JP2011126468A - ガラスラン及びその製造方法 - Google Patents

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祐介 渡會
Hiroaki Nishikawa
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Abstract

【課題】外観品質の向上等を図りつつ、生産性の低下等を抑制することのできるガラスラン及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ガラスラン5は、基底部14と、基底部14から延びる側壁部15、16とを具備して断面略コ字状をなし、互いに対向するフランジ部55、56を具備するサッシュ部DSに取着される本体部11と、側壁部15、16の各先端から本体部11の外側に延び、側壁部15、16との間にフランジ収容部33、34を形成する意匠リップ17、18と、基底部14において伸縮可能に形成される連結部21とを備え、長手方向全域が型成形によって一体的に形成されている。少なくとも車内側意匠リップ13には、フランジ収容部34を形成する面において、凹部36が、ガラスラン5の長手方向において所定距離を隔てて複数形成されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ガラスラン及びその製造方法に関するものである。
一般に、自動車のドアフレームの内周に沿ってガラスランが設けられている。ガラスランは、その断面方向から見ると、基底部と、該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部とを具備する断面略コ字形の本体部を備えるとともに、両側壁部の略先端からそれぞれ本体部の内側に向けて延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップを備えている。上記ガラスランは、本体部がドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、両シールリップによって、昇降するドアガラスの内外面の周縁部が挟まれるようにしてシールされる。
また、ガラスランは、ドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前後の縦縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とを備え、これらがほぼ直線状に成形される押出成形部と、押出成形部の端部同士を所定の角度をなした状態で接続する型成形部とにより構成されている。
ところで、ガラスランを押出成形部と型成形部とから構成する場合には、押出成形部と型成形部との接続線が外観に表れてしまい、これに起因して外観品質の低下を招くおそれがある。また、押出成形部と型成形部とでは構成材料が異なることもあって、その表面の色・艶が大きく相違してしまうおそれがあり、当該色・艶の相違によっても、外観品質の低下を招いてしまうおそれがある。
また、ガラスランのコーナー部位に対応する型成形部は、型成形に際し、本体部、車内側シールリップ、及び車外側シールリップの各内側面を成形するための金型(中子)を配置する必要があり、その中子の保持強度を保つべく、車内側側壁部と車外側側壁部とを若干開いた展開形状で成形されるのが一般的である。ところが、ドアフレームの取付部への取付けに際して、大きく開いた展開形状で形成されている押出成形部の車内側側壁部と車外側側壁部とを同様に両側壁部がほぼ平行になるように窄めるように変形させると、そのときの応力に基づいてコーナー部位の屈曲角度(曲率半径)や周長等が変化してしまうおそれがある。この場合、ガラスランが取付部形状に追従しなくなってしまい、取付状態の悪化等を招いてしまうおそれがある。また、車内側・車外側シールリップの表面にシワが発生し、シール性の低下を招くおそれがある。
これに対し、基底部において車内外方向に伸縮可能な連結部が設けられ、連結部が伸びた状態で長手方向全域が型成形によって一体的に形成されるとともに、取付部への取付けに際して連結部が収縮された状態とされているといったガラスランも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−149739号公報
特許文献1の技術を採用することで、ガラスランの長手方向において部分的に色・艶の相違が生じたり、ガラスランを展開形状で形成しなければならないといった事態を回避することができる。
ところで、ガラスランには、車内側側壁部及び車外側側壁部の略先端からそれぞれ本体部の外方に向けて延びる車内側意匠リップ及び車外側意匠リップを備え、互いに対向する車内側フランジ部と車外側フランジ部とを備える取付部に対し、車内側意匠リップと車内側側壁部との間に車内側フランジ部を挿入させるとともに、車外側意匠リップと車外側側壁部との間に車外側フランジ部を挿入させるようにして取付けられているものもある。
しかしながら、上記特許文献1のようにガラスランの長手方向全域を型成形により構成する場合、意匠リップ及び側壁部の互いに対向する面を成形するための金型(中子)を支持する支持板が薄肉となり、場合によっては、型抜き等に際して該金型の中子或いは支持板が変形したり破損したりする等の不具合を招くおそれがある。この場合、ガラスランの生産性の低下や、製造コストの増大等を招くおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外観品質の向上等を図りつつ、生産性の低下や、製造コストの増大等を抑制することのできるガラスラン及びその製造方法を提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.基底部と、該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部とを具備して断面略コ字状をなす本体部と、
前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部の内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップと、
前記基底部において形成され、成形時の伸長状態では断面略V字状に形成され、取付時の収縮状態では断面略I字状に形成される伸縮可能な連結部とを備え、
前記本体部が、車両のドアフレームの内周に沿って設けられた互いに対向する一対の車内側フランジ部及び車外側フランジ部を具備する取付部に取着され、
昇降するドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とを具備する長手方向全域が型成形によって一体的に形成されるとともに、前記連結部が、前記本体部の長手方向全域にわたり連続して形成されてなるガラスランであって、
前記車内側側壁部の略先端から前記本体部の外側に延び、前記車内側側壁部との間に、前記車内側フランジ部を挿入可能な車内側フランジ収容部を形成する車内側意匠リップと、
前記車外側側壁部の略先端から前記本体部の外側に延び、前記車外側側壁部との間に、前記車外側フランジ部を挿入可能な車外側フランジ収容部を形成する車外側意匠リップとを備え、
前記意匠リップ及び前記側壁部のうち少なくとも一方には、前記フランジ収容部を形成する面において、凹部が前記本体部の長手方向において所定距離を隔てて複数形成されていることを特徴とするガラスラン。
手段1によれば、型成形によりガラスランの長手方向全域が一体的に形成されるため、例えば、押出成形体を含む複数の成形体を長手方向に繋ぐことで構成されるようなガラスランとは異なり、隣接する成形体同士を繋いだ接続線が外観に表れてしまうといった事態を回避することができる。また、ガラスランの長手方向において部分的に色・艶の相違が生じてしまうといった事態を回避することができる。結果として、外観品質の向上が図られる。
また、本手段では、意匠リップ及び側壁部のうち少なくとも一方には、フランジ収容部を形成する面において、凹部が、本体部の長手方向において所定距離を隔てて複数形成されている。このため、意匠リップ及び/又は側壁部の対向する面を形成する金型部材(中板)、すなわち、フランジ収容部を成形するための金型部材において、凹部を成形するための成形凸部が形成され、当該成形凸部が形成された部位の肉厚を厚くすることができる。従って、該金型部材の強度を確保することができ、型抜き等に際して該金型部材が変形したり破損したりする等の不具合を抑止することができる。
さらに、凹部が形成されることによって、ガラスランの軽量化等を図ることができる。加えて、凹部は本体部(ガラスラン)の長手方向において所定距離を隔てて複数形成されているため、凹部の各々の間の部位には結果的にリブ状の厚肉部が形成される。従って、当該厚肉部の存在により、意匠リップや側壁部の強度の低下を抑制することができる。
尚、連結部が伸張した形状でガラスランを型成形することによって、両シールリップを十分に離間させることができる。このため、本体部の内側面等を成形するための金型部材(中子)の保持強度を保つべく、車内側側壁部及び車外側側壁部の先端同士を広げるような展開形状とするといった必要がなくなる。従って、ドアの取付部への取付けに際し、両側壁部を平行移動させるように変形させ、展開形状から回動変形させる必要がなくなるため、コーナー部等において余肉や、シールリップの蛇行、シワ寄りが発生することなく、取付部に対するガラスランの取付状態の安定化、シール性の向上等を図ることができる。
また、ガラスランが一体的に成形される(基底部、車内側側壁部、車外側側壁部、車内側シールリップ、車外側シールリップ等が連結部を介して一繋がりに形成される)ため、押出成形体を含む複数の成形体を長手方向に繋いで構成するガラスランの製造に比べて、製造装置(製造設備)全体の簡素化や製造作業性の向上を図ることができ、結果として、コストの抑制や生産性の向上等を図ることができる。特に、連結部は、ガラスランの長手方向全域に形成されているため、例えば、連結部がガラスランの長手方向において部分的に設けられるような特開2008−149739号公報に記載のガラスランの構成に比べ、金型のキャビティに構成材料を充填させる際に、構成材料をキャビティ全体に行き渡らせ易く、また、連結部以外の部分の係合部を係合可能となるように形成する必要がなく、製造作業性の向上(製造時間の短縮)、成形不良の抑制、金型装置の簡素化等を図ることができる。
さらに、例えば、連結部がガラスランの長手方向において部分的に設けられている場合、連結部を収縮させた状態において、連結部の肉厚や連結部の反発力に起因して、連結部が存在する部位と存在しない部位とで基底部の横幅が変化してしまう(基底部の車内外方向への収縮量が変わってしまう)おそれがある。これに対し、本手段によれば、連結部はガラスラン(本体部)の長手方向全域に設けられている。このため、ガラスランの長手方向全域において基底部の横幅をほぼ均一にすることができ、取付状態の安定化等を図ることができる。
また、前記凹部は、少なくとも前記車内側フランジ収容部及び/又は前記車外側フランジ収容部の開口部付近に形成されていることが好ましい。すなわち、一般に意匠リップは、意匠性などの観点から、その先端部付近をフランジ部の外面に当接させるべく、少なくとも先端側の部位が対応する側壁部に近接するようにして傾斜して延在している。このため、意匠リップの先端部付近と側壁部との間の距離が相対的に最も短くなり、意匠リップ及び側壁部の互いに対向する面(フランジ収容部)を成形するための金型部材(中板)のうち、意匠リップの先端部付近と、側壁部のうち当該部位に対向する部位とを成形するための部位が最も薄肉になる。従って、フランジ収容部を成形するための金型部材において、フランジ収容部の開口部付近に凹部を成形するための成形凸部を形成することによって、フランジ収容部を成形するための金型部材が変形したりする等の不具合をより確実に防止することができる。
尚、「連結部は、基底部におけるドアガラスの端面の対向部位から外れた位置において設けられていること」が好ましい。この場合、例えば、連結部が基底部から本体部の内周側に突出している場合に、連結部がドアガラスと干渉することに起因して、ドアガラスの摺動時の抵抗が増大する等の不具合を招いてしまうといったおそれを防止することができる。さらに、「前記連結部は前記本体部の内周側に凸形状をなしていること」が好ましい。
手段2.前記車内側側壁部の前記基底部からの延出長は前記車外側側壁部の前記基底部からの延出長よりも長く、かつ、
前記車内側意匠リップ及び前記車内側シールリップは前記車外側意匠リップ及び前記車外側シールリップよりも大きく構成され、
前記車内側フランジ収容部に関しては、前記車内側意匠リップに前記凹部が形成されていることを特徴とする手段1に記載のガラスラン。
手段2によれば、車内側フランジ収容部に関しては、車内側意匠リップに凹部が形成されている。車内側意匠リップは比較的大きく形成されるため、車内側意匠リップに凹部を形成したとしても、凹部が形成された部位(薄肉部)が極端に薄肉になることはない。従って、意匠リップが破れる等のおそれを抑制しつつ、意匠リップの軽量化を図ることができる。また、上記のように各凹部間にはリブ状の厚肉部が形成されているため、当該厚肉部により車内側意匠リップの強度が著しく低下してしまうといった事態を防止することができる。
尚、例えば、車内側側壁部に凹部を形成することに起因して、車内側側壁部の強度(応力耐久性)が低下してしまうといった事態を回避することもできる。すなわち、車外側側壁部よりも延出長が長く、さらに、車外側意匠リップ及び車外側シールリップよりも大きな車内側意匠リップ及び車内側シールリップを支持しなくてはならない車内側側壁部の強度を確保することができ、車内側側壁部の変形に起因する不具合を回避することができる。
手段3.前記車内側意匠リップに対し、前記本体部の長手方向において所定距離を隔てて複数形成される前記凹部の各々の間は、リブ状の厚肉部に形成され、
前記厚肉部は、前記車内側意匠リップの延出方向の先端まで延出して形成されていることを特徴とする手段2に記載のガラスラン。
手段3によれば、リブ状の厚肉部を車内側意匠リップの延出方向の先端にまで延在させることで、車内側意匠リップの先端部の強度を高めることができる。従って、例えば、車内側意匠リップの先端部に厚肉部が形成されず、ガラスランの長手方向において車内側意匠リップの先端部が一様に薄肉となることに起因して、該先端部がいびつに(波打つようにして)変形し易くなってしまうといった事態を防止することができる。
手段4.上記手段1乃至3のいずれかに記載のガラスランの製造方法であって、
前記型成形に際し、前記フランジ収容部を成形するための金型部材として、前記意匠リップ及び前記側壁部の少なくとも一方に前記凹部を成形するための成形凸部を備え、当該成形凸部が形成された部位がこれに隣接する部位よりも厚肉となっている金型部材を用いることを特徴とするガラスランの製造方法。
手段4によれば、この製造方法によって、上記手段1〜3に記載のガラスランを確実に成形することができる。
手段5.前記成形凸部は、該成形凸部が形成されている金型部材のスライド方向に対して、その長辺側が平行になるように略直方体形状に形成されていることを特徴とする手段4に記載のガラスランの製造方法。
手段5によれば、成形凸部が、その金型部材のスライド方向に対して平行になるように略直方体形状に形成されているため、意匠リップ又は側壁部の少なくとも一方に形成される凹部には、スライド方向に対してアンダーカットになる部分が生じず、前記凹部の成形を容易にすることができる。尚、略直方体形状とあるのは、成形凸部には抜き勾配が設定され、正確には直方体となっていないことから、略直方体形状としている。
ドアの概略構成を示す正面模式図である。 ガラスランの正面図である。 取付後のガラスランを示す図2のJ−J線断面図である。 型成形直後のガラスランを示す図2のJ−J線断面図である。 後縦辺部の車内側意匠リップ等を示す模式斜視図である。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、自動車のドア用開口部に開閉可能に設けられるフロントドア(以下、単に「ドア1」と称する)には、昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応して設けられ、ドアガラスGの昇降を案内するとともに、ドアガラスGの周縁部とドアフレーム2との間をシールするガラスラン5とが設けられている。
図2に示すように、ガラスラン5は、ドアガラスGの上縁部に対応する上辺部6、ドアガラスGの前縁部に対応する前縦辺部7、ドアガラスGの後縁部に対応する後縦辺部8ととから構成されている。本実施形態では、ガラスラン5は、上辺部6、前縦辺部7、後縦辺部8を具備する長手方向全域が、図示しない金型装置にて一体的に形成される。そして、窓部Wの外周に沿って形成される断面略コ字状のサッシュ部DS、及びサッシュ部DSの前後の縦辺部を下方に延長するようにしてドアパネル3内に設けられた断面略コ字状のチャンネル部DCの内周に当該ガラスラン5が取付けられている。本実施形態では、ガラスラン5がオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)により構成されており、このオレフィン系熱可塑性エラストマーは動的架橋タイプ(TPV)が好ましい。また、本実施形態では、サッシュ部DS及びチャンネル部DCが取付部に相当する。
図3に示すように、後縦辺部8は、基底部14と、該基底部14から延びる車外側側壁部15及び車内側側壁部16とを具備して断面略コ字状をなし、サッシュ部DSに嵌め込まれる本体部11と、車外側側壁部15の先端部から車内側かつ基底部14側に向けて延びる車外側シールリップ12と、車内側側壁部16の先端部から車外側かつ基底部14側に向けて延びる車内側シールリップ13とを備えている。ドアガラスGにより窓部Wが閉じられた状態においては、車外側シールリップ12がドアガラスGの外側面(車外側の面)に対して圧接され、車内側シールリップ13がドアガラスGの内側面(車内側の面)に対して圧接される。これにより、ドアガラスGの車外側及び車内側がそれぞれシールされるようになっている。
また、図3に示すように、後縦辺部8が取付けられるサッシュ部DSは、ドアフレーム2を構成するアウタパネル51及びインナパネル52の端部を窓部Wの内周側(図3では左側)に折り曲げることで形成された車外側フランジ部55及び車内側フランジ部56と、車外側フランジ部55と車内側フランジ部56との間に設けられた断面略コ字状のチャンネル部材57とにより構成されている。本実施形態では、車外側フランジ部55、及びチャンネル部材57のうち車外側フランジ部55に当接している辺部が車外側フランジ部に相当し、車内側フランジ部56、及びチャンネル部材57のうち車内側フランジ部56に当接している部位が車内側フランジ部に相当する。
また、後縦辺部8は、車外側側壁部15の先端部から車外側に向けて延びる車外側意匠リップ17と、車内側側壁部16の先端部から車内側に向けて延びる車内側意匠リップ18とを備えている。
車外側意匠リップ17は、車外側側壁部15の先端部から車外側側壁部15の外側面(車外側の面)に対してほぼ直交する方向に延出する基部17aと、基部17aの先端部から車外側側壁部15の付根部側(基底部14との境界部側)に向けて、車外側側壁部15の外側面とほぼ平行して延びる延出部17bとを備えている。このように、車外側意匠リップ17が構成されることにより、車外側意匠リップ17と車外側側壁部15との間には、車外側フランジ部55を挿入可能な車外側フランジ収容部33が形成されている。さらに、車外側意匠リップ17の延出部17bは、その先端部が、後縦辺部8のサッシュ部DSへの取付状態において、サッシュ部DSの外側面(車外側フランジ部55の車外側の面)に確実に当接するように、車外側側壁部15に近接するように傾斜して延びている。
また、車内側意匠リップ18は、車内側側壁部16の先端部から車内側側壁部16の外側面(車内側の面)に対してほぼ直交する方向に延出する基部18aと、基部18aの先端部から車内側側壁部16の付根部側(基底部14との境界部側)に向けて、車内側側壁部16の外側面とほぼ平行して延びる延出部18bとを備えている。このように、車内側意匠リップ18が構成されることにより、車内側意匠リップ18と車内側側壁部16との間には、車内側フランジ部56を挿入可能な車内側フランジ収容部34が形成されている。さらに、車内側意匠リップ18の延出部18bは、その先端部が、後縦辺部8のサッシュ部DSへの取付状態において、サッシュ部DSの外側面(車内側フランジ部56の車内側の面)に確実に当接するように、車内側側壁部16に近接するように傾斜して延びている。
そして、本体部11をサッシュ部DS(チャンネル部材57)の内側に嵌め込む(後縦辺部8をサッシュ部DSに取付ける)ことで、車外側フランジ収容部33に車外側フランジ部55が挿入されて、延出部17bによって車外側フランジ部55の外側面(車外側の面)が覆われるとともに、車内側フランジ収容部34に車内側フランジ部56が挿入されて、延出部18bによって車内側フランジ部56の外側面(車内側の面)が覆われることとなる。
基底部14の外側面(本体部11の外周側の面)の車外側の部位には、基底部14から突出する水切りリップ19が設けられている。水切りリップ19は、ガラスラン5の取付状態においてサッシュ部DSに当接し、ガラスラン5とサッシュ部DSとの間を介して雨水等が車内側へ浸入することを防止している。さらに、後縦辺部8には、車内側側壁部16から車外側かつドアフレーム2の内周側に延出するサブリップ31が設けられている。当該サブリップ31は、車内側シールリップ13が本体部11の内側に進入したドアガラスGに押されて車内側に変位した際に、車内側シールリップ13の裏面の先端部側に当接して車内側シールリップ13と協働してドアガラスGを支持する構成となっており、これにより、自動車の走行時等におけるドアガラスGの振動が抑制される。尚、車外側側壁部15の基底部14からの延出長は、車内側側壁部16の基底部14からの延出長よりも短くなっている。また、車外側シールリップ12は車内側シールリップ13よりも小さく(短く、薄く)構成されている。これにより、ドアガラスGが車外側に寄せられ、フラッシュサーフィス化が図られる。
さて、本実施形態では、基底部14において、型成形時と、サッシュ部DS(チャンネル部DC)への取付時とで、基底部14の横幅を変更可能とするために形成された連結部21が設けられている。本実施形態の基底部14は、連結部21を挟んで車外側の部位(車外側基底部14a)と、車内側の部位(車内側基底部14b)とに分けられており、連結部21は、車外側基底部14aの車内側の端面から本体部11の内周側に延びる第1可変部21aと、車内側基底部14bの車外側の端面から第1可変部21aの先端縁にかけて延びる第2可変部21bとを備えている。図4に示すように、連結部21は、型成形により、本体部11の内周側に凸となる断面略V字状に形成され、車内外方向(ドア1の厚み方向)に伸縮可能となっており、図3に示すように、連結部21が収縮した(折り畳まれた)状態では断面略I字状にサッシュ部DSに取付けられている。また、本実施形態の連結部21はドアガラスGの昇降の妨げとならないように、ドアガラスGの内側面よりも車内側(基底部14のうちドアガラスGの内側面に沿った延長線と交差する位置よりも車内側)に形成されており、連結部21が本体部11の内側に進入したドアガラスGと接触(干渉)しない構成となっている。
また、第1可変部21a及び第2可変部21bは略直線状に延びており、図3に示すように、連結部21を収縮させた(折り畳んだ)状態では、第1可変部21aと第2可変部21bとが面で当接した状態とされ、連結部21が車内側側壁部16の内側面(車外側の面)に沿って直線状に(基底部14の内側面に対してほぼ垂直に)延びている。さらに、本実施形態では、第1可変部21a及び第2可変部21bは、車外側基底部14a及び車内側基底部14bのうち互いに対向する面の本体部11の外周側の部位から延出しており、連結部21が収縮した状態においては、第1可変部21a及び第2可変部21bの付根部側の部位が車外側基底部14aと車内側基底部14bとの間に挟まれる格好となる。
また、第1可変部21a及び第2可変部21bの肉厚は、その他の部位(車外側基底部14a等)よりも薄肉となっており、本実施形態では、それぞれ1.0mmとなっている。さらに、図4に示すように、連結部21の劣角側には、第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部に沿って溝状部24が形成されており、連結部21の先端部(第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部付近)の肉厚がその他の部位よりも薄肉となっている。このため、図3に示すように、連結部21を収縮させた状態としても、連結部21の先端部(第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部付近)が膨らむことなく、連結部21の車外側の面及び車内側の面が略平坦面となっている。
加えて、本実施形態では、型成形において、車外側基底部14aと車内側基底部14bとの間の距離がガラスラン5の長手方向のいずれの部位においても一定となるように形成される。尚、上記のように、第1可変部21a及び第2可変部21bは、車外側基底部14a及び車内側基底部14bのうち互いに対向する面から延出しているため、車内外方向における第1可変部21aの付根部(車外側基底部14aとの連接部)の位置及び第2可変部21bの付根部(車内側基底部14bとの連接部)の位置が、ガラスラン5の長手方向のいずれの部位においても同じ位置となる。さらに、車内外方向における第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部の位置が、ガラスラン5の長手方向のいずれの部位においても同じとなるように成形される。尚、第1可変部21aと第2可変部21bとが互いに面で当接した状態で固着(接着)される場合、連結部21の収縮状態が維持されてサッシュ部DS等への取付けが容易になる。
また、図示は省略するが、ガラスラン5の上辺部6や前縦辺部7についても後縦辺部8と同様に、本体部11、一対のシールリップ12、13、連結部21等を備えている。但し、上辺部6及び前縦辺部7や、後縦辺部8のうちベルトラインよりも下方のチャンネル部DCに取付けられる部位に関しては、図3、図4で示す後縦辺部8のうちサッシュ部DSに取付けられる部位に比べ、車外側意匠リップ17及び車内側意匠リップ18が小さく構成され、サッシュ部DS(車外側フランジ部55及び車内側フランジ部56)の端縁が隠れ得る程度の大きさとなっている。加えて、上辺部6及び前縦辺部7や、後縦辺部8のうちチャンネル部DCに取付けられる部位に関しては、後縦辺部8のうちサッシュ部DSに取付けられる部位に比べ、基底部14の厚みが薄くなっている。尚、サッシュ部DSに取付けられる後縦辺部8の基底部14は、肉厚となることで成形歪みが生じないように外周面側が凹状に形成されている。
また、上辺部6、前縦辺部7、後縦辺部8に形成される連結部21は、本体部11やシールリップ12、13等と同様に、ガラスラン5の長手方向全域にわたり切れ目なく連続して設けられている。さらに、車内外方向における連結部21の形成位置は、ガラスラン5の長手方向全域にわたり同じ位置(同一平面上)に形成されている(長手方向におけるいずれの位置においても同じとなっている)上、基底部14の横幅も同一となっている。
さて、本実施形態では、後縦辺部8のうちサッシュ部DSに取付けられる部位において、車内側意匠リップ18の内側面(車内側フランジ収容部34を形成する面)に対し、車内側意匠リップ18の車内側側壁部16からの延出方向に沿って延在する車内側凹部36が形成されるとともに、車外側側壁部15の外側面(車外側フランジ収容部33を形成する面)に対し、車外側側壁部15の基底部14からの延出方向に沿って延在する車外側凹部37が形成されている。
図3に示すように、車内側凹部36は、車内側意匠リップ18の付根部から先端部にかけて形成されており、図5に示すように、後縦辺部8の長手方向において所定距離を隔てて複数形成されている。また、このように複数の車内側凹部36が形成されることによって、結果的に各車内側凹部36の間にはリブ状の厚肉部(車内側厚肉部)38が形成されることとなる。車内側厚肉部38は、車内側意匠リップ18の付根部から先端部にかけて形成されており、車内側意匠リップ18の付根部側においては、車内側側壁部16と連結されるとともに、車内側意匠リップ18の先端部側においては、車内側凹部36の底面からの突出長が次第に短くなるように傾斜している。
車外側凹部37は、車外側側壁部15のうち車外側意匠リップ17の先端部位と対向する部位及びその近傍(車外側フランジ収容部33の開口部付近)にのみ形成されており、基底部14との連接部や、車外側意匠リップ17との連接部には形成されていない。さらに、車外側凹部37は、車内側凹部36と同様に、後縦辺部8の長手方向において所定距離を隔てて複数形成されている。このように複数の車外側凹部37が形成されることによって、結果的に各車外側凹部37の間にはリブ状の厚肉部(車外側厚肉部)39が形成されることとなる。尚、車外側厚肉部39は車外側側壁部15と同じ肉厚である。また、各車外側凹部37間を隔てる車外側厚肉部39の車外側の面は、車外側側壁部15の車外側の面と面一となっている。加えて、車外側凹部37は、車外側凹部37の底面と、車外側側壁部15の車外側の面とを繋ぐ内側面が、車外側側壁部15の車外側の面と直交する方向に対して傾斜して延びている。
また、車内側凹部36及び車外側凹部37は、ガラスラン5の型成形に際し、その他の部位と同時に車内側意匠リップ18及び車外側側壁部15に対して直接(一体的に)形成される。つまり、車外側フランジ収容部33を成形するための金型部材には、後縦辺部8を成形するためのキャビティの長手方向に対して略直交する方向(当該金型部材のスライド移動方向)に延びるようにして、車外側凹部37を成形するための略直方体形状の成形凸部が形成され、当該成形凸部は、後縦辺部8(を成形するキャビティ)の長手方向において所定距離を隔てて複数設けられている。
また、車内側フランジ収容部34を成形するための金型部材にも、後縦辺部8を成形するためのキャビティの長手方向に対して略直交する方向(当該金型部材のスライド移動方向)に延びるようにして、車内側凹部36を成形するための略直方体形状の成形凸部が形成され、当該成形凸部は、後縦辺部8(を成形するキャビティ)の長手方向において所定距離を隔てて複数設けられている。尚、フランジ収容部33、34を成形するための金型部材のうち各成形凸部間の部位は、形成凸部が形成された部位よりも薄肉となっており、所定の肉厚の車外側側壁部15及び車内側意匠リップ18が形成できるようになっている。そして、キャビティ内に可塑化状態にあるTPVを充填し、固化完了後、型開きして、図4に示すような連結部21が伸長された形状のガラスラン5を金型から取外す。尚、型開き時には、車外側フランジ収容部33、車内側フランジ収容部34(車外側凹部37、車内側凹部36)を形成する各金型部材は、フランジ収容部33、34の形成方向(開口方向)にスライド移動して、フランジ収容部33、34から抜かれるようになっている。以上のようにして、車内側凹部36及び車外側凹部37が形成されたガラスラン5が得られる。
尚、図示は省略するが、上辺部6、前縦辺部7や、後縦辺部8のチャンネル部DCに取付けられる部位にも意匠リップ17、18が形成されている。但し、当該意匠リップ17、18は、サッシュ部DS(チャンネル部DC)の車外側フランジ部55及び車内側フランジ部56の先端縁だけを隠し得る程度の短いものであり、意匠リップ17、18の内側面及び側壁部15、16の外側面を成形するための金型部材を薄肉に形成する必要はない。さらに、ガラスラン5の長手方向においてこのように意匠リップ17、18が短く形成される部位に関しては、凹部36、37は形成されていない。
以上詳述したように、本実施形態によれば、型成形によりガラスラン5の長手方向全域が一体的に形成されるため、例えば、押出成形体を含む複数の成形体を長手方向に繋ぐことで構成されるようなガラスランとは異なり、隣接する成形体同士を繋いだ接続線が外観に表れてしまうといった事態を回避することができる。また、ガラスラン5の長手方向において部分的に色・艶の相違が生じてしまうといった事態を回避することができる。結果として、外観品質の向上が図られる。
また、本実施形態では、後縦辺部8のうちサッシュ部DSに取付けられる部位において、車内側意匠リップ18の内側面に対し、車内側意匠リップ18の車内側側壁部16からの延出方向(車内側フランジ収容部34の周方向)に沿って延在する車内側凹部36が、後縦辺部8の長手方向において所定距離を隔てて複数形成されている。さらに、車外側側壁部15の外側面に対し、車外側側壁部15の基底部14からの延出方向(車外側フランジ収容部33の周方向)に沿って延在する車外側凹部37が、後縦辺部8の長手方向において互いに所定距離を隔てて複数形成されている。このため、フランジ収容部33、34を成形するための金型部材において、車外側凹部37、車内側凹部36を成形するための略直方体形状の成形凸部が形成され、当該成形凸部が形成された部位の肉厚を厚くすることができる。従って、当該金型部材の強度を確保することができ、型抜き等に際して当該金型部材が変形したり破損したりする等の不具合を抑止することができる。
さらに、車外側凹部37及び車内側凹部36が形成されることによって、ガラスラン5の軽量化等を図ることができる。加えて、車外側凹部37及び車内側凹部36は後縦辺部8の長手方向において所定距離を隔てて複数形成されているため、各車外側凹部37及び車内側凹部36の間の部位には結果的に車外側厚肉部39及び車内側厚肉部38が形成される。従って、当該車外側厚肉部39及び車内側厚肉部38の存在により、車外側側壁部15や車内側意匠リップ18の強度の低下を抑制することができる。
尚、車外側凹部37は車外側側壁部15のうち車外側意匠リップ17の先端部との対向部位及びその近傍に設けられ、車内側凹部36は車内側意匠リップ18の延出方向全域に設けられている。すなわち、車外側凹部37及び車内側凹部36は、少なくとも意匠リップ17、18の延出部17b、18bと側壁部15、16とが最も近接している車外側フランジ収容部33及び車内側フランジ収容部34の開口部付近に形成されている。このため、車外側フランジ収容部33及び車内側フランジ収容部34を成形するための金型部材のうち少なくとも最も薄肉となる部位において車外側凹部37及び車内側凹部36を成形するための成形凸部を形成することができる。従って、車外側フランジ収容部33及び車内側フランジ収容部34を成形するための金型部材が変形したりする等の不具合をより確実に防止することができる。
また、車内側フランジ収容部34に関し、車内側意匠リップ18において車内側凹部36を形成するのではなく、車内側側壁部16において当該車内側側壁部16の基底部14からの延出方向に沿って延在する凹部を形成しても車内側フランジ収容部34を成形するための金型の強度の向上を図ることができるのではあるが、本実施形態では、車内側意匠リップ18に車内側凹部36が形成されている。このため、例えば、車内側側壁部16に凹部を形成することに起因して、車内側側壁部16の強度が低下してしまうといった事態を回避することができる。すなわち、車外側側壁部15よりも延出長が長く、さらに、車外側意匠リップ17及び車外側シールリップ12よりも大きな車内側意匠リップ18及び車内側シールリップ13を支持しなくてはならない車内側側壁部16の強度を確保することができ、車内側側壁部16の変形に起因する不具合を回避することができる。
さらに、車内側意匠リップ18は比較的大きく形成されるため、車内側意匠リップ18に車内側凹部36を形成したとしても、車内側凹部36が形成された部位(薄肉部)が極端に薄肉になることはない。従って、車内側意匠リップ18が破れる等のおそれを抑制することができる。尚、上記のように各車内側凹部36間には車内側厚肉部38が形成されているため、当該車内側厚肉部38により車内側意匠リップ18の強度が著しく低下してしまうといった事態を防止することができる。
加えて、車内側厚肉部38が車内側意匠リップ18の先端部にまで延在していることで、車内側意匠リップ18の先端部の強度を高めることができる。従って、車内側意匠リップ18の先端部がいびつに(波打つようにして)変形し易くなってしまうといった事態を防止することができる。
また、車外側フランジ収容部33に関し、例えば、車外側側壁部15において車外側凹部37を形成するのではなく、車外側意匠リップ17において当該車外側意匠リップ17の延出方向に沿って延在する凹部を形成しても車外側フランジ収容部33を成形するための金型部材の強度の向上を図ることができる。しかしながら、車内側意匠リップ18よりも小さく構成される車外側意匠リップ17に対して凹部を形成する場合、凹部が形成された部位(薄肉部)が非常に薄肉となってしまい、破れる等のおそれがあるため、車外側意匠リップ17に凹部を形成することは困難、或いは事実上不可能である。
これに対し、本実施形態のように、車外側側壁部15に車外側凹部37を形成することにより、車外側意匠リップ17の強度を確保することができ、車外側意匠リップ17が破れる等の不具合を防止することができる。また、車外側側壁部15は、車内側側壁部16よりも延出長が短く、さらに、車内側意匠リップ18及び車内側シールリップ13よりも小さな車外側意匠リップ17及び車外側シールリップ12を支持すればよいため、車外側側壁部15に車外側凹部37を形成しても、車内側側壁部16に凹部を形成する場合に比べ、側壁部15が変形するといった事態を抑制することができる。
加えて、車外側凹部37は、車外側フランジ収容部33の開口部付近にのみ形成されているため、車外側側壁部15の強度の低下を極力抑制することができる。さらに、上記のように各車外側凹部37間には車外側厚肉部39が形成されているため、当該車外側厚肉部39により車外側側壁部15の強度が著しく低下してしまうといった事態を防止することができる。また、車外側厚肉部39の存在により、後縦辺部8のサッシュ部DSへの取付けに際し、車外側フランジ部55が車外側凹部37の内側に進入して車外側凹部37に引っ掛かってしまうといった事態を回避することができる。
また、連結部21が伸張した形状でガラスラン5を型成形することによって、両シールリップ12、13を十分に離間させることができる。このため、車内側側壁部16及び車外側側壁部15の先端同士が大きく広がるような展開形状とする必要がなくなる。従って、サッシュ部DS及びチャンネル部DCへの取付に際し、断面形状を大きく変形させる必要がなくなるため、サッシュ部DS及びチャンネル部DCに対するガラスラン5の取付状態の安定化、シール性の向上等を図ることができる。
さらに、ガラスラン5が一体的に成形される(基底部14、車内側側壁部16、車外側側壁部15、車内側シールリップ13、車外側シールリップ12等が連結部21を介して一繋がりに形成される)ため、製造設備全体の簡素化や製造作業性の向上を図ることができ、結果として、コストの抑制や生産性の向上等を図ることができる。
また、連結部21は本体部11の内周側に凸形状となっている。このため、例えば、前縦辺部7及び後縦辺部8の基底部14から連結部21がドアフレーム2の外周側に突出することに起因して、連結部21がサッシュ部DS及びチャンネル部DC(の底面)等に圧接し、連結部21の反発力によりサッシュ部DS及びチャンネル部DCからガラスラン5が浮き上がってしまうといった事態を抑止することができる。従って、当該構成を採用することで、サッシュ部DSのうちガラスラン5の縦辺部7、8が取付けられる部位のドアフレーム2の外周側にスペースのない自動車に対しても好適にガラスラン5を取付けることができる。
また、連結部21は、基底部14におけるドアガラスGの端面の対向部位から外れた位置(ドアガラスGの内側面よりも車内側)において設けられている。このため、連結部21がドアガラスGと接触することに起因して、ドアガラスGの摺動時の抵抗が増大する等の不具合を招いてしまうといったおそれを防止することができる。
さらに、車内外方向における連結部21の形成位置は、ガラスラン5の長手方向全域においていずれの部位においても一定(同一平面上)となっている。このため、連結部21の位置がずれていることで連結部21を収縮させ難くなったり、無理やりに収縮させる(折り畳む)ことで連結部21、ひいては本体部11の断面形状がいびつに変形したりするといった事態を抑制することができる。従って、取付状態の安定化、取付作業性の向上、シール性の向上等を図ることができる。
加えて、例えば、連結部21がガラスラン5の長手方向において部分的に設けられている場合、連結部21を収縮させた状態において、連結部21の肉厚や連結部21の反発力に起因して、連結部21が存在する部位と存在しない部位とで基底部14の横幅が変化してしまう(基底部14の車内外方向への収縮量が変わってしまう)おそれがある。これに対し、本実施形態によれば、連結部21はガラスラン5の長手方向全域に設けられている。このため、ガラスラン5の長手方向全域において基底部14の横幅をほぼ均一にすることができ、取付状態の安定化等を図ることができる。
また、ガラスラン5は、車内外方向における第1可変部21aの付根部の位置及び第2可変部21bの付根部の位置が、ガラスラン5の長手方向のいずれの部位においても同じ位置となるように型成形される。このため、連結部21を収縮させた場合に、連結部21の変形量を揃えることができ、ガラスラン5の長手方向において部分的に連結部21の断面形状が意図していない形状に変形してしまう(ガラスラン5の長手方向において部分的に第1可変部21aと第2可変部21bとが離間し易くなったり、連結部21が凹凸してしまったりする)といった事態を防止することができる。
さらに、第1可変部21a及び第2可変部21bは略直線状に成形されるとともに、連結部21の劣角側には、第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部に沿って溝状部24が形成され、当該溝状部24により第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部付近の肉厚がその他の部位よりも薄肉となっている。このため、伸長状態での断面略V字状の連結部21を収縮させる(折り畳む;断面略I字状とする)ことで、連結部21の先端部側(第1可変部21aと第2可変部21bとの境界部付近)が膨らんでしまうといった事態を防止することができる。従って、連結部21がドアガラスGと接触してドアガラスGの摺動性が低下したり、連結部21によって車内側シールリップ13の動作が阻害されたりしてしまう等の不具合をより確実に防止することができる。
加えて、第1可変部21a及び第2可変部21bは、車外側基底部14a及び車内側基底部14bのうち互いに対向する面の本体部11の外周側の部位からそれぞれ延出し、第1可変部21aと第2可変部21bとの固着状態(連結部21の収縮状態)において、第1可変部21a及び第2可変部21bの付根部側の部位が、車外側基底部14aと車内側基底部14bとに挟まれるように構成されている。すなわち、第1可変部21a及び第2可変部21bの付根部側の部位の側面と、車外側基底部14aの車内側端面及び車内側基底部14bの車外側端面とが当接することとなる。このため、連結部21を収縮させた際に連結部21が傾倒しようとしても、第1可変部21a及び第2可変部21bの側面が車外側基底部14a及び車内側基底部14bの端面と当接して傾倒が防止される。従って、連結部21とドアガラスGとの干渉を確実に防止することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、フロントドアのガラスラン5に関して特に詳しく説明しているが、リアドア等のガラスランに適用してもよい。尚、センターピラーを具備する自動車(例えば、セダンタイプ)のリアドアに関しては、ガラスラン5のうち前縦辺部に対応する部位に、上記実施形態の後縦辺部8と同様の構成を適用することが望ましい。
また、上辺部6や前縦辺部7において、側壁部15、16との間にフランジ収容部33、34が形成される程度の比較的大きな意匠リップ17、18を具備するガラスラン5に適用してもよい。さらに、側壁部15、16の延出長や意匠リップ17、18の延出長がほぼ同じガラスラン5に適用してもよい。この場合、車外側フランジ収容部33に関し、車外側側壁部15に車外側凹部37を形成するのではなく、車外側意匠リップ17に凹部を形成するようにしてもよい。
(b)上記実施形態のサッシュ部DSは、アウタパネル51(車外側フランジ部55)とインナパネル52(車内側フランジ部56)との間にチャンネル部材57を設けることで構成されているが、これに限らず、例えば、チャンネル部材57を介在させないタイプ(チャンネルレス構造)や、アウタパネル51(又はインナパネル52)の端部に断面略コ字状のモール部材を取付けるタイプ(ヒドンタイプ)や、アウタパネル51(又はインナパネル52)の端部を断面略コ字状に折り曲げ形成するタイプなど他の構成を採用してもよい。
(c)上記実施形態において、型成形後の工程において、第1可変部21aと第2可変部21bとを互いに面で当接した状態で固着することとしてもよい。この場合、サッシュ部DS及びチャンネル部DCの取付けに際し、連結部21の反発力に抗して連結部21の収縮状態を維持しておくといった必要がなく、取付作業性の向上を図ることができる。加えて、第1可変部21aと第2可変部21bとが互いに固着されていることから、ガラスラン5をサッシュ部DS及びチャンネル部DCに押込む際等に、車内側側壁部16側の部位と車外側側壁部15側の部位とがドアガラスGの外周方向においてずれてしまうといった事態を防止することができる。従って、取付作業性の向上を図ることができるとともに、サッシュ部DS及びチャンネル部DCに対してガラスラン5を的確に取付けることができる。さらに、連結部21の内側に中空部が形成されるようにして連結部21が膨らみ、連結部21がドアガラスGと干渉して、ドアガラスGの摺動性を低下させてしまうといったおそれを抑制することができる。
また、第1可変部21a及び第2可変部21bのうち互いに対向する面全体が互いに固着されていることとしてもよい。この場合、断面略V字状の連結部21を収縮させた(折り畳んだ;断面略I字状に形成した)状態において、第1可変部21aと第2可変部21bとが部分的に離間してしまい(中空部ができてしまい)、連結部21が膨らんでしまうといった事態を防止することができる。従って、連結部21がドアガラスGと干渉してドアガラスGの摺動性が低下したり、連結部21によって車内側シールリップ13の動作が阻害されたりしてしまう等の不具合をより確実に防止することができる。さらに、ガラスラン5の長手方向全域において第1可変部21aと第2可変部21bとが互いに接着されていることとしてもよい。尚、固着の方法としては、接着剤を用いた接着や、熱溶着、超音波溶着等が挙げられる。
(d)また、上記実施形態では、ガラスラン5をTPVにより構成しているが、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)や、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の別の素材により構成してもよい。尚、ガラスラン5をTPVで構成することにより、第1可変部21aと第2可変部21bとを熱溶着したり超音波溶着したりすることが可能となる。また、ガラスラン5の構成材料としてEPDMよりも粘度の低いオレフィン系熱可塑性エラストマーを採用することで、ガラスラン5の構成材料を金型のキャビティの隅々にまで行き渡らせ易くなるため、金型構造の複雑化を抑制する等の作用効果が奏される。
(e)上記実施形態では、第1可変部21a及び第2可変部21bが、車外側基底部14a及び車内側基底部14bのうち互いに対向している面からそれぞれ延出しているが、例えば、第1可変部21a及び第2可変部21bを車外側基底部14a及び車内側基底部14bの内側面(本体部11の内周側の面)の側端部から延出させるよう構成してもよい。
1…自動車、2…ドアフレーム、5…ガラスラン、6…上辺部、7…前縦辺部、8…後縦辺部、11…本体部、12…車外側シールリップ、13…車内側シールリップ、14…基底部、14a…車外側基底部、14b…車内側基底部、15…車外側側壁部、16…車内側側壁部、21…連結部、21a…第1可変部、21b…第2可変部、24…溝状部、33…車外側フランジ収容部、34…車内側フランジ収容部、36…車内側凹部、37車外側凹部、38…車内側厚肉部、39…車外側厚肉部、55…車外側フランジ部、56…車内側フランジ部、57…チャンネル部材、DC…チャンネル部、DS…サッシュ部、G…ドアガラス。

Claims (5)

  1. 基底部と、該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部とを具備して断面略コ字状をなす本体部と、
    前記車内側側壁部及び前記車外側側壁部の略先端から前記本体部の内側に延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップと、
    前記基底部において形成され、成形時の伸長状態では断面略V字状に形成され、取付時の収縮状態では断面略I字状に形成される伸縮可能な連結部とを備え、
    前記本体部が、車両のドアフレームの内周に沿って設けられた互いに対向する一対の車内側フランジ部及び車外側フランジ部を具備する取付部に取着され、
    昇降するドアガラスの上縁部に対応する上辺部と、ドアガラスの前縁部及び後縁部に対応する前縦辺部及び後縦辺部とを具備する長手方向全域が型成形によって一体的に形成されるとともに、前記連結部が、前記本体部の長手方向全域にわたり連続して形成されてなるガラスランであって、
    前記車内側側壁部の略先端から前記本体部の外側に延び、前記車内側側壁部との間に、前記車内側フランジ部を挿入可能な車内側フランジ収容部を形成する車内側意匠リップと、
    前記車外側側壁部の略先端から前記本体部の外側に延び、前記車外側側壁部との間に、前記車外側フランジ部を挿入可能な車外側フランジ収容部を形成する車外側意匠リップとを備え、
    前記意匠リップ及び前記側壁部のうち少なくとも一方には、前記フランジ収容部を形成する面において、凹部が前記本体部の長手方向において所定距離を隔てて複数形成されていることを特徴とするガラスラン。
  2. 前記車内側側壁部の前記基底部からの延出長は前記車外側側壁部の前記基底部からの延出長よりも長く、かつ、
    前記車内側意匠リップ及び前記車内側シールリップは前記車外側意匠リップ及び前記車外側シールリップよりも大きく構成され、
    前記車内側フランジ収容部に関しては、前記車内側意匠リップに前記凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラスラン。
  3. 前記車内側意匠リップに対し、前記本体部の長手方向において所定距離を隔てて複数形成される前記凹部の各々の間は、リブ状の厚肉部に形成され、
    前記厚肉部は、前記車内側意匠リップの延出方向の先端まで延出して形成されていることを特徴とする請求項2に記載のガラスラン。
  4. 上記請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガラスランの製造方法であって、
    前記型成形に際し、前記フランジ収容部を成形するための金型部材として、前記意匠リップ及び前記側壁部の少なくとも一方に前記凹部を成形するための成形凸部を備え、当該成形凸部が形成された部位がこれに隣接する部位よりも厚肉となっている金型部材を用いることを特徴とするガラスランの製造方法。
  5. 前記成形凸部は、該成形凸部が形成されている金型部材のスライド方向に対して、その長辺側が平行になるように略直方体形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のガラスランの製造方法。
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