JP6965644B2 - 動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
一方で、特許文献2及び特許文献3には、熱可塑性エラストマー組成物に歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンを配合することで、射出発泡成形時の諸性能、例えば発泡特性、柔軟性、耐熱性等を改善する技術が記載されている。
特許文献1に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物において、低硬度の特性を向上させるには、オレフィン系樹脂量を減らし、エチレン系共重合ゴムと軟化剤量を増やす必要があるが、軟化剤を増やし過ぎると、その熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる成形体の表面に軟化剤がブリードアウトする問題がある。また、オレフィン系樹脂量を減らし過ぎると、動的熱処理段階でオレフィン系樹脂によってエチレン系共重合ゴムの粒径を小さくすることができず、大粒径のゴム分が表出し、得られる成形体の外観が悪化するという問題が起こる。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[5]に存する。
成分(A):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(B):0.1〜250g/10分のメルトフローレート(230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0〜24cNのメルトテンションを有する、歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(C):架橋剤
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物及びこれを用いた成形体は、より良好な機械的強度やゴム弾性が要求されるような、厳しい使用環境に曝される種々の用途への展開が期待できる。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)〜(D)を含み、成分(A)と成分(B)との合計100質量部中の成分(A)の含有量が70〜90質量部で、成分(B)の含有量が10〜30質量部であり、成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対する成分(C)の含有量が0.05〜20質量部で、成分(D)の含有量が20〜200質量部であって、JIS K6253におけるデュロA硬度が60以下であることを特徴とする。
成分(A):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(B):0.1〜250g/10分のメルトフローレート(230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0〜20cNのメルトテンションを有する、歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(C):架橋剤
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が、低硬度で圧縮永久歪みに優れ、成形体にした際の外観が良好である、という効果を奏するメカニズムは、成分(B)により、低硬度、すなわち成分(A)、成分(D)の比率が高くても動的熱処理段階で成分(A)の粒径を小さくすることができ、良好な成形外観、高いゴム弾性を得ることができることによると推定される。
成分(A)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、共重合成分としてエチレンとα−オレフィンと非共役ジエン化合物とを含有する共重合体である。エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムには、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤との混合物(以下、「油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム」と称することもある。)である油展タイプのものと、炭化水素系ゴム用軟化剤を含まない非油展タイプのものがあり、本実施形態では油展タイプの共重合体ゴムを意図しているが、低油展タイプあるいは非油展タイプのものも好適に用いることができる。すなわち、本発明において、成分(A)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、油展タイプと非油展タイプのいずれでも使用可能であり、非油展タイプのもの又は油展タイプのものの1種類のみを単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよく、油展タイプの1種又は2種以上と非油展タイプの1種又は2種以上とを任意の組み合わせ及び比率で用いることもできる。
なお、ここで、成分(A)が油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムである場合、この油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムに含まれる炭化水素系ゴム用軟化剤は、成分(D)としての炭化水素系ゴム用軟化剤に含まれるものである。
機器 :Waters 150C
カラム :Shodex AD806MS×3(8.0mm内径×300mm長さ)
検出器 :IR(分散型、3.42μm)
溶媒 :ODCB(o−ジクロロベンゼン)
温度 :140℃
流速 :1.0mL/分
注入量 :200μL
濃度 :10mg/mL
較正試料:多分散標準ポリエチレン
較正法 :Mark−Houwink式を用いてポリプロピレン換算
計算式:log(ML1/ML2)=0.0066(ΔPHR)
ML1:油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムの油展前ムーニー粘度
ML2:油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのムーニー粘度
ΔPHR:エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム100質量部当たりの油展量
成分(B)の改質ポリプロピレンは、歪み硬化性を示すポリプロピレン系樹脂(プロピレンの単独重合体又はプロピレン系共重合体、以下「プロピレン系(共)重合体」と記載する場合がある。)である。ここで、「歪み硬化」とは、溶融物の延伸歪みの増加にともない粘度が上昇する現象を意味し、本発明において「歪み硬化性」の有無は、後述する条件でメルトテンションを測定した時の溶融ストランドの破断挙動から判定でき、引き取り速度を増加させた際に急激に引き取り荷重が増加し、切断に至るときは歪み硬化性を示すと判定される。
即ち、メルトテンション測定用アタッチメントが装備されており、先端にφ1mm、長さ10mmのオリフィスを装着したφ10mmのシリンダーを有するキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用して、230℃、ピストン降下速度10mm/分で降下させた際にダイから吐出されるストランドを350mm下のロードセル付きプーリーに掛けて1m/分の速度で引き取り、安定後に引き取り速度を4分間で200m/分の速度に達する割合で増加させ、ストランドが破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を測定し、この測定された荷重をメルトテンションとする。
長鎖分岐構造を有するプロピレン系(共)重合体は、下記構造式(1)に示すような特定の分岐構造を有する。構造式(1)において、Ca、Cb、Ccは、分岐炭素に隣接するメチレン炭素を示し、Cbrは、分岐鎖の根元のメチン炭素を示し、P1、P2、P3は、プロピレン系(共)重合体残基を示す。
P1、P2、P3は、それ自体の中に、構造式(1)に記載されたCbrとは、別の分岐炭素(Cbr)を含有することもあり得る。
分岐メチン炭素Cbrに近接する3つのメチレン炭素が、ジアステレオトピックに非等価に3本に分かれて観測されることが特徴である。
13C−NMRで帰属されるこのような分岐鎖は、プロピレン系(共)重合体の主鎖から分岐した炭素数5以上のプロピレン系(共)重合体残基を示し、それと炭素数4以下の分岐とは、分岐炭素のピーク位置が異なることにより、区別できるので、本発明においては、この分岐メチン炭素のピークが確認されることにより、長鎖分岐構造の有無を判断することができる。
なお、本発明における13C−NMRの測定方法については、下記の通りである。
試料200mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解し、13C−NMR測定を行う。
13C−NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて行う。
試料の温度120℃、プロトン完全デカップリング法で測定を実施する。その他の条件は以下の通りである。
パルス角:90°
パルス間隔:4秒
積算回数:20000回
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
44ppm付近のピークを使用して長鎖分岐量を算出することができる。
分岐指数g’:[η]br/[η]lin
[η]br:長鎖分岐構造を有するポリマー(br)の固有粘度
[η]lin:ポリマー(br)と同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度
GPC:Alliance GPCV2000(Waters社)
検出器:接続順に記載
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS):DAWN−E(Wyatt Technology社)
示差屈折計(RI):GPC付属
粘度検出器(Viscometer):GPC付属
移動相溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン(Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)
移動相流量:1mL/分
カラム:東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結
試料注入部温度:140℃
カラム温度:140℃
検出器温度:全て140℃
試料濃度:1mg/mL
注入量(サンプルループ容量):0.2175mL
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)から得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)、および、Viscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:
1.「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
成分(C)の架橋剤は、動的熱処理において、各成分を含有する樹脂組成物中で上述した成分(A)を部分的に架橋するものであり、これにより動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が実現される。かかる架橋剤としては、公知のものの中から適宜選択して用いることができ、特に限定されないが、有機過酸化物、フェノール樹脂が好ましく用いられる。なお、架橋剤は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性や弾性を増加させるとともに、加工性や流動性を向上させる観点から、成分(D)として炭化水素系ゴム用軟化剤を含有する。なお、この成分(D)には、上述した成分(A)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを使用する際、その中に含まれる炭化水素系ゴム用軟化剤が含まれるが、成分(A)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを用いる場合も、この油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとは別に成分(D)として炭化水素系ゴム用軟化剤を別添加してもよい。この場合、別添加する炭化水素系ゴム用軟化剤は、成分(A)の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム中の炭化水素系ゴム用軟化剤と同一、同種、異種の炭化水素系ゴム用軟化剤のいずれでも用いることができる。成分(C)の架橋剤に炭化水素系ゴム用軟化剤が含まれる場合についても同様である。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物において、成分(A)及び成分(B)の含有量は、成分(A)70〜90質量部、成分(B)10〜30質量部である(ただし、成分(A)と成分(B)との合計で100質量部とする。)。成分(A)の含有量が上記上限より多く、成分(B)の含有量が上記下限より少ないと成形外観が悪化し、逆に成分(B)の含有量が上記下限より少なく、成分(B)の含有量が上記上限を超えると硬度が高くなり、ゴム弾性が失われる。この観点から、成分(A)と成分(B)の合計100質量部中の成分(A)の含有量は75〜90質量部で成分(B)の含有量は10〜25であることが好ましく、成分(A)の含有量は75〜85質量部で成分(B)の含有量は15〜25であることがより好ましい。
なお、ここで、成分(A)の含有量とは、成分(A)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを用いる場合は、炭化水素系ゴム用軟化剤を含まないエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとしての含有量である。
なお、ここで、成分(D)の含有量とは、成分(A)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを用いた場合、成分(A)中の炭化水素系ゴム用軟化剤と、成分(A)とは別添される成分(D)としての炭化水素系ゴム用軟化剤との合計の含有量であり、成分(C)中に炭化水素系ゴム用軟化剤が含まれる場合は、当該炭化水素系ゴム用軟化剤をも含む合計の含有量である。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、成分(A)〜(D)以外の他の成分(本明細書において、単に「その他の成分」と称することがある。)を含有していてもよい。その他の成分としては、成分(A),(B)以外の樹脂やエラストマー(本明細書においてはこれらをまとめて単に「その他の樹脂」と称することがある。)や各種添加剤が挙げられる。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、ポリオレフィン樹脂、特にメルトフローレート(230℃、21.18N、JIS K7210準拠)が0.1〜2,000g/10分で、歪み硬化性を示さないポリプロピレンを含むことにより、所望の流動性や機械物性に制御することができる。
これらの中でも特にテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのような分子量が500以上のものの使用が好ましい。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分、さらにはその他の樹脂成分や各種添加剤等を、通常の押出機やバンバリーミキサー、ミキシングロール、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブラベンダー等を用いて常法で混合又は混練或いは溶融混練することで製造することができる。これらの中でも、押出機、特に二軸押出機を用いることが好ましい。本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を押出機等で混練して製造する際には、通常80〜300℃、好ましくは100〜250℃に加熱した状態で溶融混練することが好ましい。なお、動的熱処理を行う際の処理時間は、特に限定されないが、生産性等を考慮すると、通常0.1〜30分である。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の硬度デュロA(JIS K6253準拠、15秒後の硬度)の値は、60以下であり、好ましくは58以下30以上である。なお、硬度デュロAの測定方法は、後掲の実施例に示す。
本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、通常の熱可塑性エラストマー組成物に用いられる成形方法、例えばガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の射出成形法、押出成形法、中空成形法、圧縮成形法等の各種成形方法を用いて成形体とすることができる。これらの中でも、射出成形法、押出成形法が好適である。例えば射出成形を行う場合、成形温度は一般に150〜300℃であり、好ましくは180〜280℃である。また、射出圧力は通常5〜100MPaであり、好ましくは10〜80MPaである。一方、金型温度は通常0〜80℃であり、好ましくは20〜60℃である。なお、これらの成形を行った後に、得られた成形体に積層成形や熱成形等の二次加工をさらに行うこともできる。
以下の実施例・比較例で使用した原材料は以下の通りである。
(A):下記のエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(A−1)100質量部とパラフィン系オイル(D−1)100質量部の混合物
(A−1):エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体
エチレン単位含有量:67質量%
5−エチリデン−2−ノルボルネン単位含有量:4.5質量%
(A−1)と(D−1)の混合物のムーニー粘度ML1+4(125℃):64
(D−1):パラフィン系ゴム用軟化剤(出光興産株式会社製 パラフィン系オイル 商品名:ダイアナ(登録商標) プロセスオイルPW90)
40℃の動粘度:95.54cSt(センチストークス)
流動点:−15℃
引火点:272℃
(B−1):歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製 商品名:WAYMAX MFX8)
MFR(230℃、21.2N):1g/10分
メルトテンション:24cN(230℃)
メチレン炭素(Ca、Cb、Cc)およびメチン炭素(Cbr):観測される
長鎖分岐量:0.1個/1000トータルプロピレン(全骨格形成炭素1000個あたり)
絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’:0.89
(B−2):歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン(カネカ株式会社製 商品番号:047N)
MFR(230℃、荷重21.2N):1.0g/10分
メルトテンション:8cN(230℃)
(C−1):2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(化薬アクゾ株式会社製 商品名:カヤヘキサAD40C 2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン40質量%と炭酸カルシウム60質量%との混合物)
(C−2):ジビニルベンゼン(和光純薬工業株式会社製 ジビニルベンゼン55質量%とエチルビニルベンゼン45質量%との混合物)
(D−2):パラフィン系ゴム用軟化剤(出光興産株式会社製 パラフィン系オイル 商品名:ダイアナ(登録商標) プロセスオイルPW90)
40℃の動粘度:95.54cSt(センチストークス)
流動点:−15℃
引火点:272℃
(E−1):ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ株式会社製 ポリプロピレン単独重合体 商品名:ノバテック(登録商標)PP FY6)
MFR(230℃、荷重21.2N):2.5g/10分
密度(JIS K7112:1999):0.90g/cm3
(E−2):ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ株式会社製 エチレン・プロピレン共重合体 商品名:ノバテック(登録商標)PP EG8B)
MFR(230℃、荷重21.2N):0.8g/10分
密度(JIS K7112:1999):0.90g/cm3
(E−3):ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ株式会社製 ポリプロピレン単独重合体 商品名:ノバテック(登録商標)PP EA9)
MFR(230℃、荷重21.2N):0.5g/10分
密度(JIS K7112:1999):0.90g/cm3
充填剤(竹原化学工業株式会社製 タルク 商品名PHSH)
酸化防止剤(BASFジャパン株式会社製 商品名:イルガノックス(登録商標)1010)
[成分(H)]
酸化防止剤(BASFジャパン株式会社製 商品名:イルガノックス(登録商標)FS301FF)
[成分(I)]
黒色顔料(大日精化工業株式会社製 商品名:PC40C カーボン濃度40質量%、低密度ポリエチレン60質量%品)
実施例及び比較例における動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の各種評価方法を以下に示す。なお、下記(2)〜(4)の測定においては、インラインスクリュータイプの射出成形機(東芝機械社製、商品番号:IS130)を用い、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃の条件下にて、各熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して厚さ2mm×幅120mm×長さ80mmのシートを成形した。下記(4)の圧縮永久歪みにおいては、JIS K6262に準拠し、得られたシート(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mm)を打ち抜いて得たTypeA円盤:29mmφを6枚重ねて試験片を作製し、この試験片を用いて測定した。
口径20mmの単軸押出機、フルフライトスクリューを用い、シリンダー設定温度160℃〜200℃、回転数20rpmにて得た厚さ0.5mm×幅35mmのシートについて、目視にて表面、端部の平滑性の良否、耳切れの有無を観察し、以下の基準にて判断した。
〇:良い
△:やや悪い
×:悪い
上記の通り射出成形にて得た厚さ2mm×幅120mm×長さ80mmのシートについて目視にて外観を観察し、フローマーク、転写ムラを以下の基準にて判断した。
〇:良い
△:やや悪い
×:悪い
JIS K6253(Duro−A)に準拠し、硬度(15秒後)を測定した。
JIS K6262の規格に準拠し、70℃、22時間、25%圧縮条件で測定した。
表1の通り(D−2)以外の各原料を配合し、ヘンシェルミキサーにて1分間混合した。次いで、同方向二軸押出機(日本製鋼所社製、商品番号:TEX30、L/D=46、シリンダーブロック数:12)の上流の供給口に、得られた混合物を質量式フィーダーにて投入した。そして、液添ポンプにて成分(D−2)を押出機の途中の供給口から供給し、合計20kg/hの吐出量にて、上流部から下流部を160〜200℃の範囲で昇温させて溶融混練を行い、ペレット化して実施例1の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を製造した。得られた実施例1の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の各種物性を表1に示す。
なお、表1中、(C−1)の配合量は、炭酸カルシウムを除く、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンのみの配合量を示す。
表1に示す配合組成に変更する以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2、3及び比較例1〜7の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物のペレットをそれぞれ得た。それぞれの各種物性を表1に示す。
表1に示すとおり、本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物に該当する実施例1〜3は、いずれも低硬度で良好な射出、押出外観及び圧縮永久歪み特性を有していることがわかる。
一方、比較例の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、硬度、押出外観、射出外観あるいは圧縮永久歪み特性のいずれかが不十分であった。
これらの結果から、成分(B)を含有する本発明の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物は低硬度で良好な射出、押出成形性、シール特性を有することが判明した。
Claims (5)
- 下記成分(A)〜(D)を含み、成分(A)と成分(B)との合計100質量部中の成分(A)の含有量が70〜90質量部で、成分(B)の含有量が10〜30質量部であり、成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対する成分(C)の含有量が0.05〜20質量部で、成分(D)の含有量が20〜200質量部であって、JIS K6253におけるデュロA硬度が60以下である動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(B):0.1〜250g/10分のメルトフローレート(230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0〜24cNのメルトテンションを有する、歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(C):架橋剤
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤 - 前記成分(B)が長鎖分岐構造を有する歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンである請求項1に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(C)が、有機過酸化物、フェノール樹脂、水素化ケイ素化合物、多官能ビニル化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、及び塩化錫よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(C)が、有機過酸化物である請求項3に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体。
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