JP6440444B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関する。更に詳しくは、非常に柔軟であり、かつ耐熱硬度変化(熱による硬度変化)、耐燃料性、耐熱油性(高温における耐油性)、耐熱歪特性(高温における耐圧縮永久歪特性)、及び射出成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物に関する。
近年、ゴム弾性を有する軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様の成形加工性やマテリアルリサイクル性を有する熱可塑性エラストマーが、加硫ゴムを代替する材料として、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、履物、及び雑貨等の分野で多用されている。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、耐屈曲疲労性、耐熱性、及び耐油性に優れることから、自動車CVJブーツなどに使用されている。しかし、ポリエステル系熱可塑性エラストマーには、加硫ゴムと比較して高価である;成形前に乾燥を必要とする;柔軟性、耐候性、耐圧縮永久歪特性、及び耐加水分解性が低い;及び比重が大きく加硫ゴムよりも重い;という問題がある。
スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物やスチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物などのポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性、常温におけるゴム弾性、耐熱老化性(熱安定性)、耐候性、及び成形加工性に優れ、広く使用されている。一方、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーには、加硫ゴムと比較して、耐油性、耐圧縮永久歪特性、及び高温におけるゴム弾性が低いという問題がある。そこで、これらの問題を改良する技術として、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の水素添加物を含む組成物を、動的架橋させて得られる材料が提案されている(例えば、特許文献1〜5)。しかし、上記材料には、柔軟性と高温、特に100℃以上における耐圧縮永久歪特性や耐油性とのバランスが低い;及び機械強度が低いという問題があり、加硫ゴムを代替する材料として満足のできるものではない。
ポリオレフィン系樹脂及びポリオレフィン系共重合体ゴムを動的架橋して得られる熱可塑性エラストマー組成物も多数知られている。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン系共重合体樹脂とハロゲン化ブチルゴム等のゴムを動的架橋したエラストマー組成物が開示されている(特許文献6)。この組成物は、耐熱収縮性や成形加工性に優れるが、柔軟性と高温での耐圧縮永久歪特性や耐油性とのバランスに劣る。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、EPDM等のモノオレフィンゴム、ニトリルゴム等の共役ジエンポリマー、及びプロセスオイルを含む動的加硫熱可塑性エラストマー組成物が開示されている(特許文献7)。この組成物は、非常に軟質であるが、成形加工性に劣り、高温での耐圧縮永久歪特性や耐油性が不十分である。
特開昭59−6236号公報 特開昭63−57662号公報 特公平3−49927号公報 特公平3−11291号公報 特公平6−13628号公報 特開昭61−26641号公報 特開平9−291176号公報
本発明の課題は、非常に柔軟であり、かつ耐熱硬度変化(熱処理による硬度変化)、耐燃料性、耐熱油性(高温における耐油性)、耐熱歪特性(高温における耐圧縮永久歪特性)、及び射出成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究した結果、不飽和ニトリルと共役ジエンとの共重合体ゴムを含む特定の熱可塑性エラストマー組成物により、上記課題を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、(a)不飽和ニトリルと共役ジエンとの共重合体ゴム 100質量部;
(b)ポリプロピレン系樹脂 10〜150質量部;
(c)軟化剤 20〜160質量部;
(d)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物からなる群から選択される1種以上 5〜80質量部;及び、
(e)有機過酸化物 0.5〜2.5質量部;
を含み、上記(c)軟化剤は、
(c−1)37.8℃における粘度が20〜500cStである非芳香族系ゴム用軟化剤 40〜80質量%;及び
(c−2)分子量が500以上の極性可塑剤 60〜20質量%;
からなり、ここで上記成分(c−1)と上記成分(c−2)との和は100質量%であること
を特徴とする熱可塑性エラストマー組成物である。
第2の発明は、上記(c−2)極性可塑剤が、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤及びポリエーテルエステル系可塑剤からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする第1の発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
第3の発明は、(f)酸化防止剤 0.1〜4.0質量部 を更に含むことを特徴とする第1の発明又は第2の発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
第4の発明は、120℃、336時間の処理前後において、JIS K 6253−2012に従い測定したデュロメータ硬さ(タイプA、15秒値)の差が、20以下であることを特徴とする第1〜3の発明の何れか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
第5の発明は、第1〜4の発明の何れか1に記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む自動車エンジン用パッキンである。
第6の発明は、第5の発明に記載の自動車エンジン用パッキンを使用した吸気用部材である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、耐熱硬度変化(熱による硬度変化)、耐燃料性、耐熱油性(高温における耐油性)、耐熱歪特性(高温における耐圧縮永久歪特性)、相容性、耐ブリード性、組成物の製造性、及び射出成型性に優れる。そのため加硫ゴムを代替する材料として、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、履物、及び雑貨などに好適に用いることができる。特に自動車エンジン用の吸気系に使用されるパッキン、Oリングとして有用である。
(a)不飽和ニトリルと共役ジエンとの共重合体ゴム:
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(a)不飽和ニトリルと共役ジエンとの共重合体ゴムを含む。成分(a)は、耐熱油性(高温における耐油性)や耐熱歪特性(高温における耐圧縮永久歪特性)に重要な働きをする。
上記成分(a)としては、特に制限されず、任意の不飽和ニトリルと任意の共役ジエンとを、乳化重合等の公知の方法により共重合して得たものを用いることができる。また、所望により、不飽和ニトリル及び共役ジエン以外のその他のモノマーを用いてもよい。
上記不飽和ニトリルは、重合性の炭素−炭素二重結合とニトリル基(シアノ基)とを1分子内に有する重合性モノマーである。不飽和ニトリルとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、メチルα−イソプロピルアクリロニトリル、及びメチルα−n−ブチルアクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル化合物;2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−(2−シアノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−シアノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4−(2−シアノエトキシ)ブチル(メタ)アクリレート、及び2−〔2−(2−シアノエトキシ)エトキシ〕エチル(メタ)アクリレート等のシアノ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;フマロニトリル;及び2−メチレングルタロニトリルなどをあげることができる。これらの中で、アクリロニトリルが好ましい。不飽和ニトリルとしては、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味である。(メタ)アクリロニトリルとは、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルの意味である。
上記成分(a)中の不飽和ニトリルに由来する構造単位の含有量(以下、「ニトリル含量」と略すことがある。)は、特に制限されないが、耐熱油性や耐熱歪特性の観点から、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。また柔軟性の観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。ニトリル含量は、更に好ましくは30〜50質量%である。ニトリル含量が、上記範囲にあると、柔軟性と耐熱油性や耐熱歪特性とのバランスが非常に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
上記共役ジエンは、2つの炭素−炭素二重結合が1つの炭素−炭素単結合により結合された構造を有する重合性モノマーである。共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、及びクロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)などをあげることができる。これらの中で、1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。共役ジエンとしては、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記成分(a)中の共役ジエンに由来する構造単位の含有量(以下、「ジエン含量」と略すことがある。)は、特に制限されないが、柔軟性の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。また耐熱油性や耐熱歪特性の観点から、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
上記その他のモノマーは、上記飽和ニトリル及び上記共役ジエンと共重合可能なモノマーであれば、特に制限されず、任意のモノマーを用いることができる。その他のモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びβ−カルボキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基と炭素−炭素二重結合とを有する重合性化合物;及びスチレン等の芳香族ビニル化合物などをあげることができる。その他のモノマーとしては、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記成分(a)中のその他のモノマーに由来する構造単位の含有量は、柔軟性と耐熱油性や耐熱歪特性とのバランスの観点から、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
上記成分(a)としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(NBIR)、アクリロニトリル−イソプレン共重合体ゴム(NIR)、アクリロニトリル−ブタジエン−ブトキシアクリレート共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体ゴム、及びアクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体ゴムなどをあげることができる。これらの中で、耐熱油性の観点から、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)が好ましい。成分(a)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(a)は、耐熱歪特性、柔軟性、及び成形性の観点から、JIS K6300−1−2013に従い、L形ロータを使用し、予熱時間1分間、ロータの回転時間4分間、及び試験温度100℃の条件で測定したムーニー粘度(ML(1+4)100℃)が、好ましくは20〜120、より好ましくは40〜100である。
(b)ポリプロピレン系樹脂:
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(b)ポリプロピレン系樹脂を含む。成分(b)は、溶融混練時の組成物の流動性をコントロールして、上記成分(a)などのゴム成分の分散を良好にせしめる効果を有する。
上記成分(b)としては、例えば、プロピレン単独重合体;プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体(ブロック共重合体、及びランダム共重合体を含む。);などをあげることができる。成分(b)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(b)は、成形性の観点から、JIS K 7210−1999に準拠し、230℃、21.18Nの条件で測定したメルトマスフローレートが、好ましくは0.1〜100g/10分である。
上記成分(b)は、耐熱油性の観点から、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用し、230℃で5分間保持し、10℃/分で−10℃まで冷却し、−10℃で5分間保持し、10℃/分で230℃まで昇温するプログラムで測定されるセカンド融解曲線(最後の昇温過程で測定される融解曲線)において、最も高い温度側に現れるピークのピークトップ融点が、好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上である。ピークトップ融点の上限は特にないが、ポリプロピレン系樹脂であるから、せいぜい167℃である。
上記成分(b)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対して、相容性及び射出成型性の観点から、10質量部以上、好ましくは15質量部以上である。柔軟性、耐熱油性及び耐熱歪特性の観点から、150質量部以下、好ましくは125質量部以下である。より好ましくは、15〜125質量部である。成分(b)の配合量が、上記範囲にあると、柔軟性と耐熱油性や耐熱歪特性とのバランスが非常に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
(c)軟化剤:
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(c)軟化剤を含む。成分(c)は、柔軟性と耐熱油性や耐熱歪特性とのバランスの向上に、重要な働きをする。
上記成分(c)は、(c−1)37.8℃における粘度が20〜500cStである非芳香族系ゴム用軟化剤 40〜80質量%;及び(c−2)分子量が500以上の極性可塑剤 60〜20質量%;からなる。ここで成分(c−1)と成分(c−2)との和は100質量%である。成分(c−1)が80質量%以下、好ましくは75質量%以下(成分(c−2)が20質量%以上、好ましくは25質量%以上)であることにより、耐ブリード性の良好な熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。成分(c−1)が40質量%以上、好ましくは50質量%以上(成分(c−2)が60質量%以下、好ましくは50質量以下)であることにより、耐熱油性の良好な熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。成分(c)は、より好ましくは成分(c−1)50〜75質量%及び成分(c−2)50〜25質量%からなる。成分(c−1)と成分(c−2)との割合が上記範囲にあるとき、柔軟性、耐熱油性、及び耐ブリード性のバランスが非常に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
上記成分(c)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対して、柔軟性、耐熱油性及び耐燃料性の観点から、20質量部以上、好ましくは40質量部以上である。耐熱歪特性及び耐ブリード性の観点から、160質量部以下、好ましくは125質量部以下である。
(c−1)37.8℃における粘度が20〜500cStである非芳香族系ゴム用軟化剤:
上記成分(c−1)は、非芳香族系の鉱物油(石油等に由来する炭化水素化合物)又は合成油(合成炭化水素化合物)であり、通常、常温では液状又はゲル状若しくはガム状である。ここで非芳香族系とは、鉱物油については、下記の区分において芳香族系に区分されない(芳香族炭素数が30%未満である)ことを意味する。合成油については、芳香族モノマーを使用していないことを意味する。
ゴム用軟化剤として用いられる鉱物油は、パラフィン鎖、ナフテン環、及び芳香環の何れか1種以上の組み合わさった混合物であって、ナフテン環炭素数が30〜45%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれ、ナフテン系にも芳香族系にも属さず、かつパラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものはパラフィン系と呼ばれて区別されている。
上記成分(c−1)としては、例えば、直鎖状飽和炭化水素、分岐状飽和炭化水素、及びこれらの誘導体等のパラフィン系鉱物油;ナフテン系鉱物油;水素添加ポリイソブチレン、ポリイソブチレン、及びポリブテン等の合成油;などをあげることができる。
上記成分(c−1)の37.8℃における動的粘度が50〜500cStである。耐熱硬度変化の観点から、50cSt以上であり、好ましくは80cSt以上である。組成物製造時の取扱い性の観点より500cSt以下であり、好ましくは200cSt以下である。取扱い性の観点から、流動点が好ましくは−10〜−15℃である。安全性の観点から、引火点(COC)が好ましくは170〜300℃である。
上記成分(c−1)の市販例としては、日本油脂株式会社のイソパラフィン系炭化水素油「NAソルベント(商品名)」、出光興産株式会社のn−パラフィン系プロセスオイル「ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名)」及び「ダイアナプロセスオイルPW−380(商品名)」、出光石油化学株式会社の合成イソパラフィン系炭化水素「IP−ソルベント2835(商品名)」、及び三光化学工業株式会社n−パラフィン系プロセスオイル「ネオチオゾール(商品名)」などをあげることができる。これらの中で、相容性の観点から、パラフィン系鉱物油が好ましく、芳香族炭素数の少ないパラフィン系鉱物油がより好ましい。成分(c−1)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
(c−2)分子量が500以上の極性可塑剤:
上記成分(c−2)は、分子内に極性基を有し、常温で液体の合成化合物である。極性基を有し、炭化水素化合物ではないという点で成分(c−1)とは区別される。
上記成分(c−2)としては、例えば、トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート(TOTM)、トリ−(ノルマル−オクチル)トリメリテート(TnOTM)、トリ−(イソノリル)トリメリテート(TINTM)、トリ−(イソデシル)トリメリテート(TIDTM)などのトリメリット酸エステル系可塑剤;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート(TOPM)、テトラ−(ノルマル−オクチル)ピロメリテート(TnOPM)などのピロメリット酸エステル系可塑剤;多価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−へキサンジオール、1,6−へキサンジオール、及びネオペンチルグリコールなどを用い、二塩基酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸などを用い、必要により一価アルコールやモノカルボン酸をストッパーに使用したポリエステル系可塑剤;ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリエーテルと上記二塩基酸のポリエステルよりなるポリエーテルエステル系可塑剤;その他、フタレート系可塑剤、アジペート系可塑剤、ホスフェート可塑剤系、シクロヘキサンジカルボキシレート系可塑剤、テトラヒドロフタル酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、ビフェニルテトラカルボン酸エステル系可塑剤、及び塩素系可塑剤などをあげることができる。これらの中で、柔軟性と耐熱油性、耐熱歪性のバランスの観点から、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤およびポリエーテルエステル系可塑剤が好ましく、耐ブリード性の観点からポリエーテルエステル系可塑剤が特に好ましい。
上記成分(c−2)の分子量は500以上、好ましくは600以上、より好ましくは700以上である。分子量を500以上とすることにより耐熱硬度変化を低く抑えることができる。分子量の上限は特にないが、成分(c−2)の取扱性の観点から、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下であってよい。
成分(c−2)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
(d)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体等:
上記成分(d)は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物からなる群から選択される1種以上である。成分(d)は、モノマーとして不飽和ニトリルが使用されていないという点で、上記成分(a)とは区別される。成分(d)は、耐熱歪特性及び耐ブリード性を良好にする働きをする。
上記芳香族ビニル化合物は、重合性の炭素−炭素二重結合と芳香環を有する重合性モノマーである。芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、及びp−第3ブチルスチレンなどをあげることができる。これらの中で、スチレンが好ましい。芳香族ビニル化合物としては、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記共役ジエンは、上記成分(a)の説明において上述した化合物であり、上述したものをあげることができる。これらの中で、1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。共役ジエンとしては、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体は、耐熱油性及び機械物性の観点から、好ましくは、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの2個以上と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの1個以上とからなるブロック共重合体である。例えば、A−B−A、B−A−B−A、及びA−B−A−B−Aなどの構造を有するブロック共重合体をあげることができる。
上記芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、耐熱油性及び機械物性の観点から、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは20〜50質量%である。
上記重合体ブロックAは、芳香族ビニル化合物のみからなる重合体ブロック又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。重合体ブロックAが共重合体ブロックである場合における、重合体ブロックA中の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、通常50質量%以上、耐熱油性及び機械物性の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。重合体ブロックA中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。重合体ブロックAが2個以上あるとき、これらは同一構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよい。
上記重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のみからなる重合体ブロック又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。重合体ブロックBが共重合体ブロックである場合における、重合体ブロックB中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の含有量は、通常50質量%以上、柔軟性及び機械物性の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。重合体ブロックB中の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。共役ジエン化合物と共役ジエン化合物との結合様式(以下、ミクロ構造と略すことがある。)は、特に制限されず、任意である。重合体ブロックBが2個以上あるとき、これらは同一構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよい。
上記芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の数平均分子量は、耐熱油性及び機械物性の観点から、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは、10,000〜550,000、更に好ましくは100,000〜400,000である。分子量分布(質量平均分子量/数平均分子量)は、機械物性の観点から、好ましくは10以下である。
上記芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の分子鎖構造は、直鎖状、分岐状、放射状、及びこれらの任意の組合せの何れであってもよい。
上記芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)などをあげることができる。
上記芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体としては、特に制限されず、任意の芳香族ビニル化合物と任意の共役ジエンとを、特公昭40−023798号公報に記載された方法等の公知の方法により共重合して得たものを用いることができる。
上記芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物は、上記芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体中の炭素−炭素二重結合に水素を添加して炭素−炭素単結合にすることにより得られる。上記水素添加は、公知の方法、例えば、不活性溶媒中で水素添加触媒を用いて水素処理することにより行うことができる。
上記水素添加物の水素添加率(水素添加前の芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体中の炭素−炭素二重結合の数に対する水素添加により炭素−炭素単結合となった結合の数の割合。)は、特に制限されないが、耐ブリード性の観点から、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上であってよい。
上記水素添加物の共役ジエン重合体ブロックが、ブタジエン重合体ブロックである場合、そのミクロ構造は、1,2−結合が、柔軟性の観点から、好ましくは20〜50質量%、より好ましくは25〜45質量%であってよい。また耐熱老化性及び耐候性の観点から、1,2−結合を選択的に水素添加したものであってよい。
上記水素添加物の共役ジエン重合体ブロックが、イソプレンとブタジエンとの共重合ブロックである場合、そのミクロ構造は、1,2−結合が、耐熱老化性及び耐候性の観点から、好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満、更に好ましくは15%未満であってよい。
上記水素添加物の共役ジエン重合体ブロックが、イソプレン重合体ブロックである場合、そのミクロ構造は、1,4−結合が、柔軟性の観点から、好ましくは70〜100質量%であってよい。水素添加率は、耐ブリード性の観点から、90%以上が好ましい。
上記水素添加物中の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、耐熱油性及び機械物性の観点から、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは20〜50質量%である。上記水素添加物の数平均分子量は、耐ブリード性の観点から、好ましくは150,000以上、より好ましくは200,000以上である。相溶性の観点から、好ましくは500,000以下、より好ましくは400,000以下である。
上記水素添加物としては、スチレン−エチレン−ブテン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、及びスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)などをあげることができる。これらの中で、柔軟性、耐熱油性、及び耐熱圧縮永久歪特性の観点から、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、及びスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)が好ましい。
上記成分(d)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(d)の配合量は、上記成分(a)100重量部に対して、耐熱歪特性の観点から、5質量部以上、好ましくは15質量部以上である。耐熱油性及び耐燃料性の観点から、80質量部以下、好ましくは70質量部以下である。成分(d)の配合量は、より好ましくは15〜70質量部である。成分(d)の配合量が、上記範囲にあると、柔軟性と耐熱油性や耐熱歪特性とのバランスが非常に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
(e)有機過酸化物:
上記成分(e)は、過酸化水素の水素原子の1個又は2個を有機の遊離基で置換した化合物である。成分(e)は、その分子内に過酸化結合を有するため、溶融混練時にラジカルを発生せしめ、そのラジカルを連鎖的に反応させて、上記成分(a)や上記成分(d)を架橋せしめる働きをする。また、同時に上記成分(b)を分解して溶融混練時の組成物の流動性をコントロールしてゴム成分の分散を良好にせしめる働きをする。
上記成分(e)としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3、3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、及びtert−ブチルクミルパーオキシドなどをあげることができる。これらの中で、臭気性、着色性、及びスコーチ安全性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。成分(e)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(e)の配合量は、上記成分(a)100重量部に対して、耐熱油性、耐熱歪特性、耐燃料性及び耐ブリード性の観点から、0.5質量部以上、好ましくは0.8質量部以上である。柔軟性及び射出成型性の観点から2.5質量部以下である。成分(e)の配合量は、より好ましくは0.8〜2.5質量部である。成分(e)の配合量が、上記範囲にあると、柔軟性と耐熱油性や耐熱歪特性とのバランスが非常に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
(f)酸化防止剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、成分(f)酸化防止剤を更に含ませることができる。成分(f)は、耐熱硬度変化に寄与する。
上記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などをあげることができる。これらの中で、耐熱硬度変化を抑制する観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(f)の配合量は、上記成分(a)100重量部に対して、耐熱硬度変化を抑制する効果を得る観点から、好ましくは0.1〜4.0質量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、離型剤(例えば、ステアリン酸、及びシリコンオイルなど。)、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、無機充填剤(例えば、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ウァラステナイト、及びクレーなど。)、発泡剤(有機系、無機系)、及び難燃剤(例えば、水和金属化合物、赤燐、ポリ燐酸アンモニウム、アンチモン化合物、及びシリコンなど。)などを含ませることができる。
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法:
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(e)、及び所望に応じて用いる任意成分を、同時に、又は任意の順に加えて、任意の溶融混練機を使用して、溶融混練することにより得ることができる。
上記溶融混練は、成分(e)が確実に働くようにする観点から、成分(e)の1分半減期温度以上の温度で1分間以上行うことが好ましい。成分(e)の1分半減期温度以上の温度で2分間以上行うことがより好ましい。また溶融混練温度は、機械物性、組成物の製造性、及び射出成型性の観点から、通常240℃以下、好ましくは220℃以下であってよい。
上記溶融混練機としては、加圧ニーダーやミキサーなどのバッチ混練機;一軸押出機、同方向回転二軸押出機、及び異方向回転二軸押出機等の押出混練機;カレンダーロール混練機;などをあげることができる。これらを任意に組み合わせて使用してもよい。得られた組成物は、任意の方法でペレット化した後、任意の方法で任意の物品に成形することができる。上記ペレット化はホットカット、ストランドカット、及びアンダーウォーターカットなどの方法により行うことができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
測定方法
(1)硬度:
JIS K 6253−2012に準拠し、試験片として6.3mm厚プレスシートを用い、デュロメータ硬さ(タイプA)の15秒値を測定した。硬度は、機械的強度の観点から、好ましくは40以上、より好ましくは45以上であってよい。弾性体としての性能の観点から、好ましくは90以下、より好ましくは80以下であってよい。
(2)耐熱硬度変化:
JIS K 6253−2012に準拠し、試験片として6.3mm厚プレスシートを用い、120℃で336時間処理後のデュロメータ硬さ(タイプA)の15秒値を測定し、処理前(上記試験(1))の値との差を算出した。処理の前後での硬度差は20以下であることが好ましい。硬度差は20以下であれば、通常使用温度におけるシール性が維持できる。
(3)体積膨潤率(高温における耐油性):
JIS K 6258−2003に準拠し、試験片として2mm厚プレスシートを用い、IRM#903オイルに温度120℃で24時間浸漬した後の体積膨潤率を測定した。体積膨潤率は、好ましくは0〜35%、より好ましくは0〜30%である。
(4)圧縮永久歪(高温における圧縮永久歪):
JIS K 6262−2003に準拠し、試験片として6.3mm厚プレスシートを用い、25%圧縮変形、温度120℃、及び22時間の条件で測定した。圧縮永久歪は、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下である。
(5)耐燃料性:
JIS K 6258−2003準拠し、試験片として2mm厚プレスシートを用い、Fuel C(トルエン/イソオクタン=50/50 vol%混合油)に温度80℃で24時間浸漬した後の体積膨潤率を測定した。
○:体積膨潤率が50%未満である。
×:体積膨潤率が50%以上である。
(6)射出成型性及び相容性:
型締圧120トンの射出成形機を使用し、130mm×130mm×2mmのシート(ゲート形状:フィルムゲート、ゲート寸法:130×0.5mm)を、成型温度220℃、金型温度30℃、射出速度55mm/秒、射出圧力 1400kg/cm、保圧圧力400Kg/cm、射出時間5秒、及び冷却時間20秒の条件で、射出成型した。得られたシートを目視観察し、以下の基準で評価した。
(6−1)射出成型性:
○:フローマーク及びヒケの発生は認められない。
×:フローマーク及びヒケの少なくとも何れか1が発生している。
(6−2)相容性:
○:シート表面は平滑である。
×:シート表面に粉がふいたようなボツボツが認められる。
(7)耐ブリード性:
上記試験(4)の試験後サンプルの表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:シート表面にブリードの発生は認められない。
×:シート表面にブリードが発生している。
(8)組成物の製造性:
二軸押出機を使用し、混練温度180℃で溶融混練したときの製造性を、以下の基準で評価した。
○:ストランドを安定して引けた。
×:ストランドを安定して引けない。
使用した原材料
成分(a):
(a−1)JSR株式会社のアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム「PN−30A(商品名)」、ニトリル含量35質量%、ムーニー粘度(ML(1+4)100℃)56。
(a−2)JSR株式会社のアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム「PNC−48(商品名)」、ニトリル含量30質量%、ムーニー粘度(ML(1+4)100℃)60。
比較成分(a’):
(a’−1)JSR株式会社の塩素化ブチルゴム「CHLOROBUTYL1066(商品名)」、比重0.92、ムーニー粘度(ML(1+8)125℃)38、塩素含量1.2質量%。
成分(b):
(b−1)サンアロマー株式会社のプロピレン単独重合体「PX600N(商品名)」、メルトマスフローレート(230℃、21.18N)7.5g/10分、ピークトップ融点160℃。
成分(c−1):
(c−1−1)出光興産株式会社のパラフィンオイル「ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名)」、パラフィン成分71質量%、ナフテン成分29質量%、37.8℃における動的粘度100cSt。
(c−1−2)出光興産株式会社のナフテンオイル「ダイアナプロセスオイルNS−100(商品名)」、ナフテン成分34質量%、37.8℃における動的粘度95cSt。
比較成分(c−1’):
(c−1’−1)出光興産式会社のパラフィンオイル「ダイアナプロセスオイルPW−32(商品名)」、パラフィン成分67質量%、ナフテン成分33質量%、37.8℃における動的粘度31cSt。
成分(c−2):
(c−2−1):株式会社ADEKAのポリエーテルエステル系可塑剤「RS−735(商品名)」、分子量約850。
(c−2−2)花王株式会社のトリメリット酸エステル可塑剤(トリメリット酸2−エチルヘキシル)「TOTM(商品名)」、分子量546。
比較成分(c−2’):
(c−2’−1)株式会社ジェイプラスのフタル酸エステル系可塑剤(ジ(2−エチルヘキシル)フタレート)「DOP(商品名)」、分子量390。
成分(d):
(d−1)クラレ株式会社のスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体「SEPTON4077(商品名)」、スチレン含量30質量%、数平均分子量260,000、質量平均分子量320,000、分子量分布1.23、水素添加率90%以上。
(d−2):クレイトンポリマー社のスチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体「クレイトンG1651H(商品名)」、スチレン含量30質量%、数平均分子量290,000、質量平均分子量260,000、分子量分布1.12、水素添加率90%以上。
成分(e):
(e−1)日本油脂株式会社の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン「パーヘキサ25B(商品名)」、1分半減期温度179℃。
成分(f):
(f−1)BASFジャパン株式会社のヒンダードフェノール系酸化防止剤「IRGANOX1010(商品名)」。
実施例1〜21、比較例1〜13
表1〜5の何れか1に示す量(質量部)の成分を、二軸押出機を使用し、混練温度180℃で溶融混練し、ペレット化した。上記試験(1)〜(8)を行った。結果を表1〜5の何れか1に示す。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、非常に柔軟であり、かつ耐熱硬度変化、耐燃料性、耐熱油性、耐熱歪特性が非常に優れている。また相容性、耐ブリード性、組成物の製造性、及び射出成型性にも優れている。
一方、比較例は、柔軟性、耐熱硬度変化、耐燃料性、耐熱油性、耐熱歪特性、相容性、耐ブリード性、組成物の製造性、及び射出成型性の少なくとも何れか1が不十分である。

Claims (7)

  1. (a)不飽和ニトリルと共役ジエンとの共重合体ゴム 100質量部;
    (b)ポリプロピレン系樹脂 10〜150質量部;
    (c)軟化剤 20〜160質量部;
    (d)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体、及び芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水素添加物からなる群から選択される1種以上 5〜80質量部;及び、
    (e)有機過酸化物 0.5〜2.5質量部;
    を含み、上記(c)軟化剤は、
    (c−1)37.8℃における粘度が50〜500cStである非芳香族系ゴム用軟化剤 40〜80質量%;及び
    (c−2)分子量が500以上の極性可塑剤 60〜20質量%;
    からなり、ここで上記成分(c−1)と上記成分(c−2)との和は100質量%であること
    を特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 上記(c−2)極性可塑剤が、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤及びポリエーテルエステル系可塑剤からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 上記成分(a)不飽和ニトリルと共役ジエンとの共重合体ゴム 100質量部に対して、
    (f)酸化防止剤 0.1〜4.0質量部
    を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 120℃、336時間の処理前後において、JIS K 6253−2012に従い測定したデュロメータ硬さ(タイプA、15秒値)の差が、20以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 自動車エンジンに用いるパッキン用である請求項1〜4の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む自動車エンジン用パッキン。
  7. 請求項6に記載の自動車エンジン用パッキンを使用した吸気用部材。
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