JP2018154682A - 非発泡成形用熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、歪み硬化PPを用いた発泡成形用組成物が、特許文献2に提案されている。
本発明はこのような従来技術の問題点を解決することを目的としてなされたものである。
即ち、本発明の課題は、射出成形に好適であり、柔軟性、耐傷つき性に優れ、低光沢度の成形体を得ることができる非発泡成形用熱可塑性エラストマー組成物と、この非発泡成形用熱可塑性エラストマー組成物を射出成形してなる成形体を提供することにある。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
成分(A):スチレン−イソプレンを含む共役ジエン−スチレンブロック共重合体の水添物
成分(B):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(C):歪み硬化ポリプロピレン
・規格番号:JIS Z8741
・測定機:日本電色工業株式会社 VG2000
・評価項目:60度鏡面光沢度
成分(A):スチレン−イソプレンを含む共役ジエン−スチレンブロック共重合体の水添物
成分(B):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(C):歪み硬化ポリプロピレン
本発明で用いる成分(A)はスチレン−イソプレンを含む共役ジエン−スチレンブロック共重合体の水添物である。
(S−D)n …(2)
(式中、Sはスチレン単位からなる重合体ブロックを表し、Dはイソプレンを含む共役ジエン単位からなる重合体ブロックを表し、m及びnは1〜5の整数を表す)
機器:日本ミリポア社製「150C ALC/GPC」
カラム:昭和電工社製「AD80M/S」3本
検出器:FOXBORO社製赤外分光光度計「MIRANIA」測定
波長:3.42μm
溶媒:o−ジクロロベンゼン
温度:140℃
流速:1cm3/分
注入量:200マイクロリットル
濃度:2mg/cm3
酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−フェノール0.2質量%添加
本発明で用いる成分(B)の炭化水素系ゴム用軟化剤は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、流動性の向上に有効である。
本発明で用いる成分(C)の歪み硬化ポリプロピレンは、歪み硬化性を示すポリプロピレンである。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の配合割合は、好ましくは、成分(A)10〜70質量部、成分(B)10〜70質量部及び成分(C)1〜50質量部である(ただし、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計を100質量部とする。)。特に、成分(A)15〜60質量部、成分(B)25〜60質量部及び成分(C)3〜15質量部であることがより好ましい。
また、成分(C)の歪み硬化ポリプロピレンを上記範囲内で含むことにより、他の成分の配合効果を十分に得た上で、成分(C)と成分(A)による相乗効果で低光沢度を十分に得ることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、成分(A)のスチレン−イソプレンを含む共役ジエン−スチレンブロック共重合体の水添物、成分(B)の炭化水素系ゴム用軟化剤、及び成分(C)の歪み硬化ポリプロピレン以外の他の成分(本明細書において、単に「その他の成分」と称することがある。)を含有していてもよい。その他の成分としては、成分(A),(C)以外の樹脂やエラストマー(本明細書においてはこれらをまとめて単に「その他の樹脂」と称することがある。)や各種添加剤が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ポリオレフィン樹脂、特にメルトフローレート(230℃、21.18N)が0.1〜2,000g/10分で、歪み硬化性を示さないポリプロピレンを含むことにより、所望の流動性や機械物性に制御することができる。
これらの中でも特にテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのような分子量が500以上のものの使用が好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、常法に従って、成分(A)、成分(B)及び成分(C)と、必要に応じて添加されるその他の成分とをドライブレンドした後、溶融混練することにより製造することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形することにより、種々の成形体として用いることができる。成形体の具体例としては、射出成形体、押出成形体等が挙げられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、通常の射出成形法、押出成形法等の各種成形方法を用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形に好適であり、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の射出成形体は柔軟性に優れると共に低光沢度であることから、インストルメントパネル、ドアアッパートリム、アームレスト、ハンドル等の自動車内装部材;電子機器、家具等の緩衝材;食品包装材等において広く好適に用いることができる。また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の用途は、上記に制限されず、柔軟性、低光沢性等が要求される用途に好適に用いることができる。
特に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、その優れた低光沢性と柔軟性により、肘カバー用熱可塑性エラストマー組成物として、自動車用座席の肘カバーや、家具、オフィス、劇場用椅子の肘カバーの成形に好適である。
<成分(A)>
A−1:クラレ社製「セプトン(登録商標)4055」
スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水添物(SEEPS)
(前記式(1)で表されるもの)
質量平均分子量:25万
スチレン含有量:30質量%
B−1:出光興産社製「ダイアナ プロセスオイルPW90」
パラフィン系オイル
動粘度(40℃):90センチストークス
C−1:日本ポリプロピレン社製「WAYMAX MFX3」
歪み硬化ポリプロピレン
MFR:8g/10分
C−2:カネカ社製「039N」
歪み硬化ポリプロピレン
MFR:60g/10分
D−1:クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)G1651HU」
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBC)
(前記式(1)で表されるもの)
質量平均分子量:25万
スチレン含有量:33質量%
E−1:ポリプロピレン
日本ポリプロピレン社製「ノバテックPP(登録商標)SA06GA」
歪み硬化性を示さないポリプロピレン
MFR:60g/10分
BASF社製「イルガノックス(登録商標)1010」
ヒンダードフェノール系酸化防止剤
G−1:着色剤
大日精化工業社製「PC40C」
カーボンブラックマスターバッチ
ポリエチレン含有量:60質量%
カーボンブラック含有量:40質量%
<射出成形性:MFR>
実施例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、ISO1133に準拠し、メルトインデクサー(東洋精機製作所製)を用い、230℃、21.18Nの条件でMFRを測定した。MFRが高いほど流動性が高く、射出成形性に優れており、10g/10分以上が好ましく、20g/10分以上が更に好ましい。
実施例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットで、射出成形機を用いて、シリンダー温度200℃、金型温度40℃にて、120mm×80mm×2mmのシートを成形し、ISO7619に準拠してデュロA硬度を測定し、柔軟性を評価した。デュロA硬度はその値が小さいほど柔軟性に優れることを示し、95以下であることが好ましい。
上記デュロA硬度の測定におけると同様にして製造した射出成形体(120mm×80mm×2mm)について、表面の光沢度を以下の条件により評価した。この光沢度は10以下、特に5以下であることが好ましい。
・規格番号:JIS Z8741
・測定機:日本電色工業株式会社 VG2000
・評価項目:60度鏡面光沢度
上記デュロA硬度の測定におけると同様にして製造した射出成形体(120mm×80mm×2mm)について、表面の耐傷つき性を爪でひっかくことによって評価した。傷がほとんど目立たないものを○、傷が目立ちやすいものを×とした。
表−1に示す配合で原料を混合し、得られた混合物を二軸混練機により溶融混練(シリンダー温度180℃〜200℃)し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて上述の評価を行い、結果を表−1に示した。
表−1より明らかなように、比較例1、2、3では成分(C)を含まず、光沢度が高くなっていた。比較例4、5では成分(A)を含まず光沢度が高くなっていた。これに対して、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に該当する実施例1〜5は、柔軟性、耐傷つき性に優れる上に光沢度が非常に低いことがわかる。
Claims (6)
- 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む非発泡成形用熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):スチレン−イソプレンを含む共役ジエン−スチレンブロック共重合体の水添物
成分(B):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(C):歪み硬化ポリプロピレン - 前記成分(A)〜(C)の合計100質量部に対し、成分(A)10〜70質量部、成分(B)10〜70質量部及び成分(C)1〜50質量部を含む、請求項1に記載の非発泡成形用熱可塑性エラストマー組成物。
- 成分(A)と成分(B)との質量比[成分(A)の質量]:[成分(B)の質量]が20:80〜80:20である、請求項1又は2に記載の非発泡成形用熱可塑性エラストマー組成物。
- 肘カバー用熱可塑性エラストマー組成物である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非発泡成形用熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非発泡成形用熱可塑性エラストマー組成物を射出成形してなる成形体。
- 以下の条件で測定された表面の光沢度が5以下である、請求項5に記載の成形体。
・規格番号:JIS Z8741
・測定機:日本電色工業株式会社 VG2000
・評価項目:60度鏡面光沢度
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