JP2004168117A - ガラスランチャンネル - Google Patents

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JP2004168117A JP2002334107A JP2002334107A JP2004168117A JP 2004168117 A JP2004168117 A JP 2004168117A JP 2002334107 A JP2002334107 A JP 2002334107A JP 2002334107 A JP2002334107 A JP 2002334107A JP 2004168117 A JP2004168117 A JP 2004168117A
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Gakuji Shin
学治 進
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Abstract

【課題】製造工程を簡略化することができ、耐久性、閉鎖時における窓ガラスとの密閉性、および開閉時における窓ガラスとの軽快摺動性に優れ、さらに成形性に優れ、目やにの発生が少なく、耐傷付き性、耐油性に優れたガラスランチャンネルを提供する。
【解決手段】断面形状が溝状の本体部と、その側壁頂部付近から中心側に向かって張出した舌片状の水切り部とから構成されたガラスランチャンネルであって、その水切り部のガラスに接触する部分が、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる基材層と滑性樹脂からなる表面層との積層体から構成されていることを特徴とするガラスランチャンネル。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスランチャンネルに関する。詳しくは、スチレン系熱可塑性エラストマー製基材層と滑性樹脂表面層とからなる積層体により構成される窓ガラス摺接部を備えたガラスランチャンネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の窓ガラスにおいては、通風換気、あるいは車輌外部との通話などのために、昇降による開閉操作が必要である。この場合の窓ガラスの昇降開閉操作を容易にしながら、しかも窓ガラスと窓枠との間の密閉性の保持を可能とするために、通常、窓ガラスと窓枠との間にガラスランチャンネルと呼ばれる案内部材を設けている。
【0003】
従来、ガラスランチャンネルとしては、軟質塩化ビニル樹脂のような軟質合成樹脂や、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム等の加硫ゴムで形成された、断面形状が溝状の本体と、その側壁頂部付近から中心側へ向かって張出した舌片状の水切り部とからなるものが知られている。これらのガラスランチャンネルでは、水切り部と窓ガラスとの離れを良好にし、窓ガラスの汚れを防止するために、摺動部の表面にナイロンフィルム等が貼合わせられており、また窓ガラスとの接触面積を少なくするために、上記ナイロンフィルム等の積層の前または後に、エンボス加工が施されている。
【0004】
このようなガラスランチャンネルは、その製造にあたって、上述した軟質合成樹脂または加硫ゴムとナイロンフィルムとの間に接着性がないため、軟質合成樹脂または加硫ゴムでガラスランチャンネルの本体を成形し、得られた成形体に接着剤を塗布した後、ナイロンフィルムを貼合わせるという工程が必要であり、さらに、この接着の前または後にエンボス加工を行なわなければならないため、工程数が多く、しかも手間を要するという不都合がある。
【0005】
また、同時に、接着剤による積層工程があることから、耐久性にも問題があり、経時および屋外曝露等により表面フィルム層と基体との間で剥離を生じやすいという欠点もある。さらに、エンボス加工で形成させ得る凹凸模様は未だ微細さと均一さとの組合せにおいて十分満足のいくものではなく、閉鎖時における窓ガラス摺動部と窓ガラスとの間の密閉性、および開閉動作時における窓ガラス摺動部と窓ガラスとの間の軽快摺動性についても未だ改善すべき点が残されていた。
【0006】
そこで、従来のガラスランチャンネルの上記のような問題点を解決すべく、ポリオレフィン系樹脂とエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムの混合物を動的に架橋したオレフィン系熱可塑性エラストマーに滑性樹脂層として超高分子量オレフィン組成物を積層させたガラスランチャンネルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、これらの検討にもかかわらず、本発明者の検討によると、このようなオレフィン系熱可塑性エラストマーを基材とするガラスランチャンネルは成形時にダイス出口への付着物(目やに)が多く発生し、成型品表面を汚染し、これを除去するために押出機を停止して清掃するため生産性が低下する等の問題が指摘されており、また、耐傷付き性が悪く、耐油性が劣り、誤って油がかかると膨潤したり劣化したりして、ガラスランチャンネルとしての機能に不具合が発生する場合があった。
【0008】
【特許文献1】
特許3210066号公報(段落(0009)〜(0010))
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、製造工程を簡略化することができ、耐久性、閉鎖時における窓ガラスとの密閉性、および開閉時における窓ガラスとの軽快摺動性に優れ、さらに成形性に優れ、目やにの発生が少なく、耐傷付き性、耐油性に優れたガラスランチャンネルを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の箇所に特定のスチレン系熱可塑性エラストマーを用いることにより、上記のような従来技術に伴う問題点が解決されることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は、断面形状が溝状の本体部と、その側壁頂部付近から中心側に向かって張出した舌片状の水切り部とから構成されたガラスランチャンネルであって、その水切り部のガラスに接触する部分が、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる基材層と滑性樹脂からなる表面層との積層体から構成されてなることを特徴とするガラスランチャンネル、に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、詳細に説明する。
[I]ガラスランチャンネルの構造
本発明に係るガラスランチャンネルの一例を図に基づいて具体的に説明する。図1において、ガラスランチャンネル1は、断面形状が溝状(コの字型)の本体2と、その側壁部頂部付近から中心側へ向かって張出した舌片状の水切り部3とからなっている。この一対の水切り部3,3は、本体2の溝の内方へ向けて傾斜して延びており、その外面側が窓ガラス接触部4となっており、その先端5,5は、互いに開閉可能な位置関係にある。本体2は、その外側壁に窓枠への取付け用フック6が設けられている。
【0012】
この本体2および水切り部3はエラストマーで一体に成形されているが、本発明によれば、少なくとも窓ガラス接触部4を、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる基材層と特定の滑性樹脂からなる表面層との積層体で構成する。この窓ガラス接触部4を拡大して示す図2のように、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる基材層7の表面8は、微細な凹凸の繰返し模様が施されていることが好ましい。このようなシャークスキン状の微小凹凸模様を有する表面8に対して、滑性樹脂からなる表面層9が熱融着により積層され、その外表面10には同様の微細な凹凸の繰返し模様が施されていることが好ましい。
【0013】
このガラスランチャンネルの自動車への取付けを説明するための図3、図4および図5において、自動車のドア11には昇降動により開閉可能に窓ガラス12が設けられており、一方、窓枠13に対してガラスランチャンネル1が固定されている。すなわち、図4および図5において、窓枠13は、全体として断面がコの字型に成形され、その凹部14の入口部分には内方への突起部15が形成されている。この凹部14にガラスランチャンネル1を挿入し、その係合用フック6と上記突起部15とを係合させることにより、窓枠13へのガラスランチャンネル1の固定が行なわれる。図4に示すように、窓ガラス12を降下させた状態では、ガラス摺動部の先端5,5は互いに対面して閉じており、また、図5に示すように、窓ガラス12の上昇状態では、窓ガラス摺動部の先端5,5は、これらの間に嵌挿された窓ガラス12により分離されているが、窓ガラス面とは接触した状態となっている。
【0014】
本発明によれば、ガラスランチャンネル1の内、少なくとも窓ガラスと接触する部分にスチレン系熱可塑性エラストマーからなる基材層7と、この基材層7の表面に設けられた滑性樹脂からなる表面層9とを有する積層体を用いる。すなわち、本発明で用いられるスチレン系熱可塑性エラストマーは、任意の形状および寸法に熱成形することが可能であるとともに、ガラスランチャンネルの窓ガラス摺動部に要求される弾性、柔軟性、可圧縮性などの特性に優れており、しかも、耐久性、耐候性、耐水性などの性質にも優れている。スチレン系熱可塑性エラストマーは、一般に表面層となる滑性樹脂に対し、優れた接着性を示し、この表面層9と、例えば熱融着等により積層することで、接着直後および経時後の層間接着強度、さらには、耐候試験後の層間接着強度に優れた積層体を形成させることができる。しかも、本発明で基材層7として用いられるスチレン系熱可塑性エラストマーは、シャークスキン状の成形外観を呈するように成形することも可能であり、この成形工程と、基材層7と滑性樹脂からなる表面層9との熱融着工程とを組合わせることにより、表面層9の外表面にシャークスキン状の微小凹凸模様を忠実に再現することもできる。このようなシャークスキン状の微小凹凸模様表面の写し出しは、従来の接着剤塗布方式では極めて困難であり、上記成形工程と熱融着工程との組合せによりはじめて可能となった。
【0015】
上述した構成を採用することにより、本発明によれば、接着剤の塗布工程、接着剤の硬化ないし焼付工程、その前あるいは後におけるエンボス加工工程がすべて省略できされ、少ない工程数と少ない手間とでガラスランチャンネルを効率よく製造することができる。また、滑性樹脂からなる表面層9を設けることにより、窓ガラスとの摩擦係数を低減させることができるだけでなく、従来のエンボス加工による凹凸模様に比して、ピッチが均一で、しかもシャークスキン状の微細な凹凸を表面に形成させることが可能となった。したがって、本発明に係るガラスランチャンネルにおいては、窓ガラスの閉鎖時には窓ガラスとの緊密(液密)な接触が可能となるとともに、窓ガラスの開閉時にはその摺動抵抗を低減させて、円滑軽快な開閉操作が可能となる。
[II]配合成分及び配合割合
以下、本発明のガラスランチャンネルを構成する各材料につき詳細に説明する。
(1)スチレン系熱可塑性エラストマー
本発明に用いるスチレン系熱可塑性エラストマーの組成は特に限定されるものではないが、以下の成分(イ)、(ロ)、(ハ)を特定の割合で含むものが好ましい。以下に各成分とそれらの配合割合について説明する。
1)成分(イ)
本発明で使用する成分(イ)は、下記の一般式(I)で表されるブロック共重合体および/またはこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
【0016】
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
上記ブロック共重合体において、ビニル芳香族炭化水素の重合体であるAブロックはハードセグメント、エラストマー性重合体であるBブロックはソフトセグメントを構成する。ブロック共重合体の代表例は、A−B又はA−B−Aで表される共重合体構造を有し、Bブロックの二重結合が部分的に或いは完全に水素添加されていてもよいブロック共重合体であって、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られている。
【0017】
上記のAブロックにおけるビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
上記のBブロックを構成するモノマーとしては、エラストマー性が発現される限り、その種類は特に制限されないが、共役ジエンからなるものが好ましい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、特に、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの2/8〜6/4重量割合の混合物が好ましい。
【0018】
ブロック共重合体中、Aブロックの含有量は、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。Aブロックの含有量が前記範囲未満では、得られるスチレン系熱可塑性エラストマー表皮シートの機械的強度や耐熱性が劣る傾向となり、一方、前記範囲超過では、得られるスチレン系熱可塑性エラストマー表皮シートの柔軟性、ゴム弾性が劣ると共に、後述する(ロ)成分の炭化水素系ゴム用軟化剤のブリードが生じ易い傾向となる。
【0019】
共役ジエンとしてブタジエンのみが用いられている場合、熱可塑性エラストマーとしてのゴム弾性を保持する面から、Bブロックにおける共役ジエンの1,2−結合の割合は、通常20〜50%、好ましくは25〜45%である。
また、成分(イ)は上記ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体であることが好ましい。この時のBブロックの二重結合の水素添加率は、30%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは90%以上である。水素添加率が前記範囲未満では、成型品の耐候性、耐熱性が劣る傾向となる。
【0020】
本発明におけるブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の分子量として、8.0万〜100万であるが、好ましくは、10万〜50万、更に好ましくは、15万〜40万である。重量平均分子量が8.0万未満の場合は、得られる積層体のゴム弾性、機械的強度が低下し、成形加工性も劣る傾向となる。一方、重量平均分子量が100万超過の場合は、得られる積層体の成形加工が困難となることが多い。
【0021】
上記ブロック共重合体の製造方法は、上記の構造・物性が得られる限り、如何なる方法であってもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法、即ち、リチウム触媒の存在下に不活性溶媒中でブロック重合を行う方法を採用することができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。
【0022】
また、上記のようなブロック共重合体は、スチレン又はその誘導体とエラストマー性ブロックを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることも出来る。また、ジリチウム化合物を開始剤としてエラストマー性ブロックを重合し、次いで、スチレン又はその誘導体を逐次重合して得ることも出来る。
上記の様なブロック共重合体の市販品としては、「KRATON−G」(クレイトンポリマー社)、「セプトン」(株式会社クラレ)、「タフテック」(旭化成株式会社)等の商品が例示できる。
2)成分(ロ)
本発明で使用する成分(ロ)は、炭化水素系ゴム用軟化剤である。炭化水素系ゴム用軟化剤としては、重量平均分子量が通常300〜2,000、好ましくは500〜1,500の炭化水素が使用され、鉱物油系炭化水素または合成樹脂系炭化水素が好適である。
【0023】
一般に、鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素、及びパラフィン系炭化水素の混合物である。全炭素量に対し、芳香族炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼ばれる。本発明においては、パラフィン系オイルが好適に使用される。
【0024】
パラフィン系オイルの40℃での動粘度は通常20〜800cSt(センチストークス)、好ましくは50〜600cSt、流動点は通常−40〜0℃、好ましくは−30〜0℃、引火点(COC)は通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃である。炭化水素系ゴム用軟化剤(ロ)は、得られる組成物の流動性を向上して成形加工性に寄与すると共に得られるシートの柔軟性向上にも寄与する。
3)成分(ハ)
本発明で使用する成分(ハ)は、オレフィン系樹脂である。オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合樹脂等が挙げられるが、プロピレン系樹脂が好適に用いられる。プロピレン系樹脂の具体例としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂等が挙げられる。重合様式は、樹脂状物が得られる限り、如何なる重合様式を採用しても差し支えない。
【0025】
上記のプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)は、通常0.05〜200g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分である。メルトフローレートが上記範囲未満のものを用いた場合は、得られる組成物の成形性が悪化して外観に不良が生じやすく、積層体の二次加工時における均一延展性が不良となることがあり、上記範囲を超えるものを用いた場合は、得られる組成物の機械的特性、特に引張破壊強度が低下する傾向となる。
4)配合割合
本発明において、上記各成分の組成割合は次の通りである。すなわち、成分(イ)と成分(ロ)の配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、好ましくは(イ)/(ロ)=25/75〜70/30である。(イ)/(ロ)の比率で成分(イ)が20/80より少ない場合は、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が劣ると共に、軟化剤の耐ブリード性が低下し、成分(イ)が80/20超過の場合は、得られる組成物の柔軟性および成形加工性が劣る。一方成分(ハ)の割合は、成分(イ)及び(ロ)の合計量100重量部あたり、1〜300重量部、好ましくは5〜200重量部であり、特に好ましくは10〜100重量部である。成分(ハ)の量が1重量部未満の場合は得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形加工性が劣り、300重量部超過の場合は得られる組成物の柔軟性およびゴム弾性が劣る。
5)その他の配合成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。酸化防止剤として、例えば、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール等のビスフェノール系、1,1,3−トリス(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のトリ以上のポリフェノール系、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のチオビスフェノール系、アルドール−α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン等のナフチルアミン系、p−イソプロポキシジフェニルアミン等のジフェニルアミン系、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系のもの等が挙げられる。これらの中では、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリ以上のポリフェノール系、チオビスフェノール系の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の使用割合は、成分(イ)〜(ハ)の合計量に対し、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%である。この添加量が0.01重量%未満では、酸化防止剤の効果が得られにくく、また5重量%を越すと添加量の増大に見合う効果の向上が得られず経済的に不利になるか、着色などの影響が出る場合がある。
【0026】
また、本発明における組成物には、本発明の目的、効果を損わない範囲内において、必要に応じて、各種樹脂やゴム、及び、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、タルク、マイカ、シリカ、チタニア、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の充填剤、並びに、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、分散剤、難燃剤、導電性付与剤、着色剤等を含有していてもよく、これらは、前記成分(イ)〜(ハ)のいずれかに予め含有させておくか、又は、各成分を均一に混合時、溶融混練時或いは動的熱処理時に配合される。
6)スチレン系熱可塑性エラストマーの架橋形成
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマーは、前記成分(イ)〜(ハ)を含有し、成分(イ)のソフトセグメントが少なくとも部分的に架橋されていることが好ましい。成分(イ)のハードセグメントにより形成される擬似的な架橋点があるものの、架橋点の数に限度があるため、ソフトセグメントが架橋構造を有することによりスチレン系熱可塑性エラストマーの耐熱性、耐油性を向上させることが可能となる。このような架橋構造を形成するためには、動的な熱処理を行うことが好ましい。
【0027】
ここに、動的熱処理とは溶融状態又は半溶融状態で混練することを指す。通常、動的熱処理は、前記成分(イ)、(ロ)、及び(ハ)を均一に混合した後、必要に応じて架橋剤、架橋助剤の存在下に溶融混練することによって行なわれる。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等が使用される。混練温度は通常、100〜300℃、好ましくは110〜280℃であり、混練時間は、10秒〜30分、好ましくは20秒〜20分間である。また、動的熱処理時の材料の状態は使用する材料の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融状態または溶融状態となるが、特に制限されない。混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また任意の成分を混練した後、他の残りの成分を添加して混練する多段分割混練法を用いても良い。
【0028】
この動的熱処理の際に用いる架橋剤としては有機過酸化物、硫黄、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤、オキシム類、ポリアミン等が用いられるが有機過酸化物、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤が好ましく、特に有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられる。これらの中では、1分間の半減期温度が140℃以上の有機過酸化物が好ましく、例えば、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
【0029】
前記の架橋助剤としては、例えば、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン、m−フェニレンビスマレイミド等の過酸化物架橋用助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0030】
動的熱処理に用いる有機過酸化物の使用割合としては、通常0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部であり、架橋助剤の使用割合は0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
前述の、「部分的に架橋された」とは、下記の方法で測定したゲル分率(シクロヘキサン不溶解分)が10%以上98%未満である場合をいう。ゲル分率が98%以上である場合は、完全に架橋された、という。本発明における組成物のゲル分率は、30%以上であることが好ましい。
【0031】
組成物のゲル分率(シクロヘキサン不溶解分)は、組成物を約100mg秤量し、50mlのシクロヘキサンに23℃で48時間含浸後、濾過し、濾過残分を室温にて72時間乾燥させ、組成物中のフィラー等の灰分(シクロヘキサン不溶性)量で補正したポリマー成分の重量変化率より求めることができる。
(2)滑性樹脂
本発明で用いられる滑性樹脂は、前記スチレン系熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂の混合物、又はポリアミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂及び熱可塑性ポリエステル樹脂等である。滑性樹脂としてポリアミド樹脂、又は熱可塑性ポリウレタン樹脂又は熱可塑性ポリエステル樹脂を用いる場合は、基材層との熱融着性を上げるために、前記スチレン系熱可塑性エラストマーを変性する必要があるが、滑性樹脂としてスチレン系熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂の混合物を用いる場合は容易に熱融着するため変性する必要が無く、経済的であり、好ましい。
【0032】
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(低圧法ポリエチレン)、低密度ポリエチレン(高圧法ポリエチレン)、線状低密度ポリエチレン(エチレンと少量の好ましくは1〜10モル%のブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などのα−オレフィンとのコポリマー)などのポリエチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エステルコポリマーなどの中から選ばれた1種又は2種以上が好ましく用いられる。中で特に好ましいのは低密度ポリエチレン若しくは直鎖状低密度ポリエチレンである。
【0033】
また、これらの滑性樹脂を構成するスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、前記基材層に用いられるものと同じ熱可塑性エラストマー組成物を用いることができる。
滑性樹脂として用いるスチレン系熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂との混合物の組成は、スチレン系熱可塑性エラストマーが50〜90重量%、ポリエチレン系樹脂が50〜10重量%(総重量を100重量%とする)であるのが好ましく、より好ましくはスチレン系熱可塑性エラストマーが55〜88重量%、ポリエチレン系樹脂が45〜12重量%である。スチレン系熱可塑性エラストマーが50重量%未満では基材層のスチレン系熱可塑性エラストマーとの融着が不充分になる傾向になり、一方スチレン系熱可塑性エラストマーを90重量%を越えて配合すると、摺動性が不足する傾向になる。
【0034】
また、滑性樹脂にその100重量部あたり、0.05重量部〜5.0重量部の脂肪酸アミドを添加することが摺動性を良くするために効果的である。
上記の滑性樹脂には、必要に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤などの添加物を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0035】
上記のスチレン系熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂との混合物からなる滑性樹脂は、上記スチレン系熱可塑性エラストマー組成物、ポリエチレン系樹脂および必要に応じて用いられる上記の他の成分を動的に熱処理することにより得ることができる。そのための装置、配合助剤は、上述のスチレン系熱可塑性エラストマーの場合と同様である。また、成形前にドライブレンドして用いることも可能である。
[III]ガラスランチャンネルの製造
上記の滑性樹脂は、上記スチレン系熱可塑性エラストマーとの共押出積層加工が行なえるため、本発明のガラスランチャンネルの製造に際し、フィルム(シート)成形工程を経ることなく、直接、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる基材層と滑性樹脂からなる表面層とを積層することができ、経済的である。一方、ポリエチレン系樹脂単独では、上記スチレン系熱可塑性エラストマーとの共押出積層加工を行なうことはできないため、上記のスチレン系熱可塑性エラストマーからなる基材層との積層に際しては、少なくとも一方を予めフィルム(シート)にしておく必要があり、上記の場合と比較すると工程が多くなり経済性に劣る。
【0036】
本発明のガラスランチャンネルにおいて、水切り部3は本体2と同一材質からなることが好ましい。本体2がスチレン系熱可塑性エラストマーからなっている場合には、水切り部3も同一材質で成形すれば、耐久性の点でも、滑性樹脂からなる表層9との接合強度の点でも十分に実用に耐える。
本発明に係るガラスランチャンネルにおいて用いることのできるシャークスキン(サメ肌)は、原料スチレン系熱可塑性エラストマーの性状を適当に選ぶことにより、成形時に発現させ得る。得られたシャークスキンの外観は樹脂やエラストマーの押出成形時に見られることのあるメルトフラクチャーとは異なり、成形品の肌が周期的に荒れて微細な凹凸を生じている。
【0037】
また、このシャークスキンの上に施された滑性樹脂からなる表層9表面にも、シャークスキンが現出していることが必要で、表層9の厚さは、通常3〜50μmとなるように積層する。また、本発明においては、必要に応じて、表層9の厚さをさらに厚くすることもできるし、また薄くすることもできる。
なお、水切り部3が窓ガラス12と接触する部位は、窓ガラス12の進入時と退出時とでは一般に異なるから、滑性樹脂による被覆および必要に応じて施されるシャークスキンの形成は、水切り部3の比較的広い範囲に施しておくことが好ましい。
【0038】
また、図1に示す具体例では、本体2の内部には、窓ガラス端部と当接する部分16があるが、この部分16にも、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる本体2表面に、滑性樹脂からなる表層9を設けることができる。
さらに、本発明においては、上記滑性樹脂からなる表層9の表面に起毛が存在していてもよい。上記起毛の加飾方法としては、(1)エメリーペーパーによるバフ掛けをして表層表面を起毛加飾する方法、(2)針布ロール通しをして表層表面を起毛加飾する方法、(3)ベルトサンダーもしくはドラムサンダーなどによるサンディングをして表層表面を起毛加飾する方法、(4)特開昭62−275,732号公報に記載されている熱微小体を衝突させて表層表面を起毛加飾する方法など、従来公知の起毛加飾方法が用いられる。
【0039】
【実施例】
以下に本発明の具体的様態を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。以下の諸例で使用した材料および評価方法は以下に示すとおりである。
<原材料>
成分(イ−1):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量33重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量245,000)。
成分(イ−2):スチレンブロック−ブタジエン/イソプレンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエン/イソプレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量30重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量243,000)。
成分(イ−3)(比較例用):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量29重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量75,000)。
成分(ロ):パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産社製「PW380」)。
成分(ハ):プロピレン系樹脂(日本ポリケム社製、メルトフローレート0.9g/10分(230℃、21.2N荷重)
ポリエチレン系樹脂:エチレン系樹脂(日本ポリケム社製、直鎖状低密度ポリエチレン、メルトフローレート1.5g/10分(230℃、21.2N荷重)、密度0.930g/cm
架橋剤(POX):1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ社製「パーカドック14」)
架橋助剤(DVB):ジビニルベンゼン(三成化成社製、55%品)
<評価方法>
以下の(1)〜(3)の測定には40mmφの単軸押出機(三菱重工(株)製)を使用し、スクリュー回転数70rpm、温度210℃にて、スチレン系熱可塑性エラストマーを図1に示す形状の口金から押出成形してガラスランチャンネル本体および水切り部を成形するとともに、その表面に、上記スチレン熱可塑性エラストマー80重量%とポリエチレン系樹脂20重量%の合計100重量部に不飽和脂肪酸アミド(日本化成(株)社製「ダイヤミッドO200」)0.2重量部を混合した滑性樹脂を230℃にて共押出積層したガラスランチャンネルを用いた。
(1)押出成形加工性
押出成形の際、作業をする上で材料に起因する問題が無く、さらに得られたガラスランチャンネルの著しい外観不良が無い場合、成形加工性を「良好」とし、問題が生じる、或いは著しい外観不良が発生した場合、成形加工性を「不良」とした。
(2)目やに
上記成形加工時のダイス出口への付着物状況を目視観察し、以下に示す5段階で評価した。
【0040】
5…非常に少ない
4…少ない
3…普通
2…多い
1…非常に多い
(3)耐久試験
得られたガラスランチャンネルを試験窓枠に装着し、厚さ3mmの窓ガラスを嵌装して窓ガラス上下繰返し試験を行ない、破壊を生じるまでの繰り返し回数を測定した。40000回を越えた場合はそれ以上の試験は行わず、「40000以上」と記した。
(4)耐傷付き性
(株)東洋精機社製(テーバースクラッチテスタ)を用いて、ガラスランチャンネルのスチレン系熱可塑性エラストマー表面をタングステンカーバイト製のカッターで、加重300gにて引っ掻き、目視にて表面を観察し、以下に示す3段階で評価した。
【0041】
○…傷付かない
△…殆ど傷付かない
×…傷が付く
(5)耐油性
ガラスランチャンネルを軽質流動パラフィンに浸し、80℃で24時間放置した。浸せき後サンプルを取り出し、表面に付着したオイルをふき取り重量を測定した。そして下記式にて重量変化率を求めた。
【0042】
△W=(W2−W1)*100/W1
△W:重量変化率(%)
W1:浸せき前の空気中の質量
W2:浸せき後の空気中の質量
<実施例1〜4および比較例1〜2>
表1に示す配合量にて配合したエラストマー組成物の(イ)〜(ハ)成分の合計量100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.1重量部を添加し、更に表1に示す量のPOX、DVBを添加し、圧縮比L/Dが41、シリンダー径44mmの二軸押出機を用いて180℃の温度に設定して溶融混練し、これをダイよりストランド状に押し出し、カッティングして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られた熱可塑性エラストマーを用い、上記の評価を実施した。結果を表1に示す。
<比較例3>
ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムのブレンド物の動的架橋品であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(三菱化学社製サーモラン3602N)を用いて、上記の評価を実施した。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 2004168117
【0044】
<結果の評価>
1)比較例1では、重量平均分子量が本発明の範囲外である成分(イ−3)を用いているため、対応する実施例1、2に比較して成形加工性が悪く、耐久性、耐傷付き性、耐油性が劣っている。
2)比較例2では、重量平均分子量が本発明の範囲外である成分(イ−3)を用いているため、対応する実施例3、4に比較して成形加工性が悪く、耐久性、耐傷付き性、耐油性が劣っている。
3)比較例3では、本発明の範囲外であるオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いているため、対応する実施例1〜4に比較して目ヤニの発生、耐久性、耐傷付き性、耐油性が劣っている。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば接着剤の塗布工程、接着剤の硬化ないし焼付工程、およびその前後のエンボス加工工程をすべて省略することができ、それによって、工程数が少なく、経済性に優れたガラスランチャンネルを製造することができる。更に、成形性にすぐれ、目やにの発生が少なく、耐久性、閉鎖時における窓ガラスとの緊密接触性、および開閉操作時における軽快摺動性に優れ、耐傷付き性、耐油性に優れたガラスランチャンネルを提供することが可能であり、本発明の工業的価値は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るガラスランチャンネルの断面図である。
【図2】図2は、図1に示すガラスランチャンネルの窓ガラスとの接触部の拡大断面図である。
【図3】図3は、ガラスランチャンネルの自動車ドアへの取付けを説明する図である。
【図4】図4は、窓ガラスの開放時におけるガラスランチャンネルの状態を示す断面図である。
【図5】図5は、窓ガラスの閉鎖時におけるガラスランチャンネルの状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ・・・・・ガラスランチャンネル
2 ・・・・・ガラスランチャンネル本体
3 ・・・・・水切り部
4 ・・・・・窓ガラスとの接触部
7 ・・・・・スチレン系熱可塑性エラストマーからなる基材層
8 ・・・・・微小凹凸の繰返し模様(必要に応じて施される)を有する基材層表面
9 ・・・・・滑性樹脂層
10 ・・・微小凹凸の繰り返し模様(必要に応じて施される)を有する滑性樹脂層表面

Claims (8)

  1. 断面形状が溝状の本体部と、その側壁頂部付近から中心側に向かって張出した舌片状の水切り部とから構成されたガラスランチャンネルであって、その水切り部のガラスに接触する部分が、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる基材層と滑性樹脂からなる表面層との積層体から構成されていることを特徴とするガラスランチャンネル。
  2. 上記スチレン系熱可塑性エラストマーが、下記の成分(イ)〜(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)及び成分(ロ)の合計量100重量部に対する成分(ハ)の割合が1〜300重量部であるスチレン系熱可塑性エラストマー組成物である請求項1に記載のガラスランチャンネル。
    (イ)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、
    一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体
    一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
    (ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
    (ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤
    (ハ)オレフィン系樹脂
  3. 一般式(I)に記載のBブロックが共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックである請求項2に記載のガラスランチャンネル。
  4. 一般式(I)に記載のAブロックがスチレン重合体ブロックであり、Bブロックがブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック又はブタジエン・イソプレン重合体ブロックであり、かつ成分(イ)中のAブロックの割合が10〜50重量%である請求項2又は3に記載のガラスランチャンネル。
  5. 成分(ハ)が、プロピレン系樹脂である請求項2乃至4の何れか1項に記載のガラスランチャンネル。
  6. スチレン系熱可塑性エラストマーが、少なくとも部分的に架橋されたものである請求項1乃至5の何れか1項に記載のガラスランチャンネル。
  7. 上記滑性樹脂が、上記スチレン系熱可塑性エラストマー50〜90重量%及びポリエチレン系樹脂が50〜10重量%(ただし、両者の合計を100重量%とする)を含有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のガラスランチャンネル。
  8. 上記滑性樹脂が、上記スチレン系熱可塑性エラストマーと上記ポリエチレン系樹脂との合計100重量部に対して脂肪酸アミド0.05〜5.0重量部を含有する、請求項7に記載のガラスランチャンネル。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008179338A (ja) * 2006-12-27 2008-08-07 Toyoda Gosei Co Ltd ガラスラン及びその取付構造

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