JP2017025315A - 熱可塑性エラストマー組成物、成形体及び自動車用部品 - Google Patents

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純也 三上
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Abstract

【課題】エアバッグ収納カバー、自動車内装表皮、窓回り部品等の自動車用部品として好適な、離型性、耐候性等に優れる熱可塑性エラストマー組成物と、この熱可塑性エラストマー組成物よりなる自動車用部品を提供する。【解決手段】下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して成分(C)を0.01〜3質量部含む熱可塑性エラストマー組成物。この熱可塑性エラストマー組成物からなる自動車内装部品。成分(A):ポリプロピレン系樹脂成分(B):エラストマー成分(C):分岐構造を有する飽和脂肪酸アミド【選択図】なし

Description

本発明は、エアバッグ収納カバー、自動車内装表皮、窓回り部品等の自動車用部品として好適な、離型性、耐候性に優れる熱可塑性エラストマー組成物と、この熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形体及び自動車用部品に関する。
エアバッグ収納カバー、自動車内装表皮、窓回り部品等の自動車用部品の材料として、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が使用されている。このようなオレフィン系熱可塑性エラストマーには、一般的に、ポリプロピレン成分、エチレン・α−オレフィン共重合体成分等が配合されるが、成形時の金型離型性を良好なものとするために、離型剤として脂肪酸アミドが用いられることがある。
離型剤として脂肪酸アミドを配合したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を自動車用部品の材料に適用した例として、特許文献1には、エアバッグ収納ケース用途のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物において、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級不飽和脂肪酸アミドを用いることが開示されている。
特開平11−208404号公報
本発明者らは特許文献1に開示されているようなオレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級不飽和脂肪酸アミドは、不飽和構造に起因して紫外線等により劣化することがあり、このため、離型剤としてこれらの高級不飽和脂肪酸アミドを配合した熱可塑性エラストマー組成物では、耐候劣化によるベタツキや着色等の問題があることを見出した。
本発明は、エアバッグ収納カバー、自動車内装表皮、窓回り部品等の自動車用部品として好適な、離型性、耐候性等に優れる熱可塑性エラストマー組成物と、この熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形体及び自動車用部品を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、離型剤として、分岐構造を有する飽和脂肪酸アミドを所定の割合で配合した熱可塑性エラストマー組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[7]に存する。
[1] 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して成分(C)を0.01〜3質量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
成分(B):エラストマー
成分(C):分岐構造を有する飽和脂肪酸アミド
[2] 成分(A)が、プロピレン単位含有量が90〜100質量%であるプロピレン系重合体成分(A1)と、エチレン・プロピレン共重合体成分(A2)とからなり、成分(A1)と成分(A2)との合計量に対し、成分(A1)を60〜95質量%含有するプロピレン系重合体である、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 成分(B)が、エチレン・α−オレフィン共重合体、スチレン・共役ジエンブロック共重合体及びスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1つである、[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4] 成分(B)として、エチレン・α−オレフィン共重合体を含み、かつエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィン単位の炭素数が4〜8である、[3]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5] 成分(A)と成分(B)の質量比が5:95〜95:5である、[1]乃至[4]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[6] [1]乃至[5]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
[7] [1]乃至[5]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる自動車用部品。
本発明によれば、エアバッグ収納カバー、自動車内装表皮、窓回り部品等の自動車用部品として好適な、離型性、耐候性、外観、耐摩耗性、耐傷付性等に優れる熱可塑性エラストマー組成物と、この熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形体及び自動車用部品が提供される。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、離型性及び耐候性に優れ、その優れた耐候耐久性から、自動車の無塗装部品用途にも好適である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して成分(C)を0.01〜3質量部含むことを特徴とする。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
成分(B):エラストマー
成分(C):分岐構造を有する飽和脂肪酸アミド
[作用機構]
本発明において、成分(C)を配合することにより離型性及び耐候性の改善効果が得られる作用機構の詳細は明らかではないが、この成分(C)は、分岐構造を有することにより、樹脂表面にブリードアウトして離型性を発現し、また、不飽和構造ではないために紫外線等による劣化の問題がなく、耐候性が改善されるものと推定される。
[成分(A)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれる成分(A)のポリプロピレン系樹脂はプロピレン単位含有量が70質量%以上のものである。成分(A)のポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレン単位に加え、エチレン単位、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィン単位を含有するプロピレン・(エチレン及び/又はα−オレフィン)共重合体であってもよいし、また、プロピレン系ブロック共重合体であってもよい。また、エチレン及びα−オレフィン以外の単量体単位を含有するものであってもよい。
成分(A)がα−オレフィン単位を有するプロピレン系共重合体である場合、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィン単位としては、炭素数4〜20のα−オレフィンを挙げることができる。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が挙げられる。プロピレン以外のα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数4〜10のα−オレフィンであり、より好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
成分(A)のプロピレン系樹脂としては、より具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・エチレン・1−オクテン共重合体等のエチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種の単量体とプロピレンとの共重合体が挙げられる。また、プロピレン単位含有量が90〜100質量%であるプロピレン系重合体成分(A1)と、エチレン・プロピレン共重合体成分(A2)からなるプロピレン系重合体、好ましくは第1工程でプロピレン単位含有量が90〜100質量%であるプロピレン系重合体を重合し、続いて第2工程でエチレン・プロピレン共重合体を重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体等を例示することができる。これらの中でも特に、成分(A)としては、低温耐衝撃性及び高温強度の観点から、第1工程でプロピレン単位含有量が90〜100質量%であるプロピレン系重合体を重合し、続いて第2工程でエチレン・プロピレン共重合体を重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体であることが好ましい。
成分(A)のポリプロピレン系樹脂のプロピレン単位含有量は、成分(A)全体に対し、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%である。成分(A)のプロピレン単位の含有量が前記下限値以上であることにより、耐熱性及び剛性が良好となる傾向にある。なお、成分(A)中のプロピレン単位含有量は、赤外分光法により求めることができる。
成分(A)が、プロピレン単位含有量が90〜100質量%であるプロピレン系重合体成分(A1)と、エチレン・プロピレン共重合体成分(A2)からなるプロピレン系重合体、好ましくは第1工程でプロピレン単位含有量が90〜100質量%であるプロピレン系重合体を重合し、続いて第2工程でエチレン・プロピレン共重合体を重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体である場合、成分(A)は、成分(A1)と成分(A2)との合計量に対し、成分(A1)を60〜95質量%含有することが好ましい。成分(A)中の成分(A1)の含有量が上記下限よりも少ないと力学強度、剛性が低下する傾向があり、上記上限よりも多いと成分(A2)を含むことによる耐衝撃性の向上効果を十分に得ることができなくなる。成分(A)中の成分(A1)の含有量は、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%で、より好ましくは93質量%以下である。
なお、成分(A2)のエチレン・プロピレン共重合体のエチレン単位は、前述の成分(A)の好ましいプロピレン単位含有量を満たす程度であればよいが、通常20〜80質量%程度である。
成分(A)のメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)は、限定されないが、通常0.1g/分以上であり、成形体の外観の観点から、好ましくは10g/10分以上であり、より好ましくは20g/10分以上であり、更に好ましくは30g/10分以上である。また、成分(A)のメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)は、通常、200g/10分以下であり、引張り強度の観点から、好ましくは150g/10分以下であり、更に好ましくは100g/10分以下である。成分(A)のメルトフローレートは、JIS K7210(1999年)に従って、測定温度230℃、測定荷重21.18Nの条件で測定される。
成分(A)としては、前述のポリプロピレン系樹脂の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、2種以上を混合して用いる場合、混合物としての成分(A)が前述のプロピレン単位含有量及びメルトフローレートを満たすことが好ましい。
成分(A)のポリプロピレン系樹脂の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒を用いた重合法を挙げることができる。該重合法には、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等を用いることができ、これらを2種以上組み合わせてもよい。
また、成分(A)は市販の該当品を用いることも可能である。具体的には、下記に挙げる製造者等から調達可能であり、適宜選択することができる。入手可能な市販品としては、プライムポリマー社のPrim Polypro(登録商標)、住友化学社の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社のポリプロピレンブロックコポリマー、日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)PP、LyondellBasell社のMoplen(登録商標)、ExxonMobil社のExxonMobil PP、Formosa Plastics社のFormolene(登録商標)、Borealis社のBorealis PP、LG Chemical社のSEETEC PP、A.Schulman社のASI POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社のINEOS PP、Braskem社のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社のSumsung Total、Sabic社のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社のTOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社のYUPLENE(登録商標)等がある。
[成分(B)]
本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物に含まれる成分(B)のエラストマーとしては、成分(A)に該当するものでなければ特に制限されるものではないが、好ましいものとしてはエチレン・α−オレフィン共重合体、スチレン・共役ジエンブロック共重合体及びスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。
成分(B)のうち、エチレン・α−オレフィン共重合体としては、α−オレフィン単位の炭素数が4〜8のエチレン・α−オレフィン共重合体であることが好ましく、このエチレン・α−オレフィン共重合体において、エチレン単位の含有量と炭素数4〜8のα−オレフィン単位の含有量との合計量に対し、エチレン単位の含有量が50〜80質量%で、炭素数4〜8のα−オレフィン単位の含有量が50〜20質量%であるものが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体に用いられる炭素数4〜8のα−オレフィンとしては、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどを例示することができる。好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの末端の炭素原子に炭素間二重結合を有する炭素数4〜8のα−オレフィンである。エチレン・α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンの1種のみがエチレンと共重合したものであっても、2種以上がエチレンと共重合したものであってもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン単位及び炭素数4〜8のα−オレフィン単位に加え、非共役ジエンに基づく単量体単位(非共役ジエン単位)やプロピレン単位などの他の単量体単位を有していてもよい。該非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンのような鎖状非共役ジエン;シクロへキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンのような環状非共役ジエンなどが挙げられる。好ましくは、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。
エチレン・α−オレフィン共重合体のエチレン単位の含有量は、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量との合計量に対し、50質量%以上80質量%以下であることが好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体のエチレン単位の含有量は、エチレン・α−オレフィン共重合体のブロッキングによる融着防止のためには多いほうが好ましく、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形したときの低温耐衝撃性の観点では少ない方が好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体のエチレン単位の含有量は、好ましくは55質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。また、エチレン単位の含有量は、好ましくは75質量%以下である。
エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィン単位の含有量は、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量との合計量に対し、20質量%以上50質量%以下である。エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィン単位の含有量は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形したときの低温耐衝撃性の観点からは多い方が好ましく、エチレン・α−オレフィン共重合体のブロッキングによる融着防止のためには少ない方が好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィン単位の含有量は、好ましくは25質量%以上である。また、エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィン単位の含有量は、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体におけるエチレン単位の含有量及び炭素数4〜8のα−オレフィン単位の含有量は、それぞれ赤外分光法により求めることができる。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体が前述の非共役ジエン単位やプロピレン単位などの他の単量体単位を含む場合、他の単量体単位の含有量は、エチレン・α−オレフィン共重合体全体に対して、通常0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%である。非共役ジエン単位やプロピレン単位などの他の単量体単位の含有量についても、赤外分光法により求めることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体として具体的には、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン共重合体などを例示することができる。中でも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(測定温度190℃、測定荷重21.18N)は限定されないが、通常15g/10分以下であり、外観の観点から、好ましくは10g/10分以下であり、より好ましくは5g/10分以下であり、更に好ましくは3g/10分以下である。また、エチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレートは、通常、0.01g/10分以上であり、流動性の観点から、好ましくは0.05g/10分以上であり、更に好ましくは0.10g/10分以上である。エチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレートは、JIS K7210(1999年)に従い、測定温度190℃、測定荷重21.18Nの条件で測定される。
エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は特に制限されてないが、通常、0.850〜0.900g/cmであり、好ましくは0.855〜0.890g/cmである。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度はJIS K7112に基づいて測定することができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、オレフィン重合用触媒として、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いることができ、重合方法としてはスラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、市販の該当品を用いることも可能である。市販の該当品としては例えば、三井化学社製タフマー(登録商標)シリーズ、ダウケミカル社製Engage(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
成分(B)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水素添加物(以下「(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体」と記載する場合がある。)における好適な共役ジエンは、ブタジエン、イソプレン又はこれらの混合物である。
(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体としては、例えば、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(以下、単に「S−B−S」と略記することがある。)及び/又はその水素添加物が挙げられる。スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物としては、部分的に水素添加されたスチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレン共重合体(SBBS)、実質的に完全に水素添加されたものであるスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。また、スチレン・イソプレンブロック共重合体の水素添加物(以下、単に「水添S−I−S」と略記することがある。)であるスチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体(SEPS)、スチレン・ブタジエン・イソプレンブロック共重合体の水素添加物(以下、単に「水添S−BI−S」と略記することがある。)を挙げることができる。
(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体のスチレン単位の含有量は特に制限されないが、強度と耐熱性の観点から、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは8質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上である。また、スチレン単位の含有量は、柔軟性と耐衝撃性の観点から、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下であり、更に好ましくは40質量%以下である。
(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体における共役ジエンはNMR法で分析した1,2−ミクロ構造が70モル%以下、特に60モル%以下、とりわけ45モル%以下であることが好ましい。1,2−ミクロ構造が上記上限値以下であることが成形性と柔軟性の観点から好ましく、また、動的熱処理による架橋反応を過度に進行させない観点からも好ましい。(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体において、架橋反応を利用する観点からは、(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体がスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物である場合、その水素添加率は95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることが更に好ましい。
(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体における共役ジエンがイソプレンとブタジエンの混合物の場合の質量比(イソプレン/ブタジエン)は、一般に99/1〜1/99、好ましくは90/10〜30/70、特に好ましくは80/20〜40/60のものである。
(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体の質量平均分子量(Mw)は離型性の観点から、好ましくは50,000以上であり、より好ましくは80,000以上であり、更に好ましくは100,000以上である。また、質量平均分子量(Mw)は流動性と分散性の観点から、500,000以下が好ましく、より好ましくは450,000以下であり、更に好ましくは400,000以下であり、特に好ましくは350,000以下である。
(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体の質量平均分子量(Mw)はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)により測定されるものであり、例えば、下記条件により測定することができる。
機器:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC(R)」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super HM−M(6.0mm I.D×15cm×2+G)」
検出器:示差屈折率検出器(RI/内蔵)
溶媒:クロロホルム
温度:40℃
流速:0.25mL/分
注入量:0.1質量%×20μL
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
較正曲線近似式:3次式(双曲線):排除限界設定時間 12分
(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体の製造方法としては、例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒を用いて不活性溶媒中でスチレン・共役ジエンブロック共重合体を合成すればよく、また、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物においては前記のようにスチレン・共役ジエンブロック共重合体を合成し、次いで、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加する方法等を挙げることができる。
(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体は、市販品として入手することも可能である。スチレン・共役ジエンブロック共重合体としては、例えば、クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)D」等が挙げられる。スチレン・共役ジエンブロック共重合体の部分水素添加物としては、例えば、旭化成株式会社製「タフテック(登録商標)P」などが挙げられる。スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としては、例えば、クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)G」、株式会社クラレ製「セプトン(登録商標)」、旭化成株式会社製「タフテック(登録商標)」等が挙げられる。
成分(B)としては、エチレン・α−オレフィン共重合体又は(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体の1種のみを用いてもよく、エチレン・α−オレフィン共重合体の2種以上を用いてもよく、(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体の2種以上を用いてもよく、また、エチレン・α−オレフィン共重合体の1種又は2種以上と(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体の1種又は2種以上を併用してもよい。
[成分(A)と成分(B)の含有割合]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれる成分(A)と成分(B)の含有割合は、成分(A)と成分(B)の質量比で好ましくは5:95〜95:5であり、より好ましくは10:90〜90:10であり、更に好ましくは15:85〜85:15である。
特に、成分(B)として、エチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合、成分(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体の質量比で、好ましくは20:80〜90:10であり、より好ましくは25:75〜85:15であり、更に好ましくは30:70〜70:30である。
また、成分(B)として、(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体を用いる場合、成分(A)と(水添)スチレン・共役ジエンブロック共重合体の質量比で、好ましくは5:95〜90:10、より好ましくは10:90〜85:15、更に好ましくは15:85〜70:30である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(A)は、流動性、曲げ弾性率、高温強度等に寄与し、成分(B)は低温耐衝撃性、外観、離型性等に寄与する。各成分の改善効果を十分に得るために、成分(A)と成分(B)は上記範囲で用いることが好ましい。
[成分(C)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(C)の分岐構造を有する飽和脂肪酸アミド(以下「分岐飽和脂肪酸アミド」と記載する場合がある。)としては、下記式(1)で表されるものが好ましい。
R−CO−NH …(1)
(式(1)中、Rは炭素数11〜23の分岐アルキル基を表す。)
Rの炭素数は13〜23、特に15〜21、とりわけ17〜21であることが好ましい。Rの炭素数が上記範囲であることにより、良好な離型性と耐候性の改善効果を得ることができる。
Rの分岐アルキル基は、好ましくは炭素数8〜22のアルキル主鎖に対して、炭素数1〜11のアルキル分岐鎖を1〜3個有するものが好ましい。アルキル分岐鎖はより好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基であり、特に好ましくはメチル基である。Rの分岐アルキル基がアルキル分岐鎖を2個以上有する場合、2個以上のアルキル分岐鎖は同一であってもよく、異なるものであってもよい。好ましくは、Rはアルキル分岐鎖を1個有するモノ分岐アルキル基である。
成分(C)は、分岐飽和脂肪酸アミドの1種のみからなるものであってもよく、Rの炭素数やアルキル分岐鎖又はアルキル主鎖の炭素数、アルキル分岐鎖の位置や数が異なる分岐飽和脂肪酸アミドの2種以上を含む混合物であってもよい。成分(C)が、2種以上の分岐飽和脂肪酸アミドの混合物である場合、その70質量%以上、特に75質量%以上、とりわけ80質量%が、Rがアルキル分岐鎖を1つのみ有するモノ分岐アルキル基であるものが好ましい。
分岐飽和脂肪酸アミドとしては、具体的には、イソベヘン酸アミド、イソステアリン酸酸アミドなどが挙げられる。
成分(C)は特表2012−530773号公報に記載されている方法により製造することができるが、市販品としても入手することができる。入手可能な市販品としては、例えば、CRODA社製 インクロスリップ(登録商標)SL等が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(C)の分岐飽和脂肪酸アミドを、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して0.01〜3質量部含む。成分(C)の含有量が上記下限未満では、金型から成形体を取り出す際の離型性が悪くなったり、成形体表面の摺動性が悪くなり傷が付きやすくなる。成分(C)の含有量が上記上限を超えると、成形体の表面にブルームして外観を悪くするおそれがある。
成分(C)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、離型性の観点からは0.02質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、一方、外観の観点から、2.5質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。
[成分(D)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性を向上させる観点から更に下記成分(D)を含有してもよい。
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤としては、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤等が挙げられるが、他の成分との親和性の観点から鉱物油系軟化剤が好ましい。鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30〜45%がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが芳香族系オイルと各々呼ばれている。これらの中で、本発明においては、パラフィン系オイルを用いることが好ましい。なお、炭化水素系ゴム用軟化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤の40℃における動粘度は特に限定されないが、好ましくは20センチストークス以上、より好ましくは50センチストークス以上であり、また、好ましくは800センチストークス以下、より好ましくは600センチストークス以下である。また、炭化水素系ゴム用軟化剤の引火点(COC法)は、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。
成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤は市販品として入手することができる。該当する市販品としては、例えば、JX日鉱日石エネルギー社製日石ポリブテン(登録商標)HVシリーズ、出光興産社製ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPWシリーズ等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(D)を含有する場合、成分(D)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、柔軟性の観点から、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上であり、更に好ましくは5質量部以上である。一方、低温耐衝撃性の観点から、好ましくは200質量部以下であり、より好ましくは150質量部以下であり、更に好ましくは120質量部以下であり、特に好ましくは100質量部以下である。
<その他の任意成分>
更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、上記の成分以外に本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、各種目的に応じて以下の添加剤や成分(A),(B)以外の樹脂やエラストマー(以下、「その他の樹脂」と称する。)等の任意成分を配合することができる。
任意成分としては、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤(ただし、成分(C)に該当するものを除く。)、防雲剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、分散剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物や充填材を挙げることができる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤を用いる場合、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、通常0.01〜3.0質量部の範囲で用いられる。
充填材としては、例えば、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。充填材を用いる場合、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、通常0.1〜50質量部で用いられる。
成分(A),(B)以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリオレフィン樹脂(だだし、成分(A)に該当するものを除く。)、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、前記以外の各種エラストマーなどが挙げられる。上記で挙げたその他の樹脂は1種のみを含有しても2種以上を含有してもよい。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(A)、(B)及び(C)の各成分、必要に応じて成分(D)等を通常の押出機やバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブラベンダー等を用いて常法で混練して製造することができる。これらの製造方法の中でも、押出機、特に2軸押出機を用いることが好ましい。本発明の熱可塑性エラストマー組成物を押出機などで混練して製造する際には通常160〜240℃、好ましくは180〜220℃に加熱した状態で溶融混練することによって製造することができる。更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、下記の架橋剤や架橋助剤を配合して動的に熱処理することにより、部分的に架橋させてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を部分的に架橋させるための架橋剤としては、有機過酸化物を用いることが好ましく、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジクミルパーオキサイド等を挙げることができる。
これらの有機過酸化物により部分的に架橋させる際に用いられる架橋助剤としては、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド等のビスマレイミド構造を有する化合物;P−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等ラジカル重合性の炭素間二重結合を有する化合物等と、成分(B)の炭素間二重結合又は炭素直鎖の部分と反応する官能基をもった化合物を挙げることができる。
[熱可塑性エラストマー組成物の成形方法]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いて、一般に、通常の射出成形法、又は、必要に応じて、ガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の各種成形法を用いて各種成形体を成形することができる。
特に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形する際の成形条件としては、成形温度は通常150〜300℃、好ましくは180〜280℃、射出圧力は通常5〜100MPa、好ましくは10〜80MPaであり、金型温度は通常0〜80℃、好ましくは20〜60℃である。
[熱可塑性エラストマー組成物の用途]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記成分(A)〜(C)を含むことにより、離型性、耐候性、外観、耐摩耗性、耐傷付性などに優れるものであり、エアバッグ収納カバー、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、自動車内装表皮、窓回り部品等の自動車用部品;モール等の自動車外装部品;家電部品;建材;家具等として好適に用いることができ、特に自動車内装部品の成形材料として好適である。特に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は自動車の無塗装部品用途にも好適である。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と、下記実施例の値または実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<原料>
[成分(A)]
(A−1):プロピレン系ブロック共重合体(日本ポリプロ社製 ノバテック(登録商標)PP BC03B)
MFR(JIS K7210(1999年)):30g/10分(測定条件:230℃、荷重21.18N(2.16kgf))
プロピレン系重合体成分(A1)の含有量:85質量%
プロピレン単位の含有量:90質量%
[成分(B)]
(B−1):エチレン・1−ブテン共重合体(三井化学社製 タフマー(登録商標)A1050S)
MFR:1.0g/10分(測定条件:190℃、荷重21.18N(2.16kgf))
エチレン単位の含有量:67質量%
密度:0.86g/cm
(B−2):スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)(クレイトンポリマージャパン株式会社製 クレイトン(登録商標)G1651H)
スチレン単位の含有量:33質量%
1,2−ミクロ構造:67モル%
水素添加率:98%以上
質量平均分子量(Mw):250,000
[成分(C)]
(C−1):分岐構造を有する飽和脂肪酸アミド(炭素数18の炭化水素主鎖を有し、側鎖にメチル基を1個有する飽和脂肪酸アミド)(CRODA社製 インクロスリップ(登録商標)SL)
(c−1)(比較例用):オレイン酸アミド
<評価方法>
1)離型性(突出しトルク評価)
インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「EC280」)により成形した、箱型成形体の離型時の突出しトルクを確認した。値が小さいものほど、離型性に優れるものと評価され、7.5kN以下であることが好ましい。
2)耐候性(耐光試験後のベタツキ性)
射出成形機(東芝機械社製「IS130」)により、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、シボ付き試験片を成形し、シボ面を照射面として、スガ試験機社製紫外線フェードメータを用いて63℃で100時間照射後のベタツキ性を確認した。
<実施例/比較例>
[実施例I−1]
(A−1)50質量部、(B−1)50質量部、(C−1)0.2質量部、酸化防止剤(BASFジャパン社製 商品名イルガノックス(登録商標)1010)0.1質量部及び黒色顔料(カーボン濃度40質量%品)1.5質量部をヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドし、同方向2軸押出機(神戸製鋼社製「TEX30α」、L/D=45、シリンダブロック数:13)へ20kg/hの速度で投入し、180〜210℃の範囲に昇温して溶融混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、前記1)、2)の評価を行った。それらの評価結果を表−1に示す。
[比較例I−1、2]
表−1に示す配合組成とした以外は実施例I−1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造し(ただし、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対し、酸化防止剤0.1質量部と黒色顔料1.5質量部をそれぞれ配合した。)、実施例I−1と同様に、前記1),2)の評価を行った。それらの評価結果を表−1に示す。
Figure 2017025315
表−1より明らかなように、離型剤として分岐構造を有さない高級不飽和脂肪酸アミドのオレイン酸アミドを配合した比較例I−1では、離型性には優れるものの耐候性が悪くベタツキがあった。離型剤を配合していない比較例I−2では、離型性が非常に悪い上に、耐候試験後のベタツキ性も十分ではない。これに対して、離型剤として分岐構造を有する飽和脂肪酸アミドを配合した実施例I−1では、離型性及び耐候性に優れる。
[実施例II−1]
(A−1)20質量部、(B−2)80質量部、(C−1)0.4質量部、酸化防止剤(BASFジャパン社製 商品名イルガノックス(登録商標)1010)0.1質量部及び黒色顔料(カーボン濃度40質量%品)1.5質量部をヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドし、同方向2軸押出機(神戸製鋼社製「TEX30α」、L/D=45、シリンダブロック数:13)へ20kg/hの速度で投入し、180〜210℃の範囲に昇温して溶融混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、前記2)の評価を行った。その評価結果を表−2に示す。
[比較例II−1、2]
表−2に示す配合組成とした以外は実施例II−1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造し(ただし、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対し、酸化防止剤0.1質量部と黒色顔料1.5質量部をそれぞれ配合した。)、実施例II−1と同様に、前記2)の評価を行った。その評価結果を表−2に示す。
Figure 2017025315
表−2より明らかなように、離型剤を配合していない比較例II−2は、耐候性に優れ、ベタツキがないが、離型剤として分岐構造を有さない高級不飽和脂肪酸アミドのオレイン酸アミドを配合した比較例II−1では、耐候性が悪くベタツキがあった。これに対して、離型剤として分岐構造を有する飽和脂肪酸アミドを配合した実施例II−1では、耐候性が改善され、ベタツキが低減される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、離型性、耐候性、外観、耐摩耗性、耐傷付性などに優れているために、エアバッグ収納カバー等の自動車用部品の成形材料として非常に有用である。また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は成形したときの外観にも優れているため、コスト面においても有利な無塗装用途としても好適である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は更に、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、自動車内装表皮、窓回り部品等の自動車内装部品、モール等の自動車外装部品等の自動車用部品;家電部品;建材;家具等としても有用である。

Claims (7)

  1. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して成分(C)を0.01〜3質量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):ポリプロピレン系樹脂
    成分(B):エラストマー
    成分(C):分岐構造を有する飽和脂肪酸アミド
  2. 成分(A)が、プロピレン単位含有量が90〜100質量%であるプロピレン系重合体成分(A1)と、エチレン・プロピレン共重合体成分(A2)とからなり、成分(A1)と成分(A2)との合計量に対し、成分(A1)を60〜95質量%含有するプロピレン系重合体である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 成分(B)が、エチレン・α−オレフィン共重合体、スチレン・共役ジエンブロック共重合体及びスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 成分(B)として、エチレン・α−オレフィン共重合体を含み、かつエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィン単位の炭素数が4〜8である、請求項3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 成分(A)と成分(B)の質量比が5:95〜95:5である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる自動車用部品。
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