JP3997863B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層体に関する。更に詳しくは、熱可塑性エラストマー層と基材層、好ましくは発泡体層を積層してなり、自動車用内装材などとして有効に使用される積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インストルメントパネル、ドアトリム等の表皮に使用される自動車内装用シートには、表面が皮革模様にエンボス加工されたポリ塩化ビニル層と発泡体層、及び必要に応じて樹脂基材層が順次積層された積層体が用いられてきた。しかしながら、自動車部品の軽量化、リサイクル性、易焼却性等の環境問題のニーズ、耐熱性、耐寒性、耐熱老化性、耐光性、臭気、見た目の安物感を解消するため、近年、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー材料(以下、単に「TPO」と略記する場合がある。)が実用に供され始めた。かかるTPOとして、例えば特開平6−1888号公報にはオレフィン系共重合ゴム、オレフィン系共重合体および結晶性パラフィンを含んでなる組成物をエラストマー層とするシート状成形体が開示されている。また、特許1658357号公報には架橋TPOとオレフィン系樹脂とのブレンド体からなり、表面がエンボス加工された熱可塑性エラストマー層と発泡体層の積層体が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のTPOを基材としたシート状積層体においては、押出成形時にダイス出口への付着物(目やに)が多く発生し、成型品表面を汚染し、これを除去するため押出機を停止して清掃するため生産性が低下する等の問題があった。更に、耐傷付き性が悪く、用途によっては使用が不可能であった。耐傷付き性を改良するために樹脂成分を増加させると硬度が上がり、所望のソフト感が得られない。また、従来のTPOを基材としたシート状積層体においては、一般に真空成形、圧空成形、スタンピング成形等の二次加工により賦形する際に、延展性が不足し、絞り比の大きい製品では、破れが生じたり、極端に薄肉になってしまう等の問題点があった。更に、インストルメントパネル、ドアトリム等の内装表皮材では皮革状の風合いを出したり、反射防止のためにその表面にシボ(エンボス模様)が施されるが、かかるシボ(エンボス模様)を予め付与したシートを真空成形等の二次加工に供すると、二次加工時の熱や変形によりシボ流れ(シボ(エンボス模様)が浅くなる現象)が生じ、シボ(エンボス模様)保持性に問題があった。また、かかるシボ流れを回避するために、シボ(エンボス模様)を施した雌金型を用いて真空成形する等の方法が採用されているが、かかる方法でも、金型のシボ深さに比べて成型品のシボが浅くなったりする問題があった。
【0004】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、耐傷付き性に優れるとともに、耐油性、ソフト感に優れ、均一延展性、シボ(エンボス模様)保持性に優れた積層体を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物と基材層を積層してなる積層体により、上記の目的を達成し得るとの知見を得、本発明の完成に至った。
即ち、本発明の要旨は、表面がエンボス加工された熱可塑性エラストマー層と基材層とを積層してなる積層体において、熱可塑性エラストマー層が下記の成分(a)〜(d)を含有し、成分(a)と成分(b)の割合が(a)/(b)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(a)及び(b)の合計100重量部あたり成分(c)を1〜300重量部、成分(d)を5〜1200重量部含有してなり、成分(a)〜(c)の混合物を溶融混練する動的熱処理を施した後、成分(d)を混合してなる熱可塑性エラストマー組成物からなる積層体の製造方法であって、成分(a)、(b)、及び(c)の混合物を溶融混練して動的熱処理を施した後、成分(d)を混合して熱可塑性エラストマーを得る工程、該熱可塑性エラストマー組成物を成形してシートとする工程、該シートと基材を積層して熱可塑性エラストマー層と基材層との積層体を成形する工程、及び該熱可塑性エラストマー層の表面にエンボス加工を施す工程、を含むことを特徴とする、積層体の製造方法に存する。
(a)重量平均分子量が8万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/またはこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体
【0006】
(B−A)nおよび/または(A−B)n (I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
【0007】
(b)炭化水素系ゴム用軟化剤
(c)プロピレン系樹脂
(d)エチレン系樹脂、またはエチレン系樹脂とプロピレン系樹脂の混合物
【0009】
【発明の実施の形態】
[1]配合成分及び配合割合
1)成分(a)
本発明で使用する成分(a)は、重量平均分子量が8万〜100万であるブロック共重合体であって、前記の一般式(I)で表されるブロック共重合体および/またはこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
【0010】
上記ブロック共重合体において、ビニル芳香族炭化水素の重合体Aブロックはハードセグメント、エラストマー性重合体Bブロックはソフトセグメントを構成する。ブロック共重合体の代表例は、A−B又はA−B−Aで表される共重合体構造を有し、Bブロックの二重結合が部分的に或いは完全に水素添加されていてもよいブロック共重合体であって、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られている。
【0011】
上記のビニル芳香族炭化水素の重合体Aブロックにおけるビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
上記のエラストマー性重合体Bブロックとしては、エラストマー性が発現される限り、その種類は特に制限されないが、共役ジエンからなるものが好ましい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、特に、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの2/8〜6/4重量割合の混合物が好ましい。
【0012】
ブロック共重合体中、ビニル芳香族炭化水素の重合体Aブロックの含有量は、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。Aブロックの含有量が前記範囲未満では、得られる積層体の機械的強度や耐熱性が劣る傾向となり、一方、前記範囲超過では、得られる積層体の柔軟性、ゴム弾性が劣ると共に、後述する(b)成分の炭化水素系ゴム用軟化剤のブリードが生じ易い傾向となる。
【0013】
共役ジエンとしてブタジエンのみが用いられている場合、熱可塑性エラストマーとしてのゴム弾性を保持する面から、エラストマー性重合体Bブロックにおける共役ジエンの1,2−結合の割合は、通常20〜50%、好ましくは25〜45%である。
また、成分(a)は水素添加して得られる水添ブロック共重合体であることが好ましい。この時のBブロックの二重結合の水素添加率は、30%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは90%以上である。水素添加率が前記範囲未満では、積層体として耐候性、耐熱性が劣る傾向となる。
【0014】
本発明におけるブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量として、8万〜100万であるが、好ましくは、10万〜50万、更に好ましくは、15万〜40万である。重量平均分子量が8万未満の場合は、得られる積層体のゴム弾性、機械的強度が劣り、成形加工性も劣る傾向となる。一方、重量平均分子量が100万超過の場合は、得られる積層体の成形加工性が劣ることとなる。
【0015】
上記ブロック共重合体の製造方法は、上記の構造・物性が得られる限り、如何なる方法であってもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法、即ち、リチウム触媒の存在下に不活性溶媒中でブロック重合を行う方法を採用することができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。
【0016】
また、上記のようなブロック共重合体は、スチレン又はその誘導体とエラストマー性ブロックを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることも出来る。また、ジリチウム化合物を開始剤としてエラストマー性ブロックを重合し、次いで、スチレン又はその誘導体を逐次重合して得ることも出来る。
上記の様なブロック共重合体の市販品としては、「KRATON−G」(シェル・ケミカル社)、「セプトン」(株式会社クラレ)、「タフテック」(旭化成株式会社)等の商品が例示できる。
2)成分(b)
本発明で使用する成分(b)は炭化水素系ゴム用軟化剤である。炭化水素系ゴム用軟化剤としては、重量平均分子量が通常300〜2,000、好ましくは500〜1,500の炭化水素が使用され、鉱物油系炭化水素または合成樹脂系炭化水素が好適である。
【0017】
一般に、鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素、及びパラフィン系炭化水素の混合物である。全炭素量に対し、芳香族炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼ばれる。本発明においては、パラフィン系オイルが好適に使用される。
【0018】
パラフィン系オイルの40℃での動粘度は通常20〜800cSt(センチストークス)、好ましくは50〜600cSt、流動点は通常−40〜0℃、好ましくは−30〜0℃、引火点(COC)は通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃である。炭化水素系ゴム用軟化剤(b)は、得られる組成物の流動性を向上して成形加工性に寄与すると共に得られるシートの柔軟性向上にも寄与する。
【0019】
3)成分(c)(オレフィン系樹脂1)
本発明で使用する成分(c)はオレフィン系樹脂である。オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系樹脂を挙げることができる。これらのオレフィン系樹脂の中でもオレフィン系樹脂1としては、プロピレン系樹脂が好適に用いられ、その具体例としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂等が例示できる。重合様式は、樹脂状物が得られればどのような重合様式を採用しても差し支えない。
これらのプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)は通常0.05〜200g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分である。メルトフローレートが上記範囲以外のものを用いたときには、積層体の二次加工時における均一延展性が不良となる傾向となる。
【0020】
4)成分(d)(オレフィン系樹脂2)
本発明で使用する成分(d)は成分(c)で使用されるものとは異なるオレフィン系樹脂である。成分(d)のオレフィン系樹脂としては、(c)成分の項で例示したものと同様に、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系樹脂を挙げることができる。シート成形時の成形性や耐熱性等の観点から、このオレフィン系樹脂2としてはエチレン系樹脂、またはプロピレン系樹脂とエチレン系樹脂の混合物が好ましく、特にエチレン系樹脂としては密度が0.910g/cm3未満のものと0.910g/cm3以上のものを併用することが成形性及びシートを真空成形したときに均一延展性の観点から好ましい。
【0021】
5)配合割合
本発明において、上記各成分の組成割合は次の通りである。すなわち、成分(a)と成分(b)の割合が(a)/(b)=20/80〜80/20の範囲であって、好ましくは(a)/(b)=25/75〜75/25である。成分(a)の割合が20重量%未満(成分(b)の割合が80重量%超過)の場合は、得られる組成物のゴム弾性が劣ると共に軟化剤の耐ブリード性が低下し、成分(a)の割合が80重量%超過(成分(b)の割合が20重量%未満)の場合は、得られる組成物の柔軟性および成形加工性が劣る。一方、成分(c)の割合は、成分(a)及び(b)の合計100重量部あたり、1〜300重量部、好ましくは10〜100重量部である。成分(c)の量が1重量部未満の場合は得られる組成物の成形加工性が劣り、300重量部超過の場合は得られる組成物の柔軟性およびゴム弾性が劣る。また、成分(d)の割合は、(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して、5〜1200重量部、好ましくは10〜1000重量部である。成分(d)が1200重量部を越えて添加すると、積層体の柔軟性が劣る傾向となり、5重量部未満では、積層体の真空成形性に不具合が生じる。
【0022】
[2]動的熱処理
1)動的熱処理方法
本発明の組成物は、前記成分(a)、(b)、(c)及び(d)を含有し、成分(a)〜(c)の混合物を特定の方法で動的に熱処理したのち、成分(d)を混合してなる熱可塑性エラストマー組成物である。動的熱処理を行って、少なくとも部分的に架橋されていることが好ましく、架橋構造を有することにより、積層体の耐熱性、耐油性等が改善される。従来から表層として用いられてきたTPOはラジカル発生剤の存在下に動的に熱処理することが必須であるのに対し、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックにより生じる疑似架橋のため、必ずしも必要ではないという特徴がある。しかしながら、本発明においても動的熱処理を行うことにより、積層体の耐熱性、耐油性を向上させることが可能となるので好ましい。
【0023】
ここに、動的熱処理とは溶融状態又は半溶融状態で混練することを指す。通常、動的熱処理は、前記成分(a)、(b)、(c)を均一に混合した後、必要に応じてラジカル発生剤、架橋助剤の存在下に溶融混練することによって行われる。そして、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等が使用される。混練温度は通常、100〜300℃、好ましくは110〜280℃であり、混練時間は、10秒〜30分、好ましくは20秒〜20分間である。また、動的熱処理時の材料の状態は使用する材料の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融状態または溶融状態となるが、特に制限されない。混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また任意の成分を混練した後、他の残りの成分を添加して混練する多段分割混練法を用いても良い。
【0024】
2)ラジカル発生剤及び架橋助剤
上記のラジカル発生剤としては、アゾ化合物や有機過酸化物等が例示できるが、中でも有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられる。これらの中では、1分間の半減期温度が140℃以上の有機過酸化物が好ましく、例えば、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
【0025】
前記の架橋助剤としては、例えば、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン、m−フェニレンビスマレイミド等の過酸化物架橋用助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0026】
動的熱処理に用いる有機過酸化物の使用割合としては、通常0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部であり、架橋助剤の使用割合は0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
3)ゲル分率
前述の、部分的に架橋されたとは、下記の方法で測定したゲル分率(シクロヘキサン不溶解分)が10%以上98%未満である場合をいう。ゲル分率が98%以上である場合は、完全に架橋された、という。本発明における組成物のゲル分率は、30%以上であることが好ましい。
【0027】
組成物のゲル分率(シクロヘキサン不溶解分)は、以下の方法により求めることが出来る。組成物を約100mg秤量し、50mlのシクロヘキサンに23℃で48時間含浸後、濾過し、濾過残分を室温にて72時間乾燥させる。これらの手順に従い、以下に説明する記号と式でゲル分率を求める。
ini:初めに秤量した熱可塑性エラストマー量(mg)
cini:Winiからシクロヘキサン可溶成分(軟化剤等)の重量、及びポリマー成分以外ののシクロヘキサン不溶成分(フィラー、充填剤等)の重量を減じた 重量(mg)
cxs:シクロヘキサン溶解、濾過、乾燥後の重量(mg)
ccxs:Wcxsから、ポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶成分(フィラー、充填剤等)の重量を減じた重量(mg)
Frf:熱可塑性エラストマーに含有されるポリマー成分以外のシクロヘキサン 不溶成分(フィラー、充填剤等)の分率。灰分測定によって求めることが 出来る。
Frs:熱可塑性エラストマーに含有されるポリマー成分以外のシクロヘキサン可溶成分(軟化剤等)の分率。GPC測定によって求められる。
G%:ゲル分率
【0028】
【数1】
cini=Wini*(1―Frf―Frs
ccxs=Wcxs―Wini*Frf
G%=Wccxs/Wcini*100
【0029】
4)成分(d)の配合
(d)成分は(a)〜(c)成分を動的に熱処理したあとに、押出機の上流側のホッパーと別個のより下流側に位置する注入口からシリンダー内に供給して更に熱処理し混合したり、或いは後述するシートの成形時にブレンドし混合することが出来る。
【0030】
このように、(a)成分、(b)成分、(c)成分及びラジカル発生剤を含む混合物を動的に熱処理して部分架橋させる際に、(d)成分を除いておくことにより、架橋時の樹脂成分の量が減少するため、発生したラジカルが効果的に成分(a)に作用して架橋度が高くなり、耐油性やゴム弾性が良好になる。また、後で加えられる(d)成分がプロピレン系樹脂の場合はラジカルによる分子鎖の切断を受けにくいため、組成物として機械的強度が高くなり、エチレン系樹脂の場合にはラジカル発生剤により架橋反応を起こさないためブツの発生が抑制され、シート外観の良好な成形品を得ることが出来る。
【0031】
5)その他配合剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、酸化防止剤を存在させることが好ましい。酸化防止剤として、例えば、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール等のビスフェノール系、1,1,3−トリス(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のトリ以上のポリフェノール系、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のチオビスフェノール系、アルドール−α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン等のナフチルアミン系、p−イソプロポキシジフェニルアミン等のジフェニルアミン系、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系のもの等が挙げられる。これらの中では、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリ以上のポリフェノール系、チオビスフェノール系の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の使用割合は、成分(a)〜(c)の合計量に対し、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%である。この添加量が0.01重量%未満では、酸化防止剤の効果が得られにくく、また5重量%を越すとその効果に改良が見られないか、着色など他の影響が生じる場合がある。
【0032】
また、本発明における組成物には、本発明の目的、効果を損わない範囲内において、必要に応じて、各種樹脂やゴム、及び、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、タルク、マイカ、シリカ、チタニア、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の充填剤、並びに、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、分散剤、難燃剤、導電性付与剤、着色剤等を含有していてもよく、これらは、前記(a)成分又は前記(b)成分又は前記(c)成分又は前記(d)成分のいずれかに予め含有させておくか、又は、各成分を均一に混合時、溶融混練時或いは動的熱処理時に配合される。
【0033】
[3]積層体の製造
1)基材層
本発明の基材層は、積層体に必要とされる性能に応じて自由に選択することが出来る。基材層によく使用されるものとしては、ポリプロピレンまたはポリエチレンに代表されるポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂、ポリスチレン、スチレン系弾性体(スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体水添物など)、紙、布、アルミシート等の金属箔などがあげられる。これら基材層に使用される材料は単独でも、2種以上の混合体でも良く、また、各種共重合体も利用することが出来、例示した限りではない。
【0034】
本発明の基材層は発泡体であることが好ましく、このような発泡体層は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはそれらの混合物の発泡体からなることが好ましい。更に好ましいのは、少なくとも部分的に架橋されている発泡体である。これらの発泡体を用いることにより、本発明の熱可塑性エラストマー層と強固に融着した積層体を得ることが出来る。発泡体の製造は、特公昭39−25500号公報、同40−25351号公報、同40−25352号公報などに記載されている通り、アジド架橋剤を用いて行われる他、放射線による架橋発泡体などでも可能である。また、市販されている架橋発泡体をそのまま使用することもできる。発泡体の発泡倍率は、積層体を自動車用内装材として用いる場合には、約5〜50倍程度であることが望ましい。
【0035】
2)積層体の成形
本発明の積層体は、表面がエンボス加工された前記の熱可塑性エラストマー層と発泡体層から成る。エンボス加工においては例えば以下の方法が使用される。押し出し成形法、カレンダー加工法などにより成形されたシートを溶融状態、或いは半溶融状態でシボ付け(エンボス模様加工)用ロールとゴムロール等の圧着ロールの間を通す方法、予め巻き取ったシートを加熱ドラム、赤外線ヒーターにより再加熱し、シボ付け(エンボス模様加工)用ロールとゴムロール等の圧着ロールの間を通す方法、エンボス模様を付した金型を用いてシートをプレスする方法、更にエンボス模様を付した雌雄金型を用いて真空成形することにより、シートの賦形と同時にシボ付け(エンボス模様加工)する方法である。なお、シボ(エンボス模様)とは、シートの表面が皮革状あるいは幾何学状等の凹凸の浮き出し模様にエンボス加工された状態をいう。
【0036】
本発明の熱可塑性エラストマー層と発泡体層との積層体は、例えば押し出し成形法、カレンダー加工法などにより成形された溶融状態或いは半溶融状態の熱可塑性エラストマーシートと発泡体シートとを重ね合わせて、一対のロール間を通すことにより製造することが出来る。その際、熱可塑性エラストマーシートはロール温度約30〜70度の(エンボス加工用)ロール側に、また発泡体シートは加熱されていない通常ロール側に接触させる。他には、一度押し出し冷却した熱可塑性エラストマーシートを再度加熱し、溶融状態もしくは半溶融状態にし上記と同様に積層する方法、シート状の熱可塑性エラストマーを発泡体シートと積層させた状態でプレスする方法、二層射出成型法などがある。
【0037】
本発明の積層体には、更に骨材、発泡体、織布、不織布、綿布、紙等を積層することができる。また、積層体の少なくとも一面にコート層を塗布することもできる。更に、これら積層体を真空成形、圧空成形等により、賦形させたものも本発明の積層体に含まれる。
3)用途
本発明の積層体は、皮革状あるいは幾何学状等の凹凸の浮き出し模様を施したシボ付き(エンボス模様加工の施された)のシート状成形体とすることができる。具体的には、内装用表皮材、特に自動車部品において内装部材に使用されるシート状表皮材として使用することが出来、より具体的には、インストルメントパネル、ドアトリム、コンソールボックス、天井材シート、ハンドルパッド等の表皮材や、座席用シート等に好適に使用することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。まず、実施例及び比較例で用いた材料及び評価方法を以下に示す。
【0039】
<原材料>
成分(a1);スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量33重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量245,000)。
成分(a2);スチレンブロック−ブタジエン/イソプレンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエン/イソプレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量30重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量243,000)。
成分(a3);スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の部分水素添加物(スチレン含有量31重量%、水素添加率56%、重量平均分子量100,000)。
【0040】
成分(a4)(比較例用);スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量29重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量75,000)。
成分(b);パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産社製「PW380」)。
成分(c);プロピレン重合体樹脂(メルトフローレート0.9g/10分)
成分(d):下記▲1▼〜▲3▼を1:1:1の割合で混合したもの
▲1▼プロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂(メルトフローレート1.2g/10分)
▲2▼エチレン系樹脂(メルトフローレート2.1g/10分、密度0.920g/cm3)
▲3▼エチレン系樹脂(メルトフローレート3.5g/10分、密度0.905g/cm3)
架橋剤(POX);1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン
架橋助剤(DVB);ジビニルベンゼン
【0041】
<成形方法>
(1)積層体の製造
熱可塑性エラストマー組成物を、渡辺加工機製の45mmφ押出機(シングルフライトタイプスクリュウ)のTダイから、シリンダー温度190℃、ダイス温度210℃、スクリュウ回転数70rpmの条件下、幅250mm、厚さ0.35mmのシートとして押し出し、続いてシボ付け(エンボス模様加工)用ロール(30℃)と圧着ゴムロールとの間を通す。このとき、ポリプロピレン樹脂の架橋発泡体シート(三菱化学(株)社製「TRCポリマー」発泡倍率10倍、厚さ1mm)を圧着ゴムロール側に重ね合わせて通し、熱可塑性エラストマー組成物とポリプロピレン樹脂の架橋発泡体の積層体を製造した。
(2)真空成形
積層体を赤外線ヒーターにより表面温度が100℃から130℃の温度になるまで加熱した後、展開率が200%となるように雌引き真空成形を行なった(成形機:(株)浅野研究所製「真空成形機 FCP−4APA−W−30−L」)。
【0042】
<評価方法>
(1)成形加工性:上記の成形条件で成形上問題が無く、さらに得られた積層体の著しい外観不良が無い場合、成形加工性を良好とした。
(2)目やに:上記成形時のダイス出口への付着物状況を目視観察し、以下に示す5段階で評価した。
【0043】
5…非常に少ない
4…少ない
3…普通
2…多い
1…非常に多い
【0044】
(3)ソフト感:積層体の表面を手で触れてその感触を以下に示す5段階で評価した。表面にベタツキ感があるものは本発明の趣旨からは不適であるが、その場合は(ベタツキ)と記載した。
5…非常に柔らかい
4…柔らかい
3…普通
2…硬い
1…非常に硬い
【0045】
(4)耐傷付き性: (株)東洋精機社製(テーバースクラッチテスタ)を用いて、積層体の熱可塑性エラストマー表面をタングステンカーバイト製のカッターで、加重300gにて引っ掻き、目視にて表面を観察し3段階評価した。
○…傷付かない
△…殆ど傷付かない
×…傷が付く
【0046】
(5)真空成形後のシボ(エンボス模様)保持性:真空形成後の下面の表面のシボ深さを目視にてを観察し3段階評価した。
○…シボ保持性が良い
△…普通
×…シボ保持性が悪い
【0047】
(6)破れ:真空成形時の積層体表面を目視観察し下記3段階で評価した。
○…破れた箇所が全く認められない
×…破れた箇所が認められた
(7)耐油性:熱可塑性エラストマー組成物の単層シートを軽質流動パラフィンに浸し、80℃で24時間放置した。浸せき後サンプルを取り出し、表面に付着したオイルをふき取り重量を測定した。浸せき前後の重量変化率を下式によって求めた。
△W=(W2−W1)*100/W1
△W:重量変化率(%)
W1:浸せき前の空気中の質量
W2:浸せき後の空気中の質量
【0048】
<実施例1〜5および比較例1〜2>
表1に示す配合量(重量部)にて配合したエラストマー組成物の成分(a)〜(c)の合計量100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.1重量部を添加し、更に表1に示す量のPOX、DVBを添加し、圧縮比L/Dが41、シリンダー径44mmの二軸押出機を用いて180℃の温度に設定して溶融混練させこれをダイよりストランド状に押し出し、カッティングして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。このペレットに表1に示す配合量の(d)成分を加え撹拌したものを用い、上記の方法で積層体を製造し、真空成形を行い評価した。評価結果を表1に示す。
【0049】
<比較例3>
ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムのブレンド物の動的架橋品であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(三菱化学社製サーモラン3602N)を使用して上記と同様の成形、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 0003997863
【0051】
*表中の空欄は添加量が「0」であることを示す。
<結果の評価>
1)比較例1では、重量平均分子量が本発明の範囲外である成分(a4)を用いているため、対応する実施例1、2に比較して成形加工性が悪く、ベタツキ感が有り、耐傷付き性、真空成形後シボ保持性、真空成形破れ、耐油性が劣っている。
2)比較例2では、重量平均分子量が本発明の範囲外である成分(a4)を用いているため、対応する実施例3、4、5に比較して成形加工性が悪く、ベタツキ感が有り、耐傷付き性、真空成形後シボ保持性、真空成形破れ、耐油性が劣っている。
3)比較例3では、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いており、対応する実施例1〜5に比べ、目やにの発生が認められ、耐傷付き性、真空成形後シボ保持性、耐油性が劣っている。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、成形性に優れるとともに、耐傷付き性に優れるとともに、耐油性、ソフト感に優れ、均一延展性、シボ(エンボス模様)保持性に優れた積層体を提供することが可能となる。自動車部品の内装部材、例えばインストルメントパネル、ドアトリム、コンソールボックス、天井材シート、ハンドルパッド等の表皮材や、座席用レザーシート、家具用表皮材等に有利に使用することが可能となり、本発明の工業的価値は顕著である。

Claims (10)

  1. 表面がエンボス加工された熱可塑性エラストマー層と基材層とを積層してなる積層体において、熱可塑性エラストマー層が下記の成分(a)〜(d)を含有し、成分(a)と成分(b)の割合が(a)/(b)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(a)及び(b)の合計100重量部あたり成分(c)を1〜300重量部、成分(d)を5〜1200重量部含有してなり、成分(a)〜(c)の混合物を溶融混練する動的熱処理を施した後、成分(d)を混合してなる熱可塑性エラストマー組成物からなる積層体の製造方法であって、成分(a)、(b)、及び(c)の混合物を溶融混練して動的熱処理を施した後、成分(d)を混合して熱可塑性エラストマーを得る工程、該熱可塑性エラストマー組成物を成形してシートとする工程、該シートと基材を積層して熱可塑性エラストマー層と基材層との積層体を成形する工程、及び該熱可塑性エラストマー層の表面にエンボス加工を施す工程、を含むことを特徴とする、積層体の製造方法
    (a)重量平均分子量が8万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/またはこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体
    A(B−A)nおよび/または(A−B)n (I)
    (ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
    (b)炭化水素系ゴム用軟化剤
    (c)プロピレン系樹脂
    (d)エチレン系樹脂、またはエチレン系樹脂とプロピレン系樹脂の混合物
  2. 一般式(I)に記載のBブロックが共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックである請求項1に記載の積層体の製造方法
  3. 一般式(I)に記載のAブロックがスチレン重合体ブロックで、Bブロックがブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック又はブタジエン・イソプレン重合体ブロックであり、成分(a)中のAブロックの割合が10〜50重量%である請求項1または2に記載の積層体の製造方法
  4. 成分(d)のエチレン系樹脂が、密度0.91g/cm3未満のものと0.91g/cm3以上のものの混合物である請求項1乃至3の何れか1項に記載の積層体の製造方法
  5. 溶融混練による動的熱処理をラジカル発生剤の存在下で行う請求項1乃至4の何れか1項に記載の積層体の製造方法
  6. 溶融混練による動的熱処理をラジカル発生剤、架橋助剤の存在下で行う請求項1乃至4の何れか1項に記載の積層体の製造方法
  7. 基材層がポリオレフィン系樹脂からなる請求項1乃至6の何れか1項に記載の積層体の製造方法
  8. 基材層がポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはそれらの混合物の発泡体からなる請求項1乃至7の何れか1項に記載の積層体の製造方法
  9. 発泡体が架橋されたものである請求項8に記載の積層体の製造方法
  10. 該シートと基材を積層して熱可塑性エラストマー層と基材層との積層体を成形する工程において、熱可塑性エラストマーのシートを、溶融状態或いは半溶融状態でエンボス加工用ロールと圧着ロールとの間に、その圧着ロール側に基材を供給しつつ供給することにより、熱可塑性エラストマー層と基材層との積層体を成形すると共に、該エラストマー層の表面にエンボス加工を施す請求項1乃至7の何れか1項に記載の積層体の製造方法。
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