JP2016089047A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含み、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を30〜300重量部、成分(C)を5〜50重量部含む熱可塑性エラストマー組成物による。
成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、少なくとも下記成分(A1)を含む熱可塑性エラストマー
成分(A1):ブロックQが下記式(1)で表される構造単位を含み、かつその含有量が30モル%以上であるブロック共重合体
−CH2−CH(CH(CH3)2)− ・・・式(1)
成分(B):ポリブテン系ゴム用軟化剤
成分(C):ポリオレフィン系樹脂
【選択図】なし
Description
配合しているが、前述のように加硫ゴム中には多数の添加剤成分が含まれているため、医療用用品への適用にあたっては煩雑な洗浄工程が必要となる。
成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、少なくとも下記成分(A1)を含む熱可塑性エラストマー
成分(A1):ブロックQが下記式(1)で表される構造単位を含み、かつその含有量が30モル%以上であるブロック共重合体
−CH2−CH(CH(CH3)2)− ・・・式(1)
成分(B):ポリブテン系ゴム用軟化剤
成分(C):ポリオレフィン系樹脂
−CH2−CH2−CH(CH3)−CH2− ・・・式(2)
成分(A2):ブロックQが下記式(3)で表される構造単位を含むブロック共重合体
−CH2−C(CH3)2− ・・・式(3)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含み、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を30〜300重量部、成分(C)を5〜50重量部含むものである。
成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、少なくとも下記成分(A1)を含む熱可塑性エラストマー
成分(A1):ブロックQが下記式(1)で表される構造単位を含み、かつその含有量が30モル%以上であるブロック共重合体
−CH2−CH(CH(CH3)2)− ・・・式(1)
成分(B):ポリブテン系ゴム用軟化剤
成分(C):ポリオレフィン系樹脂
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(A)は、ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、少なくとも前記成分(A1)をブロックQ全体に対し、30モル%以上含む熱可塑性エラストマーである。ここで、ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックPとは、ビニル芳香族化合物を主体とする単量体を重合したブロックを意味し、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する重合体ブロックQは、共役ジエン及び/又はイソブチレンを主体とする単量体を重合したブロック、及び重合後の当該ブロックが有する不飽和結合を水素添加した誘導体を意味する。また、本発明において「主体とする」とは50モル%以上であることを意味する。
P−(Q−P)m ・・・(4)
(P−Q)n ・・・(5)
であり、一方、好ましくは500,000以下、より好ましくは400,000以下、更に好ましくは300,000以下である。成分(A)の数平均分子量が前記範囲内であると、成形性と耐熱性が良好となる傾向にあるために好ましい。
(測定条件)
機器 :東ソー株式会社製HLC−8220
カラム :東ソー株式会社製TSKgel Super HM−M
(6.0mm I.D X 15cm X2 +ガードカラム)
検出器 :示差屈折率検出器(RI/内蔵)
溶媒 :CHCl3特級
温度 :40℃
流速 :0.3mL/分
注入量 :20μL
濃度 :0.1重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法 :ポリスチレン換算
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれる成分(A1)は、ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、ブロックQは前記式(1)で表される構造単位を30モル%以上含む。成分(A1)を含むことにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は柔軟性に富み、優れた復元性を有するとともに、優れたガスバリア性を有している。
れる構造単位の含有量の上限は特に制限されず、通常、100モル%であり、好ましくは95モル%以下であり、より好ましくは90モル%以下であり、更に好ましくは80モル%以下である。
(測定条件)
装置 :Varian製UNITY400分光計
フリップ角 :45°
データ取得時間 :1.5秒
パルス繰り返し時間:20秒
温度 :室温
溶媒 :重クロロホルム
周波数 :100.6MHz
標準物質 :TMS
積算回数 :3200回
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)として成分(A1)に加えて下記成分(A2)を含むことが好ましい。成分(A2)を含有することにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に適度な流動性を付与し、成形性を高めることができる。
成分(A2):ブロックQが下記式(3)で表される構造単位を含むブロック共重合体
−CH2−C(CH3)2− ・・・式(3)
成分(B)のポリブテン系ゴム用軟化剤は、熱可塑性エラストマー組成物にガスバリア性、流動性を付与し、また、熱可塑性エラストマー組成物を柔軟化する成分である。特に、熱可塑性エラストマー組成物において汎用的に使用されるパラフィン系ゴム用軟化剤と比較して、ポリブテン系ゴム用軟化剤は優れたガスバリア性を付与することができる。その要因は明確ではないが、ポリブテン系ゴム用軟化剤は分子中に多くの嵩高い枝分かれ構造を有しており、それが分子鎖間の空間を埋めるように張り巡らされて分子鎖間の間隙が小さくなることにより、気体分子の透過が抑制されるものと考えられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(C)はポリオレフィン系樹脂である。成分(C)のポリオレフィン系樹脂を用いることにより、熱可塑性エラストマー組成物に成形時の流動性付与、耐熱性付与、ハウジング素材、形状、内容物に合わせた柔軟性の調整等の効果を奏する。
て5〜50重量部含有する。成分(A)に対する成分(C)の配合量が上記上限以下であると、熱可塑性エラストマー組成物としての硬度が高くなり過ぎず、医療用ゴム栓として使用した場合、変形し易く、シール性が向上するために好ましい。一方、上記下限以上であると、組成物としての硬度が低くなり過ぎず、成形し易くなるために好ましい。これらの効果をより良好なものとする観点から、成分(C)の配合量は、成分(A)100重量部に対し、好ましくは7重量部以上であり、より好ましくは8重量部以上であり、一方、好ましくは45重量部以下であり、より好ましくは40重量部以下である。
〜60g/10分であることが好ましく、2.0〜40g/10分であることがより好ましい。また、ポリエチレン系樹脂は耐熱性の観点から密度が0.910〜0.980g/cm3であることが好ましく、0.930〜0.970g/cm3であることがより好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて上記成分(A)〜(C)以外のその他の成分が含まれていてもよい。
)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤を用いる場合、その配合量は、成分(A)100重量部に対して、0.01〜3.0重量部が好ましく、特に好ましくは0.05〜2.0重量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)〜(C)、必要に応じて配合されるその他の成分を、公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、タンブラーブレンダー等で機械的に混合した後、公知の方法で機械的に溶融混練することにより製造することができる。機械的溶融混練には、バンバリーミキサー、各種ニーダー、単軸又は二軸押出機等の一般的な溶融混練機を用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形することにより本発明の成形体を得ることができる。用いることのできる成形方法としては通常の射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、又は必要に応じて、ガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の各種成形方法が挙げられるが、特に、射出成形により成形体とすることが好ましい。
値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
実施例及び比較例で使用した材料を以下に示す。
(成分(A1))
a−1:クラレ社製 商品名ハイブラー(登録商標)7135
(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物)
Mw:280,000
ポリスチレンブロックの割合:33重量%
式(1)で表される構造単位:54モル%
式(2)で表される構造単位:41モル%
式(6)で表される構造単位:6モル%
(成分(A2))
a−2:カネカ社製 商品名シブスター(登録商標)103T
(スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体)
Mw:120,000
MFR:0.1g/10分
(測定条件:230℃、荷重21.2N)
ポリスチレンブロックの割合:30重量%
(成分(A1)及び成分(A2)以外のもの)
a−3:クレイトン社製 商品名Kraton(登録商標)G1651HU
(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物)
Mw:264,000
ポリスチレンブロックの割合:33重量%
b−1:JX日鉱日石エネルギー社製 商品名日石ポリブテン(登録商標)
HV−300
(ポリブテン系ゴム用軟化剤)
100℃における動粘度:550〜625mm2/s(カタログ値)
c−1:日本ポリプロ社製 商品名ノバテック(登録商標)PP MA1Q
(ポリプロピレン)
MFR:22g/10分
(測定条件:230℃、荷重21.2N(JIS K7210))
d−1:日本タルク社製 商品名ミクロエース(登録商標)K−1
(タルク)
平均粒子径:8.0μm
比重:0.25
d−2:竹原化学工業社製 商品名PHSH
(タルク)
平均粒子径:5.0μm
比重:0.25
e−1:BASFジャパン社製 商品名イルガノックス(登録商標)1010
(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
f−1:東レ・ダウコーニング社製 商品名SH200−100cs
(シリコーンオイル)
動粘度(25℃):100cSt
表−1に示す各原料を、同方向二軸押出機(日本製鋼所製「TEX−30α」、シリンダー口径:30mm)に20kg/hrの速度で投入し、180〜240℃の範囲で昇温させて溶融混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。 得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、インラインスクリュウタイプ射出成形機(株式会社日本製鋼所製「J−150SSII」)を用いてシート状に成形した。射出成形の条件は、樹脂温度:180〜240℃、射出時間:2〜20秒、金型温度:20〜60℃、冷却時間:10〜40秒の範囲とした。得られた射出成形シート(厚み2mm)を用いて、以下の(1−1)、(1−2)の評価を行った。また、得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、プレス成形機にて200℃でプレス成形することにより厚み1mmのプレスシートを得、以下の(1−3)、(1−4)の評価を行った。これらの評価結果を表−1に示す。
熱可塑性エラストマー組成物を用いたゴム栓性能の評価方法は次の通りである。
ISO7619−1に基づき、硬度(タイプAデュロメータ)を測定した。ゴム栓として用いるには、デュロ硬度A20以上90以下であることが好ましい。
ISO815に基づき、圧縮永久歪を測定した。ゴム栓として用いるには、針刺し後の再シール性の観点から、圧縮永久歪が60%以下であることが好ましい。
JIS K7126−2に基づき、厚み1mmのプレスシートを用いて下記条件で酸素ガス透過度を測定した。ゴム栓として用いるには、内容物の酸化劣化を防ぐために、酸素ガス透過度は180cm3/(m2・24h・atm)以下であることが好ましい。
装置:OX−TRAN 2/21
温湿度:20℃、dry
透過面積:50cm2
JIS K7129 B法に基づき、厚み1mmのプレスシートを用いて下記条件で水蒸気透過度を測定した。ゴム栓として用いるには、内容物の吸湿を防ぐために、水蒸気透過度は0.55g/(m2・24h)以下であることが好ましい。
装置:PERMATRAN−W 3/31
温湿度:40℃、90%RH
透過面積:50cm2
実施例1〜3の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、圧縮永久歪、酸素ガス・水蒸気透過度のいずれの評価結果も良好であり、ゴム栓として好適であることがわかる。
ゴム栓性能の評価が良好であった実施例1〜3について、更に医療用ゴム栓評価として、以下の方法により液漏れ量を評価した。その結果を表−2に示す。なお、液漏れ量の評価においては、(1−1)及び(1−2)で用いたものと同様にして得られた射出成形シート(厚み2mm)を用いた。
射出成形して得られたシートを用い、直径19mmの円盤状に試験片を打ち抜いたものを、250mLの試験液が入った市販の500mL飲料用ポリエチレンエレフタレート(PET)ボトルの口栓部に取り付けた。試験液には精製水と無水エタノールを3:7の割合で混合したものを用いた。試験片とPETボトルとの間から液漏れが無いように口栓部には専用の治具を取り付け、PETボトルを正立させて設置した。次いで、この試験片に対し、垂直上方から18Gの金属針(テルモ株式会社製)を、針の根元から5mmの位置まで刺し込み、この状態で30秒間静置した。その後、PETボトルを倒立させると同時に試験片から金属針を抜いた。この状態で30秒間保持し、滴下した試験液量(液漏れ量)を測定した。医療用ゴム栓として用いるには、内容物の漏洩を防ぐために、液漏れ量が少ないほうが望ましく、0.5g以下であることが好ましい。
表−2に示す通り、実施例1〜3の熱可塑性エラストマー組成物は液漏れ量の評価結果も良好であり、医療用ゴム栓として好適であることがわかる。
Claims (9)
- 下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含み、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を30〜300重量部、成分(C)を5〜50重量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、少なくとも下記成分(A1)を含む熱可塑性エラストマー
成分(A1):ブロックQが下記式(1)で表される構造単位を含み、かつその含有量が30モル%以上であるブロック共重合体
−CH2−CH(CH(CH3)2)− ・・・式(1)
成分(B):ポリブテン系ゴム用軟化剤
成分(C):ポリオレフィン系樹脂 - 成分(B)の100℃における動粘度が1〜2,000mm2/sである、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 成分(A1)の重量平均分子量(Mw)が200,000〜500,000である、請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 成分(A1)のブロックQが更に下記式(2)で表される構造単位を含み、かつその含有量が5〜70モル%である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
−CH2−CH2−CH(CH3)−CH2− ・・・式(2) - 成分(A)として更に下記成分(A2)を含み、[成分(A1)の重量]:[成分(A2)の重量]が99:1〜20:80である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A2):ブロックQが下記式(3)で表される構造単位を含むブロック共重合体
−CH2−C(CH3)2− ・・・式(3) - 成分(A2)の重量平均分子量(Mw)が80,000〜300,000である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるゴム栓。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる医療用ゴム栓。
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