JP6575095B2 - 熱可塑性エラストマー組成物、成形体及び建材 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物、成形体及び建材 Download PDF

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Description

本発明は熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、押出成形性、耐油性、柔軟性に優れ、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂のような硬質樹脂との熱融着が可能である熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法に関する。本発明はまた、この熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体及び建材に関する。
従来、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、自動車部品、家電部品、生活用品などの幅広い分野で使用されている。このようなポリエステル系熱可塑性エラストマーには、主としてポリブチレンテレフタレートをハードセグメントにポリテトラメチレングリコールをソフトセグメントにしたブロック共重合体が使用されている。
このようなブロック共重合体は、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの重縮合反応によって製造されるのが一般的であるが、溶融粘度を上げ過ぎると重合槽からの抜き出しが困難となるため、溶融粘度の上昇には限界がある。このため、このようにして製造されたブロック共重合体及びこれを含むポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物は、主に射出成形用途として使用されてきた。例えば、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等からなる成形体と、この成形体と熱融着可能なポリエステル系熱可塑性エラストマーとを射出成形して得られた複合成形体が開示されている。また、特許文献2には、熱硬化性樹脂からなる成形体と、この成形体と熱融着可能なポリエステル系熱可塑性エラストマーとを射出成形して得られた複合成形体が開示されている。更に、特許文献3には、ポリアミド樹脂からなる成形体に射出成形にて熱融着可能なポリエステル系熱可塑性エラストマーが開示されている。
特開平10−007878号公報 特開平11−179850号公報 特開2006−036812号公報
上記特許文献1〜3に開示されているポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物は、いずれも主として射出成形を前提としたものであるが、近年、ポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物については、戸当たり、戸棚パッキン等の建材用途等へとその適用範囲が拡大されつつある。これら建材のような長尺部材に適用するには、押出成形性に優れることが要求されるが、本発明者が鋭意検討した結果、従来のポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物では、これらの用途に用いるために必要な押出成形性が不十分であることがわかった。また、本発明者は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物をこれらの用途に適用するためには、柔軟性、耐油性、ABS樹脂との熱融着性等も向上させる必要があることを見出した。
即ち、本発明の課題は、押出成形性、柔軟性、耐油性、ABS樹脂との熱融着性等に優れた熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体として、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量の異なる2種類のブロック共重合体と、スチレン系エラストマー及び/又はその水添物とを所定の割合で配合することにより、押出成形性、柔軟性、耐油性、ABS樹脂との熱融着性等に優れた熱可塑性エラストマー組成物を実現することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて完成されたものであり、以下の[1]〜[11]を要旨とする。
[1] 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、成分(A)を1〜50重量部、成分(B)を10〜60重量部、成分(C)を30〜70重量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体
成分(B):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体
成分(C):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物
[2] 更に下記成分(D)を含み、かつその含有量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、5〜40重量部である、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
[3] 更に下記成分(E)を含み、かつその含有量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、10〜50重量部である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(E):無機フィラー
[4] メルトフローレート(温度230℃、荷重49N)が0.1〜6g/10分である、[1]乃至[3]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5] [1]乃至[4]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
[6] 押出成形してなる、[5]に記載の成形体。
[7] アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂と熱融着してなる、[5]又は[6]に記載の成形体。
[8] [5]乃至[7]のいずれかに記載の成形体からなる建材。
[9] 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を原料として用い、かつこれらの使用量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して成分(A)を1〜50重量部、成分(B)を10〜60重量部、成分(C)を30〜70重量部である熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
成分(A):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体
成分(B):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体
成分(C):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物
[10] 更に下記成分(D)を原料として用い、かつその使用量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して5〜40重量部である、[9]に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
[11] 更に下記成分(E)を原料として用い、かつその使用量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して10〜50重量部である、[9]又は[10]に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
成分(E):無機フィラー
本発明によれば、押出成形性、柔軟性、耐油性、ABS樹脂との熱融着性等に優れた熱可塑性エラストマー組成物が提供される。本発明の熱可塑性エラストマー組成物によれば、その優れた押出成形性により、長尺部材を生産性よく製造することができ、得られた成形体は柔軟性、耐油性、ABS樹脂との熱融着性等にも優れ、戸当たり、戸棚パッキン等の建材等に有用である。
実施例における異形押出性の評価に用いた押出機の口金形状を示す模式図である。
以下に本発明の熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法と、成形体及び建材の実施の形態を詳細に説明する。本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。尚、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、成分(A)を1〜50重量部、成分(B)を10〜60重量部、成分(C)を30〜70重量部含むものであり、更に下記成分(D)を、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し5〜40重量部含むことが好ましく、また、下記成分(E)を、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し10〜50重量部含むことが好ましい。
成分(A):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体
成分(B):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体
成分(C):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(E):無機フィラー
なお、本発明に係る成分(A)及び成分(B)のブロック共重合体のポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量と含有量は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を使用し、その水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。
<成分(A)>
本発明で用いる成分(A)のブロック共重合体は、ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体であり、このブロック共重合体は、結晶性を有するポリブチレンテレフタレートユニットに基づくハードセグメントと、柔軟性を有するポリテトラメチレングリコールユニットに基づくソフトセグメントとを有する。
成分(A)のブロック共重合体のソフトセグメントであるポリテトラメチレングリコールの数平均分子量は1,500以上3,000以下であり、1,600以上であることが好ましく、1,700以上であることがより好ましく、1,800以上であることが更に好ましく、一方、2,500以下であることが好ましく、2,200以下であることがより好ましい。
成分(A)のブロック共重合体におけるハードセグメントであるポリブチレンテレフタレートユニット及びソフトセグメントであるポリテトラメチレングリコールユニットのそれぞれの含有量は限定されないが、ハードセグメントの結晶性とソフトセグメントの柔軟性とのバランスから、ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量は、通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上である。また、ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量は、通常50重量%以下、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。また、ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量は、通常50重量%以上、好ましくは55重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。また、ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量は、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下である。
成分(A)のブロック共重合体は、ソフトセグメントであるポリテトラメチレングリコールユニットに基づく柔軟性を有するが、この柔軟性は、ISO−7619−1に準拠して測定したデュロ硬度A(タイプAデュロメータ硬度)として表すことができる。成分(A)のデュロ硬度Aは通常75以上90以下である。
また、本発明に用いる成分(A)のブロック共重合体は、測定温度230℃、測定荷重21Nのメルトフローレート(以下、MFRと略記する。)が、100g/10分以下であることが好ましく、60g/10分以下であることがより好ましく、40g/10分以下であることが更に好ましく、一方、MFRは0.1g/10分以上であることが好ましく、0.5g/10分以上であることがより好ましい。
<成分(B)>
本発明で用いる成分(B)のブロック共重合体は、ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体であり、このブロック共重合体は、結晶性を有するポリブチレンテレフタレートユニットに基づくハードセグメントと、柔軟性を有するポリテトラメチレングリコールユニットに基づくソフトセグメントとを有する。
成分(B)のブロック共重合体のソフトセグメントであるポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量は500以上1,500未満であり、700以上であることが好ましく、800以上であることがより好ましく、一方、1,300以下であることが好ましく、1,200以下であることがより好ましい。
成分(B)のブロック共重合体におけるハードセグメントであるポリブチレンテレフタレートユニット及びソフトセグメントであるポリテトラメチレングリコールユニットのそれぞれの含有量は限定されないが、ハードセグメントの結晶性とソフトセグメントの柔軟性とのバランスから、ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量は、通常30重量%以上、好ましくは35重量%以上である。また、ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量は、通常60重量%以下、好ましくは55重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。また、ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量は、通常40重量%以上、好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。また、ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量は、通常70重量%以下、好ましくは65重量%以下である。
成分(B)のブロック共重合体は、ソフトセグメントであるポリテトラメチレングリコールユニットに基づく柔軟性を有するが、この柔軟性は、ISO−7619−1に準拠して測定したデュロ硬度D(タイプDデュロメータ硬度)として表すことができる。成分(B)のデュロ硬度Dは通常20以上50以下である。
また、本発明に用いる成分(B)のブロック共重合体は、測定温度230℃、測定荷重21Nのメルトフローレート(以下、MFRと略記する。)が、100g/10分以下であることが好ましく、60g/10分以下であることがより好ましく、40g/10分以下であることが更に好ましく、一方、MFRは0.1g/10分以上であることが好ましく、0.5g/10分以上であることがより好ましい。
<成分(A)と成分(B)の併用>
成分(A)のポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体だけでは、耐油性が十分でなく、成分(B)のポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体のみでは柔軟性が十分でないため、本発明では、耐油性と柔軟性を両立するためには、成分(A)のポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体と、成分(B)のポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体を併用する。
成分(A)及び成分(B)のポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体としては、「プリマロイ(登録商標)」(三菱化学社製)、「ペルプレン(登録商標)」(東洋紡績社製)、「ハイトレル(登録商標)」(デュポン社製)等の市販品からそれぞれ該当品を選択して用いることができる。
<成分(C)>
成分(C)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物としては、以下の式(1)及び/又は式(2)で表されるスチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物(水素添加誘導体)(以下、「水添ブロック共重合体」と称する場合がある。)が好ましく、以下の式(1)及び/又は式(2)で表される水添ブロック共重合体が特に好ましい。
S−(D−S) …(1)
(S−D) …(2)
(式中、Sはスチレン単位からなる重合体ブロックを表し、Dは共役ジエン単位からなる重合体ブロックを表し、m及びnは1〜5の整数を表す。)
上述のブロック共重合体は、直鎖状、分岐状、及び放射状の何れでもよい。Sの重合体ブロックを構成する単量体のスチレンとしては、スチレンに限らずα−メチルスチレン等のスチレン誘導体であってもよい。Dの重合体ブロックを構成する共役ジエン単量体としては、ブタジエン及び/又はイソプレンが好ましい。
式(1)及び/又は式(2)で表されるブロック共重合体が水添ブロック共重合体であり、Dの重合体ブロックがブタジエンのみから構成される場合、Dブロックのミクロ構造中の1,2−付加構造の割合(以下、単に「1,2−付加構造割合」と称す。)が20〜70重量%であるのが水添後のエラストマーとしての性質を保持する上で好ましい。
式(1),(2)におけるm及びnは、秩序−無秩序転移温度を下げるという意味では大きい方がよいが、製造しやすさ及びコストの点では小さい方がよい。ブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)としては、ゴム弾性に優れることから、式(2)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)よりも式(1)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)が好ましく、mが3以下である式(1)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)が更に好ましく、mが2以下である式(1)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)が特に好ましく、mが2以下である式(1)で表される水添ブロック共重合体が最も好ましい。
式(1)のブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)中の「Sの重合体ブロック」の割合は、強度と耐熱性の観点から10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることが更に好ましく、20重量%以上であるのが特に好ましく、また、柔軟性と耐衝撃性の観点から50重量%以下であることが好ましく、45重量%以下であることが更に好ましく、40重量%以下であることが特に好ましい。
成分(C)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)の重量平均分子量は、成形性、機械的強度の点では大きい方が好ましく、100,000以上であることが好ましく、200,000以上であることが更に好ましい。一方、成形品外観の点では小さい方が好ましく、600,000以下であることが好ましく、550,000以下であることがより好ましく、500,000以下であることが更に好ましい。ここで、成分(C)の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する場合がある)により、以下の条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(測定条件)
機器:日本ミリポア社製「150C
ALC/GPC」
カラム:昭和電工社製「AD80M/S」3本
検出器:FOXBORO社製赤外分光光度計「MIRANIA」測定
波長3.42μm
溶媒:o−ジクロロベンゼン
温度:140℃
流速:1cm/分
注入量:200マイクロリットル
濃度:2mg/cm
酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−フェノール0.2重量%添加
成分(C)のブロック共重合体の市販品としては、クレイトンポリマージャパン社製「クレイトン(登録商標)D」、旭化成社製「タフプレン(登録商標)」等が挙げられ、水添ブロック共重合体の市販品としては、クレイトンポリマージャパン社製「クレイトン(登録商標)G」、クラレ社製「セプトン(登録商標)」、旭化成社製「タフテック(登録商標)」等が挙げられる。
成分(C)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<成分(D)>
成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、流動性の向上に有効である。
炭化水素系ゴム用軟化剤としては成分(C)に対する親和性が高いことから、鉱物油系軟化剤や合成樹脂系軟化剤が好ましく、鉱物油系軟化剤が更に好ましい。
鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30〜45%程度がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが芳香族系オイルと各々呼ばれている。成分(D)として用いる炭化水素系ゴム用軟化剤は、上述の各種軟化剤の何れか1種でも、複数種の混合物でも構わないが、これらのうち、色相が良好であることから、パラフィン系オイルが好ましい。また、合成樹脂系軟化剤としては、ポリブテン及び低分子量ポリブタジエン等が挙げられる。
炭化水素系ゴム用軟化剤の40℃における動粘度は、20センチストークス以上であることが好ましく、50センチストークス以上であることが更に好ましく、また、一方、800センチストークス以下であることが好ましく、600センチストークス以下であることが更に好ましい。また、炭化水素系ゴム用軟化剤の引火点(COC法)は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上であるのが更に好ましい。
<成分(E)>
成分(E)の無機フィラーは充填剤として配合する事が出来、具体的には、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の板状フィラー、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状フィラー、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素、ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム、炭化珪素等の針状(ウイスカー)フィラー、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状フィラー、ガラスバルーンのようなバルン状フィラーが挙げられる。これらの無機フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。この中で経済性から炭酸カルシウムが好ましい。
成分(E)の無機フィラーは粒状フィラーであることが好ましい。成分(E)の無機フィラーが粒状フィラーである場合、熱可塑性エラストマー組成物中での分散性の観点から、平均粒子径(空気透過法)が好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。
<配合量>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前述の成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、成分(A)を1〜50重量部、成分(B)を10〜60重量部、成分(C)を30〜70重量部含む。
成分(A)の含有量が上記下限より少ないと、柔軟性が不足し、上記上限よりも多いと、耐油性が低下する。成分(A)は、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し3〜45重量部、特に5〜40重量部含まれることが好ましい。
成分(B)の含有量が上記下限より少ないと、耐油性が不足し、上記上限よりも多いと、柔軟性が低下し、また、ABS樹脂との熱融着強度が低下する。成分(B)は、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し15〜55重量部、特に20〜50重量部含まれることが好ましい。
本発明では、特に、成分(A)と成分(B)とを併用することによる耐油性と柔軟性の両立を図るために、成分(A)と成分(B)とは重量比で成分(A):成分(B)=1:0.4〜8、特に1:0.5〜7の割合で用いることが好ましい。
成分(C)は、熱可塑性エラストマー組成物の流動性、押出成形性の向上に機能する。成分(C)の含有量が上記下限より少ないと、得られる熱可塑性エラストマー組成物のMFRが高くなり過ぎて、押出成形性が劣るものとなる。一方、成分(C)の含有量が上記上限よりも多いと、ABS樹脂との熱融着強度が低下する。成分(C)は、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し30〜65重量部、特に35〜60重量部含まれることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が更に成分(D)を含むことにより、柔軟性、流動性をより一層高めることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(D)を含む場合、以下の下限値以上とすると、成分(D)による上記効果を十分に得る観点から好ましい。一方、以下の上限値以下とすることが機械的強度の観点から好ましい。従って、本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(D)を含む場合、その含有量は、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し5〜40重量部、特に10〜30重量部であることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が更に成分(E)を含むことにより、その種類に応じて絶縁性、熱伝導性、耐水性、難燃性等を付与することができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(E)を含む場合、以下の下限値以上とすると、成分(E)による上記効果を十分に得る観点から好ましい。一方、以下の上限値以下とすることが成形性、成形品の耐摩耗性や外観等の観点から好ましい。従って、本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(E)を含む場合、その含有量は、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し10〜50重量部、特に12〜40重量部であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前述した成分(A)〜(E)以外の他の成分(本明細書において、単に「その他の成分」と称することがある。)を含有していてもよい。その他の成分としては、成分(A)〜(C)以外の樹脂(本明細書においては単に「その他の樹脂」と称することがある。)や各種添加剤等が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が含有し得るその他の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂(ただし、成分(A)又は成分(B)に該当するものを除く。)、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂(ただし、成分(C)に該当するものを除く。)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。上記で挙げたその他の樹脂は1種のみを含有しても2種以上を含有してもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が含有し得る添加剤としては、酸化防止剤、結晶核剤や滑剤等の成形助剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、耐加水分解改良剤、顔料、染料等の着色剤、帯電防止剤、導電剤、難燃剤、補強剤、充填剤(ただし、成分(E)に該当するものを除く。)、可塑剤、離型剤等が挙げられる。
これらのうち、酸化防止剤としては、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等を用いることができる。
ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤としては、ジアルキルジチオカルバミン酸の金属塩が好ましく、中でもジアルキルジチオカルバミン酸ニッケルが好ましく、特にジブチルジチオカルバミン酸ニッケルが、耐熱老化性の改良効果が大きいことから好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ジエチルエステル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチル−ジフェニルメタン、α−オクタデシル−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6−(ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、ヘキサメチレングリコール−ビス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2−チオ[ジエチル−ビス−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンホスホン酸ジオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ジ−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル]イソシアヌレート等が挙げられる。
これらの中でも特にテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのような分子量が500以上のものの使用が好ましい。
イオウ系酸化防止剤とは、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオンエステル系等のイオウを含む化合物が挙げられる。但し、上記のジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤に相当するものは含まない。これらの中でも、特にチオジプロピオンエステル系化合物が好ましい。
リン系酸化防止剤としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸誘導体、フェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリンを含む化合物が挙げられる。
これらの酸化防止剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、酸化防止剤の含有量は、熱可塑性エラストマー組成物100重量部あたり、好ましくは0.01〜5重量部である。酸化防止剤の含有量が0.01重量部以上であると、耐熱老化性の改良効果の観点から好ましく、一方、5重量部以下であることがコスト面、ブリードアウトを防ぐ観点、機械的強度の観点等から好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中の添加剤の含有量は、その合計量で、熱可塑性エラストマー組成物100重量部あたり10重量部以下とすることが好ましく、5重量部以下とすることがより好ましい。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)〜(C)、必要に応じて添加される成分(D)、(E)及びその他の成分等をそれぞれ前述した使用量で原料として用いて製造することができる。例えば、各原料をドライブレンドした後、溶融混練することにより製造することができる。
<成形体>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形することにより、種々の成形体として用いることができる。成形体の具体例としては、射出成形体、押出成形体、プレス成形体等が挙げられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、通常の射出成形、押出成形、プレス成形等の各種成形方法を用いることができ、必要に応じて、ガスインジェクション成形、射出圧縮成形、ショートショット発泡成形等の各種成形方法を用いることにより、成形体とすることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、以上に挙げた成形方法の中でも押出成形に好適であり、異形押出成形に特に好適である。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、他の樹脂、例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の硬質樹脂との熱融着性に優れることから、本発明の熱可塑性エラストマー組成物とABS樹脂等の他の樹脂とを用いて共押出成形することにより、これらの他の樹脂との積層成形体とすることもでき、また、各々別々に成形した成形体を熱融着して一体化することもできる。
<物性>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ISO1133に準拠して温度230℃、荷重49Nで測定されたメルトフローレート(MFR)が、0.1〜6g/10分であることが好ましく、0.1〜4g/10分であることがより好ましい。熱可塑性エラストマー組成物のMFRが上記下限以上であることにより、優れた流動性で良好な押出成形性を得ることができる。一方、熱可塑性エラストマー組成物のMFRが上記上限以下であることにより、得られる成形体の機械的強度が良好なものとなる。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、その成形シートについて、ISO7619−1に準拠して測定されたデュロ硬度Aが79以下であることが柔軟性の観点から好ましく、76以下であることがより好ましい。デュロ硬度Aの下限については、成形品とした時のクッション性、パッキン性の点から通常60以上である。
<用途>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体は、建材、自動車部品、家電部品等の工業部品、食品包装材、医療機器部品、什器部品、日用雑貨品、その他様々な用途に好適に用いることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前述の通り、優れた押出成形性、特に異形押出成形性や、ABS樹脂等の硬質樹脂との優れた熱融着性を利用した共押出成形による長尺部材の成形に好適であり、得られる成形体のより好適な用途としては、電気冷蔵庫ガスケット材、建材用各種ガスケット材、戸当たり、戸棚パッキン、幅木等の建材用途等が挙げられるが、特に戸当たり、戸棚パッキン等の建材用途に好適である。
なお、ABS樹脂との熱融着成形体用途としては、戸当たり、戸棚パッキン、幅木等の建材が挙げられる。
以下実施例を用いて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例により限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施形態における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔原料〕
以下の実施例及び比較例で使用した各原料成分は以下の通りである。
[成分(A)]
A−1:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体 ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量:2,000
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:77重量%
デュロ硬度A:80
MFR(230℃,21N):25g/10分
A−2:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体 ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量:2,000
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:72重量%
デュロ硬度A:84
MFR(230℃,21N):25g/10分
A−3:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体 ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量:2,000
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:65重量%
デュロ硬度A:89
MFR(230℃,21N):25g/10分
[成分(B)]
B−1:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体 ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量:1,000
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:60重量%
デュロ硬度D:35
MFR(230℃,21N):25g/10分
B−2:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体 ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量:1,000
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:52重量%
デュロ硬度D:45
MFR(230℃,21N):25g/10分
[成分(C)]
C−1:スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水添物
旭化成ケミカルズ社製「タフテック(登録商標)N504」
前記式(1)におけるm:1
スチレン重合体ブロックの含有量:30重量%
重量平均分子量:250,000
1,2−付加構造割合:30重量%
C−2:スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水添物
クレイトンポリマージャパン社製「クレイトン(登録商標)G1633E」
前記式(1)におけるm:1
スチレン重合体ブロックの含有量:30重量%
重量平均分子量:440,000
1,2−付加構造割合:30重量%
C−3:スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体
旭化成ケミカルズ社製「タフプレン(登録商標)315P」
前記式(1)におけるm:1
スチレン重合体ブロックの含有量:20重量%
重量平均分子量:120,000
[成分(D)]
D−1:炭化水素系ゴム用軟化剤 出光興産社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW90」 動粘度(40℃):90センチストークス
引火点(COC法):266℃
[成分(E)]
E−1:無機フィラー 炭酸カルシウム 備北粉化工業社製「ソフトン1200」
平均粒子径:1.80μm(カタログ値(空気透過法))
〔評価方法〕
以下の実施例及び比較例における熱可塑性エラストマー組成物の評価方法は以下の通りである。
[メルトフローレート(MFR)]
得られたペレットのメルトフローレートをISO1133に準拠して温度230℃、荷重49Nで評価し、以下の基準で判定した。
○:MFR0.1g/10分以上4g/10分以下であるもの
△:MFR4g/10を超え6g/10分以下であるもの
×:MFR6g/10分を超えるもの
[柔軟性]
得られた成形シートを使用し、ISO7619−1に準拠して、デュロ硬度Aを測定した。デュロ硬度Aの値が低いものほど柔軟性に優れるものと評価し、以下の基準で判定した。
○:デュロ硬度A79以下であるもの
×:デュロ硬度A80以上であるもの
[耐油性]
得られた成形シートを牛脂に、23℃・50%RH環境下で140時間浸漬し、浸漬前後での体積変化を確認した。浸漬前の体積と比較し、浸漬後の体積変化率(([浸漬後の体積]/[浸漬前の体積])×100)が低いものほど耐油性の優れたものと評価し、以下の基準により評価した。
○:体積変化率が104.0%未満
×:体積変化率が104.0%以上
[異形押出性]
40mmφの単軸押出機(三菱重工株式会社製)を使用し、スクリュー回転数30rpm、シリンダー温度140〜170℃、ダイ温度170℃、引取り速度2m/分にて、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、略ト字形状の口金(幅20mm、高さ12mm、成形厚さ2mm、図1参照)から押出成形し、得られた成形品の口金形状の反映性を以下の基準で目視にて判定した。
○:偏肉やソリがないもの
×:偏肉やソリ等があるもの
[融着強度]
一次樹脂をABS樹脂、二次樹脂を熱可塑性エラストマー組成物としてインサート成形にて積層体を取得した。ABS樹脂(テクノポリマー社製「テクノABS150」)は他の評価に使用した成形シートと同様に成形し、厚み2mmのABS樹脂シートを取得した。そのABS樹脂シートに端面から20mmの幅で銀粉入りのラッカースプレーを塗布して乾燥させた。このABS樹脂シートをスプレー塗布部が流動末端になるように厚み3mmの金型にインサートし、シリンダー温度230℃、金型温度60℃で熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して、熱可塑性エラストマー組成物が厚み1mmで融着した積層体を取得した。
得られた積層体に流動方向に平行に25mm幅の切込みを入れ、引張試験機を用いて90度剥離試験(テストスピード200mm/分)を実施し、剥離強度を測定し、以下の基準で判定した。
○:30N/25mm以上のもの
△:25N/25mm以上30N/25mm未満のもの
×:25N/25mm未満のもの
〔実施例1〜9及び比較例1〜5〕
表−1に示す配合で原料を混合し、得られた混合物を二軸混練機によりシリンダー温度130℃〜240℃で溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。得られたペレットを用いて前記の方法によりメルトフローレート(MFR)、異形押出性及び融着強度を評価し、その結果を表−1に示した。
また、得られたペレットをインラインスクリュ式射出成形機にて、シリンダー温度210℃、金型温度30℃で射出成形し、縦80mm、横120mm、厚み2mmのシートを取得し、これを用いて前記の方法により柔軟性及び耐油性を評価し、その結果を表−1に示した。
Figure 0006575095
〔考察〕
表−1より次のことが分かる。
成分(A)と成分(B)のうち、成分(A)のみを用い成分(B)を用いていない比較例1,2,5では、耐油性に劣る。
成分(A)と成分(B)のうち、成分(B)のみを用い、成分(A)を用いていない比較例3,4では、柔軟性が悪い。
これに対して、成分(A)と成分(B)とを併用し、更に成分(C)を用いた実施例1〜9では、いずれも、柔軟性、耐油性、異形押出性、ABS樹脂との熱融着性に優れることが分かる。

Claims (12)

  1. 下記成分(A)、成分(B)成分(C)及び成分(E)を含み、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、成分(A)を1〜50重量部、成分(B)を10〜60重量部、成分(C)を30〜70重量部、成分(E)を10〜50重量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体
    成分(B):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体
    成分(C):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物
    成分(E):無機フィラー
  2. 前記成分(E)の無機フィラーが粒状フィラーである、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記粒状フィラーの平均粒子径(空気透過法)が0.1〜10μmである、請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 更に下記成分(D)を含み、かつその含有量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、5〜40重量部である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
  5. メルトフローレート(温度230℃、荷重49N)が0.1〜6g/10分である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
  7. 押出成形してなる、請求項に記載の成形体。
  8. アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂と熱融着してなる、請求項に記載の成形体。
  9. 請求項乃至のいずれか1項に記載の成形体からなる建材。
  10. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を原料として用い、かつこれらの使用量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して成分(A)を1〜50重量部、成分(B)を10〜60重量部、成分(C)を30〜70重量部である熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
    成分(A):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体
    成分(B):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体
    成分(C):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物
  11. 更に下記成分(D)を原料として用い、かつその使用量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して5〜40重量部である、請求項10に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
    成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
  12. 更に下記成分(E)を原料として用い、かつその使用量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して10〜50重量部である、請求項10又は11に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
    成分(E):無機フィラー
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