き上がってしまうといった事態を抑止することができる。また、本実施形態の押出成形部6、7、8は同じ断面形状であるため、押出成形部6、7、8の製造作業性の向上等を図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、連結部21、22、33、34は断面略V字状に構成されているが、断面略コ字状に構成してもよい。尚、断面略V字状及び断面略コ字状には、角部を丸くした形状(例えば、断面略U字状)についても含む趣旨である。また、第1可変部21a、22a、33a、34aの外側面と第2可変部21b、22b、33b、34bの外側面との間の距離は、第1可変部21a、22a、33a、34aの付根部と第2可変部21b、22b、33b、34bの付根部との間において最も大きくなっていることが望ましい。この場合、上側連結部33と縦側連結部34とが重なり合う部位において、上辺対応部31の基底部14と縦側連結部34とが干渉してしまう(縦辺対応部31の基底部14と上側連結部33とが干渉してしまう)といった事態を回避することができる。また、押出成形部7、8、縦辺対応部32においてドアガラスGの昇降の妨げとならないように、連結部22、34はドアガラスGの内側面よりも車内側に形成されることが望ましい。
尚、上記実施形態では、基底部14が車外側基底部14aと車内側基底部14bとに分けられ、車外側基底部14aと車内側基底部14bとを連結する連結部21、22、33、34が設けられているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば、基底部14の端縁と車内側側壁部16とを連結するようにして連結部21、22、33、34を設けることとしてもよい。
また、上記実施形態では、押出成形部6,7を接続する型成形部9、及び押出成形部6,8を接続する型成形部10において、上側連結部33及び縦側連結部34が車内外方向に重なり合う構成となっているが、型成形部9、10のうち少なくとも一方に当該構成が適用されていればよい。特に、本実施形態では、型成形部10の屈曲角度の方が小さくなっているため、少なくとも型成形部10においてかかる構成が適用されることが望ましい。ちなみに、型成形部9は図1に示すように屈曲角度が比較的大きいため、かかる構成を採用しなくても、比較的スムースに型成形部9においてガラスラン5を窄めることができる。
(b)図2等に示すように、上記実施形態では、ガラスラン5が取付けられる取付部としてのサッシュ部DS(チャンネル部DC)は、ドアフレーム2を構成するアウタパネル及びインナパネルの端部を窓部Wの内周側(図2では下側)に折り曲げることで形成された車外側フランジ部及び車内側フランジ部に対し、断面略コ字状のチャンネル部材が取付けられることで構成されているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、サッシュ部DSは、ドアフレーム2を構成するアウタパネル及びインナパネルの端部を窓部Wの内周側に折り曲げることで形成された車外側フランジ部及び車内側フランジ部により構成されていることとしてもよい。すなわち、アウタパネル及びインナパネル間にチャンネル部材を介在させない構成(チャンネルレス構造)としてもよい。これにより、コストの削減及び軽量化等が図られる。また、連結部21が基底部14からドアフレーム2外周側に突出したとしても、連結部21とサッシュ部DSとが接触しないことから、連結部21がサッシュ部DSに圧接し、連結部21の反発力によりサッシュ部DSからガラスラン5が浮き上がってしまうといった事態を回避することができる。尚、当該構成を採用する場合、車外側側壁部15と車外側意匠リップ17との間に車外側フランジを差込み、車内側側壁部16と車内側意匠リップ18との間に車内側フランジを差込むようにして、サッシュ部DSの内側に本体部11を嵌め込むことで、ガラスラン5がサッシュ部DSに取付けられる。
(c)上記実施形態では、特に言及していないが、連結部21、22、33、34を収縮させた状態を維持するべく、例えば、車外側基底部14aと車内側基底部14bとにかけてテープ材を貼着することとしてもよい。また、例えば、型成形部9、10において、車外側基底部14a及び車内側基底部14bの一方に対して係合部を設け、他方に対して、連結部21、22、33、34を収縮させた際に前記係合部に係合する被係合部を設けることとしてもよい。さらに、接着剤を塗布したり、熱溶着したりすることとしてもよい。これらの構成を採用する場合、車外側基底部14aと車内側基底部14bとが離間してしまうといった事態を防止することができる。
(d)上記実施形態では、ガラスラン5をEPDMにより構成しているが、動的架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)や、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の別の素材により構成してもよい。また、上記実施形態では、フロントドアのガラスラン5に関して特に詳しく説明しているが、リアドア等のガラスランに適用してもよい。加えて、上記実施形態では、ガラスラン5が押出成形部6、7、8、及び型成形部9、10により構成されているが、長手方向全域を型成形により構成してもよい。