JP2003094516A - 延伸成形体の製造方法 - Google Patents

延伸成形体の製造方法

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JP2003094516A JP2001294090A JP2001294090A JP2003094516A JP 2003094516 A JP2003094516 A JP 2003094516A JP 2001294090 A JP2001294090 A JP 2001294090A JP 2001294090 A JP2001294090 A JP 2001294090A JP 2003094516 A JP2003094516 A JP 2003094516A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーおよび
ポリオレフィン系樹脂を含有する重合体組成物から、強
度、伸縮性、形態安定性、賦形性などの特性に優れる延
伸成形体を得ること。 【解決手段】 芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーお
よびポリオレフィン系樹脂を含有する重合体組成物から
なる成形体を、100〜180℃に加熱して延伸する方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、延伸成形体および
その製造方法に関する。より詳細には、本発明は、芳香
族ビニル系熱可塑性エラストマーおよびポリオレフィン
系樹脂を含有する重合体組成物よりなる成形体を特定温
度下で延伸して、強度、伸縮性、形態安定性、賦形性な
どの特性に優れる延伸成形体を製造する方法、およびそ
れにより得られる延伸成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレンなどの芳香族ビニル化合物から
なる重合体ブロックと共役ジエン化合物からなる重合体
ブロックを有するブロック共重合体またはその水素添加
物からなる芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー(典型
的にはいわゆるポリスチレン系熱可塑性エラストマー)
は、代表的な熱可塑性エラストマーの一つである。ポリ
スチレン系熱可塑性エラストマーは、常温でゴム弾性を
有し且つ加熱により可塑化・溶融して成形加工を容易に
行うことができ、しかも柔軟性と力学的特性のバランス
に優れていることから、近年種々の分野で広く用いられ
ている。
【0003】従来、加硫ゴムや軟質塩化ビニル樹脂が汎
用されてきた分野において、加硫ゴムは熱可塑性に劣っ
ており、また軟質塩化ビニル樹脂は焼却した際に有害な
ダイオキシンを発生するなどの問題があった。そこで、
熱可塑性で取り扱い性に優れており、しかも焼却しても
ダイオキシンなどの発生の心配がないポリスチレン系熱
可塑性エラストマーをポリオレフィン系樹脂の柔軟化改
質剤として配合した重合体組成物が、加硫ゴムや軟質塩
化ビニル樹脂の代替として用いられるようになってい
る。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂およびポリス
チレン系熱可塑性エラストマーを含む重合体組成物を用
いて製造したフィルムなどの薄肉成形体は、例えば包装
材などとして使用した場合に、十分な強度を有していな
いため破断が発生し易く、また引き伸ばした際に材料変
形(永久歪み)を生じ易いことから、包装材として十分
な機能を有していない。また、ポリオレフィン系樹脂と
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーを含む重合体組成
物よりなる厚肉成形体においても、常温で引っ張るなど
の変形を加えた場合に、最初と2回目以降とで、成形体
の形や風合が異なったものとなり、弾性回復性や形態安
定性に劣るという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
オレフィン系樹脂とポリスチレン系熱可塑性エラストマ
ーに代表される芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーを
含む重合体組成物からなり、強度が高く、弾性回復性お
よび形態安定性に優れていて、引き伸ばしたり、圧縮す
るなどの外部応力を加えても、応力を除いたときに元の
形状に良好に復元して永久変形の生じにくい延伸成形体
を製造する方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、芳香
族ビニル系熱可塑性エラストマーとポリオレフィン系樹
脂を含む重合体組成物から常法によって成形体を製造し
た後、その成形体を特定の温度で加熱・延伸すると、高
い強度を有し、しかも高い弾性回復性を有していて、外
部から引っ張ったり、圧縮するなどの応力を加えても、
外部応力を除いたときに、元の形状に容易に復元する形
態安定性に優れる成形体が得られることを見出した。そ
して、本発明者らは、その際に、芳香族ビニル系熱可塑
性エラストマーとポリオレフィン系樹脂は特定の比率で
用いることが好ましいこと、成形体を3倍以上の延伸倍
率で延伸処理すると形態安定性(形態復元性)を良好に
維持しながら強度のより高い成形体が得られること、芳
香族ビニル系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン
から主としてなる重合体ブロックとイソプレンおよび/
またはブタジエンから主としてなる重合体ブロックから
なるブロック共重合体および/またはその水素添加物が
好ましく用いられること、ポリオレフィン系樹脂として
はポリプロピレンを用いるかまたはポリプロピレンとポ
リエチレンの併用が好ましいことを見出し、それらの知
見に基づいて本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、 (1) 芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー(I)お
よびポリオレフィン系樹脂(II)を含有する重合体組成
物からなる成形体を、100〜180℃に加熱して延伸
することを特徴とする延伸成形体の製造方法である。
【0007】そして、本発明は、 (2) 成形体を構成する重合体組成物における芳香族
ビニル系熱可塑性エラストマー(I)とポリオレフィン
系樹脂(II)の含有割合が、質量比で、(I):(II)=4
0:60〜90:10である前記(1)の製造方法; (3) 成形体を構成する重合体組成物が、プロセスオ
イルをさらに含有する前記(1)または(2)の製造方
法; (4) 成形体を一軸、二軸または多軸方向に延伸する
前記(1)〜(3)のいずれかの製造方法; (5) 延伸倍率が3倍以上である前記(1)〜(4)
のいずれかの製造方法; (6) 芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー(I)
が、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロッ
クと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック
を有するブロック共重合体およびその水素添加物から選
ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(5)のいず
れかの製造方法; (7) 芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー(I)
が、スチレンから主としてなる重合体ブロック、並びに
イソプレンおよび/またはブタジエンからなる重合体ブ
ロックを有するブロック共重合体およびその水素添加物
から選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(6)
のいずれかの製造方法;および、 (8) ポリオレフィン系樹脂(II)が、ポリプロピレ
ン系樹脂であるか、またはポリプロピレン系樹脂とポリ
エチレン系樹脂の併用である前記(1)〜(7)のいず
れかの製造方法;である。
【0008】さらに、本発明は、 (9) 前記(1)〜(8)のいずれかの製造方法によ
り得られる延伸成形体である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明では、重合体組成物を構成する芳香族ビニ
ル系熱可塑性エラストマー(I)として、芳香族ビニル
化合物から主としてなる重合体ブロック[以下「芳香族
ビニル重合体ブロック(A)」という]および共役ジエ
ン化合物から主としてなる重合体ブロック[以下「共役
ジエン重合体ブロック(B)」という]を有するブロッ
ク共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくと
も1種が好ましく用いられる。
【0010】芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
(I)における芳香族ビニル重合体ブロック(A)を構
成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−、
m−、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレ
ン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノ
クロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレ
ン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデ
ン、アセトナフチレンなどのビニル芳香族化合物を挙げ
ることができる。芳香族ビニル重合体ブロック(A)
は、前記した芳香族ビニル化合物の1種からなる構造単
位のみを有していても、または2種以上からなる構造単
位を有していてもよい。そのうちでも、芳香族ビニル重
合体ブロック(A)はスチレンに由来する構造単位から
主としてなっていることが、単量体の入手のし易さ、重
合反応の容易さ、コストなどの点から好ましい。
【0011】芳香族ビニル重合体ブロック(A)は、芳
香族ビニル化合物からなる構造単位と共に必要に応じて
他の共重合性単量体からなる構造単位を少量有していて
もよい。その場合の他の共重合性単量体からなる構造単
位の割合は、芳香族ビニル重合体ブロック(A)の質量
に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10
質量%以下であることがより好ましい。他の共重合性単
量体としては、例えば1−ブテン、ペンテン、ヘキセ
ン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルな
どのイオン重合性単量体を挙げることができる。
【0012】芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
(I)における共役ジエン重合体ブロック(B)を構成
する共役ジエン化合物としては、イソプレン、ブタジエ
ン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジ
エン、1,3−ペンタジエンなどを挙げることができ
る。共役ジエン重合体ブロック(B)は、これらの共役
ジエン化合物の1種から構成されていてもまたは2種以
上から構成されていてもよい。共役ジエン重合体ブロッ
ク(B)が2種以上の共役ジエン化合物に由来する構造
単位を有している場合は、それらの結合形態はランダ
ム、テーパー、一部ブロック状、またはそれらの2種以
上の組み合わせからなっていることができる。
【0013】そのうちでも、共役ジエン重合体ブロック
(B)は、ポリオレフィン系樹脂(II)との相容性の点
から、イソプレン単位を主体とするモノマー単位からな
るポリイソプレンブロックまたはその不飽和結合の一部
または全部が水素添加された水添ポリイソプレンブロッ
ク;ブタジエン単位を主体とするモノマー単位からなる
ポリブタジエンブロックまたはその不飽和結合の一部ま
たは全部が水素添加された水添ポリブタジエンブロッ
ク;或いはイソプレン単位とブタジエン単位を主体とす
るモノマー単位からなるイソプレン/ブタジエン共重合
体ブロックまたはその不飽和結合の一部または全部が水
素添加された水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロ
ックであることが好ましい。特に、共役ジエン重合体ブ
ロック(B)は、ポリイソプレンブロック、イソプレン
/ブタジエン共重合体ブロック、またはそれらの一部ま
たは全部が水素添加されたブロックであることがより好
ましい。
【0014】共役ジエン重合体ブロック(B)がポリイ
ソプレンブロックである場合は、その水素添加前には、
イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン
−1,4−ジイル基[−CH2−C(CH3)=CH−C
2−;1,4−結合のイソプレン単位]、イソプロペ
ニルエチレン基[−CH(C(CH3)=CH2)−CH
2−;3,4−結合のイソプレン単位]および1−メチ
ル−1−ビニルエチレン基[−C(CH3)(CH=C
2)−CH2−;1,2−結合のイソプレン単位]から
なる群から選ばれる少なくとも1種の基からなってお
り、各単位の割合は特に限定されないが、3,4−結合
および1,2−結合のイソプレン単位の合計(以下「ビ
ニルイソプレン単位の合計」ということがある)が10
〜75%であることが好ましく、15〜70モル%であ
ることがより好ましい。ビニルイソプレン単位の合計が
10〜75モル%の範囲内であるとそのゴム物性や透明
性が良好になる。
【0015】共役ジエン重合体ブロック(B)がポリブ
タジエンブロックである場合は、その水素添加前には、
ブタジエン単位の55〜20モル%、特に50〜20モ
ル%が2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH2−CH
=CH−CH2−;1,4−結合のブタジエン単位)で
あり、45〜80モル%、特に50〜80モル%がビニ
ルエチレン基[−CH(CH=CH)−CH2−;1,
2−結合のブタジエン単位]であることが好ましい。ポ
リブタジエンブロックにおける1,2−結合量が上記し
た45〜80モル%の範囲内であると、そのゴム物性や
透明性が良好になる。
【0016】共役ジエン重合体ブロック(B)がイソプ
レン/ブタジエン共重合体ブロックである場合は、その
水素添加前には、イソプレンに由来する単位は2−メチ
ル−2−ブテン−1,4−ジイル基(1,4−結合のイ
ソプレン単位)、イソプロペニルエチレン基(3,4−
結合のイソプレン単位)および1−メチル−1−ビニル
エチレン基(1,2−結合のイソプレン単位)からなる
群から選ばれる少なくとも1種の基からなっており、ま
たブタジエンに由来する単位は2−ブテン−1,4−ジ
イル基(1,4−結合のブタジエン単位)および/また
はビニルエチレン基(1,2−結合のブタジエン単位)
からなっており、各単位の割合は特に制限されないが、
3,4−結合および1,2−結合のイソプレン単位並び
に1,2−結合のブタジエン単位の合計が20〜85モ
ル%であることが好ましく、25〜75モル%であるこ
とがより好ましい。当該単位の割合が20〜85モル%
の範囲内であると、そのゴム物性や透明性が良好にな
る。イソプレン/ブタジエン共重合体ブロックでは、イ
ソプレン単位とブタジエン単位の配置は、ランダム状、
ブロック状、テーパーブロック状のいずれの形態になっ
ていてもよい。そして、イソプレン/ブタジエン共重合
体ブロックでは、柔軟性、透明性などの点から、イソプ
レン単位:ブタジエン単位の質量比が5:95〜95:
5であることが好ましい。
【0017】芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
(I)では、耐熱性および耐候性が良好なものとなる点
から、その共役ジエン重合体ブロック(B)における不
飽和二重結合の一部または全部が水素添加されているこ
とが好ましい。その際の共役ジエン重合体ブロック
(B)の水素添加率は70モル%以上であることが好ま
しく、80モル%以上であることがより好ましく、85
モル%以上であることがさらに好ましい。
【0018】芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
(I)における芳香族ビニル重合体ブロック(A)と共
役ジエン重合体ブロック(B)との結合形態は特に制限
されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの2つ
以上が組合わさった結合形態のいずれであってもよく、
そのうちでも直鎖状の結合形態であることが好ましい。
【0019】芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
(I)が、芳香族ビニル重合体ブロック(A)および共
役ジエン重合体ブロック(B)が直線状に結合したブロ
ック共重合体である場合は、芳香族ビニル重合体ブロッ
ク(A)をAで、また共役ジエン重合体ブロック(B)
をBで表したときに、A−Bで表されるジブロック構
造、A−B−AまたはB−A−Bで表されるトリブロッ
ク構造、A−B−A−BまたはB−A−B−Aで表され
るテトラブロック構造、またはAとBとが5個以上直鎖
状に結合しているポリブロック構造を採ることができ
る。それらのうちでも、芳香族ビニル系熱可塑性エラス
トマー(I)は、A−B−Aで表されるトリブロック共
重合体であるか、A−Bで表されるジブロック共重合体
であるか、またはA−B−Aで表されるトリブロック共
重合体とA−Bで表されるジブロック共重合体の混合物
であることが、弾力性、力学的特性、取り扱い性、製造
の容易性などの点から好ましい。
【0020】芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
(I)がトリブロック以上のポリブロック共重合体であ
る場合は、2個以上の芳香族ビニル重合体ブロックAは
互いに同じ内容のブロックであってもまたは異なる内容
のブロックであってもよく、また2個以上の共役ジエン
重合体ブロックBは互いに同じ内容のブロックであって
もまたは異なる内容のブロックであってもよい。例え
ば、A−B−Aで表されるトリブロック共重合体におけ
る2個の芳香族ビニル重合体ブロック(A)、或いはB
−A−Bで表されるトリブロック共重合体における2個
の共役ジエン重合体ブロック(B)は、それらを構成す
る芳香族ビニル化合物または共役ジエン化合物の種類、
その結合形式、ブロックの数平均分子量などが同じであ
っても、または異なっていてもよい。
【0021】芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
(I)は、[芳香族ビニル重合体ブロック(A)]:
[共役ジエン重合体ブロック(B)]の質量比が、1
0:90〜40:60であることが、機械的強度や成形
加工性が良好となる点から好ましく、15:85〜3
0:70であることがより好ましい。
【0022】芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
(I)は、水素添加前の状態で、数平均分子量(Mn)
が17,500〜500,000であることが好まし
く、40,000〜400,000であることがより好
ましい。芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー(I)の
数平均分子量(Mn)が17,500よりも小さいと機
械的強度が低下し易く、一方500,000よりも大き
いと溶融粘度が上昇し、溶融混合が困難になり易い。ま
た、芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー(I)では、
水素添加前の状態で、芳香族ビニル重合体ブロック
(A)の数平均分子量が2,500〜50,000の範
囲内で、共役ジエン重合体ブロック(B)の数平均分子
量が15,000〜400,000の範囲内であること
が、機械的強度が向上し、溶融粘度が適切になる点から
好ましい。ここで、本明細書における芳香族ビニル系熱
可塑性エラストマー(I)の数平均分子量(Mn)、芳
香族ビニル系熱可塑性エラストマー(I)を構成してい
る芳香族ビニル重合体ブロック(A)および共役ジエン
重合体ブロック(B)の数平均分子量(Mn)は、いず
れも、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値を
いう。
【0023】芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
(I)は、必要に応じて、分子末端に水酸基、カルボキ
シル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を有してい
てもよい。
【0024】芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
(I)の製法は特に制限されず、従来既知のいずれの方
法で製造してもよく、また従来市販の芳香族ビニル重合
体系熱可塑性エラストマーを使用してもよい。何ら限定
されるものではないが、芳香族ビニル系熱可塑性エラス
トマー(I)は、例えば、アルキルリチウム化合物を開
始剤として芳香族ビニル化合物、イソプレンおよび/ま
たはブタジエンを逐次重合させる方法、芳香族ビニル化
合物、イソプレンおよび/またはブタジエンをそれぞれ
重合した後にカップリング剤によってカップリングする
方法、ジリチウム系化合物を開始剤としてイソプレンお
よび/またはブタジエン並びに芳香族ビニル化合物を逐
次重合する方法等が挙げられる。水素添加した芳香族ビ
ニル系熱可塑性エラストマー(I)は、そのようにして
得られる重合体を、従来既知の方法で水素添加すること
によって製造することができる。
【0025】本発明で用いるポリオレフィン系樹脂(I
I)としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテ
ン、オクテンなどのオレフィン系単量体の単独重合体樹
脂または共重合体樹脂の1種または2種以上を用いるこ
とができる。ポリオレフィン系樹脂(II)の具体例とし
ては、ポリプロピレン単独重合体、ポリプロピレンラン
ダム共重合体樹脂、ポリプロピレンブロック共重合体樹
脂などのポリプロピレン系樹脂;低密度ポリエチレン、
中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密
度ポリエチレン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合
体樹脂などのポリエチレン系樹脂;ポリブテン樹脂など
を挙げることができ、これらのポリオレフィン系樹脂の
1種または2種以上を用いることができる。
【0026】そのうちでも、本発明では、ポリオレフィ
ン系樹脂(II)として、ポリプロピレン系樹脂を単独で
用いるか、またはポリプロピレン系樹脂とポリエチレン
系樹脂を併用することが、成形加工性の点から好まし
い。
【0027】成形体を構成する重合体組成物は、柔軟性
の点から、芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー(I)
およびポリオレフィン系樹脂(II)を、質量比で、
(I):(II)=40:60〜90:10の割合で含有
していることが好ましく、50:50〜86:14の割
合で含有していることがより好ましい。芳香族ビニル系
熱可塑性エラストマー(I)とポリオレフィン系樹脂
(II)の合計質量に基づいて、芳香族ビニル系熱可塑性
エラストマー(I)の含有量が40質量%未満であると
[ポリオレフィン系樹脂(II)の含有量が60質量%を
超えると]、成形体が柔軟性に劣ったものになり易く、
一方芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー(I)の含有
量が90質量%を超えると[ポリオレフィン系樹脂(I
I)の含有量が10質量%未満であると]、成形体の力
学的強度に異方性が生じ易い。
【0028】また、成形体を構成する重合体組成物は、
場合によりプロセスオイルを含有していてもよい。プロ
セスオイルを含有していることにより、成形体に柔軟性
が付与され、さらに膠着が生じにくくなるという効果が
得られる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロ
セスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロ
セスオイル、それらの混合物などのいずれもが使用で
き、そのうちでもパラフィン系プロセスオイルが本発明
の効果を妨げない点から好ましく用いられる。成形体を
構成する重合体組成物中にプロセスオイルを含有させる
場合は、芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー(I)と
ポリオレフィン系樹脂(II)の合計質量に対して、プロ
セスオイルの含有量が300質量%以下であることが、
成形加工性、成形体の柔軟性、成形体からのブリードア
ウトの防止などの点から好ましく、100質量%以下で
あることがより好ましい。
【0029】成形体を構成する重合体組成物は、必要に
応じて種々の他の添加剤を含有することができる。添加
剤としては、例えば、無機充填剤、滑剤、各種安定剤、
ブロッキング防止剤、耐候性向上剤、顔料、加工助剤、
上記プロセスオイル以外の可塑剤、防曇剤、難燃剤、帯
電防止剤等が挙げられる。
【0030】延伸処理を施す前の成形体(以下これを
「中間成形体」ということがある)の種類や形状は特に
制限されず、芳香族ビニル重合体系熱可塑性エラストマ
ー(I)、ポリオレフィン系樹脂(II)および必要に応
じてプロセスオイルや他の成分を含有する重合体組成物
から製造された成形体であって、加熱下に延伸できる成
形体であればいずれでもよい。中間成形体としては、例
えば、フィルム、シート、板状体、棒状体、帯状体、管
(チューブ)、筒状体、中空体などを挙げることができ
る。また、中間成形体の製造方法は特に制限されず、例
えば、押出成形、射出成形、プレス成形、カレンダー成
形、流延成形などの任意の成形法によって製造されたも
のであってよい。
【0031】本発明では、延伸温度(100〜180
℃)よりも低い温度状態にある中間成形体を100〜1
80℃に再加熱して延伸処理を行うことが必要である。
延伸温度が100℃よりも低いと、延伸倍率を高くする
ことができず、強度などに優れる延伸成形体が得られな
くなり、また賦形用の型を用いて延伸処理を行う場合は
賦形が良好に行われなくなる。一方、延伸温度が180
℃よりも高いと、延伸処理時に中間成形体のドローダウ
ンが発生して中間成形体の形態が保持されず、延伸がで
きなくなる。延伸温度は110〜160℃であることが
好ましい。特に、延伸時に賦形用の型を用いて延伸と賦
形を同時に行う場合は、110〜160℃の延伸温度を
採用することが好ましい。
【0032】延伸処理を行う前(再加熱する前)の中間
成形体の温度は、中間成形体の変形防止などの点から8
0℃以下であることが好ましく、常温であることがより
好ましい。延伸処理は、同じ製造ラインで中間成形体の
製造に引き続いて行ってもよいし、または中間成形体の
製造とは別に行ってもよい。
【0033】延伸処理は、中間成形体の形状、目的とす
る延伸成形体(最終成形品)の形状や用途などに応じ
て、一軸延伸、二軸延伸または多軸延伸(多方向延伸)
のいずれを採用して行ってもよい。また、必要に応じ
て、賦形用の型を用いて延伸処理を行ってもよい。一軸
延伸の例としては、フィルム状、シート状、板状などの
中間成形体を延伸ロールなどを用いて長さ方向に一軸延
伸する方法、それらの中間成形体をテンターなどを用い
て幅方向に一軸延伸する方法、棒状体、管状体、帯状
体、筒状体などの中間成形体を延伸ロールなどを用いて
長さ方向に一軸延伸する方法などを挙げることができ
る。二軸延伸の例としては、フィルム状、シート状、板
状などの中間成形体を延伸ロールとテンターを用いて縦
横方向に二軸延伸する方法、それらの中間成形体を二軸
延伸用テンターを用いて縦横方向に二軸延伸する方法、
筒状フィルムからなる中間成形体に空気を吹き込んで縦
横方向に二軸延伸する方法などを挙げることができる。
また、賦形用の型を用いる延伸処理としては、例えば、
フィルム状、シート状、筒状、中空状などの中間成形体
を賦形用の型内に配置し、100〜180℃の加熱下に
圧縮空気を型内に吹き込んで中間成形体を延伸すると共
に型内に押し付けて賦形を行う方法などを挙げることが
できる。
【0034】延伸倍率は、延伸温度、中間成形体の形状
や寸法、目的とする延伸成形体(最終成形体)の形状や
寸法などに応じて異なり得るが、一般には、一軸延伸、
二軸延伸または多軸延伸ともに、延伸方向に2倍以上、
特に3倍以上とすることが、機械的強度などに優れる延
伸成形体が得られることから好ましい。延伸倍率は、中
間成形体を構成する重合体組成物の材料特性に合わせ
て、100〜180℃の範囲内の適当な延伸温度で、適
当な延伸倍率を採用するようにする。
【0035】長期間にわたって寸法変化のより少ない成
形体を得るためには、上記で得られる延伸成形体に対し
て、必要に応じて、電子線照射などによる架橋処理を施
してもよい。また、本発明により得られる延伸成形体に
対しては、表面塗装やその他の表面処理を施すこともで
きる。
【0036】本発明により得られる延伸成形体は、強度
が高く、弾性回復性に優れていて、引き伸ばしや圧縮な
どの外部応力を加えても応力を除いたときに元の形状に
良好に復元し永久変形が生じにくく、形態安定性に優れ
ている。そのため、それらの特性を活かして、本発明の
方法は、例えば、伸縮フィルムやシート、各種の伸縮性
包装材料、伸縮ベルト、伸縮性筒状体などの種々の製品
の製造に有効に採用することができる。
【0037】
【実施例】以下に実施例などにより本発明について具体
的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるもので
はない。以下の例で用いたポリスチレン系熱可塑性エラ
ストマー(ポリスチレン系ブロック共重合体)における
スチレン含有量、数平均分子量および水素添加率、並び
に以下の例で得られた延伸成形体の引張強度および賦形
率は以下の方法で測定した。
【0038】[ポリスチレン系熱可塑性エラストマーに
おけるスチレン単位含有量]ポリスチレン系熱可塑性エ
ラストマーの製造に使用した各単量体成分の質量から算
出した。
【0039】[ポリスチレン系熱可塑性エラストマーに
おける数平均分子量]GPC測定によりポリスチレン換
算の数平均分子量(Mn)を求めた。
【0040】[ポリスチレン系熱可塑性エラストマーに
おける水素添加率]水素添加前後におけるポリスチレン
系熱可塑性エラストマーにおけるヨウ素価を測定し、そ
の測定値より算出した。
【0041】[延伸成形体の引張強度]チューブ状の延
伸成形体を切り開いて長さ40mm×巾3.0mmのフ
ィルム状試験片を作成し、引張試験機(島津株式会社製
オートグラフ「AG2000B型」)を使用して、引張
り速度300mm/min.の条件下で延伸成形体を引
っ張り、引っ張り率100%のときの引張強度を測定し
た。
【0042】[延伸成形体の賦形率]延伸処理を施す前
の成形体(中間成形体)の室温(25℃)での寸法(長
さ)(La)(cm)および延伸処理して得られた延伸
成形体を室温(25℃)に3日間放置した後の寸法(長
さ)(Lb)(cm)を測定し、延伸倍率をn(倍)と
し、下記の数式から賦形率(%)を求めた。下記の数式
により求められる賦形率が100%に近いほど、延伸処
理後に放置したときに収縮が少なく、目的寸法に合致す
る延伸倍率どおりの延伸成形体が得られたことを示す。
【0043】
【数1】 賦形率(%)={Lb/(La×n)}×100
【0044】《参考例1》 [ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(水添ブロック
共重合体)の製造]乾燥した窒素で置換された耐圧容
器中、溶媒としてシクロヘキサンを用い、重合開始剤と
してsec−ブチルリチウムを用いて、50℃でスチレ
ンを重合した後、ルイス塩基としてテトラヒドロフラン
を加え、次いでイソプレンおよびスチレンを順次重合さ
せてポリスチレン−ポリビニルイソプレン−ポリスチレ
ン型のブロック共重合体を得た。得られたブロック共重
合体をシクロヘキサン中、Pdカーボンを触媒として、
2MPaの水素雰囲気下で水素添加して、水添ブロック
共重合体を得た。これにより得られた水添ブロック共
重合体における、ポリスチレンブロックの数平均分子
量は7,000、水素添加前のブロック共重合体のスチ
レン単位含有量は20質量%および数平均分子量は10
0,000、ポリイソプレンブロックのビニルイソプレ
ン単位含有量は55モル%、水素添加率は90モル%で
あった。
【0045】《参考例2》 [ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(水添ブロック
共重合体)の製造]テトラヒドロフランを使用せず、
イソプレンの代わりにイソプレンとブタジエンの混合物
[イソプレン/ブタジエン=50/50(質量比)]を
使用したこと以外は、参考例1と同様に重合および水素
添加を行って、水添ブロック共重合体を得た。これに
より得られた水添ブロック共重合体における、ポリス
チレンブロックの数平均分子量は25,000、水素添
加前のブロック共重合体のスチレン単位含有量は30質
量%および数平均分子量は200,000、イソプレン
/ブタジエン共重合体ブロックのビニルイソプレン単位
とビニルエチレン単位の合計含有量は5モル%以下、水
素添加率は90モル%であった。
【0046】《実施例1〜8および比較例1〜6》 (1)重合体組成物の調製:参考例1で得られた水添ブ
ロック共重合体75質量部、ポリプロピレン(モンテ
ル・SKD・サンライズ株式会社製「HMS−PP−S
D613」;ブロックタイプのポリプロピレン)25質
量部、タルク(無機充填剤)(浅田製粉株式会社製「F
FR」)5質量部およびステアリン酸モノグリセリド
0.1質量部をタンブラーにて混合した後、二軸押出機
(KRUPP WERNER & PFLEIDERER
製「ZSK−25」)に供給し、200℃で混練した後
にストランド状に押し出し、切断して、重合体組成物の
ペレットを調製した。 (2)中間成形体の製造:上記(1)で得られた重合体
組成物のペレットを、単軸押出機(株式会社プラエンジ
製「PSV22」)に供給して200℃で押出成形を行
って、外径8.0mmおよび内径6.8mm(肉厚0.
6mm)のチューブ状の押出成形品(中間成形体)を製
造した。 (3)延伸成形体の製造:上記(2)で得られたチュー
ブ状の中間成形体を長さ10cmに切断し、その両端を
クランプにより把持し、一軸延伸装置を使用して、下記
の表1に示す延伸温度(材料温度)で延伸倍率8倍で一
軸延伸を行った。これにより得られた延伸成形体の引張
強度および賦形率を上記した方法で測定したところ、下
記の表1に示すとおりであった。なお、下記の表1に示
すように、延伸温度を200℃とした比較例6では、中
間成形体のドローダウンが発生して延伸を行うことがで
きなかった。
【0047】
【表1】
【0048】《実施例9〜12および比較例7〜12》 (1)重合体組成物の調製:参考例2で得られた水添ブ
ロック共重合体100質量部、実施例1〜8および比
較例1〜6で使用したのと同じポリプロピレン(「HM
S−PP−SD613」)65質量部、パラフィン系プ
ロセスオイル(出光興産株式会社製「PW−380」)
80質量部、タルク(浅田製粉株式会社製「FFR」)
5質量部およびステアリン酸モノグリセリド0.1質量
部をタンブラーにて混合した後、実施例1〜8などで使
用したのと同じ二軸押出機(「ZSK−25」)に供給
し、200℃で混練してストランド状に押し出し、切断
して、重合体組成物のペレットを調製した。 (2)中間成形体の製造:上記(1)で得られた重合体
組成物のペレットを、実施例1〜8などで使用したのと
同じ単軸押出機(「PSV22」)に供給して200℃
で押出成形を行って、外径8.0mmおよび内径6.8
mm(肉厚0.6mm)のチューブ状の押出成形品(中
間成形体)を製造した。 (3)延伸成形体の製造:上記(2)で得られたチュー
ブ状の中間成形体を長さ10cmに切断し、その両端を
クランプにより把持し、一軸延伸装置を使用して、下記
の表2に示す延伸温度(材料温度)で延伸倍率8倍で一
軸延伸を行った。これにより得られた延伸成形体の引張
強度および賦形率を上記した方法で測定したところ、下
記の表2に示すとおりであった。なお、下記の表2に示
すように、延伸温度を200℃とした比較例12では、
中間成形体のドローダウンが発生して延伸を行うことが
できなかった。
【0049】
【表2】
【0050】《実施例13〜28および比較例13〜1
6》 (1)重合体組成物の調製:参考例1で得られた水添ブ
ロック共重合体75質量部、実施例1〜8と比較例1
〜6で使用したのと同じポリプロピレン(「HMS−P
P−SD613」)12.5質量部、低密度ポリエチレ
ン(日本ポリケム株式会社製「HE−30」)12.5
質量部、タルク(浅田製粉株式会社製「FFR」)5質
量部およびステアリン酸モノグリセリド0.1質量部を
タンブラーにて混合した後、実施例1〜8などで使用し
たのと同じ二軸押出機(「ZSK−25」)に供給し、
200℃で混練してストランド状に押し出し、切断し
て、重合体組成物のペレットを調製した。 (2)中間成形体の製造:上記(1)で得られた重合体
組成物のペレットを、実施例1〜8などで使用したのと
同じ単軸押出機(「PSV22」)に供給して200℃
で押出成形を行って、外径8.0mmおよび内径6.8
mm(肉厚0.6mm)のチューブ状の押出成形品(中
間成形体)を製造した。 (3)延伸成形体の製造:上記(2)で得られたチュー
ブ状の中間成形体を長さ10cmに切断し、その両端を
クランプにより把持し、一軸延伸装置を使用して、下記
の表3に示す延伸温度(材料温度)および延伸倍率で一
軸延伸を行った。これにより得られた延伸成形体の引張
強度および賦形率を上記した方法で測定したところ、下
記の表3に示すとおりであった。なお、下記の表3に示
すように、延伸温度を200℃とした比較例16では、
中間成形体のドローダウンが発生して延伸を行うことが
できなかった。
【0051】
【表3】
【0052】《実施例29〜35および比較例17〜1
9》 (1)重合体組成物の調製:参考例1で得られた水添ブ
ロック共重合体45.5質量部、参考例2で得られた
水添ブロック共重合体17.5質量部、ポリプロピレ
ン(グランドポリマー株式会社製「B101」;ブロッ
クタイプのポリプロピレン)19.5質量部、パラフィ
ン系プロセスオイル(出光興産株式会社製「PW−38
0」)17.5質量部、タルク(浅田製粉株式会社製
「FFR」)5質量部およびステアリン酸モノグリセリ
ド0.1質量部をタンブラーにて混合した後、実施例1
〜8などで使用したのと同じ二軸押出機(「ZSK−2
5」)に供給し、200℃で混練してストランド状に押
し出し、切断して、重合体組成物のペレットを調製し
た。 (2)中間成形体の製造:上記(1)で得られた重合体
組成物のペレットを、実施例1〜8などで使用したのと
同じ単軸押出機(「PSV22」)に供給して200℃
で押出成形を行って、外径8.0mmおよび内径6.8
mm(肉厚0.6mm)のチューブ状の押出成形品(中
間成形体)を製造した。 (3)延伸成形体の製造:上記(2)で得られたチュー
ブ状の中間成形体を長さ10cmに切断し、その両端を
クランプにより把持し、一軸延伸装置を使用して、下記
の表4に示す延伸温度(材料温度)および延伸倍率で一
軸延伸を行った。これにより得られた延伸成形体の引張
強度および賦形率を上記した方法で測定したところ、下
記の表4に示すとおりであった。なお、下記の表4に示
すように、延伸温度を200℃とした比較例19では、
中間成形体のドローダウンが発生して延伸を行うことが
できなかった。
【0053】
【表4】
【0054】上記の表1〜4の結果から、処理温度が1
00〜180℃、特に110〜160℃のときに、引張
強度が高く、且つ賦形率が高くて形態安定性に優れる延
伸成形体が得られることがわかる。
【0055】
【発明の効果】本発明による場合は、強度が高く、弾性
回復性および形態安定性に優れる伸縮特性を有してい
て、引き伸ばしたり、圧縮するなどの外部応力を加えて
も、応力を除いたときに元の形状に良好に復元すること
ができ永久変形の生じにくい成形体を円滑に製造するこ
とができる。本発明により得られる延伸成形体は、ハロ
ゲン原子を有していないので、焼却してもダイオキシン
などの有害物質を発生せず、また加熱溶融性であるので
加熱溶融による廃棄処分や再利用を簡単に行うことがで
きる。そのため、上記した特性を活かして、本発明によ
り得られる延伸成形体は、伸縮フィルムやシート、各種
の伸縮性包装材料、伸縮ベルト、伸縮性筒状体などのよ
うな、食品、電気製品、雑貨用途などさまざまな分野に
おいて好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 23:00 B29K 23:00 (72)発明者 大串 眞康 茨城県つくば市御幸が丘41番地 株式会社 クラレ内 Fターム(参考) 4F071 AA12 AA16 AA17 AA18 AA19 AA20 AA21 AA75 AF15 AF18 AF20 AH04 BA01 BB06 BB07 BC01 4F210 AA03 AA04 AA11 AA45 AA47 AB07 AR06 QC01 QC05 QC09 QD25 QG04 QG18 4J002 BB02X BB11X BB16X BP01W BP02X GG02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
    (I)およびポリオレフィン系樹脂(II)を含有する重
    合体組成物からなる成形体を、100〜180℃に加熱
    して延伸することを特徴とする延伸成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 成形体を構成する重合体組成物における
    芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー(I)とポリオレ
    フィン系樹脂(II)の含有割合が、質量比で、(I):
    (II)=40:60〜90:10である請求項1に記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 成形体を構成する重合体組成物が、プロ
    セスオイルを更に含有する請求項1または2に記載の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 成形体を一軸、二軸または多軸方向に延
    伸する請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 延伸倍率が3倍以上である請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
    (I)が、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体
    ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブ
    ロックを有するブロック共重合体およびその水素添加物
    から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー
    (I)が、スチレンから主としてなる重合体ブロック、
    並びにイソプレンおよび/またはブタジエンからなる重
    合体ブロックを有するブロック共重合体およびその水素
    添加物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6
    のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 ポリオレフィン系樹脂(II)が、ポリプ
    ロピレン系樹脂であるか、またはポリプロピレン系樹脂
    とポリエチレン系樹脂の併用である請求項1〜7のいず
    れか1項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項の製造方法
    により得られる延伸成形体。
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