JP2018154707A - 動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的強度及び圧縮永久歪みに優れる、新規な熱可塑性エラストマー組成物、並びにこれを用いた成形体、自動車用部材、及び建材用部材等を提供する。【解決手段】下記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含む、動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。成分(A):エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴム成分(B):歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン成分(C):架橋剤成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤【選択図】なし

Description

本発明は、機械的強度及び圧縮永久歪みに優れる動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物、並びにこれを用いた成形体、自動車用部材、及び建材用部材等に関する。
従来、自動車部品、電気・電子部品、建築部品等において、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体(EPDM)のゴム配合物からなる押出し加硫成形品が、低硬度且つゴム弾性が要求される部品において一般的に用いられていた。ところが近年、生産性、環境対応性及び軽量化の見地から、加硫工程が不要な熱可塑性エラストマー組成物が使用され始めている。
熱可塑性エラストマー組成物としては、例えばポリプロピレン系樹脂及びエチレン・α−オレフィン共重合体を含む混合物を、架橋剤の存在下に動的熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物が、加硫工程が不要でありながらも、ゴム的な軟質材料としての特性を示し、熱可塑性樹脂と同様の成形加工性を有することが知られている。このため、製造工程の合理化やリサイクル性等の観点から、自動車部品、建材、家電用品、医療用機器部品、電線、雑貨等の幅広い分野で注目されている。
例えば、特許文献1には、特許文献1には、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴム、パラフィン系プロセスオイル、カーボンブラックマスターバッチ等を含み、押出機にて有機過酸化物及びジビニルベンゼンにより動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物が記載されている。
一方で、特許文献2及び3には、熱可塑性エラストマー組成物に歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンを配合することで、射出発泡成形時の諸性能、例えば発泡特性、柔軟性、耐熱性等を改善する技術が記載されている。
特開2007−070387号公報 特開2011−102028号公報 特開2015−098542号公報
しかしながら、一般に、従来の熱可塑性エラストマー組成物では、加硫ゴムに比較して圧縮永久歪みを指標とするゴム弾性に劣る点で十分とは言えず、より高い圧縮永久歪みが要求されるような厳しい用途においては加硫ゴムからの代替が進んでいない。そのため、機械的強度等の基本性能を損なうことなく、ゴム弾性が改善された、熱可塑性エラストマー組成物が求められている。
一方、特許文献2及び3は、歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンの配合により、射出発泡成形における諸性能の向上を開示するに留まる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされてものであり、その目的は、機械的強度及び圧縮永久歪みに優れる、新規な動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物、並びにこれを用いた成形体、自動車用部材、及び建材用部材等を提供することにある。
なお、ここでいう目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本発明の他の目的として位置づけることができる。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、所定の配合組成を有する動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
[1] 下記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含む、動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴム
成分(B):歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(C):架橋剤
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
[2] 成分(E):ポリプロピレン系樹脂をさらに含む[1]に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 前記成分(B)及び(E)の固形分換算の含有割合が、99:1〜1:99である[2]に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
[4] 前記成分(A)〜(B)の合計量100質量部に対し、前記成分(A)を50〜90質量部、前記成分(B)を10〜50質量部含む[1]〜[3]のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
[5] 前記成分(B)が、0.1〜250g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0〜20cNのメルトテンションを有する[1]〜[4]のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
[6] 前記成分(C)が、有機過酸化物、フェノール樹脂、多官能ビニル化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、及び塩化錫よりなる群から選択される少なくとも一種を含む[1]〜[5]のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
[7] 前記成分(C)の含有割合が、0.05〜20質量%である[1]〜[6]のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
[8] 前記成分(D)の含有割合が、前記成分(A)及び(B)の合計100質量部に対し、10〜200質量部である[1]〜[7]のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
[9] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる、成形体。
[10] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる、自動車用部材。
[11] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる、建材用部材。
本発明によれば、機械的強度及び圧縮永久歪みに優れる、新規な動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物、並びにこれを用いた成形体、自動車用部材、及び建材用部材等を提供することができる。そして、本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物及びこれを用いた成形体は、より良好な機械的強度やゴム弾性が要求されるような、厳しい使用環境に曝される種々の用途への展開が期待できる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明の実施態様の例(代表例)であり、本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。また、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。さらに、(共)重合体は、1のみ重合成分からなる単独重合体、2以上の共重合成分からなる共重合体の双方を包含する意味で用いる。
〔熱可塑性エラストマー組成物〕
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び(D)を少なくとも含む、動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物である。
成分(A):エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴム
成分(B):歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(C):架橋剤
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
かかる動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)、(B)及び(D)を含有する樹脂組成物を、成分(C)の存在下で動的熱処理することにより得られるものである。このような動的架橋を行うことで、良好な機械的強度を有しながらも、圧縮永久歪みを指標とするゴム弾性に優れる熱可塑性エラストマー組成物が実現される。
[成分(A)]
成分(A)のエチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムは、共重合成分としてエチレンとα−オレフィンと非共役ジエン化合物とを含有する共重合体である。エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムには、油展タイプと非油展タイプのものがあり、成分(A)で用いるエチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムは、本実施形態では非油展タイプの共重合体ゴムを意図しているが、油展タイプのものも好適に用いることができる。すなわち、本発明において、成分(A)のエチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムは、油展タイプと非油展タイプのいずれでも使用可能である。すなわちエチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤との混合物(以下、「油展エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴム」と称することもある。)である油展タイプのものを1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で、或いは油展タイプと非油展タイプとを任意の組み合わせ及び比率で用いることもできる。
成分(A)中のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数3〜20、より好ましくは炭素数3〜8のα−オレフィンが挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、動的架橋時の架橋剤による架橋性やブルームアウト抑制等の観点から、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテンが好ましく、より好ましくはプロピレン、1−ブテンである。なお、α−オレフィンは、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
成分(A)中の非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロへキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロオクタジエン、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−ノルボルネン、ビニリデンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)等のエチリデンノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)等のメチレンノルボルネン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、動的架橋時の架橋剤による架橋性等の観点から、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニリデンノルボルネンが好ましく、より好ましくはジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ビニリデンノルボルネンである。なお、非共役ジエンは、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムの具体例としては、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、エチレン・1−ブテン・非共役ジエンゴム、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、動的架橋時の架橋剤による架橋性やブルームアウト抑制等の観点から、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)が好ましい。なお、エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムは、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
成分(A)のエチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムとしては、チーグラー系触媒、又はメタロセン系触媒を用いて合成されたものが好ましく用いられる。チーグラー系触媒は、チタン化合物やバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒であり、メタロセン系触媒は、チタン、ジルコニウム等の遷移金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒とからなる高活性の重合触媒である。
エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴム中のエチレン単位の含有量は、特に限定されないが、50〜90質量%が好ましく、より好ましくは55〜85質量%であり、さらに好ましくは60〜80質量%である。エチレン単位の含有量が上記好ましい範囲内であると、機械的強度やゴム弾性に優れる動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が得られ易い傾向にある。
また、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム中のα−オレフィン単位の含有量は、特に限定されないが、10〜50質量%が好ましく、より好ましくは15〜45質量%、さらに好ましくは20〜40質量%である。α−オレフィン単位の含有量が上記好ましい範囲内であると、機械的強度、適度な柔軟性、ゴム弾性に優れる動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が得られ易い傾向にある。
さらに、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム中の非共役ジエン単位の含有量は、特に限定されないが、0.5〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%であり、さらに好ましくは2〜10質量%である。非共役ジエン単位の含有量が上記好ましい範囲内であると、架橋性や成形性の調整が容易となり、度機械的強度やゴム弾性に優れる動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が得られ易い傾向にある。
なお、成分(A)の各構成単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。特に、エチレン単位の含有量が55〜75質量%であり、プロピレン単位の含有量が15〜40質量%であり、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、及びビニリデンノルボルネンよりなる群から選択される少なくとも1種の非共役ジエンの含有量が1〜10質量%のエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム共重合体が好ましい。
なお、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が適用することができる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体等の錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等でEPDMを製造することができる。一般的には、主に脂肪族炭化水素を溶媒とした溶液重合法が採用されており、一部ではモノマーを主溶剤としたスラリー重合法も採用されている。また、モノマーガスの中で分散剤として種々の不活性材料(例えば、カーボンブラック)を用い重合反応を進める気相重合法も工業化されている。溶液重合法による合成は、気相重合法と異なり、ポリマー中にカーボンブラック等を含まないためブルームアウトの抑制に優れる。さらに、メタロセン触媒を用いるとブルームアウトの抑制効果が一層良好な結果となる。一方、気相重合法による合成は、溶液重合法やスラリー重合法より高分子量のポリマーを合成でき、その結果、ムーニー粘度を高くすることができ、耐油性、圧縮永久歪みに有効である。
成分(A)のエチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムのゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)によるポリプロピレン換算の質量平均分子量は、特に限定されないが、100,000以上が好ましく、より好ましくは200,000以上であり、さらに好ましくは300,000以上であり、1,000,000以下が好ましく、より好ましくは900,000以下であり、さらに好ましくは800,000以下である。成分(A)の質量平均分子量が上記好ましい範囲内であると、成形性や加工性等が向上し、また、炭化水素系ゴム用軟化剤のブリードアウトが抑制され易くなる傾向にある。
なお、本明細書において、成分(A)のエチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムのGPC法に基づくポリプロピレン換算の質量平均分子量の測定条件は、以下の通りである。
機器 :Waters 150C
カラム :Shodex AD806MS×3 (8.0mm内径×300mm長さ)
検出器 :IR(分散型、3.42μm)
溶媒 :ODCB
温度 :140℃
流速 :1.0mL/分
注入量 :200μL
濃度 :10mg/mL
較正試料:多分散標準ポリエチレン
較正法 :Mark−Houwink式を用いてポリプロピレン換算
成分(A)のエチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムの密度は、特に限定されないが、0.850g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは0.860g/cm以上であり、一方、0.900g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.890g/cm以下である。成分(A)のエチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムの密度が上記好ましい数範囲内であると、加工性、成形性、柔軟性等に優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られ易い傾向にある。なお、かかる密度は、JIS K7112:1999に基づいて測定することができる。
成分(A)として油展タイプのエチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体を用いることもできる。油展エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体において、炭化水素系ゴム用軟化剤は、エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムを軟化させ、柔軟性と弾性を増加させるとともに、得られる熱可塑性エラストマー組成物の加工性や流動性を向上させる等の目的のために使用される。
炭化水素系ゴム用軟化剤としては、例えば鉱物油系ゴム用軟化剤、剛性樹脂系ゴム用軟化剤等が挙げられ、これらの中でも、他の成分との親和性等の観点から、鉱物油系ゴム用軟化剤が好ましい。鉱物油系ゴム用軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子に対し、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50質量%以上のものはパラフィン系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45%のものはナフテン系オイル、芳香族系炭化水素の炭素の割合が35%以上のものは芳香族系オイルと呼ばれている。これらの中でも、成分(A)の炭化水素系ゴム用軟化剤としては、パラフィン系ゴム用軟化剤(パラフィン系オイル)が好ましい。なお、炭化水素系ゴム用軟化剤は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
成分(A)のパラフィン系オイルとしては、特に限定されないが、40℃の動粘度が通常20cst(センチストークス)以上、好ましくは50cst以上であり、通常800cst以下、好ましくは600cst以下のものである。また、流動点は通常−40℃以上、好ましくは−30℃以上で、0℃以下のものが好適に用いられる。また、流動点は、通常−40℃以上、好ましくは−30℃以上で、0℃以下のものが好適に用いられる。さらに、引火点(COC)は、通常200℃以上、好ましくは250℃以上であり、通常400℃以下、好ましくは350℃以下のものが好適に用いられる。
成分(A)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを用いる際の、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤との含有比率は、特に限定されないが、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム100質量部に対し、炭化水素系ゴム用軟化剤の含有量が、通常、10質量部以上であり、好ましくは20質量部以上であり、一方、通常、200質量部以下であり、好ましくは160質量部以下であり、より好ましくは120質量部以下である。
成分(A)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを用いる際の、油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを調製する方法(油展方法)は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。油展方法としては、例えば、ミキシングロールやバンバリーミキサーを用い、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体と炭化水素系ゴム用軟化剤を機械的に混練して油展する方法、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体に所定量の炭化水素系ゴム用軟化剤を添加し、その後スチームストリッピング等の方法により脱溶媒する方法、クラム状のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体と炭化水素系ゴム用軟化剤の混合物をヘンシェルミキサー等で撹拌して含浸させる方法等が挙げられる。高分子量の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを調製する観点からは、成分(A)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムの重合反応溶液又は懸濁液中に、所定量の炭化水素系ゴム用軟化剤を添加した後、溶媒を除去する方法が好ましい。
成分(A)のムーニー粘度(ML1+4、120℃)は、特に限定されないが、50〜150以下であり、好ましくは80〜130である。成分(A)のムーニー粘度は、上記下限値以上であると熱可塑性エラストマーの外観を良好にする観点から好ましく、また、上記上限値以下であると成形性、低温耐衝撃性の観点から好ましい。
なお、成分(A)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとしては、各種グレードのものが国内外のメーカから数多く市販されており、その市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、JSR社製のJSR EPR、三井化学社製の三井EPT、住友化学社製のエスプレン(登録商標)、ARLANXEO社製のKeltan(登録商標)等が挙げられる。
[成分(B)]
成分(B)の改質ポリプロピレンは、歪み硬化性を示すポリプロピレン系樹脂である。ここで、「歪み硬化」とは、溶融物の延伸歪みの増加にともない粘度が上昇する現象を意味し、本発明において「歪み硬化性」の有無は、後述する条件でメルトテンションを測定した時の溶融ストランドの破断挙動から判定でき、引き取り速度を増加させた際に急激に引き取り荷重が増加し、切断に至るときは歪み硬化性を示すと判定される。
成分(B)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンの種類は、特に限定されず、プロピレン単独重合体、プロピレンと他の共重合成分とのブロック共重合体又はランダム共重合体等のいずれであっても使用することができる。なお、成分(B)は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。ここで、プロピレン共重合体とは、プロピレン単位の含有量が、50質量%よりも多いものを意味する。耐熱性、剛性、結晶性、耐薬品性等の観点から、プロピレン共重合体中のプロピレン単位の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。一方、上限については特に限定されないが、通常100質量%未満である。なお、成分(B)中のプロピレン単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。
成分(B)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンがブロック共重合体又はプロピレンランダム共重合体である場合、プロピレンと共重合する他の共重合成分としては、エチレン、1−ブテン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数2又は4〜12のα−オレフィン;シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセン等の環状オレフィン;5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等のジエン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のビニル単量体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの他の共重合成分は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。これらの中でも、エチレン、1−ブテンが好ましい。なお、成分(B)の各構成単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。ここで、成分(B)がプロピレンブロック共重合体である場合、多段階で重合して得られるプロピレンブロック共重合体が好ましい。例えば、第一段階でポリプロピレンを重合し、第二段階でプロピレン−エチレン共重合体を重合して得られるプロピレンブロック共重合体等が好ましく用いられる。
また、成分(B)として、分岐構造を有するプロピレン(共)重合体や高分子量成分を有するプロピレン(共)重合体等も好ましく用いられる。このようなプロピレン(共)重合体としては、例えば、線状ポリプロピレン系樹脂に放射線を照射した結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体、ブロック共重合体及びランダム共重合体等の線状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、ラジカル重合開始剤を溶融混合した結晶性プロピレン(共)重合体等が挙げられる。これらの中でも、分岐構造を有するものが好ましい。
成分(B)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンの製造方法としては、特に限定されず、例えば公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法を適用することができ、その一例としては、チーグラー・ナッタ系触媒を用いた多段重合法を挙げることができる。この多段重合法には、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等を用いることができ、これらを2種以上組み合わせて製造してもよい。
成分(B)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンとしては、流動性や成形性等の観点から、0.1〜250g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0〜20cNのメルトテンションを有するポリプロピレン(共)重合体が好ましく用いられる。
成分(B)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンのMFRは、成形性等の観点から、より好ましくは0.3g/10分以上、100g/10分以下であり、さらに好ましくは0.5g/10分以上、70g/10分以下である。とりわけ、圧縮永久歪みの観点から、成分(B)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンのMFRは、50g/10分以下が特に好ましく、またさらに好ましくは30g/10分以下、最も好ましくは10g/10分以下である。成分(B)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンのMFRは、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重2.12Nで測定される値を意味する。
成分(B)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンのメルトテンションは、成形性や圧縮永久歪み等の観点から、より好ましくは1.5〜19cNであり、さらに好ましくは2.0〜18cNであり、特に好ましくは2.5〜15cNである。ここで、メルトテンションとは、メルトテンション測定用アタッチメントが装備されており、先端にφ1mm、長さ10mmのオリフィスを装着したφ10mmのシリンダーを有するキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用して、200℃、ピストン降下速度10mm/分で降下させた際にダイから吐出されるストランドを350mm下のロードセル付きプーリーに掛けて1m/分の速度で引き取り、安定後に引き取り速度を4分間で200m/分の速度に達する割合で増加させ、ストランドが破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を測定し、この測定された荷重をメルトテンションとする。
なお、成分(B)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンとしては、各種グレードのものが国内外のメーカから数多く市販されており、その市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、プライムポリマー社のPrim Polypro(登録商標)、住友化学社の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社のポリプロピレンブロックコポリマー、日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)PP、ウェイマックス(登録商標)、LyondellBasell社のMoplen(登録商標)、ExxonMobil社のExxonMobil PP、Formosa Plastics社のFormolene(登録商標)、Borealis社のBorealis PP、LG Chemical社のSEETEC PP、A.Schulman社のASI POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社のINEOS PP、Braskem社のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社のSumsung Total、Sabic社のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社のTOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社のYUPLENE(登録商標)等が挙げられる。
[成分(C)]
成分(C)の架橋剤は、動的熱処理において、各成分を含有する樹脂組成物中で上述した成分(A)を部分的に架橋するものであり、これにより動的架橋型エラストマー組成物が実現される。かかる架橋剤としては、公知のものの中から適宜選択して用いることができ、特に限定されないが、有機過酸化物、フェノール樹脂が好ましく用いられる。なお、架橋剤は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
成分(C)の有機過酸化物としては、芳香族系有機過酸化物、脂肪族系有機過酸化物等が挙げられる。具体的には、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類;t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類;アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
成分(C)のフェノール樹脂としては、非ハロゲン系フェノール樹脂が好ましく用いられる。非ハロゲン系フェノール樹脂としては、アルキル置換フェノール又は非置換フェノールとアルカリ媒体中でのアルデヒドとの縮合体、好ましくはホルムアルデヒドとの縮合体であって、ハロゲン原子を含有しないものが挙げられる。アルキル置換フェノールにおける置換アルキル基は、炭素数20未満のものが好ましく、p−位において炭素数1〜12の置換アルキル基で置換されたジメチロールフェノール類がより好ましい。また、非ハロゲン系フェノール樹脂として二官能性フェノールジアルコール類の縮合体も好ましく用いられる。なお、米国特許第4,311,628号、米国特許第2,972,600号及び3,287,440号明細書には、熱可塑性加硫ゴムのフェノール樹脂による架橋技術が開示され、これらの技術を適用することもできる。
より具体的には、成分(C)のフェノール樹脂としては、下記一般式(I)で表されるものが好ましい。
Figure 2018154707
(式中、Qは、−二価の連結基−CH2 −、又は−CH2 −O−CH2 −から選択され、nは0又は1〜20であり、Rは炭素数20未満、好ましくは炭素数1〜12の有機基である。)
上記、非ハロゲン系フェノール樹脂の製品例としては、田岡化学工業(株)製のTackirol 201、202(商品名)、群栄化学工業(株)製のPR−4507(商品名)、Hoechst社製のVulkaresat 510E、532E、Vulkaresen E、105E、130E、Vulkaresol 315E(商品名)、Rohm&Haas社製のAmberol ST 137X(商品名)、住友デュレズ(株)製のスミライトレジン PR−22193(商品名)、Anchor Chem.社製のSymphorm−C−100、C−1001(商品名)、荒川化学工業(株)製のタマノル 531(商品名)、Schenectady Chem.社製のSchenectady SP1045、SP1055、SP1056、SP1059(商品名)、U.C.C社製のCRR−0803(商品名)、昭和ユニオン合成(株)製のCRM−0803(商品名)、Bayer社製のVulkadur A(商品名)等が挙げられる。
とりわけ、成分(C)の非ハロゲン系フェノール樹脂としては、下記式で表されるp−オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂が特に好ましく用いられ、その中でも質量平均分子量Mwが2,500〜4,000のものが最も好ましく用いられる。かかる非ハロゲン系フェノール樹脂としては、上記のTackirol 201、202(商品名)として市販されているものを利用することができる。
Figure 2018154707
また、上述した有機過酸化物やフェノール樹脂に加えて、その他の架橋剤を使用してもよく、例えば、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン等の過酸化物用助剤;ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド等のビスマレイミド構造を有する化合物;トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、塩化錫(SnCl)等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、架橋剤は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
[成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤]
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性や弾性を増加させるとともに、加工性や流動性を向上させる観点から、成分(D)として炭化水素系ゴム用軟化剤を含有することが好ましい。なお、この成分(D)は、上述した成分(A)として油展エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムを使用する際にその中に含まれる炭化水素系ゴム用軟化剤とは、別添される炭化水素系ゴム用軟化剤である。この成分(D)としては、上述した成分(A)中の炭化水素系ゴム用軟化剤と同一、同種、異種の炭化水素系ゴム用軟化剤のいずれでも用いることができる。
成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤としては、例えば鉱物油系ゴム用軟化剤、剛性樹脂系ゴム用軟化剤等が挙げられ、これらの中でも、他の成分との親和性等の観点から、鉱物油系ゴム用軟化剤が好ましい。鉱物油系ゴム用軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子に対し、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50質量%以上のものはパラフィン系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45%のものはナフテン系オイル、芳香族系炭化水素の炭素の割合が35%以上のものは芳香族系オイルと呼ばれている。これらの中でも、成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤としては、常温(23±2℃)で液体である液状炭化水素系ゴム用軟化剤が好ましく、常温で液体である液状パラフィン系オイルがより好ましい。成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤として液状炭化水素系ゴム用軟化剤を用いることで、本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性や弾性を増加させることができ、また加工性や流動性が飛躍的に向上する傾向にある。なお、成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。なお、成分(A)として油展エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムを使用する際にも炭化水素系ゴム用軟化剤を別添することにより、炭化水素系ゴム用軟化剤の含有割合を油展エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴム中の炭化水素系ゴム用軟化剤の含有割合に依存せずに、任意に調整することが可能である。
成分(D)のパラフィン系オイルとしては、特に限定されないが、40℃の動粘度が通常20cst(センチストークス)以上、好ましくは50cSt以上であり、通常800cSt以下、好ましくは600cSt以下のものである。また、流動点は通常−40℃以上、好ましくは−30℃以上で、0℃以下のものが好適に用いられる。また、流動点は、通常−40℃以上、好ましくは−30℃以上で、0℃以下のものが好適に用いられる。さらに、引火点(COC)は、通常200℃以上、好ましくは250℃以上であり、通常400℃以下、好ましくは350℃以下のものが好適に用いられる。
[配合割合]
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物において、上記各成分(A)〜(D)の組成割合は特に限定されないが、機械的強度及び圧縮永久歪みを高めるとともに柔軟性や成形加工性等を向上させる等の観点から、成分(A)及び(B)の固形分換算の含有割合が、合計で40質量%以上95質量%未満であることが好ましく、より好ましく合計で50質量%以上85質量%以下である。
また、成分(A)及び(B)の配合割合は、特に限定されないが、機械的強度及び圧縮永久歪みを高めるとともに柔軟性や成形加工性等を向上させる等の観点から、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対し、成分(A)が50〜90質量部、成分(B)が10〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは成分(A)が60〜89質量部、成分(B)が11〜40質量部、さらに好ましくは成分(A)が65〜88質量部、成分(B)が12〜35質量部である。
一方、成分(C)の配合割合は、特に限定されないが、架橋反応を十分に進行させて機械的強度及び圧縮永久歪みを高める等の観点から、動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の総量に対して、0.05質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。一方、過度な架橋反応を制御する観点から、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、成分(D)の配合割合は、特に限定されないが、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性や弾性、加工性や流動性等の観点から、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対し、10〜200質量部であることが好ましく、より好ましくは25〜150質量部であり、さらに好ましくは40〜100質量部である。
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、上述した成分(A)〜(D)の他に、本発明の効果を過度に損なわない範囲で、目的に応じてその他の樹脂成分や各種添加剤を含有していてもよい。その他の樹脂成分としては、上述した成分(A)及び(B)以外のポリプロピレン系樹脂(以下、単に「成分(E)」と称する場合がある。)、これら以外の樹脂(以下、単に「その他の樹脂」と称する場合がある。)等が例示される。その他の樹脂成分や各種添加剤は、1種類のみ単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で用いることができる。
[成分(E)]
成分(E)のポリプロピレン系樹脂の具体例としては、プロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)、プロピレンとα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体等が挙げられる。ここで、プロピレン系共重合体とは、プロピレンをモノマー単位の50モル%以上の組成で含有する重合体を意味する。α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数3〜20、より好ましくは炭素数3〜8のα−オレフィンが挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、α−オレフィンは、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
これらの中でも、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体が安価で容易に入手することができ、経済性に優れるため好ましい。機械的特性の観点から、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体がより好ましい。なお、ポリプロピレン系樹脂は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合せ及び比率で用いることがきる。
成分(E)のポリプロピレン系樹脂の密度は、特に限定されないが、0.85g/cm以上が好ましく、より好ましくは0.87g/cm以上であり、一方、0.96g/cm以下が好ましく、より好ましくは0.95g/cm以下である。ここで、成分(E)のポリプロピレン系樹脂の密度は、JIS K7112:1999に準拠して測定される値を意味する。
また、成分(E)のポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートは、特に限定されないが、成形性等の観点から、0.01〜50g/10分が好ましく、より好ましくは0.1〜10g/10分である。ここで、成分(E)のポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重2.12Nで測定される値を意味する。
また、成分(E)のポリプロピレン系樹脂のメルトテンションは、特に限定されないが、成形性や圧縮永久歪み等の観点から、0.05〜5cNが好ましく、より好ましくは0.1〜4cN、さらに好ましくは0.2〜2.5cNであり、特に好ましくは0.3〜2.0cNである。なお、このメルトテンションの測定は、上述した成分(B)と同条件で行うものとする。
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が成分(E)のポリプロピレン系樹脂を含有する場合、特に限定されないが、機械的強度及び圧縮永久歪みを高めるとともに柔軟性や成形加工性等を向上させる等の観点から、成分(A)、(B)、及び(E)の固形分換算の含有割合が、合計で40質量%以上95質量%未満であることが好ましく、より好ましくは合計で50質量%以上85質量%以下である。
また、成分(E)のポリプロピレン系樹脂の配合割合は、特に限定されないが、成分(A)、(B)、及び(E)の合計100質量部に対し、5〜50質量部が好ましく、より好ましくは7〜40質量部、さらに好ましくは10〜35質量部である。
また、本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物中の成分(B)及び(E)の固形分換算の含有割合は、特に限定されないが、99:1〜1:99が好ましく、より好ましくは90:10〜30:70、さらに好ましくは80:20〜40:60である。
[その他の樹脂]
その他の樹脂としては、上述した成分(A)〜(B)及び(E)以外のものであれば、その種類は特に制限されない。高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のエチレン(共)重合体、ポリエチレン系(共)重合体及びポリプロピレン系共重合体以外のポリオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系(共)重合体、ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系(共)重合体、ポリスチレン等のスチレン系(共)重合体、ポリメチルメタクリレート系樹脂等の(メタ)アクリル系(共)重合体、ポリフェニレンエーテル系(共)重合体、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系(共)重合体、ポリカーボネート系(共)重合体、ポリ塩化ビニル系(共)重合体、エチレン−ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレン・プロピレン・ブテン共重合ゴム等のオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの樹脂は、1種を単独で用いることができ、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。なお、本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物がその他の樹脂を含有する場合、特に限定されないが、上述した成分(A)〜(B)及び(E)の総量に対し、1〜100質量%が好ましく、より好ましくは2〜50質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。
[各種添加剤]
各種添加剤としては、当業界で公知の添加剤、例えば、プロセス油、加工助剤、可塑剤、結晶核剤、衝撃改良剤、難燃剤、難燃助剤、架橋助剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、滑剤、充填剤、相溶化剤、分散剤、中和剤、熱安定剤、耐候安定剤(酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等)、カーボンブラック、着色剤(顔料、染料等)、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これら添加剤を用いる場合のその含有量は、特に限定されないが、本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の総量に対して、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.2質量%以上であり、また、5質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以下である。
難燃剤は、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤に大別される。これらの中でも、非ハロゲン系難燃剤が好ましい。具体的には、金属水酸化物、リン系難燃剤、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)難燃剤及び無機系化合物(硼酸塩、モリブデン化合物)難燃剤等が挙げられる。熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。酸化防止剤の具体例としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。
充填剤は、有機充填剤と無機充填剤に大別される。有機充填剤としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。また、無機充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、マイカ、チタン酸カリウム繊維、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、金属石鹸、二酸化チタン、ガラス繊維、中空ガラス球、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造方法]
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分、並びに必要に応じて配合される成分(E)さらにはその他の樹脂成分や各種添加剤等を、通常の押出機やバンバリーミキサー、ミキシングロール、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブラベンダー等を用いて常法で混合又は混練或いは溶融混練することで製造することができる。これらの中でも、押出機、特に2軸押出機を用いることが好ましい。本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を押出機等で混練して製造する際には、通常80〜300℃、好ましくは100〜250℃に加熱した状態で溶融混練することが好ましい。なお、動的熱処理を行う際の処理時間は、特に限定されないが、生産性等を考慮すると、通常0.1〜30分である。
ここで、「動的熱処理」とは、上記成分(C)の存在下、溶融状態又は半溶融状態で混練することを意味する。この動的熱処理は、溶融混練によって行うことが好ましく、2軸押出機を用いる場合には、複数の原料供給口を有する二軸押出機の原料供給口(ホッパー)に各成分を供給して動的熱処理を行うことがより好ましい。このように上記成分(C)の存在下で溶融混練する動的熱処理を行うことにより、動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
2軸押出機により動的熱処理を行う場合、生産性等の観点から、2軸押出機のバレル半径R(mm)とスクリュー回転数N(rpm)と吐出量Q(kg/時)において、下記式の関係を保ちながら溶融押出することが好ましい。
2.6<(N×Q)/R<22.6
さらには下記式の関係を保ちながら押出することが好ましい。
3.0<(N×Q)/R<20.0
[各種物性]
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物のメルトフローレート(MFR、JIS K7210に準拠、温度230℃、荷重49N)は、特に限定されないが、ハンドリング性、成形性等の観点から、0.5〜20g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.6g/10分以上、14g/10分以下、さらに好ましくは0.8g/10分以上、10g/10分以下、特に好ましくは0.8g/10分以上、8g/10分以下である。
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の密度は、特に限定されないが、0.850g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは0.860g/cm以上であり、一方、1.000g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.950g/cm以下である。なお、かかる密度は、JIS K7112:1999に基づいて測定することができる。
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、機械強度を損なわずにゴム弾性に優れるものである。本明細書においては、後掲の実施例において示す方法で測定した切断時引裂強さ(JIS K6251準拠、試験速度:500mm/分)の値を機械的強度の指標とする。この機械強度は、常温23±2℃において、5.0MPa以上が好ましく、より好ましくは5.5MPa以上、さらに好ましくは6.0MPa以下である。
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の硬度デュロA(JIS K6253(JIS−A)準拠、15秒後の硬度)の値は、特に限定されないが、60〜90が好ましく、より好ましくは65〜85である。なお、硬度デュロAの測定方法は、後掲の実施例に示す。
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の永久圧縮歪み(70℃×22時間)の値は、特に限定されないが、50%以下が好ましく、より好ましくは45%以下、さらに好ましくは43%以下である。なお、永久圧縮歪みの測定方法は、後掲の実施例に示す。
[成形体・用途]
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、通常の熱可塑性エラストマー組成物に用いられる成形方法、例えばガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の射出成形法、押出成形法、中空成形法、圧縮成形法等の各種成形方法を用いて成形体とすることができる。これらの中でも、射出成形法、押出成形法が好適である。例えば射出成形を行う場合、成形温度は一般に150〜300℃であり、好ましくは180〜280℃である。また、射出圧力は通常、5〜100MPaであり、好ましくは10〜80MPaである。一方、金型温度は通常0〜80℃であり、好ましくは20〜60℃である。なお、これらの成形を行った後に、得られた成形体に積層成形や熱成形等の二次加工をさらに行うこともできる。
本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、前記効果を奏するため、自動車用部材や建材用部材、とりわけ自動車用シール材や建材用シール材として好適である。また、本実施形態の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、自動車用シール材、建材用シール材以外の自動車部品(エアバッグ収納カバー、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ステアリング、ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、シール材、各種パッキン類等)、土木・建材部品(止水材、目地材、窓枠、窓枠パッキン、シール材等)、スポーツ用品(ゴルフクラブやテニスラケットのグリップ類等)、工業用部品(ホースチューブ、ガスケット等)、家電部品(ホース、パッキン類等)、医療用部品(医療用容器、ガスケット、パッキン等)、食品用部品(容器、パッキン等)、医療用機器部品、電線、雑貨等の幅広い分野で用いることができ、特に自動車内装部品の成形材料として好適である。
以下、実施例を用いて本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<原材料>
以下の実施例・比較例で使用した原材料は以下の通りである。
[成分(A)]
(A−1):エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴム(エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン三元共重合体ゴム、三井化学株式会社製、商品名:EPT3092PM、非油展タイプ、ムーニー粘度(ML1+4、125℃):61、エチレン含有量:65質量%、エチリデンノルボルネン含有量:4.6質量%)
[成分(B)]
(B−1):歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン(カネカ株式会社製、商品番号:049N、MFR:1.0g/10分(230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、メルトテンション:9.2cN)
(B−2):歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン(カネカ株式会社製、商品番号:KIS−51、MFR:0.5g/10分(230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、メルトテンション:11.1cN)
(B−3):歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製、商品番号:WAYMAX MFX8、MFR:1.0g/10分(230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、メルトテンション:11.7cN)
[成分(C)]
(C−1):2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(化薬アクゾ株式会社製、商品名:カヤヘキサAD40C、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン40質量%と炭酸カルシウム60質量%との混合物)
(C−2):ジビニルベンゼン(和光純薬工業社製、ジビニルベンゼン、ジビニルベンゼン55質量%とエチルビニルベンゼン45質量%との混合物)
[成分(D)]
(D−1):パラフィン系ゴム用軟化剤(出光興産株式会社製、パラフィン系オイル、商品名:ダイアナ(登録商標) プロセスオイルPW90、40℃の動粘度:95.54cSt(センチストークス)、流動点:−15℃、引火点:272℃)
[成分(E)]
(E−1):ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ株式会社製、ポリプロピレン単独重合体、商品名:ノバテック(登録商標)PP FY6、MFR:2.5g/10分(230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、密度:0.90g/cm(JIS K7112:1999)、メルトテンション:0.9cN)
<評価方法>
実施例及び比較例における、熱可塑性エラストマー組成物の各種評価方法を以下に示す。なお、下記(2)〜(4)の測定においては、インラインスクリュータイプの射出成形機(東芝機械社製、商品番号:IS130)を用い、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃の条件下にて、各熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して厚さ2mm×幅120mm×長さ80mmのシートを成形した。また、下記(3)の引張試験においては、JIS K6251に準拠し、試験片打抜刃(JIS 3号形 ダンベル状)を用いて、得られたシート(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mm)からダンベル状の試験片を打ち抜き、この試験片を用いて測定した。一方、下記(4)の圧縮永久歪みにおいては、JIS K6262に準拠し、得られたシート(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mm)を打ち抜いて得たTypeA円盤:29mmφを6枚重ねて試験片を作製し、この試験片を用いて測定した。
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に準拠し、230℃、荷重49Nで測定した。
(2)硬度デュロA
JIS K6253(JIS−A)に準拠し、硬度(15秒後)を測定した。
(3)切断時引張強さ/切断時伸び(引張試験)
JIS K6251に準拠し、試験速度:500mm/分で測定した。
(4)圧縮永久歪み
JIS K6262の規格に準拠し、70℃、22時間、25%圧縮条件で測定した。
[実施例1]
成分(A−1)45質量%、成分(B−1)20質量%、成分(C−1)0.4質量部、成分(C−2)0.3質量部、酸化防止剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:イルガノックス(登録商標)1010)0.1質量部、充填剤(炭酸カルシウム)1.5質量部、及び黒色顔料(カーボン濃度40質量%品)2質量部を配合し、ヘンシェルミキサーにて1分間混合した。次いで、同方向二軸押出機(日本製鋼所社製、商品番号:TEX30、L/D=46、シリンダーブロック数:12)の上流の供給口に、得られた混合物を質量式フィーダーにて投入した。そして、液添ポンプにて成分(D−1)35質量%を押出機の途中の供給口から供給し、合計20kg/hの吐出量にて、上流部から下流部を120〜180℃の範囲で昇温させて溶融混練を行い、ペレット化して実施例1の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を製造した。得られた実施例1の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の各種物性を、表1に示す。
[実施例2〜5及び比較例1〜2]
表1に示す配合組成に変更する以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2〜5及び比較例1の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物のペレット、並びに比較例2の熱可塑性エラストマー組成物のペレットをそれぞれ得た。それぞれの各種物性を表1に示す。
Figure 2018154707
[評価結果]
表1に示すとおり、本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物に該当する実施例1〜5は、いずれも良好な機械的強度及び圧縮永久歪み特性を有していることがわかる。一方、成分(B)を含有していない比較例1の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、圧縮永久歪み特性が不十分であった。また、動的架橋されていない比較例2のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、圧縮永久歪み特性が著しく悪く、機械的強度も劣るものであった。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物等は、機械的強度及び圧縮永久歪みに優れるため、これらが要求される各種用途、例えば自動車部品、土木・建材部品、スポーツ用品、工業用部品、家電部品、医療用部品、食品用部品、医療用機器部品、電線、雑貨等において、広く且つ有効に利用可能であり、自動車内装部品や建材用部材、とりわけ自動車用シール材や建材用シール材として殊に有効に利用可能である。

Claims (11)

  1. 下記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含む、動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴム
    成分(B):歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
    成分(C):架橋剤
    成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
  2. 成分(E):ポリプロピレン系樹脂をさらに含む
    請求項1に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記成分(B)及び(E)の固形分換算の含有割合が、99:1〜1:99である
    請求項2に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記成分(A)及び(B)の合計100質量部に対し、前記成分(A)を50〜90質量部、前記成分(B)を10〜50質量部含む
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記成分(B)が、0.1〜250g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0〜20cNのメルトテンションを有する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記成分(C)が、有機過酸化物、フェノール樹脂、多官能ビニル化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、及び塩化錫よりなる群から選択される少なくとも一種を含む
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 前記成分(C)の含有割合が、0.05〜20質量%である
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 前記成分(D)の含有割合が、前記成分(A)及び(B)の合計100質量部に対し、10〜200質量部である
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる、
    成形体。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる、
    自動車用部材。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる、
    建材用部材。
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