JP6612576B2 - ステッチを有する表皮一体樹脂成形体 - Google Patents

ステッチを有する表皮一体樹脂成形体 Download PDF

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Description

本発明は、ステッチを有する表皮一体樹脂成形体に関する。更に詳しくは、基材と表皮シートとをインモールド成形することにより得られる表皮一体樹脂成形体に関する。
現在、自動車内装部材などには、ステッチ(縫製品、刺繍、及び編み物の縫い方や縫い目。)やステッチ柄(ステッチのような模様。)の装飾が、しばしば施されている。
自動車内装部材などに、装飾としてステッチを施す方法としては、本革や革質感を有するシートに、実際にステッチを施した後、接着剤を用いて基材と貼り合せる方法をあげることができる。
しかし、本革や革質感を有するシートに、実際にステッチを施す方法には、接着剤を使用することから環境の問題、及び手作業で基材と貼り合せることから作業効率の問題がある。
また自動車内装部材などに、装飾としてステッチ柄を施す方法としては、レーザー等を用いてステッチ柄を形成する方法、ステッチ柄を形成した金型を使用して射出成形する方法、及びステッチ柄を形成した金型等に押し付けて模様を転写する方法などをあげることができる。しかし、これらのステッチ柄を施す方法は、あくまでも擬似的にステッチのような模様を施すものであり、実際にステッチを施したものと比較して、意匠性の点で及ばないという問題がある。
特開2013−158975号公報 特開2005−125845号公報 特開2010−184487号公報
本発明の課題は、実際のステッチを有する成形体を提供することにある。本発明の更なる課題は、実際のステッチを有する成形体を、接着剤を使用することなく、生産効率良く生産する方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の樹脂からなる基材と、特定の組成物からなる表皮シートを用いることにより、上記課題を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、基材(A)と表皮シート(B)からなる樹脂成形体であって、
上記基材(A)は、ポリプロピレン系樹脂からなり;
上記表皮シート(B)は、ポリプロピレン系樹脂を含む熱可塑性エラストマー組成物からなり;
ステッチを有し;
厚みが0.1〜1.0mmであり;
10%伸張応力が0.7〜4.0MPaである;
成形体である。
第2の発明は、上記熱可塑性エラストマー組成物が、
(a)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(P)の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(Q)の少なくとも1個とからなるブロック共重合体及び/又はこれらの水素添加物である水添ブロック共重合体 100質量部;
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜300質量部;
(c)ポリプロピレン系樹脂 10〜300質量部;及び
(d)ポリエチレン系樹脂 0〜300質量部;
を含む第1の発明に記載の成形体である。
第3の発明は、上記熱可塑性エラストマー組成物が、
(e)オレフィン系共重合体ゴム 100質量部;
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜300質量部;及び
(c)ポリプロピレン系樹脂 10〜300質量部;
を含む第1の発明に記載の成形体である。
第4の発明は、車両内装用である第1〜3の発明の何れか1に記載の成形体である。
第5の発明は、表皮シート(B)にステッチを施す工程;及び基材(A)と表皮シート(B)とをインモールド成形する工程;を含む第1〜4の発明の何れか1に記載の成形体の製造方法である。
本発明の成形体は、実際のステッチを有するため、意匠性に優れている。また本発明の方法は、実際のステッチを有する成形体を、接着剤を使用することなく、生産効率良く得ることができる。
本発明の成形体は、基材(A)と表皮シート(B)からなる樹脂成形体であって、上記基材(A)は、ポリプロピレン系樹脂からなり;上記表皮シート(B)は、ポリプロピレン系樹脂を含む熱可塑性エラストマー組成物からなり;ステッチを有し;厚みが0.1〜1.0mmであり;10%伸張応力が0.7〜4.0MPaである。
基材(A):
上記基材(A)は、本発明の成形体の基本骨格をなすものである。上記基材(A)は、接着剤を使用することなく、インモールド成形などの成形時にかかる熱により、上記表皮シート(B)と熱接着させることができるようにする観点から、ポリプロピレン系樹脂からなる。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体;プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体(ブロック共重合体、及びランダム共重合体を含む。);などをあげることができる。上記ポリプロピレン系樹脂としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記ポリプロピレン系樹脂には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、ポリプロピレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、離型剤(例えば、ステアリン酸、及びシリコンオイルなど。)、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、無機充填剤(例えば、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ウァラステナイト、及びクレーなど。)、発泡剤(有機系、無機系)、及び難燃剤(例えば、水和金属化合物、赤燐、ポリ燐酸アンモニウム、アンチモン化合物、及びシリコンなど。)などの任意成分を含ませることができる。
上記ポリプロピレン系樹脂を用いて、上記基材(A)を得る方法は、制限されず任意の方法を使用して得ることができる。例えば、射出成形、押出成形、及びブロー成形などの方法をあげることができる。
また上記基材(A)を、上記ポリプロピレン系樹脂を用いて成形するのと同時に、上記表皮シート(B)と一体化させ、本発明の成形体を得てもよい。
上記基材(A)の形状は、制限されず、所望により、任意の形状にすることができる。
表皮シート(B):
上記表皮シート(B)は、本発明の成形体に表皮として表面性能を付与するとともに、ステッチの意匠を付与する働きをする。
上記表皮シート(B)は、接着剤を使用することなく、インモールド成形などの成形時にかかる熱により、上記基材(A)と熱接着させることができるようにする観点から、ポリプロピレン系樹脂を含む熱可塑性エラストマー組成物からなる。
上記熱可塑性エラストマー組成物の含む上記ポリプロピレン系樹脂としては、上記基材(A)の説明において上述したものをあげることができる。上記熱可塑性エラストマー組成物の含む上記ポリプロピレン系樹脂としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
なお上記基材(A)のために用いる上記ポリプロピレン系樹脂と、上記表皮シート(B)のために用いる上記熱可塑性エラストマー組成物の含む上記ポリプロピレン系樹脂とは、同じものであってもよく、違うものであってもよい。
上記表皮シート(B)の厚みは、ステッチを施す際の加工性の観点から、0.1〜1.0mmである。上記表皮シート(B)の厚みは、ステッチを施す際に、シートが破れたりしないようにする観点から、0.1mm以上、好ましくは0.15mm以上、より好ましくは0.2mm以上である。一方、上記表皮シート(B)の厚みは、ステッチを施す際の針の入りの観点、及びインモールド成形性の観点から、1.0mm以下、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.7mm以下である。
上記表皮シート(B)の10%伸張応力は、ステッチを施す際の加工性の観点から、0.7〜4.0MPaである。上記表皮シート(B)の10%伸張応力は、ステッチを施す際の針の抜けの観点から、0.7MPa以上、好ましくは1.0MPa以上である。一方、上記表皮シート(B)の10%伸張応力は、ステッチを施す際の針の入りの観点から、4.0MPa以下である。インモールド成形性の観点から、好ましくは3.5MPa以下、より好ましくは3.0MPa以下である。本明細書において、10%伸張応力は、下記(1)の方法により測定した。
上記表皮シート(B)の有するステッチは、制限されず、任意のステッチであってよい。上記ステッチとしては、例えば、直線縫い、平縫い、クロスステッチ、及びダブルステッチなどをあげることができる。上記表皮シート(B)にスッテチを施す方法は、制限されず、任意の方法でステッチを施すことができる。上記表皮シート(B)にスッテチを施す方法は、機械縫いであってもよく、手縫いであってもよい。
上記熱可塑性エラストマー組成物のJIS K 7215−1986に準拠して測定したデュロメータ硬さ(タイプA、15秒値)は、ステッチ加工性の観点から、好ましくは60〜90、より好ましくは65〜85である。
好ましい熱可塑性エラストマー組成物(その1):
上記熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは、
(a)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(P)の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(Q)の少なくとも1個とからなるブロック共重合体及び/又はこれらの水素添加物である水添ブロック共重合体 100質量部;
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜300質量部;
(c)ポリプロピレン系樹脂 10〜300質量部;及び
(d)ポリエチレン系樹脂 0〜300質量部;を含む。
(a)成分:
上記成分(a)は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(P)の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(Q)の少なくとも1個とからなるブロック共重合体及び/又はこれらの水素添加物である水添ブロック共重合体である。上記成分(a)としては、例えば、P−Q−P、P−Q−P−Q、及びP−Q−P−Q−Pなどの構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体及び/又はこれらの水素添加物である水添ブロック共重合体をあげることができる。
上記ビニル芳香族化合物は、重合性の炭素と炭素との二重結合と芳香環を有する重合性モノマーである。上記ビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、及びp−第3ブチルスチレンなどをあげることができる。これらの中で、スチレンが好ましい。上記ビニル芳香族化合物としては、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記共役ジエン化合物は、2つの炭素と炭素との二重結合が1つの炭素−炭素単結合により結合された構造を有する重合性モノマーである。上記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、及びクロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)などをあげることができる。これらの中で、1,3−ブタジエン、イソプレン、及びこれらの組み合わせが好ましい。上記共役ジエン化合物としては、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記重合体ブロック(P)は、ビニル芳香族化合物のみからなる重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。上記重合体ブロック(P)が共重合体ブロックである場合における、上記重合体ブロック(P)中のビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量は、耐熱性の観点から、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。上記重合体ブロック(P)中の共役ジエン化合物に由来する構造単位は水素添加されていてもよく、されていなくてもよい。上記重合体ブロック(P)中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。上記成分(a)中の各上記重合体ブロック(P)の構造は、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
上記重合体ブロック(Q)は、共役ジエン化合物のみからなる重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。上記重合体ブロック(Q)が共重合体ブロックである場合における、上記重合体ブロック(Q)中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の含有量は、柔軟性の観点から、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。上記重合体ブロック(Q)中のビニル芳香族化合物に由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。上記重合体ブロック(Q)中の共役ジエン化合物に由来する構造単位は水素添加されていてもよく、されていなくてもよい。上記重合体ブロック(Q)における共役ジエン化合物と共役ジエン化合物との結合様式(以下、ミクロ構造と略すことがある。)は、特に制限されず、任意である。上記重合体ブロック(Q)が2個以上あるとき、これらは同一構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよい。
上記成分(a)としては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・ブテン・スチレン共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体(SEPS)、及びスチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体(SEEPS)などをあげることができる。上記成分(a)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(a)は、好ましくは、(a−1)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(P1)の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(Q1)の少なくとも1個とからなるブロック共重合体;及び、(a−2)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(P2)の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(Q2)の少なくとも1個とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体;からなる。表面特性の優れた成形体を得ることができる。
上記重合体ブロック(P1)は、ビニル芳香族化合物のみからなる重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。上記重合体ブロック(P1)が共重合体ブロックである場合における、上記重合体ブロック(P1)中のビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量は、耐熱性の観点から、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。上記重合体ブロック(P1)中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。上記成分(a−1)中の各上記重合体ブロック(P1)の構造は、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
上記重合体ブロック(Q1)は、共役ジエン化合物のみからなる重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。上記重合体ブロック(Q1)が共重合体ブロックである場合における、上記重合体ブロック(Q1)中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の含有量は、柔軟性の観点から、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。上記重合体ブロック(Q1)中のビニル芳香族化合物に由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。上記重合体ブロック(Q1)における共役ジエン化合物と共役ジエン化合物との結合様式(以下、ミクロ構造と略すことがある。)は、特に制限されず、任意である。上記重合体ブロック(Q1)が2個以上あるとき、これらは同一構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよい。
上記成分(a−1)としては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、及びスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)などをあげることができる。これらの中でスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)がより好ましい。上記成分(a−1)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(a−1)の質量平均分子量は、好ましくは80,000〜500,000、より好ましくは150,000〜300,000である。
上記重合体ブロック(P2)は、ビニル芳香族化合物のみからなる重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。上記重合体ブロック(P2)が共重合体ブロックである場合における、上記重合体ブロック(P2)中のビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量は、耐熱性の観点から、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。上記重合体ブロック(P2)中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率(水素添加前のブロック中の炭素と炭素との二重結合の数に対する水素添加により炭素−炭素単結合となった結合の数の割合。)は、特に制限されないが、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上であってよい。上記重合体ブロック(P2)中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。上記成分(a−2)中の各上記重合体ブロック(P2)の構造は、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
上記重合体ブロック(Q2)は、共役ジエン化合物のみからなる重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。上記重合体ブロック(Q2)が共重合体ブロックである場合における、上記重合体ブロック(Q2)中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の含有量は、柔軟性の観点から、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。上記重合体ブロック(Q2)中のビニル芳香族化合物に由来する構造単位の分布は、特に制限されず、任意である。上記重合体ブロック(Q2)中の共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率(水素添加前のブロック中の炭素と炭素との二重結合の数に対する水素添加により炭素−炭素単結合となった結合の数の割合。)は、特に制限されないが、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上であってよい。上記重合体ブロック(Q2)における共役ジエン化合物と共役ジエン化合物との結合様式(以下、ミクロ構造と略すことがある。)は、特に制限されず、任意である。上記重合体ブロック(Q2)が2個以上あるとき、これらは同一構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよい。
上記成分(a−2)としては、例えば、スチレン・エチレン・ブテン・スチレン共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体(SEPS)、及びスチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体(SEEPS)などをあげることができる。上記成分(a−2)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(a−2)の質量平均分子量は、好ましくは50,000〜550,000である。
上記成分(a−1)と上記成分(a−2)との配合比は、シート成形性、インモールド成形性、及び耐摩耗性の観点から、好ましくは上記成分(a−1)5〜55質量%と上記成分(a−2)95〜45質量%、より好ましくは上記成分(a−1)20〜40質量%と上記成分(a−2)80〜60質量%である。ここで上記成分(a−1)と上記成分(a−2)との和は100質量%である。
上記(a−1)成分と上記(a−2)成分との混合は、上記熱可塑性エラストマー組成物の他の成分と一括混練してもよく、予め上記(a−1)成分と上記(a−2)成分との混合物を得た後に他の成分と混練してもよい。
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤:
上記成分(b)は、非芳香族系の鉱物油(石油等に由来する炭化水素化合物)又は合成油(合成炭化水素化合物)であり、通常、常温では液状又はゲル状若しくはガム状である。ここで非芳香族系とは、鉱物油については、下記の区分において芳香族系に区分されない(芳香族炭素数が30%未満である)ことを意味する。合成油については、芳香族モノマーを使用していないことを意味する。
ゴム用軟化剤として用いられる鉱物油は、パラフィン鎖、ナフテン環、及び芳香環の何れか1種以上の組み合わさった混合物であって、ナフテン環炭素数が30〜45%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれ、ナフテン系にも芳香族系にも属さず、かつパラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものはパラフィン系と呼ばれて区別されている。
上記成分(b)としては、例えば、直鎖状飽和炭化水素、分岐状飽和炭化水素、及びこれらの誘導体等のパラフィン系鉱物油;ナフテン系鉱物油;水素添加ポリイソブチレン、ポリイソブチレン、及びポリブテン等の合成油;などをあげることができる。上記成分(b)の市販例としては、日本油脂株式会社のイソパラフィン系炭化水素油「NAソルベント(商品名)」、出光興産株式会社のn−パラフィン系プロセスオイル「PW−90(商品名)」及び「PW−380(商品名)」、出光石油化学株式会社の合成イソパラフィン系炭化水素「IP−ソルベント2835(商品名)」、及び三光化学工業株式会社n−パラフィン系プロセスオイル「ネオチオゾール(商品名)」などをあげることができる。これらの中で、相容性の観点から、パラフィン系鉱物油が好ましく、芳香族炭素数の少ないパラフィン系鉱物油がより好ましい。また取扱い性の観点から、室温で液状であるものが好ましい。上記成分(b)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(b)の37.8℃における動的粘度は、耐熱性及び取扱い性の観点から、好ましくは20〜1000cStである。上記成分(b)の流動点は、取扱い性の観点から、好ましくは−10〜−15℃である。上記成分(b)の引火点(COC)は、安全性の観点から、好ましくは170℃以上である。上記成分(b)の質量平均分子量は、取扱い性の観点から、好ましくは100〜2000である。
上記成分(b)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対して、30〜300質量部、好ましくは80〜200質量部である。上記成分(b)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対して、ステッチ加工時の針の抜け、耐摩耗性、フィルム成形性、及びインモールド成形性の観点から、300質量部以下、好ましくは200質量部以下である。一方、ステッチ加工時の針の入り、及びインモールド成形性の観点から、30質量部以上、好ましくは80質量部以上である。
(c)ポリプロピレン系樹脂:
上記成分(c)としては、例えば、プロピレン単独重合体;プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体(ブロック共重合体、及びランダム共重合体を含む。);などをあげることができる。上記成分(c)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(c)の示差走査熱量計(DSC)により測定した融点(Tm)は、耐熱性、及び接着性の観点から、好ましくは150〜167℃である。本明細書において、ポリプロピレン系樹脂の融点は、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用し、230℃で5分間保持し、10℃/分で−10℃まで冷却し、−10℃で5分間保持し、10℃/分で230℃まで昇温するプログラムで測定されるセカンド融解曲線(最後の昇温過程で測定される融解曲線)において、最も高い温度側に現れるピークのピークトップ融点である。
上記成分(c)のJIS K 7210−1999に準拠し、230℃、21.18Nの条件で測定したメルトマスフローレートは、フィルム成形性の観点から、好ましくは0.1〜20g/10分である。
上記成分(c)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対して、10〜300質量部、好ましくは20〜200質量部である。上記成分(c)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対して、ステッチ加工時の針の抜け、接着性、及びインモールド成形性の観点から、10質量部以上、好ましくは20質量部以上である。一方、ステッチ加工時の針の入り、及びインモールド成形性の観点から、300質量部以下、好ましくは200質量部以下である。
(d)ポリエチレン系樹脂:
上記成分(d)としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体などをあげることができる。上記成分(d)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記エチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体に用いるα−オレフィンコモノマーとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、及び4−メチル−1−ペンテンなどをあげることができる。上記α−オレフィンコモノマーとしては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記成分(d)としては、メタロセン系触媒を用いて製造されたエチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体が好ましく、メタロセン系触媒を用いて製造された密度(JIS K7112:1999に準拠し、水中置換法で測定。)850〜900Kg/m のエチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体がより好ましく、メタロセン系触媒を用いて製造された密度850〜900Kg/m のエチレンと高級α−オレフィン(例えば、1−ヘキセン、1−オクテンなど。)とのランダム共重合体が更に好ましい。
上記成分(d)のJIS K 7210:1999に準拠し、190℃、21.18Nの条件で測定したメルトマスフローレートは、好ましくは0.1〜20g/10分、より好ましくは0.3〜10g/10分である。
上記成分(d)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対して0〜300質量部、好ましくは50〜250質量部である。上記成分(d)の配合量は、上記成分(a)100質量部に対して、ステッチ加工時の針の抜け、接着性、及びインモールド成形性の観点から、好ましくは50質量部以上である。一方、ステッチ加工時の針の入り、及びインモールド成形性の観点から、300質量部以下、好ましくは250質量部以下である。
好ましい熱可塑性エラストマー組成物(その2):
上記熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは、
(e)オレフィン系共重合体ゴム 100質量部;
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜300質量部;及び
(c)ポリプロピレン系樹脂 10〜300質量部;を含む。
(e)オレフィン系共重合体ゴム:
上記成分(e)は、エチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、又はエチレン・α−オレフィン・非共役ジエンのランダム共重合体である。
上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、及び4−メチル−1−ペンテンなどをあげることができる。上記α−オレフィンとしては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記非共役ジエンとしては、例えば、1,2−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、及びノルボルナジエンなどをあげることができる。上記非共役ジエンとしては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤:
上記成分(b)については、好ましい熱可塑性エラストマー組成物(その1)の説明において上述した。上記成分(b)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(b)の37.8℃における動的粘度は、耐熱性及び取扱い性の観点から、好ましくは20〜1000cStである。上記成分(b)の流動点は、取扱い性の観点から、好ましくは−10〜−15℃である。上記成分(b)の引火点(COC)は、安全性の観点から、好ましくは170℃以上である。上記成分(b)の質量平均分子量は、取扱い性の観点から、好ましくは100〜2000である。
上記成分(b)の配合量は、上記成分(e)100質量部に対して、30〜300質量部、好ましくは80〜200質量部である。上記成分(b)の配合量は、上記成分(e)100質量部に対して、ステッチ加工時の針の抜け、耐摩耗性、フィルム成形性、及びインモールド成形性の観点から、300質量部以下、好ましくは200質量部以下である。一方、ステッチ加工時の針の入り、及びインモールド成形性の観点から、30質量部以上、好ましくは80質量部以上である。
(c)ポリプロピレン系樹脂:
上記成分(c)については、好ましい熱可塑性エラストマー組成物(その1)の説明において上述した。上記成分(c)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(c)の示差走査熱量計(DSC)により測定した融点(Tm)は、耐熱性、及び接着性の観点から、好ましくは150〜167℃である。融点の定義及び測定方法については上述した。
上記成分(c)のJIS K 7210−1999に準拠し、230℃、21.18Nの条件で測定したメルトマスフローレートは、フィルム成形性の観点から、好ましくは0.1〜20g/10分である。
上記成分(c)の配合量は、上記成分(e)100質量部に対して、10〜300質量部、好ましくは20〜200質量部である。上記成分(c)の配合量は、上記成分(e)100質量部に対して、ステッチ加工時の針の抜け、接着性、及びインモールド成形性の観点から、10質量部以上、好ましくは20質量部以上である。一方、ステッチ加工時の針の入り、及びインモールド成形性の観点から、300質量部以下、好ましくは200質量部以下である。
上記熱可塑性エラストマー組成物には、所望に応じて、架橋剤、架橋助剤、無機充填剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、及び着色剤などを含ませてもよい。
上記架橋剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、及びtert−ブチルクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物をあげることができる。これらの中で、臭気、耐着色性、及びスコーチ安定性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
上記有機過酸化物を用いる場合の配合量は、耐摩耗性、フィルム成形性、及びインモールド成形性の観点から、上記好ましい熱可塑性エラストマー組成物(その1)については、上記成分(a)100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.3〜3質量部であってよい。上記好ましい熱可塑性エラストマー組成物(その2)については、上記成分(e)100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.3〜3質量部であってよい。
また上記有機過酸化物を用いる場合には、均一かつ効率的な架橋反応をさせる観点から、更に架橋助剤(例えば、ジビニルベンゼン、及びトリアリルシアヌレートなどの多官能性ビニルモノマー;及びエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びアリルメタクリレートなどの多官能性メタクリレートモノマー;など。)を用いることが好ましい。
上記架橋助剤を用いる場合の配合量は、耐摩耗性、フィルム成形性、及びインモールド成形性の観点から、上記好ましい熱可塑性エラストマー組成物(その1)については、上記成分(a)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜8質量部であってよい。上記好ましい熱可塑性エラストマー組成物(その2)については、上記成分(e)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜8質量部であってよい。
上記無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、硫酸バリウム、天然珪酸、合成珪酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン、及びカーボンブラックなどをあげることができる。これら中で、炭酸カルシウム、及びタルクが好ましい。
上記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどのフェノール系酸化防止剤;ホスファイト系酸化防止剤;及びチオエーテル系酸化防止剤などをあげることができる。これらの中で、フェノール系酸化防止剤、及びホスファイト系酸化防止剤が好ましい。
上記熱可塑性エラストマー組成物は、これらの成分を任意の順序で又は同時に、任意の溶融混練機を使用して溶融混練することにより得ることができる。得られた上記熱可塑性エラストマー組成物は、任意の方法でペレット化してもよいし、溶融混練された上記熱可塑性エラストマー組成物をそのまま、任意の製膜機に送って、上記表皮シート(B)に製膜してもよい。上記ペレット化は、例えば、ホットカット、ストランドカット及びアンダーウォーターカットなどの方法により行うことができる。上記溶融混練機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、カレンダーロール、バンバリーミキサー、各種のニーダー、及びこれらを2以上組み合わせた装置をあげることができる。
上記表皮シート(B)は、上記熱可塑性エラストマー組成物を用いて、任意の製膜機を使用して製膜することにより得ることができる。上記製膜機としては、例えば、カレンダーロール加工機、及びTダイと押出機を有する装置などをあげることができる。上記カレンダーロール加工機としては、例えば、2本ロール、直立型3本ロール、直立型4本ロール、L型4本ロール、逆L型4本ロール、Z型ロール、L型6本ロール、及び逆L型6本ロールなどをあげることができる。上記押出機としては、例えば、単軸押出機、同方向回転二軸押出機及び異方向回転二軸押出機などをあげることができる。上記Tダイとしては、例えば、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ及びコートハンガーダイなどをあげることができる。
成形体の製造:
本発明の成形体は、上記基材(A)と上記表皮シート(B)を用い、任意の三次元成形法(例えば、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、及びメンブレンプレス成形など。)により得ることができる。三次元成形を行う際に、上記基材(A)と上記表皮シート(B)とを十分な強度で接着させるため、プライマー、接着剤、及び粘着剤などを用いてもよい。本発明の成形体は、上記ポリプロピレン系樹脂を用いて上記基材(A)を成形するのと同時に、上記表皮シート(B)と一体化させる方法により得ることができる。このような方法としては、例えば、金型内に上記表皮シート(B)を配置し、そこに上記ポリプロピレン系樹脂を溶融射出することにより、上記基材(A)を成形するのと同時に、上記表皮シート(B)と一体化させるインモールド成形などをあげることができる。これらの中で、接着剤を使用することなく、成形時にかかる熱により、上記基材(A)と上記表皮シート(B)とを十分な強度で接着させる観点から、インモールド成形が好ましい。
本発明の成形体は、上記基材(A)の表面の全体を上記表皮シート(B)が覆うものであってもよく、表面の一部を覆うものでであってもよい。本発明の成形体が、上記基材(A)の表面の一部を上記表皮シート(B)が覆うものである場合には、上記基材(A)は、意匠性の観点から、着色剤を含むポリプロピレン系樹脂からなるものであることが好ましい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
測定方法
(1)10%伸張応力:
押出シートから、JIS K6251:2010のダンベル状3号形試験片採取用の打抜刃を使用して、上記押出シートのマシン方向が引張方向となるように打抜いて得た試験片を用いたこと以外は、JIS K6251:2010に準拠して、引張速度300mm/minの条件で、10%伸長時(標線間距離が初期長さの110%の長さになったとき)の応力を測定した。
(2)デュロメータ硬さ(タイプA、15秒値):
JIS K 7215−1986に準拠し、タイプAの15秒値を、熱プレス温度240℃の条件で、ペレットをプレスして得た6.3mm厚プレスシートを用いて測定した。
(3)ステッチ性:
押出シートを用い、蛇の目ミシン工業株式会社のミシン「CK1200(商品名)」を使用し、ミシン糸(20番手のスパン糸)を用い、直線縫いでステッチ加工を施し、以下基準で評価した。
○:600針/分以上で問題なく加工ができた。
△:400針/分では問題なく加工できた。しかし600針/分では針の入り又は抜けの問題により安定して加工できなかった。
×:400針/分でも針の入り又は抜けの問題により安定して加工できなかった。
(4)インモールド成形性:
押出シートから、そのマシン方向が横方向となるように縦28cm、横7cmの表皮シートを採取した。蛇の目ミシン工業株式会社のミシン「CK1200(商品名)」を使用し、ミシン糸(20番手のスパン糸)を用い、直線縫いで、上記表皮シートの中央部に長さ22cmのステッチ加工を施した。型締圧80トンの射出成形機に、縦24cm×横5cm×高さ1.2cmの矩形状凹部を有する金型をセットし、上記金型の可動側凹部のパーティング面に、上記で得たステッチ加工を施した試験片をセットし、ポリプロピレン系樹脂(下記c−2)を金型温度30℃、シリンダー温度210℃の条件で溶融射出し、インモールド成形品を得た。得られたインモールド成形品の外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:良好。また基材と表皮シートとの接着強度も十分に高い。
△:表皮シートに細かなヒビ割れが生じた。
×:表皮シートに破れが生じた。
使用した原材料
(a)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(P)の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(Q)の少なくとも1個とからなるブロック共重合体及び/又はこれらの水素添加物である水添ブロック共重合体:
(a−1)旭化成ケミカルズ株式会社のスチレン・ブタジエン・スチレン共重合体「アサプレンT−430(商品名)」、スチレンに由来する構造単位の含有量30質量%、数平均分子量(Mn)130000、質量平均分子量(Mw)200000、分子量分布(Mw/Mn)1.5。
(a−2)株式会社クラレのスチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体「セプトン4077(商品名)」、スチレンに由来する構造単位の含有量30質量%、イソプレンに由来する構造単位の含有量70質量%、数平均分子量(Mn)260000、質量平均分子量(Mw)320000、分子量分布(Mw/Mn)1.23、水素添加率90モル%以上。
(b)非芳香族系ゴム軟化剤:
(b−1)出光興産株式会社のパラフィン系オイル「ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名)」、質量平均分子量540、芳香族炭素数0.1%以下。
(c)ポリプロピレン系樹脂:
(c−1)株式会社プライムポリマーのプロピレン単独重合体「CJ−700(商品名)」、融点166℃、融解エンタルピー119J/g。
(c−2)日本ポリプロ株式会社のプロピレン・エチレンブロック共重合体「ノバテックPP BC08AHA(商品名)」。
(d)ポリエチレン系樹脂:
(d−1)株式会社プライムポリマーのメタロセン系触媒を用いて製造されたポリエチレン「エボリューSP2520(商品名)」、密度928Kg/cm、MFR(190℃、21.18N)1.7g/10分。
(d−2)ダウ・ケミカル日本社株式会社のメタロセン系触媒を用いて製造されたエチレンと1−オクテンとのランダム共重合体「エンゲージ8150(商品名)」、密度868Kg/cm、MFR(190℃、21.18N)0.5g/10分。
(e)オレフィン系共重合体ゴム:
(e−1)ダウ・ケミカル日本社株式会社のエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム「ノーデルIP4760(商品名)」、密度880Kg/cm
(f)その他の成分:
(f−1)日本油脂株式会社の有機過酸化物(2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン)「パーヘキサ25B(商品名)」。
(f−2)新中村化学工業株式会社の架橋助剤(トリエチレングリコールジメタクリレート)「NKエステル3G(商品名)」。
(f−3)BASF社の酸化防止剤「イルガノックスB225(商品名)」。
実施例1〜6、比較例1〜4
表1又は2に示す配合比(質量部)の配合物を、二軸押出機(L/D=46)を使用し、スクリュウ回転数350rpm、ダイス出口樹脂温度240℃の条件で溶融混練し、ストランドカット法により熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。続いて、Tダイと押出機を有する装置を使用し、Tダイ出口樹脂温度220℃の条件で表1又は2に示す厚みの押出シートを製膜した。得られたペレット又は押出シートを用いて、上記試験(1)〜(4)を行った。結果を表1又は2に示す。
本発明の成形体は、実際のステッチを有するため、意匠性に優れている。また本発明の方法により、実際のステッチを有する成形体を、接着剤を使用することなく、生産効率良く得ることができた。
本発明の成形体の一例である。

Claims (6)

  1. 基材(A)と表皮シート(B)からなる樹脂成形体であって、
    上記基材(A)は、ポリプロピレン系樹脂からなり;
    上記表皮シート(B)は、
    (a)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(P)の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(Q)の少なくとも1個とからなるブロック共重合体及び/又はこれらの水素添加物である水添ブロック共重合体 100質量部;
    (b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜300質量部;
    (c)ポリプロピレン系樹脂 10〜300質量部;及び
    (d)ポリエチレン系樹脂 0〜300質量部;
    を含む熱可塑性エラストマー組成物からなり;
    上記表皮シート(B)は、実際に縫うことにより形成されるステッチを有し;
    上記表皮シート(B)は、厚みが0.1〜1.0mmであり;
    上記表皮シート(B)は、10%伸張応力が0.7〜4.0MPaである;
    成形体。
  2. 基材(A)と表皮シート(B)からなる樹脂成形体であって、
    上記基材(A)は、ポリプロピレン系樹脂からなり;
    上記表皮シート(B)は、
    (a)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(P)の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(Q)の少なくとも1個とからなるブロック共重合体及び/又はこれらの水素添加物である水添ブロック共重合体 100質量部;
    (b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜300質量部;
    (c)ポリプロピレン系樹脂 10〜300質量部;及び
    (d)ポリエチレン系樹脂 50〜300質量部;
    を含む熱可塑性エラストマー組成物からなり;
    上記表皮シート(B)は、実際に縫うことにより形成されるステッチを有し;
    上記表皮シート(B)は、厚みが0.1〜1.0mmであり;
    上記表皮シート(B)は、10%伸張応力が0.7〜4.0MPaである;
    成形体。
  3. 基材(A)と表皮シート(B)からなる樹脂成形体であって、
    上記基材(A)は、ポリプロピレン系樹脂からなり;
    上記表皮シート(B)は、
    (e)オレフィン系共重合体ゴム 100質量部;
    (b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜300質量部;及び
    (c)ポリプロピレン系樹脂 10〜300質量部;
    を含む熱可塑性エラストマー組成物からなり;
    上記表皮シート(B)は、実際に縫うことにより形成されるステッチを有し;
    上記表皮シート(B)は、厚みが0.1〜1.0mmであり;
    上記表皮シート(B)は、10%伸張応力が0.7〜4.0MPaである;
    成形体。
  4. 上記成分(b)非芳香族系ゴム用軟化剤がパラフィン系鉱物油を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の成形体。
  5. 車両内装用である請求項1〜4の何れか1項に記載の成形体。
  6. 上記表皮シート(B)に実際に縫うことによりステッチを施す工程;及び
    上記基材(A)と上記表皮シート(B)とをインモールド成形する工程;
    を含む請求項1〜5の何れか1項に記載の成形体の製造方法。
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