JP5002800B2 - 非対称直鎖テーパー状モノアルケニルアレーン−共役ジエンブロックコポリマー - Google Patents

非対称直鎖テーパー状モノアルケニルアレーン−共役ジエンブロックコポリマー Download PDF

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Description

本発明は、一般に、テーパー状モノアルケニルアレーン−共役ジエンブロックコポリマー(tapered monoalkenyl arene−conjugated diene block copolymer)、詳細には非対称テーパー状モノアルケニルアレーン−共役ジエン−モノアルケニルアレーンブロックコポリマー、更に詳細には非結合非対称(uncoupled asymmetric)テーパー状モノアルケニルアレーン−共役ジエン−モノアルケニルアレーンブロックコポリマーに関する。本発明は、また、こうしたブロックコポリマーの、ポリスチレン樹脂などのモノアルケニルアレーンポリマー、及び任意的にモノアルケニルアレーン−共役ジエンブロックコポリマー、特にスチレンブタジエンジブロックコポリマーとのブレンドに関する。本発明は、更に、2軸延伸ポリスチレン(OPS)シート、特に熱成形性OPSシート及び得られる熱成形された製品を製造するためのこうしたブレンドの使用に関する。
熱成形されたOPSシートは、多くの従来からの最終用途を有し、これらの内の一つはケーキ及び他のパン食品用のドーム型カバーとしてのものである。室温(名目上25℃)での透明性及び強靭性の組合せは、前述のような新鮮な焼き物食品用のドーム型カバーの使用に有利に働く。
新鮮な焼き物食品用の賞味期限のために、多くの利用者、特に中央パン焼き設備及び小売店ネットワークを有する大きなパン類製造販売業者又は会社は、焼き物食品を透明なドーム型のカバーを有するディスプレイ容器中に凍結し、そのような容器中の凍結焼き物食品をそれらの小売店又は消費者店舗に出荷することを望む。熱成形されたOPSシートは室温でうまく機能するが、それは冷凍庫温度(名目上0℃〜−40℃)で脆性破壊に対する著しい傾向を有する。脆性破壊は、そのような容器中に提供される焼き物食品の商品価値を下げると共に、多くの小売業者が容器及びそれらの中味を廃棄してしまうことを引き起こす。
これらの利用者は、損失売上機会を最小化すると共に、容器及びそれらの中味を廃棄する場合に必然的に付随してくる増加コスト及び損失利益を避けるために、脆性破壊に対して著しく低減した傾向を有する変性熱成形OPSシートを望む。脆性破壊に対する低減した傾向を供給する一つのやり方は、衝撃抵抗度を増大することである。
本発明の第一の態様は、直鎖(linear)構造A−−B−−A’を有する非対称テーパー状モノアルケニルアレーン−共役ジエン−モノアルケニルアレーンブロックコポリマーであり、前記式中、Aは重合したモノアルケニルアレーンの第1端部ブロックであり、この端部ブロックAは5,000〜20,000の範囲内の分子量を有し、Bは、好ましくは本質的に重合した共役ジエン(例えばイソプレン、ブタジエン又はイソプレンとブタジエンの両方)を含み、更に好ましくはそれらからなるものを含む第1セグメント、及びテーパー状であると共に共役ジエン及びモノアルケニルアレーンの両方の重合した組合せを含む第2セグメントを有するポリマーブロックであり、テーパー状セグメントはブロックコポリマー中に含有されるすべてのモノアルケニルアレーンの0超〜50重量%を含み、ポリマーブロックBは28,000〜212,500の範囲内の分子量を有し、そして、A’は重合したモノアルケニルアレーンの第2ポリマー端部ブロックであり、端部ブロックA’は25,000〜157,500の範囲内の分子量を有し、ブロックコポリマーは80,000〜250,000の範囲内の全体分子量を有し、モノアルケニルアレーン、好ましくはスチレンは、コポリマー重量に対して、30〜65重量%範囲内の含量である。この態様のブロックコポリマーは、好ましくは、カップリング剤部分又はカップリング剤残留物を含まない。
本発明の第二の態様はポリマーブレンド組成物であり、この組成物はポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー及び第一の態様の非対称テーパー状モノアルケニルアレーン−共役ジエン−モノアルケニルアレーンブロックコポリマーからなり、ブレンド組成物は、少なくとも50%の(ASTM D1003に類似の)ASTM D1925による測定での透明度を有する。前記ブレンド組成物は、また、望ましくは、ひび割れに耐えるヒンジ及びコーナーを有する容器に熱成形され得る能力によって測れるように「実用的な強靭性(practical toughness)」を有すると共に、それは、打撃を与える場合に、鋭く壊れやすいポリスチレンの音ではなくポリエチレンテレフタレート(PET)容器のような「深いドシンという音(deep thump sound)」を与える。
本発明の非対称テーパー状ブロックコポリマー(ATBC)は、そのままで、又はポリスチレンなどの少なくとも一つのモノアルケニルアレーンポリマー、スチレン−共役ジエン(例えばブタジエン及び/又はイソプレン)コポリマー又はポリスチレンとスチレン−共役コポリマーの組合せとブレンドして用いて、ポリスチレンとスチレン−ブタジエンブロックコポリマーの50/50重量/重量ブレンドから形成される物品に対して、有利な衝撃特性、延性又は両方を有する物品に形成することができる樹脂ブレンドを製造することができる。この物品は、また、本発明のATBCsの代わりに、非対称ブロックコポリマー、対称ブロックコポリマー又はテーパー状ブロックコポリマーを代用することを除いて、同一のブレンド組成物から製造される物品よりも大きな透明度(より低いヘイズ)を有する。
例えば、たとえ両方のブレンドが全体ジエンの同じ計算%を含有するとしても、スチレン−ブタジエンコポリマー重量で50%(重量%)/ポリスチレン50重量%の射出成形ブレンドは、衝撃破壊測定値97ポンド(lb)(44キログラム(kg))ピーク負荷及び18インチ−ポンド(in−lb)(2.0ニュートン−メートル(N*m))全体エネルギーを有し、一方で、スチレン−ブタジエンコポリマー(SBC)25重量%/ポリスチレン(PS)64.6重量%/非対称テーパー状スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(A−T−SBS)10.4重量%の射出成形ブレンドは、衝撃破壊値209lb(95kg)ピーク負荷及び33in−lb(3.7N*m)全体エネルギーを測定する。前述の重量%はブレンド重量に対するものである。これは、A−T−SBSブロックコポリマーを含有するブレンドに対して、衝撃破壊値ピーク負荷の115%増、全体エネルギーの83%増を示す。
更なる例として、ブレンド重量に対するSBC25重量%/PS64.6重量%/A−T−SBS10.4重量%の射出成形ブレンドは、60ミル(25.4マイクロメートル(μm))厚さの部品に対して34%の測定ヘイズ値を有する。これは、A−T−SBSが、それぞれ同じ%の非対称非テーパー状スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(A−SBS)、対称(symmetric)テーパー状スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(T−SBS)及び対称非テーパー状スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)によって置換された場合に、同じ厚さの部品に対してそれぞれ62、87及び88%のヘイズ値と対比される。
本発明のATBCsは、異なる重量平均分子量(Mw)の二つの末端重合モノアルケニルアレーンブロックを有する。一つの末端又は端部ブロック、名目上ブロックAは、5,000〜20,000、好ましくは7,000〜15,000、更に好ましくは7,000〜12,000の範囲にあるMwを有する。ブロックAのMwが小さすぎる場合、例えば5,000未満の場合、得られるブロックコポリマーは、過度に低い引張強度、ブロックコポリマーの使用を限定する因子を有する傾向がある。ブロックAのMwが大きすぎる場合、例えば20,000を超える場合、望ましい非対称度を得ることはますます難しくなる。第2の末端又は端部ブロック、名目上ブロックA’は、25,000〜157,500、好ましくは25,000〜90,000、更に好ましくは25,000〜60,000の範囲にあるMwを有する。ブロックA’のMwが低すぎる場合、再び、望ましい非対称度(分子量の違い)を得る上での困難性にぶつかる。ブロックA’のMwが高すぎる場合、ブロックコポリマーMwは過度に高くなる傾向があり、ブロックコポリマーのメルトフローレイトは望ましくない程度に低くなる傾向がある。
ブロックコポリマー中に含有されるすべてのモノアルケニルアレーンの、ブロックコポリマーに対して少なくとも50重量%、しかし100重量%未満は、末端ブロックA及びA’中に配置される。末端ブロックA及びA’中に含有されるモノアルケニルアレーン、好ましくはスチレンの量は、両方のケースにおいて全体のブロックコポリマーモノアルケニルアレーン含量に対して、好ましくは85重量%〜99重量%、更に好ましくは94重量%〜98重量%である。
本発明のATBCsは、また、二つのセグメントを包含する中央又は中間のブロック、名目上ブロックBを有する。名目上端部ブロックAに最も近く、端部ブロックA’から離れて配置される第1セグメントは、好ましくは本質的に重合共役ジエンからなり、更に好ましくはそれからなるものを含む。名目上第1セグメントと端部ブロックA’の間に配置される第2セグメントは、好ましくは本質的にモノアルケニルアレーン及び共役ジエンの両方からなり、更に好ましくはそれら両方からなるものを含むか又は含有する。第2セグメントは、それがモノアルケニルアレーン及び共役ジエンの両方を含有し、任意のポリマーセグメント中の共役ジエン含量が第1セグメントから端部ブロックA’に重合が進むにつれて減少するという理由でテーパー状となる。中間ブロックBは28,000超〜210,000の、好ましくは45,000〜135,000、更に好ましくは55,000〜90,000の範囲にあるMwを有する。
本発明のATBCsは、80,000〜250,000、好ましくは100,000〜180,000、更に好ましくは110,000〜130,000の範囲にある全体Mwを有する。このMwが低すぎる場合、例えば80,000未満の場合、スチームストリッピングによるポリマー回収は、タルクなどの抗凝集剤の使用を必要とする。タルク又は別の粒子状抗凝集剤の存在は、そのままか、又は1もしくはそれ以上の他のポリマー及び添加剤と組合せのいずれかで用いられる場合に、本発明の非対称テーパー状ブロックコポリマーから製造される製品の透明性を妨げる。Mwが高すぎる場合、例えば250,000を超える場合、ブロックコポリマーのメルトフローレイトは、十分な溶融加工又は融解混合には低くなりすぎる傾向がある。
本発明のATBCsは、全体ブロックコポリマー重量に対して、30重量%〜65重量%の範囲にある全体モノアルケニルアレーン、好ましくはスチレン含量を有する。ブロックコポリマー重量のバランス分は共役ジエンを含む。モノアルケニルアレーン含量は、各ケースとも全体ブロックコポリマー重量に対して、好ましくは30重量%〜55重量%、更に好ましくは35重量%〜50重量%の範囲にある。全体モノアルケニルアレーン含量が低すぎる場合、例えば30重量%未満(<)の場合、端部ブロック分子量の望ましい非対称性又は違いを得る上での困難性が生じる。全体モノアルケニルアレーン含量が高すぎる場合、例えば65重量%を超える(>)場合、得られるブロックコポリマーは、ポリマー混合物中の重合調整剤としての性能の観点から、シェブロン・フィリップス・ケミカル(Chevron Phillips Chemical Company)からのK−Resin(登録商標)などのモノアルケニルアレーン−共役ジエンブロックコポリマー、一般的にジブロックコポリマーに似始める。イソプレンは本発明のブロックコポリマーを製造する上でブタジエンに代わって用いることが可能であるが、一方で、こうしたイソプレン含有ブロックコポリマーのスチレン−ブタジエンジブロックコポリマーとの混合物は、必ずしも、ブタジエン含有ブロックコポリマーのスチレン−ブタジエンジブロックコポリマーとの混合物のそれに等しい食品医薬品局(FDA)クリアランスを有さない。
中間ブロックBの第2の又はテーパー状セグメントは、その例が米国特許(USP)第6,265,485号明細書3欄34〜54行に開示されている極性化合物(例えばエーテル、チオエーテル又は第3アミン)などのランドマイザーを欠く方法からそれが得られるという理由により、非ランダム性である。
本発明のATBCsは、また、直鎖で非結合性である。「非結合性(non−coupled)」は、ブロックコポリマーが米国特許第6,265,485号明細書3欄55行〜4欄67行を通して開示されているジビニルベンゼン、4塩化ケイ素などの4ハロゲン化物及びその他の2官能性又は多官能性カップリング剤を用いない、以下に更に詳細に示される連続工程において、製造されることを意味する。換言すれば、本発明のブロックコポリマーは、実質的に、更に好ましくは完全にカップリング剤部分又は残留物を含まない。
範囲が本明細書において記載される場合、範囲は特記のない限り範囲の両端を含む。
米国特許第5,360,875号明細書1欄45〜48行に言及されているように、「非対称」ブロック「リビングポリマー」は、それがアニオン重合過程の間存在するように、生成されつつあるポリマーを指す。コポリマーは、中で末端ブロックが異なる分子量を有するものである。
米国特許第4,335,221号明細書には、5欄59行〜6欄7行を通して「テーパー状」の意味が説明されている。それらが本発明の非対称テーパー状ブロックコポリマーの中間ブロックBの製造において行うように、共役ジエン及びモノアルケニルアレーンが同時に重合ブレンド中に存在する場合に、共役ジエンがモノアルケニルアレーンよりも実質的により速く重合するので、初期重合は、大部分共役ジエンを含み、僅かのモノアルケニルアレーン分子をたまに伴うだけである。重合混合物中のほぼすべての共役ジエンが重合してしまった時に、モノアルケニルアレーンの重合が絶えず増大する速度で起こり始める。6欄2〜7行で、特許権者は、実質的にすべての共役ジエンが重合した後、>70重量%、多くの場合>80重量%のモノアルケニルアレーンが重合すると推定している。
米国特許第5,290,862号明細書には、3欄34〜39行で、テーパー状コポリマーが、共役ジエンとモノアルケニルアレーン間のバランスに関して、モノマー供給原料を多くするか、又は少なくするようなモノマー供給原料の増分(incremental)調整により製造することが可能であることが教示されている。
本発明のATBCs、例えばA−T−SBSブロックポリマーは、アニオン重合と、それに続く、得られるリビングポリマーのキャッピング又は停止反応により製造することができる。本明細書の目的のため、ポリマー、「リビングポリマー」は、それがアニオン重合過程の間存在するように生成されつつあるポリマーを指す。重合完了後、リビングブロックポリマーをもたらす連続重合法の例は、先行技術において公知であり、米国特許第5,242,984号明細書、米国特許第5,750,623号明細書、及びHolden;et.al.Thermoplastic Elastomers,2nd Edition;51〜53頁(1996)が挙げられる。
本発明のポリマーを製造する上で有用なモノマーは、アニオン重合に対して敏感でなければならない。技術上周知のこれらのモノマーには、スチレン及びアルファメチルスチレン、ビニルトルエンなどのモノアルケニル芳香族化合物;ビニルピリジン;及び1,3−ブタジエン、イソプレン、及び1,3−ペンタジエンなどの共役ジエンが挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましいモノマーはスチレン及び1,3−ブタジエン及びイソプレンの少なくとも一つであり、スチレン及び1,3−ブタジエンが最も好ましい。
アニオン重合用に適するアルカリ金属炭化水素重合開始剤は技術上周知である。こうした重合開始剤の例には、アルキルリチウム、アルキルナトリウム及びアルキルカリウムが挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましい重合開始剤は、sec−ブチルリチウム及びn−ブチルリチウムなどのアルキルリチウムである。特に3欄33〜50行での米国特許第3,937,760号明細書は、炭素−リチウム又は炭素−ナトリウム結合を含有する化合物としての適する重合開始剤を記載している多くの参考文献の一つの例である。好ましい重合開始剤は、リチウム原子などの単一官能部位を有するものであり、そして、一般的には2官能性重合開始剤と呼ばれる2官能性、又は「多官能性(polyfunctional)」重合開始剤における2を超える官能性の多官能性部位を持たないものである。
本発明のテーパー状直鎖非対称ブロックコポリマーの製造は、−10℃〜150℃、好ましくは0℃〜110℃の範囲内の任意の適する温度で、反応混合物を実質的に液体状態又は液相に保持するために十分な圧力、好ましくは5〜50ポンド/平方インチゲイジ(psig)(34.5〜344.7キロパスカル(kPa))で、不活性炭化水素希釈剤中において行われる重合プロセスにより起こる。
温度及び圧力は、各モノマー投入の重合の間に最高に達し、次に、本質的に反応するための遊離モノマーが全く残されない場合に、低下する。重合用に適する溶媒又は希釈剤も、また、技術上周知である。例として、芳香族炭化水素、飽和脂肪族炭化水素、飽和脂環式炭化水素、直鎖エーテル及び環式エーテル、並びにそれらの混合物が挙げられた。望ましい溶媒又は希釈剤には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン及びそれらの混合物などの直鎖及びシクロパラフィンが挙げられる。好ましい溶媒又は希釈剤は、シクロヘキサン、n−ヘキサン及びイソペンタン並びにそれらの混合物である。希釈剤、温度及び圧力の選択は、重合が完了し、リビングアニオンが反応停止されるか、又はキャップされ、そして得られるポリマーが回収のために準備が整うまで、得られるポリマーを溶液中に保つという肝心な一つだけの目標を有する。
重合は、モノマー又は複数のモノマーを不活性溶媒又は希釈剤中でアルカリ金属炭化水素重合開始剤と接触させることにより始まる。一般の直鎖ブロックコポリマー重合は、各種モノマーを重合反応混合物に連続的に添加することを含む。第1段階において、モノアルケニルアレーンモノマーの第1の部分、アニオン重合開始剤、一般的にn−ブチルリチウムなどの有機モノアルカリ金属化合物及び不活性溶媒又は希釈剤の重合反応混合物を提供し、実質的にすべてのモノアルケニルアレーンモノマーが、n−ブチルリチウム重合開始剤の場合においては、リチウムなどのアルカリ金属イオンの形態にある活性リビング端部を有する第1の中間部分ポリマーに組み込まれるまで、重合反応混合物を上述のような温度及び圧力条件にさらす。第2段階において、第1の中間部分ポリマーのリビング端部上に共役ジエンを重合させて活性リビング端部を有する第2の中間部分ポリマーを形成するために十分な条件下で、1,3−ブタジエンなどの共役ジエンを反応混合物に添加する。第3段階において、モノアルケニルアレーンモノマー、好ましくはモノアルケニルアレーンの第1部分中におけるものと同じモノアルケニルアレーンを、共役ジエンの重合がそこで実質的に完了する点に達する前に反応混合物に添加し、且つ、実質的にすべてのモノマー混合物を第2の中間部分ポリマーのリビング端部上に重合させて、活性リビング直鎖非対称テーパー状ブロックコポリマーを得るために十分な条件下に混合物を保持する。第2及び第3段階は、モノマー(複数を含む)及び重合開始剤の混合物とは対照的にモノマー(複数を含む)のみの添加を含むと共に、どれほどのテーパー状が必要とされるかに応じて、それらは、ジエンとすべての残りのモノアルケニルアレーンモノマーを同時に添加することによって混合することができる。直鎖テーパー状ブロックコポリマーの回収は、水、アルコール、有機酸又は無機酸などの従来型の触媒不活性化材料を添加することにより始まる。回収は、例えば更なるアルコールを添加することによる沈殿、濾過、デカンテーション及びスチームストリッピングを含む従来型の手順を介して継続する。必要ならば、直鎖非対称テーパー状ブロックコポリマーは、適する溶媒中でのコポリマーの再溶解を含む従来型の手段により精製することが可能であり、ポリマーを前述のように第2の回収段階において回収する。
上に詳述した一連の3段階は、重合したモノアルケニルアレーンの第1端部ブロック、重合した共役ジエンの第1セグメント及びその中でモノアルケニルアレーン及び共役ジエン両方を重合させた第2又はテーパー状セグメントを有する中間ブロック、並びに重合したモノアルケニルアレーンの第2端部ブロックをもたらす。端部ブロックは異なる分子量を有する。当業者は、モノアルケニルアレーンの第2部分を、共役ジエン重合の始まりか、又は共役ジエン重合の終わり近くで、又はそれらの間のいかなる点で添加するかを選択することにより、第2セグメントのその部分の分子量を制御することができることを認識する。当業者は、また、共役ジエンがモノアルケニルアレーンよりも速い速度で重合すること、及びランダム化剤(randomizer)が存在しない場合に、テーパー状セグメントが、実質的にすべての共役ジエンが重合するまで、異なる長さのモノアルケニルアレーンの配列を挟んで変化をつけられる共役ジエンの配列を有することをも認識する。共役ジエンの重合が実質的に完了した後、モノアルケニルアレーンの重合は、好ましくは単独に重合モノアルケニルアレーンからなるものを含む第2端部ブロックを形成し続ける。
本発明のATBCsは、好ましくは単一モード又はモノモードである。換言すれば、本発明のブロックコポリマーは、少なくとも分子量に関しては実質的に等質である。これは、米国特許第4,704,434号明細書におけるような重合開始剤及びモノマーの複数の添加により製造される、高、中及び低重量平均分子量ブロックコポリマーの多モード混合物と対比される。
ポリマー生成物がなお溶液中にある間に、安定剤は添加することができる。追加の安定剤はペレット化前の仕上げの間に添加することができる。この処理は、加工及び取扱い、並びにその後の顧客による長期にわたる使用の間、ポリマーに対する酸化安定性を提供する。
一般的に用いられる安定化工程は、それらの具体例はオクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩及びトリス−ノニルフェニル亜リン酸塩である、ヒンダード・フェノール及び有機亜リン酸塩に、限定するものではないが、それらを含む化合物の組合せを用いる。
安定化後、炭化水素希釈剤をポリマー溶液からフラッシュさせて、固形物含量を上げる。ポリマーセメント、即ち、重合溶媒中のポリマーは、全体ポリマーセメント重量に対して、通常10重量%〜40重量%、更に通常20重量%〜35重量%を含有する。
好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、ポリマーセメントは、0重量%又はできるだけ0重量%に近くから50重量%までの、更に通常0重量%〜10重量%の濃度に溶媒含量を下げるために、溶媒の一部を蒸発により除去するようにフラッシュされる。これは、回収ポリマーと残留溶媒の混合重量に対して、100重量%又はほぼ100重量%から50重量%までの、更に通常100重量%〜90重量%の固形物含量に相当する。
ポリマーセメントのフラッシングに続けて、ポリマーセメント重量に対して、<0.3重量%の一貫した溶媒含量を達成するために、商業生産での真空による脱溶媒化押出し、又は他の真空工程があることが可能である。或いは、そして好ましくは、溶媒は、スチームが溶媒をフラッシュ除去するために導入される熱水タンクにポリマーセメントが添加されるスチームストリッピング操作において、ポリマーセメントから除去することができる。溶媒は、次に、別の単位操作においてスチームから除去される。
本発明のブロックコポリマーは、配合技術分野において公知のように、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、剥離剤及び他の添加剤を配合することができるか、又は通常配合される。
本発明のテーパー状非対称ブロックコポリマーは、好ましくは本質的に重合したモノアルケニルアレーンを含んでなり、更に好ましくはそれからなる、重合したモノアルケニルアレーンを含む第1端部ブロック、好ましくは本質的に重合したモノアルケニルアレーンからなり、更に好ましくはそれからなるものを含む、第1端部ブロックとは異なる分子量を有する第2端部ブロック及び、好ましくは本質的に重合した共役ジエンからなり、更に好ましくはそれからなるものを含む第1セグメント、及び好ましくは本質的に重合形態におけるモノアルケニルアレーン及び共役ジエンの両方からなり、更に好ましくはそれらの両方からなるものを含む、第2又はテーパー状セグメントの二つのセグメントを有する中央又は中間ブロックから構成される。好ましいモノマーには、モノアルケニルアレーンとしてのスチレン及び共役ジエンとしてのブタジエンが挙げられる。
分子量はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定し、GPCシステムは、例えば、既知の分子量を有する類似のポリマーの標準を用いることにより、適切に較正(calibration)されてきている。
本明細書の目的のため、分子量は、ポリスチレンを用いて較正されたサイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)により測定したピーク分子量を意味する。市販されているポリスチレン較正標準を用い、Runyon et al,J.Applied Polymer Science,Vol 13 359頁(1969)及びTung,LHJ,Applied Polymer Science,Vol 24 953頁(1979)に従ってコポリマーの分子量を補正した。
1047A屈折率検出器を有するヒューレットパッカード・モデル1090クロマトグラフは、サイズ排除クロマトグラフィー用に用いることが可能である。好ましい構造は、5ミクロン粒子を充填した4個の300ミリメートル(mm)x7.5mmポリマー・ラボラトリーズ(Polymer Laboratories)SECカラムを備えるクロマトグラフを有する。カラムは、望ましくは105Å孔径粒子を有する2個のカラム、104Å孔径粒子を有する1個のカラム及び混合孔径粒子を有する1個のカラムを含む。1ml/分流量でのHPLCグレードのテトラヒドロフラン(THF)は、担体溶媒として用いることが可能である。カラム及び検出器温度は、好ましくは40℃に設定され、45分の実行時間により満足の行く結果が得られる。
Sardelis et al,Polymer,Volume 25,1011頁(1984)に従ってポリマー試料のテーパを測定するために、JEOL Eclipse400FT NMR分光計を用いる。基本的に、0.100グラム(g)ポリマー試料を、40mlの1,1,2,2テトラクロロエタンd2、100mlのテトラクロロエチレン及び0.1mlのNMRグレードのテトラメチルシランからなるNMR溶媒1.5ミリリットル(ml)中に溶解する。ポリマー試料を溶解した後、NMR管の1/2をこのポリマー溶液により満たす。ポリマー溶液のNMRスペクトルから、7パーツ・パー・ミリオン(ppm)(面積7)及び6.5ppm(面積6.5)でのスペクトル下の面積が得られる。テーパ%は、式100*[2*(面積7)−3*(面積6.5)]/[2*(面積7)+2*(面積6.5)]により計算される。
本発明のATBCsは、好ましくは式A−−B−−A’により表される直鎖トリブロックコポリマーであって、式中、Aはモノアルケニルアレーンの第1ポリマー端部ブロックであり、A’はモノアルケニルアレーンの第2ポリマー端部ブロックであり、Bは、二つのセグメント、好ましくは本質的に共役ジエンからなり、更に好ましくはそれからなるものを含む第1セグメント、及び好ましくは本質的にモノアルケニルアレーン及び共役ジエン両方の重合組合せからなり、更に好ましくはそれら両方からなるものを含む第2又はテーパー状セグメントを有するポリマーブロックである。モノアルケニルアレーンは、好ましくはスチレンであり、共役ジエンは、好ましくはブタジエンである。
理論上、対称ブロックコポリマーは、同じか又はほぼ同じ分子量からなる二つのスチレンポリマーブロックを有する。換言すれば、分子量120,000及び、ブロックコポリマー重量に対して、40%のスチレン含量を有する対称スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーは、それぞれ、約24,000の分子量を有する二つのポリスチレン端部ブロック、及び約72,000の分子量を有するポリブタジエン中間ブロックを有するであろう。比較のため、同じ分子量及びスチレン含量の非対称A−B−A’ブロックコポリマーは、例えば約10,000の分子量を有するAブロック又はポリスチレンブロック、同じ72,000の分子量のポリブタジエン中間ブロック及び約38,000の分子量を有するA’ブロックを有するであろう。
本明細書において用いられる「テーパー%(percent taper)」は、純粋なポリスチレンブロック中に重合しない全体スチレンモノマーの%を指す。換言すれば、純粋なポリスチレンブロック部分の一部でないスチレンモノマーは、中間ブロックBのテーパー状セグメント中に見出すことが可能である。テーパー状セグメント中で、スチレンモノマーはブタジエンと共重合し、それとして、純粋ポリスチレンブロックA及びA’、並びに好ましくは本質的に重合したブタジエンからなり、更に好ましくはそれからなるものを含む中間ブロックBの第1セグメントから「単離」される。
本発明のATBCsは、それら自身に基づき、又は他のポリマー、特にジブロック及びトリブロックコポリマーなどの他のスチレン系ブロックコポリマー、及びポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、及びスチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)などのスチレン系ポリマーと混合して用いることが可能である。少ない透明性が望まれるか、又は透明性が必要でない場合に、本発明のコポリマーは、ポリオレフィン及び/又はオレフィンコポリマーと混合することができる。
本発明ポリマーの、スチレンポリマー及び、ブレンド重量に対して、70〜85重量%のスチレン−ブタジエン(SB)コポリマーとのブレンドは、本発明の改善されたテーパー状ブロックコポリマー用の特に有用な応用例である。これらのブレンドから製造される物品は、対称ブロックコポリマー、非対称非テーパー状ブロックコポリマー又はテーパー状対称ブロックコポリマーの任意のものにより製造される比較可能な混合物に対しても、衝撃強度、実用的な強靭性及び透明性の有利な組合せを有する。
本発明の混合物中に用いられる現在好ましいスチレンポリマーは、通常、(a)スチレンのホモポリマー、又は(b)主要成分としてのスチレンの、例えば、コポリマー重量に対して、20重量%以下の少量の、α−メチルスチレン、ビニルトルエン又はp−t−ブチルスチレンなどのスチレン以外の任意の他の共重合可能なモノビニル芳香族化合物とのコポリマーである。少量の、例えば、コポリマー重量に対して、20重量%以下のアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル及びアクリロニトリルなどの他のモノマーは、スチレンと共重合することができる。
本発明のブロックコポリマーは、バルク重合において製造されるスチレン樹脂とブレンドすることができる。これらの樹脂は、一般的に、必要ならばモノマーを結合するために圧力をかけることを伴って、100〜200℃の範囲にある温度でスチレン及び任意のコモノマーを加熱することにより製造する。重合は、また、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、及び過酸化ジ−t−ブチルなどの遊離ラジカル発生過酸化性触媒の添加により、より低い温度で行うことができる。
或いは、重合は、また、必要ならば製品の沈殿により溶液中で行うことができる。溶媒は蒸気ストリッピング又は溶媒蒸発などの標準技術により除去することができる。
耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)は、また、本発明のコポリマーとのブレンドにおいてうまく用いることができる。適する耐衝撃性ポリスチレンは、エラストマー、典型的にはポリブタジエンゴムの存在下でスチレンを重合化することにより製造することができる。これらの樹脂中で、スチレンはその全体にわたってゴム粒子が分散する連続相を形成する。
視覚的に透明な3成分ポリマー混合物は、(a)ポリスチレン、(b)BASFから市販されているSTYROLUX(登録商標)684D又はSTYROLUX(登録商標)693D、クラトンポリマーズ(Kraton Polymers)から市販されているKRATON(登録商標)D−1401P、アトフィナ(AtoFina)から市販されているFINACLEAR(登録商標)520、又はすべてシェブロン・フィリップス・ケミカルから市販されているKR03、KR05又はXK−40などのK−Resin(登録商標)などのSBブロックコポリマー、及び(c)本発明のATBCから製造することができる。成分(b)は、典型的に、両方の%が成分(b)の重量に対するものであり、全体で100重量%に選択される、名目上スチレン含量75重量%及び名目上ブタジエン含量25重量%を有する。成分(b)は、ブロックコポリマーを製造するためにどの方法が用いられるかに応じて、放射状ジブロックコポリマー、直鎖ブロックコポリマー、結合ジブロックコポリマー又はテーパー状ジブロックコポリマーであることが可能である。本発明の非対称テーパー状ブロックコポリマー(c)は、従来型の対称スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマーよりも高い添加量で視覚的に透明な混合物を生成する。例えば、デクスコ ポリマーズ(Dexco Polymers)から市販されているVECTOR(登録商標)6507SBSブロックコポリマーは、全体3成分混合物重量に対して5重量%以下の添加量で視覚的に透明な3成分ブレンドを生成する。比較のため、同じの、又はほぼ同じの、分子量を有する本発明の非対称テーパー状ブロックコポリマーは、3成分ブレンド重量に対して少なくとも10重量%以下の添加量で視覚的に透明な3成分ブレンドを生成する。
本発明のブレンドは、混合、タンブリング及び押出しを含む任意の適する手段により製造することができる。これらの方法の例には、粉末又はペレットの形態における乾式混合、溶液又はスラリーの形態における湿式混合及び溶融押出配合が挙げられるがこれらに限定するものではない。
ポリマー及び任意の他の材料又は添加剤は、例えば差動ロール製粉機、バンバリーミキサー、又は押出機などのゴム又はプラスチックを混合するために都合よく用いられる任意の適する混合装置の支援により、望ましい割合で機械的に一緒にブレンドすることが可能である。
これらのタイプのブレンド方法において、用いられるポリマー及び任意の他の成分及び添加剤は、例えば毛羽(fluff)、粉末、粒状、ペレット、溶液、スラリー及び/又は乳化液などの任意の形態にあることができる。あらゆる添加剤は、技術上公知の任意の方法によりポリマーと混合することができる。混合法の例には、粉末の形態における乾式混合及び溶液又はスラリーの形態における湿式混合が挙げられるがそれらに限定されない。
溶融押出配合は、ポリマーの融点又はガラス転移温度を超える温度での、任意の適する方法及び1軸スクリュー又は2軸スクリュー押出機、又は別の溶融押出機などの装置を用いて行うことができる。
本発明の好ましい方法は、粉末又は粒状形態にあるポリマーをブレンドし、ブレンドをシート形態に押出成形して熱成形装置に供給するか、又は射出もしくは中空成形機に供給原料として直接供給することを含む。
ポリマーの十分な混合を促進し、物理的特性の望ましい組合せを生み出すために、ペレットは、一般に、ペレットの軟化を避けるために十分な低い温度でロスインウエイトフィーダ又はスクリューフィーダにより計量される。計量されたペレットは、成分を融解し混合して均質融解生成物を提供する押出成形機中に落とされる。
或いは、技術上公知の溶液ブレンドは用いることが可能である。
ブレンドにおいて有用なポリマー量の範囲は、必要とされる特性及び経済性によって変動する。例えば、本発明のコポリマーをスチレンポリマーとブレンドする場合に、実際の範囲は、スチレンポリマー重量に対して、10重量%〜70重量%、更に通常スチレンポリマー重量に対して、20重量%〜65重量%、最も好ましくはスチレンポリマー重量に対して、30重量%〜60重量%などの量を用いることを含み、バランス分は本発明の1又はそれ以上の多モードの樹脂コポリマー製品である。更に具体的な例として、本発明のコポリマーが汎用ポリスチレンとブレンドする場合に、広い範囲は、10重量%〜70重量%ポリスチレン、更に通常20重量%〜65重量%ポリスチレン、最も好ましくは30重量%〜60重量%ポリスチレンなどの量を用いることを含み、バランス分は本発明の1又はそれ以上の多モードの樹脂コポリマー製品である。一般に、本発明のコポリマーの混合物中での過剰量の使用は、良好な特性をもたらすが、しかし経済性利点の損失を招くであろう。本発明のコポリマーの混合物中での過少量の使用は、衝撃抵抗度の損失を招くであろう。これらのブレンドは、ブレンドから製造される物品中の低いヘイズを保持しながら、ポリスチレン及び本発明のポリマー両方の望ましい属性を得ることに対する経済的な道筋を提供することができる。
本明細書において開示される本発明の組成物又はそれらの他のポリマーとのブレンドは、押出成形するか、熱成形するか、射出成形するか、中空成形するか、又はフィルム又はシートに作り上げることができる。
本発明の組成物から製造される物品は、透明、強靭であり、良好な衝撃強度を有し、そして飲用カップ、蓋、ボトル、他の食品容器、医用排液装置、収縮フィルム及び上包などの用途に許容可能な範囲内の他の物理的特性を有する。本発明のコポリマーのブレンドから製造される物品は、類似の用途の有利な特性を経済的に提供することができる。
以下の実施例は本発明を説明するが、決して限定するものではない。アラビア数字は本発明の実施例(Ex)を表し、アルファベット文字は比較例(Comp Ex)を示す。すべての部及び%は特記しない限り重量基準である。加えて、表中に示すすべての量は、特記のない限りそれぞれの組成物中に含有されるポリマーの重量に対するものである。
実施例(Ex)1及び比較例(Comp Ex)A−E
実施例1(A−T−SBS)の製造
攪拌タンク反応器中に、シクロヘキサン溶媒844ポンド(lbs)(382.8キログラム(kg))を添加し、反応器内容物を65℃まで予熱する。シクロヘキサン中に溶解したsec−ブチルリチウムの形態にあるリチウム0.951モルを含有する重合開始剤溶液522グラム(g)を添加する。供給原料流中に含有される安定剤、水及び他の不純物を除去するためにアルミナ床を通して65℃の温度に予熱されたスチレンモノマー供給原料流21.1lbs(9.57kg)を添加する。シクロヘキサン100lbs(45.4kg)によりアルミナ床及びラインを洗い流す。スチレンを15分間にわたり反応させる。任意の不純物を除去するためにアルミナ床を通して65℃の温度に予熱されたブタジエンモノマー150.7lbs(68.4kg)を添加し、再び、シクロヘキサン100lbs(45.4kg)によりアルミナ床及びラインを洗い流す。ブタジエンの添加完了1分後に、安定剤、水及び他の不純物を除去するために、アルミナ床を通して65℃の温度に予熱されたスチレンモノマー供給原料流79.4lbs(36.0kg)を添加し、なお再び、シクロヘキサン100lbs(45.4kg)によりアルミナ床及びラインを洗い流す。反応器内容物の反応を完遂させ、120,000グラム/モル(g/モル)のA−T−SBSブロックコポリマー251lbs(113.9kg)を生成する。イソプロパノール63gを反応器に添加することによりブロックコポリマーのリビング端部を停止させる。ポリマーをH3PO4溶液54.8gにより中和する。酸化防止剤としてポリマー溶液に、4−[[4,6−ビス(オクチルチオ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ]−2,6−ジ−t−ブチルフェノール(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals Corporation)から商標表示IRGANOX(登録商標)565で市販されている)114g及び亜リン酸トリス(ノニルフェニル)(TNPP)(GEスペシャルティー・ケミカルズ(GE Specialty Chemicals)から商標表示WESTON(登録商標)W399で市販されている)1118gを添加する。ポリマー溶液を水槽中に注入し、シクロヘキサンをフラッシュ分離させるために蒸発させる。水槽から得られるポリマーの柔らかい部分を濾過し、それを65℃オーブン中で12時間にわたり乾燥する。
比較例A(A−SBS)の製造
A−T−SBSブロックコポリマーを製造するために用いたものと同じ装置及びA−T−SBSブロックコポリマーを製造するために用いた工程の修正法を用いて、非対称SBS(A−SBS)ブロックコポリマーを製造する。重合開始剤として、シクロヘキサン中に溶解したn−ブチルリチウムの形態にあるリチウム0.959モルを含有する重合開始剤溶液527グラム(g)を用いる。ブタジエンモノマー添加完了1分後にスチレンモノマーの第2部分を添加する代わりに、スチレンモノマーの第2部分を添加する前に、ブタジエン反応を15分間にわたり進行させる。1分でなくて15分の増加時間は、ブタジエン重合を本質的に完遂させることを可能とする。H3PO4溶液の量を55.3gに増やす。修正法は、120,000g/モルのA−SBS(非テーパー状)ブロックコポリマー251lbs(113.9kg)を生成する。A−SBSブロックコポリマーを、A−T−SBSブロックコポリマー回収用に上述したのと同じやり方で回収する。
比較例B(T−SBS)の製造
A−T−SBSブロックコポリマーを製造するために用いたものと同じ装置、及びA−T−SBSブロックコポリマーを製造するために用いた工程の修正法を用いて、テーパー状SBS(T−SBS)ブロックコポリマーを製造する。シクロヘキサン溶媒量を822lbs(372.9kg)に下げ、重合開始剤として、シクロヘキサン中に溶解したn−ブチルリチウムの形態にあるリチウム0.680モルを含有する重合開始剤溶液373gを用いる。スチレンモノマーの第1添加量を35.6lbs(16.15kg)に上げ、ブタジエンモノマー添加量を111.4lbs(50.5kg)に下げ、スチレンモノマーの第2添加量を35.6lbs(16.15kg)に下げる。加えて、イソプロパノールの量を45gに、H3PO4溶液を31.3gmに、IRGANOX(登録商標)565を104gに、そしてTNPPを813gに下げる。修正法は、120,000g/モルのT−SBS(テーパー状)ブロックコポリマー183lbs(82.8kg)を生成する。T−SBSブロックコポリマーを、A−T−SBSブロックコポリマー回収用に上述したのと同じやり方で回収する。
比較例C(SBS)の製造
A−T−SBSブロックコポリマーを製造するために用いたものと同じ装置及びT−SBSブロックコポリマーを製造するために用いた工程(比較例B)の修正法を用いて、SBSブロックコポリマーを製造する。ブタジエンモノマー添加完了1分後に、スチレンモノマーの第2部分を添加する代わりに、スチレンモノマーの第2部分を添加する前に、ブタジエン反応を15分間にわたり進行させる。修正法は、120,000g/モルの対称非テーパー状SBSブロックコポリマー183lbs(82.8kg)を生成する。SBSブロックコポリマーを、T−SBSブロックコポリマー回収用に上述したのと同じやり方で回収する。
本発明のA−T−SBSブロックコポリマー代表例に対する物理的特性は、実施例1として以下の表Iにまとめる。表Iは、また、以下のいくつかの比較例に対する物理的特性データを含む。A−SBSブロックコポリマー(比較例A)、T−SBSブロックコポリマー(比較例B)、SBSブロックコポリマー(比較例C)、ダウケミカル(Dow Chemical Company)から商標表示STYRON(登録商標)685Dで市販されているポリスチレン樹脂(PS)(比較例D)及びシェブロンフィリップスケミカルから商標表示K−Resin(登録商標)KR05で市販されているSBジブロックコポリマー(比較例E)。修正メルトフローレイト(MFR)を、10キログラム(kg)重量及び0.1564インチ(3.97ミリメートル(mm))毛管径を伴って200℃の温度で測定する。
Figure 0005002800
実施例2及び比較例F−1
表I中に識別されるものから選択される樹脂を用いて、それぞれが全体ブレンド重量に対して12.5重量%の計算ゴム含量を有する一連の乾燥樹脂ポリマーブレンドを製造する。それぞれの樹脂成分を計量して混合容器中に入れ、すべての成分を容器中に置いた後、容器を閉じ、それを、実質的に均一な樹脂ブレンドを得るために十分な時間にわたりタンブリング装置上に置く。30分により、典型的に、視覚的に均一なブレンドが生成する。表IIは各ブレンドのポリマー組成を示す。
Figure 0005002800
射出成形
NCIII制御系及び7−キャビティ組合せ金型を有するマンネスマン(Mannesmann)100−トンデマグ(Demag)射出成形機を用いて、混合物を射出成形部品(ステップチップ、衝撃試験ディスク及び引張棒)に加工する。組合せ金型は、0.060/0.100/0.125−インチ(1.52/2.54/3.18mm)厚さのステップチップ、末端ゲート化ドッグボーン引張棒6.5インチ(16.5cm)長さ及び0.125インチ(3.18mm)厚さ、末端ゲート化バーン棒5インチ(12.7cm)長さ及び0.125インチ(3.18mm)厚さ、サイドゲート化ドッグボーン引張棒6.5インチ(16.5cm)長さ及び0.125インチ(3.18mm)厚さ、サイドゲート化バーン棒5インチ(12.7cm)長さ及び0.125インチ(3.18mm)厚さ、サイドゲート化厚バーン棒5インチ(12.7cm)長さ及び0.25インチ(6.35mm)厚さ、及び4−インチ(10.16cm)ディスク0.125インチ(3.18mm)厚さを含む。すべての金型キャビティを満たすのではなく、厚いバーン棒用の射出ポートは封鎖する。
成形機は38mm単一ネジ押出機スクリューを含有する。乾燥混合物を機械のホッパー中に注ぐ。押出機バレル温度を、405°F(207℃)のノズル温度を伴って、領域1、2及び3に対して、それぞれ、375°F(190℃)、385°F(196℃)及び395°F(202℃)に設定する。金型温度を110°F(43℃)に制御する。1.10秒射出時間、6278ポンド/平方インチ(psi)(43.3メガパスカル(MPa))の保持圧力、6278psi(43.3MPa)の背圧及び45.8秒の全サイクル時間を用いて部品を形成する。最初の15サイクルからの部品を廃棄して射出成形工程を線引きし、次に、次の16成形サイクルから試料を評価する。
機器を備えた衝撃試験用にディスク、引張試験用に末端ゲート化ドッグボーン引張棒、繰り返し曲げ試験用に末端ゲート化バーン及びヘイズ及び透明度試験用にステップチップを用いる。
得られる物品を視覚試験にかけて、それらが非均一性又はスプレーの形跡を示すかどうかを測定する。加えて、得られる物品を、60ミル(1.52mm)、100ミル(2.54mm)及び125ミル(3.18mm)厚さのステップチップを用いてASTM D1925(ASTM D1003に類似の)によるヘイズ%評価にかける。加えて、0.125インチ(3.18mm)厚さの末端ゲート化バーン棒をASTM D790による73°F(23℃)での曲げ試験にかけて、平均弾性率(Modavg)(105ポンド/平方インチ(psi)/メガパスカル(MPa)、平均強度(Stravg)(psi/パスカル(Pa)及びMod−2が0〜1%伸びの割線係数である平均第2弾性率(Mod−2avg)(105psi/MPa)を測定する。また、73°F(23℃)で、及びASTM D3763により、ポンド(lbs)又はキログラム(kg)での平均ピーク負荷(PLavg)及びインチ−ポンド(in−lbs)又はニュートン−メートル(N−m)での平均全体エネルギー(Totengavg)を測定する。最終的に、ASTM D638を用いて、73°F(23℃)で、0.125インチ(3.18mm)厚さの末端ゲート化ドッグボーン引張棒上での、平均弾性率(Modavg)(105psi/MPa)、平均耐力(YSavg)(psi/Pa)、平均降伏伸び(YEavg)(%)、平均破断強度(BSavg)(psi/Pa)、平均引張破断伸び(BEavg)(%)及び平均引張強度(TSavg)(psi/Pa)を測定する。各ケースにおいて、平均は5試料の算術平均である。データを表IIIに要約する。
Figure 0005002800
混合物を1.5インチ(38mm)径のキリオン(Killion)シート押出成形機を用いてキャストシートに加工する。押出成形機は、先端上にマドックス(Maddox)ミキサーを有するバリアスクリューを含有する。ギアポンプを押出成形機の鼻端に取り付ける。押出成形機金型は、内部チョーク棒を有する14インチ(35.6cm)幅のフレックスリップ金型を有する。クロムメッキされ温度制御された3本ロールを含有する垂直ロールスタック中に水平に押出すように金型を位置付ける。
上述のように製造した乾燥混合物を押出成形機のホッパーに添加する。押出成形機の三つの押出領域を、それぞれ、供給側から鼻端にかけて320°F(160℃)、350°F(177℃)及び380°F(193℃)の設定温度に制御する。クランプ及びアダプターを設定温度380°F(193℃)に、ギアポンプ及び金型領域を設定温度400°F(204℃)に制御する。押出成形機スクリューを106回転/分(rpm)で回転し、融解温度404°F(207℃)及び頭部圧力2500〜3000psi(17.2〜20.7MPa)を与える。ギアポンプを、吸込圧力500〜600psi(3.4〜4.1MPa)及び吐出圧力900〜950psi(6.2〜6.6MPa)を伴って1100rpmで運転する。金型ギャップを0.060インチ(1.52mm)に設定する。熱可塑化ポリマーの小さな堆積層、0.058インチ(1.47mm)シート厚さ及び13.5インチ(34.3cm)シート幅を保持するように、ロールギャップを調整する。得られるシートを射出成形品に対して記載したものと同じ試験にかける。データを表IVに要約する。
Figure 0005002800
2軸配向シート延伸
混合物を、T.M.ロング・フィルムストレッチャー(Long Filmstretcher)機を用いて、流れ方向(MD)に3.4、対して横断方向(TD)に3.0の延伸比による2軸延伸シートに加工する。長さ及び幅両方において独立にシートを延伸することができる機械は、事前に設定した温度で、事前に設定した速度で事前に設定した延伸比まで、プレカット正方形物(4.25インチ x 4.25インチ(10.8cm x 10.8cm))のキャストシートを2方向に延伸する。正方形物を正方形物のそれぞれの側上の13の空気動作クランプにより枠中に型締めし、枠及びフィルムを、設定温度125℃で保持される予熱板上に事前設定温度140℃で保持される機械のオーブン中に置く。オーブンドアを閉じ、シートをMD及びTD両方向に同時に0.15インチ/秒(3.81mm/秒)の速度で上記延伸比に延伸する前に、予熱が90秒間にわたり起こることを可能とする。MDはキャストフィルムシートの長さに沿ったものとして定義され、TDはMDに対して垂直又はキャストフィルムシートの幅を横断するものとして定義される。
2軸延伸シートを物理的特性試験にかけて、ASTM D1925(ASTM D1003に類似の)を介してヘイズ%、MD及びTD両方の以下の引張特性を測定する。すべてASTM D882による、(105psi/MPa)での1%割線係数(1%sec・mod)、2%sec・mod(105psi/MPa)、インチ/ミリメートル(in/mm)での平均弾性率厚さ(modulus thickness)(MTavg)、in/mmでの平均引張厚さ(tensile thickness)(TTavg)、YSavg、YEavg、BSavg、BEavg及びin/mmでの計算全体厚さ。物理的特性試験データを表Vに要約する。
Figure 0005002800
熱成形カップ
混合物のキャストシートを、16オンス(0.473リットル)カップ用の雄型及び雌型を含有するプラテンを備えるアーウイン(Irwin)熱成形機を用いて熱成形カップに加工する。機械は、640°F(338℃)に設定した上部放射放熱機及び600°F(316℃)に設定した下部放射放熱機を有する予熱オーブンを含む。4秒サイクル時間(プラテン間の予熱シートの挿入開始前のプラテンの開きの始まりから、プラテン間の次の予熱シートの挿入開始前のプラテンの開きの始まりまでを測定)を用いる。熱成形機は、キャストシート中にカップ形状物を作り出す。カップ形状物を別個のオフライン操作においてシートから引き離すが、しかし、カップリップをリングロール(ring roll)しない。ASTM D1925(ASTM D1003に類似の)によりカップの側壁及び底部両方に対するヘイズ%を評価し、カップを、それらの側面上に支持されるカップの側壁に対して圧縮モードにあるインストロン(Instron)引張試験機を用いる側壁圧縮強度試験にかける。物理的特性試験データを表VIに要約する。
Figure 0005002800
表III〜VI中に含まれるデータは、本発明の非対称テーパーSBSブロックコポリマーが、一般に、ポリスチレン(PS)とスチレン/ブタジエン(SB)ジブロックコポリマーの50/50重量/重量混合物のそれよりも衝撃抵抗度を改善するが、しかし、非対称SBSブロックコポリマー、テーパー状SBSブロックコポリマー又は対称SBSブロックコポリマーよりも低いヘイズの増加を伴ってそのように改善することを実証する。

Claims (11)

  1. 直鎖構造A−−B−−A’(式中、Aは、5,000〜20,000の範囲内の分子量を有する、重合したモノアルケニルアレーンの第1端部ブロックであり、Bは、重合した共役ジエンを含む第1セグメント並びにテーパー状であり、共役ジエン及びモノアルケニルアレーンの両方の重合した組合せを含む第2セグメントを有する、ランダム化剤が存在しないプロセスから得られるポリマーブロックであって、テーパー状セグメントがブロックコポリマー中に含有されるすべてのモノアルケニルアレーンを0超〜50重量%含み、ポリマーブロックBは28,000〜212,500の範囲内の分子量を有するポリマーブロックであり、そしてA’は、25,000超〜157,500の範囲内の分子量を有する、重合したモノアルケニルアレーンの第2ポリマー端部ブロックである。)を有する非対称、テーパー状モノアルケニルアレーン−共役ジエン−モノアルケニルアレーンブロックコポリマーであって、80,000〜250,000の範囲内の全体分子量を有し、且つコポリマー重量に対して、30〜55重量%の範囲内のモノアルケニルアレーン含量を有し、且つモノアルケニルアレーン含量及びブタジエン含量の合計量が100重量%に等しいブロックコポリマー。
  2. モノアルケニルアレーンがスチレンである請求項1に記載のブロックコポリマー。
  3. 共役ジエンがブタジエン、イソプレン又はブタジエンとイソプレンの組合せである、請求項1又は2に記載のブロックコポリマー。
  4. ブロックコポリマーが100,000〜180,000の範囲内の分子量を有する請求項1又は2に記載のブロックコポリマー。
  5. 端部ブロックA’が25,000〜90,000の範囲内の分子量を有する請求項1又は2に記載のブロックコポリマー。
  6. 端部ブロックAが7,000〜15,000の範囲内の分子量を有する請求項1又は2に記載のブロックコポリマー。
  7. ブロックBが45,000〜135,000の範囲内の分子量を有する請求項1又は2に記載のブロックコポリマー。
  8. 組成物がポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー及び請求項1に記載の非対称、テーパー状モノアルケニルアレーン−共役ジエン−モノアルケニルアレーンブロックコポリマーを含み、ブレンド組成物が少なくとも50%のASTM D1925により測定した透明度を有するポリマーブレンド組成物。
  9. すべての%がブレンド重量に対するものであり、全体で100%に選択される、0〜100重量%未満のポリスチレン樹脂、0〜100重量%未満のスチレン−ブタジエンブロックコポリマー及び0超〜40重量%のテーパー状ブロックコポリマーを含む請求項8に記載の組成物。
  10. 請求項8又は9に記載のポリマーブレンドを含む熱成形性延伸モノアルケニルアレーンポリマーシート。
  11. 請求項8又は9に記載のポリマーブレンドを含む熱成形された延伸モノアルケニルアレーンポリマーシート。
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