JP6144999B2 - 表皮フィルムおよび加飾成形品ならびにその製造方法 - Google Patents

表皮フィルムおよび加飾成形品ならびにその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、加飾成形用表皮材用熱可塑性エラストマー組成物および加飾成形品ならびにその製造方法に関し、更に詳しくは耐油性、耐摩耗性、フィルム成形性、真空成形性、一体化成形性に優れ、得られる成形品は、さわり心地が極めて良好である、加飾成形用表皮材用熱可塑性エラストマー組成物および加飾成形品ならびにその製造方法に関するものである。
従来、インストルメントパネルなどの自動車内装材として用いられる積層体の一製造方法として、まず積層体の表皮として塩化ビニル樹脂とABS樹脂との混合物からなるフィルム、またはオレフィン系熱可塑性エラストマーのフィルムを真空成形して凹部を有する成形体を得、次いで、上記成形体の凹部内で軟質または半硬質の発泡ポリウレタン原料液を注入発泡させて、成形体の凹部に軟質または半硬質の発泡ポリウレタンを充填した後、軟質または半硬質の発泡ポリウレタンで充填された成形体の凹部を鉄板などの基板で遮蔽して積層体を得る方法がある。
しかしながら、上記のような製造方法によれば、積層体を構成する発泡ポリウレタンの表皮近辺にボイドが多く発生することがあった。このようなボイドが発生すると、表皮を手で押した際に表皮が凹む、すなわち耐押圧性が悪い品となってしまうという問題点があった。
上記製造方法において、軟質ないし半硬質の発泡ポリウレタンの代わりに、硬質の発泡ポリウレタンを用いて積層体を製造する方法も採用されてきたが、得られる積層体は、耐押圧性に優れるものの、ソフト感が失われるという問題点があった。
上記の問題点を解決すべく、オレフィン系熱可塑性エラストマーのシートからなる表皮層、および発泡ポリオレフィンシートからなるパッド層で構成される二層シートの、パッド層が凹部の内側に設けられている凹部を有する成形体と、該成形体の凹部に充填された半硬質または硬質の発泡ポリウレタンと、半硬質または硬質の発泡ポリウレタンで充填された成形体の凹部を遮蔽する基板とからなる成形体が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この成形体では、耐油性、耐摩耗性、さわり心地、成形外観に劣っていた。
特許第2642700号公報
本発明の課題は、耐油性、耐摩耗性、フィルム成形性、真空成形性、一体化成形性に優れ、得られる成形品は、さわり心地が極めて良好である、加飾成形用表皮材用熱可塑性エラストマー組成物および加飾成形品ならびにその製造方法を提供することである。
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の熱可塑性エラストマー組成物が、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は以下の通りである。
1.(a−1)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA1の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB1の少なくとも1個とからなるブロック共重合体55〜5質量%;
および、
(a−2)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA2の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB2の少なくとも1個とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体45〜95質量%;
からなるブロック共重合体樹脂成分(a)100質量部に対し;
ここで(a−1)と(a−2)との和は100質量%であり、
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜300質量部;
(c)ポリプロピレン系樹脂 10〜300重量部;
(d)有機過酸化物 0.5〜5.0質量部;および
(e)架橋助剤 1.0〜10.0質量部;
を含有する加飾成形用表皮材用熱可塑性エラストマー組成物。
2.前記1に記載の加飾成形用表皮材用熱可塑性エラストマー組成物からなる表皮フィルム。
3.前記表皮フィルムが、下記物性(1)〜(3)を満たすことを特徴とする前記2に記載の表皮フィルム。
(1)デュロメータA硬さ60〜95;
(2)熱移動特性qmax0.1〜0.45(単位W/m);
(3)摩擦係数0.1〜0.7;
ここで上記(2)は、次式で定義される値である。
max=λ・g
但し、λ:熱伝導率(単位W/mK)、g:温度勾配(単位K/m)である。
また上記(3)は、トライボギア(「TYPE:33」(商品名);新東科学株式会社製)を用い、その試料テーブルの上に、90mm角の試料の4隅を両面テープで貼り付けて固定し、固定された試料の中心部を指で押さえつつ、この指を5cm移動させることで測定した値である。
4.前記2または3に記載の表皮フィルムと、ポリオレフィン樹脂からなる芯材とを有する加飾成形品。
5.前記ポリオレフィン樹脂が、発泡ポリオレフィン樹脂である前記4に記載の加飾成形品。
6.前記2または3に記載の表皮フィルムと、ポリオレフィン樹脂からなる芯材とを一体化成形する工程を有する加飾成形品の製造方法。
7.前記ポリオレフィン樹脂が、発泡ポリオレフィン樹脂である前記6に記載の加飾成形品の製造方法。
8.前記一体化成形が、フィルムインサート成形、圧空成形または真空圧空成形により行われる前記6または7に記載の加飾成形品の製造方法。
9.前記一体化成形が、フィルムインサート成形により行われる前記8に記載の加飾成形品の製造方法。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記(a−1)成分および(a−2)成分を所定割合で含有する樹脂成分(a)に、前記(b)、(c)、(d)および(e)成分を所定割合で配合しているので、耐油性、耐摩耗性、フィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性に優れる。また、得られる加飾成形品は、硬度、熱移動特性、摩擦係数が好ましい範囲となり、さわり心地が極めて良好となる。
実施例で行った真空圧空成形性試験で用いた樹脂製基体の写真である。 真空圧空成形法の一例を示す図である。
以下、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成する各成分について、説明する。
(a)成分「ブロック共重合体樹脂成分」
本発明における(a)ブロック共重合体樹脂成分は、(a−1)成分と(a−2)成分からなる。(a−1)成分は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA1の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB1の少なくとも1個とからなるブロック共重合体であり、(a−2)成分は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA2の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB2の少なくとも1個とからなるブロック共重合体を水素添加して得られるものである。(a−1)成分としては、例えば、A1−B1−A1、B1−A1−B1−A1、A1−B1−A1−B1−A1などの構造を有するビニル芳香族化合物‐共役ジエン化合物ブロック共重合体等を挙げることができる。(a−2)成分としては、例えば、A2−B2−A2、B2−A2−B2−A2、A2−B2−A2−B2−A2などの構造を有するビニル芳香族化合物‐共役ジエン化合物ブロック共重合体を水素添加したもの等を挙げることができる。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA1は、好ましくは、ビニル芳香族化合物のみから成るか、またはビニル芳香族化合物50質量%超、好ましくは70質量%以上と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA2は、好ましくは、ビニル芳香族化合物のみから成るか、またはビニル芳香族化合物50質量%超、好ましくは70質量%以上と共役ジエン化合物および/または水素添加された共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB1およびB2は、好ましくは共役ジエン化合物のみから成るか、または共役ジエン化合物50質量%超、好ましくは70質量%以上とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックである。
これらのビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA1およびA2、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB1およびB2のそれぞれにおいて、分子鎖中のビニル化合物または共役ジエン化合物の分布は、ランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組合せであることができる。ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック或いは共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックが2個以上ある場合には、それぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
(a−1)ブロック共重合体の具体例としては、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)等を挙げることができる。本発明において、特に好ましいブロック共重合体は、SBSである。
(a−1)ブロック共重合体の質量平均分子量は、好ましくは80,000〜500,000、より好ましくは150,000〜320,000である。なお本発明で言う重量平均分子量は、ポリスチレン換算におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値を意味する。
(a−2)水添ブロック共重合体の具体例としては、SEBS(スチレン−エチレン・ブテン−スチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体)、SEEPS(スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体)等を挙げることができる。
(a−2)ブロック共重合体の質量平均分子量は、好ましくは50,000〜550,000である。
(a−1)成分と(a−2)成分の配合割合は、(a−1)成分が55〜5質量%および(a−2)成分が45〜95質量%である。なお(a−1)成分と(a−2)成分との和は100質量%とする。(a−2)成分が45質量%未満であると、フィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性に劣るうえ、下記で説明する熱移動特性が好ましい範囲を外れ、さわり心地に劣る。一方95質量%を超えるとフィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性に劣るうえ、耐油性に劣り、下記で説明する熱移動特性、摩擦係数が好ましい範囲を外れ、さわり心地に劣る。
(a−1)成分と(a−2)成分の配合割合は、前記効果を高めるという観点から、(a−1)成分が40〜20質量%および(a−2)成分が60〜80質量%である。
(a−1)成分と(a−2)成分との混合は、本発明の組成物の他の成分と一括混練してもよく、予め(a−1)成分と(a−2)成分との混合物を得た後に他の成分と混練してもよい。
これらのブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号明細書に記載された方法に従い、リチウム触媒またはチーグラー型触媒を用い、不活性溶媒中にてブロック重合させて得ることができる。上記方法により得られたブロック共重合体に、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下にて水素添加することにより水添ブロック共重合体が得られる。
(b)成分「非芳香族系ゴム用軟化剤」
本発明の(b)成分は、非芳香族系ゴム用軟化剤であり、当該(b)成分としては、非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。
一般的に、ゴム用として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系とよび、ナフテン環炭素数が全炭素数の30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が全炭素数の30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
本発明の(b)成分として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は上記区分でパラフィン系およびナフテン系のものである。芳香族系の軟化剤は、その使用により(a)成分が可溶となり、架橋反応を阻害し、得られる熱可塑性エラストマー組成物の物性の向上が図れないので好ましくない。(b)成分としては、パラフィン系のものが好ましく、更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが特に好ましい。これらの非芳香族系ゴム用軟化剤の性状は、37.8℃における動的粘度が20〜500cSt、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が170〜300℃を示す。
(b)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して、フィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性、さわり心地、耐油性、耐摩耗性の点で30〜300質量部である。好ましくは、35〜150質量部である。配合量が300質量部を越えると、フィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性に劣るうえ、耐摩耗性に劣り、下記で説明する硬度、熱移動特性、摩擦係数が好ましい範囲を外れ、さわり心地に劣る。また、配合量が30質量部未満では、フィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性に劣るうえ、耐油性に劣り、下記で説明する熱移動特性が好ましい範囲を外れ、さわり心地と外観が劣る。
(b)成分は、重量平均分子量が100〜2,000のものが好ましい。
(c)成分「ポリプロピレン系樹脂」
本発明の(c)成分は、得られる組成物中のゴム分散を良好にし、成形品の外観を良好にする効果を有する。(c)成分として用いるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体;プロピレンと他の少量のα−オレフィン、例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等との共重合体(ブロック共重合体、ランダム共重合体);などをあげることができる。これらの中で、示差走査熱量計(DSC)により測定した融点(Tm)が150〜167℃のものが好ましい。またメルトマスフローレート(MFR)「ASTM‐D‐1238、L条件、230℃」が0.1〜10g/10分のものが好ましい。
(c)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対してフィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性、耐油性、耐摩耗性の点で10〜300質量部である。好ましくは35〜280質量部である。10質量部未満ではフィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性に劣るうえ、耐摩耗性に劣り、下記で説明する硬さ、熱移動特性、摩擦係数が好ましい範囲を外れさわり心地、外観が悪化し、300質量部を越えると、フィルム成形性、真空成形性(Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性に劣るうえ、得られる熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなりすぎて柔軟性が失われ、下記で説明する熱移動特性が好ましい範囲を外れてさわり心地が悪化する。
(d)成分「有機過酸化物」
本発明で用いられる(d)成分の有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ‐tert‐ブチルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5ジ(tert‐ブチルペルオキシ)ヘキシン‐3、1,3−ビス(tert‐ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1‐ビス(tert‐ブチルパーオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、n‐ブチル‐4,4‐ビス(tert‐ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p‐クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert‐ブチルパーオキシベンゾエート、tert‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert‐ブチルクミルパーオキサイドなどを挙げることができる。
これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、2,5‐ジメチル2,5‐ジ‐(tert‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル2,5‐ジ‐(tert‐ブチルペルオキシ)ヘキシン‐3が最も好ましい。
(d)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対してフィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性、耐油性、耐摩耗性の点で0.5〜5.0質量部である。好ましくは0.8〜4.0質量部である。0.5質量部未満では、フィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性に劣るうえ、耐油性、耐摩耗性に劣り、下記で説明する熱移動特性、摩擦係数が好ましい範囲を外れさわり心地が悪化する。5.0質量部を超えると、フィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性に劣るうえ、下記で説明する摩擦係数が好ましい範囲を超えてさわり心地が悪化する。
(e)成分「架橋助剤」
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、有機過酸化物による部分架橋処理に際し、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレートのような多官能性ビニルモノマー、またはエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマーを架橋助剤として配合する。このような化合物により、均一かつ効率的な架橋反応が期待できる。
特に、本発明においては、トリエチレングリコールジメタクリレートが、取扱いやすいこと;および有機過酸化物可溶化作用を有し、有機過酸化物の分散助剤として働くため、熱処理による架橋が均一にかつ効果的に起こり、硬さとゴム弾性のバランスの高い架橋熱可塑性エラストマーが得られること;から最も好ましい。
本発明で用いられる(e)成分である架橋助剤の配合量は、(a)成分100質量部に対して、フィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性、耐油性、耐摩耗性の点で1.0〜10.0質量部である。好ましくは1.5〜8.0重量部である。1.0質量部未満では、フィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性に劣るうえ、耐油性、耐摩耗性に劣り、下記で説明する熱移動特性、摩擦係数が好ましい範囲を外れさわり心地が悪化する。10.0質量部を超えると、フィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、フィルムインサート成形性、圧空成形性、真空圧空成形性のような一体化成形性に劣るうえ、下記で説明する熱移動特性が好ましい範囲を外れさわり心地が悪化する。
また(e)成分の架橋助剤の配合量は(d)成分の有機過酸化物の添加量の2〜2.5倍程度の割合にすることが好ましい。
上記各成分に加えて、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて無機充填剤を配合することができる。無機充填剤は増量による経済上の利点を有する。用いられる無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、硫酸バリウム、天然けい酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン、カーボンブラックなどがある。これらのうち、炭酸カルシウム、タルクが特に好ましい。
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて、各種のブロッキング防止剤、シール性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、着色剤等を含有することも可能である。ここで、酸化防止剤としては、例えば、2,6‐ジ‐tert‐p‐ブチル‐p‐クレゾール、2,6‐ジ‐tert‐ブチルフェノール、2,4‐ジメチル‐6‐tert‐ブチルフェノール、4,4‐ジヒドロキシジフェニル、トリス(2‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐tert‐ブチルフェニル)ブタンなどのフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。
熱可塑性エラストマー組成物の製造
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記(a)〜(e)成分を任意の順序でまたは同時に溶融混練することにより製造することができる。溶融混練の方法に特に制限はなく、公知の方法を使用し得る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ミキサーまたは各種のニーダー等を使用し得る。二軸混練機を用いる場合には、例えば、スクリュー回転数50〜500rpm、混練温度180〜240℃で溶融混練を行う。
表皮フィルム
本発明の表皮フィルムは、上記のような熱可塑性エラストマー組成物を用いて、例えば従来公知のT−ダイ押出法あるいはカレンダー法により得ることができる。本発明の表皮フィルムの表面は、平滑であってもよいし、またシボ模様が形成されていてもよい。
本発明の表皮フィルムは、肉厚のフィルムと薄厚のフィルムのいずれであってもよい。肉厚のフィルムの厚みは、通常0.4〜3.0mmであり、薄厚のフィルムの厚みは、通常0.1mm以上0.4mm未満である。
例えば上記薄厚フィルムは、(株)東芝製90mmφT−ダイ押出成形機を用いて、スクリューがフルフライト、L/D=22、押出温度220℃、T−ダイがコートハンガーダイ、引取速度5m/分でフィルム状に押出し、冷却しながら巻き取り、例えば0.4mm厚として得ることができる。
本発明の表皮フィルムは、さわり心地を高めるという観点から、下記物性(1)〜(3)で示される好ましい範囲を満たすことが好ましい。
(1)デュロメータA硬さ60〜95;
(2)熱移動特性qmax0.1〜0.45(単位W/m);
(3)摩擦係数0.1〜0.7;
ここで上記(2)は、次式で定義される値である。
max=λ・g
但し、λ:熱伝導率(単位W/mK)、g:温度勾配(単位K/m)である。
また上記(3)は、トライボギア(「TYPE:33」(商品名);新東科学株式会社製)を用い、その試料テーブルの上に、90mm角の試料の4隅を両面テープで貼り付けて固定し、固定された試料の中心部を指で押さえつつ、この指を5cm移動させることで測定した値である。
前記(1)〜(3)で示される物性がすべて前記範囲にあることにより、下記の加飾成形品のさわり心地を高めることができる。
加飾成形品
本発明の加飾成形品は、前記のような表皮フィルムとポリオレフィン樹脂からなる芯材とを有する。また、得られる加飾成形品表面の触感、全体としてのじっかり感とのバランスの点で、ポリオレフィン樹脂の中でも発泡ポリオレフィン樹脂が好ましい。発泡ポリオレフィン樹脂からなる芯材は、発泡倍率が通常、5〜30倍、好ましくは15〜25倍である。発泡ポリオレフィン樹脂としては、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド物の発泡品等が挙げられる。得られる加飾成形品表面の触感、全体としてのじっかり感とのバランスの点で、発泡ポリプロピレンが特に好ましい。
なお、表皮フィルムは、前記のような本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる層と、これ以外の樹脂層、例えば発泡または未発泡のポリオレフィン樹脂層との積層体であってもよい。このような積層体は、両樹脂を共押出成形することにより製造することができる。
加飾成形品の製造方法
本発明の加飾成形品は、表皮フィルムと、ポリオレフィン樹脂、好ましくは発泡ポリオレフィン樹脂からなる芯材とを一体化成形する工程を経ることにより製造することができる。
前記一体化成形としては、フィルムインサート成形、圧空成形、真空圧空成形等の成形方法により行うことができる。これら成形方法は公知であり、加飾成形品の目的とする用途により、成形条件を適宜選択すればよい。
中でも、フィルムインサート成形により得られる加飾成形品は、触れたときのソフト感と成形体そのもののしっかり感を両立することができ、さわり心地が高まるという点でとくに好ましい。
フィルムインサート成形は、前記の本発明の表皮フィルムを射出成形金型内に設置し、金型を閉じ、そこにポリオレフィン樹脂、好ましくは発泡ポリオレフィン樹脂を射出し、表皮が本発明の表皮フィルムとなり、芯材(あんこ)がポリオレフィン樹脂となる一体化成形であることができる。
このとき、本発明の表皮フィルムは、あらかじめ真空成形法により前記金型内への設置に適した形状に成形しておくこともできる。なお、この形態の表皮フィルムは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムでもよいし、前記のように熱可塑性エラストマー組成物からなる層と、これ以外の樹脂層、例えば発泡または未発泡のポリオレフィン樹脂層との積層体であってもよい。後者の場合、表皮フィルムを金型内への設置が容易となり、成形性が高まるという効果を奏する。
真空成形品
また、(芯材を有さない)真空成形品を最終製品とするには、本発明の表皮フィルムのみで真空成形を行い最終製品としてもよいし、例えばあらかじめ発泡または未発泡のポリオレフィン樹脂層を本発明の表皮フィルムの裏面に積層した後に真空成形を行ってもよい。その場合は、より最終成形品の全体としてのしっかり感と表面の良好な触感が得られる。
本発明の加飾成形品は、主に自動車部品等に好適に使用することができる。
例えば、表面保護や意匠付与を目的としてその表面がフィルムで被覆される自動車インスツルメントパネル、窓ピラー、バンパー等の自動車外装樹脂部品、テレビの筐体、パソコンやスマートフォン等の情報電子機器の筐体等に適用することができる。
以下、本発明を実施例および比較例により更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた各成分は下記の通りである。
成分(a−1):
SBS−1
スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体
製造会社:旭化成ケミカルズ株式会社
商品名:アサプレン T−430
スチレンの含有量:30重量%
数平均分子量:130,000
重量平均分子量:200,000
分子量分布:1.5
SBS−2
スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体
製造会社:JSR株式会社
商品名: TR2787
スチレンの含有量:24重量%
MFR(200℃、5Kg荷重)6g/10分
成分(a−2):
SEBS
スチレン・エチレン・ブテン・スチレン共重合体
製造会社:クレイトンポリマー社
商品名:クレイトンG1651H
スチレン含有量:30質量%
重量平均分子量:260,000
SEEPS
スチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体
製造会社:株式会社クラレ
商品名:セプトン4077
スチレンの含有量:30質量%
イソプレンの含有量:70質量%
数平均分子量:260,000
重量平均分子量:320,000
分子量分布1.23
水素添加率:90モル%以上
成分(b):非芳香族系ゴム軟化剤
製造会社:出光興産株式会社
商品名:ダイアナプロセスオイル PW−90
種類:パラフィン系オイル
質量平均分子量:540
芳香族成分の含有量:0.1%以下
成分(c):ポリプロピレン系樹脂
製造会社:株式会社プライムポリマー
商品名:CJ−700
種類:ホモポリプロピレン
密度:0.9g/cm
結晶化度(Tm):166℃、融解エンタルピー(△Hm)82J/g
成分(d):有機過酸化物
製造会社:日本油脂株式会社
商品名:パーヘキサ25B
種類:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
成分(e):架橋助剤
製造会社:新中村化学工業株式会社
商品名:NKエステル3G
種類:トリエチレングリコールジメタクリレート
実施例1〜10、比較例1〜10
表1に示す割合の各成分(質量部)を2軸押出機(L/D=46)を使用し、混練温度180〜240℃およびスクリュー回転数350rpmの条件で溶融混練して、熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物について、下記1)〜12)の評価を行った。結果を表1および2に示す。
評価方法
1)デュロメータA硬さ:
JIS K 7215−1986に準拠した。試験片は、溶融混練によって得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、240℃で、6.3mm厚にプレスしたフィルムを用いた。
2)熱移動特性qmax(W/m2):
溶融混練によって得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、240℃で、130mm×130mm×2mm(厚み)のフィルム状にプレスし、その表面に、カトーテック社製フィンガーロボットサーモラボのプローブを当てて、熱伝導率λ(W/mK)と温度勾配g(K/m)を測定し、次式により算出した。
max=λ・g
3)摩擦係数:
トライボギア(「TYPE:33」(商品名);新東科学株式会社製)の試料テーブルの上に、前記2)で作成したフィルムから切り出した90mm角の試料の4隅を両面テープで貼り付けて固定した。固定された試料の中心部を指で押さえつつ、この指を5cm移動させることで摩擦抵抗力を測定した。5回測定し、平均値を算出した。
4)フィルム成形性
(株)東芝製90mmφT−ダイ押出成形機を用いて、スクリューがフルフライト、L/D=22、押出温度220℃、T−ダイがコートハンガーダイを用い、フィルムの引き取り速度を5m/分から10m/分まで変化させて、熱可塑性エラストマー組成物のフィルム成形性を4段階表示した。
4段階表示
A ・・・ 引き取り速度10m/分でフィルム成形が可能である場合
B ・・・ 引き取り速度8m/分以下でフィルム成形が可能である場合
C ・・・ 引き取り速度6m/分以下でフィルム成形が可能である場合
D ・・・ 引き取り速度5m/分以下でフィルム成形が可能である場合
なお、引き取り速度と得られるフィルムの厚みとの関係は、次の通りである。
引き取り速度10m/分のとき、約0.2mm厚のフィルムが得られ、引き取り速度8m/分のとき、約0.25mm厚のフィルムが得られた。また、引き取り速度6m/分のとき、約0.35mm厚のフィルムが得られ、引き取り速度5m/分のとき、約0.4mm厚のフィルムが得られた。
5)シボ残り性
ダイ温度210℃に設定したTダイ付き押出フィルム成形機で熱可塑性エラストマー組成物を押出し、ダイス直後に設置されたシボロール(ロール温度90℃)とピンチロールとの間を通して、シボを有するシボ付きフィルムを得た。このシボ付きフィルムの厚さは0.5mmであり、シボの最大深さは320μmである。
このシボ付きフィルムの展開率が250%になる凸引き真空成形金型を用いて真空成形を下記の条件で行ない、あらかじめシボ付きフィルム表面に付けられていたシボの残り性を5段階表示した。
凸引き真空成形条件:上下ヒーターは、フィルムの表面温度が120℃になるようにヒーターをセットした。また、真空圧は500〜700mmHgの条件で行った。
5段階表示
5 ・・・ シボが全く消えていない状態
4 ・・・ シボがやや消えている状態
3 ・・・ シボが消えている状態
2 ・・・ シボが殆ど消えている状態
1 ・・・ シボが完全に消えている状態
6)Rだれ性
半径5mm(5R)の稜線を有する凸引き真空成形金型を用い、上記4)フィルム成形性試験において引取速度5m/分で押出して得られたフィルムの真空成形を下記の条件で行ない、真空成形されたフィルム裏面の半径(R)を測定し、Rだれ性を5段階表示した。
凸引き真空成形条件:上下ヒーターは、フィルムの表面温度が120℃になるようにヒーターをセットした。また、真空圧は500〜700mmHgの条件で行った。
5段階表示
5 ・・・ R≦7mm
4 ・・・ 7mm<R≦9mm
3 ・・・ 9mm<R≦11mm
2 ・・・ 11mm<R≦13mm
1 ・・・ R>13mm
7)延展性
上記4)フィルム成形性試験において引取速度5m/分で押出して得られたフィルムの展開率が400%になる凸引き真空成形金型を用いて真空成形を下記の条件で行ない、フィルムの延展性を4段階表示した。
凸引き真空成形条件:上下ヒーターは、フィルムの表面温度が120℃になるようにヒーターをセットした。また、真空圧は500〜700mmHgの条件で行った。
4段階表示
A ・・・ フィルムの破れ無し
B ・・・ フィルムの破れ最大長さ1cm以下
C ・・・ フィルムの破れ最大長さ5cm以下
D ・・・ フィルムの破れ最大長さ10cm以上
8)フィルムインサート成形性:
8−1)発泡ポリプロピレン樹脂を芯材とする場合
上記4)フィルム成形性試験において引取速度5m/分で押出して得られたフィルムを使用した。縦7cm×横10cm×高さ1cmの矩形状凹部を有する金型に該フィルムをセットする。そして、発泡ポリプロピレン樹脂としてポリプロピレン樹脂(製造会社:日本ポリプロ株式会社、商品名:FW4BT、融点:139℃、MFR測定値:6.5g/10分(ASTM D‐1238法による230℃))100質量部に発泡剤(永和化成工業株式会社、ポリスレンEE25C、発泡剤濃度20%、発生ガス量75〜90ml/2.5g(220℃恒温下×20分)、重炭酸ナトリウム・クエン酸系、低密度ポリエチレンベース。)5質量部を添加したものを射出成形(温度180〜250℃の範囲内で各フィルムについて外観がもっとも良好となる温度をそれぞれ選択する。)することにより、該フィルムが金型の矩形状凹部に密着するようにフィルムインサート成形する。成形性について破れなどないか、表面外観についてはひび割れの有無、透けて発泡層が見えないかを主に目視で評価を行い、下記の通り判定する。
○:成形性、表面外観ともに良好。
△:成形性には優れて破れはないが、表面外観にやや劣る。
×:成形時に破れが生じる、またはひび割れあるいは透けて発泡層が見える。
8−2)発泡ポリエチレン樹脂を芯材とする場合
上記4)フィルム成形性試験において引取速度5m/分で押出して得られたフィルムを使用した。縦7cm×横10cm×高さ1cmの矩形状凹部を有する金型に該フィルムをセットする。そして、発泡ポリエチレン樹脂としてポリエチレン(製造会社:日本ポリエチレン株式会社、商品名:ノバテックLL UJ480、融点:124℃、MFR測定値:30g/10分、密度:0.92g/cm)100質量部に発泡剤(永和化成工業株式会社、ポリスレンEE25C、発泡剤濃度20%、発生ガス量75〜90ml/2.5g(220℃恒温下×20分)、重炭酸ナトリウム・クエン酸系、低密度ポリエチレンベース。)5質量部を添加したものを射出成形(温度180〜250℃の範囲内で各フィルムについて外観がもっとも良好となる温度をそれぞれ選択する。)することにより、該フィルムが金型の矩形状凹部に密着するようにフィルムインサート成形する。成形性について破れなどないか、表面外観についてはひび割れの有無、透けて発泡層が見えないかを主に目視で評価を行い、下記の通り判定する。
○:成形性、表面外観ともに良好。
△:成形性には優れて破れはないが、表面外観にやや劣る。
×:成形時に破れが生じる、またはひび割れあるいは透けて発泡層が見える。
9)さわり心地:
上記フィルムインサート成形で得られたサンプルの表面(熱可塑性エラストマー組成物の表皮フィルム)について、
モニター10人で温かさ、サラサラ感、柔らかさの観点から以下の基準で評価を行った。
◎◎:温かさ、サラサラ感、柔らかさのバランスがよい。極めて心地よくシルクのような感覚である。
◎:温かさ、サラサラ感、柔らかさのバランスがよい。
○:温かさ、サラサラ感、柔らかさのバランスが少し崩れているが不快感はない。
△:温かさ、サラサラ感、柔らかさのバランスのバランスが崩れており、比較例1の組成物と同等のさわり心地である。
×:温かさ、サラサラ感、柔らかさのバランスが悪く、不快な感覚である。
10)耐油性(体積変化率):
JIS K 6258に準拠し、試験片は熱可塑性エラストマー組成物からなる1mm厚プレスフィルムを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。パラフィンオイルを使用し、80℃×24時間の体積変化を測定した。
11)テーバー摩耗
JIS K 7204に準拠し、試験片として熱可塑性エラストマー組成物からなる2mm厚プレスフィルムを用い、摩耗輪H−22、1000回転後の摩耗量(mg)を測定した。
12)真空圧空成形性試験
(1)樹脂製基体の製造
(1−1)樹脂製基体(ア)の製造
発泡ポリプロピレン系樹脂としてポリプロピレン(製造会社:日本ポリプロ株式会社、商品名:FW4BT、融点:139℃、MFR測定値:6.5g/10分(ASTM D‐1238法による230℃))100質量部に発泡剤(永和化成工業株式会社、ポリスレンEE25C、発泡剤濃度20%、発生ガス量75〜90ml/2.5g(220℃恒温下×20分)、重炭酸ナトリウム・クエン酸系、低密度ポリエチレンベース。)5質量部を添加したものを三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社製の100トン射出成形機s−2000i100Aを使用して、シリンダー温度220℃、金型温度70℃、射出速度250mm/秒、保持圧50MPaにて射出成形を行い、図1に示す形状の熱可塑性樹脂製の基体を得た。図1は、当該成形品を写真撮影したものである。なお、樹脂製基体(ア)の最大長さは15cm、最大幅は6.5cm、最大厚みは3.5cmである。
(1−2)樹脂製基体(イ)の製造
発泡ポリエチレン系樹脂としてポリエチレン(製造会社:日本ポリエチレン株式会社、商品名:ノバテックLL UJ480、融点:124℃、MFR測定値:30g/10分、密度:0.92g/cm)100質量部に発泡剤(永和化成工業株式会社、ポリスレンEE25C、発泡剤濃度20%、発生ガス量75〜90ml/2.5g(220℃恒温下×20分)、重炭酸ナトリウム・クエン酸系、低密度ポリエチレンベース。)5質量部を添加したものを三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社製の100トン射出成形機s−2000i100Aを使用して、シリンダー温度220℃、金型温度70℃、射出速度250mm/秒、保持圧50MPaにて射出成形を行い、図1に示す形状の熱可塑性樹脂製の基体を得た。図1は、当該成形品を写真撮影したものである。なお、樹脂製基体(イ)の最大長さは15cm、最大幅は6.5cm、最大厚みは3.5cmである。
(2)真空圧空成形性試験
図2は、真空圧空成形法の一例を示す図である。真空圧空成形では、まず、成形室内の中央部に上記4)フィルム成形性試験において引取速度5m/分で押出して得られたフィルム(1)を置き、中央下部に基体(6)を設置し、上記室を密閉し、上室(7)と下室(8)を同じ減圧度で減圧する(図2(a))。このときの上室(7)と下室(8)の圧力は、真空成形と同様に、好ましくは10KPa以下、より好ましくは1KPa以下である。十分に減圧されたところで赤外線等のヒーター(9)によりフィルム(1)を加熱して軟化させ、次いで、十分に軟化したフィルム(1)と基体(6)を接触させる(図2(b))。この後、下室(8)は減圧のままで、上室(7)のみを大気圧以上にしてフィルム(1)と基体(6)を十分密着させて(図2(c))、フィルムで被覆された成形品(10)を得る(図2(d))。図2(c)における上室(7)の圧力は、100〜1000KPaであるのが好ましく、より好ましくは150〜500KPaである。上室(7)をこのような圧力にすることにより、フィルム(1)と基体(6)とを十分密着させることができ、したがって、フィルムと基体との間に空気の残留を生じない。図2(c)において、上室(7)の圧力が上記範囲よりも小さかったり、下室(8)の圧力が10KPaより大きかったりした場合には、基体とフィルムとの間に空気が残留し易くなる。また、上室(7)の圧力が上記範囲よりも大きい場合には、真空圧空成形時に基体やフィルムが破損する場合がある。なお、密着力は、下室(8)の圧力が小さいほど大きくなるが、圧力を小さくするのは加速度的にコストがかかること、及び基体やフィルムの機械強度を考慮すれば、実用的には、下室(8)の圧力の下限は10−5KPa程度である。
上記真空圧空成形性試験において、下室(8)の圧力はいずれも0.001KPa、上室(7)の圧力は200KPaであった。
(3)評価
外観性
成形品のフィルム表面の外観を下記の評価基準にしたがって目視評価した。
○=膨れや凹凸が認められない。
△=極僅かな膨れや凹凸が認められる。
×=指で触れて引っかかる程度の大きな膨れや凹凸が認められる。
Figure 0006144999
Figure 0006144999
表1に示すように、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、フィルム成形性、真空成形性(シボ残り性、Rダレ性、延展性)、真空圧空成形性、フィルムインサート成形性、耐油性、耐摩耗性に優れ、さわり心地と外観に優れる。
上記フィルムインサート成形において、芯材に発泡ポリプロピレンを用いた場合が、芯材に発泡ポリエチレンを用いた場合よりも表面の触感と成形品全体としてのしっかり感の点で特に優れていた。(モニター10人中8人以上がそう評価した。)
上記真空圧空成形において、芯材に発泡ポリプロピレン(樹脂製基体(ア))を用いた場合が、芯材に発泡ポリエチレン(樹脂製基体(イ))を用いた場合よりも表面の触感と成形品全体としてのしっかり感の点で特に優れていた。(モニター10人中8人以上がそう評価した。)
これに対して表2に示す比較例1は、(a−1)成分を配合していないので、フィルム成形性、真空成形性、フィルムインサート成形性、さわり心地、耐油性、真空圧空成形性が悪化している。
比較例2は、(a−1)成分の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、フィルム成形性、真空成形性、フィルムインサート成形性、さわり心地、真空圧空成形性が悪化している。
比較例3は、(b)成分の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、フィルム成形性、真空成形性、フィルムインサート成形性、さわり心地、耐油性、真空圧空成形性が悪化している。
比較例4は、(b)成分の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、フィルム成形性、真空成形性、フィルムインサート成形性、さわり心地、耐摩耗性、真空圧空成形性が悪化している。
比較例5は、(c)成分の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、フィルム成形性、真空成形性、フィルムインサート成形性、さわり心地、耐摩耗性、真空圧空成形性が悪化している。
比較例6は、(c)成分の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、フィルム成形性、真空成形性、フィルムインサート成形性、さわり心地、真空圧空成形性が悪化している。
比較例7は、(d)成分を配合していないので、フィルム成形性、真空成形性、フィルムインサート成形性、さわり心地、耐油性、耐摩耗性、真空圧空成形性が悪化している。
比較例8は、(d)成分の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、フィルム成形性、真空成形性、フィルムインサート成形性、さわり心地、真空圧空成形性が悪化している。
比較例9は、(e)成分を配合していないので、フィルム成形性、真空成形性、フィルムインサート成形性、さわり心地、耐油性、耐摩耗性、真空圧空成形性が悪化している。
比較例10は、(e)成分の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、フィルム成形性、真空成形性、フィルムインサート成形性、さわり心地、真空圧空成形性が悪化している。

Claims (7)

  1. (a−1)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA1の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB1の少なくとも1個とからなるブロック共重合体55〜5質量%;
    および、
    (a−2)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA2の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB2の少なくとも1個とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体45〜95質量%;
    からなるブロック共重合体樹脂成分(a)100質量部に対し;
    ここで(a−1)と(a−2)との和は100質量%であり、
    (b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜300質量部;
    (c)ポリプロピレン系樹脂 10〜300重量部;
    (d)有機過酸化物 0.5〜5.0質量部;および
    (e)架橋助剤 1.0〜10.0質量部;
    を含有する加飾成形用表皮材用熱可塑性エラストマー組成物からなり、厚さが3.0mm以下であるとともに、下記物性(1)〜(3)を満たすことを特徴とする表皮フィルム。
    (1)デュロメータA硬さ60〜95;
    (2)熱移動特性q max 0.1〜0.45(単位W/m 2 );
    (3)摩擦係数0.1〜0.7;
    ここで上記(2)は、次式で定義される値である。
    max =λ・g
    但し、λ:熱伝導率(単位W/mK)、g:温度勾配(単位K/m)である。
    また上記(3)は、トライボギア(「TYPE:33」(商品名);新東科学株式会社製)を用い、その試料テーブルの上に、90mm角の試料の4隅を両面テープで貼り付けて固定し、固定された試料の中心部を指で押さえつつ、この指を5cm移動させることで測定した値である。
  2. 請求項に記載の表皮フィルムと、ポリオレフィン樹脂からなる芯材とを有する加飾成形品。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂が、発泡ポリオレフィン樹脂である請求項に記載の加飾成形品。
  4. 請求項に記載の表皮フィルムと、ポリオレフィン樹脂からなる芯材とを一体化成形する工程を有する加飾成形品の製造方法。
  5. 前記ポリオレフィン樹脂が、発泡ポリオレフィン樹脂である請求項に記載の加飾成形品の製造方法。
  6. 前記一体化成形が、フィルムインサート成形、圧空成形または真空圧空成形により行われる請求項4または5に記載の加飾成形品の製造方法。
  7. 前記一体化成形が、フィルムインサート成形により行われる請求項に記載の加飾成形品の製造方法。
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