JP2013039771A - 熱可塑性エラストマー組成物の多層成形体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物の多層成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】薄肉で射出成形することができ、熱可塑性樹脂層との密着性に優れ、かつ耐熱老化性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を用いた多層成形体を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含有し、成分(A)100重量部あたり、成分(B)の含有量が50〜150重量部であり、成分(C)の含有量が10〜200重量部であり、下記の(1)および(2)の特性を満足する熱可塑性エラストマー組成物を含む0.1〜2mmの熱可塑性エラストマー組成物層と、ポリオレフィン樹脂を含む熱可塑性樹脂層とが積層された多層成形体。
(A):芳香族ビニル化合物に基づく単量体単位から構成されるブロック(a)と、共役ジエン化合物に基づく単量体単位から構成されるブロック(b)とからなる重量平均分子量5万〜20万のブロック共重合体の水素添加物
(B):プロピレン単独重合体もしくはプロピレンとα―オレフィンとのランダム共重合体
(C):鉱物油軟化剤
(1):メルトフローレート(JIS−K7210、2.16 kg荷重)が40〜120g/分である
(2):硬度(shore A)(JIS−K7215)が75〜99である
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物の多層成形体に関するものである。更に詳しくは、本発明は、薄肉で成形することができ、熱可塑性樹脂層との密着性に優れ、かつ耐熱老化性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を用いた多層成形体に関するものである。
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、通常の熱可塑性樹脂の成形機により加工ができること、リサイクルが可能であること、更に柔軟なことから、コンソールボックスやインストルメントパネル表皮などの自動車内装部品、ウィンドモールなどの自動車外装部品に用いられている。
たとえば自動車内装部品(コンソールボックス、アームレスト等)には、熱可塑性エラストマー組成物を用いた多層成形体が使用されている。そして、かかる用途に用いられる熱可塑性エラストマー組成物には、薄肉で成形することができ、熱可塑性樹脂層との密着性に優れ、かつ耐熱老化性に優れることが要求され、しかもその要求水準は、近年一層高度なものとなりつつある(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開平9−94926号公報 特開2002−173562号公報 特開2007−254691号公報
しかしながら、かかる現状に照らすとき、従来の熱可塑性エラストマー組成物は、必ずしも満足し得るものとは言い難いものであった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、薄肉で射出成形することができ、熱可塑性樹脂層との密着性に優れ、かつ耐熱老化性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を用いた多層成形体を提供することにある。
本発明は、記成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含有し、成分(A)100重量部あたり、成分(B)の含有量が50〜150重量部であり、成分(C)の含有量が10〜200重量部であり、下記の(1)および(2)の特性を満足する熱可塑性エラストマー組成物を含む0.1〜2mmの熱可塑性エラストマー組成物層と、ポリオレフィン樹脂を含む熱可塑性樹脂層とが積層された多層成形体にかかるものである。
(A):芳香族ビニル化合物に基づく単量体単位から構成されるブロック(a)と、共役ジエン化合物に基づく単量体単位から構成されるブロック(b)とからなる重量平均分子量5万〜20万のブロック共重合体の水素添加物
(B):プロピレン単独重合体もしくはプロピレンとα―オレフィンとのランダム共重合体
(C):鉱物油軟化剤
(1):メルトフローレート(JIS−K7210、2.16 kg荷重)が40〜120g/分である
(2):硬度(shore A)(JIS−K7215)が75〜99である

本発明により、薄肉で射出成形することができ、熱可塑性樹脂層との密着性に優れ、かつ耐熱老化性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を用いた多層成形体を提供することができる。
成分(A)
本発明に用いられる成分(A)は、芳香族ビニル化合物に基づく単量体単位から構成されるブロック(a)(芳香族ビニル化合物ブロック)と共役ジエン化合物に基づく単量体単位から構成されるブロック(b)(共役ジエン化合物ブロック)とを含有するブロック共重合体を水素添加した化合物である。該芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等があげられ、好ましくはスチレンである。これらの芳香族ビニル化合物は、2種以上使用されていてもよい。また、該共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等があげられ、好ましくは、ブタジエン、イソプレンである。これらの共役ジエン化合物は、2種以上使用されていてもよい。
芳香族ビニル化合物ブロックと共役ジエン化合物ブロックとの含有量としては、成形体の機械的強度および耐熱性を高める観点から、好ましくは、芳香族ビニル化合物ブロックの含有量は10重量%以上であり、共役ジエン化合物ブロックの含有量は95重量%以下であり、より好ましくは、芳香族ビニル化合物ブロックの含有量は21重量%以上であり、共役ジエン化合物ブロックの含有量は90重量%以下である。また、成形体の柔軟性を高める観点から、好ましくは、芳香族ビニル化合物ブロックの含有量は50重量%以下であり、共役ジエン化合物ブロックの含有量は50重量%以上であり、より好ましくは、芳香族ビニル化合物ブロックの含有量は40重量%以下であり、共役ジエン化合物ブロックの含有量が60重量%以上である。ただし、芳香族ビニル化合物ブロックと共役ジエン化合物ブロックとの総量を100重量%とする。
上記ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物ブロック−共役ジエン化合物ブロック構造のジブロック共重合体であってもよく、芳香族ビニル化合物ブロック−共役ジエン化合物ブロック−芳香族ビニル化合物ブロック構造などのトリブロック共重合体であってもよい。また、ブロック共重合体における共役ジエン単量体の結合様式において、1,4−結合が共役ジエン単量体の結合様式全体に占める割合は、60%以上であり、好ましくは61%以上、95%以下である。
ブロック共重合体の水素添加物は、上記共役ジエン化合物ブロックを構成する共役ジエン化合物に基づく単量体単位の二重結合を部分的にあるいは完全に水素添加したものである。水素添加率、すなわち、水素添加前のブロック共重合体における共役ジエン化合物に基づく単量体単位の二重結合の量を100%として、当該二重結合のうち、ブロック共重合体の水素添加によって、水素添加された二重結合の量は、発泡体の耐候性および耐熱性を高める観点から、好ましくは50%以上であり、より好ましくは80%以上である。
水素添加物の重量平均分子量は、熱可塑性エラストマー組成物層の成形時における熱可塑性樹脂層との密着性を高め、また、耐熱老化性を高める観点から、20万以下であり、好ましくは18万以下であり、更に好ましくは16万以下である。また、熱可塑性エラストマー組成物層の機械的強度を高める観点から、好ましくは5万以上であり、より好ましくは6万以上であり、更に好ましくは7万以上である。重量平均分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量であり、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により測定される。
水素添加物の製造方法としては、例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法によりブロック共重合体を製造し、次に、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報又は特開昭60−79005号公報に記載された方法により、該ブロック共重合体を水素添加する方法をあげることができる。
また、水素添加物としては、市販品を用いることもできる。例えば、クレイトンポリマー株式会社製 商品名「KRATON G」、株式会社クラレ製 商品名「セプトン」、旭化成ケミカルズ株式会社製 商品名「タフテック」等をあげることができる。
成分(B)
成分(B)は、プロピレンの単独重合体、または、プロピレンとエチレン及び/又は炭素原子数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、好ましくは、プロピレン単位の含有量が50重量%を超え100重量%以下であり、JIS K7121に従い昇温速度および降温速度が5℃/minの条件で測定して、100℃以上に融点を有する重合体である。成分(B)は、該単独重合体、該ランダム共重合体の組合せであってもよい。
上記のランダム共重合体としては、熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性を高めるために、(1)プロピレン単位の含有量が90〜99.5重量%であり、エチレン単位の含有量が0.5〜10重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体(プロピレン単位とエチレン単位との合計を100重量%とする。);(2)プロピレン単位の含有量が90〜99重量%であり、エチレン単位の含有量が0.5〜9.5重量%であり、炭素数4〜10のα−オレフィン単位の含有量が0.5〜9.5重量%であるプロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(プロピレン単位とエチレン単位とα−オレフィン単位との合計を100重量%とする);または(3)プロピレン単位の含有量が90〜99.5重量%であり、炭素数4〜10のα−オレフィン単位の含有量が0.5〜10重量%であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(プロピレン単位とα−オレフィン単位との合計を100重量%とする)が好ましい。
上記の炭素原子数4〜10のα−オレフィンとして、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよび1−デセンのような直鎖状α−オレフィン;3−メチル−1−ブテンおよび3−メチル−1−ペンテンのような分岐状α−オレフィン;ならびにこれらの2以上の組合せを例示することができる。
JIS K7210に従い21.18Nの荷重下230℃で測定される成分(A)のメルトフローレート(MFR)は、加工性を高めるために、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは1g/10分以上であり、熱可塑性エラストマー組成物の低圧縮永久歪性を高めるために、また、強度を高めるために、好ましくは150g/10分以下、より好ましくは100g/10分以下である。
成分(B)として、プロピレンの単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、およびエチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体を例示することができる。中でも、プロピレンの単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体が好ましい。
本発明における成分(B)のポリプロピレン樹脂の製造方法として、公知のチーグラー・ナッタ系触媒、または、メタロセン系錯体および非メタロセン系錯体等の公知の錯体系触媒を用いて、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等の公知の重合法により、プロピレンを単独重合あるいはプロピレンと他のモノマーとを共重合する方法を例示することができる。成分(B)は市販品であってもよい。
成分(C)
成分(C)は鉱物油系軟化剤である。成分(C)としては、アロマ系鉱物油、ナフテン系鉱物油、パラフィン系鉱物油などの石油の高沸点留分(平均分子量が300〜1500、流動点が0℃以下)をあげることができる。これらのなかでもパラフィン系鉱物油が好ましい。
成分(A)、成分(B)、および成分(C)の量は、成分(A)を100重量部として、成分(B)の量が50〜150重量部、成分(C)の量が10〜200重量部である。成分(B)の量は、多層成形時の成形加工性を高めるために、好ましくは65重量部以上、より好ましくは80重量部以上であり、耐熱老化性を高めるために、好ましくは140重量部以下、より好ましくは130重量部以下である。
また、成分(C)の量は、多層成形時の成形加工性を高めるために、好ましくは25重量部以上、より好ましくは40重量部以上であり、熱可塑性樹脂層との密着性を高めるために、好ましくは180重量部以下、より好ましくは160重量部以下である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤の具体的としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等の各種酸化防止剤;ヒンダードアミン系熱安定剤等の各種熱安定剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等の各種紫外線吸収剤;ノニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤等の各種帯電防止剤;ビスアミド系分散剤、ワックス系分散剤、有機金属塩系分散剤等の各種分散剤;アルカリ土類金属塩のカルボン酸塩系塩素補足剤等の各種塩素補足剤;アミド系滑剤、ワックス系滑剤、有機金属塩系滑剤、エステル系滑剤等の各種滑剤;オキシド系分解剤、ハイドロタルサイト系分解剤等の各種分解剤;ヒドラジン系金属不活性剤、アミン系金属不活性剤等の各種金属不活性剤;含臭素有機系難燃剤、リン酸系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の各種難燃剤;タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ、ケイ酸カルシウム、チタン酸カリウム、ウォラストナイト等の各種無機充填材;有機充填剤;有機顔料;無機顔料;無機抗菌剤:有機抗菌剤などがあげられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)と成分(B)と成分(C)と添加剤等の必要に応じて配合される他の成分とを、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出混練機等の公知の溶融混練機で溶融混練することにより得られる。
熱可塑性エラストマー組成物のメルトフローレート(MFR)は、40〜120g/10分であり、好ましくは50〜100g/10分である。
熱可塑性エラストマー組成物層にソフト感を求められる時、熱可塑性エラストマー組成物のA硬さ(JIS−K7215)は75〜99であり、好ましくは80〜95である。
本発明の多層成形体は、熱可塑性樹脂層と、熱可塑性エラストマー組成物層からなる二層の成形体を挙げることができる。また、このほかに、熱可塑性樹脂層の外層が熱可塑性エラストマー組成物層で覆われた、熱可塑性樹脂層と二層の同じ種類の熱可塑性エラストマー組成物層からなる三層の成形体を挙げることができる。
熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂層の厚みは、好ましくは1〜5mmであり、より好ましくは1〜4mmである。熱可塑性エラストマー組成物層の厚みは、0.1〜2mmであり、好ましくは、0.2〜1.6mmである。
熱可塑性樹脂層の厚みと、熱可塑性エラストマー組成物層の厚みとの比率(熱可塑性樹脂層の厚み/熱可塑性エラストマー組成物層の厚み)は、好ましくは0.5〜50であり、より好ましくは0.625〜20である。
上記の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性エラストマー組成物層からなる二層の成形体を得る方法としては、たとえば、押出機によって、1〜5mmの肉厚からなる熱可塑性樹脂層と、0.1〜2mmの肉厚からなる熱可塑性エラストマー組成物層とを多層ダイから同時に共押出する方法が挙げられる。また、一組の射出シリンダーをもつ射出成形機を用いるインサート成形法が挙げられる。この方法ではまず、射出成形によって、予め1〜5mmの肉厚からなる熱可塑性樹脂層を成形し、成形体を一旦キャビティーから取り出す。次いでこの肉厚に対し、さらに+0.1〜2mmの肉厚をもつキャビティー内のコア側に熱可塑性樹脂層の成形体をセットし、熱可塑性エラストマー組成物を射出することにより、熱可塑性樹脂層と熱可塑性エラストマー組成物層が一体化した二層の成形体が得られる。また、二本の射出シリンダーをもつ射出成形機を用いる二色成形によっても成形可能である。この方法ではまず、射出成形により1〜5mmの肉厚からなる熱可塑性樹脂層を成形する。次いで、成形体を同一コアに残した状態で金型を回転させ、0.1〜2mmの肉厚をもつキャビティーへ入れ、熱可塑性エラストマー組成物を射出することによって得られる。
熱可塑性樹脂層の外層が熱可塑性エラストマー組成物層で覆われた、熱可塑性樹脂層と二層の同じ種類の熱可塑性エラストマー組成物層からなる三層の成形体を得る方法としては、たとえば、押出機によって、1〜5mmの肉厚からなる熱可塑性樹脂層を一方の0.1〜2mmの肉厚からなる熱可塑性エラストマー組成物層に押出し、別の巻出し機から同じ0.1〜2mmの肉厚からなる熱可塑性エラストマー組成物層を供給し貼り合わせるサンドイッチラミネート法が挙げられる。また、二組の射出シリンダーをもつ射出成形機を用いるコインジェクション成形法が挙げられる。この方法ではまず、Aシリンダーから熱可塑性エラストマー組成物を金型のキャビティー内に射出し、次にBシリンダーから熱可塑性樹脂を熱可塑性エラストマー組成物と同時に射出する。最後に熱可塑性エラストマー組成物だけを射出して、熱可塑性樹脂層の外層を熱可塑性エラストマー組成物層で覆うことにより、目的である三層の成形体が得られる。
これらの中でも、複雑な形状の熱可塑性エラストマー組成物層を成形できるインサート成形や二色成形、コインジェクション成形などの射出成形法を用いることが好ましい。とりわけ、二色成形、コインジェクション成形に比べ、設備投資が安く抑えられることから、インサート成形が特に好ましい。
本発明の成形体の具体例として、自動車内装部品をあげることができ、具体的にはインスルメントパネル、ハンドル、ドア、アームレスト、グラブレール、シフトノブ、インパネグリップ、サイドブレーキノブ、コンソールボックス、グラスラン、ウェザーストリップ等をあげることができる。また、ワイヤーブラシのハンドル、食料貯蔵容器等の産業材部品を挙げることもできる。これらの中でも、薄肉成形による軽量化が期待される自動車内装部品に用いられることが特に好ましい。
以下、実施例および比較例によって、本発明をより詳細に説明する。
[I]ゴム評価方法
(1)重量平均分子量
ゲル・パ−ミエイション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記の条件(A)〜(H)により測定し求めた。
(A)装置:Water製Waters150C
(B)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(C)測定温度:140℃
(D)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(E)流量:1.0mL/分
(F)注入量:500μL
(G)検出器:示差屈折
(H)分子量標準物質:標準ポリスチレン
[II]物性測定方法
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に従って、荷重21.18N、温度230℃で測定した。
(2)硬度
JIS K7215に従って、硬度(shore A)を測定した。
(3)引張試験
JIS K6251に従って、JIS3号ダンベル、引張速度200mm/分の条件で、引張破断強度および引張破断伸びを求めた。
[III]多層成形時の熱可塑性エラストマー組成物層の評価方法
(1)二色成形時の成形加工性試験
射出成形機として、東芝機械株式会社製IS100EN−3A(型締力100t)、金型として成形品部寸法が90mm×150mm、キャビティー厚みは可変なものを用いた。キャビティー初期厚みを2mmにし、プロピレン樹脂を成形温度200℃、型温40℃で成形し、十分に冷却させた後、金型から取り出して、熱可塑性樹脂層となる成形体を得た。次いで、上記金型のキャビティー厚みを2.5mmに設定し、この熱可塑性樹脂層をコア側に固定した後、型を閉じ、熱可塑性エラストマー組成物層となる熱可塑性エラストマーを成形温度200℃、金型温度40℃で射出成形し、0.5mmの熱可塑性エラストマー組成物層と2mmの熱可塑性樹脂層とからなる積層体を得た。得られた多層積層体の熱可塑性エラストマー組成物層を次のように評価した。
○:十分に充填され、満足な形状の成形品が得られた。
×:充填不足となり、成形品の一部が欠けた。
(2)熱可塑性エラストマー組成物層と熱可塑性樹脂層との密着性の試験
(1)と同様の二色成形によって得られた、2mmの熱可塑性エラストマー組成物層と2mmの熱可塑性樹脂層とからなる積層体の熱可塑性エラストマー組成物層/熱可塑性樹脂層間の界面が剥離するかどうか確かめるため、積層体の隅の部分の熱可塑性エラストマー組成物層/熱可塑性樹脂層間に切れ目を入れ、積層体を固定した後、上方の熱可塑性エラストマー組成物層にクリップをつけて面と垂直方向上向きに力を加えて引っ張った。密着性を次のように評価した。
○:剥離しなかった。
×:界面剥離した。
(3)熱可塑性エラストマー組成物層の耐熱老化性
二色成形によって得られた、0.5mmの熱可塑性エラストマー組成物層と2mmの熱可塑性樹脂層とからなる積層体を80℃のギヤオーブン中にて400時間加熱後、取り出して熱可塑性エラストマー組成物層を目視にて観察した。耐熱老化性を次のように評価した。
○:白化しなかった。
×:白化した。
[IV]原料
(1)スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物
A−1:クレイトンポリマー株式会社製 商品名クレイトンG1652
(重量平均分子量10万、スチレン単位含有量30重量%、ジエン単位の1,4−結合量63%、水素添加率99%)
A−2:クレイトンポリマー株式会社製 商品名クレイトンG1651H
(重量平均分子量32万、スチレン単位含有量33重量%、ジエン単位の1,4−結合量61%、水素添加率100%)
A−3:クレイトンポリマー株式会社製 商品名クレイトンG1641
(重量平均分子量25万、スチレン単位含有量33重量%、ジエン単位の1,4−結合量33%、水素添加率100%)
A−4:クレイトンポリマー株式会社製 商品名クレイトンG1633
(重量平均分子量46万、スチレン単位含有量31重量%、ジエン単位の1,4−結合量63%、水素添加率100%)
(2)プロピレン系樹脂
B−1:住友化学株式会社製 商品名ノーブレンZ144CE4
(プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR=30g/10分、プロピレン単位含有量96重量%)
B−2:住友化学株式会社製 商品名ノーブレンU501E1
(プロピレン単独重合体、MFR=120g/10分)
B−3:住友化学株式会社製 商品名ノーブレンAZ565
(プロピレン−エチレンブロック共重合体、MFR=33g/10分、極限粘度([η]EP)が5dL/g)
(3)パラフィン系鉱物油軟化剤
C−1:出光興産株式会社製 商品名ダイアナプロセスオイル PW−100
(流動点:−15℃)
実施例1
A−1のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物100重量部と、C−1の鉱物油軟化剤をA−1 100重量部あたり70重量部と、A−1、B−1、およびC−1合計100重量部あたり、エルカ酸アミド(日本精化株式会社製 商品名ニュートロンS)を0.08重量部、ステアリン酸カルシウムを0.08重量部、酸化防止剤(チバスペシャリティ株式会社製 商品名イルガノックス1010:0.16重量部、GEスペシャリティケミカルズ株式会社製 商品名ウルトラノックス626:0.08重量部)を0.24重量部とを、カワタ株式会社製スーパーミキサー(SMG100)にてブレンドした。得られたブレンド体と、B−1のプロピレン系樹脂(A−1 100重量部あたり100重量部)を、内径47mmの二軸押出機に投入し、原料供給部より下流側の押出機温度170±10℃、スクリュー回転数300rpmの条件下で混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた組成物を成形し、物性測定および多層成形時の熱可塑性エラストマー組成物層の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
A−1のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物に替えてA−2のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物を用い、各成分の組成比を変えた以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
比較例2
A−1のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物に替えてA−3のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物を用い、各成分の組成比を変えた以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
比較例3
B−1のプロピレン−エチレンランダム共重合体に替えてB−3のプロピレン−エチレンブロック共重合体を用い、各成分の組成比を変えた以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
比較例4
A−1のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物に替えてA−4のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物を用い、各成分の組成比を変えた以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
比較例5
B−1のプロピレン−エチレンランダム共重合体に替えてB−2のプロピレン単独重合体を用い、各成分の組成比を変えた以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
比較例6
C−1のパラフィン系鉱物油軟化剤を用いなかった以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2013039771



Figure 2013039771

Claims (3)

  1. 下記成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含有し、成分(A)100重量部あたり、成分(B)の含有量が50〜150重量部であり、成分(C)の含有量が10〜200重量部であり、下記の(1)および(2)の特性を満足する熱可塑性エラストマー組成物を含む0.1〜2mmの熱可塑性エラストマー組成物層と、ポリオレフィン樹脂を含む熱可塑性樹脂層とが積層された多層成形体。
    (A):芳香族ビニル化合物に基づく単量体単位から構成されるブロック(a)と、共役ジエン化合物に基づく単量体単位から構成されるブロック(b)とからなる重量平均分子量5万〜20万のブロック共重合体の水素添加物
    (B):プロピレン単独重合体もしくはプロピレンとα―オレフィンとのランダム共重合体
    (C):鉱物油軟化剤
    (1):メルトフローレート(JIS−K7210、2.16 kg荷重)が40〜120g/分である
    (2):硬度(shore A)(JIS−K7215)が75〜99である
  2. 成分(A)を構成するブロック(b)の1,4−結合の割合が60%以上のブロック共重合体の水素添加物である請求項1に記載の多層積層体。
  3. ポリオレフィン樹脂を射出成形することにより熱可塑性樹脂層を成形した後、熱可塑性エラストマー組成物を射出成形することにより、熱可塑性樹脂層と熱可塑性エラストマー組成物層が一体化した成形体を製造する、請求項1または請求項2に記載の多層積層体の製造方法。
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