JP2011178190A - ガラスラン - Google Patents

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Yusuke Watarai
祐介 渡會
Hiroaki Nishikawa
洋明 西川
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Abstract

【課題】外観品質の向上や取付部からの脱落防止等を図りつつ、取付部への取付作業性の向上を図ることのできるガラスランを提供する。
【解決手段】ガラスラン5は、基底部14と、基底部14から延びる側壁部15、16とを具備して断面略コ字状をなし、互いに対向するフランジ部55、56を具備するサッシュ部DSに取着される本体部11と、側壁部15、16の各先端から本体部11の内側に延びるシールリップ12、13と、基底部14において伸縮可能に形成される連結部21とを備え、長手方向全域が型成形によって一体的に形成されている。側壁部15、16には、本体部11の外側に突出し、フランジ部55、56に形成された段差部57、58と窓部Wの外周方向において対向して近接するように形成された保持リブ27、28が設けられている。また、ガラスラン5の長手方向において車外側保持リブ27と車内側保持リブ28とが交互に設けられている。
【選択図】 図5

Description

本発明は、ガラスランに関するものである。
一般に、自動車のドアフレームの内周に沿ってガラスランが設けられている。ガラスランは、その断面方向から見ると、基底部と、該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部とを具備する断面略コ字形の本体部を備えるとともに、両側壁部の先端からそれぞれ本体部の内側に向けて延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップを備えている。上記ガラスランは、本体部がドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、両シールリップによって、昇降するドアガラスの内外面の周縁部が挟まれるようにしてシールされる。また、ガラスランは、両側壁部の先端からそれぞれ本体部の外側に向けて延びる車内側意匠リップ及び車外側意匠リップを備えている。
また、ガラスランは、ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前後の縦縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とを備え、これらがほぼ直線状に成形される押出成形部と、押出成形部の端部同士を所定の角度をなした状態で接続する型成形部とにより構成されている。
ところで、ガラスランを押出成形部と型成形部とから構成する場合には、押出成形部と型成形部との接続線が外観に表れてしまい、これに起因して外観品質の低下を招くおそれがある。また、押出成形部と型成形部とでは構成材料が異なることもあって、その表面の色・艶が大きく相違してしまうおそれがあり、当該色・艶の相違によっても、外観品質の低下を招いてしまうおそれがある。
また、ガラスランのコーナー部位に対応する型成形部は、型成形に際し、本体部、車内側シールリップ、及び車外側シールリップの各内側面を成形するための金型(中子)を配置する必要があり、その中子の保持強度を保つべく、車内側側壁部と車外側側壁部とを若干開いた展開形状で成形されるのが一般的である。ところが、ドアフレームの取付部への取付けに際して、大きく開いた展開形状で形成されている押出成形部の車内側側壁部と車外側側壁部とを同様に両側壁部がほぼ平行になるように窄めるように変形させると、そのときの応力に基づいてコーナー部位の屈曲角度(曲率半径)や周長等が変化してしまうおそれがある。この場合、ガラスランが取付部形状に追従しなくなってしまい、取付状態の悪化等を招いてしまうおそれがある。また、車内側・車外側シールリップの表面にシワが発生し、シール性の低下を招くおそれがある。
これに対し、基底部において車内外方向に伸縮可能な連結部が設けられ、連結部が伸びた状態で長手方向全域が型成形によって一体的に形成されるとともに、取付部への取付けに際して連結部が収縮された状態とされているといったガラスランも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−149739号公報
特許文献1の技術を採用することで、ガラスランの長手方向において部分的に色・艶の相違が生じたり、ガラスランを展開形状で形成する必要が生じたりするといった事態を回避することができる。
ところで、ガラスランには、図7に示すように、取付部81からの抜け(脱落)を抑制するべく、車外側側壁部73の車外側の面及び車内側側壁部74の車内側の面から本体部72の外側に突出し、取付部81の内周側に形成された段差部83、84に引っ掛かる車外側保持突起75及び車内側保持突起76を備えたものがある。
当該ガラスラン71を押出成形で形成する場合、図7のように、車外側保持突起75及び車内側保持突起76をリップ状に形成しつつ、段差部83、84に引っ掛かり易いように、本体部72の外方かつ側壁部73、74の先端側(ガラスラン71の取付部81からの抜け方向側である窓部の内周側)に延出させることができる。
しかしながら、上記特許文献1のようにガラスラン71の長手方向全域を型成形により構成する場合、保持突起75、76をリップ状に形成しようとすると、側壁部73、74の外側面、意匠リップ77、78の内側面、及び保持突起75、76を成形するための金型部材のスライド方向に対して、保持突起75、76がアンダーカット形状になるため、金型部材を型抜きし難くなる。さらに、場合によっては、型抜きに際して保持突起75、76を含むガラスラン71や金型部材が損傷する等の不具合を招くことが懸念される。この場合、ガラスランの生産性の低下や、製造コストの増大等を招くおそれがある。
これに対し、ガラスランの長手方向全域を型成形によって形成する場合には、保持突起を、図7で示したようなリップ状の保持突起75、76と、側壁部73、74との間を埋めたようなリブ状に形成することが考えられる。しかしながら、車外側保持突起及び車内側保持突起をリブ状にすると、ガラスランの取付部への取付けに際し、車外側保持突起及び車内側保持突起と取付部とが干渉し、ガラスランを取付部に嵌め込み難くなってしまうおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外観品質の向上や取付部からの脱落防止等を図りつつ、取付部への取付作業性の向上を図ることのできるガラスランを提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.基底部と、該基底部から延びる車外側側壁部及び車内側側壁部とを具備して断面略コ字状をなす本体部と、
前記車外側側壁部及び前記車内側側壁部の先端から前記本体部の内側に延びる車外側シールリップ及び車内側シールリップと、
前記基底部において形成され、成形時の伸長状態では断面略V字状に形成され、取付時の収縮状態では断面略I字状に形成される伸縮可能な連結部とを備え、
前記本体部は、車両のドアフレームの内周に沿って設けられた互いに対向する一対の車内側フランジ部及び車外側フランジ部を具備する取付部に取付けられ、
昇降するドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とを具備する長手方向全域が型成形によって一体的に形成されるとともに、前記連結部が、前記本体部の長手方向全域にわたり連続して形成されてなるガラスランであって、
前記車外側側壁部の車外側の面から前記本体部の外側に突出する車外側保持リブと、
前記車内側側壁部の車内側の面から前記本体部の外側に突出する車内側保持リブとを備え、
前記取付部への取付状態においては、前記車外側フランジ部において車内側に突出形成された車外側段差部のうちドアフレームの外周側の面と、前記車外側保持リブとが対向して当接又は近接するとともに、
前記車内側フランジ部において車外側に突出形成された車内側段差部のうちドアフレームの外周側の面と、前記車内側保持リブとが対向して当接又は近接し、
前記本体部の長手方向において、前記車外側保持リブ及び前記車内側保持リブのうち、前記車外側保持リブのみが形成された車外側形成部と、前記車内側保持リブのみが形成された車内側形成部とを有していることを特徴とするガラスラン。
手段1によれば、型成形によりガラスランの長手方向全域が一体的に形成されるため、例えば、押出成形体を含む複数の成形体を長手方向に繋ぐことで構成されるようなガラスランとは異なり、隣接する成形体同士を繋いだ接続線が外観に表れてしまうといった事態を回避することができる。また、ガラスランの長手方向において部分的に色・艶の相違が生じてしまうといった事態を回避することができる。結果として、外観品質の向上が図られる。
また、本手段1のガラスランは、その長手方向において、車外側保持リブ及び車内側保持リブのうち、車外側保持リブのみが形成された車外側形成部と、車内側保持リブのみが形成された車内側形成部とを有している。このため、ガラスランを取付部の内側に嵌め込んで取付ける際に、車内側保持リブが形成されていない車外側形成部においては本体部を車内側へ変形させることができ、車外側保持リブが形成されていない車内側形成部においては本体部を車外側へ変形させることができる。このように本体部を変形可能とすることで、ガラスランを取付部へ嵌め込み易くなり、取付作業性の向上を図ることができる。
一方で、車外側保持リブ及び車内側保持リブがそれぞれ設けられることで、ガラスランの取付部からの脱落を抑止することができる。さらに、車外側保持リブ及び車内側保持リブがガラスランの長手方向全域に設けられる場合に比べ、軽量化、省資源化、低コスト化等を図ることができる。また、保持リブに代えてガラスランの脱落防止を目的とするリップ状の保持リップを型成形するような場合に比べ、ガラスランや金型部材の損傷等を招くことなく型抜きを行うことができる。
尚、連結部が伸張した形状でガラスランを型成形することによって、両シールリップを十分に離間させることができる。このため、本体部の内側面等を成形するための金型部材(中子)の保持強度を保つべく、車外側側壁部及び車内側側壁部の先端同士を広げるような展開形状とするといった必要がなくなる。従って、ガラスランの取付部への取付けに際し、両側壁部を平行移動させるように変形させ、展開形状から回動変形させる必要がなくなるため、コーナー部等において余肉や、シールリップの蛇行、シワ寄り等が発生することなく、取付部に対するガラスランの取付状態の安定化、シール性の向上等を図ることができる。
また、ガラスランが一体的に成形される(基底部、車外側側壁部、車内側側壁部、車外側シールリップ、車内側シールリップ等が連結部を介して一繋がりに形成される)ため、押出成形体を含む複数の成形体を長手方向に繋いで構成するガラスランの製造に比べて、製造装置(製造設備)全体の簡素化や製造作業性の向上を図ることができ、結果として、コストの抑制や生産性の向上等を図ることができる。特に、連結部は、ガラスランの長手方向全域に形成されているため、例えば、連結部がガラスランの長手方向において部分的に設けられるような特開2008−149739号公報に記載のガラスランの構成に比べ、金型のキャビティ内に構成材料を充填させる際に、構成材料をキャビティ全体に行き渡らせ易く、また、連結部以外の部分の係合部を係合可能となるように形成する必要がない。このため、製造作業性の向上(製造時間の短縮)、成形不良の抑制、金型装置の簡素化等を図ることができる。
手段2.少なくともドアのベルトラインよりも上方に取付けられる部位においては、前記本体部の長手方向において、前記車外側保持リブが形成された部位には前記車内側保持リブが形成されておらず、前記車内側保持リブが形成された部位には前記車外側保持リブが形成されていないことを特徴とする手段1に記載のガラスラン。
手段2によれば、ガラスランの長手方向において車外側保持リブの形成範囲と車内側保持リブの形成範囲とが重複し、車外側保持リブ及び車内側保持リブの両方が形成されている部位が存在することに起因して、当該部位においてガラスランを取付部に挿入し難くなってしまうといった事態を回避することができる。
手段3.少なくともドアのベルトラインよりも上方に取付けられる部位においては、
前記車外側保持リブの前記車外側側壁部からの突出長が、前記本体部の長手方向における前記車外側保持リブの幅よりも長く、
前記車内側保持リブの前記車内側側壁部からの突出長が、前記本体部の長手方向における前記車内側保持リブの幅よりも長くなっていることを特徴とする手段1又は2に記載のガラスラン。
手段3によれば、ガラスランの取付部への取付けに際し、保持リブを側壁部側に畳むようにして変形させることができる。従って、ガラスランを取付部へ嵌め込み易くなり、取付作業性の向上を図ることができる。結果として、ガラスランの取付部への取付けに際し、本体部の変形効果と保持リブの変形効果とが相俟って、取付作業性の飛躍的な向上を図ることができる。
手段4.少なくともドアのベルトラインよりも上方に取付けられる部位においては、前記本体部の長手方向において、前記車外側保持リブと前記車内側保持リブとが(1つずつ)交互に設けられていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のガラスラン。
手段4によれば、ガラスランの長手方向において、車外側保持リブと車内側保持リブとが交互に設けられることから、ガラスランに設けられる車外側保持リブの数と車内側保持リブの数とに大きな開きが生じ、取付状態が不安定になったり、脱落し易くなったりしてしまうといった事態を防止することができる。また、ガラスランの長手方向において隣り合う車外側保持リブ間の距離、及び車内側保持リブ間の距離が開き過ぎたり詰まり過ぎたりするといった事態を防止することができる。このように、保持リブをバランスよく配置することで、保持リブの総数を比較的少なくしたり、保持リブのガラスランの長手方向における幅を比較的小さくしたりしても、ガラスランの脱落を確実に防止することができる。
また、上記手段3に対応しては、複数の車外側保持リブが互いに近接して設けられたり、複数の車内側保持リブが互いに近接して設けられたりすることで、ガラスランの取付部への取付けに際して保持リブ同士が干渉し合ってしまい、保持リブの変形が阻害されてしまうといった事態を防止することができる。
手段5.少なくともドアのベルトラインよりも上方に取付けられる部位においては、前記本体部の長手方向における前記車外側形成部と前記車内側形成部との間において、前記車外側保持リブ及び前記車内側保持リブの両方とも形成されていない非形成部が設けられていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のガラスラン。
手段5によれば、非形成部において本体部をより変形させ易くすることができるとともに、ガラスランの長手方向において隣り合う車外側保持リブ間の距離、及び車内側保持リブ間の距離を詰まり過ぎないように確保することができる。従って、ガラスランの取付部への取付けに際して本体部をより大きく変形させることができ、本体部を変形させることでガラスランを取付部へ嵌め込み易くするといった作用効果が一層確実に奏される。
ドアの概略構成を示す正面模式図である。 ガラスランの正面図である。 取付後のガラスランを示す図2のJ−J線断面図である。 型成形直後のガラスランを示す図2のJ−J線断面図である。 ガラスランを示す一部断面を含む斜視図である。 ガラスランを窓部の外周側から見た場合の部分側面図であって、(a)はサッシュ部への取付前(或いは取付完了後)の状態を示し、(b)はサッシュ部への取付作業中の状態を示している。 従来のガラスランを説明するための断面図である。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、自動車のドア用開口部に開閉可能に設けられるフロントドア(以下、単に「ドア1」と称する)には、ドア1の窓部Wを開閉する昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応して設けられ、ドアガラスGの昇降を案内するとともに、ドアガラスGの周縁部とドアフレーム2との間をシールするガラスラン5とが設けられている。尚、図1中の「BL」はベルトラインを示している。
図2に示すように、ガラスラン5は、ドアガラスGの上縁部に対応する上辺部6、ドアガラスGの前縁部に対応する前縦辺部7、ドアガラスGの後縁部に対応する後縦辺部8とから構成されている。本実施形態では、ガラスラン5は、上辺部6、前縦辺部7、後縦辺部8を具備する長手方向全域が、図示しない金型装置にて一体的に形成される。そして、窓部Wの外周に沿って形成されるサッシュ部DS、及びサッシュ部DSの前後の縦辺部を下方に延長するようにしてドアパネル3内に設けられたチャンネル部DCの内周に当該ガラスラン5が取付けられている。本実施形態では、ガラスラン5がオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)により構成されており、特にオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては動的架橋タイプ(TPV)が好ましい。また、本実施形態では、サッシュ部DS及びチャンネル部DCが取付部に相当する。
図3に示すように、上辺部6は、基底部14と、該基底部14から延びる車外側側壁部15及び車内側側壁部16とを具備して断面略コ字状をなし、断面略コ字状のサッシュ部DSに嵌め込まれる本体部11と、車外側側壁部15の先端部から車内側かつ基底部14側に向けて延びる車外側シールリップ12と、車内側側壁部16の先端部から車外側かつ基底部14側に向けて延びる車内側シールリップ13とを備えている。ドアガラスGにより窓部Wが閉じられた状態においては、車外側シールリップ12がドアガラスGの外側面(車外側の面)に対して圧接され、車内側シールリップ13がドアガラスGの内側面(車内側の面)に対して圧接される。これにより、ドアガラスGの車外側及び車内側がそれぞれシールされるようになっている。
また、図3に示すように、上辺部6が取付けられるサッシュ部DSは、ドアフレーム2を構成するアウタパネル51の端縁部を、窓部Wの内周側(図3では右下側)に開口する断面略コ字状に折り曲げることで形成され、底壁部54と、底壁部54から窓部Wの内周側に延出する車外側フランジ部55及び車内側フランジ部56とを備えている。また、車外側フランジ部55には、底壁部54から離間した位置において車内側に突出する車外側段差部57が設けられ、車内側フランジ部56には、底壁部54から離間した位置において車外側に突出する車内側段差部58が設けられている。尚、車外側フランジ部55の底壁部54からの延出長は、車内側フランジ部56の底壁部54からの延出長よりも短い。また、車外側段差部57と車内側段差部58とは、窓部Wの外周方向における位置がほぼ同じ位置となるように形成されている。
また、上辺部6は、車外側側壁部15の先端部から車外側かつ車外側側壁部15の付根部側(窓部Wの外周側)に向けて延びる車外側意匠リップ17と、車内側側壁部16の先端部から車内側かつ車内側側壁部16の付根部側(窓部Wの外周側)に向けて延びる車内側意匠リップ18とを備えている。当該意匠リップ17、18により、上辺部6のサッシュ部DSへの取付状態において、車外側フランジ部55及び車内側フランジ部56の先端縁(側壁部15、16との境界部分)が覆われ、これにより、意匠性の向上が図られている。
加えて、基底部14の外側面(本体部11の外周側の面)の車外側の部位には、基底部14から突出する水切りリップ19が設けられている。水切りリップ19は、ガラスラン5の取付状態においてサッシュ部DSの底壁部54に当接し、ガラスラン5とサッシュ部DSとの間を介して雨水等が車内側へ浸入することを防止している。尚、車外側側壁部15の基底部14からの延出長は、車内側側壁部16の基底部14からの延出長よりも短くなっている。また、車外側シールリップ12は車内側シールリップ13よりも小さく(短く、薄く)構成されている。これにより、ドアガラスGが車外側に寄せられ、フラッシュサーフィス化が図られる。
さて、本実施形態では、基底部14において、型成形時と、サッシュ部DSへの取付時とで、基底部14の横幅を変更可能とするために形成された連結部21が設けられている。本実施形態の基底部14は、連結部21を挟んで車外側の部位(車外側基底部14a)と、車内側の部位(車内側基底部14b)とに分けられており、これら車外側基底部14aと車内側基底部14bとが連結部21によって連結されている。連結部21は、車外側基底部14aの車内側の端面から本体部11の内周側に延びる第1可変部21aと、車内側基底部14bの車外側の端面から第1可変部21aの先端縁にかけて延びる第2可変部21bとを備えている。
さらに、連結部21は、型成形時には、図4に示すように、本体部11の内周側に凸となる断面略V字状に形成されるとともに、ガラスラン5のサッシュ部DS(チャンネル部DC)への取付けに際しては、図3に示すように、連結部21が折り畳まれるようにして収縮され(断面略I字状とされ)、その状態で取付けられる。また、連結部21はドアガラスGの昇降の妨げとならないように、ドアガラスGの内側面よりも車内側(基底部14のうちドアガラスGの内側面に沿った延長線と交差する位置よりも車内側)に形成されており、連結部21が本体部11の内側に進入したドアガラスGと接触(干渉)しない構成となっている。
また、第1可変部21a及び第2可変部21bは略直線状に延びており、図3に示すように、連結部21を収縮させた(折り畳んだ)状態では、第1可変部21aと第2可変部21bとが面で当接した状態とされ、連結部21が車内側側壁部16の内側面(車外側の面)に沿って直線状に(基底部14の内側面に対してほぼ垂直に)延びている。さらに、本実施形態では、第1可変部21a及び第2可変部21bは、車外側基底部14a及び車内側基底部14bのうち互いに対向する面の本体部11の外周側の部位から延出しており、連結部21が収縮した状態においては、第1可変部21a及び第2可変部21bの付根部側の部位が車外側基底部14aと車内側基底部14bとの間に挟まれる格好となる。
また、第1可変部21a及び第2可変部21bの肉厚は、その他の部位(車外側基底部14a等)よりも薄肉となっており、本実施形態では、それぞれ1.0mmとなっている。さらに、図4に示すように、連結部21の劣角側には、第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部に沿って溝状部24が形成されており、連結部21の先端部(第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部付近)の肉厚がその他の部位よりも薄肉となっている。このため、図3に示すように、連結部21を収縮させた状態としても、連結部21の先端部(第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部付近)が膨らむことなく、連結部21の車外側の面及び車内側の面が略平坦面となっている。
尚、図示は省略するが、ガラスラン5の前縦辺部7や後縦辺部8についても上辺部6と同様に、本体部11、シールリップ12、13、意匠リップ17、18、連結部21等を備えている。加えて、後縦辺部8のうちサッシュ部DS(ベルトラインBLよりも上方)に取付けられる部位においては、意匠リップ17、18が、上辺部6のものよりも長く形成されるとともに、その延出方向先端側になるにつれ側壁部15、16に近接するように形成されている。
また、上辺部6、前縦辺部7、後縦辺部8に形成される連結部21は、本体部11やシールリップ12、13等と同様に、ガラスラン5の長手方向全域にわたり切れ目なく連続して設けられている。さらに、車内外方向における連結部21の形成位置は、ガラスラン5の長手方向全域にわたり同じ位置(同一平面上)となっている上、基底部14の横幅も同一となっている。加えて、本実施形態では、型成形において、車外側基底部14aと車内側基底部14bとの間の距離がガラスラン5の長手方向のいずれの部位においても一定となるように形成される。尚、上記のように、第1可変部21a及び第2可変部21bは、車外側基底部14a及び車内側基底部14bのうち互いに対向する面から延出しているため、車内外方向における第1可変部21aの付根部(車外側基底部14aとの連接部)の位置及び第2可変部21bの付根部(車内側基底部14bとの連接部)の位置が、ガラスラン5の長手方向のいずれの部位においても同じ位置となる。さらに、車内外方向における第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部の位置が、ガラスラン5の長手方向のいずれの部位においても同じとなるように成形される。尚、第1可変部21aと第2可変部21bとが互いに面で当接した状態で固着(接着)される場合、連結部21の収縮状態が維持されてサッシュ部DS等への取付けが容易になる。
さて、本実施形態では、車外側側壁部15の付根部側(基底部14側)の部位から車外側に突出する車外側保持リブ27と、車内側側壁部16の付根部側(基底部14側)の部位から車内側に突出する車内側保持リブ28とが設けられている。図5等に示すように、本実施形態の保持リブ27、28は、表裏面がガラスラン5の長手方向を向くようにして形成された略板状をなし、ガラスラン5の長手方向において、車外側保持リブ27と車内側保持リブ28とが(1つずつ)交互に等間隔で設けられている。つまり、ガラスラン5の長手方向において、車外側保持リブ27が形成された部位には車内側保持リブ28が形成されておらず、車内側保持リブ28が形成された部位には車外側保持リブ27が形成されていない。
さらに、本実施形態では、図6(a)に示すように、ガラスラン5の長手方向において、車外側保持リブ27が形成された車外側形成部31と、車内側保持リブ28が形成された車内側形成部32との間には、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28の両方とも形成されていない非形成部33が設けられている。
そして、ガラスラン5のサッシュ部DSへの取付状態においては、図3に示すように、車外側保持リブ27が車外側フランジ部55に形成された車外側段差部57の窓部Wの外周側に位置し、車内側保持リブ28が車内側フランジ部56に形成された車内側段差部58の窓部Wの外周側に位置する。より詳しくは、車外側保持リブ27のうち窓部Wの内周側を向く面が車外側段差部57の窓部Wの外周側の面と対向して当接又は近接し、車内側保持リブ28のうち窓部Wの内周側を向く面が車内側段差部58の窓部Wの外周側の面と対向して当接又は近接するように構成されている。このため、ガラスラン5に対してサッシュ部DSから抜ける方向に力が作用した場合には、保持リブ27、28がそれぞれ段差部57、58に引っ掛かることとなり、ガラスラン5の脱落が防止される。
また、車外側保持リブ27の窓部Wの外周方向における幅は、ガラスラン5の長手方向における車外側保持リブ27の幅よりも長く、車内側保持リブ28の窓部Wの外周方向における幅は、ガラスラン5の長手方向における車内側保持リブ28の幅よりも長くなっている。換言すれば、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28は、ガラスラン5の長手方向に対して直交する方向、すなわち、ガラスラン5のサッシュ部DSへの取付方向(抜け方向)に沿って延在している。さらに、保持リブ27、28の外周面(少なくとも窓部Wの内周側を向く面)は、ガラスラン5の長手方向と平行するようにして平坦に形成されている。これらの構成を具備することにより、保持リブ27、28のうち窓部Wの内周側を向く面と段差部57、58とが圧接した際の保持リブ27、28の変形を抑制することができ、ガラスラン5をサッシュ部DSから脱落させようとする力に抗する反力を増大させることができる。
さらに、車外側保持リブ27の車外側側壁部15からの突出長は、ガラスラン5の長手方向における車外側保持リブ27の幅よりも長く、車内側保持リブ28の車内側側壁部16からの突出長は、ガラスラン5の長手方向における車内側保持リブ28の幅よりも長くなっている。従って、保持リブ27、28は、ガラスラン5の長手方向においては比較的変形し易く構成されている(図6(b)参照)。また、車外側保持リブ27の車外側側壁部15からの突出長の2倍の長さは、ガラスラン5の長手方向において隣り合う車外側保持リブ27間の距離、すなわち、ガラスラン5の長手方向における車内側形成部32(車内側保持リブ28)の幅と、非形成部33の幅の2倍の長さとを足した長さよりも小さくなっている。さらに、車内側保持リブ28の車内側側壁部16からの突出長の2倍の長さは、ガラスラン5の長手方向において隣り合う車内側保持リブ28間の距離、すなわち、ガラスラン5の長手方向における車外側形成部31(車外側保持リブ27)の幅と、非形成部33の幅の2倍の長さとを足した長さよりも小さくなっている。従って、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28が側壁部15、16側に畳まれるようにして変形したとしても、ガラスラン5の長手方向において隣り合う車外側保持リブ27同士、或いは車内側保持リブ28同士が干渉し合うことはない。
加えて、保持リブ27、28のうち窓部Wの外周側を向く面は、本体部11の外方に向けて窓部Wの内周側に傾斜している。このため、ガラスラン5のサッシュ部DSへの取付けに際し、保持リブ27、28のうち窓部Wの外周側を向く面と、サッシュ部DSとの干渉を抑制することができる。尚、保持リブ27、28のうち窓部Wの内周側を向く面は、保持リブ27、28の成形性の向上(成形不良の抑制)等を図るといった観点から、側壁部15、16の外側面の垂線方向に対して若干傾斜して形成されているものの、保持リブ27、28のうち窓部Wの外周側を向く面の傾斜よりも緩くなっている。
また、ガラスラン5の製造に際しては、先ず、図示しない金型装置のキャビティ内に可塑化状態にあるTPVが充填され、固化される。そして、固化完了後、型開きされて、図4に示すような連結部21が伸長された形状のガラスラン5が金型から取外される。尚、型開き時には、車外側側壁部15の車外側面、車外側意匠リップ17の車内側面、車外側保持リブ27を成形する金型部材と、車内側側壁部16の車内側面、車内側意匠リップ18の車外側面、車内側保持リブ28を成形する金型部材とは、側壁部15、16に沿って基底部14側にスライド移動して引き抜かれるようになっている。以上のようにして、本体部11、シールリップ12、13、意匠リップ17、18、保持リブ27、28等が一体的に形成されたガラスラン5が得られる。
また、ガラスラン5のサッシュ部DSへの取付けに際しては、図6(b)に示すように、ガラスラン5が窓部Wの外周側に向けてサッシュ部DSへ押込まれるときに、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28が車外側フランジ部55及び車内側フランジ部56に当接して側壁部15、16側に畳まれるようにして変形するとともに、ガラスラン5の長手方向に沿って本体部11がドア2の厚み方向に僅かに蛇行するようにして変形することとなる。そして、外側保持リブ27及び車内側保持リブ28が車外側段差部57及び車内側段差部58よりも窓部Wの外周側に位置するまで、本体部11がサッシュ部DSに押込まれることで、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28が自身の弾性力によって元の形状に復帰するとともに、本体部11が自身の弾性力によって元の形状(伸長状態)に復帰する。これにより、図3に示すように、窓部Wの外周方向において車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28と、車外側段差部57及び車内側段差部58とが対向し、ガラスラン5を窓部Wの内周側に引っ張ると、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28が車外側段差部57及び車内側段差部58に引っ掛かる状態とされる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、型成形によりガラスラン5の長手方向全域が一体的に形成されるため、例えば、押出成形体を含む複数の成形体を長手方向に繋ぐことで構成されるようなガラスランとは異なり、隣接する成形体同士を繋いだ接続線が外観に表れてしまうといった事態を回避することができる。また、ガラスラン5の長手方向において部分的に色・艶の相違が生じてしまうといった事態を回避することができる。結果として、外観品質の向上が図られる。
また、本実施形態のガラスラン5は、その長手方向において、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28のうち、車外側保持リブ27のみが形成された車外側形成部31と、車内側保持リブ28のみが形成された車内側形成部32とを有している。このため、ガラスラン5をサッシュ部DSの内側に嵌め込んで取付ける際に、車内側保持リブ28が形成されていない車外側形成部31においては本体部11を車内側へ変形させることができ、車外側保持リブ27が形成されていない車内側形成部32においては本体部11を車外側へ変形させることができる。このように本体部11を変形可能とすることで、ガラスラン5をサッシュ部DSへ嵌め込み易くなり、取付作業性の向上を図ることができる。
一方で、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28がそれぞれ設けられることで、ガラスラン5のサッシュ部DSからの脱落を抑止することができる。さらに、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28がガラスラン5の長手方向全域に設けられる場合に比べ、軽量化、省資源化、低コスト化等を図ることができる。また、保持リブ27、28に代えてガラスラン5の脱落防止を目的とするリップ状の保持リップを型成形するような場合に比べ、ガラスラン5や金型部材の損傷等を招くことなく型抜きを行うことができる。
また、本実施形態では、ガラスラン5の長手方向において、車外側保持リブ27が形成された部位には車内側保持リブ28が形成されておらず、車内側保持リブ28が形成された部位には車外側保持リブ27が形成されていない構成となっている。このため、例えば、ガラスラン5の長手方向において車外側保持リブ27の形成範囲と車内側保持リブ28の形成範囲とが重複し、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28の両方が形成されている部位が存在することに起因して、当該部位においてガラスラン5を取付部に挿入し難くなってしまうといった事態を回避することができる。
さらに、車外側保持リブ27の車外側側壁部15からの突出長は、ガラスラン5の長手方向における車外側保持リブ27の幅よりも長く、車内側保持リブ28の車内側側壁部16からの突出長は、ガラスラン5の長手方向における車内側保持リブ28の幅よりも長くなっている。このため、ガラスラン5のサッシュ部DSへの取付けに際し、保持リブ27、28を側壁部15、16側に畳むようにして変形させることができる。従って、ガラスラン5をサッシュ部DSへ嵌め込み易くなり、取付作業性の向上を図ることができる。結果として、ガラスラン5のサッシュ部DSへの取付けに際し、本体部11の変形効果と保持リブ27、28の変形効果とが相俟って、取付作業性の飛躍的な向上を図ることができる。
また、本実施形態では、ガラスラン5の長手方向において、車外側保持リブ27と車内側保持リブ28とが交互に設けられている。このため、ガラスラン5に設けられる車外側保持リブ27の数と車内側保持リブ28の数とに大きな開きが生じ、取付状態が不安定になったり、脱落し易くなったりしてしまうといった事態を防止することができる。また、ガラスラン5の長手方向において隣り合う車外側保持リブ27間の距離、及び車内側保持リブ28間の距離が開き過ぎたり詰まり過ぎたりするといった事態を防止することができる。このように、保持リブ27、28をバランスよく配置することで、保持リブ27、28の総数を比較的少なくしたり、保持リブ27、28のガラスラン5の長手方向における幅を比較的小さくしたりしても、ガラスラン5の脱落を確実に防止することができる。
さらに、複数の車外側保持リブ27が互いに近接して設けられたり、複数の車内側保持リブ28が互いに近接して設けられたりすることで、ガラスラン5のサッシュ部DSへの取付けに際して保持リブ27、28同士が干渉し合ってしまい、保持リブ27、28の変形が阻害されてしまうといった事態を防止することができる。
また、ガラスラン5の長手方向における車外側形成部31と車内側形成部32との間において、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28の両方とも形成されていない非形成部33が設けられている。このため、非形成部33において本体部11をより変形させ易くすることができるとともに、ガラスラン5の長手方向において隣り合う車外側保持リブ27間の距離、及び車内側保持リブ28間の距離を詰まり過ぎないように確保することができる。従って、ガラスラン5のサッシュ部DSへの取付けに際して本体部11をより大きく変形させることができ、本体部11を変形させることでガラスラン5をサッシュ部DSへ嵌め込み易くするといった作用効果が一層確実に奏される。
尚、本実施形態では、型成形によりガラスラン5の長手方向全域が一体的に形成される。すなわち、型成形体は押出成形体に比べて製品設計の自由度が高いため、ガラスラン5の長手方向において車外側形成部31、車内側形成部32、及び非形成部33を形成する場合であっても、型成形により容易に成形することができる。このため、特定部位において断面形状を異ならせるために、後加工(例えば、押出成形によりガラスラン5の長手方向全域に保持リブ27、28を形成した後、保持リブ27、28を部分的に除去する加工)が必要になってしまうといった事態を回避することができ、生産性の向上を図ることができる。
また、連結部21が伸張した形状でガラスラン5を型成形することによって、両シールリップ12、13を十分に離間させることができる。このため、本体部11の内側面等を成形するための金型部材(中子)の保持強度を保つべく、車外側側壁部15及び車内側側壁部16の先端同士を広げるような展開形状とする必要がなくなる。従って、サッシュ部DS及びチャンネル部DCへの取付けに際し、両側壁部15、16を平行移動させるように変形させ、展開形状から回動変形させる必要がなくなるため、コーナー部等において余肉や、シールリップ12、13の蛇行、シワ寄り等が発生することなく、サッシュ部DS及びチャンネル部DCに対するガラスラン5の取付状態の安定化、シール性の向上等を図ることができる。
さらに、ガラスラン5が一体的に成形される(基底部14、車内側側壁部16、車外側側壁部15、車内側シールリップ13、車外側シールリップ12等が連結部21を介して一繋がりに形成される)ため、製造設備全体の簡素化や製造作業性の向上を図ることができ、結果として、コストの抑制や生産性の向上等を図ることができる。
また、連結部21は本体部11の内周側に凸形状となっている。このため、例えば、前縦辺部7及び後縦辺部8の基底部14から連結部21がドアフレーム2の外周側に突出することに起因して、連結部21がサッシュ部DS及びチャンネル部DC(の底面)等に圧接し、連結部21の反発力によりサッシュ部DS及びチャンネル部DCからガラスラン5が浮き上がってしまうといった事態を抑止することができる。従って、当該構成を採用することで、サッシュ部DSのうちガラスラン5の縦辺部7、8が取付けられる部位のドアフレーム2の外周側にスペースのない自動車に対しても好適にガラスラン5を取付けることができる。
また、連結部21は、基底部14におけるドアガラスGの端面の対向部位から外れた位置(ドアガラスGの内側面よりも車内側)において設けられている。このため、連結部21がドアガラスGと接触することに起因して、ドアガラスGの摺動時の抵抗が増大する等の不具合を招いてしまうといったおそれを防止することができる。
さらに、車内外方向における連結部21の形成位置は、ガラスラン5の長手方向全域においていずれの部位においても一定(同一平面上)となっている。このため、連結部21の位置がずれていることで連結部21を収縮させ難くなったり、無理やりに収縮させる(折り畳む)ことで連結部21、ひいては本体部11の断面形状がいびつに変形したりするといった事態を抑制することができる。従って、取付状態の安定化、取付作業性の向上、シール性の向上等を図ることができる。
加えて、連結部21がガラスラン5の長手方向全域に設けられているため、連結部21を収縮させた状態において、連結部21が存在する部位と存在しない部位とで、連結部21の肉厚や反発力に起因して、基底部14の横幅が変化してしまう(基底部14の車内外方向への収縮量が変わってしまう)ことを防止することができ、取付状態の安定化等を図ることができる。
また、ガラスラン5は、車内外方向における第1可変部21aの付根部の位置及び第2可変部21bの付根部の位置が、ガラスラン5の長手方向のいずれの部位においても同じ位置となるように型成形される。このため、連結部21を収縮させた場合に、連結部21の変形量を揃えることができ、ガラスラン5の長手方向において部分的に連結部21の断面形状が意図していない形状に変形してしまう(ガラスラン5の長手方向において部分的に第1可変部21aと第2可変部21bとが離間し易くなったり、連結部21が凹凸してしまったりする)といった事態を防止することができる。
さらに、第1可変部21a及び第2可変部21bは略直線状に成形されるとともに、連結部21の劣角側には、第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部に沿って溝状部24が形成され、当該溝状部24により第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部付近の肉厚がその他の部位よりも薄肉となっている。このため、伸長状態での断面略V字状の連結部21を収縮させる(折り畳む;断面略I字状とする)ことで、連結部21の先端部側(第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部付近)が膨らんでしまうといった事態を防止することができる。従って、連結部21がドアガラスGと接触してドアガラスGの摺動性が低下したり、連結部21によって車内側シールリップ13の動作が阻害されたりしてしまう等の不具合をより確実に防止することができる。
加えて、第1可変部21a及び第2可変部21bは、車外側基底部14a及び車内側基底部14bのうち互いに対向する面の本体部11の外周側の部位からそれぞれ延出し、連結部21の収縮状態において、第1可変部21a及び第2可変部21bの付根部側の部位が、車外側基底部14aと車内側基底部14bとに挟まれるように構成されている。すなわち、第1可変部21a及び第2可変部21bの付根部側の部位の側面と、車外側基底部14aの車内側端面及び車内側基底部14bの車外側端面とが当接することとなる。このため、連結部21を収縮させた際に連結部21が傾倒しようとしても、第1可変部21a及び第2可変部21bの側面が車外側基底部14a及び車内側基底部14bの端面と当接して傾倒が防止される。従って、連結部21とドアガラスGとの干渉を確実に防止することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、保持リブ27、28の突出長が、ガラスラン5の長手方向における保持リブ27、28の幅(厚み)よりも長くなっているが、同じ或いは突出長の方が短くなるように構成してもよい。但し、この場合、ガラスラン5のサッシュ部DSへの取付けに際し、保持リブ27、28自体が弾性変形することで取付け易くなるといった作用効果が十分に奏されないことが懸念されるため、上記実施形態のように構成することが望ましい。
(b)上記実施形態では、ガラスラン5の長手方向において、車内側保持リブ28及び車外側保持リブ27が(1つずつ)交互に設けられているが、複数ずつ交互に(例えば、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28をそれぞれ2つ1セットにして、それを交互に)設けられていることとしてもよい。但し、この場合、ガラスラン5の長手方向において隣り合う車外側保持リブ27間の距離、及び車内側保持リブ28間の距離が近接してしまい、サッシュ部DSへの取付けに際して、互いの変形を阻害し合ってしまうおそれがあるため、上記実施形態のように構成することが望ましい。
(c)上記実施形態では、車外側形成部31と車内側形成部32との間に、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28の両方が形成されていない非形成部33が設けられているが、ガラスラン5の長手方向全域にわたり、車外側形成部31及び車内側形成部32のうちどちらか一方が必ず存在するように構成してもよい。但し、この場合、ガラスラン5の長手方向において隣り合う車外側保持リブ27間の距離、及び車内側保持リブ28間の距離が詰まりすぎてしまい、ガラスラン5のサッシュ部DSへの取付けに際して、本体部11が撓み難くなってしまうことが懸念されるため、上記実施形態のように構成することが望ましい。
(d)上記実施形態において、保持リブ27、28を、その縁部が面取りされたような形状(R形状、テーパ状)としてもよい。この場合、ガラスラン5のサッシュ部DSへの取付けに際し、保持リブ27、28のうち窓部Wの外周側の端縁とサッシュ部DS(車内側フランジ部56、車外側フランジ部55)とが当接すると、保持リブ27、28がフランジ部55、56に対してガラスラン5の長手方向に傾き易くなる。すなわち、ガラスラン5をサッシュ部DSの内側へと嵌め込む際の保持リブ27、28の変形が促進されることとなり、保持リブ27、28を変形させることで取付作業性の向上を図るといった作用効果が一層確実に奏される。但し、保持リブ27、28のうち段差部57、58に引っ掛かる部位(窓部Wの内周側を向く部位)は、段差部57、58と当接した場合に保持リブ27、28がガラスラン5の長手方向に傾き難くなるように平坦面を有していることが望ましい。
(e)上記実施形態では、車外側保持リブ27及び車内側保持リブ28がガラスラン5の長手方向に対して直交する方向に延在しているが、少なくともベルトラインBLよりも上方のサッシュ部DSに取付けられる部位がこのように構成されていればよく、ベルトラインBLよりも下方のチャンネル部DCに取付けられる部位については、例えば、保持リブ27、28がガラスラン5の長手方向に沿って延在することとしてもよい。すなわち、ガラスラン5は、サッシュ部DSに対しては、ガラスラン5を窓部Wの外周方向に相対移動させることで取付けられる一方で、チャンネル部DCに対しては、ガラスラン5(前縦辺部7、後縦辺部8)の下端部をチャンネル部DCの上部に挿入した後、ガラスラン5をチャンネル部DCの長手方向に沿って下方に挿入させていくことで取付けられる。つまり、チャンネル部DCに取付けられる部位に関しては、保持リブ27、28が存在してもチャンネル部DCへの挿入が著しく困難になることがないことから、保持リブ27、28をガラスラン5の長手方向に延在させることも可能である。また、ベルトラインBLよりも下方のチャンネル部DCに取付けられる部位においては、保持リブ27、28を省略することとしてもよい。
(f)上記実施形態において、型成形後の工程において、第1可変部21aと第2可変部21bとを互いに面で当接した状態で固着することとしてもよい。この場合、サッシュ部DS及びチャンネル部DCへの取付けに際し、連結部21の反発力に抗して連結部21の収縮状態を維持しておくといった必要がなく、取付作業性の向上を図ることができる。加えて、第1可変部21aと第2可変部21bとが互いに固着されていることから、ガラスラン5をサッシュ部DS及びチャンネル部DCに押込む際等に、車内側側壁部16側の部位と車外側側壁部15側の部位とがドアガラスGの外周方向においてずれてしまうといった事態を防止することができる。従って、取付作業性の向上を図ることができるとともに、サッシュ部DS及びチャンネル部DCに対してガラスラン5を的確に取付けることができる。さらに、連結部21の内側に中空部が形成されるようにして連結部21が膨らみ、連結部21がドアガラスGと干渉して、ドアガラスGの摺動性を低下させてしまうといったおそれを抑制することができる。
また、第1可変部21a及び第2可変部21bのうち互いに対向する面全体が互いに固着されていることとしてもよい。この場合、断面略V字状の連結部21を収縮させた(折り畳んだ;断面略I字状に形成した)状態において、第1可変部21aと第2可変部21bとが部分的に離間してしまい(中空部ができてしまい)、連結部21が膨らんでしまうといった事態を防止することができる。従って、連結部21がドアガラスGと干渉してドアガラスGの摺動性が低下したり、連結部21によって車内側シールリップ13の動作が阻害されたりしてしまう等の不具合をより確実に防止することができる。さらに、ガラスラン5の長手方向全域において第1可変部21aと第2可変部21bとが互いに接着されていることとしてもよい。尚、固着の方法としては、接着剤を用いた接着や、熱溶着、超音波溶着等が挙げられる。
(g)また、上記実施形態では、ガラスラン5をTPVにより構成しているが、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)や、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の別の素材により構成してもよい。尚、ガラスラン5をTPVで構成することにより、第1可変部21aと第2可変部21bとを熱溶着したり超音波溶着したりすることが可能となる。また、ガラスラン5の構成材料としてEPDMよりも粘度の低いオレフィン系熱可塑性エラストマーを採用することで、ガラスラン5の構成材料を金型のキャビティの隅々にまで行き渡らせ易くなるため、金型構造の複雑化を抑制する等の作用効果が奏される。
(h)上記実施形態では、第1可変部21a及び第2可変部21bが、車外側基底部14a及び車内側基底部14bのうち互いに対向している面からそれぞれ延出しているが、例えば、第1可変部21a及び第2可変部21bを車外側基底部14a及び車内側基底部14bの内側面(本体部11の内周側の面)の側端部から延出させるよう構成してもよい。
(i)上記実施形態では、フロントドアのガラスラン5に関して特に詳しく説明しているが、リアドア等のガラスランに適用してもよい。また、上記実施形態のサッシュ部DSは、アウタパネル51の端縁部を断面略コ字状に折り曲げることで形成されているが、これに限らず、ドアフレーム2を構成するアウタパネル51及びインナパネルの端縁を互いに対向するようにして窓部Wの内周側に折り曲げ、その間に断面略コ字状のチャンネル部材を設けるタイプや、当該構成のうちチャンネル部材を介在させないようなタイプ(チャンネルレス構造)や、アウタパネル51(又はインナパネル)の端部に断面略コ字状のモール部材を取付けるタイプ(ヒドンタイプ)など他の構成を採用してもよい。
1…自動車、2…ドアフレーム、5…ガラスラン、6…上辺部、7…前縦辺部、8…後縦辺部、11…本体部、12…車外側シールリップ、13…車内側シールリップ、14…基底部、14a…車外側基底部、14b…車内側基底部、15…車外側側壁部、16…車内側側壁部、21…連結部、21a…第1可変部、21b…第2可変部、24…溝状部、27…車外側保持リブ、28…車内側保持リブ、31…車外側形成部、32…車内側形成部、33…非形成部、55…車外側フランジ部、56…車内側フランジ部、57…車外側段差部、58…車内側段差部、BL…ベルトライン、DC…チャンネル部、DS…サッシュ部、G…ドアガラス、W…窓部。

Claims (5)

  1. 基底部と、該基底部から延びる車外側側壁部及び車内側側壁部とを具備して断面略コ字状をなす本体部と、
    前記車外側側壁部及び前記車内側側壁部の先端から前記本体部の内側に延びる車外側シールリップ及び車内側シールリップと、
    前記基底部において形成され、成形時の伸長状態では断面略V字状に形成され、取付時の収縮状態では断面略I字状に形成される伸縮可能な連結部とを備え、
    前記本体部は、車両のドアフレームの内周に沿って設けられた互いに対向する一対の車内側フランジ部及び車外側フランジ部を具備する取付部に取付けられ、
    昇降するドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とを具備する長手方向全域が型成形によって一体的に形成されるとともに、前記連結部が、前記本体部の長手方向全域にわたり連続して形成されてなるガラスランであって、
    前記車外側側壁部の車外側の面から前記本体部の外側に突出する車外側保持リブと、
    前記車内側側壁部の車内側の面から前記本体部の外側に突出する車内側保持リブとを備え、
    前記取付部への取付状態においては、前記車外側フランジ部において車内側に突出形成された車外側段差部のうちドアフレームの外周側の面と、前記車外側保持リブとが対向して当接又は近接するとともに、
    前記車内側フランジ部において車外側に突出形成された車内側段差部のうちドアフレームの外周側の面と、前記車内側保持リブとが対向して当接又は近接し、
    前記本体部の長手方向において、前記車外側保持リブ及び前記車内側保持リブのうち、前記車外側保持リブのみが形成された車外側形成部と、前記車内側保持リブのみが形成された車内側形成部とを有していることを特徴とするガラスラン。
  2. 少なくともドアのベルトラインよりも上方に取付けられる部位においては、前記本体部の長手方向において、前記車外側保持リブが形成された部位には前記車内側保持リブが形成されておらず、前記車内側保持リブが形成された部位には前記車外側保持リブが形成されていないことを特徴とする請求項1に記載のガラスラン。
  3. 少なくともドアのベルトラインよりも上方に取付けられる部位においては、
    前記車外側保持リブの前記車外側側壁部からの突出長が、前記本体部の長手方向における前記車外側保持リブの幅よりも長く、
    前記車内側保持リブの前記車内側側壁部からの突出長が、前記本体部の長手方向における前記車内側保持リブの幅よりも長くなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスラン。
  4. 少なくともドアのベルトラインよりも上方に取付けられる部位においては、前記本体部の長手方向において、前記車外側保持リブと前記車内側保持リブとが交互に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガラスラン。
  5. 少なくともドアのベルトラインよりも上方に取付けられる部位においては、前記本体部の長手方向における前記車外側形成部と前記車内側形成部との間において、前記車外側保持リブ及び前記車内側保持リブの両方とも形成されていない非形成部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガラスラン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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