JP2005179455A - 射出成形用熱可塑性エラストマー組成物、およびこれを用いた表皮体 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶融流動性が良く成形性に優れる射出成形用熱可塑性エラストマー組成物の提供。
【解決手段】(1)ポリプロピレン樹脂100質量部に、(2)ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン重合体ブロックBから構成され、ブロックBの水素添加率が90%以上、かつブロックAのブロックBに占める割合が25質量%以上、水素添加前の重合体ブロックBの1,2結合量が60モル%以上である共重合体10〜150質量部を含み、(3)ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックCと、水素添加されたブタジエン重合体ブロックDから構成され、ブロックDの水素添加率が90%以上、かつブロックCのブロックDに占める割合が5質量%を超え25質量%未満、水素添加前のブロックDの1,2結合量が62モル%以上である水素添加ブロック共重合体5〜100質量部を含む、射出成形用熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(1)ポリプロピレン樹脂100質量部に、(2)ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン重合体ブロックBから構成され、ブロックBの水素添加率が90%以上、かつブロックAのブロックBに占める割合が25質量%以上、水素添加前の重合体ブロックBの1,2結合量が60モル%以上である共重合体10〜150質量部を含み、(3)ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックCと、水素添加されたブタジエン重合体ブロックDから構成され、ブロックDの水素添加率が90%以上、かつブロックCのブロックDに占める割合が5質量%を超え25質量%未満、水素添加前のブロックDの1,2結合量が62モル%以上である水素添加ブロック共重合体5〜100質量部を含む、射出成形用熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は射出成形用熱可塑性エラストマー組成物およびこれを用いた表皮体に係り、詳しくは溶融流動性が良く、成形性に優れた射出成形用熱可塑性エラストマー組成物、および引張物性が良好であり、耐摩耗、摩擦性に優れ、表面の光沢変化も少ない表皮体に関する。
インストルメントパネル、コンソールボックス、ドアートリム等の自動車内装品における表皮の成形法として、真空成形や粉末成形が主に知られている。また射出成形においては、インストルメントパネルの芯材の成形法として知られているが、薄肉表皮や大面積の表皮の成形は困難であり、成形表皮の引張物性の不足や耐摩耗、摩擦性が不充分である難点があった。
この射出成形を用いた薄肉の表皮は、金型の薄い隙間を樹脂が流れるため、溶融流動性に優れることが必要である。また射出成形方法は、成形サイクルタイムが短いことなどから、従来の真空成形や粉末成形方法よりもコストが安くなるというメリットがある。
特許文献1に開示されたポリオレフィン系樹脂及び特定構造の水添ジエン系共重合体からなる熱可塑性エラストマー組成物を例えば射出成形した場合、柔軟性に優れ、80℃程度からポリオレフィン系樹脂の融点未満の温度に加熱しても光沢を発しない成形体になることが記載されている。また、非特許文献1にはポリプロピレン樹脂と水添ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリスチレン(SEBS)との相容性について記載されていている。しかし、これらの熱可塑性エラストマーを用いて射出成形した場合、溶融流動性に劣り成形性が悪く、射出成形した表皮は耐摩耗・摩擦性の不足や引張物性が劣り、また熱老化試験後に光沢が増すという問題があった。
特開2001−49051
日本ゴム協会誌第75巻第12号54〜58頁(2002)
本発明はこのような問題点を改善するものであり、溶融流動性が良く成形性に優れる射出成形用熱可塑性エラストマー組成物、そして耐摩耗、摩擦性に優れ、表面に光沢や粘着がない表皮体を提供することを目的とする。
本願請求項1記載の発明は、射出成形に適する熱可塑性エラストマー組成物であり、
(1)ポリプロピレン樹脂100質量部に、
(2)ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBから構成され、重合体ブロックBの水素添加率が90%以上であり、かつビニル芳香族炭化水素化合物の水素添加ブロック共重合体中に占める割合が25質量%以上であり、そして水素添加前の重合体ブロックBの1,2結合量の平均が60モル%以上である水素添加ブロック共重合体10〜150質量部を含み、
(3)ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックCと、水素添加されたブタジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックDから構成され、重合体ブロックDの水素添加率が90%以上であり、かつビニル芳香族炭化水素化合物の水素添加ブロック共重合体中に占める割合が5質量%を超え25質量%未満であり、そして水素添加前の重合体ブロックDの1,2結合量の平均が62モル%以上である水素添加ブロック共重合体5〜100質量部を含み、かつJIS K7210に準じて温度230°C、荷重2.16kgfの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)値が50g/10分以上であることを特徴とし、薄肉表皮の成形性が良く、表皮性能に優れた射出成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
(1)ポリプロピレン樹脂100質量部に、
(2)ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBから構成され、重合体ブロックBの水素添加率が90%以上であり、かつビニル芳香族炭化水素化合物の水素添加ブロック共重合体中に占める割合が25質量%以上であり、そして水素添加前の重合体ブロックBの1,2結合量の平均が60モル%以上である水素添加ブロック共重合体10〜150質量部を含み、
(3)ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックCと、水素添加されたブタジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックDから構成され、重合体ブロックDの水素添加率が90%以上であり、かつビニル芳香族炭化水素化合物の水素添加ブロック共重合体中に占める割合が5質量%を超え25質量%未満であり、そして水素添加前の重合体ブロックDの1,2結合量の平均が62モル%以上である水素添加ブロック共重合体5〜100質量部を含み、かつJIS K7210に準じて温度230°C、荷重2.16kgfの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)値が50g/10分以上であることを特徴とし、薄肉表皮の成形性が良く、表皮性能に優れた射出成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
本願請求項2記載の発明は、請求項1記載の組成物100質量部に、軟化剤としてパラフィン系オイルを1〜50質量部含有させて溶融流動性を向上させた射出成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
本願請求項3記載の発明は、ジメチルシロキサンを主成分とするシリコンオイル0.3〜5.0質量部を表面滑性付与剤として含有する射出成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
本願請求項4記載の発明は、有機過酸化物をポリプロピレン樹脂100質量部に対して0.02〜5.0質量部配合した射出成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
本願請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の射出成形用熱可塑性エラストマー組成物を用いて射出成形により得られた表皮体にある。
本願発明の射出成形用熱可塑性エラストマー組成物は、溶融流動性に富むので薄肉製品の成形が可能であり、かつ射出成形品は耐摩擦、摩耗性に対して優れ、光沢や粘着がない表皮体が得られる。
本発明で使用するポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー、α−オレフィンとのブロックあるいはランダム共重合体のいずれでもよいが、特にα−オレフィンとしてエチレンを用いたブロックあるいはランダム共重合体が成形体の柔軟性の面からいって好ましい。薄肉の射出成形品には、ポリプロピレン樹脂の溶融流動性の指数としてJIS K7210により230°C、荷重2.16kgfの条件下で測定したMFRが20g/10分以上であることが必要であり、好ましくは40〜800g/10分である。
また、MFRが10g/10分未満の溶融流動性に欠けるポリプロピレン樹脂を使用する場合には、該ポリプロピレン樹脂100質量部に対して有機過酸化物を0.02〜5.0質量部配合し、120〜250°Cの温度で混練してMFRを100〜800g/10分になるようにポリプロピレン樹脂の低分子量化を図ることができる。
更に、ポリプロピレン樹脂に有機過酸化物を添加して溶融混練した後に、本発明で使用する水素添加ブロック共重合体を溶融混練することができる。水素添加ブロック共重合体と有機過酸化物を同時に溶融混練した場合、水素添加ブロック共重合体が低分子量化して成形品の表面へ移行し、熱老化後に表面に粘着性や光沢が発生する。
上記有機過酸化物としては、通常、ゴム、樹脂の架橋に使用されているジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2.5−ジメチル−2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3,1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等があり、熱分解による1分間の半減期が150〜250°Cのものが好ましい。
有機過酸化物は120〜250°Cの加熱下で混練する過程で、ポリプロピレン樹脂の主鎖を切断して分子量を低下させ、熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動性をもたせる。有機過酸化物の添加量は熱可塑性エラストマー組成物中、0.02〜5.0質量%であり、0.02質量%未満の場合にはポリプロピレン樹脂の主鎖を切断する分解能力が少なく、熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動性を付与できなくなる。一方、5.0質量%を越えると、分解が過剰になり、成形品の引張強度等の機械的特性が低下する。
本発明で使用する水素添加ブロック共重合体は、ポリプロピレン樹脂との相溶性に優れており、ポリプロピレン樹脂に混練すると柔軟になり、折曲げや白化しにくい射出成形用熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
上記(2)の水素添加ブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと水素添加されたブタジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBから構成され、重合体ブロックBの水素添加率が90%以上であり、かつビニル芳香族炭化水素化合物の水素添加ブロック共重合体に占める割合が25質量%以上であり、そして水素添加前の重合体ブロックBの1,2結合量の平均が60モル%以上である。
また、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン、パラメトキシスチレン、ビニルナフタレン等のうちから1種、または2種以上から選ばれ、中でもスチレンが好ましい。上記ビニル芳香族炭化水素化合物の水素添加ブロック共重合体中に占める割合は25質量%以上で40質量%未満であることが好ましく、25質量%未満では耐摩耗・摩擦性が劣る傾向にあり、40質量%以上になると成形した表皮体に柔軟性が無くなる。
そして、水素添加前のブタジエン単量体単位を主体とするブロックの1,2結合量の平均は60モル%以上が必要であり、60モル%未満の場合には、ポリプロピレン樹脂との相溶性が悪くなり、シートを折り曲げたときに白化しやすくなる。このような水素添加ブロック共重合体の代表的なものとして、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)であるJSR社製の「DR8903P」がある。
また、同じく配合する上記(3)の水素添加ブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックCと水素添加されたブタジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックDから構成され、重合体ブロックDの水素添加率が90%以上であり、末端にある重合体ブロックの少なくとも1個が重合体ブロックDであり、好ましい構造としてはC−D、C−D―C―D、D−C−D−C−D、(D−C−D)n−X(ここでnは2以上の整数、Xはカップリング剤残基を示す)。
また、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン、パラメトキシスチレン、ビニルナフタレン等のうちから1種、または2種以上から選ばれ、中でもスチレンが好ましい。上記ビニル芳香族炭化水素化合物の水素添加ブロック共重合体中に占める割合は5質量%を超え25質量%未満であり、好ましくは20質量%未満であることが好ましく、20質量%以上になるとプロピレンを主体とするポリマーとの相溶性に劣る傾向がある。例えば、代表的なものにスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)である旭化成社製の商品である「タフテックH1221」がある。
本発明で使用する上記2種類の水素添加ブロック共重合体は、水素添加前のブタジエン単量体単位を主体とするブロックの1,2結合量の平均が60モル%以上であることが特長であり、他方後述する旭化成社製の「タフテックH1062、H1052」のようなスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)では、水素添加前のブタジエン単量体ブロックの重合における結合として1,4結合が主体となっており、ここに相違点がある。
ポリプロピレン樹脂と水素添加スチレンブタジエンゴム(SEBS)との混合量は、水素添加ブロック共重合体がポリプロピレン樹脂100質量部に対して20〜500質量部であり、ポリプロピレン樹脂が多くなると、成形された表皮が硬くなり、一方少なくなると引張強度が低下する。
また本発明において表面滑性付与効果と離型効果をもたせる目的で使用するシリコンオイルは、粘度が比較的大きいものが好ましく、粘度が低い低分子量のシリコンオイルでは、成形表皮表面へ移行して光沢や粘着を発生しやすくなる。シリコンオイルは、直鎖状ジメチルポリシロキサン、例えばジメチルシリコンオイル、メチルフェニルシリコンオイル、アルキル変性シリコンオイル、フッ素変性シリコンオイルが挙げられ、代表的なものにジメチルシロキサンを主成分とする東レ・ダウコーング・シリコーン社製の「SH200CV」が挙げられる。また、ジメチルシロキサンを直鎖でエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを側鎖としたものでもよく、代表的なものに、日本ユニカー社製の「FZ−2161」、「L−7001」が挙げられる。また、シリコーンオイルは単独で配合することも可能であるが、好ましくは高粘度シリコーンオイルをあらかじめ樹脂に混練したマスターバッチペレットが取り扱い易い。代表的なものに東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のシリコンオイルマスターバッチ「BY27−001」がある。
シリコンオイルの添加量は、ポリプロピレン樹脂と水素添加ブロック共重合体を含む配合物100質量部に対して0.3〜5.0質量部であり、0.3質量部未満の場合には、表皮体の耐摩耗、摩擦性が劣り、一方5.0質量部を越えると、表皮体の機械的特性が低下する傾向にある。
本発明では、プロセスオイルを添加することにより組成物中のエラストマー成分に吸収されて溶融粘度を下げるとともに、表皮体の硬度を下げ、柔軟性をもたせる効果がある。上記プロセスオイルはゴム用に使用されるものであり、パラフィン系、ナフテン系、アロマ系に分類されるが、エラストマー成分との相溶性によりパラフィン系が好ましい。添加量は水素添加ブロック共重合体100質量部に対して5〜200質量部が好ましい。200質量部を越えると、引張物性が低下し、5質量部未満になると、溶融粘度が下がらず表皮が硬くなる。
熱安定剤としては、通常のポリオレフィンに用いられるものが使用できる。一般的には、フェノールとリン系の酸化防止剤を併用して使用するが、特に限定されるものではない。
また、光安定剤としては、ラジカル捕捉剤であるヒンダードアミン、ベンゾトリアゾール系のものが使用されることもある。
顔料は通常のオレフィン系に適した有機、無機のものが使用される。更に、脂肪酸金属塩等の滑剤や炭酸カルシウム、タルク等の充填剤等が必要に応じて添加される。
次に、本発明を具体的な実施例により更に詳細に説明する。
実施例1〜3、比較例1〜4
実施例1〜3、比較例1〜4では、表1、2に示すポリプロピレン樹脂、水素添加ブロック共重合体、各種エラストマー、シリコンオイル、安定剤をタンブラーでドライブレンドしたものを、二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX44α2‐52.5AW‐5V)の原料供給ホッパーより供給し、190〜230°C、300rpmで混練して押出しペレット化した。
実施例1〜3、比較例1〜4
実施例1〜3、比較例1〜4では、表1、2に示すポリプロピレン樹脂、水素添加ブロック共重合体、各種エラストマー、シリコンオイル、安定剤をタンブラーでドライブレンドしたものを、二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX44α2‐52.5AW‐5V)の原料供給ホッパーより供給し、190〜230°C、300rpmで混練して押出しペレット化した。
次に、上記ペレットを用いて射出成形を行った。横方向の一方に2点にゲートを有する縦200mm、横100mm、厚さ1.0mmの金型を用い、射出成形機(住友重機社製 SH−75)で、設定温度としてノズル側180℃、シリンダー側220℃で成形し、成形品を得た。
上記ペレットの溶融粘度、また射出成形した表皮の引張物性、耐摩擦、摩耗性の評価、及び光沢度評価を下記の方法で行った。得られた結果を表1,2に示す。
引張物性は、射出成形で得られた表皮をJIS3号ダンベルで打ち抜き、引張速度200mm/分で引張強さと伸びを測定した。
耐摩耗性の評価は学振型摩耗試験機を用いた。摩耗端子は幅20mm、先端R45度で、先端に白綿布(かなきん3号)を1枚重ねで装着したものを用いた。試験条件は幅30mm*長さ150mmの表皮シート上に摩耗端子を設置し、荷重3.0kg、摩耗端子移動速度20回往復/分、10回往復摩擦した。
耐摩擦性の評価は学振2型摩擦試験機を用いた。摩擦端子は幅20mm、先端R45度で、先端に白綿布(かなきん3号)を1枚装着したものを用いた。試験条件は幅30mm*長さ150mmの表皮シート上に摩擦端子を設置し、荷重100g、摩擦端子移動速度20往復/分、測定温度23℃で100往復摩擦した。
評価基準は試験後の表皮シートを目視で確認し、以下の様に判定した。
5:摩擦・摩耗痕がほとんど目立たない。
4:わずかに摩擦・摩耗痕が認められるが、ほとんど目立たない。
3:わずかであるが摩擦・摩耗痕が認められる。
2:摩擦・摩耗痕が明らかに認められる。
1:摩擦・摩耗痕が著しい。
5:摩擦・摩耗痕がほとんど目立たない。
4:わずかに摩擦・摩耗痕が認められるが、ほとんど目立たない。
3:わずかであるが摩擦・摩耗痕が認められる。
2:摩擦・摩耗痕が明らかに認められる。
1:摩擦・摩耗痕が著しい。
光沢度は光沢度計を用いて、成形後の表皮表面の光沢度を5回測定し、平均値で判定した。尚、自動車用内装用表皮としては光沢度2.0以下が望ましい。また光沢度2.5以上では、目視でも表皮の光沢が顕著にみられる。
熱老化試験は120℃オーブン中に、射出成形した表皮を所定時間静置した。また熱老化試験後の成形表皮を引張試験と光沢度評価に用いた。
表1に示すようにエラストマーとして、請求項1記載の水素添加ブロック共重合体であるSEBS(2)と水素添加ブロック共重合体であるSEBS(3)を配合した実施例1〜3では耐摩耗・摩擦性が良好であり、引張物性も良好なものが得られている。他方、表2に示すようにエラストマーとしてSEBS(2)のみを配合した比較例1、2では耐摩耗・摩擦性は良好であるが、引張強度・伸びはやや低い値となっており、更に熱老化試験後にブリードが発生し、光沢度評価が悪いことがわかる。このことから実施例1〜3はポリプロピレン樹脂と相溶性が良いとされるSEBS(3)の効果が現れている。
またエラストマーとしてエチレン・オクテン・ブロック共重合体(EOR)を配合した比較例3において引張物性は良好であるが、耐摩耗・摩擦性が悪く、熱老化試験後の光沢度評価も悪いことがわかる。またSEBS(2)とEORを配合した比較例4においても引張物性は良好であるが、耐摩耗・摩擦性がやや劣っており、PP樹脂と相溶性の劣るEORは耐摩擦・摩耗性の向上効果がみられない。
本発明の射出成形用熱可塑性エラストマー組成物は、インストルメントパネル、コンソールボックス、ドアートリム等の自動車内装品に使用する表皮材料の原料として適切であり、また上記自動車内装品の表皮体になる。
Claims (5)
- 射出成形に適する熱可塑性エラストマー組成物であり、
(1)ポリプロピレン樹脂100質量部に、
(2)ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、水素添加されたブタジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBから構成され、重合体ブロックBの水素添加率が90%以上であり、かつビニル芳香族炭化水素化合物の水素添加ブロック共重合体中に占める割合が25質量%以上であり、そして水素添加前の重合体ブロックBの1,2結合量の平均が60モル%以上である水素添加ブロック共重合体10〜150質量部を含み、
(3)ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックCと、水素添加されたブタジエン単量体単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックDから構成され、重合体ブロックDの水素添加率が90%以上であり、かつビニル芳香族炭化水素化合物の水素添加ブロック共重合体中に占める割合が5質量%を超え25質量%未満であり、そして水素添加前の重合体ブロックDの1,2結合量の平均が62モル%以上である水素添加ブロック共重合体5〜100質量部を含み、かつJIS K7210に準じて温度230°C、荷重2.16kgfの条件下で測定したメルトフローレート(MFR)値が20g/10分以上であることを特徴とする射出成形用熱可塑性エラストマー組成物。 - 請求項1記載の組成物100質量部に、軟化剤としてパラフィン系オイルを1〜50質量部含有する請求項1記載の射出成形用熱可塑性エラストマー組成物。
- ジメチルシロキサンを主成分とするシリコンオイル0.3〜5.0質量部を表面滑性付与剤として含有する請求項1または2記載の射出成形用熱可塑性エラストマー組成物。
- 有機過酸化物をポリプロピレン樹脂100質量部に対して0.02〜5.0質量部含有する請求項1〜3の何れかに記載の射出成形用熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜4の何れかに記載の射出成形用熱可塑性エラストマー組成物を用いて射出成形により得られた表皮体。
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