JP6953921B2 - バンド用熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

バンド用熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Description

本発明は、射出成形性、柔軟性、耐油性に優れたグリップ用又はバンド用熱可塑性エラストマー組成物、この熱可塑性エラストマー組成物からなるグリップ及びこのグリップを有する成形体、並びにこの熱可塑性エラストマー組成物からなるバンドに関するものである。
日用品、文具品、自動車用部品、スポーツ用品などのグリップには、良好な触感や外観などが求められ、従来、可塑剤を含有した軟質塩化ビニル樹脂が上記要求に応える材料として用いられてきた。しかし、可塑剤を含有した軟質塩化ビニル樹脂では、手から分泌される皮脂などにより可塑剤が抽出されて硬化する問題がある。また、近年の環境問題への関心の高まりから、塩化ビニル樹脂不使用のグリップ用材料が望まれている。
塩化ビニル樹脂不使用のグリップ用材料として、特許文献1には、カルボン酸エステル基もしくはビニルエステル基を有する単量体単位とエチレン単量体単位を含有する共重合体と、アクリル系樹脂からなる樹脂組成物が提案されている。
一方で、特許文献2及び3には、熱可塑性エラストマー組成物に歪み硬化性を示す改質ポリプロピレンを配合することで、射出発泡成形時の諸性能、例えば発泡特性、柔軟性、耐熱性等を改善する技術が記載されているが、特許文献2,3には、非発泡で成形したときのグリップとしての柔軟性、更には耐油性についての示唆はない。
特開2004−182846号公報 特開2011−102028号公報 特開2015−098542号公報
特許文献1に開示されるカルボン酸エステル基もしくはビニルエステル基を有する単量体単位とエチレン単量体単位を含有する共重合体と、アクリル系樹脂を含む樹脂組成物からなるグリップでは、耐油性においては満足いくものであるが、高硬度であるために触感(ソフト感)において十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、柔軟性、耐油性に優れ、グリップ成形又はバンド成形のための射出成形性にも優れたグリップ用又はバンド用熱可塑性エラストマー組成物、このグリップ用熱可塑性エラストマー組成物からなる柔軟性及び耐油性に優れたグリップ及びこのグリップを有する成形体、並びにこのバンド用熱可塑性エラストマー組成物からなるバンドを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、従来では、触感が硬質であり、グリップ用の樹脂には不向きと考えられていたポリプロピレン系樹脂の中でも、歪み硬化ポリプロピレンを用いて、特定の熱可塑性エラストマーと炭化水素系ゴム用軟化剤を配合することにより得られる熱可塑性エラストマー組成物であれば、歪み硬化性を示さないポリプロピレン系樹脂を用いたものに比べて、柔軟性と耐油性をバランスよく向上できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[6]に存する。
[1] グリップ用又はバンド用熱可塑性エラストマー組成物であって、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):スチレン系エラストマー及び/又はその水添物
成分(B):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(C):歪み硬化ポリプロピレン
[2] 前記成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、成分(A)10〜70重量部、成分(B)10〜70重量部及び成分(C)1〜50重量部を含む、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 成分(A)と成分(B)との重量比[成分(A)の重量]:[成分(B)の重量]が20:80〜80:20である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4] [1]乃至[3]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるグリップ。
[5] [1]乃至[3]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるバンド。
[6] [4]に記載のグリップを有する成形体。
本発明のグリップ用又はバンド用熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形に好適であり、本発明のグリップ用又はバンド用熱可塑性エラストマー組成物によれば、柔軟性、耐油性に優れたグリップ又はバンドを良好な成形性のもとに提供することができる。
本発明のグリップ又はバンドを有する成形体は、商品価値の高い成形体として各種用途に有用である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。尚、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
本発明のグリップ用又はバンド用熱可塑性エラストマー組成物(以下「本発明の熱可塑性エラストマー組成物」と称す場合がある。)は、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含むことを特徴とする。
成分(A):スチレン系エラストマー及び/又はその水添物
成分(B):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(C):歪み硬化ポリプロピレン
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形性に優れ、且つ柔軟性、耐油性に優れるという効果を奏する。本発明の熱可塑性エラストマー組成物が上記のような効果を奏する理由は定かではないが、成分(A)及び成分(B)により、柔軟性に優れたものとなり、また、耐油性については、成分(C)の歪み硬化性により、成形時、表層でせん断がかかりながら冷却固化されることによって急激に粘度が上昇することでモルフォロジーが形成されにくくなり、耐油性に劣るゴム/オイル部の粗大化やドメイン化が抑制されることによると推定される。
<成分(A)>
本発明で用いる成分(A)はスチレン系エラストマー及び/又はその水添物である。成分(A)としては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム等が挙げられるが、これらの中でも耐熱性及び柔軟性の点から、本発明に用いる成分(A)のスチレン系エラストマーは、スチレン系のブロック共重合体が好ましく、以下の式(1)及び/又は式(2)で表されるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンブロックとの共重合体及び/又はその水添物(水素添加誘導体)(以下、「水添ブロック共重合体」と称する場合がある。)であるのがより好ましく、以下の式(1)及び/又は式(2)で表されるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンブロックとの共重合体の水添物であるのが更に好ましく、以下の式(1)で表されるスチレン系のブロック共重合体の水添物、即ち、ビニル芳香族炭化水素単位からなる重合体ブロック(S)と、共役ジエン単位からなる重合体ブロック(D)を、S−D−Sの直鎖状トリブロック構造で有するスチレン系のブロック共重合体の水添物が特に好ましい。
S−(D−S)m …(1)
(S−D)n …(2)
(式中、Sはビニル芳香族炭化水素単位からなる重合体ブロックを表し、Dは共役ジエン単位からなる重合体ブロックを表し、m及びnは1〜5の整数を表す)
上述のブロック共重合体は、直鎖状、分岐状及び/又は放射状の何れでもよい。
Sの重合体ブロックを構成する単量体のビニル芳香族炭化水素としては、スチレン又はα−メチルスチレン等のスチレン誘導体が好ましい。
Dの重合体ブロックを構成する共役ジエン単量体としては、ブタジエン及び/又はイソプレンが好ましい。
式(1)及び/又は式(2)で表されるブロック共重合体が水添ブロック共重合体であり、Dの重合体ブロックがブタジエンのみから構成される場合、Dブロックのミクロ構造中の1,2−付加構造が20〜70重量%であるのが水添後のエラストマーとしての性質を保持する上で好ましい。
m及びnは、秩序−無秩序転移温度を下げるという意味では大きい方がよいが、製造しやすさ及びコストの点では小さい方がよい。ブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)としては、ゴム弾性に優れることから、式(2)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)よりも式(1)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)が好ましく、mが3以下である式(1)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)が更に好ましく、mが2以下である式(1)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)が特に好ましい。
式(1)及び/又は式(2)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)中の「Sの重合体ブロック」の割合は、熱可塑性エラストマーの機械的強度の点から多い方が好ましく、また、一方、柔軟性、ブリードアウトのしにくさの点から少ない方が好ましい。式(1)のブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)中の「Sの重合体ブロック」の割合は、具体的には、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることが更に好ましく、20重量%以上であることが特に好ましく、また、一方、50重量%以下であることが好ましく、45重量%以下であることが更に好ましく、40重量%以下であることが特に好ましい。
成分(A)である、式(1)及び/又は式(2)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)等の本発明に用いるスチレン系エラストマー及び/又はその水添物の重量平均分子量は、耐熱性、機械的強度の点では大きい方が好ましいが、成形外観及び流動性、成形性の点では小さい方が好ましい。具体的には、成分(A)のスチレン系エラストマー及び/又はその水添物の重量平均分子量は、1万以上であることが好ましく、3万以上であることが更に好ましく、また、一方、80万以下であることが好ましく、65万以下であることが更に好ましく、50万以下であることが特に好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する場合がある)により、以下の条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(測定条件)
機器:日本ミリポア社製「150C ALC/GPC」
カラム:昭和電工社製「AD80M/S」3本
検出器:FOXBORO社製赤外分光光度計「MIRANIA」測定
波長:3.42μm
溶媒:o−ジクロロベンゼン
温度:140℃
流速:1cm3/分
注入量:200マイクロリットル
濃度:2mg/cm3
酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−フェノール0.2重量%添加
上述のブロック共重合体及び/又はその水添物の製造方法としては、上述の構造と物性が得られればどのような方法でもよく、公知の製造方法を用いることができる。
成分(A)として用いることができる水添ブロック共重合体の市販品としては、クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)G」、クラレ社製「セプトン(登録商標)」、旭化成社製「タフテック(登録商標)」等が挙げられる。
成分(A)としてのスチレン系エラストマー及び/又はその水添物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
尚、成分(A)中に含まれる前記式(1)及び/又は式(2)で表されるブロック共重合体及び/又はその水添ブロック共重合体の量は、20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることが更に好ましく、40重量%以上であることが特に好ましく、その上限は通常100重量%である。
<成分(B)>
本発明で用いる成分(B)の炭化水素系ゴム用軟化剤は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、流動性の向上に有効である。
炭化水素系ゴム用軟化剤としては成分(A)に対する親和性が高いことから、鉱物油系軟化剤や合成樹脂系軟化剤が好ましく、鉱物油系軟化剤が更に好ましい。
鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30〜45%程度以上がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが炭素原子芳香族系オイルと各々呼ばれている。成分(B)として用いる炭化水素系ゴム用軟化剤は、上述の各種軟化剤の何れか1種でも、複数種の混合物でも構わないが、これらのうち、色相が良好であることから、パラフィン系オイルが好ましい。また、合成樹脂系軟化剤としては、ポリブテン及び低分子量ポリブタジエン等が挙げられる。
炭化水素系ゴム用軟化剤の40℃における動粘度は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の流動性の向上という点では低い方が好ましいが、フォギング等の起こり難さの点では高い方が好ましい。具体的には、20センチストークス以上であることが好ましく、50センチストークス以上であることが更に好ましく、また、一方、800センチストークス以下であることが好ましく、600センチストークス以下であることが好ましい。また、炭化水素系ゴム用軟化剤の引火点(COC法)は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることが更に好ましい。更に、炭化水素系ゴム用軟化剤の流動点は20℃以上であることが好ましく、−10℃以下であることが好ましい。また、炭化水素系ゴム用軟化剤のアニリン点は110℃以上、150℃以下が好ましい。
<成分(C)>
本発明で用いる成分(C)の歪み硬化ポリプロピレンは、歪み硬化性を示すポリプロピレンである。
成分(C)のポリプロピレンが歪み硬化性を示すことの効果は、前述の通り、成形時、金型表面、即ち、成形部表層でせん断により粘度が高くなることによってモルフォロジーが形成されにくくなり、耐油性に劣るゴム/オイル部の粗大化やドメイン化を抑制することで、耐油性に優れた成形体が得られると推定される。
ここで、「歪み硬化」とは溶融物の延伸歪みの増加に伴い、粘度が上昇する現象である。
成分(C)として用いる歪み硬化ポリプロピレンは歪み硬化性を有するものであればよく、そのメルトフローレート(MRF:230℃、21.18N)については特に制限はないが、MFR(230℃、21.18N)は0.1〜1000g/10分、特に0.5〜200g/10分であることが好ましい。MFRが上記下限未満であると流動性が不足し、成形機や金型に必要以上に負荷がかかるばかりか、複雑形状の射出成形体や大型の射出成形体において金型の隅々まで樹脂を充填することが困難となりショートショットの不良が発生し易くなる傾向がある。さらには、成形品表面に光沢ムラやフローマークが発生し易くなる傾向がある。MFRが上記上限を超えると、計量工程が安定しない場合がある。
ここで、MFRとは、JIS K7210(1999)記載のA法の規定に準拠し、メルトインデクサーS−01(東洋精機製作所製)を用い、230℃、21.18N荷重下でダイから一定時間に押し出される樹脂量から、10分間に押し出される量に換算した値をいう。なお、前記一定時間とは、MFRが0.5g/10分を超え1.0g/10分以下の場合は120秒間、1.0g/10分を超え3.5g/10分以下の場合は60秒間、3.5g/10分を超え10g/10分以下の場合は30秒間、10g/10分を超え25g/10分以下の場合は10秒間、25g/10分を超え100g/10分以下の場合は5秒間、100g/10分を超える場合は3秒間である。前記一定時間で切り取った切り取り片を3個採取し、その平均値を算出することとし、一回の測定で3個採取できない場合は3個採取できるまで測定を継続する。仮に、ある秒数で測定した際のメルトフローレートが対応する範囲に無かった場合は、そのメルトフローレートに応じた秒数で再度測定するものとする。
成分(C)として用いる歪み硬化ポリプロピレンとしては、例えば、分岐構造あるいは高分子量成分を有するものが挙げられる。このような歪み硬化ポリプロピレンの製法としては、例えば、線状ポリプロピレンに放射線を照射するか、重合時に長鎖分岐構造が形成されるマクロマー共重合法を用いる方法や、線状ポリプロピレンと共役ジエン化合物とラジカル重合開始剤を溶融混合するなどの方法が挙げられる。
本発明においては、特に分岐構造を有する歪み硬化ポリプロピレンが好ましく、日本ポリプロ株式会社製「WAYMAX MFX3」、カネカ社製「SLB039N」などを用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、成分(C)の歪み硬化ポリプロピレンが1種のみ含まれていてもよく、メルトフローレート等の物性、分子構造の異なるものの2種以上が含まれていてもよい。
[配合割合]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の配合割合は、好ましくは、成分(A)10〜70重量部、成分(B)10〜70重量部及び成分(C)1〜50重量部である(ただし、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計を100重量部とする。)。より好ましくは、成分(A)20〜50重量部、成分(B)30〜60重量部、成分(C)18〜40重量部であり、特に好ましくは、成分(A)25〜40重量部、成分(B)40〜50重量部及び成分(C)22〜28重量部である。
また、本発明に係る成分(A)と成分(B)との質量比[成分(A)の質量]:[成分(B)の質量]は、20:80〜80:20であることが好ましく、特に30:70〜45:55の範囲であることが好ましい。
成分(A)のスチレン系エラストマー及び/又はその水添物を上記範囲内で含むことにより、他の成分の配合効果を十分に得た上で、成分(A)による耐熱性、耐油性、成分(B)の炭化水素系ゴム用軟化剤の耐ブリード性の効果を十分に得ることができ、また、成分(B)の炭化水素系ゴム用軟化剤を上記範囲内で含むことにより、他の成分の配合効果を十分に得た上で、成分(B)による柔軟性、流動性の向上効果を得ることができる。
また、成分(C)の歪み硬化ポリプロピレンを上記範囲内で含むことにより、他の成分の配合効果を十分に得た上で、耐油性の向上効果を十分に得ることができる。
[その他の成分]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、成分(A)〜(C)以外の他の成分(本明細書において、単に「その他の成分」と称することがある。)を含有していてもよい。その他の成分としては、成分(A),(C)以外の樹脂やエラストマー(本明細書においてはこれらをまとめて単に「その他の樹脂」と称することがある。)や各種添加剤が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が含有し得るその他の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂(ただし、前記成分(C)に該当するものを除く。)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂(ただし、前記成分(A)に該当するものを除く。)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の樹脂や、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレン・プロピレン・ブテン共重合ゴム等のオレフィン系エラストマー;ポリアミド・ポリオール共重合体等のポリアミド系エラストマー;ポリ塩化ビニル系エラストマー及びポリブタジエン系エラストマー、これらの水添物や、酸無水物等により変性して極性官能基を導入させたもの、更に他の単量体をグラフト、ランダム及び/又はブロック共重合させたもの等が挙げられる。上記で挙げたその他の樹脂は1種のみを含有しても2種以上を含有してもよい。
これらの中でも、ポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のα−オレフィンの単独あるいはこれらを主成分とする共重合体が挙げられる。これらポリオレフィン樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン等の単独重合体に限らず、炭素数2〜4のα−オレフィンを主成分とする限り、他の炭素数5〜20のα−オレフィンあるいは酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン等のビニル化合物との共重合体をも含むものである。更には、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸あるいはその誘導体でグラフト変性されたグラフト共重合体でもよい。更にこれらのポリオレフィン樹脂は混合物であってもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物がポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を含む場合、その含有量は、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100重量部あたり、好ましくは0.1〜40重量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ポリオレフィン樹脂、特にメルトフローレート(230℃、21.18N)が0.1〜2,000g/10分で、歪み硬化性を示さないポリプロピレンを含むことにより、所望の流動性や機械物性に制御することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物がポリオレフィン樹脂等のその他の樹脂を含む場合、本発明の熱可塑性エラストマー組成物中のその他の樹脂の含有量は、その合計で、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100重量部あたり、40重量部以下とすることが好ましく、30重量部以下とすることがより好ましい。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物が含有し得る添加剤としては、酸化防止剤、結晶核剤、滑剤等の成形加工助剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、耐加水分解改良剤、顔料、染料等の着色剤、帯電防止剤、導電剤、難燃剤、補強剤、充填剤、可塑剤、離型剤、発泡剤等が挙げられる。
例えば、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、滑剤としてシリコーンオイルを配合することは有効である。シリコーンオイルは、熱可塑性エラストマー組成物に耐摩耗性を付与し、エラストマー特有のべたつきを防ぐ成分である。このシリコーンオイルの分子構造におけるシロキサン主鎖の結合する置換基の種類については特に限定するものではないが、その中でもジメチルシリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン)、メチルフェニルシリコーンオイル、あるいはアルキル変性シリコーンオイルが好適に用いられる。シリコーンオイルの動粘度(25℃)は1センチストークス以上100000センチストークス以下、好ましくは5センチストークス以上10000センチストークス以下である。シリコーンオイルの動粘度が高いほど耐摩耗性、耐傷つき性向上の効果が高く、低いほどべたつき改良効果が高い。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物がシリコーンオイル等の滑剤を含有する場合、その含有量は、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100重量部あたり、好ましくは0.1〜10重量部である。この含有量が0.1重量部以上であると、耐摩耗性、耐傷つき性や耐べたつき性の改良効果の観点で好ましく、一方、10重量部以下であると、機械的強度性等の観点で好ましい。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、酸化防止剤として、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等を配合することができる。
ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤としては、ジアルキルジチオカルバミン酸の金属塩が好ましく、中でもジアルキルジチオカルバミン酸ニッケルが好ましく、特にジブチルジチオカルバミン酸ニッケルが、耐熱老化性の改良効果が大きいことから好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ジエチルエステル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチル−ジフェニルメタン、α−オクタデシル−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6−(ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、ヘキサメチレングリコール−ビス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2−チオ[ジエチル−ビス−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンホスホン酸ジオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ジ−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル]イソシアヌレート等が挙げられる。
これらの中でも特にテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのような分子量が500以上のものの使用が好ましい。
イオウ系酸化防止剤とは、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオンエステル系等のイオウを含む化合物である。但し、上記のジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤に相当するものは含まない。これらの中でも、特にチオジプロピオンエステル系化合物が好ましい。
リン系酸化防止剤としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸誘導体、フェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリンを含む化合物が挙げられる。
これらの酸化防止剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤の含有量は、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100重量部あたり、好ましくは0.01〜5重量部である。この含有量が0.01重量部以上であると、耐熱劣化性の改良効果の観点で好ましく、一方、5重量部以下であると、ブリード等の問題を起こしにくい点、組成物の機械的強度の観点等から好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中の上記の酸化防止剤等の添加剤の合計の含有量は、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100重量部あたり、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、意匠性を高めるために、また、低光沢性をより効果的に表出させて高級感を付与するために、カーボンブラック等の着色剤を含有することが好ましく、この場合、着色剤は、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100重量部に対して0.1〜5重量部、特に0.3〜3重量部配合することが好ましい。なお、カーボンブラック等の着色剤のような微量配合成分は、ポリオレフィン樹脂等の樹脂のマスターバッチとして配合することが、熱可塑性エラストマー組成物中への均一分散性の面で好ましい。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、常法に従って、成分(A)、成分(B)及び成分(C)と、必要に応じて添加されるその他の成分とをドライブレンドした後、溶融混練することにより製造することができる。
射出成形性、柔軟性、耐油性に優れる本発明のグリップ用熱可塑性エラストマー組成物の用途には特に制限はないが、特に、後掲の各種のグリップの成形材料として有用である。
[成形体]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形することにより、種々の成形体として用いることができる。成形体の具体例としては、射出成形体、押出成形体等が挙げられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、通常の射出成形法、押出成形法等の各種成形方法を用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形する際の成形条件は以下の通りである。成形温度は、通常160〜250℃であり、好ましくは170〜220℃である。また、射出圧力は、通常5〜100MPaであり、好ましくは10〜80MPaである。更に、金型温度は通常10〜80℃であり、好ましくは20〜60℃である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形してなる射出成形体は、ポリプロピレン樹脂のようなオレフィン系硬質樹脂に熱融着して、複合成形体として用いることもできる。
[グリップ]
本発明のグリップ用熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる本発明のグリップは、例えば、はさみ、ドライバー、歯ブラシ、自転車、オートバイ、自動車、スキーストック、ゴルフクラブ、ボールペン、シャープペンシル、カミソリ、包丁などの握り部などに用いられる。該握り部は、通常、本発明のグリップ用熱可塑性エラストマー組成物からなるグリップと基材部用樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂など)からなる基材部との積層成形体となっている。
該積層成形体の製造方法には特に制限はなく、押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形、カレンダー成形など公知の方法を用いて本発明のグリップ用熱可塑性エラストマー組成物をグリップに加工し該グリップをブラシの柄や筆記具の軸体などの基材部に嵌着してもよく、また、本発明の樹脂組成物と基材部用樹脂とを複合成形(例えば2色成形)してもよい。
[バンド]
本発明のバンド用熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる本発明のバンドは、前記の熱可塑性エラストマー組成物を、従来公知の方法、例えば熱プレス、射出成形、押出成形、カレンダー成形することにより得られる。さらに、押出成形やカレンダー成形したシートやフィルムを圧縮成形によって細部を加工する2工程による成形方法を用いてもよい。2色成形やインサート成形等の2種材料による複合射出成形、あるいは多層押出成形によって、本発明の熱可塑性エラストマー組成物とプロピレン系樹脂等の硬質樹脂を一体成形してもよい。
このようにして得られるバンドの形状は、好適には、厚み0.1〜30mm、特に0.5〜5mm、幅1〜500mm、特に5〜100mm、長さ5mm〜2000mm、特に50〜1000mmの帯状であるが、細部の形状や帯の断面形状は任意であり、帯の一部分が二股あるいはそれ以上の複数に枝分かれする形状、複数の帯が端部や途中で重なる形状などが挙げられる。さらに弾性バンドの途中あるいは末端部に留具、例えばホック、面ファスナー、引っ掛け具等が取り付けられていても良い。
上記のような本発明のバンドは、柔軟性、耐油性等の各種性能のバランスに優れるために、例えば、時計のバンド、乗馬様揺動運動機器の手綱バンド、携帯オーディオ機器の保持バンド等の家電製品、腰部固定バンド、首部固定バンド等の健康器具または医療器具、保護マスクバンド、保護ゴーグルバンド等の工業用品、ランニング用ゴーグルバンド、スイミング用ゴーグルバンド、ダイビング用水中眼鏡バンド、スキー用ゴーグルバンド、フィットネス用具等のスポーツ用品、各種履物の固定バンド、各種日用品または各種玩具などに使用される伸縮部材や結束バンド等に好適に使用できる。
以下、実施例を用いて本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。尚、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
以下の実施例、参考例及び比較例において、熱可塑性エラストマー組成物の調製に用いた原料及び得られた熱可塑性エラストマー組成物の評価方法は次の通りである。
なお、以下に示す成分(C)の歪み硬化性ポリプロピレン並びにその他の成分のポリプロピレンのMFRは230℃、21.18N荷重下で、前述の方法で測定されたものである。
また、成分(A)の「スチレン含有量」とは、前記式(1)における「Sの重合体ブロックの含有量」である。
[使用原料]
<成分(A)>
A−1: クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)G1651HU」
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体
(前記式(1)で表されるもの)
重量平均分子量:25万
スチレン含有量:33重量%
A−2:クラレ社製「セプトン(登録商標)4055」
スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水添物
(前記式(1)で表されるもの)
重量平均分子量:25万
スチレン含有量:30重量%
<成分(B)>
B−1:出光興産社製「ダイアナ プロセスオイルPW90」
パラフィン系オイル
動粘度(40℃):90センチストークス
<成分(C)>
C−1:日本ポリプロピレン社製「WAYMAX MFX3」歪み硬化ポリプロピレン
MFR:8g/10分
C−2:日本ポリプロピレン社製「WAYMAX MFX8」歪み硬化ポリプロピレン
MFR:1g/10分
C−3:カネカ社製「SLB039N」歪み硬化ポリプロピレン
MFR:60g/10分
<その他の成分>
(ポリプロピレン)
D−1:ポリプロピレン
日本ポリプロピレン社製「ノバテックPP(登録商標)SA06GA」
歪み硬化性を示さないポリプロピレン
MFR:60g/10分
(添加剤)
E−1:酸化防止剤
BASF社製「イルガノックス(登録商標)1010」
ヒンダードフェノール系酸化防止剤
F−1:着色剤
大日精化工業社製「PC40C」
カーボンマスターバッチ
ポリエチレン含有量:60重量%
カーボン含有量:40重量%
[熱可塑性エラストマー組成物の評価]
<射出成形性:MFR>
実施例、参考例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、ISO1133に準拠し、メルトインデクサー(東洋精機製作所製)を用い、230℃、21.18Nの条件でMFRを測定した。MFRが高いほど流動性が高く、射出成形性に優れており、10g/10分以上が好ましく、20g/10分以上が更に好ましい。
<柔軟性:デュロA硬度>
実施例、参考例及び比較例で製造された射出成形体(120mm×80mm×2mm)について、ISO7619に準拠してデュロA硬度を測定し、柔軟性を評価した。デュロA硬度はその値が小さいほど柔軟性に優れることを示し、95以下であることが好ましい。なお、本発明における熱可塑性エラストマー組成物における柔軟性においては、デュロA硬度は±4の範囲においては同等である。
<耐油性:耐油浸漬試験(重量変化)>
実施例、参考例及び比較例で製造された射出成形体(120mm×80mm×2mm)を50mm×25mmのサイズに打抜いた。打抜いたサンプルを流動パラフィンの入ったガラス管内に、80℃で24時間浸漬し、その前後での重量の測定値から、下記式により重量変化率(%)を算出した。重量変化率(%)は小さい程耐油性に優れる。
重量変化率(%)=(浸漬後重量/浸漬前重量)×100
[実施例1〜3,9〜11、参考例4〜8,12〜15、比較例1、2]
表−1〜表−3に示す配合で原料を混合し、得られた混合物を二軸混練機により溶融混練(シリンダー温度180℃〜200℃)し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いてMFRの測定を行い、結果を表−1〜表−3に示した。
また、得られた熱可塑性エラストマー組成物を、型締力180tで、電動の射出成形機(住友重機械工業株式会社製)で、シリンダー温度200℃、金型温度40℃にて、縦120mm×横80mm×厚さ2mmのシート状の金型中に射出速度30mm/秒で射出充填した。充填完了後30秒間冷却してから射出成形体を取り出した。得られた射出成形体について柔軟性と耐油性の評価を行い、結果を表−1〜表−3に示した。
Figure 0006953921
Figure 0006953921
Figure 0006953921
[評価結果]
表−1〜表−3から次のことが言える。
実施例及び参考例と比較例とで、デュロA硬度が同等である実施例1〜3、参考例4,5及び実施例9〜11、参考例12と比較例1及び比較例3を対比すると、耐油浸漬試験による重量変化率が比較例1,3よりも、実施例1〜3,参考例4,5及び実施例9〜11、参考例12の方が低い。これにより、成分(C)を含むことによって、柔軟性を維持しつつ耐油性を向上できることがわかる。
また、上記の実施例1〜3、参考例4,5及び実施例9〜11、参考例12と比較例1及び比較例3よりも、デュロA硬度が低く、より柔軟な領域でデュロA硬度が同等の参考例6〜8及び参考例13〜15と比較例2,4とを対比しても、耐油浸漬試験による重量変化率が比較例2,4よりも、参考例6〜8及び参考例13〜15の方が低い。これにより、デュロA硬度が低くなっても(柔軟性が高くなっても)、成分(C)を含むことによって、耐油性の低下を抑制できることがわかる。
本発明のグリップ用又はバンド用熱可塑性エラストマー組成物よりなる耐油性、柔軟性に優れたグリップ又はバンドは、日用品、文具品、スポーツ用品、各種車輌などのグリップ又はバンドに好適に用いられる。

Claims (3)

  1. バンド用熱可塑性エラストマー組成物であって、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、成分(A)20〜50重量部、成分(B)30〜60重量部及び成分(C)18〜40重量部を含む(ただし、成分(A)と成分(B)との重量比[成分(A)の重量]:[成分(B)の重量]が30:70〜45:55の範囲外である場合を除く)熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):スチレン系エラストマー及び/又はその水添物
    成分(B):炭化水素系ゴム用軟化剤
    成分(C):歪み硬化ポリプロピレン
  2. 前記成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、成分(A)25〜40重量部、
    成分(B)40〜50重量部及び成分(C)22〜28重量部を含む(ただし、成分(A)と成分(B)との重量比[成分(A)の重量]:[成分(B)の重量]が30:70〜45:55の範囲外である場合を除く)、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるバンド。
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