JP2021152116A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】低温柔軟性と高温でのゴム弾性に優れた熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体を提供する。【解決手段】下記成分(A)〜(D)の合計100質量%に対し、P−Q型ジブロック共重合体及び/又はその水素添加物が0.05〜2.0質量%含まれていることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。成分(A):ポリオレフィン成分(B):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム成分(C):芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体及び/又はその水素添加物成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤【選択図】なし

Description

本発明は、低温柔軟性と高温ゴム弾性に優れた熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体に関する。
熱可塑性エラストマーとは、加熱により軟化して流動性を有し、冷却するとゴム弾性を有する材料をいう。具体的には、成形加工する際には、加工温度において溶融し、容易に周知の熱可塑性樹脂と同様に成形加工することが可能となるが、成形加工後に、実際に各種材料として使用する温度においては、架橋ゴムと同様の物理的性質を有するものである。このように、熱可塑性エラストマーは、熱可塑性樹脂と同様の成形加工性を有すると共に、柔軟性と独特のゴム弾性を有し、また、リサイクルが可能であることから、自動車部品、建築部品、医療用部品、電線被覆材、雑貨等の用途に幅広く用いられている。
このようなゴム的特性を生かした部材の多くは、引張方向や圧縮方向等に外力をかけて用いられる。寒冷地のような低温条件下から自動車内エンジンルームのような高温条件下に至る幅広い使用温度領域において、柔軟性とゴム弾性を有することが特に重要であり、これまで数多くの研究が開示されてきた。
特許文献1には、オレフィン系樹脂、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、水素化芳香族ビニル・共役ジエン化合物ブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物を用いた自動車用ウェザストリップが開示されている。
また、特許文献2には、ビニル芳香族系共重合体ゴム、エチレン系共重合体ゴム、オレフィン系樹脂を含む、高温下における圧縮永久歪みに優れた熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。
特開平10−324200号公報 特開2011−184594号公報
熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体は、低温条件下において急激に硬くなることで、接触する別部材との擦れによる振動や異音が発生したり、衝撃が与えられた際に脆性破壊を起こしたりする不具合が問題となっている。このため、加硫ゴム代替品として必要な高温時のゴム弾性を維持しつつ、低温での柔軟性が向上した熱可塑性エラストマーが求められてきている。
特許文献1に記載の熱可塑性エラストマー組成物及び自動車用ウェザストリップ成形体においては、低温柔軟性や高温でのゴム弾性についての記載がなかった。また、特許文献2に記載の熱可塑性エラストマー組成物では、低温柔軟性についての記載はなかった。
熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体の低温柔軟性を向上させる手段としては、ゴム成分と軟化剤成分の比率を増やすことは公知である。しかし、ゴム成分と軟化剤成分の比率を増やすことで、高温でのゴム弾性が低下することが背反である。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、低温柔軟性と高温でのゴム弾性に優れた熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
本発明者が上記課題を解決するために検討した結果、成分(A):ポリオレフィン、成分(B):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、成分(C):芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体及び/又はその水素添加物、並びに成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤を含む熱可塑性エラストマー組成物であって、成分(A)〜(D)の合計100質量%に対し、P−Q型ジブロック共重合体及び/又はその水素添加物が0.05〜2.0質量%含まれている熱可塑性エラストマー組成物が、上記課題を解決し得ることを見出した。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 下記成分(A)〜(D)の合計100質量%に対し、下記P−Q型ジブロック共重合体及び/又はその水素添加物が0.05〜2.0質量%含まれていることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):ポリオレフィン
成分(B):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(C):芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であって、重合体ブロックPと重合体ブロックQとを各々1個ずつ有するP−Q型ジブロック体を含むブロック共重合体、及び/又はその水素添加物
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
[2] 前記成分(A)と(B)の合計100質量部に対して、前記成分(D)を50質量部以上300質量部以下含む、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3] JIS K6253(2006年度版)におけるデュロ硬度Aが80以下である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4] 更に下記成分(E)を含む、[1]から[3]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(E):架橋剤
[5] 前記成分(E)がフェノール樹脂、有機過酸化物、水素化ケイ素化合物、多官能ビニル化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、及び塩化スズよりなる群から選択される少なくとも1種である、[4]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[6] 前記成分(E)がフェノール樹脂及び塩化スズからなる、[5]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[7] [1]から[6]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
[8] [7]に記載の成形体を用いた自動車用制振部材。
[9] [7]に記載の成形体を用いた自動車用防振部材。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、低温柔軟性と高温でのゴム弾性に優れる。このため、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、自動車用、家電用、建材用等の制振部材、防振部材、具体的には自動車部品を固定するクリップや自動車車両にホースやパイプを固定するクランプの防振部材、自動車車両の窓枠の制振部材に好適に用いることが期待される。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。なお、本発明において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[熱可塑性エラストマー組成物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)〜(D)の合計100質量%に対し、P−Q型ジブロック共重合体及び/又はその水素添加物が0.05〜2.0質量%含まれていることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物である。
成分(A):ポリオレフィン
成分(B):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(C):芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であって、重合体ブロックPと重合体ブロックQとを各々1個ずつ有するP−Q型ジブロック体を含むブロック共重合体、及び/又はその水素添加物
成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
[P−Q型ジブロック共重合体及び/又はその水素添加物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物における成分(A)〜(D)の合計100質量%に対するP−Q型ジブロック共重合体及び/又はその水素添加物(以下、「(水添)ジブロック共重合体」と称す場合がある)の含有率は0.05〜2.0質量%である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物がP−Q型(水添)ジブロック共重合体を上記割合で含有することで低温柔軟性と高温でのゴム弾性を両立できる。P−Q型(水添)ジブロック共重合体の含有割合の下限は、低温柔軟性の観点から0.1質量%以上が好ましい。一方、その上限は高温でのゴム弾性を維持する観点から1.8質量%以下が好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物における成分(A)〜(D)の合計100質量%に対するP−Q型(水添)ジブロック共重合体の含有率を上記範囲とする方法は特に限定されず、後述する成分(C)としてP−Q型(水添)ジブロック共重合体を1質量%以上、好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上含有するものを選択して、混合するのが好ましい。成分(C)に含まれるP−Q型(水添)ジブロック共重合体の含有率の上限については特に限定されず、通常100質量%以下である。
[成分(A)]
成分(A)のポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ1−ブテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合等が挙げられるが、耐熱性、成形加工性等に優れることから、ポリプロピレンが好適に用いられる。
ポリプロピレンとは、全単量体単位に対するプロピレン単位の含有率が50質量%よりも多いポリオレフィンである。
ポリプロピレンとしては、その種類は特に制限されず、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体等のプロピレン共重合体、いずれも使用することができる。
ポリプロピレンがプロピレンランダム共重合体である場合、プロピレンと共重合する単量体としては、エチレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンを例示することができる。また、ポリプロピレンがプロピレンブロック共重合体である場合、多段階で重合して得られるプロピレンブロック共重合体が挙げられ、より具体的には、第一段階でポリプロピレンを重合し、第二段階でプロピレン・エチレン共重合体を重合して得られるプロピレンブロック共重合体が挙げられる。
ポリプロピレンにおけるプロピレン単位の含有率は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。プロピレン単位の含有率が上記下限値以上であることにより、耐熱性及び剛性が良好となる傾向にある。一方、ポリプロピレンにおけるプロピレン単位の含有率の上限については特に制限されず、通常100質量%である。なお、ポリプロピレンのプロピレン単位の含有率は、赤外分光法により求めることができる。
また、ポリプロピレンのメルトフローレート(測定温度230℃、測定荷重21.18N)は、限定されないが、通常0.1g/10分以上であり、成形性の観点から、好ましくは0.5g/10分以上である。また、上限は、通常100g/10分以下であり、耐熱性の観点から、好ましくは30g/10分以下であり、より好ましくは10g/10分以下である。
成分(A)のポリオレフィンのメルトフローレートは、JIS K7210(1999年)に従って、測定温度230℃、測定荷重21.18Nの条件で測定される。
ポリプロピレンの製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒を用いた多段重合法を挙げることができる。この多段重合法には、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等を用いることができ、これらを2種以上組み合わせて製造してもよい。
また、ポリプロピレンは市販の該当品を用いることも可能である。市販のポリプロピレンとしては下記に挙げる製造者等から調達可能であり、適宜選択することができる。入手可能な市販品としては、日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)PP、プライムポリマー社のPrime Polypro(登録商標)、住友化学社の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社のポリプロピレンブロックコポリマー、LyondellBasell社のMoplen(登録商標)、ExxonMobil社のExxonMobil PP、Formosa Plastics社のFormolene(登録商標)、Borealis社のBorealis PP、LG Chemical社のSEETEC PP、A.Schulman社のASI POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社のINEOS PP、Braskem社のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社のSumsung Total、Sabic社のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社のTOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社のYUPLENE(登録商標)等がある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ポリプロピレン等のポリオレフィンの1種のみを含むものであってもよく、含まれる単量体単位の種類や含有率、物性等の異なるものの2種以上を含むものであってもよい。
[成分(B)]
成分(B)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、共重合成分としてエチレンとα−オレフィンと非共役ジエン化合物とを含有する共重合体である。エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムには、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤との混合物(以下、「油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム」と称することもある。)である油展タイプのものと、炭化水素系ゴム用軟化剤を含まない非油展タイプのものがあり、本実施形態では油展タイプの共重合体ゴムを意図しているが、低油展タイプあるいは非油展タイプのものも好適に用いることができる。すなわち、本発明において、成分(B)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、油展タイプと非油展タイプのいずれでも使用可能であり、非油展タイプのもの又は油展タイプのものの1種類のみを単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよく、油展タイプの1種又は2種以上と非油展タイプの1種又は2種以上とを任意の組み合わせ及び比率で用いることもできる。
なお、ここで、成分(B)が油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムである場合、この油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムに含まれる炭化水素系ゴム用軟化剤は、成分(D)としての炭化水素系ゴム用軟化剤に含まれるものである。
成分(B)中のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数3〜20、より好ましくは炭素数3〜8のα−オレフィンが挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、動的架橋時の架橋剤による架橋性やブルームアウト抑制等の観点から、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテンが好ましく、より好ましくはプロピレン、1−ブテンである。なお、α−オレフィンは、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
成分(B)中の非共役ジエン化合物としては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロへキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロオクタジエン、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ビニリデンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)等のエチリデンノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)等のメチレンノルボルネン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、動的架橋時の架橋剤による架橋性等の観点から、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニリデンノルボルネンが好ましく、より好ましくはジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ビニリデンノルボルネンである。なお、非共役ジエンは、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムの具体例としては、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム等のエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)や、エチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴムが挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、動的架橋時の架橋剤による架橋性やブルームアウト抑制等の観点から、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)が好ましい。なお、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム中のエチレン単位の含有率は、特に限定されないが、50〜90質量%が好ましく、55〜85質量%がより好ましく、60〜80質量%が更に好ましい。エチレン単位の含有率が上記好ましい範囲内であると、機械的強度やゴム弾性に優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られ易い傾向にある。
また、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム中のα−オレフィン単位の含有率は、特に限定されないが、9.5〜49.5質量%が好ましく、14〜44質量%がより好ましく、18〜38質量%が更に好ましい。α−オレフィン単位の含有率が上記好ましい範囲内であると、機械的強度、適度な柔軟性、ゴム弾性に優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られ易い傾向にある。
更に、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム中の非共役ジエン単位の含有率は、特に限定されないが、0.5〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜10質量%が更に好ましい。非共役ジエン単位の含有率が上記好ましい範囲内であると、架橋性や成形性の調整が容易となり、機械的強度やゴム弾性に優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られ易い傾向にある。
なお、成分(B)の各構成単位の含有率は、赤外分光法により求めることができる。
本発明において、成分(B)としては、特に、エチレン単位の含有率が55〜75質量%であり、プロピレン単位の含有率が15〜40質量%であり、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、及びビニリデンノルボルネンよりなる群から選択される少なくとも1種の非共役ジエン単位の含有率が1〜10質量%のエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムが好ましい。
なお、成分(B)の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた重合方法が適用できる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体等の錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法で製造することができる。
本発明において用いる成分(B)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのうち、非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、即ち、油展されていないエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム)のムーニー粘度(ML1+4、125℃)は、通常45以上であり、好ましくは50以上である。非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体のムーニー粘度(ML1+4、125℃)は、より好ましくは50〜400、更に好ましくは50〜300である。
一方、油展エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+4、125℃)は、特に限定されないが、好ましくは30〜100、より好ましくは35〜80である。成分(B)のムーニー粘度が上記下限値以上であると圧縮永久歪みが良好となり、また、得られる成形体の外観を良好にする観点からも好ましく、また、上記上限値以下であると成形性の観点から好ましい。
本発明において、成分(B)の油展前エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体と油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体のムーニー粘度(ML1+4、125℃)の関係は、特開平1−103639号公報に記載されているように下記式で表される。
計算式:log(ML/ML)=0.0066(ΔPHR)
ML:油展前エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのムーニー粘度
ML:油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのムーニー粘度
ΔPHR:エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム100質量部当たりの油展量
また、成分(B)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムの密度は、特に限定されないが、0.850g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは0.860g/cm以上であり、一方、0.900g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.890g/cm以下である。成分(B)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムの密度が上記好ましい数範囲内であると、加工性、成形性、柔軟性等に優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られ易い傾向にある。なお、かかる密度は、JIS K7112:1999に基づいて測定することができる。
前述の通り、成分(B)として油展タイプのエチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体を用いることもできる。油展エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体において、炭化水素系ゴム用軟化剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを軟化させ、柔軟性と弾性を増加させるとともに、得られる熱可塑性エラストマー組成物の加工性や流動性を向上させる等の目的のために使用される。
油展エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムに用いる炭化水素系ゴム用軟化剤としては、例えば鉱物油系ゴム用軟化剤、合成樹脂系ゴム用軟化剤等が挙げられ、これらの中でも、他の成分との親和性等の観点から、鉱物油系ゴム用軟化剤が好ましい。鉱物油系ゴム用軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子に対し、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50%以上のものはパラフィン系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45%のものはナフテン系オイル、芳香族系炭化水素の炭素の割合が35%以上のものは芳香族系オイルと呼ばれている。これらの中でも、成分(B)の油展エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムの炭化水素系ゴム用軟化剤としては、パラフィン系ゴム用軟化剤(パラフィン系オイル)が好ましい。なお、炭化水素系ゴム用軟化剤は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
成分(B)の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムに用いるパラフィン系オイルとしては、特に限定されないが、40℃の動粘度が通常20cSt(センチストークス)以上、好ましくは50cSt以上であり、通常800cSt以下、好ましくは600cSt以下のものである。また、流動点は通常−40℃以上、好ましくは−30℃以上で、0℃以下のものが好適に用いられる。更に、引火点(COC)は、通常200℃以上、好ましくは250℃以上であり、通常400℃以下、好ましくは350℃以下のものが好適に用いられる。
成分(B)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを用いる際の、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤との含有比率は、特に限定されないが、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム100質量部に対し、炭化水素系ゴム用軟化剤の含有量が、通常10質量部以上であり、好ましくは20質量部以上であり、一方、通常200質量部以下であり、好ましくは160質量部以下であり、より好ましくは120質量部以下である。
油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを調製する方法(油展方法)は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。油展方法としては、例えば、ミキシングロールやバンバリーミキサーを用い、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤を機械的に混練して油展する方法、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムに所定量の炭化水素系ゴム用軟化剤を添加し、その後スチームストリッピング等の方法により脱溶媒する方法、クラム状のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤の混合物をヘンシェルミキサー等で撹拌して含浸させる方法等が挙げられる。高分子量の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを調製する観点からは、成分(B)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムの重合反応溶液又は懸濁液中に、所定量の炭化水素系ゴム用軟化剤を添加した後、溶媒を除去する方法が好ましい。
なお、成分(B)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとしては、各種グレードのものが国内外のメーカーから数多く市販されており、その市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、JSR社製のJSR EPR、三井化学社製の三井EPT、住友化学社製のエスプレン(登録商標)、ARLANXEO社製のKeltan(登録商標)、DOW CHEMICAL社製のNORDEL(登録商標)、KUMHO POLYCHEM社製のKEPが挙げられる。
[成分(C)]
成分(C)は、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックP(以下、単に「ブロックP」と称す場合がある)と、共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックQ(以下、単に「ブロックQ」と称す場合がある)とを有するブロック共重合体及び/又はその水素添加物(以下、「(水添)ブロック共重合体」と称す場合がある)である。
ここで「主体とする」とは、当該ブロックを構成する単量体単位の含有率が50モル%以上であることを意味する。
ブロックPを構成する単量体のビニル芳香族化合物は限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体が好ましい。これらの中でも、スチレンを主体とすることがより好ましい。なお、当該ブロックPには、ビニル芳香族化合物以外の単量体が原料として含まれていてもよい。
ブロックQを構成する単量体は、ブタジエン単独、イソプレン単独、ブタジエン及びイソプレン、のいずれかが好ましい。なお、ブロックQには、ブタジエン及びイソプレン以外の単量体が原料として含まれていてもよい。
成分(C)のブロック共重合体におけるブロックPの含有率は限定されないが、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。一方、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましい。
成分(C)におけるブロックP及びブロックQを有する共重合体の化学構造は、直鎖状、分岐状、放射状等の何れであってもよいが、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
成分(C)はブロックPとブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物であってもよい。下記式(1)又は(2)で表される共重合体が水添ブロック共重合体であると、本発明の熱可塑性樹脂エラストマーの耐熱老化性が良好となる傾向にある。
P−(Q−P) (1)
(P−Q) (2)
(式中、PはブロックPを、QはブロックQをそれぞれ表し、mは1〜5の整数を表し、nは1〜5の整数を表す。)
式(1)又は(2)においてm及びnは、ゴム的高分子体としての秩序−無秩序転移温度を下げる点では大きい方がよいが、製造のしやすさ及びコストの点では小さい方がよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、P−Q型(水添)ジブロック共重合体が、成分(A)〜(D)の合計100質量%に対し0.05〜2.0質量%含まれていることを特徴とする。
この要件を満たすために成分(C)の(水添)ブロック共重合体には、nが1である式(2)で表されるP−Q型(水添)ジブロック共重合体が通常1質量%以上、好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上含まれることが低温柔軟性の観点から好ましい。成分(C)のP−Q型(水添)ジブロック共重合体の含有率の上限については特に限定されず100質量%であってもよいが、ゴム弾性が良好となる観点から90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
成分(C)はP−Q型(水添)ジブロック共重合体と、P−Q型(水添)ジブロック共重合体以外の上述の式(1)又は式(2)で表される(水添)ブロック共重合体の混合物であってもよい。P−Q型(水添)ジブロック共重合体以外の共重合体は、ゴム弾性に優れることから、式(2)で表される(水添)ブロック共重合体よりも式(1)で表される(水添)ブロック共重合体の方が好ましく、mが3以下である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体がより好ましく、mが2以下である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体が更に好ましい。
成分(C)のスチレン系共重合体の数平均分子量は限定されないが、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する場合がある)により測定したポリスチレン換算の値として、20,000以上であることが好ましく、40,000以上がより好ましい。また500,000以下であることが好ましく、400,000以下であることがより好ましい。数平均分子量が上記範囲であると、柔軟性、成形性が良好となる傾向にある。
成分(C)のブロック共重合体の製造方法は、上述の構造と物性が得られればどのような方法でもよく、特に限定されない。成分(C)のブロック共重合体は、例えば、リチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック重合を行うことによって製造することができる。また、ブロック共重合体の水素添加(水添)は、不活性溶媒中で水添触媒の存在下で行う等の公知の方法を採用することができる。
成分(C)の(水添)ブロック共重合体は、市販品を用いることも可能である。市販品としては、例えば、クレイトンポリマー社製「KRATON」シリーズ、旭化成ケミカルズ社製「タフテック(登録商標)」シリーズが挙げられ、該当するものを適宜選択して用いることができる。
成分(C)は、1種のみを用いてもよく、共重合成分組成や物性等の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
[成分(D)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性や弾性を増加させるとともに、加工性や流動性を向上させる観点から、成分(D)として炭化水素系ゴム用軟化剤を含有することが好ましい。なお、この成分(D)には、上述した成分(B)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを使用する際、その中に含まれる炭化水素系ゴム用軟化剤が含まれるが、成分(B)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを用いる場合も、この油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとは別に成分(D)として炭化水素系ゴム用軟化剤を別添加することが好ましい。この場合、別添加する炭化水素系ゴム用軟化剤は、成分(B)の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム中の炭化水素系ゴム用軟化剤と同一、同種、異種の炭化水素系ゴム用軟化剤のいずれでも用いることができる。成分(E)の架橋剤に炭化水素系ゴム用軟化剤が含まれる場合についても同様である。
成分(B)とは別添加する炭化水素系ゴム用軟化剤としては、上記した油展エチレン・α−オレフィン・共役ジエン共重合体ゴムに用いる炭化水素系ゴム用軟化剤と同様のものを用いることができる。炭化水素系ゴム用軟化剤は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
パラフィン系オイルとしては、特に限定されないが、40℃の動粘度が通常20cSt(センチストークス)以上、好ましくは50cSt以上であり、通常800cSt以下、好ましくは600cSt以下のものである。また、流動点は通常−40℃以上、好ましくは−30℃以上で、0℃以下のものが好適に用いられる。また、流動点は、通常−40℃以上、好ましくは−30℃以上で、0℃以下のものが好適に用いられる。更に、引火点(COC)は、通常200℃以上、好ましくは250℃以上であり、通常400℃以下、好ましくは350℃以下のものが好適に用いられる。
なお、成分(B)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを使用する際にも、成分(D)として炭化水素系ゴム用軟化剤を別添することにより、成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤の含有割合を油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム中の炭化水素系ゴム用軟化剤の含有割合に依存せずに、任意に調整することが可能である。
成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤は市販のものを用いてもよい。成分(D)の市販品としては、例えば、JX日鉱日石エネルギー社製「日石ポリブテン(登録商標)HV」シリーズ、出光興産社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW」シリーズが挙げられ、これらの中から適宜選択して使用することができる。
[含有割合]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)と成分(B)との合計100質量%に対して、成分(A)の含有率が1質量%以上50質量%未満であることが好ましく、3質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。成分(A)の含有率が上記下限以上であると、成形性と高温におけるゴム弾性が良好であり好ましい。成分(A)の含有率が上記上限以下であると、柔軟性が良好であり好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、P−Q型(水添)ジブロック共重合体が、成分(A)〜(D)の合計100質量%に対し0.05〜2.0質量%含まれていることを特徴とする。従って、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成分(C)の含有率は、そのP−Q型(水添)ジブロック共重合体含有率に応じてこの条件を満たすような含有率であればよい。
具体的には、成分(C)の含有量は、成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましい。成分(C)の含有量が上記下限以上であると、低温における柔軟性が良好であり好ましい。一方で、成分(C)の含有量は、成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して、400質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、100質量部以下が更に好ましく、特に好ましくは50質量部以下である。成分(A)の含有量が上記上限以下であると、高温ゴム弾性が良好であり好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して、成分(D)を50質量部以上300質量部以下含有することが好ましく、70質量部以上250質量部以下含有することがより好ましい。成分(D)の含有量が上記下限以上であると、成形性とゴム弾性が良好であり好ましい。成分(D)の含有量が上記上限以下であると、耐オイルブリード性が良好であり好ましい。
なお、ここで、成分(D)の含有量とは、成分(B)として油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを用いた場合、成分(B)中の炭化水素系ゴム用軟化剤と、成分(B)とは別添される成分(D)としての炭化水素系ゴム用軟化剤との合計の含有量であり、後述の成分(E)に炭化水素系ゴム用軟化剤が含まれる場合は、当該炭化水素系ゴム用軟化剤をも含む合計の含有量である。
[成分(E)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(E)として架橋剤を含むことが好ましい。
成分(E)の架橋剤は、動的熱処理において、樹脂組成物中で上述した成分(B)を部分的に架橋するものであり、これにより動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が実現される。かかる架橋剤としては、公知のものの中から適宜選択して用いることができ、特に限定されないが、成分(E)は、フェノール樹脂、有機過酸化物、水素化ケイ素化合物、多官能ビニル化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、及び塩化スズよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、フェノール樹脂と塩化スズ、有機過酸化物と多官能ビニル化合物又は多官能(メタ)アクリレート化合物の組み合わせがより好ましく用いられる。なお、架橋剤は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
成分(E)のフェノール樹脂としては、非ハロゲン系フェノール樹脂であるアルキルフェノールホルムアルデヒド等、ハロゲン系フェノール樹脂である臭化アルキルフェノールノールホルムアルデヒド等が挙げられる。これらのフェノール樹脂は1種類のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(E)のフェノール樹脂としては、特に非ハロゲン系フェノール樹脂が好ましく、具体的には、下記式(I)で表されるものが好ましい。
Figure 2021152116
(式中、Xは、二価の連結基である−CH−、又は−CH−O−CH−から選択され、rは0〜20の整数であり、Rは炭素数20未満、好ましくは炭素数1〜12の有機基である。)
上記非ハロゲン系フェノール樹脂の製品例としては、田岡化学工業(株)製のTackirol 201、202(商品名)、群栄化学工業(株)製のPR−4507(商品名)、Hoechst社製のVulkaresat 510E、532E、Vulkaresen E、105E、130E、Vulkaresol 315E(商品名)、Rohm&Haas社製のAmberol ST 137X(商品名)、住友デュレズ(株)製のスミライトレジン PR−22193(商品名)、Anchor Chem.社製のSymphorm−C−100、C−1001(商品名)、荒川化学工業(株)製のタマノル 531(商品名)、Schenectady Chem.社製のSchenectady SP1045、SP1059(商品名)、U.C.C社製のCRR−0803(商品名)、昭和ユニオン合成(株)製のCRM−0803(商品名)、Bayer社製のVulkadur A(商品名)等が挙げられる。
成分(E)の非ハロゲン系フェノール樹脂としては、下記式(II)で表されるp−オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂が特に好ましく用いられ、その中でも質量平均分子量が2,500〜4,000のものが最も好ましく用いられる。かかる非ハロゲン系フェノール樹脂としては、上記のTackirol(登録商標)201、202として市販されているものを利用することができる。
Figure 2021152116
成分(E)の有機過酸化物としては、芳香族系有機過酸化物、脂肪族系有機過酸化物等が挙げられる。具体的には、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類;t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−3−ヘキシン等のパーオキシエステル類;アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のヒドロパーオキシド類が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
また、上述したフェノール樹脂や有機過酸化物に加えて、その他の架橋剤を使用してもよく、例えば、メチルハイドロジェンシリコン等の水素化ケイ素化合物、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン等の過酸化物用助剤;ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド等のビスマレイミド構造を有する化合物;トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、塩化スズ(SnCl)が挙げられる。これらの中では、ジビニルベンゼンが好ましい。
なお、架橋剤は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。例えば、有機過酸化物に対しては、上記多官能ビニル化合物又は多官能(メタ)アクリレート化合物を併用することが好ましい。また、フェノール樹脂架橋剤は、通常活性化剤と共に使用される。ここで用いることができる活性化剤としては、例えば、塩化第一スズ、塩化第二鉄、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレンのようなハロゲン供与体、及び酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化珪素、酸化亜鉛のような受酸剤が用いられる。フェノール系樹脂がハロゲン化されている場合にはハロゲン供与体は用いなくてもよい。
なお、架橋剤として市販されているものには、前述の成分(D)に該当する炭化水素系ゴム用軟化剤や、充填材を含むものがあるが、使用する架橋剤に炭化水素系ゴム用軟化剤が含まれる場合、当該炭化水素系ゴム用軟化剤は、成分(D)としての炭化水素系ゴム用軟化剤に含まれるものとする。また、後述の充填材についても同様である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して、成分(E)を0.5質量部以上10質量部以下含有ことが好ましい。成分(E)の含有量が上記下限以上であると、ゴム弾性が良好であり好ましい。成分(E)の含有量が上記上限以下であると、成形性が良好であり好ましい。
[その他の成分]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、成分(A)〜(E)以外に本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてその他の成分を配合することができる。
その他の成分としては、例えば、成分(A)〜(C)以外の熱可塑性樹脂やエラストマー等の樹脂、酸化防止剤、充填材、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物を挙げることができる。これらは任意のものを単独又は併用して用いることができる。
成分(A)〜(C)以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリオレフィン樹脂(だだし、成分(A)又は成分(B)に該当するものを除く。)を挙げることができる。また、成分(A)〜(C)以外のエラストマーとしては、例えば、ポリエステル系エラストマー;ポリブタジエンを挙げることができる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤を用いる場合、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、通常0.01〜3.0質量部の範囲で用いられる。
充填材としては、例えば、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。充填材を用いる場合、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、通常0.1〜50質量部で用いられる。
滑剤としては、例えば脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩、オルガノポリシロキサンが挙げられる。滑剤を用いる場合、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前述の通り、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)と、必要に応じて用いられるその他の成分等を所定量含有する組成物を好ましくは架橋剤(E)の存在下で動的熱処理して製造される。
本発明において「動的熱処理」とは架橋剤の存在下で溶融状態又は半溶融状態で混練することを意味する。この動的熱処理は、溶融混練によって行うのが好ましく、そのための溶融混練装置としては、例えば非開放型バンバリーミキサー、ミキシングロール、ニーダー、二軸押出機が用いられる。これらの中でも二軸押出機を用いることが好ましい。この二軸押出機を用いた製造方法の好ましい態様としては、複数の原料供給口を有する二軸押出機の原料供給口(ホッパー)に各成分を供給して動的熱処理を行うものである。
動的熱処理を行う際の温度は、通常80〜300℃、好ましくは100〜250℃である。また、動的熱処理を行う時間は通常0.1〜30分である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を二軸押出機により動的熱処理を行うことにより製造する場合においては、二軸押出機のバレル半径(R(mm))、スクリュー回転数(N(rpm))及び吐出量(Q(kg/時間))の間に下記式(i)の関係を保ちながら押出することが好ましく、下記式(ii)の関係を保ちながら押出することがより好ましい。
2.6<NQ/R<22.6 (i)
3.0<NQ/R<20.0 (ii)
二軸押出機のバレル半径(R(mm))、スクリュー回転数(N(rpm))及び吐出量(Q(kg/時間))との間の前記関係が上記下限値より大きいことが熱可塑性エラストマー組成物を効率的に製造するために好ましい。一方、前記関係が上記上限値より小さいことが、剪断による発熱を抑え、外観不良の原因となる異物の発生を抑制するために好ましい。
なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造に当たり、成分(B)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを、成分(D)の炭化水素系ゴム用軟化剤の少なくとも一部で処理して、成分(B)を油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとして用いることもできる。
成分(B)と成分(D)とで油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを製造する方法(油展方法)としては上記油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを調製する方法と同様の方法を用いることができる。
[熱可塑性エラストマー組成物の物性]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体について、JIS K6253(2006年度版)(Duro−A)に準拠して測定したデュロ硬度A(15秒後値)は、80以下であることが好ましく、特に20〜80の範囲であることがより好ましく、25〜75の範囲であることが更に好ましい。デュロ硬度Aが上記下限以上であると、高温でのゴム弾性が良好であり好ましい。デュロ硬度Aが上記上限以下であると、低温柔軟性が良好であり好ましい。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体について、JIS K6262に準拠し、120℃、22時間、25%圧縮条件で測定した圧縮永久歪みは、54以下であることが好ましく、52以下であることがより好ましい。圧縮永久歪みが上記上限以下であると、高温でのゴム弾性が良好であり好ましい。
更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体について、JIS K7181を参照して圧縮速度10mm/min、−30℃雰囲気下にて測定した30%歪み時圧縮応力は、710kPa以下であることが好ましく、700kPa以下であることがより好ましい。30%歪み時圧縮応力が上記上限以下であると、低温柔軟性が良好であり好ましい。
[成形体・用途]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常熱可塑性エラストマー組成物に用いられる成形方法、例えば、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形等の各種成形方法により、成形体とすることができる。これらの中でも射出成形、押出成形が好適である。また、これらの成形を行った後に積層成形、熱成形等の二次加工を行った成形体とすることもできる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物及は低温柔軟性及び高温でのゴム弾性に優れ、自動車分野(シール、クッション、ブーツ等)、建築分野(ガスケット、パッキン等)、その他各種の雑貨分野、スポーツ用品(ゴルフクラブやテニスラケットのグリップ類等)、工業用部品(ホースチューブ、ガスケット等)、家電部品(ホース、パッキン類等)、医療用部品(医療用容器、ガスケット、パッキン等)、食品用部品(容器、パッキン等)、医療用機器部品、電線、その他雑貨等の広汎な分野で用いることができる。中でも自動車用制振部材、自動車用防振部材として本発明の熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形体を用いるのが好適である。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[原材料]
以下の実施例・比較例で使用した原材料は以下の通りである。
<成分(A)>
(A−1):プロピレン単独重合体/日本ポリプロ株式会社製 ノバテック(登録商標)PP FY6
プロピレン単位含有率:100質量%
MFR(230℃、21.18N):2.5g/10分
<成分(B)>
(B−1)+(D−1)混合物:油展エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(成分(B−1))100質量部と成分(D−1)100質量部の混合物
ムーニー粘度ML1+4(125℃):64
密度:0.86g/cm
油展されていないエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴムのムーニー粘度ML1+4(125℃):293
エチレン単位含有率:67質量%
5−エチリデン−2−ノルボルネン単位含有率:4.5質量%
(D−1):パラフィン系オイル/出光興産株式会社製 ダイアナ(登録商標)プロセスオイル PW−380
40℃の動粘度:408.8cSt
流動点:−15℃
引火点:300℃
[成分(C)]
(C−1):芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との水添ブロック共重合体:クレイトンポリマー社製 KRATON G1657
スチレンブロックP含有率:13質量%
数平均分子量:76,500
P−Q型水添ジブロック共重合体含有率:29質量%
(C’−1):芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との水添ブロック共重合体:クレイトンポリマー社製 KRATON G1651
スチレンブロックP含有率:33質量%
数平均分子量:220,000
P−Q型水添ジブロック共重合体含有率:1質量%未満
[成分(D)]
(D−1):パラフィン系オイル/出光興産株式会社製 ダイアナ(登録商標)プロセスオイル PW−380
40℃の動粘度:408.8cSt
流動点:−15℃
引火点:300℃
(D−2):パラフィン系オイル/出光興産株式会社製 ダイアナ(登録商標)プロセスオイル PW−90
40℃の動粘度:95.54cSt
流動点:−15℃
引火点:272℃
[成分(E)]
(E−1)+(D−2)混合物:フェノール樹脂(成分(E−1))30質量部と成分(D−2)70質量部の混合物
(E−1):両末端がメチロール基であるアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂/田岡化学工業株式会社製 Tackirol(登録商標)201
(D−2):パラフィン系オイル/出光興産株式会社製 ダイアナ(登録商標)プロセスオイル PW−90
40℃の動粘度:95.54cSt
流動点:−15℃
引火点:272℃
(E−2):塩化第一スズ/和光純薬工業株式会社製
[成分(F)]
(F−1):充填材/竹原化学工業株式会社製 タルク PHSH
[成分(G)]
(G−1):酸化防止剤/BASFジャパン株式会社製 イルガノックス(登録商標)1076
[成分(H)]
(H−1)+(A−1)混合物:シリコーンガム−ポリプロピレンマスターバッチ(成分(H−1)50質量部と成分(A−1)50質量部の混合物)/デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製 MB50−001
(H−1):シリコーンガム
[成分(I)]
(I−1):受酸剤/和光純薬工業株式会社製 酸化亜鉛
[評価方法]
以下の実施例・比較例における熱可塑性エラストマー組成物の評価方法は以下の通りである。
なお、下記(1)〜(3)の測定においては、各熱可塑性エラストマー組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)にて、射出圧力50MPa、シリンダー温度190℃、金型温度40℃の条件下にて、各熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して厚さ2mm×幅120mm×長さ120mmのシートを得た。(2)の圧縮永久歪みの測定においては、JIS K6262に準拠し、得られたシート(厚さ2mm×幅120mm×長さ120mm)を打ち抜いて得たTypeA円盤:29mmφを6枚重ねて試験片を作製し、この試験片を用いて測定した。(3)の30%歪み時圧縮応力の測定においては、得られたシート(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mm)を打ち抜いて得た10mmφ円盤を5枚重ねて試験片を作製し、この試験片を用いて測定した。
(1)デュロ硬度A
JIS K6253(Duro−A)に準拠し、硬度(15秒後)を測定した。
(2)圧縮永久歪み
JIS K6262の規格に準拠し、120℃、22時間、25%圧縮条件で測定した。
(3)低温柔軟性:30%歪み時圧縮応力
上記の通り作製した試験片をJIS K7181を参照して、30%歪み時圧縮応力(単位:kPa)を圧縮速度10mm/min、−30℃雰囲気下にて測定した。
[実施例/比較例]
<実施例1>
成分(A−1)17.8質量部、成分(B−1)+(D−1)混合物159質量部(内訳成分(B−1):79.5質量部、(D−1):79.5質量部)、成分(C−1)2質量部、成分(E−2)0.9質量部、成分(F−1)12質量部、成分(G−1)0.2質量部、成分(H−1)+(A−1)混合物5.4質量部(内訳成分(H−1):2.7質量部、(A−1):2.7質量部)、成分(I−1)0.4質量部をヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドした。同方向二軸押出機(日本製鋼所「TEX30」、L/D=52.5、シリンダブロック数:14)の上流の供給口へ重量式フィーダーにて混合物を投入した。残りの成分(E−1)+(D−2)混合物8.9質量部(内訳成分(E−1):2.7質量部、(D−2):6.2質量部)と(D−2)81.5質量部をそれぞれ液添ポンプにて押出機の途中の供給口から供給し、合計20kg/hの吐出量にて、上流部から下流部を140〜200℃の範囲で昇温させ溶融混練を行い、ペレット化して熱可塑性エラストマー組成物を製造した。得られた熱可塑性エラストマー組成物について、前記(1)〜(3)の評価を実施した。得られた評価結果を表−1に示す。
<実施例2〜3及び比較例1〜3>
表−1に示したように配合組成を変更した以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて実施例1と同様の評価を実施した。得られた評価結果を表−1に示す。
Figure 2021152116
[評価結果]
表−1に示す通り、P−Q型(水添)ジブロック共重合体を所定の割合で含む本発明の熱可塑性エラストマー組成物に該当する実施例1〜3は、良好な低温柔軟性と圧縮永久歪み(高温でのゴム弾性)を有していることがわかる。
一方、比較例1はP−Q型(水添)ジブロック共重合体を含有しない例であるが、低温柔軟性が悪化した。比較例2はP−Q型(水添)ジブロック共重合体の含有率が2.5質量%の例であるが、圧縮永久歪みが大きく、高温でのゴム弾性が悪化した。比較例3は実施例中の成分(C−1)の代わりに成分(C’−1)を用い、P−Q型(水添)ジブロック共重合体を含有しない例であるが、低温柔軟性が悪化した。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、低温柔軟性と高温でのゴム弾性に優れる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、良好な低温柔軟性と高温ゴム弾性を有することで、自動車用、家電用、建材用等の制振部材、防振部材、具体的には自動車部品を固定するクリップ、自動車車両にホースやパイプを固定するクランプの防振部材、自動車車両の窓枠の制振部材に有用である。

Claims (9)

  1. 下記成分(A)〜(D)の合計100質量%に対し、下記P−Q型ジブロック共重合体及び/又はその水素添加物が0.05〜2.0質量%含まれていることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):ポリオレフィン
    成分(B):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
    成分(C):芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと共役ジエン単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体であって、重合体ブロックPと重合体ブロックQとを各々1個ずつ有するP−Q型ジブロック体を含むブロック共重合体、及び/又はその水素添加物
    成分(D):炭化水素系ゴム用軟化剤
  2. 前記成分(A)と(B)の合計100質量部に対して、前記成分(D)を50質量部以上300質量部以下含む、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. JIS K6253(2006年度版)におけるデュロ硬度Aが80以下である、請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 更に下記成分(E)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(E):架橋剤
  5. 前記成分(E)がフェノール樹脂、有機過酸化物、水素化ケイ素化合物、多官能ビニル化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、及び塩化スズよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記成分(E)がフェノール樹脂及び塩化スズからなる、請求項5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
  8. 請求項7に記載の成形体を用いた自動車用制振部材。
  9. 請求項7に記載の成形体を用いた自動車用防振部材。
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