JP6973207B2 - 動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物およびその成形体 - Google Patents
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Description
一方で、長鎖分岐構造を有する改質ポリプロピレンにエチレン・α−オレフィンゴムを添加したプロピレン系樹脂組成物が特許文献4に開示されている。
成分(A):長鎖分岐構造を有し、歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(B):ムーニー粘度ML1+4(125℃)が45以上のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体
成分(C):架橋剤
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)〜(D)を含み、JIS K6253(2006年度版)におけるデュロ硬度Aが80以上であることを特徴とする。
成分(A):長鎖分岐構造を有し、歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(B):ムーニー粘度ML1+4(125℃)が45以上のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体
成分(C):架橋剤
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が、圧縮永久歪みと耐油性に優れるという効果を奏するメカニズムは、成分(A)の歪み硬化性により、動的熱処理段階で成分(B)の粒径を小さくすることができ、良好なゴム弾性を得るとともに、マトリックスの結晶化を促進し、良好な耐油性を得ることができたことによると推定される。
成分(A)の改質ポリプロピレンは、長鎖分岐構造を有し、歪み硬化性を示すポリプロピレン系樹脂(プロピレンの単独重合体又はプロピレン系共重合体、以下「プロピレン系(共)重合体」と記載する場合がある。)である。ここで、「歪み硬化」とは、溶融物の延伸歪みの増加にともない粘度が上昇する現象を意味し、本発明において「歪み硬化性」の有無は、後述する条件でメルトテンションを測定した時の溶融ストランドの破断挙動から判定でき、引き取り速度を増加させた際に急激に引き取り荷重が増加し、切断に至るときは歪み硬化性を示すと判定される。
P1、P2、P3は、それ自体の中に、構造式(1)に記載されたCbrとは、別の分岐炭素(Cbr)を含有することもあり得る。
分岐メチン炭素Cbrに近接する3つのメチレン炭素が、ジアステレオトピックに非等価に3本に分かれて観測されることが特徴である。
なお、本発明における13C−NMRの測定方法については、下記の通りである。
試料200mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解し、13C−NMR測定を行う。
13C−NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて行う。
試料の温度120℃、プロトン完全デカップリング法で測定を実施する。その他の条件は以下の通りである。
パルス角:90°
パルス間隔:4秒
積算回数:20000回
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
44ppm付近のピークを使用して長鎖分岐量を算出することができる。
分岐指数g’:[η]br/[η]lin
[η]br:長鎖分岐構造を有するポリマー(br)の固有粘度
[η]lin:ポリマー(br)と同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度
GPC:Alliance GPCV2000(Waters社)
検出器:接続順に記載
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS):DAWN−E(Wyatt Technology社)
示差屈折計(RI):GPC付属
粘度検出器(Viscometer):GPC付属
移動相溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン(Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)
移動相流量:1mL/分
カラム:東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結
試料注入部温度:140℃
カラム温度:140℃
検出器温度:全て140℃
試料濃度:1mg/mL
注入量(サンプルループ容量):0.2175mL
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)から得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)、および、Viscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:
1.「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
即ち、メルトテンション測定用アタッチメントが装備されており、先端にφ1mm、長さ10mmのオリフィスを装着したφ10mmのシリンダーを有するキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用して、230℃、ピストン降下速度10mm/分で降下させた際にダイから吐出されるストランドを350mm下のロードセル付きプーリーに掛けて1m/分の速度で引き取り、安定後に引き取り速度を4分間で200m/分の速度に達する割合で増加させ、ストランドが破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を測定し、この測定された荷重をメルトテンションとする。
成分(B)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、共重合成分としてエチレンとα−オレフィンと非共役ジエン化合物とを含有する共重合体である。エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムには、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤との混合物(以下、「油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム」と称することもある。)である油展タイプのものと、炭化水素系ゴム用軟化剤を含まない非油展タイプのものがあり、本実施形態では油展タイプの共重合体ゴムを意図しているが、低油展タイプあるいは非油展タイプのものも好適に用いることができる。すなわち、本発明において、成分(B)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、油展タイプと非油展タイプのいずれでも使用可能であり、非油展タイプのもの又は油展タイプのものの1種類のみを単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよく、油展タイプの1種又は2種以上と非油展タイプの1種又は2種以上とを任意の組み合わせ及び比率で用いることもできる。
なお、ここで、成分(B)が油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムである場合、この油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムに含まれる炭化水素系ゴム用軟化剤は、成分(D)としての炭化水素系ゴム用軟化剤に含まれるものである。
計算式:log(ML1/ML2)=0.0066(ΔPHR)
ML1:油展前エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのムーニー粘度
ML2:油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのムーニー粘度
ΔPHR:エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム100質量部当たりの油展量
成分(C)の架橋剤は、動的熱処理において、各成分を含有する樹脂組成物中で上述した成分(B)を部分的に架橋するものであり、これにより動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が実現される。かかる架橋剤としては、公知のものの中から適宜選択して用いることができ、特に限定されないが、有機過酸化物、フェノール樹脂が好ましく用いられる。なお、架橋剤は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
例えば、有機過酸化物に対しては、上記多官能ビニル化合物あるいは、多官能(メタ)アクリレート化合物との併用が好ましい。
また、フェノール樹脂架橋剤は、通常、活性化剤と共に使用される。ここで用いることができる活性化剤としては、例えば、塩化第一スズ、塩化第二鉄、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレンのようなハロゲン供与体、及び酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化珪素、酸化亜鉛のような受酸剤が用いられる。フェノール系樹脂がハロゲン化されている場合にはハロゲン供与体は用いなくてもよい。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性や弾性を増加させるとともに、加工性や流動性を向上させる観点から、成分(D)として炭化水素系ゴム用軟化剤を含有することが好ましい。なお、この成分(D)には、上述した成分(B)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを使用する際、その中に含まれる炭化水素系ゴム用軟化剤が含まれるが、成分(B)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを用いる場合も、この油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとは別に成分(D)として炭化水素系ゴム用軟化剤を別添加することが好ましい。この場合、別添加する炭化水素系ゴム用軟化剤は、成分(B)の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム中の炭化水素系ゴム用軟化剤と同一、同種、異種の炭化水素系ゴム用軟化剤のいずれでも用いることができる。成分(C)の架橋剤に炭化水素系ゴム用軟化剤が含まれる場合についても同様である。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物において、成分(A)及び成分(B)の含有量は、成分(A)が40〜95質量部、成分(B)が5〜60質量部であることが好ましい(ただし、成分(A)と成分(B)との合計で100質量部とする。)。成分(A)の含有量が上記上限より多く、成分(B)の含有量が上記下限より少ないと硬度が高くなり、ゴム弾性が失われる傾向がある。逆に成分(A)の含有量が上記下限より少なく、成分(B)の含有量が上記上限を超えると成形外観が悪化し、耐油性が失われる傾向にある。この観点から、成分(A)と成分(B)の合計100質量部中の成分(A)の含有量40〜90質量部で成分(B)の含有量は10〜60質量部であることが好ましく、成分(A)の含有量は45〜80質量部で成分(B)の含有量は20〜55質量部であることがより好ましい。
なお、ここで、成分(B)の含有量とは、成分(B)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを用いる場合は、炭化水素系ゴム用軟化剤を含まないエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとしての含有量である。
なお、前述の通り、成分(C)に炭化水素系ゴム用軟化剤や充填剤が含まれている場合、これらは成分(C)としての含有量には含まれない。
なお、ここで、成分(D)の含有量とは、成分(B)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを用いた場合、成分(B)中の炭化水素系ゴム用軟化剤と、成分(B)とは別添される成分(D)としての炭化水素系ゴム用軟化剤との合計の含有量であり、成分(C)中に炭化水素系ゴム用軟化剤が含まれる場合は、当該炭化水素系ゴム用軟化剤をも含む合計の含有量である。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、成分(A)〜(D)以外の他の成分(本明細書において、単に「その他の成分」と称することがある。)を含有していてもよい。その他の成分としては、成分(A),(B)以外の樹脂やエラストマー(本明細書においてはこれらをまとめて単に「その他の樹脂」と称することがある。)や各種添加剤が挙げられる。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、ポリオレフィン樹脂、特にメルトフローレート(230℃、21.18N、JIS K7210準拠)が0.1〜2,000g/10分で、歪み硬化性を示さないポリプロピレンを含むことにより、所望の機械物性を制御することができる。
これらの中でも特にテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのような分子量が500以上のものの使用が好ましい。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(A)、(B)、(C)、及び成分(D)、さらにはその他の樹脂成分や各種添加剤等を、通常の押出機やバンバリーミキサー、ミキシングロール、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブラベンダー等を用いて常法で混合又は混練或いは溶融混練することで製造することができる。これらの中でも、押出機、特に二軸押出機を用いることが好ましい。本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を押出機等で混練して製造する際には、通常80〜300℃、好ましくは100〜230℃に加熱した状態で溶融混練することが好ましい。なお、動的熱処理を行う際の処理時間は、特に限定されないが、生産性等を考慮すると、通常0.1〜30分である。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の硬度デュロA(JIS K62532006年度版準拠、15秒後の硬度)の値は、80以上であり、好ましくは83以上である。なお、硬度デュロAの測定方法は、後掲の実施例に示す。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、通常の熱可塑性エラストマー組成物に用いられる成形方法、例えばガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の射出成形法、押出成形法、中空成形法、圧縮成形法等の各種成形方法を用いて成形体とすることができる。これらの中でも、射出成形法、押出成形法が好適である。例えば射出成形を行う場合、成形温度は一般に150〜300℃であり、好ましくは180〜280℃である。また、射出圧力は通常5〜100MPaであり、好ましくは10〜80MPaである。一方、金型温度は通常0〜80℃であり、好ましくは20〜60℃である。なお、これらの成形を行った後に、得られた成形体に積層成形や熱成形等の二次加工をさらに行うこともできる。
また、表面粗さの値の高い配合とすることもできることから、各種部材の表皮への応用も期待される。
以下の実施例・比較例で使用した原材料は以下の通りである。
(A−1):改質ポリプロピレン/日本ポリプロ株式会社製 WAYMAX MFX3
MFR(230℃、21.2N):8g/10分
メチレン炭素(Ca、Cb、Cc)およびメチン炭素(Cbr):観測される
長鎖分岐量:0.2個/1000トータルプロピレン(全骨格形成炭素1000個あたり)
絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’:0.87
(A−2):改質ポリプロピレン/日本ポリプロ株式会社製 WAYMAX MFX8
MFR(230℃、21.2N):1g/10分
メチレン炭素(Ca、Cb、Cc)およびメチン炭素(Cbr):観測される
長鎖分岐量0.1個/1000トータルプロピレン(全骨格形成炭素1000個あたり)
絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’:0.89
(B−1)+(D)混合物:油展エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(成分(B−1))100質量部と成分(D)40質量部の混合物)/三井化学株式会社製 3072EPM
ムーニー粘度ML1+4(125℃):51(油展されていないエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体のムーニー粘度:94)
エチレン単位含有量:64質量%
5−エチリデン−2−ノルボルネン単位含有量:5.4質量%
密度:0.88g/cm3
(B−2)+(D−1)混合物:油展エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(成分(B−2))100質量部と成分(D−1)100質量部の混合物)
ムーニー粘度ML1+4(125℃):64
密度:0.86g/cm3
(B−2):エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体
油展されていないエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体のムーニー粘度:293
エチレン単位含有量:67質量%
5−エチリデン−2−ノルボルネン単位含有量:4.5質量%
(D−1)パラフィン系オイル/出光興産株式会社製 ダイアナプロセスオイル PW−90
40℃の動粘度:95.54センチストークス
流動点:−15℃
引火点:272℃
(C−1)+(D−1)混合物:フェノール樹脂(成分(C−1))30質量部と成分(D−1)70質量部の混合物
(C−1)両末端がメチロール基であるアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂/田岡化学工業株式会社製 タッキロール201
(D−1)パラフィン系オイル/出光興産株式会社製 ダイアナプロセスオイル PW−90
40℃の動粘度:95.54センチストークス
流動点:−15℃
引火点:272℃
(C−2):塩化第一スズ/和光純薬工業株式会社製
(D−1):パラフィン系オイル/出光興産株式会社製 ダイアナプロセスオイル PW−90
40℃の動粘度:95.54センチストークス
流動点:−15℃
引火点:272℃
(E−1):受酸剤/和光純薬工業株式会社製
酸化亜鉛
(F−1):充填剤/竹原化学工業株式会社製 タルク PHSH
(G−1):酸化防止剤/BASFジャパン株式会社製 イルガノックス 1010
(H−1):酸化防止剤/BASFジャパン株式会社製 イルガスタブ FS301FF
(I−1):ポリプロピレン/日本ポリプロ株式会社製 FY6
MFR(230℃、21.2N):2.5g/10分
以下の実施例・比較例における動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の評価方法は以下の通りである。
なお、下記(1)〜(3)の測定においては、各熱可塑性エラストマー組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)にて、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃の条件下にて、各熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して厚さ2mm×幅120mm×長さ80mmのシートを得た。(2)の圧縮永久歪みの測定においては、JIS K6262に準拠し、得られたシート(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mm)を打ち抜いて得たTypeA円盤:29mmφを6枚重ねて試験片を作製し、この試験片を用いて測定した。(3)の耐油膨潤率の測定においては、得られたシート(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mm)を打ち抜いて得た厚さ2mm×幅50mm×長さ20mmの試験片を用いて測定した。(4)の表面粗さの測定においては、三菱重工製の直径40mm単軸押出機(L/D=22、圧縮比=2.77、フルフライトスクリュー)、幅25mm、厚み1mmのシート形状のダイスを使用し、成形温度をそれぞれホッパー下:170℃、シリンダー:180℃〜200℃、ダイス:200℃とし、スクリュー回転数:30rpmの条件で成形を行い、得られたシートを用いて測定した。
JIS K6253(Duro−A)に準拠し、硬度(15秒後)を測定した。
JIS K6262の規格に準拠し、70℃、22時間、25%圧縮条件で測定した。
上記の通り作製した試験片をIRM903オイルに浸漬し、120℃で70時間放置する前後で質量測定を行い、耐油膨潤率を以下計算式により求めた。
耐油膨潤率(%)
=(浸漬後の試験片質量−浸漬前の試験片質量)×100/浸漬前の試験片質量
JIS B0601(2001)の規格に準拠し、算術平均粗さを測定した。
<実施例1>
成分(A−1)57質量部、成分(B−1)+(D)混合物60質量部、成分(C−2)1.1質量部、成分(E−1)0.57質量部、成分(F−1)2.3質量部、成分(G−1)0.14質量部、および成分(H−1)0.14質量部をヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドした。同方向二軸押出機(日本製鋼所「TEX30」、L/D=52.5、シリンダブロック数:14)の上流の供給口へ重量式フィーダーにて混合物を投入した。残りの成分(C−1)+(D−1)混合物7.1質量部と(D−1)26質量部をそれぞれ液添ポンプにて押出機の途中の供給口から供給し、合計20kg/hの吐出量にて、上流部から下流部を150〜200℃の範囲で昇温させ溶融混練を行い、ペレット化して動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を製造した。得られた動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物について、前記(1)〜(3)の評価を実施した。得られた評価結果を表−1に示す。
表−1に示したように配合組成を変更した以外は実施例1と同様にして実施し、動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られた動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様の評価を実施した。得られた評価結果を表−1に示す。
表−1に示す通り、本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物に該当する実施例1、2は、いずれもデュロ硬度A80以上で良好な圧縮永久歪み特性、耐油性を有していることがわかる。
一方、比較例1は本発明の成分(A)を使用せず、代わりに成分(I)を用いた例であるが、耐油性、圧縮永久歪み特性が不十分であった。
従来、耐油性に優れたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの分子量を上げた場合の効果を確認した
成分(A−1)59質量部、成分(B−2)+(D−1)混合物82質量部、成分(C−2)1.1質量部、成分(E−1)0.56質量部、成分(F−1)2.3質量部、成分(G−1)0.14質量部、および成分(H−1)0.14質量部をヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドした。同方向二軸押出機(日本製鋼所「TEX30」、L/D=52.5、シリンダブロック数:14)の上流の供給口へ重量式フィーダーにて混合物を投入した。残りの成分(C−1)+(D−1)混合物7.0質量部を液添ポンプにて押出機の途中の供給口から供給し、合計20kg/hの吐出量にて、上流部から下流部を150〜200℃の範囲で昇温させ溶融混練を行い、ペレット化して動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を製造した。得られた動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物について、前記(1)〜(4)の評価を実施した。得られた評価結果を表−2に示す。
表−2に示したように配合組成を変更した以外は実施例3と同様にして実施し、動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られた動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物について、実施例3と同様の評価を実施した。得られた評価結果を表−2に示す。
表−2に示す通り、本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物に該当する実施例3、4は、いずれもデュロ硬度A80以上で良好な耐油性と高い表面粗さを有していることがわかる。
一方、比較例1は本発明の成分(A)を使用せず、代わりに成分(I)を用いた例であるが、耐油性が不十分であり、表面粗さが低い値だった。
Claims (5)
- 下記成分(A)〜(D)を含み、JIS K6253(2006年度版)におけるデュロ硬度Aが80以上である動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):長鎖分岐構造を有し、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’が0.75以上、0.95以下の範囲にある、歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(B):ムーニー粘度ML1+4(125℃)が45以上のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体
成分(C):架橋剤
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤 - 前記成分(A)と前記成分(B)との合計100質量部中の成分(A)の含有量が40〜95質量部で、成分(B)の含有量が5〜60質量部であり、成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対する前記成分(C)の含有量が0.1〜20質量部であり、成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対する前記成分(D)の含有量が10〜300質量部の範囲にある、請求項1に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(C)がフェノール樹脂、有機過酸化物、水素化ケイ素化合物、多官能ビニル化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、および塩化スズよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(C)がフェノール樹脂である、請求項3に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
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