JP2016089047A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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可奈絵 滝沢
Kanae Takizawa
可奈絵 滝沢
中川 淳
Atsushi Nakagawa
淳 中川
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Abstract

【課題】柔軟性、圧縮永久歪、酸素ガス・水蒸気バリア性等に優れ、衛生上の観点からも好適な熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含み、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を30〜300重量部、成分(C)を5〜50重量部含む熱可塑性エラストマー組成物による。
成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、少なくとも下記成分(A1)を含む熱可塑性エラストマー
成分(A1):ブロックQが下記式(1)で表される構造単位を含み、かつその含有量が30モル%以上であるブロック共重合体
−CH−CH(CH(CH)− ・・・式(1)
成分(B):ポリブテン系ゴム用軟化剤
成分(C):ポリオレフィン系樹脂
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関する。より詳細には、本発明は、柔軟性、圧縮永久歪、酸素ガス・水蒸気バリア性等に優れた熱可塑性エラストマー組成物に関し、また、該熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体、及び該熱可塑性エラストマー組成物からなるゴム栓に関する。更に、本発明は、この熱可塑性エラストマー組成物からなり、液漏れ防止性に優れた医療用ゴム栓に関する。
輸液バッグは生体に血液製剤や点滴注射液等の液体を注入する際、あるいはこれらを保存する際に使用される容器である。現在、輸液バッグはガラス製のもの、プラスチック製のもの等が用いられており、容器の開口部には中に充填された液体(内容液)が漏洩しないようにゴム栓が嵌合されている。輸液バッグを使用する際は、ゴム栓に対して金属針ないしはプラスチック針等の注射針が刺し込まれ、それを通じて内容液を取り出すのが一般的である。
旧来より、輸液バッグ用のゴム栓には液漏れシール性、及び酸素ガス・水蒸気バリア性に優れたブチルゴム等の加硫ゴムが多く使用されているが、加硫ゴムは医療用用品に適さない添加剤が含まれていることに加え、成形加工性にも劣る。また、輸液バッグの主流がガラス製からプラスチック製へと変遷していくに当たり、プラスチック製の輸液バッグ本体と二色成形で融着嵌合させることが可能であることから、熱可塑性エラストマー製のゴム栓を用いる試みが行われている(特許文献1)。
その中でもスチレン系エラストマーはゴム弾性に優れることから、加硫ゴム代替が最も期待される材料として検討され、特定の硬度範囲にあるスチレン系エラストマーが液漏れシール性、刺通強度、ハンドリング性のバランスに優れることが開示されている(特許文献2)。
一方、熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みを改善する目的で加硫ゴム(架橋ゴム)であるエチレン−ブタジエン共重合体やブタジエンゴムを配合する技術も開示されている(特許文献3)。
特開平5−59287号公報 特開平7−228749号公報 特開2013−159636号公報
医療用容器には内容物である薬液の劣化を防ぐために、空気中の酸素ガス及び水蒸気を通しにくくすること、即ち酸素ガス・水蒸気バリア性に優れることが求められるが、上記特許文献1〜2に記載されているような従来のエラストマー組成物のバリア性はブチルゴムに比べ大きく劣るという問題点がある。
一方、ガスバリア性を有する熱可塑性エラストマー組成物は、高温での圧縮永久歪が十分ではないという問題点がある。特許文献3では、熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪を改善する目的で加硫ゴムであるエチレン−ブタジエン共重合体やブタジエンゴムを
配合しているが、前述のように加硫ゴム中には多数の添加剤成分が含まれているため、医療用用品への適用にあたっては煩雑な洗浄工程が必要となる。
本発明の課題は上記従来技術の問題点を解決し、柔軟性、圧縮永久歪、酸素ガス・水蒸気バリア性等に優れ、衛生上の観点からも好適な熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。また、本発明の課題はこの熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体、及びこの熱可塑性エラストマー組成物からなるゴム栓、特に液漏れ防止性に優れた医療用ゴム栓を提供することにある。
本発明者らが上記課題を鑑みて鋭意検討した結果、特定の熱可塑性エラストマー、特定のゴム用軟化剤及びポリオレフィン系樹脂を特定量で含む熱可塑性エラストマー組成物が上記課題を解決し得ることを見出したものである。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含み、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を30〜300重量部、成分(C)を5〜50重量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、少なくとも下記成分(A1)を含む熱可塑性エラストマー
成分(A1):ブロックQが下記式(1)で表される構造単位を含み、かつその含有量が30モル%以上であるブロック共重合体
−CH−CH(CH(CH)− ・・・式(1)
成分(B):ポリブテン系ゴム用軟化剤
成分(C):ポリオレフィン系樹脂
[2] 成分(B)の100℃における動粘度が1〜2,000mm/sである、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 成分(A1)の重量平均分子量(Mw)が200,000〜500,000である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4] 成分(A1)のブロックQが更に下記式(2)で表される構造単位を含み、かつその含有量が5〜70モル%である、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
−CH−CH−CH(CH)−CH− ・・・式(2)
[5] 成分(A)として更に下記成分(A2)を含み、[成分(A1)の重量]:[成分(A2)の重量]が99:1〜20:80である、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A2):ブロックQが下記式(3)で表される構造単位を含むブロック共重合体
−CH−C(CH− ・・・式(3)
[6] 成分(A2)の重量平均分子量(Mw)が80,000〜300,000である、[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[7] [1]乃至[6]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
[8] [1]乃至[6]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるゴム栓。
[9] [1]乃至[6]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる医療用ゴム栓。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物、及び該熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体は、柔軟性、圧縮永久歪、酸素ガス・水蒸気等のガスバリア性に優れ、衛生性も良好である。また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物及びこれを成形してなる成形体により、ゴム栓、特に液漏れ防止性に優れた医療用ゴム栓が提供される。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本発明において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
[熱可塑性エラストマー組成物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含み、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を30〜300重量部、成分(C)を5〜50重量部含むものである。
成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、少なくとも下記成分(A1)を含む熱可塑性エラストマー
成分(A1):ブロックQが下記式(1)で表される構造単位を含み、かつその含有量が30モル%以上であるブロック共重合体
−CH−CH(CH(CH)− ・・・式(1)
成分(B):ポリブテン系ゴム用軟化剤
成分(C):ポリオレフィン系樹脂
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、圧縮永久歪、酸素ガス・水蒸気等のガスバリア性に優れるという効果を奏する。本発明の熱可塑性エラストマー組成物が特に圧縮永久歪に優れる理由としては、成分(A)の熱可塑性エラストマー由来の弾性復元力によるものと推定される。また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物が特にガスバリア性に優れる理由としては、成分(A1)のブロックQにおける式(1)で表される構造単位及び成分(B)のポリブテン系ゴム用軟化剤の特徴的な化学構造によるものと推定される。
<成分(A)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(A)は、ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、少なくとも前記成分(A1)をブロックQ全体に対し、30モル%以上含む熱可塑性エラストマーである。ここで、ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックPとは、ビニル芳香族化合物を主体とする単量体を重合したブロックを意味し、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する重合体ブロックQは、共役ジエン及び/又はイソブチレンを主体とする単量体を重合したブロック、及び重合後の当該ブロックが有する不飽和結合を水素添加した誘導体を意味する。また、本発明において「主体とする」とは50モル%以上であることを意味する。
ブロックPを構成する単量体のビニル芳香族化合物は限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体が好ましい。これらの中でもブロックPはスチレンを主体とするものであることが好ましい。なお、ブロックPには、ビニル芳香族化合物以外の単量体に由来する構造単位が含まれていてもよい。
ブロックQを構成する単量体の共役ジエンは後述する成分(A1)における式(1)で表される構造単位を与えるものを用いるものであれば、その他には特に限定されないが、ブタジエン及びイソプレンの少なくとも一つを主体とすることが好ましい。なお、ブロックQには、共役ジエン、イソブチレン以外のその他の単量体に由来する構造単位が含まれていてもよい。
ブロックQは、ブロック共重合体の重合後にブロックQが有する不飽和結合を水素添加した誘導体であってもよい。ブロックQの水素添加率は特に制限されないが、80〜100モル%が好ましく、90〜100モル%であることがより好ましい。ブロックQを前記範囲で水素添加することにより、得られる熱可塑性エラストマー組成物の粘着的性質が低下し、弾性的性質が増加するため、医療用ゴム栓としてより良好な特性とすることができる。なお、ブロックPが、原料としてジエン成分を用いた場合でも同様である。水素添加率は13C−NMRにより測定することができる。
本発明における成分(A)は、重合体ブロックPを少なくとも2個と、重合体ブロックQを少なくとも1個有する構造であれば限定されず、直鎖状、分岐状、放射状等のいずれであってもよいが、下記式(4)又は(5)で表されるブロック共重合体である場合が好ましい。さらに、下記式(4)又は(5)で表されるブロック共重合体は、水素添加して得られる水添ブロック共重合体であることがより好ましい。下記式(4)又は(5)で表される共重合体が水添ブロック共重合体であると、熱安定性が良好になる傾向にある。
P−(Q−P) ・・・(4)
(P−Q) ・・・(5)
(ここで、上記式(4)及び(5)中、Pは重合体ブロックPを、Qは重合体ブロックQをそれぞれ表し、mは1〜5の整数、nは2〜5の整数をそれぞれ表す。)
式(4)又は(5)においてm及びnは、ゴム的高分子体としての秩序−無秩序転移温度を下げる点では大きいほうが良いが、製造のしやすさ及びコストの点では小さいほうが良い。ブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体(以下、まとめて「(水添)ブロック共重合体」と記す)としては、ゴム弾性に優れることから、式(5)で表される(水添)ブロック共重合体よりも式(4)で表される(水添)ブロック共重合体がより好ましく、mが2以下である式(4)で表される(水添)ブロック共重合体が更に好ましく、mが1である式(4)で表される(水添)ブロック共重合体が最も好ましい。
成分(A)を構成するブロックPとブロックQとの重量割合は任意であるが、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度及び熱融着強度の点からはブロックPが多いほうが好ましく、一方、柔軟性、異形押出成形性、ブリードアウト抑制の点からはブロックPが少ないほうが好ましい。成分(A)中のブロックPの重量割合は、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることが更に好ましく、一方、60重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましく、45重量%以下であることが更に好ましい。
本発明における成分(A)の数平均分子量(Mn)は特に限定されないが、好ましくは30,000以上、より好ましくは50,000以上、更に好ましくは80,000以上
であり、一方、好ましくは500,000以下、より好ましくは400,000以下、更に好ましくは300,000以下である。成分(A)の数平均分子量が前記範囲内であると、成形性と耐熱性が良好となる傾向にあるために好ましい。
本発明における成分(A)の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、好ましくは50,000以上であり、より好ましくは80,000以上であり、更に好ましくは100,000以上であり、一方、好ましくは550,000以下であり、より好ましくは500,000以下であり、更に好ましくは400,000以下である。成分(A)の重量平均分子量が前記範囲内であると、成形性と耐熱性が良好となる傾向にあるために好ましい。
なお、本発明において、成分(A)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)による測定で求められるポリスチレン換算値であり、その測定条件は以下の通りである。
(測定条件)
機器 :東ソー株式会社製HLC−8220
カラム :東ソー株式会社製TSKgel Super HM−M
(6.0mm I.D X 15cm X2 +ガードカラム)
検出器 :示差屈折率検出器(RI/内蔵)
溶媒 :CHCl特級
温度 :40℃
流速 :0.3mL/分
注入量 :20μL
濃度 :0.1重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法 :ポリスチレン換算
本発明における成分(A)の製造方法は、上述の構造と物性が得られればどのような方法でもよく、特に限定されない。具体的には、例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法によりリチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック重合を行うことによって得ることができる。また、ブロック共重合体の水素添加(水添)は、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報及び特開昭60−79005号公報等に記載された方法により、不活性溶媒中で水添触媒の存在下で行うことができる。
[成分(A1)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれる成分(A1)は、ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、ブロックQは前記式(1)で表される構造単位を30モル%以上含む。成分(A1)を含むことにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は柔軟性に富み、優れた復元性を有するとともに、優れたガスバリア性を有している。
成分(A1)は、ブロックQが式(1)で表される構造単位を30モル%以上含むために、水蒸気・酸素ガスバリア性に優れている。その要因は明確ではないが、ブロックQの式(1)で表される嵩高い枝分かれ構造が分子鎖間の空間を埋めるように張り巡らされ、分子鎖間の間隙が小さくなることにより、気体分子の透過が抑制されると考えられる。この観点から、成分(A1)のブロックQにおいて、式(1)で表される構造単位の含有量は好ましくは35モル%以上であり、より好ましくは40モル%以上であり、更に好ましくは45モル%以上である。また、成分(A1)のブロックQにおいて、式(1)で表さ
れる構造単位の含有量の上限は特に制限されず、通常、100モル%であり、好ましくは95モル%以下であり、より好ましくは90モル%以下であり、更に好ましくは80モル%以下である。
成分(A1)のブロックQは上記式(1)で表される構造単位以外に下記式(2)で表される構造単位、下記式(6)で表される構造単位、更にはその他の構造単位が含まれていてもよい。これらの含有量は通常、5モル%以上であり、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは20モル%以上である。特に、式(2)で表される構造単位の含有割合が多い場合熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪が向上する傾向にあり、これは分子量に比した分子鎖長が大きくなるため、熱可塑性エラストマーの弾性復元力が増大するものと考えられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A1)のブロックQにおける下記式(2)で表される化学構造の含有量が、5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることが好ましく、一方、70モル%以下であり、好ましくは65モル%以下であり、更に好ましくは55モル%以下である。
Figure 2016089047
なお、成分(A1)のブロックQの構造単位の含有量については以下の条件にて13C−NMRにより求めることができる。
(測定条件)
装置 :Varian製UNITY400分光計
フリップ角 :45°
データ取得時間 :1.5秒
パルス繰り返し時間:20秒
温度 :室温
溶媒 :重クロロホルム
周波数 :100.6MHz
標準物質 :TMS
積算回数 :3200回
成分(A1)は、重量平均分子量(Mw)が200,000〜500,000の範囲であることが好ましい。成分(A1)の重量平均分子量(Mw)が500,000以下であると、成分(B)のポリブテン系ゴム軟化剤を配合した場合に、この成分(B)を保持し易くなり、ポリブテン系ゴム軟化剤がブリードしにくくなるために好ましい。一方、成分(A1)の重量平均分子量(Mw)が200,000以上であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の流動性が下がり過ぎず、成形し易くなるために好ましい。これらの観点から成分(A1)の重量平均分子量(Mw)は、より好ましくは220,000以上であり、更に好ましくは240,000以上であり、一方、より好ましくは360,000以下であり、更に好ましくは320,000以下である。なお、成分(A1)の重量平均分子量の測定方法は成分(A)で説明したゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)の測定方法と同様である。
成分(A1)は市販品として入手することができる。市販品としては例えば、株式会社クラレ製「ハイブラー(登録商標)」シリーズ等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
[成分(A2)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)として成分(A1)に加えて下記成分(A2)を含むことが好ましい。成分(A2)を含有することにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に適度な流動性を付与し、成形性を高めることができる。
成分(A2):ブロックQが下記式(3)で表される構造単位を含むブロック共重合体
−CH−C(CH− ・・・式(3)
成分(A2)は、ブロックQが上記式(3)で表される構造単位を有するために、成形性だけではなく、水蒸気・酸素ガスバリア性にも優れている。その要因は明確ではないが、ブロックQのイソブチレンに由来する側鎖が分子鎖間の空間を埋めるように配置され、分子鎖間の間隙が小さくなることにより、気体分子の透過が抑制されるものと考えられる。
成分(A2)において、ブロックQにおける式(3)で表される構造単位の含有量は、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上である。また、成分(A2)のブロックQにおいて、式(3)で表される構造単位の含有量の上限は特に制限されず、通常、100モル%である。
成分(A2)は、重量平均分子量(Mw)が80,000〜300,000の範囲であることが好ましい。成分(A2)の重量平均分子量(Mw)が80,000以上であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪値が高くなり、ゴム栓としてのシール性が向上する傾向にある。一方、重量平均分子量(Mw)が300,000以下であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の流動性が下がり過ぎず、成形性が良好となる傾向にある。これらの観点から成分(A2)の重量平均分子量(Mw)は、より好ましくは90,000以上であり、更に好ましくは100,000以上であり、一方、より好ましくは200,000以下であり、更に好ましくは150,000以下である。なお、成分(A2)の重量平均分子量の測定方法は成分(A)で説明したゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)の測定方法と同様である。
また、成分(A2)は、成形性の観点から、JIS K7210に従って、230℃、荷重21.2Nで測定したメルトフローレート(MFR)が0.01g/10分以上であることが好ましく、0.05g/10分以上であることがより好ましく、得られる医療用ゴム栓の機械的強度の観点からこのMFRが5.0g/10分以下であることが好ましく、3.0g/10分以下であることがより好ましい。
成分(A2)は市販品として入手することができる。市販品としては例えば、カネカ社製シブスター(登録商標)シリーズ等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
熱可塑性エラストマー組成物が成分(A2)を含有することにより、柔軟性に富み、優れたガスバリア性を有しながら、同時に高い成形性を兼ね備えることができるため好ましい。一方で、成分(A2)の含有量が多すぎるとゴムの弾性復元率が低下し、圧縮永久歪が悪化するおそれがある。このため、本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(A2)を含有する場合、[成分(A1)の重量]:[成分(A2)の重量]が99:1〜20:80であることが好ましく、90:10〜25:75であることがより好ましい。
<成分(B)>
成分(B)のポリブテン系ゴム用軟化剤は、熱可塑性エラストマー組成物にガスバリア性、流動性を付与し、また、熱可塑性エラストマー組成物を柔軟化する成分である。特に、熱可塑性エラストマー組成物において汎用的に使用されるパラフィン系ゴム用軟化剤と比較して、ポリブテン系ゴム用軟化剤は優れたガスバリア性を付与することができる。その要因は明確ではないが、ポリブテン系ゴム用軟化剤は分子中に多くの嵩高い枝分かれ構造を有しており、それが分子鎖間の空間を埋めるように張り巡らされて分子鎖間の間隙が小さくなることにより、気体分子の透過が抑制されるものと考えられる。
ポリブテン系ゴム用軟化剤としては、ポリブテン、水素添加ポリブテン等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(B)を成分(A)100重量部に対して30〜300重量部含有する。成分(A)に対する成分(B)のポリブテン系ゴム用軟化剤の配合量が上記上限以下であると、流動性が高くなり過ぎず、成形し易くなる。具体的にはゴム栓成形品として「バリ」が生じにくくなるために好ましい。一方、上記下限以上であると、熱可塑性エラストマー組成物の流動性が下がり過ぎず、成形し易くなるために好ましい。成分(B)の配合量は、成分(A)100重量部に対し、好ましくは35重量部以上であり、より好ましくは40重量部以上であり、一方、好ましくは260重量部以下であり、より好ましくは220重量部以下であり、更に好ましくは180重量部以下であり、特に好ましくは150重量部以下である。
成分(B)のポリブテン系ゴム用軟化剤は100℃における動粘度が1〜2,000mm/sであるものが成形性の点において好ましい。この観点から動粘度は、50mm/s以上であることがより好ましく、100mm/s以上であることが更に好ましく、300mm/s以上であることが特に好ましく、一方、1,500mm/s以下であることが好ましく、1,000mm/s以下であることが更に好ましく、800mm/s以下であることが特に好ましい。
成分(B)のポリブテン系ゴム用軟化剤は市販品として入手することができる。該当する市販品としては、例えば、JX日鉱日石エネルギー社製 商品名日石ポリブテン(登録商標)HV−100、HV−300等が挙げられる。
<成分(C)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(C)はポリオレフィン系樹脂である。成分(C)のポリオレフィン系樹脂を用いることにより、熱可塑性エラストマー組成物に成形時の流動性付与、耐熱性付与、ハウジング素材、形状、内容物に合わせた柔軟性の調整等の効果を奏する。
ポリオレフィン系樹脂としては特に制限されないが、例えば、低密度ポリエチレン単独重合体、高密度ポリエチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等、及びこれらの重合体を酸無水物等で変性し、極性官能基を付与したもの等が挙げられる。これらの中でもポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂であることが好ましい。ここで、「ポリプロピレン系樹脂」は構成単位としてプロピレン単位を50重量%より多く含有するものを意味し、また、「ポリエチレン系樹脂」は構成単位としてエチレン単位を50重量%より多く含有するものを意味する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(C)を成分(A)100重量部に対し
て5〜50重量部含有する。成分(A)に対する成分(C)の配合量が上記上限以下であると、熱可塑性エラストマー組成物としての硬度が高くなり過ぎず、医療用ゴム栓として使用した場合、変形し易く、シール性が向上するために好ましい。一方、上記下限以上であると、組成物としての硬度が低くなり過ぎず、成形し易くなるために好ましい。これらの効果をより良好なものとする観点から、成分(C)の配合量は、成分(A)100重量部に対し、好ましくは7重量部以上であり、より好ましくは8重量部以上であり、一方、好ましくは45重量部以下であり、より好ましくは40重量部以下である。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体が好ましく使用される。ポリプロピレン系樹脂としては、成形性の観点から、JIS K7210に従って230℃、荷重21.2Nで測定したメルトフローレート(MFR)が1.0〜60g/10分であることが好ましく、2.0〜40g/10分であることがより好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂としては、成形性の観点から、JIS K6922に従って190℃、荷重21.2Nで測定したメルトフローレート(MFR)が好ましくは1.0
〜60g/10分であることが好ましく、2.0〜40g/10分であることがより好ましい。また、ポリエチレン系樹脂は耐熱性の観点から密度が0.910〜0.980g/cmであることが好ましく、0.930〜0.970g/cmであることがより好ましい。
なお、成分(C)としては、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン系樹脂のいずれかを用いてもよく、両者を併用してもよい。また、物性の異なるポリプロピレン系樹脂の2種以上、ポリエチレン系樹脂の2種以上を併用してもよい。
成分(C)のポリオレフィン系樹脂は市販品として入手することができる。ポリプロピレン樹脂としては、例えば、日本ポリプロ社製ノバテック(登録商標)PPシリーズ、ウィンテック(登録商標)シリーズ等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。また、ポリエチレン樹脂としては、例えば、日本ポリエチレン社製ノバテック(登録商標)シリーズ、旭化成ケミカルズ社製クレオレックス(登録商標)シリーズ等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
<その他の成分>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて上記成分(A)〜(C)以外のその他の成分が含まれていてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が含有していてもよい他の成分としては、各種のブロッキング防止剤、シール性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、炭化水素系ゴム用軟化剤(ただし、成分(B)に該当するものを除く。)、結晶核剤、着色剤、フィラー、成分(A)、成分(C)以外の樹脂等が挙げられる。
フィラーとしては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。フィラーを用いる場合、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して通常0.1〜50重量部で用いられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いることのできる酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル
)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤を用いる場合、その配合量は、成分(A)100重量部に対して、0.01〜3.0重量部が好ましく、特に好ましくは0.05〜2.0重量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いることのできる滑剤としては、シリコーンオイル、脂肪酸アミド、脂肪酸グリセリド等が挙げられる。滑剤を用いる場合、その含有量は、成分(A)100重量部に対して0.01〜5重量部であることが好ましく、0.05〜1重量部であることがより好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が含有し得る成分(A)〜(C)以外の樹脂としては、スチレン系熱可塑性エラストマー(成分(A)に該当するものを除く。)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂(成分(A)に該当するものを除く。)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、前記以外の各種エラストマー(成分(A)又は成分(C)に該当するものを除く。)等が挙げられる。上記で挙げたその他の樹脂は1種のみを含有しても2種以上を含有してもよい。ただし、本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(A)〜(C)以外の樹脂を含有する場合、その含有量は、成分(A)100重量部に対して通常、200重量部以下であり、150重量部以下であることが好ましい。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)〜(C)、必要に応じて配合されるその他の成分を、公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、タンブラーブレンダー等で機械的に混合した後、公知の方法で機械的に溶融混練することにより製造することができる。機械的溶融混練には、バンバリーミキサー、各種ニーダー、単軸又は二軸押出機等の一般的な溶融混練機を用いることができる。
[成形体及び用途]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形することにより本発明の成形体を得ることができる。用いることのできる成形方法としては通常の射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、又は必要に応じて、ガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の各種成形方法が挙げられるが、特に、射出成形により成形体とすることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、圧縮永久歪、酸素ガス・水蒸気バリア性等に優れるため、ゴム栓として有用であり、更には医療用ゴム栓として特に有用である。医療用ゴム栓としてより具体的には、輸液バッグ、薬液を保管するビン、プラスチック製容器の栓として有用である。
なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いてゴム栓を製造するには、上述の所望の成形方法を適用することができる。例えば射出成形法であれば、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を200〜240℃に溶融し、射出圧力1,000〜2,000kg/cm程度の条件において、射出成形機を用い、所望の形状に成形することができる。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の
値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[原料]
実施例及び比較例で使用した材料を以下に示す。
<成分(A)>
(成分(A1))
a−1:クラレ社製 商品名ハイブラー(登録商標)7135
(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物)
Mw:280,000
ポリスチレンブロックの割合:33重量%
式(1)で表される構造単位:54モル%
式(2)で表される構造単位:41モル%
式(6)で表される構造単位:6モル%
(成分(A2))
a−2:カネカ社製 商品名シブスター(登録商標)103T
(スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体)
Mw:120,000
MFR:0.1g/10分
(測定条件:230℃、荷重21.2N)
ポリスチレンブロックの割合:30重量%
(成分(A1)及び成分(A2)以外のもの)
a−3:クレイトン社製 商品名Kraton(登録商標)G1651HU
(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物)
Mw:264,000
ポリスチレンブロックの割合:33重量%
<成分(B)>
b−1:JX日鉱日石エネルギー社製 商品名日石ポリブテン(登録商標)
HV−300
(ポリブテン系ゴム用軟化剤)
100℃における動粘度:550〜625mm/s(カタログ値)
<成分(C)>
c−1:日本ポリプロ社製 商品名ノバテック(登録商標)PP MA1Q
(ポリプロピレン)
MFR:22g/10分
(測定条件:230℃、荷重21.2N(JIS K7210))
<その他の成分:フィラー>
d−1:日本タルク社製 商品名ミクロエース(登録商標)K−1
(タルク)
平均粒子径:8.0μm
比重:0.25
d−2:竹原化学工業社製 商品名PHSH
(タルク)
平均粒子径:5.0μm
比重:0.25
<その他の成分:酸化防止剤>
e−1:BASFジャパン社製 商品名イルガノックス(登録商標)1010
(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
<その他の成分:滑剤>
f−1:東レ・ダウコーニング社製 商品名SH200−100cs
(シリコーンオイル)
動粘度(25℃):100cSt
[実施例1〜3及び比較例1〜3]
表−1に示す各原料を、同方向二軸押出機(日本製鋼所製「TEX−30α」、シリンダー口径:30mm)に20kg/hrの速度で投入し、180〜240℃の範囲で昇温させて溶融混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。 得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、インラインスクリュウタイプ射出成形機(株式会社日本製鋼所製「J−150SSII」)を用いてシート状に成形した。射出成形の条件は、樹脂温度:180〜240℃、射出時間:2〜20秒、金型温度:20〜60℃、冷却時間:10〜40秒の範囲とした。得られた射出成形シート(厚み2mm)を用いて、以下の(1−1)、(1−2)の評価を行った。また、得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、プレス成形機にて200℃でプレス成形することにより厚み1mmのプレスシートを得、以下の(1−3)、(1−4)の評価を行った。これらの評価結果を表−1に示す。
<ゴム栓性能の評価>
熱可塑性エラストマー組成物を用いたゴム栓性能の評価方法は次の通りである。
(1−1)柔軟性(デュロ硬度A)
ISO7619−1に基づき、硬度(タイプAデュロメータ)を測定した。ゴム栓として用いるには、デュロ硬度A20以上90以下であることが好ましい。
(1−2)圧縮永久歪
ISO815に基づき、圧縮永久歪を測定した。ゴム栓として用いるには、針刺し後の再シール性の観点から、圧縮永久歪が60%以下であることが好ましい。
(1−3)酸素ガス透過度
JIS K7126−2に基づき、厚み1mmのプレスシートを用いて下記条件で酸素ガス透過度を測定した。ゴム栓として用いるには、内容物の酸化劣化を防ぐために、酸素ガス透過度は180cm/(m・24h・atm)以下であることが好ましい。
装置:OX−TRAN 2/21
温湿度:20℃、dry
透過面積:50cm
(1−4)水蒸気透過度
JIS K7129 B法に基づき、厚み1mmのプレスシートを用いて下記条件で水蒸気透過度を測定した。ゴム栓として用いるには、内容物の吸湿を防ぐために、水蒸気透過度は0.55g/(m・24h)以下であることが好ましい。
装置:PERMATRAN−W 3/31
温湿度:40℃、90%RH
透過面積:50cm
Figure 2016089047
<評価結果(1)>
実施例1〜3の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、圧縮永久歪、酸素ガス・水蒸気透過度のいずれの評価結果も良好であり、ゴム栓として好適であることがわかる。
一方、比較例1は成分(A1)のブロック共重合体を用いず、また、成分(B)のポリブテン系ゴム用軟化剤が少なかったために圧縮永久歪が悪かった。比較例2は成分(A1)のブロック共重合体を用いなかったために圧縮永久歪、酸素ガス・水蒸気透過度が悪かった。比較例3は成分(A1)を用いず、成分(A3)のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物のみを用いたために酸素ガス・水蒸気透過度が悪かった。
<医療用ゴム栓性能の評価>
ゴム栓性能の評価が良好であった実施例1〜3について、更に医療用ゴム栓評価として、以下の方法により液漏れ量を評価した。その結果を表−2に示す。なお、液漏れ量の評価においては、(1−1)及び(1−2)で用いたものと同様にして得られた射出成形シート(厚み2mm)を用いた。
(2−1)液漏れ量
射出成形して得られたシートを用い、直径19mmの円盤状に試験片を打ち抜いたものを、250mLの試験液が入った市販の500mL飲料用ポリエチレンエレフタレート(PET)ボトルの口栓部に取り付けた。試験液には精製水と無水エタノールを3:7の割合で混合したものを用いた。試験片とPETボトルとの間から液漏れが無いように口栓部には専用の治具を取り付け、PETボトルを正立させて設置した。次いで、この試験片に対し、垂直上方から18Gの金属針(テルモ株式会社製)を、針の根元から5mmの位置まで刺し込み、この状態で30秒間静置した。その後、PETボトルを倒立させると同時に試験片から金属針を抜いた。この状態で30秒間保持し、滴下した試験液量(液漏れ量)を測定した。医療用ゴム栓として用いるには、内容物の漏洩を防ぐために、液漏れ量が少ないほうが望ましく、0.5g以下であることが好ましい。
Figure 2016089047
<評価結果(2)>
表−2に示す通り、実施例1〜3の熱可塑性エラストマー組成物は液漏れ量の評価結果も良好であり、医療用ゴム栓として好適であることがわかる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、圧縮永久歪、酸素ガス・水蒸気バリア性等に優れるため、ゴム栓として有用であり、医療用ゴム栓として特に有用である。医療用ゴム栓としてより具体的には、輸液バッグ、薬液を保管するビン、プラスチック製容器の栓として有用である。

Claims (9)

  1. 下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含み、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を30〜300重量部、成分(C)を5〜50重量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):ビニル芳香族化合物に由来する少なくとも2個の重合体ブロックPと、共役ジエン及び/又はイソブチレンに由来する少なくとも1個の重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であり、少なくとも下記成分(A1)を含む熱可塑性エラストマー
    成分(A1):ブロックQが下記式(1)で表される構造単位を含み、かつその含有量が30モル%以上であるブロック共重合体
    −CH−CH(CH(CH)− ・・・式(1)
    成分(B):ポリブテン系ゴム用軟化剤
    成分(C):ポリオレフィン系樹脂
  2. 成分(B)の100℃における動粘度が1〜2,000mm/sである、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 成分(A1)の重量平均分子量(Mw)が200,000〜500,000である、請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 成分(A1)のブロックQが更に下記式(2)で表される構造単位を含み、かつその含有量が5〜70モル%である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    −CH−CH−CH(CH)−CH− ・・・式(2)
  5. 成分(A)として更に下記成分(A2)を含み、[成分(A1)の重量]:[成分(A2)の重量]が99:1〜20:80である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A2):ブロックQが下記式(3)で表される構造単位を含むブロック共重合体
    −CH−C(CH− ・・・式(3)
  6. 成分(A2)の重量平均分子量(Mw)が80,000〜300,000である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるゴム栓。
  9. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる医療用ゴム栓。
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