JP2004136602A - 積層体 - Google Patents

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進 学治
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Abstract

【課題】耐傷付き性に優れるとともに、目やにの発生が少なく、耐油性、ソフト感に優れ、軟化剤のブリードなどのない触感の優れた積層体を提供する。
【解決手段】熱可塑性エラストマー層とトップコート層とを有する積層体において、熱可塑性エラストマー層が、特定の分子量、及び特定の構造を有するブロック共重合体(成分(a))、炭化水素系ゴム用軟化剤(成分(b))、オレフィン系樹脂(成分(c))を含有し、成分(a)と成分(b)の割合が(a)/(b)=2/8〜8/2の範囲であって、成分(a)及び(b)の合計100重量部あたり、成分(c)を1〜300重量部含有してなる熱可塑性エラストマー組成物からなる積層体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー層とトップコート層からなる積層体に関し、さらに詳しくは、自動車の内装部品等に使用する積層体であり、耐傷付き性に優れるとともに、耐油性、ソフト感に優れ、軟化剤のブリードのない触感の優れた積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インストルメントパネル、ドアトリム等の表皮として用いられる自動車内装用シートには、軟質ポリ塩化ビニルあるいは軟質ポリ塩化ビニルと他の樹脂とのブレンド物が用いられてきた。しかしながら、近年、自動車部品の軽量化、リサイクル性、易焼却性等の環境問題への対応、耐熱性、耐寒性、耐熱老化性、耐光性、臭気、見た目の安物感を解消するために、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー材料(以下、単に「TPO」と略記する場合がある。)が実用に供され始めた。
【0003】
ところがTPOからなる内装用シートは、表面が傷つきやすく、また表面外観に劣り、しかも表面にざらつきがあって感触に劣るという問題があった。このような問題点を可決するため、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー層と特定組成のプライマー層、及びトップコート層からなり優れた表面特性を有する積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、これらの検討にも拘わらず、本発明者らの検討によると、従来のTPOを基材層とした積層体においては、塗装を施したとしても、耐傷付き性の改良は不十分であり、更に、押出成形時にダイス出口への付着物(目やに)が多く発生し、成型品表面を汚染し、これを除去するために押出機を停止して清掃するため生産性が低下する等の問題があった。また、柔軟化のために添加している鉱物油系軟化剤がブリードしてきて成形品表面がべた付き、使用条件や用途によっては使用上の問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特許第2533147号公報(第1頁、左欄第1行〜第2頁、左欄第24行)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、耐傷付き性に優れるとともに、目やにの発生が少なく、耐油性、ソフト感に優れ、軟化剤のブリードなどのない触感の優れた積層体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のスチレン系熱可塑性エラストマーと炭化水素系ゴム用軟化剤とオレフィン系樹脂の混合物からなる熱可塑性エラストマー層とトップコート層とを有する積層体が前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成したものである。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、熱可塑性エラストマー層とトップコート層からなる積層体において、熱可塑性エラストマー層が下記の成分(a)〜(c)を含有し、成分(a)と成分(b)との配合比(重量)が(a)/(b)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(a)及び成分(b)の合計100重量部に対し、成分(c)の割合が1〜300重量部である熱可塑性エラストマー組成物よりなる積層体に存している。
(a)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体。
【0009】
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n……(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(b)炭化水素系ゴム用軟化剤
(c)オレフィン系樹脂
本発明の別の要旨は、熱可塑性エラストマー層の表面にプライマー層を設け、該プライマー層上にトップコート層を設けてなる上記の積層体に存している。
【0010】
本発明の他の要旨は、熱可塑性エラストマー層の表面にコロナ放電処理をした後、プライマー層を設け、該プライマー層上にトップコート層を設けてなる上記の積層体に存している。
本発明のもう一つの要旨は、一般式(I)に記載のBブロックが共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックであり、また、一般式(I)に記載のAブロックがスチレン重合体ブロック、Bブロックがブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック又はブタジエン・イソプレン重合体ブロックであり、成分(a)中のAブロックの割合が10〜50重量%である上記の積層体に存している。
【0011】
本発明の別のもう一つの要旨は、成分(c)が、プロピレン系樹脂であり、熱可塑性エラストマー組成物が少なくとも部分的に架橋されたものである上記の積層体に存している。
【0012】
【発明の実施の形態】
[1]積層体の層構成
(A)スチレン系熱可塑性エラストマー組成物
(1)組成
1)成分(a)
本発明で使用する成分(a)は、重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、前記の一般式(I)で表されるブロック共重合体および/またはこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
【0013】
上記ブロック共重合体において、ビニル芳香族炭化水素の重合体であるAブロックはハードセグメント、エラストマー性重合体であるBブロックはソフトセグメントを構成する。ブロック共重合体の代表例は、A−B又はA−B−Aで表される共重合体構造を有し、Bブロックの二重結合が部分的に或いは完全に水素添加されていてもよいブロック共重合体であって、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られている。
【0014】
上記のAブロックにおけるビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
上記のBブロックを構成するモノマーとしては、エラストマー性が発現される限り、その種類は特に制限されないが、共役ジエンからなるものが好ましい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、特に、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの2/8〜6/4重量割合の混合物が好ましい。
【0015】
ブロック共重合体中、Aブロックの含有量は、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。Aブロックの含有量が前記範囲未満では、得られる積層体の機械的強度や耐熱性が劣る傾向となり、一方、前記範囲超過では、得られる積層体の柔軟性、ゴム弾性が劣ると共に、後述する(b)成分の炭化水素系ゴム用軟化剤のブリードが生じ易い傾向となる。
【0016】
共役ジエンとしてブタジエンのみが用いられている場合、熱可塑性エラストマーとしてのゴム弾性を保持する面から、Bブロックにおける共役ジエンの1,2−結合の割合は、通常20〜50%、好ましくは25〜45%である。
また、成分(a)は水素添加して得られる水添ブロック共重合体であることが好ましい。この時のBブロックの二重結合の水素添加率は、30%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは90%以上である。水素添加率が前記範囲未満では、積層体とした場合の耐候性、耐熱性が劣る傾向となる。
【0017】
本発明におけるブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の分子量として、8.0万〜100万であるが、好ましくは、10万〜50万、更に好ましくは、15万〜40万である。重量平均分子量が8.0万未満の場合は、得られる積層体のゴム弾性、機械的強度、成形加工性が劣り、また、耐傷付き性、耐油性、塗膜接着性が劣る傾向となる。一方、重量平均分子量が100万超過の場合は、得られる積層体の成形加工性が劣ることとなる。
【0018】
上記ブロック共重合体の製造方法は、上記の構造・物性が得られる限り、如何なる方法であってもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法、即ち、リチウム触媒の存在下に不活性溶媒中でブロック重合を行う方法を採用することができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。
【0019】
また、上記のようなブロック共重合体は、スチレン又はその誘導体とエラストマー性ブロックを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることも出来る。また、ジリチウム化合物を開始剤としてエラストマー性ブロックを重合し、次いで、スチレン又はその誘導体を逐次重合して得ることも出来る。
上記の様なブロック共重合体の市販品としては、「KRATON−G」(シェル・ケミカル社)、「セプトン」(株式会社クラレ)、「タフテック」(旭化成株式会社)等の商品が例示できる。
2)成分(b)
本発明で使用する成分(b)は炭化水素系ゴム用軟化剤である。炭化水素系ゴム用軟化剤としては、重量平均分子量が通常300〜2,000、好ましくは500〜1,500の炭化水素が使用され、鉱物油系炭化水素または合成樹脂系炭化水素が好適である。
【0020】
一般に、鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素、及びパラフィン系炭化水素の混合物である。全炭素量に対し、芳香族炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼ばれる。本発明においては、パラフィン系オイルが好適に使用される。
【0021】
パラフィン系オイルの40℃での動粘度は通常20〜800cSt(センチストークス)、好ましくは50〜600cSt、流動点は通常−40〜0℃、好ましくは−30〜0℃、引火点(COC)は通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃である。炭化水素系ゴム用軟化剤(b)は、得られる組成物の流動性を向上して成形加工性に寄与すると共に得られるシートの柔軟性向上にも寄与する。
3)成分(c)
本発明で使用する成分(c)はオレフィン系樹脂である。オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合樹脂等が挙げられるが、プロピレン系樹脂が好適に用いられる。プロピレン系樹脂の具体例としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂等が挙げられる。重合様式は、樹脂状物が得られる限り、如何なる重合様式を採用しても差し支えない。
【0022】
上記のプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)は、通常0.05〜200g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分である。メルトフローレートが上記範囲未満のものを用いた場合は、得られる組成物の成形性が悪化して外観に不良が生じやすく、積層体の二次加工時における均一延展性が不良となることがあり、上記範囲を超えるものを用いた場合は、得られる組成物の機械的特性、特に引張破壊強度が低下する傾向となる。
4)配合割合
本発明において、上記各成分の組成割合は次の通りである。すなわち、成分(a)と成分(b)の配合比率(重量比)が(a)/(b)=20/80〜80/20の範囲であって、好ましくは(a)/(b)=25/75〜75/25である。(a)/(b)の比率で成分(a)が20/80より少ない場合は、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が劣り、積層体として触感が劣ると共に軟化剤の耐ブリード性が低下し、成分(a)が80/20超過の場合は、得られる組成物の柔軟性および成形加工性が劣る。一方成分(c)の割合は、成分(a)及び(b)の合計100重量部あたり、1〜300重量部、好ましくは10〜100重量部である。成分(c)の量が1重量部未満の場合は得られる組成物の成形加工性が劣り、300重量部超過の場合は得られる組成物の柔軟性およびゴム弾性が劣る。
(2)架橋構造の形成
1)架橋の形成方法
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記成分(a)、(b)、及び(c)を含有し、成分(a)のBブロックが、少なくとも部分的に架橋されていることが好ましい。架橋構造として、成分(a)のAブロックにより形成される擬似的な架橋点があるが、架橋点の数には限界があるためBブロックが、架橋構造を有することにより、積層体の耐熱性、耐油性を向上させることが可能となる。このような架橋構造を本発明の熱可塑性エラストマーに形成するためには、動的な熱処理を行うことが好ましい。
【0023】
ここに、動的熱処理とは溶融状態又は半溶融状態で混練することを指す。通常、動的熱処理は、前記成分(a)、(b)、及び(c)を均一に混合した後、必要に応じて架橋剤、架橋助剤の存在下に溶融混練することによって行なわれる。そして、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等が使用される。混練温度は通常、100〜300℃、好ましくは110〜280℃であり、混練時間は、10秒〜30分、好ましくは20秒〜20分間である。また、動的熱処理時の材料の状態は使用する材料の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融状態または溶融状態となるが、特に制限されない。混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また任意の成分を混練した後、他の残りの成分を添加して混練する多段分割混練法を用いても良い。
2)架橋剤、及び架橋助剤
架橋剤としては有機過酸化物、硫黄、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤、オキシム類、ポリアミン等が用いられるが有機過酸化物、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤が好ましく、特に有機過酸化物が好ましい。
【0024】
有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられる。これらの中では、1分間の半減期温度が140℃以上の有機過酸化物が好ましく、例えば、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
【0025】
前記の架橋助剤としては、例えば、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン、m−フェニレンビスマレイミド等の過酸化物架橋用助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0026】
動的熱処理に用いる有機過酸化物の使用割合としては、通常0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部であり、架橋助剤の使用割合は0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
3)ゲル分率
前述の、「部分的に架橋された」とは、下記の方法で測定したゲル分率(シクロヘキサン不溶解分)が10%以上98%未満である場合をいう。ゲル分率が98%以上である場合は、完全に架橋された、という。本発明における組成物のゲル分率は、30%以上であることが好ましい。
【0027】
組成物のゲル分率(シクロヘキサン不溶解分)は、以下の方法により求めることが出来る。組成物を約100mg秤量し、50mlのシクロヘキサンに23℃で48時間含浸後、濾過し、濾過残分を室温にて72時間乾燥させる。これらの手順に従い、以下に説明する記号と式でゲル分率を求める。
ini:初めに秤量した熱可塑性エラストマー量(mg)
cini:Winiからシクロヘキサン可溶成分(軟化剤等)の重量、及びポリマー成分以外ののシクロヘキサン不溶成分(フィラー、充填剤等)の重量を減じた重量(mg)
cxs:シクロヘキサン溶解、濾過、乾燥後の重量(mg)
ccxs:Wcxsから、ポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶成分(フィラー、充填剤等)の重量を減じた重量(mg)
Fr:熱可塑性エラストマーに含有されるポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶成分(フィラー、充填剤等)の分率。灰分測定によって求めることが出来る。
Fr:熱可塑性エラストマーに含有されるポリマー成分以外のシクロヘキサン可溶成分(軟化剤等)の分率。GPC測定によって求められる。
G%:ゲル分率
【0028】
【数1】
cini=Wini*(1―Fr―Fr
ccxs=Wcxs―Wini*Fr
G%=Wccxs/Wcini*100
4)その他
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。酸化防止剤として、例えば、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール等のビスフェノール系、1,1,3−トリス(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のトリ以上のポリフェノール系、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のチオビスフェノール系、アルドール−α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン等のナフチルアミン系、p−イソプロポキシジフェニルアミン等のジフェニルアミン系、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系のもの等が挙げられる。これらの中では、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリ以上のポリフェノール系、チオビスフェノール系の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の使用割合は、成分(a)〜(c)の合計量に対し、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%である。この添加量が0.01重量%未満では、酸化防止剤の効果が得られにくく、また5重量%を越すと添加量の増大に見合う効果の向上が得られず経済的に不利になるか、着色などの影響が出る場合がある。
【0029】
また、本発明における組成物には、本発明の目的、効果を損わない範囲内において、必要に応じて、各種樹脂やゴム、及び、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、タルク、マイカ、シリカ、チタニア、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の充填剤、並びに、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、分散剤、難燃剤、導電性付与剤、着色剤等を含有していてもよく、これらは、前記成分(a)〜(c)のいずれかに予め含有させておくか、又は、各成分を均一に混合時、溶融混練時或いは動的熱処理時に配合される。
(B)トップコート層
本発明では、上記の熱可塑性エラストマー組成物からなる基材の表面にトップコート層が形成される。このトップコート層に用いる材料としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含むものが好ましい。本発明においてトップコート用塗料の樹脂としては、積層体表面の触感からウレタン系の塗料を用いるのが好ましい。
【0030】
トップコート層を形成するためには、上記のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂を有機溶剤に溶解させ、得られたトップコート層形成用塗布液を常法に従って塗布すればよい。
トップコート層を形成するために用いられるポリエステル樹脂は、多価アルコールと多塩基酸又はその無水物とからなる基本構造を有する。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、また多塩基酸又はその無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。ポリエステルとしてアルキッド又はポリアリレートを使用しても良い。また、アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルの(メタ)アクリル酸エステル類の重合体、又はそれに必要に応じてスチレン、α− メチルスチレン等のスチレン類や、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸を配合して得られる共重合体が用いられる。
【0031】
さらに、ポリウレタン系樹脂としては、ポリオール化合物或いはジオール化合物及びこれらのブロック共重合体の水酸基にイソシアネート化合物のイソシアネート基を反応させることにより生成した重合体が用いられる。ここで、ポリオール化合物としてはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールやポリカーボネートポリオール等が挙げられる。また、ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ポリイソシアネート、及びジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)や水添MDI等の芳香族ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。いずれの場合も無黄変型が好ましい。これらポリウレタン系樹脂はいずれも国内で市販され入手可能である。
【0032】
トップコート層を形成するためのトップコート層形成用塗布液には、上記のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種の化合物のほかに、必要に応じて、無水硅酸(シリカ)、顔料、弾性ビーズ、艶消し剤などを含ませることもできる。
トップコート層を形成させるための上記樹脂を溶解させるために用いられる有機溶剤としては、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、メチレンクロライドなどが用いられる。トップコート層形成用塗布液中の固形分濃度は5〜50重量%、好ましくは10〜15重量%程度である。
【0033】
このようにして基材の表面上に設けられるトップコート層の膜厚は、好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは10〜20μm程度である。また、トップコートの塗布量(湿潤時)は30〜300g/mが好ましく、更に好ましくは50〜250g/mである。
(C)プライマー層
本発明では、上記の熱可塑性エラストマーからなる基材の表面にトップコート層を設ける前に、必要に応じて、飽和ポリエステル、塩素化ポリオレフィン、水酸基又はカルボキシル基を付加した無塩素の変性ポリオレフィン系樹脂から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むプライマー層を形成することが出来る。プライマー層を形成し、次いでトップコート層を形成することによって、表面の耐摩耗性、耐粘着性に優れた熱可塑性エラストマー成形物が得られ好ましい。なかでも、プライマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる基材とトップコートの密着性を考慮すると塩素化ポリオレフィン、飽和ポリエステルが好ましい。基材の表面上にプライマー層を形成するには、飽和ポリエステル及び塩素化ポリオレフィンから選ばれた少なくとも1種の化合物を有機溶剤に溶解させ、得られたプライマー層形成用塗布液を定法に従って基材の表面上に塗布すればよい。
【0034】
プライマー層を形成するために用いられる飽和ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびその誘導体等が用いられる。また塩素化ポリオレフィン樹脂としては塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン・α−オレフィン共重合体などが用いられる。中でも耐熱性の観点から塩素化ポリプロピレンが好ましい。
【0035】
プライマー層を形成するためのプライマー層形成用塗布液には、上記の飽和ポリエステル樹脂、塩素化ポリオレフィンのほかに必要に応じて、シリカ、顔料、弾性ビーズ、艶消し剤等を含ませることも出来る。
飽和ポリエステル、塩素化ポリオレフィンを溶解させるために用いられる有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサン等が用いられる。プライマー層形成用塗布液中の固形分濃度は2〜50重量%好ましくは10〜15重量%程度である。
【0036】
熱可塑性エラストマーからなる基材の表面上に設けられるプライマー層の膜厚は、好ましくは1〜20μmである。また、プライマーの塗布量(湿潤時)は10〜200g/mが好ましい。上記のようなプライマー層を熱可塑性エラストマー基材上に形成する際に、プライマー層形成用塗布液を複数回に分けて塗布することによってプライマー層を形成してもよく、その際には本発明で特定する範囲内においてそれぞれ異なった組成のプライマー層形成用塗布液を用いることが出来る。
(D)コロナ放電処理
本発明においてはトップコートの塗布、或いはプライマーを塗布する前に必要に応じて、熱可塑性エラストマーからなる基材の表面のコロナ放電処理を行うことが出来る。コロナ放電処理は放電プラズマの1種であり、放電処理は、高周波発振器に接続する電極バーを非処理物体に対面して行う。出力電圧は約4〜8kv、処理時間は約5〜100秒程度であり、コロナ放電処理後のぬれ張力(JIS K6768準拠)が30〜60mN/mであるとことが好ましい。コロナ放電処理装置は市販されているものを使用することができる。
[2]積層体の製造方法
(A)熱可塑性エラストマー組成物、及びシートの製造
本発明の組成物の製造に用いられる装置としては、特に限定されるものではなく、開放型のミキシングロール、非開放型バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー、ニーダー、単軸或いは二軸押出機等公知のものを使用することができる。また、上記熱可塑性エラストマーは、一般的にはカレンダーロール、Tダイ若しくは環状ダイを装着した押出機、プレス成形機を用いて常法によりシート状に成形される。
(B)プライマー及びトップコートの塗装
熱可塑性エラストマーからなる基材へのプライマー層、及びトップコート層の形成は、常法に従って行えばよい。たとえばグラビアロールコート法、ロールコート法、ナイフコート法、スクリーンコート法、スプレー法等を用いて塗布するなどの公知の方法により行うことが出来る。
【0037】
なお、本発明の積層体には、更に骨材、発泡体、織布、不織布、綿布、紙等を積層することもできる。更に、これら積層体を真空成形、圧空成形等により、賦形させたものも本発明の積層体に含まれるものである。また、トップコートの表面を艶消しにしたり、皮革模様のようなシボを形成するには、シボ押し(エンボス)加工を施すことも出来る。
[3]積層シートの利用
本発明の積層体は特定の熱可塑性エラストマーと炭化水素系ゴム用軟化剤とオレフィン系樹脂の混合物からなる組成物からなる熱可塑性エラストマー層とトップコート層からなる積層体であり、耐傷付き性に優れるとともに、耐油性、ソフト感に優れ、軟化剤のブリードがなく、触感に優れる。内装用表皮材、特に自動車部品において内装部材に使用されるシート状表皮材、具体的には、インストルメントパネル、ドアトリム、コンソールボックス、天井材シート、ハンドルパッド等の表皮材や、座席用シート等に好適に使用することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の諸例で使用した材料および評価方法は以下に示す通りである。
<原材料>
成分(a1):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量33重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量245,000)。
成分(a2):スチレンブロック−ブタジエン/イソプレンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエン/イソプレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量30重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量243,000)。
成分(a3):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の部分水素添加物(スチレン含有量31重量%、水素添加率56%、重量平均分子量100,000)。
成分(a4)(比較例用):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量29重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量75,000)。
成分(b):パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産社製「PW380」)。
成分(c):プロピレン系樹脂(日本ポリケム社製、メルトフローレート0.9g/10分(230℃、21.2N荷重)
架橋剤(POX):1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ社製「パーカドックス14」)
架橋助剤(DVB):ジビニルベンゼン(三成化成社製、55%品)
【0039】
<積層体の製造>
熱可塑性エラストマー組成物を、渡辺加工機製の45mmφ押出機(シングルフライトタイプスクリュウ)のTダイから、シリンダー温度190℃、ダイス温度210℃、スクリュウ回転数70rpmの条件下、幅250mm、厚さ0.35mmのシートとして押し出し、続いてシボ付け(エンボス模様加工)用ロール(30℃)と圧着ゴムロールとの間を通す。このとき、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂の混合物の架橋発泡体シート(三菱化学(株)社製「TRCポリマー」発泡倍率10倍、厚さ1mm)を圧着ゴムロール側に重ね合わせて通し、熱可塑性エラストマー組成物と架橋発泡体の積層体を製造した。さらに架橋発泡体を積層した面と反対側にコロナ処理を行い、ぬれ張力40mN/mとした後、プライマーとして塩素化ポリプロピレン系プライマー(特殊色料工業(株)製「ハイコープU AD402」)、及びトップコートとして無黄変ウレタン系トップコート(特殊色料工業(株)製「ハイコープU EU1110M」)を、各々塗布量(湿潤時)が40g/m、70g/mとなるようにスプレー法にて塗布した。
【0040】
<評価方法>
(1)目やに
上記成形加工時のダイス出口への付着物状況を目視観察し、以下に示す5段階で評価した。
5…非常に少ない
4…少ない
3…普通
2…多い
1…非常に多い
【0041】
(2)ソフト感(触感)
積層体の表面を手で触れてその感触を以下に示す5段階で評価した。表面にベタツキ感があるものは本発明の趣旨からは不適であるが、その場合は(ベタツキ)と記載した。
5…非常に柔らかい
4…柔らかい
3…普通
2…硬い
1…非常に硬い
【0042】
(3)耐傷付き性
(株)東洋精機社製(テーバースクラッチテスタ)を用いて、積層体の熱可塑性エラストマー表面をタングステンカーバイト製のカッターで、加重300gにて引っ掻き、目視にて表面を観察し3段階評価した。
○…傷付かない
△…殆ど傷付かない
×…傷が付く
【0043】
(4)耐油性
積層体の表層に軽質流動パラフィンを垂らし、80℃で24時間放置した。放置後のサンプルの表面を目視観察し、以下に示す3段階で評価した。
○…皺発生せず、膨潤していない
△…若干皺発生、または若干膨潤している
×…皺発生、または膨潤している
【0044】
(5)塗膜接着性
JIS D202に従って、各サンプルのトップコートの表面に、ステンレスカッターにより2mm間隔に10×10個の碁盤目を作成し、碁盤目の上からセロハンテープ(ニチバンLP24)をローラで十分に圧着させた後、勢い良く剥離して、残留した碁盤目の個数を数えた。接着性を未剥離碁盤目の数/100 で表した。
【0045】
<実施例1〜5、および比較例1〜2>
表1に示す配合量(重量部)にて配合したエラストマー組成物の(a)〜(c)成分の合計量100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.1重量部を添加し、更に表1に示す量のPOX、DVBを添加し、圧縮比L/Dが41、シリンダー径44mmの二軸押出機を用い、シリンダーの各部分を110〜200℃の温度に設定して溶融混練させこれをダイよりストランド状に押し出し、カッティングして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。このペレットを用い、上記の方法でシートを製造し、コロナ放電処理を行い、プライマー層、トップコート層を積層して得た積層体を評価した。評価結果を表1に示す。
【0046】
<比較例3>
ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムのブレンド物の動的架橋品であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(三菱化学社製サーモラン3602N)を使用して、上記と同様の成形、評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
【0047】
【表1】
Figure 2004136602
【0048】
*表中の空欄は添加量が「0」であることを示す。
<結果の評価>
1)比較例1では、重量平均分子量が本発明の範囲外である成分(a4)を用いているため、対応する実施例1、2に比較して、ベタツキ感が有り、耐傷付き性、耐油性、塗膜接着性が劣っている。
2)比較例2では、重量平均分子量が本発明の範囲外である成分(a4)を用いているため、対応する実施例3、4、5に比較してベタツキ感が有り、耐傷付き性、耐油性、塗膜接着性が劣っている。
3)比較例3では、汎用のオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いており、対応する実施例1〜5に比べ、目やにの発生が認められ、耐傷付き性、耐油性、塗膜接着性が劣っている。
【0049】
【発明の効果】
本発明により、成形性に優れるとともに、トップコート層の塗膜接着性が良好で、耐傷付き性、耐油性、触感、ソフト感に優れる積層体を提供することが可能となる。自動車部品の内装部材、例えばインストルメントパネル、ドアトリム、コンソールボックス、天井材シート、ハンドルパッド等の表皮材や、座席用レザーシート、家具用表皮材、ケース、カバン、本の表皮、ハンドバッグ、ナイフの柄等に好適に使用することが可能となり、本発明の工業的価値は顕著である。

Claims (9)

  1. 熱可塑性エラストマー層とトップコート層とを有する積層体において、熱可塑性エラストマー層が下記の成分(a)〜(c)を含有し、成分(a)と成分(b)との配合比(重量)が(a)/(b)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(a)及び成分(b)の合計100重量部に対し、成分(c)の割合が1〜300重量部である熱可塑性エラストマー組成物よりなる積層体。
    (a)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体。
    一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n……(I)
    (ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
    (b)炭化水素系ゴム用軟化剤
    (c)オレフィン系樹脂
  2. 熱可塑性エラストマー層の表面にプライマー層を設け、該プライマー層上にトップコート層を設けてなる請求項1に記載の積層体。
  3. 熱可塑性エラストマー層の表面にコロナ放電処理をした後、プライマー層を設け、該プライマー層上にトップコート層を設けてなる請求項2に記載の積層体。
  4. 一般式(I)に記載のBブロックが共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックである請求項1乃至3の何れか1項に記載の積層体。
  5. 一般式(I)に記載のAブロックがスチレン重合体ブロック、Bブロックがブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック又はブタジエン・イソプレン重合体ブロックであり、かつ成分(a)中のAブロックの割合が10〜50重量%である請求項1乃至4の何れか1項に記載の積層体。
  6. 成分(c)が、プロピレン系樹脂である請求項1乃至5の何れか1項に記載の積層体。
  7. 熱可塑性エラストマー組成物が少なくとも部分的に架橋されたものである請求項1乃至6の何れか1項に記載の積層体。
  8. トップコート用塗料がウレタン系である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. プライマーが飽和ポリエステル及び塩素化ポリオレフィンから選ばれた少なくとも1種の化合物を含むものである請求項1乃至8のいずれか1項に記載の積層体。
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