JP7119869B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及び接合部材 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及び接合部材 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物、この熱可塑性エラストマー組成物よりなる接合部材及びその製造方法と、この接合部材を用いた自動車用複合成形体に関する。詳しくは、摺動性および押出材との融着性に優れ、射出成形に適した流動性を有する熱可塑性エラストマー組成物と、この熱可塑性エラストマー組成物よりなる接合部材及びその製造方法と、この接合部材を用いた自動車用複合成形体に関する。
ポリプロピレン系樹脂及びスチレン-ブタジエンブロック共重合体を溶融混練して得られる熱可塑性エラストマー組成物は、ゴム的な軟質材料としての特性を示しながらも加硫工程が不要であり、熱可塑性樹脂と同様の成形加工性を有するものである。このため、このような熱可塑性エラストマー組成物は、製造工程の合理化やリサイクル性等の観点から注目され、自動車部品、家電用品、医療用機器部品、電線、雑貨等の分野で広く使用されている。特に、この熱可塑性エラストマー組成物は、自動車用シール材や建材用シール材としての用途において多用されてきている。
自動車用シール材や建材用シール材は複雑な構造を有するため、通常、熱可塑性エラストマー組成物からなる部材同士を接合して目的の部材が製造されている。この際、熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体同士を接合するために、接着剤等を用いずに接合させる技術として、例えば、特許文献1に記載されているように、オレフィン系共重合ゴムと鉱物油系ゴム用軟化剤およびポリプロピレン系樹脂を一定の比率で混合し、動的架橋してなる接合部材によって熱融着させる技術が知られている。
また、特許文献2には、加硫ゴム成形体同士を十分に融着させる自動車用複合成形体用の接合コーナー部材の熱可塑性エラストマーを得るための技術として、オレフィン系共重合ゴムと結晶性エチレン系共重合体およびポリプロピレン系樹脂を一定の比率で混合し、動的架橋する技術が開示されている。
特開2008-266615号公報 特開2003-155386号公報
近年、熱可塑性エラストマー組成物からなる自動車用複合成形体の接合部材としては、摺動性、押出材との融着性に優れ、成形性(流動性)も良好であることが求められている。
上記特許文献1に記載されている熱可塑性エラストマー組成物からなる接合部材は、エラストマー成形体への接着性は良好であるが、特許文献1では、自動車用複合成形体の接合部材として必要な摺動性について言及されていない。
一般に、シリコーンオイルやオレイン酸アミドなどの滑剤を添加すると、高い摺動性を得ることができるが、このような滑剤は、表面張力が低く、成形体との接着面に露出し融着性を低下させる原因となる。
また、特許文献1では、ポリプロピレン系樹脂として、低流動性のプロピレン単独重合体(MFR:0.7g/10分(230℃、21.18N))を使用していることから、流動性が低く、射出成形性が不十分であった。
特許文献2に記載されている熱可塑性エラストマー組成物よりなる接合部材は、加硫ゴム成形体への接着性は良好であるが、特許文献2でも自動車用複合成形体の接合部材として必要な摺動性について言及されていない。
このように、従来において、摺動性及び融着性と成形加工性を全てバランス良く備え、自動車用複合成形体の接合部材として好適な熱可塑性エラストマー組成物は提供されていないのが現状である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、優れた摺動性及び融着性を有し、成形加工性も良好な熱可塑性エラストマー組成物と、この熱可塑性エラストマー組成物よりなる接合部材及びその製造方法と、この接合部材を用いた自動車用複合成形体を提供することを課題とする。
本発明者は、特定の流動性を有し、融点が所定値以下の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンとスチレン-ブタジエン系ブロック共重合体の水素添加物とを併用すると、押出材との融着性が良好になるばかりか摺動性の向上にも有効であるという、従来全く知られていなかった新規知見を得、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 下記(A)、(B)及び(C)を含み、成分(A)~(C)の合計100質量部に対して成分(A)を17~50質量部含む熱可塑性エラストマー組成物よりなる接合部材。
成分(A):0.1~250g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び融点が157℃以下の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
[2] [1]に記載の接合部材を備える自動車用複合成形体。
[3] 下記(A)、(B)及び(C)を含み、成分(A)~(C)の合計100質量部に対して成分(A)を17~50質量部含む熱可塑性エラストマー組成物を溶融混練し、混練物を射出成形する接合部材の製造方法。
成分(A):0.1~250g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0~20cNのメルトテンションを有する、融点が157℃以下の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
[4] 下記(A)、(B)及び(C)を含み、成分(A)~(C)の合計100質量部に対して成分(A)を17~50質量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):0.1~250g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0~20cNのメルトテンションを有する、融点が157℃以下の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、摺動性及び融着性に優れ、成形加工性も良好であり、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いて、摺動性及び融着性に優れた複合成形体用接合部材を、良好な成形加工性のもとに得ることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる接合部材は、その優れた摺動性及び融着性と成形加工性から、自動車用シール材、建材用シール材として有用であり、特に自動車用グラスランチャンネル等の自動車用複合成形体の接合部材として有用である。
本発明が適用される自動車用グラスランチャンネルの一例を示す斜視図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔熱可塑性エラストマー組成物〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、少なくとも下記成分(A)~(C)を所定の割合で含むことを特徴とする。
成分(A):0.1~250g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0~20cNのメルトテンションを有する、融点が157℃以下の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
[メカニズム]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、摺動性及び融着性に優れ、成形加工性も良好であるという効果を奏する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物がこのような効果を奏する理由の詳細は定かではないが、成分(A)改質ポリプロピレンが分岐鎖のある櫛形構造をしているため、融着相手である押出材の樹脂成分との分子の絡み合いが促進され、融着性が向上したと考えられる。また、成分(A)改質ポリプロピレンは粘度が高く、強いせん断作用によって成分(B)スチレン系水添ブロック共重合体の分散径を細かく分散できることから、成形体表面がより平滑になり良好な摺動性が得られたと推定される。
更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物のゴム成分である成分(B)スチレン系水添ブロック共重合体がビニル芳香族化合物単位を主体としているために、オレフィン系ゴムと比較して多くのゴム用軟化剤を含むことができ、射出成形に必要な流動性が得られ、成形加工性も良好となる。
前述の特許文献1、2のように、従来、エチレン・α-オレフィン系共重合体ゴムを用いて、得られる成形体の融着性を向上させる方法は一般に良く知られているが、改質ポリプロピレンとビニル芳香族化合物単位を主体とするブロック共重合体の水素添加物の組み合わせによって、摺動性及び融着性を満足させ、更に成形加工性も良好なものとする技術は、本発明によって初めて確立されたものである。
<成分(A)>
成分(A)の改質ポリプロピレンは、歪み硬化性を示すポリプロピレン系樹脂(プロピレンの単独重合体又はプロピレン系共重合体、以下「プロピレン系(共)重合体」と記載する場合がある。)である。ここで、「歪み硬化」とは、溶融物の延伸歪みの増加にともない粘度が上昇する現象を意味し、本発明において「歪み硬化性」の有無は、後述する条件でメルトテンションを測定した時の溶融ストランドの破断挙動から判定でき、引き取り速度を増加させた際に急激に引き取り荷重が増加し、切断に至るときは歪み硬化性を示すと判定される。
成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンは、融点157℃以下で、0.1~250g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0~20cNのメルトテンションを有する。
被着体とオレフィン系樹脂組成物あるいはオレフィン系樹脂を含むエラストマー組成物の融着は、被着体の融点に左右されるため、成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンの融点が低い方が融着性に有利で好ましい。成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンの融点は、好ましくは157℃以下であり、より好ましくは156℃以下である。一方、耐熱性の観点から通常120℃以上である。
なお、ここで、歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンの融点は、示差走査熱量計により測定された融解ピーク温度である。
成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンのMFRは、成形性等の観点から、より好ましくは0.3g/10分以上、100g/10分以下であり、さらに好ましくは0.5g/10分以上、70g/10分以下である。とりわけ、圧縮永久歪みの観点から、成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンのMFRは、50g/10分以下が好ましく、さらに好ましくは30g/10分以下、最も好ましくは10g/10分以下である。ここで、成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンのMFRは、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重2.12Nで測定された値である。
成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンのメルトテンションは、成形性や圧縮永久歪み等の観点から、より好ましくは1.5~19cNであり、さらに好ましくは2.0~18cNであり、特に好ましくは2.5~15cNである。
ここで、メルトテンションの測定方法は以下の通りである。
即ち、メルトテンション測定用アタッチメントが装備されており、先端にφ1mm、長さ10mmのオリフィスを装着したφ10mmのシリンダーを有するキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用して、230℃、ピストン降下速度10mm/分で降下させた際にダイから吐出されるストランドを350mm下のロードセル付きプーリーに掛けて1m/分の速度で引き取り、安定後に引き取り速度を4分間で200m/分の速度に達する割合で増加させ、ストランドが破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を測定し、この測定された荷重をメルトテンションとする。
成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンの種類は、特に限定されず、プロピレン単独重合体、プロピレンと他の共重合成分とのブロック共重合体又はランダム共重合体等であるプロピレン系共重合体のいずれであっても使用することができる。ここで、プロピレン系共重合体とは、プロピレン単位の含有量が50質量%よりも多いものを意味する。耐熱性、剛性、結晶性、耐薬品性等の観点から、プロピレン系共重合体中のプロピレン単位の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。一方、プロピレン単位の含有量の上限については特に限定されないが、通常100質量%未満である。
なお、成分(A)中のプロピレン単位、以下に記載する他の共重合成分の各構成単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。
成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンがプロピレン系ブロック共重合体又はランダム共重合体である場合、プロピレンと共重合する他の共重合成分としては、エチレン、1-ブテン、1-ブテン、2-メチルプロピレン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等の炭素数2又は4~12のα-オレフィン;シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]-4-ドデセン等の環状オレフィン;5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等のジエン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のビニル単量体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの他の共重合成分は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。これらの中でも、エチレン、1-ブテンが好ましい。
ここで、成分(A)がプロピレン系ブロック共重合体である場合、多段階で重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体が好ましい。例えば、第一段階でポリプロピレンを重合し、第二段階でプロピレン・エチレン共重合体を重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体等が好ましく用いられる。
また、成分(A)として、分岐構造を有するプロピレン系(共)重合体や高分子量成分を有するプロピレン系(共)重合体等も好ましく用いられる。このようなプロピレン系(共)重合体としては、例えば、線状ポリプロピレン系樹脂に放射線を照射した結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体、ブロック共重合体及びランダム共重合体等の線状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、ラジカル重合開始剤を溶融混合した結晶性プロピレン系(共)重合体等が挙げられる。これらの中でも、分岐構造を有するものが好ましい。
成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンの製造方法としては、特に限定されず、例えば公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法を適用することができ、その一例としては、チーグラー・ナッタ系触媒を用いた多段重合法を挙げることができる。この多段重合法には、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等を用いることができ、これらを2種以上組み合わせて製造してもよい。
本発明に用いられる成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンは長鎖分岐構造を有することが好ましい。
長鎖分岐構造については、Macromol.Chem.Phys.2003,vol.204,1738に詳細な説明があるが、以下の通りである。
長鎖分岐構造を有するプロピレン系(共)重合体は、下記構造式(1)に示すような特定の分岐構造を有する。構造式(1)において、Ca、Cb、Ccは、分岐炭素に隣接するメチレン炭素を示し、Cbrは、分岐鎖の根元のメチン炭素を示し、P1、P2、P3は、プロピレン系(共)重合体残基を示す。
P1、P2、P3は、それ自体の中に、構造式(1)に記載されたCbrとは、別の分岐炭素(Cbr)を含有することもあり得る。
Figure 0007119869000001
このような分岐構造は、13C-NMR分析により同定される。各ピークの帰属は、Macromolecules,Vol.35、No.10.2002年、3839-3842頁の記載を参考にすることができる。すなわち、43.9~44.1ppm,44.5~44.7ppm及び44.7~44.9ppmに、それぞれ1つ、合計3つのメチレン炭素(Ca、Cb、Cc)が観測され、31.5~31.7ppmにメチン炭素(Cbr)が観測される。上記の31.5~31.7ppmに観測されるメチン炭素を、以下、分岐メチン炭素(Cbr)と略称することがある。
分岐メチン炭素Cbrに近接する3つのメチレン炭素が、ジアステレオトピックに非等価に3本に分かれて観測されることが特徴である。
13C-NMRで帰属されるこのような分岐鎖は、プロピレン系(共)重合体の主鎖から分岐した炭素数5以上のプロピレン系(共)重合体残基を示し、それと炭素数4以下の分岐とは、分岐炭素のピーク位置が異なることにより、区別できるので、本発明においては、この分岐メチン炭素のピークが確認されることにより、長鎖分岐構造の有無を判断することができる。
なお、本発明における13C-NMRの測定方法については、下記の通りである。
13C-NMR測定方法)
試料200mgをo-ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(CBr)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解し、13C-NMR測定を行う。
13C-NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて行う。
試料の温度120℃、プロトン完全デカップリング法で測定を実施する。その他の条件は以下の通りである。
パルス角:90°
パルス間隔:4秒
積算回数:20000回
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
44ppm付近のピークを使用して長鎖分岐量を算出することができる。
本発明に係る長鎖分岐構造を有する改質ポリプロピレンは、13C-NMRスペクトルの、44ppm付近のピークから定量された長鎖分岐量が0.01個/1000トータルプロピレン(全骨格形成炭素1000個当たり)以上であることが好ましく、より好ましくは0.03個/1000トータルプロピレン以上、さらに好ましくは0.05個/1000トータルプロピレン以上で、好ましくは1.00個/1000トータルプロピレン以下、より好ましくは0.50個/1000トータルプロピレン以下、さらに好ましくは0.30個/1000トータルプロピレン以下である。この範囲であると、ゲルのないまたは少ない、ひずみ硬化度が大きいポリプロピレン系樹脂とすることができる。
また、本発明に係る長鎖分岐構造を有する改質ポリプロピレンは、長鎖分岐に関する直接的な指標として知られている分岐指数g’が絶対分子量Mabs100万において、下限は好ましい順に0.3以上、0.55以上、0.75以上、0.78以上であり、上限は好ましい順に1.0未満、0.98以下、0.96以下、0.95以下である。上記の下限と上限とは任意の組合せとすることができる。分岐指数g’が上記好ましい下限のいずれかと上記好ましい上限のいずれかとの間の範囲にあると、高度に架橋した成分が形成されておらず、成形外観の点で好ましい。本発明における最も好適な分岐指数g’の範囲は0.78以上、0.95以下の範囲である。
分岐指数g’は、長鎖分岐に関する直接的な指標として知られている。分岐指数g’については「Developments in Polymer Characterization-4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983)に詳細な説明があるが、その定義は、以下の通りである。
分岐指数g’:[η]br/[η]lin
[η]br:長鎖分岐構造を有するポリマー(br)の固有粘度
[η]lin:ポリマー(br)と同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度
上記定義から明らかな通り、分岐指数g’が1よりも小さな値を取ると、長鎖分岐構造が存在すると判断され、長鎖分岐構造が増えるほど分岐指数g’の値は、小さくなっていく。
分岐指数g’は、光散乱計と粘度計を検出器に備えたGPCを使用することによって、絶対分子量Mabsの関数として得ることができる。本発明における分岐指数g’の測定方法については特開2015-40213号公報に詳細が記載されているが、下記の通りである。
<測定方法>
GPC:Alliance GPCV2000(Waters社)
検出器:接続順に記載
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS):DAWN-E(Wyatt Technology社)
示差屈折計(RI):GPC付属
粘度検出器(Viscometer):GPC付属
移動相溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン(Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)
移動相流量:1mL/分
カラム:東ソー社 GMHHR-H(S) HTを2本連結
試料注入部温度:140℃
カラム温度:140℃
検出器温度:全て140℃
試料濃度:1mg/mL
注入量(サンプルループ容量):0.2175mL
<解析方法>
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)から得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)、および、Viscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:
1.「Developments in Polymer Characterization-4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495-6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424-2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945-6952(2000)
このような長鎖分岐構造を有する歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンは、重合時に長鎖分岐構造が形成されるマクロマー共重合法を用いる方法により製造される。この方法の例としては、例えば、特表2001-525460号公報や、特開平10-338717号公報、特表2002-523575号公報、特開2009-57542号公報、特許05027353号公報、特開平10-338717号公報に開示される方法等が挙げられる。特に特開2009-57542号公報のマクロマー共重合法が本発明には好適である。
なお、成分(A)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンとしては、各種グレードのものが国内外のメーカから数多く市販されており、その市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、プライムポリマー社製のPrim Polypro(登録商標)、住友化学社製の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社製のポリプロピレンブロックコポリマー、日本ポリプロ社製のノバテック(登録商標)PP、ウェイマックス(WAYMAX(登録商標))、LyondellBasell社製のMoplen(登録商標)、ExxonMobil社製のExxonMobil PP、Formosa Plastics社製のFormolene(登録商標)、Borealis社製のBorealis PP、LG Chemical社製のSEETEC PP、A.Schulman社製のASI POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社製のINEOS PP、Braskem社製のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社製のSumsung Total、Sabic社製のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社製のTOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社製のYUPLENE(登録商標)等が挙げられる。この中でも長鎖分岐構造を有する歪み硬化性を示すポリプロピレンとしては、ウェイマックスが好適に使用される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中の成分(A)の含有量の下限は、成分(A)~成分(C)の合計量100質量部に対し、融着性の観点から、通常17質量部以上であり、好ましくは18量部以上であり、より好ましくは19質量部以上である。また、成分(A)の含有量の上限は、成分(A)~成分(C)の合計量100質量部に対し、柔軟性の観点から、通常50質量部以下であり、好ましくは45質量部以下であり、より好ましくは40質量部以下である。
なお、成分(A)は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
[成分(B)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(B)は、ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物(以下、「水添ブロック共重合体」と称す場合がある。)である。
水添ブロック共重合体のブロックPを構成する単量体のビニル芳香族化合物は限定されないが、スチレンおよび/またはα-メチルスチレンなどのスチレン誘導体が好ましい。中でも、スチレンを主体とすることが好ましい。なお、ブロックPには、ビニル芳香族化合物以外の単量体が原料として含まれていてもよい。
ブロックQには、ブタジエン以外の単量体、例えばイソプレンが原料として含まれていてもよい。
成分(B)の水添ブロック共重合体におけるブロックPの重量割合は限定されないが、5質量%上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、一方、55質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることがさらに好ましい。ブロックPの重量割合が上記範囲であることにより、耐熱性と柔軟性のバランスが良好となる傾向にある。
成分(B)の水添ブロック共重合体の化学構造は直鎖状、分岐状または放射状等の何れであってもよいが、下記式(1)又は(2)で表される水添ブロック共重合体である場合が好ましく、機械的強度向上の観点から、より好ましくは下記式(1)の構造である。
P-(Q-P)m (1)
(P-Q)n (2)
(式中PはブロックPを、QはブロックQをそれぞれ表し、mは1~5の整数を表し、nは2~5の整数を表す)
式(1)又は(2)においてm及びnは、ゴム的高分子体としての秩序-無秩序転移温度を下げる点では大きい方がよいが、製造のしやすさ及びコストの点では小さい方がよい。本発明においてはm及びnが1~5の整数で与えられるものが好ましく、より好ましくは2~4である。
成分(B)の水添ブロック共重合体としては、ゴム弾性に優れること水添ブロック共重合体の方が好ましく、mが3以下である式(1)で表される水添ブロック共重合体がより好ましく、mが2以下である式(1)で表される水添ブロック共重合体が更に好ましい。
成分(B)の水添ブロック共重合体の数平均分子量は限定されないが、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する場合がある)により測定したポリスチレン換算の値として、100000以上であることが好ましく、より好ましくは150000以上、さらに好ましくは200000以上であり、600000以下であることが好ましく、より好ましくは550000以下、さらに好ましくは500000以下であることが好ましい。
本発明における成分(B)の水添ブロック共重合体の製造方法は、上述の構造と物性が得られればどのような方法でもよく、特に限定されない。具体的には、例えば、特開平7-97493号公報に記載された方法によりリチウム触媒等を用いたブロック重合を行うことによって得ることができる。また、ブロック共重合体の水素添加(水添)は、例えば、特開昭59-133203号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水添触媒の存在下で行うことができる。
成分(B)の水添ブロック共重合体の市販品としては、台湾合成ゴム(TSRC)社製「TAIPOL-6151」、「TAIPOL-6159」、クレイトンポリマージャパン株式会社製「G1651」、「G1633」、クラレ社製「セプトン4099」などが挙げられる。
成分(B)は、1種のみを用いてもよく、組成や物性の異なるものを2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法において、成分(B)の含有量は、成分(A)~成分(C)の合計100質量部に対し、成形性の観点から、下限は、通常34質量部以上であり、35質量部以上であることが好ましく、36質量部以上であることがより好ましい。一方、上限は、通常60質量部以下であり、59質量部以下であることが好ましく、58質量部以下であることがより好ましい。
[成分(C)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(C)は、炭化水素系ゴム用軟化剤である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中の成分(C)の含有量の下限は、成分(B)100質量部に対し、成形性の観点から、通常80質量部以上であり、好ましくは81量部以上であり、より好ましくは82質量部以上である。また、成分(C)の含有量の上限は、成分(B)100質量部に対し、柔軟性の観点から、通常102質量部以下であり、好ましくは101質量部以下であり、より好ましくは100質量部以下である。
成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤としては、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤等が挙げられるが、他の成分との親和性の観点から鉱物油系軟化剤が好ましい。鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30~45%がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが芳香族系オイルと各々呼ばれている。これらの中で、本発明においては、パラフィン系オイルを用いることが好ましい。
成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤の40℃における動粘度は特に限定されないが、好ましくは20cSt以上、より好ましくは50cSt以上であり、また、好ましくは800cSt以下、より好ましくは600cSt以下である。また、炭化水素系ゴム用軟化剤の引火点(COC法)は、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。
成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤は市販品として入手することができる。該当する市販品としては、例えば、JX日鉱日石エネルギー社製「日石ポリブテン(登録商標)HV」シリーズ、出光興産社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW」シリーズ等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤は1種のみを用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
[その他の成分]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造には、成分(A)~(C)以外に本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてその他の成分を原料として用いることができる。
その他の成分としては、例えば、成分(A)および成分(B)以外の熱可塑性樹脂やエラストマー等の樹脂、酸化防止剤、充填材、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤、架橋剤等の各種添加物等を挙げることができる。これらは任意のものを単独又は併用して用いることができる。
成分(A)および成分(B)以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。
また、成分(A)および成分(B)以外のエラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー(ただし、成分(B)に該当するものを除く);ポリエステル系エラストマー;ポリブタジエン等を挙げることができる。
滑剤(以下、「成分(D)」と称す場合がある。)としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーンマスターバッチ、液体シロキサンワックス等が挙げられる。滑剤を用いる場合、滑剤は、成分(A)~成分(C)の合計100質量部に対して、通常0.05~50質量部、好ましくは0.1~10質量部の範囲で用いられる。前述の通り、本発明では、成分(A)と成分(B)による摺動性の向上効果で滑剤の使用量を抑えることができ、上記の通り、成分(A)~成分(C)の合計100質量部に対して10質量部以下の少量添加で、融着性の低下を抑えて優れた摺動性を得ることができる。
酸化防止剤(以下、「成分(E)」と称す場合がある。)としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤を用いる場合、酸化防止剤は、成分(A)~成分(B)の合計100質量部に対して、通常0.01~3.0質量部、好ましくは0.1~0.6質量部の範囲で用いられる。上記範囲内であると良好な熱安定性が得られる。
充填材としては、例えば、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。充填剤を用いる場合、充填剤は、成分(A)~成分(C)の合計100質量部に対して、通常0.3~100質量部で用いられる。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは、成分(A)、成分(B)、成分(C)及びその他の成分等を所定量含有する組成物を溶融混練して得られるものである。
本発明において「溶融混練」とは溶融状態又は半溶融状態で混練することを意味する。溶融混練の混合混練装置としては、例えば非開放型バンバリーミキサー、ミキシングロール、ニーダー、二軸押出機等が用いられる。これらの中でも二軸押出機を用いることが好ましい。この二軸押出機を用いた製造方法の好ましい態様としては、複数の原料供給口を有する二軸押出機の原料供給口(ホッパー)に各成分を供給して溶融混練を行うものである。
溶融混練を行う際の温度は、通常80~300℃、好ましくは100~250℃である。また、溶融混練を行う時間は通常0.1~30分である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を二軸押出機により溶融混練を行うことにより製造する場合においては、二軸押出機のバレル半径(R(mm))、スクリュー回転数(N(rpm))及び吐出量(W(kg/時))の間に下記式(I)の関係を保ちながら押出することが好ましく、下記式(II)の関係を保ちながら押出することがより好ましい。
2.6<NW/R<22.6 (I)
3.0<NW/R<20.0 (II)
二軸押出機のバレル半径(R(mm))、スクリュー回転数(N(rpm))及び吐出量(W(kg/時))との間の前記関係が上記下限値より大きいことが熱可塑性エラストマー組成物を効率的に製造するために好ましい。一方、前記関係が上記上限値より小さいことが、剪断による発熱を抑え、外観不良の原因となる異物が発生しにくくなるために好ましい。
[熱可塑性エラストマー組成物の物性]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K7210の規格に準拠した方法で測定温度230℃、測定荷重21.2Nで測定したメルトフローレート(MFR)が2.0g/10分以上であることが成形性の観点から好ましく、より好ましくは2.1g/10分以上であり、更に好ましくは2.2g/10分以上である。また、成形性の観点から、メルトフローレート(MFR)は、100g/10分以下であることが好ましく、95g/10分以下であることがより好ましく、90g/10分以下であることが更に好ましく、60g/10分以下であることがとりわけ好ましい。
〔成形体・用途〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常、熱可塑性エラストマー組成物に用いられる成形方法、例えば、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形等の各種成形方法により、成形体とすることができ、これらの中でも射出成形が好適である。また、これらの成形を行った後に積層成形、熱成形等の二次加工を行った成形体とすることもできる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形体は、表皮、ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、シール材等の自動車部品;止水材、目地材、窓枠、シール材等の土木・建材部品;ゴルフクラブのグリップ部、テニスラケットのグリップ部等のスポーツ用品;ホースチューブ、ガスケット等の工業用部品;ホース、パッキン類等の家電部品;医療用容器、ガスケット、パッキン等の医療用部品;容器、パッキン等の食品用部品;医療用機器部品;電線;雑貨等の広汎な分野に適用することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形体は以上に挙げたものの中でも自動車用シール材、建材用シール材として好適であり、自動車用シール材、特に自動車用グラスランチャンネルとして好適である。
〔接合部材〕
本発明の接合部材は、上述の本発明の熱可塑性エラストマー組成物よりなるものであり、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を溶融混練し、混練物を射出成形することにより製造される。
特に本発明の接合部材は、自動車用グラスランチャンネル等の自動車用複合成形体に用いられる接合部材として好適である。
図1は、自動車用複合成形体3としての自動車用グラスランチャンネルの一例を示す斜視図であり、別途熱可塑性エラストマー組成物の押出成形により製造された線状部を構成する押出成形部材1A,1Bを、本発明の接合部材2よりなるコーナー部で融着一体化させたものである。
このような複合成形体3は、例えば、予め製作された押出成形部材1A,1Bの接合端側を射出成形用金型に挿入し、この金型内に本発明の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形してコーナー部の接合部材2を成形すると共に、押出成形部材1A,1Bの端面と融着一体化することにより製造することができる。
押出成形部材1A,1Bを構成する熱可塑性エラストマー組成物としては特に制限はないが、本発明の熱可塑性エラストマー組成物との融着性に優れると共に、自動車用グラスランチャンネルの枠部としての機械的強度や圧縮永久歪(へたり性)にも優れることから、オレフィン系熱可塑性系エラストマー、スチレン熱可塑性系エラストマーが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔原材料〕
以下の実施例及び比較例で使用した原材料は以下の通りである。
[実施例用成分(A)]
<A-1>
歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
日本ポリプロ株式会社製「WAYMAX MFX8」
融点:155℃
MFR(230℃、21.2N):1g/10分
メルトテンション:24cN(230℃)
メチレン炭素(Ca、Cb、Cc)およびメチン炭素(Cbr):観測される
長鎖分岐量:0.1個/1000トータルプロピレン(全骨格形成炭素1000個あたり)
絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’:0.89
<A-2>
歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
日本ポリプロ株式会社製「WAYMAX MFX3」
融点:154℃
MFR(230℃、21.2N):8g/10分
メルトテンション:5cN(230℃)
メチレン炭素(Ca、Cb、Cc)およびメチン炭素(Cbr):観測される
長鎖分岐量:0.2個/1000トータルプロピレン(全骨格形成炭素1000個あたり)
絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’:0.87
[比較例用成分(a)]
<a-1>
プロピレン・エチレンランダム共重合体
日本ポリプロ株式会社製「ノバテック(登録商標)PP EG7F」
MFR(230℃、21.2N):1.3g/10分
融点:149℃
プロピレン単位含有量:98質量%
[成分(B)]
<B-1>
スチレン・ブタジエン・スチレン水添ブロック共重合体(前記式(1)の構造を有する)台湾合成ゴム(TSRC)社製「TAIPOL-6151」
スチレン(ブロックP)含有量:32質量%
数平均分子量:220000
[成分(C)]
<C-1>
パラフィン系ゴム用軟化剤
出光興産株式会社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW90」
40℃の動粘度:95.5cSt
流動点:-15℃
引火点:272℃
[成分(D)]
<D-1>
シリコーンオイル
信越化学社製「KF96-1000CS」
[成分(E)]
<E-1>
フェノール系酸化防止剤
BASFジャパン社製「イルガノックス(登録商標)1010」
[評価方法]
以下の実施例及び比較例における熱可塑性エラストマー組成物の評価方法は以下の通りである。
なお、以下の(1)~(5)の測定には、各熱可塑性エラストマー組成物を用い、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)にて、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃の条件で射出成形して得られたシート(横120mm、縦80mm、肉厚2mm)を使用した。
(1)硬度デュロA
JIS K6253に準拠(JIS-A)して、試験片に針を押し付けてから15秒後の値を測定した。
硬度デュロAは35~95、特に40~98の範囲であることが好ましい。
(2)圧縮永久歪
JIS K6262に準拠して、70℃、22時間、25%圧縮の条件で測定した。
圧縮永久歪(へたり性)の測定値(CS)から下記基準で評価した。
○:CS 53%未満
△:CS 53%以上55%未満
×:CS 55%以上
(3)静摩擦係数と動摩擦係数
射出成形して得られたシート(横120mm、縦80mm、肉厚2mm)を60cm×45cm×大きさに切り出し、そのテストピースの上を、ガラス板(縦110mm×横110mm×厚み3mm)と両面テープで接着させた200gの重りを6cm移動させることで、静摩擦係数と動摩擦係数を測定した。3回測定し、平均値を算出した。
静摩擦係数については、下記基準で評価した。
○:静摩擦係数 3.0未満
△:静摩擦係数 3.0以上4.0未満
×:静摩擦係数 4.0以上
(4)TPV(動的架橋熱可塑性エラストマー)との融着強度および融着伸び
オレフィン系動的架橋熱可塑性エラストマー(三菱ケミカル株式会社製「TREXPRENE(登録商標)3855N」)の厚さ2mmの射出シートを10cm×5cmの大きさに切り出し、110ton射出成形機の金型内に装填し、各熱可塑性エラストマー組成物をシリンダー温度210℃、金型温度40℃設定で前記金型内に射出し、インサート成形法により、複合成形体を得た。該複合成形体をJIS3号ダンベルで打ち抜き、200mm/minの引張速度で引張り、融着強度および融着伸びを測定した。
融着強度については、下記基準で評価した。
○:融着強度 4.0MPa以上
△:融着強度 3.5MPa以上4.0MPa未満
×:融着強度 3.5MPa未満
本評価は、射出シートを用いた融着性の評価であるが、この評価結果から、図1に示したような複合成形体にした際の融着性の良否も評価できる。
(5)引張破壊強さ・引張破壊伸び
JIS K6251の切断時引張応力および切断時伸びの測定法に準拠した手順で測定を行った。
(6)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に準拠して、230℃、測定荷重21.2Nで測定した。
MFRの値から、成形性を下記基準で評価した。
○:MFR 2.0g/10分以上
△:MFR 1.6g/10分以上2.0g/10分未満
×:MFR 1.6g/10分未満
[実施例/比較例]
<実施例1>
(A-1)30質量部、(B-1)36質量部、(C-1)34質量部、(D-1)2質量部、(E-1)0.1質量部をヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドして混合物を得た。この混合物を、同方向二軸押出機(日本製鋼所製「TEX30α」、L/D=46、シリンダーブロック数:13)の供給部へ合計15kg/hの速度で投入し、110~180℃の範囲で昇温させ溶融混練を行い、ペレット化して熱可塑性エラストマー組成物を製造した。
得られた熱可塑性エラストマー組成物について、前述の(1)~(6)の評価を行った。評価結果を表-1に示す。
<実施例2~5及び比較例1~4>
表-1に示したように配合組成を変更した以外は実施例1と同様にして実施し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表-1に示す。
Figure 0007119869000002
<評価結果>
表-1に示す通り、実施例1~5は「摺動性(静摩擦係数)」、「押出材との融着性」の評価において優れ、成形性を示す「流動性(MFR)」ついても良好である。
比較例1は実施例4で使用している(A-1)の半分を(a-1)に置き換えた例であるが、「摺動性(静摩擦係数)」、「押出材との融着性」および「流動性」の評価が劣っている。
比較例2は実施例2で使用している(A-2)の全量を(a-1)に置き換えた例であるが、「摺動性(静摩擦係数)」、「押出材との融着性」および「流動性」の評価が劣っている。
比較例3は実施例4で使用している(A-1)の全量を(a-1)に置き換えた例であるが、「摺動性(静摩擦係数)」、「押出材との融着性」および「流動性」の評価が劣っている。
比較例4は実施例2で使用している(A-2)の全量を(a-1)に置き換え、さらに(a-1)の量を増やし、その増加分(B-1)を減らした例であるが、「摺動性(静摩擦係数)」、「押出材との融着性」および「流動性」の評価が劣っている。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、表皮、ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、シール材等の自動車部品;止水材、目地材、窓枠、シール材等の土木・建材部品;ゴルフクラブのグリップ部、テニスラケットのグリップ部等のスポーツ用品;ホースチューブ、ガスケット等の工業用部品;ホース、パッキン類等の家電部品;医療用容器、ガスケット、パッキン等の医療用部品;容器、パッキン等の食品用部品;医療用機器部品;電線;雑貨等の広汎な分野で用いることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は以上に挙げたものの中でも自動車用シール材、建材用シール材として好適であり、自動車用シール材、特に自動車用グラスランチャンネルとして好適である。
1A,1B 押出成形部材
2 接合部材
3 複合成形体

Claims (4)

  1. 下記(A)、(B)及び(C)を含み、成分(A)~(C)の合計100質量部に対して成分(A)を17~50質量部含む熱可塑性エラストマー組成物よりなる接合部材。
    成分(A):0.1~250g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び融点が157℃以下の、長鎖分岐構造を有する歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
    成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物
    成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
  2. 請求項1に記載の接合部材を備える自動車用複合成形体。
  3. 下記(A)、(B)及び(C)を含み、成分(A)~(C)の合計100質量部に対して成分(A)を17~50質量部含む熱可塑性エラストマー組成物を溶融混練し、混練物を射出成形する接合部材の製造方法。
    成分(A):0.1~250g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0~20cNのメルトテンションを有する、融点が157℃以下の、長鎖分岐構造を有する歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
    成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物
    成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
  4. 下記(A)、(B)及び(C)を含み、成分(A)~(C)の合計100質量部に対して成分(A)を17~50質量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):0.1~250g/10分のメルトフローレート(MFR、230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び1.0~20cNのメルトテンションを有する、融点が157℃以下の、長鎖分岐構造を有する歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
    成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物
    成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
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