JP6575095B2 - 熱可塑性エラストマー組成物、成形体及び建材 - Google Patents
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Description
本発明はこのような知見に基づいて完成されたものであり、以下の[1]〜[11]を要旨とする。
成分(A):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体
成分(B):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体
成分(C):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(E):無機フィラー
成分(A):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体
成分(B):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体
成分(C):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(E):無機フィラー
成分(A):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体
成分(B):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体
成分(C):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(E):無機フィラー
本発明で用いる成分(A)のブロック共重合体は、ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体であり、このブロック共重合体は、結晶性を有するポリブチレンテレフタレートユニットに基づくハードセグメントと、柔軟性を有するポリテトラメチレングリコールユニットに基づくソフトセグメントとを有する。
本発明で用いる成分(B)のブロック共重合体は、ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体であり、このブロック共重合体は、結晶性を有するポリブチレンテレフタレートユニットに基づくハードセグメントと、柔軟性を有するポリテトラメチレングリコールユニットに基づくソフトセグメントとを有する。
成分(A)のポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体だけでは、耐油性が十分でなく、成分(B)のポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体のみでは柔軟性が十分でないため、本発明では、耐油性と柔軟性を両立するためには、成分(A)のポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体と、成分(B)のポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体を併用する。
成分(C)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物としては、以下の式(1)及び/又は式(2)で表されるスチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物(水素添加誘導体)(以下、「水添ブロック共重合体」と称する場合がある。)が好ましく、以下の式(1)及び/又は式(2)で表される水添ブロック共重合体が特に好ましい。
(S−D)n …(2)
(式中、Sはスチレン単位からなる重合体ブロックを表し、Dは共役ジエン単位からなる重合体ブロックを表し、m及びnは1〜5の整数を表す。)
機器:日本ミリポア社製「150C
ALC/GPC」
カラム:昭和電工社製「AD80M/S」3本
検出器:FOXBORO社製赤外分光光度計「MIRANIA」測定
波長3.42μm
溶媒:o−ジクロロベンゼン
温度:140℃
流速:1cm3/分
注入量:200マイクロリットル
濃度:2mg/cm3
酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−フェノール0.2重量%添加
成分(C)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、流動性の向上に有効である。
成分(E)の無機フィラーは充填剤として配合する事が出来、具体的には、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の板状フィラー、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状フィラー、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素、ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム、炭化珪素等の針状(ウイスカー)フィラー、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状フィラー、ガラスバルーンのようなバルン状フィラーが挙げられる。これらの無機フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。この中で経済性から炭酸カルシウムが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前述の成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、成分(A)を1〜50重量部、成分(B)を10〜60重量部、成分(C)を30〜70重量部含む。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前述した成分(A)〜(E)以外の他の成分(本明細書において、単に「その他の成分」と称することがある。)を含有していてもよい。その他の成分としては、成分(A)〜(C)以外の樹脂(本明細書においては単に「その他の樹脂」と称することがある。)や各種添加剤等が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)〜(C)、必要に応じて添加される成分(D)、(E)及びその他の成分等をそれぞれ前述した使用量で原料として用いて製造することができる。例えば、各原料をドライブレンドした後、溶融混練することにより製造することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形することにより、種々の成形体として用いることができる。成形体の具体例としては、射出成形体、押出成形体、プレス成形体等が挙げられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、通常の射出成形、押出成形、プレス成形等の各種成形方法を用いることができ、必要に応じて、ガスインジェクション成形、射出圧縮成形、ショートショット発泡成形等の各種成形方法を用いることにより、成形体とすることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、以上に挙げた成形方法の中でも押出成形に好適であり、異形押出成形に特に好適である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ISO1133に準拠して温度230℃、荷重49Nで測定されたメルトフローレート(MFR)が、0.1〜6g/10分であることが好ましく、0.1〜4g/10分であることがより好ましい。熱可塑性エラストマー組成物のMFRが上記下限以上であることにより、優れた流動性で良好な押出成形性を得ることができる。一方、熱可塑性エラストマー組成物のMFRが上記上限以下であることにより、得られる成形体の機械的強度が良好なものとなる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体は、建材、自動車部品、家電部品等の工業部品、食品包装材、医療機器部品、什器部品、日用雑貨品、その他様々な用途に好適に用いることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前述の通り、優れた押出成形性、特に異形押出成形性や、ABS樹脂等の硬質樹脂との優れた熱融着性を利用した共押出成形による長尺部材の成形に好適であり、得られる成形体のより好適な用途としては、電気冷蔵庫ガスケット材、建材用各種ガスケット材、戸当たり、戸棚パッキン、幅木等の建材用途等が挙げられるが、特に戸当たり、戸棚パッキン等の建材用途に好適である。
なお、ABS樹脂との熱融着成形体用途としては、戸当たり、戸棚パッキン、幅木等の建材が挙げられる。
以下の実施例及び比較例で使用した各原料成分は以下の通りである。
A−1:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体 ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量:2,000
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:77重量%
デュロ硬度A:80
MFR(230℃,21N):25g/10分
A−2:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体 ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量:2,000
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:72重量%
デュロ硬度A:84
MFR(230℃,21N):25g/10分
A−3:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体 ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量:2,000
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:65重量%
デュロ硬度A:89
MFR(230℃,21N):25g/10分
B−1:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体 ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量:1,000
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:60重量%
デュロ硬度D:35
MFR(230℃,21N):25g/10分
B−2:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体 ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量:1,000
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:52重量%
デュロ硬度D:45
MFR(230℃,21N):25g/10分
C−1:スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水添物
旭化成ケミカルズ社製「タフテック(登録商標)N504」
前記式(1)におけるm:1
スチレン重合体ブロックの含有量:30重量%
重量平均分子量:250,000
1,2−付加構造割合:30重量%
C−2:スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水添物
クレイトンポリマージャパン社製「クレイトン(登録商標)G1633E」
前記式(1)におけるm:1
スチレン重合体ブロックの含有量:30重量%
重量平均分子量:440,000
1,2−付加構造割合:30重量%
C−3:スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体
旭化成ケミカルズ社製「タフプレン(登録商標)315P」
前記式(1)におけるm:1
スチレン重合体ブロックの含有量:20重量%
重量平均分子量:120,000
D−1:炭化水素系ゴム用軟化剤 出光興産社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW90」 動粘度(40℃):90センチストークス
引火点(COC法):266℃
E−1:無機フィラー 炭酸カルシウム 備北粉化工業社製「ソフトン1200」
平均粒子径:1.80μm(カタログ値(空気透過法))
以下の実施例及び比較例における熱可塑性エラストマー組成物の評価方法は以下の通りである。
得られたペレットのメルトフローレートをISO1133に準拠して温度230℃、荷重49Nで評価し、以下の基準で判定した。
○:MFR0.1g/10分以上4g/10分以下であるもの
△:MFR4g/10を超え6g/10分以下であるもの
×:MFR6g/10分を超えるもの
得られた成形シートを使用し、ISO7619−1に準拠して、デュロ硬度Aを測定した。デュロ硬度Aの値が低いものほど柔軟性に優れるものと評価し、以下の基準で判定した。
○:デュロ硬度A79以下であるもの
×:デュロ硬度A80以上であるもの
得られた成形シートを牛脂に、23℃・50%RH環境下で140時間浸漬し、浸漬前後での体積変化を確認した。浸漬前の体積と比較し、浸漬後の体積変化率(([浸漬後の体積]/[浸漬前の体積])×100)が低いものほど耐油性の優れたものと評価し、以下の基準により評価した。
○:体積変化率が104.0%未満
×:体積変化率が104.0%以上
40mmφの単軸押出機(三菱重工株式会社製)を使用し、スクリュー回転数30rpm、シリンダー温度140〜170℃、ダイ温度170℃、引取り速度2m/分にて、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、略ト字形状の口金(幅20mm、高さ12mm、成形厚さ2mm、図1参照)から押出成形し、得られた成形品の口金形状の反映性を以下の基準で目視にて判定した。
○:偏肉やソリがないもの
×:偏肉やソリ等があるもの
一次樹脂をABS樹脂、二次樹脂を熱可塑性エラストマー組成物としてインサート成形にて積層体を取得した。ABS樹脂(テクノポリマー社製「テクノABS150」)は他の評価に使用した成形シートと同様に成形し、厚み2mmのABS樹脂シートを取得した。そのABS樹脂シートに端面から20mmの幅で銀粉入りのラッカースプレーを塗布して乾燥させた。このABS樹脂シートをスプレー塗布部が流動末端になるように厚み3mmの金型にインサートし、シリンダー温度230℃、金型温度60℃で熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して、熱可塑性エラストマー組成物が厚み1mmで融着した積層体を取得した。
得られた積層体に流動方向に平行に25mm幅の切込みを入れ、引張試験機を用いて90度剥離試験(テストスピード200mm/分)を実施し、剥離強度を測定し、以下の基準で判定した。
○:30N/25mm以上のもの
△:25N/25mm以上30N/25mm未満のもの
×:25N/25mm未満のもの
表−1に示す配合で原料を混合し、得られた混合物を二軸混練機によりシリンダー温度130℃〜240℃で溶融混練し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。得られたペレットを用いて前記の方法によりメルトフローレート(MFR)、異形押出性及び融着強度を評価し、その結果を表−1に示した。
また、得られたペレットをインラインスクリュ式射出成形機にて、シリンダー温度210℃、金型温度30℃で射出成形し、縦80mm、横120mm、厚み2mmのシートを取得し、これを用いて前記の方法により柔軟性及び耐油性を評価し、その結果を表−1に示した。
表−1より次のことが分かる。
成分(A)と成分(B)のうち、成分(A)のみを用い成分(B)を用いていない比較例1,2,5では、耐油性に劣る。
成分(A)と成分(B)のうち、成分(B)のみを用い、成分(A)を用いていない比較例3,4では、柔軟性が悪い。
これに対して、成分(A)と成分(B)とを併用し、更に成分(C)を用いた実施例1〜9では、いずれも、柔軟性、耐油性、異形押出性、ABS樹脂との熱融着性に優れることが分かる。
Claims (12)
- 下記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(E)を含み、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、成分(A)を1〜50重量部、成分(B)を10〜60重量部、成分(C)を30〜70重量部、成分(E)を10〜50重量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体
成分(B):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体
成分(C):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物
成分(E):無機フィラー - 前記成分(E)の無機フィラーが粒状フィラーである、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記粒状フィラーの平均粒子径(空気透過法)が0.1〜10μmである、請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 更に下記成分(D)を含み、かつその含有量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、5〜40重量部である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤 - メルトフローレート(温度230℃、荷重49N)が0.1〜6g/10分である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
- 押出成形してなる、請求項6に記載の成形体。
- アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂と熱融着してなる、請求項7に記載の成形体。
- 請求項6乃至8のいずれか1項に記載の成形体からなる建材。
- 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を原料として用い、かつこれらの使用量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して成分(A)を1〜50重量部、成分(B)を10〜60重量部、成分(C)を30〜70重量部である熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
成分(A):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が1,500以上3,000以下であるブロック共重合体
成分(B):ポリテトラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であって、ポリテトラメチレングリコールユニットの数平均分子量が500以上1,500未満であるブロック共重合体
成分(C):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水添物 - 更に下記成分(D)を原料として用い、かつその使用量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して5〜40重量部である、請求項10に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤 - 更に下記成分(E)を原料として用い、かつその使用量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して10〜50重量部である、請求項10又は11に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
成分(E):無機フィラー
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