JP2016196601A - 熱可塑性エラストマー樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
高いガスバリア性、及び易開栓性を有し、常温から高温までの何れの温度環境下においても耐圧縮変形性、及び耐ブリードアウト性に優れ、成形性が良好であり、食品包装用や医療用の物品、特にこれらの物品のシール部材の材料として好適に用いることのできる熱可塑性エラストマー樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
(a)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物(a1)、及び芳香族ビニル化合物とイソブチレンとのブロック共重合体(a2)からなる群から選択される1種以上 100質量部;(b)ポリオレフィン系樹脂 5〜80質量部;及び(c)ゴム用軟化剤 20〜200質量部;を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー樹脂組成物に関する。更に詳しくは、高いガスバリア性、及び易開栓性を有し、常温から高温までの何れの温度環境下においても耐圧縮変形性、及び耐ブリードアウト性に優れ、成形性が良好であり、食品包装用や医療用の物品、特にこれらの物品のシール部材の材料として好適に用いることのできる熱可塑性エラストマー樹脂組成物に関する。
近年、熱可塑性エラストマー樹脂は、生活資材分野に多用されている。熱可塑性エラストマー樹脂としては、ポリオレフィン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリアミド樹脂系、ポリスチレン樹脂系、及びポリ塩化ビニル樹脂系など、様々な熱可塑性エラストマー樹脂が利用されている。これらの中で、特に食品包装用容器、及び医薬品等の医療用容器のシール部材としては、経済性、機械特性の安定性、及び常温から高温までの広い温度範囲において使用に耐えるという観点から、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂が注目されている。ところが、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂には、柔軟性を付与するために配合されるゴム用軟化剤等の可塑剤がブリードアウトを起こし易いという問題があった。
そこで、特許文献1には、「(A)末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体100重量部を、(B)ポリオレフィン10〜100重量部の存在下で、(C)ヒドロシリル基含有化合物により溶融混練中に架橋してなる組成物と、(D)滑剤0.1〜20重量部とを含有してなるキャップライナー用組成物。」が提案されている。しかし、発明者が試験したところ、この技術は、高温環境下における耐圧縮歪性、及び高温環境下におけるシール性など、高温環境下における特性が十分ではないことが分かった。
またシール部材には、シール性に加えて、開栓時の抵抗が小さいこと、所謂低い開栓抵抗性(易開栓性)を有することが求められる。特許文献1の技術では、開栓抵抗を抑えるために滑剤が用いられている。滑剤は、一般的に材料の表面にブリードさせることによって滑り摩擦抵抗の低減を図るものである。そのため材料表面にブリードした滑剤が食品等の内容物と接触し、内容物が汚染され、変質するという問題がある。またブリードした滑剤が臭気発生の原因となったり、内容物に臭気成分が移行したりする問題もある。
またキャップライナーのようなシール部材は、射出成形における多数個取りで生産されている。そのためシール部材の材料には、寸法安定性が良好で、ひけ等の不具合の無いことが求められる。近年は押出加工によりシート状成形物を得た後、型抜きによって生産される場合がある。この場合、シール部材の材料には、押出成形により良好な外観のシートを得られることが求められる。
更にシール部材の材料には、内容物の品質安定性の向上、及び長期保存性の観点から、ガスバリア性、特に酸素バリア性が求められる。
国際公開第2006/098142号
本発明の課題は、高いガスバリア性、及び易開栓性を有し、常温から高温までの何れの温度環境下においても耐圧縮変形性、及び耐ブリードアウト性に優れ、成形性が良好であり、食品包装用や医療用の物品、特にこれらの物品のシール部材の材料として好適に用いることのできる熱可塑性エラストマー樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の熱可塑性エラストマー樹脂組成物により、上記課題を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、
(a)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物(a1)、及び芳香族ビニル化合物とイソブチレンとのブロック共重合体(a2)からなる群から選択される1種以上 100質量部;
(b)ポリオレフィン系樹脂 5〜80質量部;及び
(c)ゴム用軟化剤 20〜200質量部
を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物である。
第2の発明は、上記成分(a)が、スチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体(SEB)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、及びスチレン−ビニル(エチレン−プロピレン)−スチレン共重合体(V−SEPS)からなる群から選択される1種以上である第1の発明に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物である。
第3の発明は、上記成分(b)が、ポリプロピレン系樹脂である第1の発明又は第2の発明に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物である。
第4の発明は、更に(d)イソブチレンに由来する構造単位を有する架橋弾性体であって、ヒドロシリル基含有化合物を用いて架橋することにより得られた架橋弾性体を、上記成分(a)100質量部に対して、3〜120質量部含む、第1〜3の発明の何れか1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物である。
第5の発明は、更に(e)タルク、マイカ、及びシリカからなる群から選択される1種以上を、上記成分(a)100質量部に対して、3〜50質量部含む、第1〜4の発明の何れか1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物である。
第6の発明は、第1〜5の発明の何れか1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物からなる食品包装用物品である。
第7の発明は、第1〜5の発明の何れか1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物からなる医療用物品である。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、高いガスバリア性、及び易開栓性を有し、常温から高温までの何れの温度環境下においても耐圧縮変形性、及び耐ブリードアウト性に優れ、成形性が良好である。また柔軟性と機械的強度とのバランスも良好である。そのため食品包装用や医療用の物品、特にこれらの物品のシール部材の材料として好適に用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、(a)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物(a1)、及び芳香族ビニル化合物とイソブチレンとのブロック共重合体(a2)からなる群から選択される1種以上を含む。上記成分(a)は、柔軟性、耐圧縮永久歪性、及びガスバリア性を良好にする働きをする。
(a1)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物:
上記成分(a1)は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物である。上記成分(a1)を用いた場合、特に圧縮永久歪特性、及び柔軟性が良好になる。
上記芳香族ビニル化合物は、重合性の炭素−炭素二重結合と芳香環を有する重合性モノマーである。芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、及びp−第3ブチルスチレンなどをあげることができる。これらの中で、スチレンが好ましい。芳香族ビニル化合物としては、これらの1種以上を用いることができる。
上記共役ジエンは、2つの炭素−炭素二重結合が1つの炭素−炭素単結合により結合された構造を有する重合性モノマーである。共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、及びクロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)などをあげることができる。これらの中で、1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。共役ジエンとしては、これらの1種以上を用いることができる。
上記成分(a1)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの1個以上、機械的強度、成形加工性の観点から、好ましくは2個以上と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの1個以上とからなるブロック共重合体である。例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、及びA−B−A−B−Aなどの構造を有するブロック共重合体をあげることができる。
上記成分(a1)の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、耐熱性の観点から、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは20〜50質量%である。
上記重合体ブロックAは、芳香族ビニル化合物のみからなる重合体ブロック又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。重合体ブロックAが共重合体ブロックである場合における、重合体ブロックA中の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、通常50質量%以上、耐熱性の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。重合体ブロックA中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。重合体ブロックAが2個以上あるとき、これらは同一構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよい。
上記重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のみからなる重合体ブロック又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。重合体ブロックBが共重合体ブロックである場合における、重合体ブロックB中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の含有量は、通常50質量%以上、柔軟性の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。重合体ブロック中の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。共役ジエン化合物と共役ジエン化合物との結合様式(以下、ミクロ構造と略すことがある。)は、特に制限されず、任意である。重合体ブロックBが2個以上あるとき、これらは同一構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよい。
上記成分(a1)の水素添加率(水素添加前の芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体中の炭素と炭素の二重結合の数に対する、水素添加により炭素と炭素の単結合となった結合の数の割合。)は、特に制限されないが、耐熱性の観点から、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上であってよい。
上記成分(a1)の共役ジエン重合体ブロックが、ブタジエン重合体ブロックである場合、そのミクロ構造は、1,2−結合が、柔軟性の観点から、好ましくは20〜50モル%、より好ましくは25〜45モル%であってよい。また耐熱性の観点から、1,2−結合を選択的に水素添加したものであってよい。
上記成分(a1)の共役ジエン重合体ブロックが、イソプレンとブタジエンとの共重合ブロックである場合、そのミクロ構造は、1,2−結合が、耐熱性の観点から、好ましくは50モル%未満、より好ましくは25モル%未満、更に好ましくは15モル%未満であってよい。
上記成分(a1)の共役ジエン重合体ブロックが、イソプレン重合体ブロックである場合、柔軟性の観点から、そのミクロ構造は1,4−結合が、好ましくは70〜100モル%であってよい。水素添加率は、耐熱性の観点から、90モル%以上が好ましい。
上記成分(a1)の共役ジエン重合体ブロックが、イソプレン重合体ブロックである場合、ガスバリア性の観点から、そのミクロ構造は、1,2−結合と3,4−結合の和が、80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であってよい。水素添加率は、耐熱性の観点から、90モル%以上が好ましい。このような共重合体は、しばしばスチレン−ビニル(エチレン−プロピレン)−スチレン共重合体(V-SEPS)と呼ばれる。上記スチレン−ビニル(エチレン−プロピレン)−スチレン共重合体(V-SEPS)のガラス転移温度は、好ましくは−40〜20℃である。
本明細書において、ガラス転移温度は、JIS K7121−1987に従い、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用し、150℃で5分間保持し、10℃/分で−100℃まで冷却し、−50℃で3分間保持し、10℃/分で150℃まで昇温するプログラムで測定される最後の昇温過程の曲線から算出した中間点ガラス転移温度である。
上記成分(a1)の数平均分子量は、成形加工性、及び耐圧縮永久歪性の観点から、好ましくは80,000〜1,500,000、より好ましくは、100,000〜550,000、更に好ましくは100,000〜400,000である。分子量分布(質量平均分子量/数平均分子量)は、機械物性の観点から、好ましくは10以下である。
上記成分(a1)としては、例えば、スチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体(SEB)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体ブロック(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、及びスチレン−ビニル(エチレン−プロピレン)−スチレン共重合体(V−SEPS)などをあげることができる。これらの中で、柔軟性及び高温環境下における耐圧縮歪性の観点から、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、及びスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が好ましい。
(a2)芳香族ビニル化合物とイソブチレンとのブロック共重合体:
上記成分(a)としては、(a2)芳香族ビニル化合物とイソブチレンとのブロック共重合体を用いることもできる。上記成分(a2)を用いた場合、特にガスバリア性が良好になる。
上記成分(a2)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックCの1個以上、機械的強度の観点から、好ましくは2個以上と、イソブチレンを主体とする重合体ブロックDの1個以上とからなるブロック共重合体である。例えば、C−D、C−D−C、C−D−C−D、及びC−D−C−D−Cなどの構造を有するブロック共重合体をあげることができる。
上記重合体ブロックCは、芳香族ビニル化合物のみからなる重合体ブロック又は芳香族ビニル化合物とその他のモノマーとの共重合体ブロックである。重合体ブロックCが共重合体ブロックである場合における、重合体ブロックC中の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、通常50質量%以上、耐熱性の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。上記その他の任意モノマーは、芳香族ビニル化合物と共重合可能な任意のモノマーである。上記その他の任意モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)などの共役ジエン;及びイソブチレンなどをあげることができる。上記その他の任意モノマーとしては、これらの1種以上を用いることができる。重合体ブロックC中の上記その他のモノマーに由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。重合体ブロックCが2個以上あるとき、これらは同一構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよい。
上記重合体ブロックDは、イソブチレンのみからなる重合体ブロック又はイソブチレンとその他の任意モノマーとの共重合体ブロックである。重合体ブロックDが共重合体ブロックである場合における、重合体ブロックD中のイソブチレンに由来する構造単位の含有量は、通常50質量%以上、耐圧縮永久歪特性、ガスバリア性の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。上記その他の任意モノマーは、イソブチレンと共重合可能な任意モノマーである。上記その他の任意モノマーとしては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、及びp−第3ブチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;及び1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)などの共役ジエン;などをあげることができる。上記その他の任意モノマーとしては、これらの1種以上を用いることができる。重合体ブロックD中の上記その他のモノマーに由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。重合体ブロックDが2個以上あるとき、これらは同一構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよい。
上記成分(a2)としては、例えば、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)をあげることができる。
上記成分(a)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
(b)ポリオレフィン系樹脂:
上記成分(b)は、ポリオレフィン系樹脂であり、機械的強度を向上させたり、成形加工性を安定させたりする働きをする。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及びエチレン・α−オレフィン共重合体(エチレン系プラストマー)などのポリエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体(ブロック共重合体、及びランダム共重合体を含む。)などのポリプロピレン系樹脂;ポリブテン−1;及びポリ4−メチルペンテン−1などをあげることができる。これらの中で、耐熱性及び成形加工性の観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
上記成分(b)がポリプロピレン系樹脂である場合、融解エンタルピーは、柔軟性の観点からは、好ましくは60J/g以下、より好ましくは40J/g以下である。機械的強度の観点からは、好ましくは60J/g以上、より好ましくは80J/g以上である。耐熱性の観点からは、好ましくは100J/g以上、より好ましくは110J/g以上である。また融点は、耐熱性と機械的強度の観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは135℃以上である。融点の上限は特にないが、結晶性プロピレン系重合体であることから、通常167℃程度である。
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂の融解エンタルピーは、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用し、230℃で5分間保持し、10℃/分で−10℃まで冷却し、−10℃で5分間保持し、10℃/分で230℃まで昇温するプログラムで測定されるセカンド融解曲線(最後の昇温過程で測定される融解曲線)から算出した。融点は、上記セカンド融解曲線において、最も高い温度側に現れるピークトップから算出した。計算例を図1に示す。
上記ポリプロピレン系樹脂のJIS K 7210:1999に準拠し、230℃、21.18Nの条件で測定したメルトマスフローレートは、成形加工性の観点から、本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物を射出成形に適用する場合には、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.3〜30g/10分である。本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物を押出成形に適用する場合には、好ましくは0.1〜7g/10分、より好ましくは0.3〜5g/10分である。
押出成形性、及び押出成形シートの外観を良好に保つ観点からは、上記成分(b)として、密度が好ましくは930Kg/m以上、より好ましくは950〜965Kg/mのポリエチレン系樹脂を用いてもよい。なお本明細書において、ポリエチレン系樹脂の密度は、JIS K 7112:1999に準拠し、水中置換法で測定した値である。
上記ポリエチレン系樹脂のJIS K 7210:1999に準拠し、190℃、21.18Nの条件で測定したメルトマスフローレートは、成形加工性、特に射出成形性の観点から、好ましくは5〜50g/10分、より好ましくは10〜40g/10分である。
上記成分(b)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対し、加工性、耐熱性、及び柔軟性の観点から、5質量部以上、好ましくは10質量部以上である。一方、柔軟性の観点から、80質量部以下、好ましくは50質量部以下である。
(c)ゴム用軟化剤:
上記成分(c)はゴム用軟化剤であり、柔軟性を高める働きをする。上記成分(c)としては、例えば、非芳香族系ゴム用軟化剤、芳香族系ゴム用軟化剤、及びエステル系可塑剤などをあげることができる。これらの中で、相容性の観点から、非芳香族系ゴム用軟化剤が好ましい。
上記非芳香族系ゴム用軟化剤は、非芳香族系の鉱物油(石油等に由来する炭化水素化合物)又は合成油(合成炭化水素化合物)であり、通常、常温では液状又はゲル状若しくはガム状である。ここで非芳香族系とは、鉱物油については、下記の区分において芳香族系に区分されない(芳香族炭素数が30%未満である)ことを意味する。合成油については、芳香族モノマーを使用していないことを意味する。
ゴム用軟化剤として用いられる鉱物油は、パラフィン鎖、ナフテン環、及び芳香環の何れか1種以上の組み合わさった混合物であって、ナフテン環炭素数が30〜45%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれ、ナフテン系にも芳香族系にも属さず、かつパラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものはパラフィン系と呼ばれて区別されている。
上記非芳香族系ゴム用軟化剤としては、例えば、直鎖状飽和炭化水素、分岐状飽和炭化水素、及びこれらの誘導体等のパラフィン系鉱物油;ナフテン系鉱物油;水素添加ポリイソブチレン、ポリイソブチレン、及びポリブテン等の合成油;などをあげることができる。
上記非芳香族系ゴム用軟化剤の37.8℃における動的粘度は、成形加工性の観点から、好ましくは20〜50,000cSt、より好ましくは20〜1,000cStである。100℃における動的粘度は、耐ブリードアウト性、及び耐熱性の観点から、好ましくは5〜1,500cSt、より好ましくは5〜100cStである。流動点は、組成物製造時の取扱い性の観点から、好ましくは−10〜−25℃である。引火点(COC)は、安全性の観点から、好ましくは170〜350℃である。質量平均分子量は、耐ブリードアウト性の観点から、好ましくは100〜2,000である。
上記非芳香族系ゴム用軟化剤の市販例としては、日本油脂株式会社のイソパラフィン系炭化水素油「NAソルベント(商品名)」、出光興産株式会社のn−パラフィン系プロセスオイル「ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名)」及び「ダイアナプロセスオイルPW−380(商品名)」、出光石油化学株式会社の合成イソパラフィン系炭化水素「IP−ソルベント2835(商品名)」、及び三光化学工業株式会社n−パラフィン系プロセスオイル「ネオチオゾール(商品名)」などをあげることができる。これらの中で、相容性の観点から、パラフィン系鉱物油が好ましく、芳香族炭素数の少ないパラフィン系鉱物油がより好ましい。上記成分(c)としては、これらの1種以上を用いることができる。
上記成分(c)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対して、耐ブリード性の観点から、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下である。一方、上記成分(c)の配合量の下限は、柔軟性向上効果を得る観点から、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。
(d)イソブチレンに由来する構造単位を有する架橋弾性体:
上記成分(d)は、イソブチレン(CH=C(CH)、少量のイソプレン(CH=C(CH)−CH=CH)、及びこれらとカチオン重合可能な任意のモノマーを、低温においてカチオン重合することにより得られる共重合体を、架橋したゴム(弾性体)であって、ヒドロシリル基含有化合物を用いて架橋することにより得られた架橋弾性体である。上記成分(d)を用いることにより、ガスバリア性、及び圧縮永久歪特性を更に向上させることができる。
上記成分(d)のイソブチレンに由来する構造単位の含有量は、ガスバリア性及び耐熱性の観点から、通常70モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上である。一方、架橋性の観点から、通常99.5モル%以下、好ましくは99モル%以下である。
上記成分(d)のイソプレンに由来する構造単位の含有量は、耐熱性の観点から、通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。一方、架橋性の観点から、通常0.5モル%以上、好ましくは1モル%以上である。
上記成分(d)の含む得る上記任意のモノマーとしては、イソブチレンやイソプレンとカチオン重合可能なモノマーであれば特に制限されない。上記任意のモノマーとしては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、及びp−第3ブチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;及び1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)などの共役ジエン;などをあげることができる。上記任意のモノマーとしては、これらの1種以上を用いることができる。上記成分(d)の任意のモノマーに由来する構造単位の含有量は、通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
上記共重合体のイソプレンに由来する構造単位や、共役ジエンなどの任意のモノマーに由来する構造単位には、炭素と炭素の二重結合が存在する。
上記成分(d)は、着色や臭気を抑制する観点から、上記共重合体中の上記二重結合を、ヒドロシリル基含有化合物を触媒として用い、公知の方法で架橋することにより得られる。
上記ヒドロシリル基含有化合物は、ヒドロシリル基を有すること以外は特に制限されず、任意のヒドロシリル基を有する化合物を用いることができる。上記ヒドロシリル基含有化合物としては、架橋性の観点から、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンが好ましい。上記ヒドロシリル基含有ポリシロキサン中のヒドロシリル基の数は、架橋性の観点から、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。またシロキサンに由来する構造単位の数は、上記成分(a)などとの混和性の観点から、好ましくは500個以下、より好ましくは100個以下である。一方、架橋性の観点から、好ましくは10個以上、より好ましくは20個以上である。
上記ヒドロシリル基含有化合物を用いて、上記共重合体を架橋するに際し、反応を促進するなどの目的で、ヒドロシリル化触媒を用いてもよい。上記ヒドロシリル化触媒としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物などのラジカル発生剤;及び遷移金属触媒;などをあげることができる。上記ヒドロシリル化触媒としては、これらの1種以上を用いることができる。
上記成分(d)の配合量は、ガスバリア性、及び圧縮永久歪特性の観点から、上記成分(a)100質量部に対して、120質量部以下、好ましくは100質量部以下である。一方、配合量の下限は、任意成分であるから特にないが、ガスバリア性、特に酸素バリア性の向上効果を確実に得る観点から、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であってよい。
(e)無機充填材
上記成分(e)は、タルク、マイカ、及びシリカからなる群から選択される1種以上である。上記成分(e)を用いることにより、ガスバリア性、及び易開栓性を更に高めることができる。また射出成形や押出成形における成形品の寸法安定性を良好に保つ働きがある
上記成分(e)としては、食品衛生法、薬事法で規定された食品、医薬品、医薬部外品、及び化粧品に添加できる基準に適合するものが好ましい。
上記成分(e)の粒子形状は、板状、鱗片状、及び層状の何れであってもよい。上記成分(e)の平均粒子径は、特に制限されないが、ガスバリア性、及び開栓性の観点から、メジアン径D50が、好ましくは1〜40μm、より好ましくは2〜30μmであってよい。ここでメジアン径D50は、JIS R1629−1997に従いレーザ回折・散乱法により測定した粒子径分布の体積基準の積算分率における50%径の値である。
上記成分(e)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対して、柔軟性、及びシール性の観点から、50質量部質量部以下、好ましくは40質量部以下である。一方、配合量の下限は、任意成分であるから特にないが、上記成分(e)の使用効果を確実に得る観点から、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であってよい。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物のJIS K 6253−2012に準拠して測定したデュロメータ硬さ(タイプA)の15秒値は、密栓性とキャップライナーとしての強度のバランスの観点から、好ましくは45〜85、より好ましくは50〜75である。上記硬さが好ましくは85以下、より好ましくは75以下であることにより、容器の口部に十分に密着し、内容物の漏出を防止することができる。一方、上記硬さが好ましくは45以上、より好ましくは50以上であることにより、キャップを開栓する際に、キャップライナーが裂けたり、摩耗したりして、キャップライナーの小片が内容物に混入するなどのトラブルを防止することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物には、本発明の目的に反しない限度において、上記成分(e)以外の無機充填材を、更に含ませることができる。引張強度の向上効果や、増量による経済上の利点を有する。上記無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、クレー、硫酸バリウム、天然珪酸、合成珪酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン、及びカーボンブラックなどをあげることができる。無機充填材としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。無機充填材の配合量は、上記成分(a)〜(e)の合計量を100質量部として、通常50質量部以下である。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物には、本発明の目的に反しない限度において、フェノール系、リン系、及び硫黄系などの酸化防止剤;老化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤などの耐候剤;酸アミド、脂肪酸、脂肪酸金属塩、ワックス、シリコンオイル、及び変性シリコンオイルなどの滑剤;芳香族リン酸金属塩系、及びゲルオール系などの造核剤;グリセリン脂肪酸エステル系などの帯電防止剤;有機系・無機系の各種難燃剤;及び銅害防止剤;などの各種の添加剤を更に含ませることができる。これら添加剤は成形品の表面に、これらがブリードアウトするなどのトラブルを防止するため、上記成分(a)〜(d)との相容性の高いものが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、上記成分(a)〜(c)、及び所望により用いる任意成分を、任意の溶融混練機を使用して溶融混練することにより得ることができる。組成物の各成分が、実質的に均一に分散される方法であれば、どのような製造方法を採用してもよく、制限されない。例えば、組成物の各成分をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、及びタンブラーミキサーなどを使用してドライブレンドあるいはホットブレンドした後、加圧ニーダー及びミキサー等のバッチ式混練機;コニーダー、同方向回転二軸押出機、及び異方向回転二軸押出機等の押出混練機;カレンダーロール混練機;及びこれらを任意に組み合わせた混練機などを使用して得ることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜23、参考例1〜5
表1〜4の何れか1に示す配合比(質量部)の配合物を、日本製鋼株式会社の28mm径、L/D=42の二軸押出機を使用し、スクリュウ回転数200rpm、ダイス出口樹脂温度220℃の条件で溶融混練し、ストランドカット法により、熱可塑性エラストマー樹脂組成物のペレットを得た。下記試験(1)〜(9)を行った。結果を表1〜4の何れか1に示す。
(1)射出成形性:
型締力120トンの射出成形機を使用し、樹脂温度230℃、金型温度40℃、射出速度55mm/秒、射出圧力600Kg/cm、保圧圧力400Kg/cm、射出時間6秒、冷却時間15秒の条件で縦13.5cm×横13.5cm×厚み2mmのシートを成型した。デラミネーション、表層剥離、ひけ、変形、及びフローマークの有無などの外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:全く不具合がない。
○:僅かにひけ、フローマークが認められる他は特に使用上問題はない。
△:フローマーク、及びひけが認められる。
×:外観が悪い。
(2)硬度:
上記で得た射出シートを用い、予熱220℃、3分間、加圧220℃、3分間の条件で熱プレスして6mm厚のプレスシートを作成した。得られたプレスシートをサンプルとして、JIS K 6253−2012に準拠し、デュロメータ硬さ(タイプA)の15秒値を測定した。
(3)圧縮永久歪1:
JIS K 6262−2003に準拠し、試験片として上記試験(2)と同様にして得た6mm厚プレスシートを用い、25%圧縮変形、温度70℃、及び22時間の条件で測定した。
(4)圧縮永久歪2:
試験温度を70℃から120℃に変更したこと以外は、全て上記試験(3)と同様に測定した。
(5)酸素透過度:
JIS K 7126−1:2006の第1部:差圧法の付属書2に準拠し、試験として1mm厚プレスシートを用い、酸素透過係数を測定した後、得られた酸素透過係数の測定値を、試験片厚みが20μmの場合の酸素透過度に換算した。なお結果の表では単位(cc/m・day・atm)の記載を省略している。
(6)押出成形性
単軸押出機(L/D=28)とTダイを使用し、ダイ出口樹脂温度230℃の条件で、幅50mm×厚み1mmのシートを押出成形した。ドローダウン性、シートの表面外観及び形状を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:全く不具合がない。
○:シート表面に僅かな荒れを認める。ドローダウン性とシート形状に問題はない。
△:シート表面に荒れを認める。またシート形状(エッジ部の再現性)に問題がある。
×:ドローダウン性、シートの表面外観及び形状の何れにも問題がある。
(7)耐ブリードアウト性:
上記試験(2)で成型したシートを、70℃のギアオーブン中に168時間曝した後、その表面を目視観察したり手で触れたりし、以下の基準で評価した。
○:シート表面にベタツキを感じない
△:シート表面にベタツキ感がある
×:シート表面に触れると、汚れが付く
(8)開栓性(静摩擦係数):
移動速度を30mm/分としたこと以外は、JIS K7125:1999に準拠し、試験片として1mm厚プレスシートを用い、滑り片として、試験片との接触面が直径5mm球面に加工されたガラスを、その上に重りを載せて、全質量が200gとなるようにして用い、静摩擦係数を測定した。以下の基準で評価した。
○:静摩擦係数が0.5未満である。
△:静摩擦係数が0.5〜1.0である。
×:静摩擦係数が1.0を超える。
使用した原材料
成分(a):
(a−1)株式会社クラレのスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)「SEPTON4077(商品名)」。スチレンに由来する構造単位の含有量30質量%、質量平均分子量338000、数平均分子量280000、分子量分布(質量平均分子量/数平均分子量)1.2。
(a−2)株式会社カネカのスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)「SIBSTAR103T(商品名)」。スチレンに由来する構造単位の含有量31質量%、数平均分子量92000、分子量分布(質量平均分子量/数平均分子量)1.1、デュロメータ硬さ(タイプA、15秒値)57。
(a−3)株式会社クラレのスチレン−ビニル(エチレン−プロピレン)−スチレン共重合体(V−SEPS) 「ハイブラーKL−7135(商品名)」。スチレンに由来する構造単位の含有量33質量%、デュロメータ硬さ(タイプA、15秒値)68、ガラス転移温度−15℃。
成分(b):
(b−1)株式会社プライムポリマーのポリプロピレン系樹脂「プライムポリプロJ106MG(商品名)」。融解エンタルピー100J/g、融点160℃、メルトマスフローレート(230℃、21.18N)15 g/10分。
(b−2)株式会社プライムポリマーのポリプロピレン系樹脂「プライムポリプロJ739E(商品名)」。融解エンタルピー90J/g、融点162℃、メルトフローレート(230℃、21.18N) 54g/10分。
(b−3)サンアロマー株式会社のポリプロピレン系樹脂「Adflex Q−100F(商品名)」。融解エンタルピー36J/g、融点142℃、メルトマスフローレート(230℃、21.18N)0.6g/10分。
(b−4)日本ポリエチレン株式会社の高密度ポリエチレン「ノバテックHJ490(商品名)」。密度960Kg/m3、メルトマスフローレート(190℃、21.18N)20g/10分。
成分(c):
(c−1)出光興産株式会社のn−パラフィン系プロセスオイル「ダイアナプロセスオイルPW−100(商品名)」。Mw720、Mn540、Mw/Mn 1.33、40℃における動的粘度;95.54cSt、100℃における動的粘度;11.25cSt、流動点−15℃、引火点270℃。
(c−2)出光興産株式会社のn−パラフィン系プロセスオイル「ダイアナプロセスオイルPW−380(商品名)」。 Mw750、Mn652、Mw/Mn 1.15、40℃における動粘度381.6cSt、引火点300℃。
(c−3)JX日鉱日石エネルギー株式会社のポリブテン系合成油「日石ポリブテンHV−300(商品名)」。Mn1400、流動点0℃、40℃における動粘度 26000cSt、引火点230℃。
成分(d):
(d−1)国際公開第2006/098142号の製造例1に従い、未架橋イソブチレン系ゴムを得た。続いて、HDPEの替わりに上記(b−1)を、100Rの替わりに上記(c−3)を用いたこと以外は、国際公開第2006/098142号の製造例3に従い、成分(d)100質量部、成分(b)11質量部、及び成分(c)40質量部を含むイソブチレン系弾性体組成物を得た。
(d−2)HDPEとして上記(b−4)を、100Rの替わりに上記(c−1)を用いたこと以外は、上記(d−1)と同様にしてイソブチレン系弾性体組成物を得た。
(d−3)HDPEとして上記(b−4)を、100Rの替わりに上記(c−3)を用いたこと以外は、上記(d−1)と同様にしてイソブチレン系弾性体組成物を得た。
成分(e):
(e−1)日本タルク株式会社のタルク「PAOG−10(商品名)」。平均粒子径10μm。
(e−2)株式会社ヤマグチマイカのマイカ「Y−2300X(商品名)」。平均粒子径19μm。
(e−3)AGCエスアイテック株式会社の鱗片状シリカ微粒子「サンラブリーC(商品名)」。平均粒子径5μm。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、ガスバリア性、高温環境下での耐圧縮変形性、耐ブリードアウト性に優れる。かつ成形性が良好である。またデュロメータ硬さ(タイプA)の15秒値が適切な範囲にあることから密栓性とキャップライナーとしての強度とのバランスも良好であると期待できる。更に静摩擦係数が小さい、即ち滑り出しの摩擦抵抗が小さいことから、開栓性も良好であると期待できる。
示差走査熱量計により測定したセカンド融解曲線の概念図である。
1:融点曲線
2:ベースライン
3:融解エンタルピーを表す領域
4:融点
5:融解エンタルピー計算の積分始点
6:融解エンタルピー計算の積分終点

Claims (7)

  1. (a)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物(a1)、及び
    芳香族ビニル化合物とイソブチレンとのブロック共重合体(a2)
    からなる群から選択される1種以上 100質量部;
    (b)ポリオレフィン系樹脂 5〜80質量部;及び
    (c)ゴム用軟化剤 20〜200質量部
    を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  2. 上記成分(a)が、スチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体(SEB)、
    スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)、
    スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、
    スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、
    スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、
    スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、及び
    スチレン−ビニル(エチレン−プロピレン)−スチレン共重合体(V−SEPS)
    からなる群から選択される1種以上である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  3. 上記成分(b)が、ポリプロピレン系樹脂である請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  4. 更に(d)イソブチレンに由来する構造単位を有する架橋弾性体であって、ヒドロシリル基含有化合物を用いて架橋することにより得られた架橋弾性体を、上記成分(a)100質量部に対して、3〜120質量部含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  5. 更に(e)タルク、マイカ、及びシリカからなる群から選択される1種以上を、上記成分(a)100質量部に対して、3〜50質量部含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物からなる食品包装用物品。
  7. 請求項1〜5の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物からなる医療用物品。

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