JP2014034614A - プロピレン樹脂組成物およびその射出成形体 - Google Patents

プロピレン樹脂組成物およびその射出成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐衝撃性および耐傷付性に優れた成形体を製造できるプロピレン樹脂組成物、ならびに、その射出成形体を提供すること。
【解決手段】特定のプロピレン樹脂(A)と、特定のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)と、無機充填材(C)と、脂肪酸アミド(D)と、カーボンブラック(E)とを含有し、(A)〜(C)の重量の合計を100重量%として、特定のプロピレン樹脂(A)の含有量が50〜75重量%であり、特定のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)の含有量が10〜25重量%であり、無機充填材(C)の含有量が15〜25重量%であり、(A)〜(C)の重量の合計100重量部に対して、脂肪酸アミド(D)0.2〜0.7重量部と、カーボンブラック(E)2.2重量部を超え4.0重量部以下とを含有するプロピレン樹脂組成物およびその射出成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン樹脂組成物およびその射出成形体に関する。
従来から、プロピレン樹脂組成物を成形して得られる成形体は、自動車材料や家電材料に用いられている。これらの材料にはプロピレン重合体だけではなく、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体や無機充填材等が添加されている。
例えば、特許文献1には、プロピレン重合体、MFRが0.4g/10分未満であるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体またはエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとジエンとの共重合体、MFRが0.5g/10分以上20g/10分未満であるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、および、無機充填剤からなる樹脂組成物に対して、特定量の変性ポリプロピレンおよび表面改質剤を配合してなるプロピレン樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献2には、プロピレン−エチレンブロック共重合体、密度が0.85〜0.885g/cm3であるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体ゴム、および、無機充填剤からなる樹脂組成物100重量部に対して、脂肪酸アミド0.1〜1重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
さらに、特許文献3には、プロピレン−エチレンブロック共重合体と、190℃におけるメルトフローレートが5g/10分以下であるエチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体ゴムおよび190℃におけるメルトフローレートが10g/10分以上であるエチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体ゴムからなるランダム共重合体ゴムと、無機充填材と、脂肪酸アミドとを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、プロピレン−エチレンブロック共重合体とランダム共重合体ゴムと無機充填材との合計100重量部に対して、脂肪酸アミド0.05〜1重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
またさらに、特許文献4には、ポリプロピレン系樹脂(A)61〜97重量部と、エラストマー(B)1〜9重量部と、無機充填剤(C)2〜30重量部とを含有し(但し、前記(A)と前記(B)と前記(C)のそれぞれの重量の合計を100重量部とする)、前記(A)と前記(B)と前記(C)の合計100重量に対して、pHが3以下であるカーボンブラック(D)0.0001〜1重量部と、ステアリン酸亜鉛(E)0.2〜1重量部とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
特開2009−79117号公報 特開2003−286383号公報 特開2006−111864号公報 特開2006−225418号公報
本発明は、耐衝撃性および耐傷付性に優れた成形体を製造できるプロピレン樹脂組成物、ならびに、その射出成形体を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
すなわち本発明に係るプロピレン樹脂組成物は、下記プロピレン樹脂(A)と、下記エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)と、無機充填材(C)と、脂肪酸アミド(D)と、カーボンブラック(E)とを含有し、
プロピレン樹脂(A)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)と、無機充填材(C)とのそれぞれの重量の合計を100重量%として、
プロピレン樹脂(A)の含有量が50重量%以上、75重量%以下であり、
エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)の含有量が10重量%以上、25重量%以下であり、
無機充填材(C)の含有量が15重量%以上、25重量%以下であり、
プロピレン樹脂(A)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)と、無機充填材(C)との重量の合計100重量部に対して、
脂肪酸アミド(D)の含有量が0.2重量部以上、0.7重量部以下であり、
カーボンブラック(E)の含有量が2.2重量部を超え、4.0重量部以下であるプロピレン樹脂組成物である。
プロピレン樹脂(A):
プロピレン単独重合体成分と極限粘度数が4.5dl/g以上、7.5dl/g以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分とを含有するプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)、または、前記ブロック共重合体(A−1)と、極限粘度数が1.5dl/g未満であるプロピレン単独重合体(A−2)とを含有するプロピレン重合体混合物(A−3)であるプロピレン樹脂
エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B):
メルトフローレート(190℃、2.16kgf荷重、JIS−K−7210に準拠)が2g/10分以下であるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体
また、本発明に係る射出成形体は、本発明に係るプロピレン樹脂組成物からなる射出成形体である。
本発明によれば、耐衝撃性および耐傷付性に優れた成形体を製造できるプロピレン樹脂組成物、ならびに、その射出成形体を提供することが可能となる。
本発明において、前記プロピレン樹脂(A)等で示される各成分をそれぞれ、単に「成分(A)」等ともいう。また、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限および下限を含む数値範囲を表す。
以下、各成分について説明する。
[プロピレン樹脂(A)]
プロピレン樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の各成分の重量の合計量を100重量%として、プロピレン樹脂(A)を、50重量%以上、75重量%以下含有する。
また、前記プロピレン樹脂(A)は、プロピレン単独重合体成分と極限粘度数が4.5dl/g以上、7.5dl/g以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分とを含有するプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)、または、前記ブロック共重合体(A−1)と、極限粘度数が1.5dl/g未満であるプロピレン単独重合体(A−2)とを含有するプロピレン重合体混合物(A−3)であるプロピレン樹脂である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)は、プロピレン樹脂組成物の剛性と耐衝撃性のバランスを良好にするという観点から、好ましくはプロピレン単独重合体成分55〜95重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分5〜45重量%とを含有するプロピレン−エチレンブロック共重合体である(ただし、前記ブロック共重合体の全量を100重量%とする。)。より好ましくは、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)は、プロピレン単独重合体成分65〜92重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分8〜35重量%とを含有するブロック共重合体であり、さらに好ましくは、プロピレン単独重合体成分70〜90重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分10〜30重量%とを含有するブロック共重合体である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)の、230℃、2.16kgf荷重下で、JIS−K−7210に準拠して測定されたメルトフローレート(MFR)は、成形性や耐衝撃性を高めるという観点から、好ましくは10〜200g/10分であり、より好ましくは30〜150g/10分である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)は、重合触媒を用いて下記の方法により製造することができる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。
上記の触媒系としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平9−316147号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報に記載の触媒系が挙げられる。
重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合または気相重合が挙げられる。ここでバルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法をいい、溶液重合またはスラリー重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法をいう。また気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法をいう。
これらの重合方法は、バッチ式、複数の重合反応槽を直列に連結させた多段式のいずれでもよく、また、これらの重合方法を任意に組み合わせてもよい。工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法またはバルク重合法と気相重合法を連続的に行うバルク−気相重合法による方法が好ましい。
なお、重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とするプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)に応じて、適宜決定すればよい。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)の製造において、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)中に含まれる残留溶媒や、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じてプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)をそのプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)が融解する温度以下の温度で乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号公報、特許第2565753号公報に記載の方法等が挙げられる。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)に含有されるプロピレン単独重合体成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度数(以下、[η]Iで示す。)は、プロピレン樹脂組成物が溶融した時の流動性とそれからなる成形体の靭性とのバランスを良好にするという観点から、好ましくは0.7〜1.3dl/gであり、より好ましくは0.8〜1.1dl/gである。
また、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)に含有されるプロピレン単独重合体成分のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定された分子量分布(Q値、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn))として、好ましくは3以上7未満であり、より好ましくは3〜5である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分におけるプロピレンに由来する構成単位の重量(プロピレン含量)とエチレンに由来する構成単位の重量(エチレン含量)との比(プロピレン含量/エチレン含量(重量/重量))は、良好な剛性と耐衝撃性のバランスを得るという観点から、好ましくは80/20〜20/80であり、より好ましくは80/20〜40/60である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度数(以下、[η]IIで示す。)は、4.5〜7.5dl/gであり、好ましくは4.5〜6.5dl/gであり、より好ましくは5.0〜6.0dl/gである。
また、プロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I)に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の極限粘度数([η]II)の比([η]II/[η]I)は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは2〜9である。
なお、本発明における極限粘度数(単位:dl/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dl、0.2g/dlおよび0.5g/dlの3点について還元粘度を測定する。極限粘度数は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求められる。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)がプロピレン単独重合体成分とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分とを多段重合させて得られる重合体である場合、前段の重合槽から一部抜き出した重合体パウダーからプロピレン単独重合体成分またはプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の極限粘度数を求め、この極限粘度数の値と各成分の含有量を用いて残りの成分の極限粘度数を算出する。
また、プロピレン単独重合体成分とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分からなるブロック共重合体が、プロピレン単独重合体成分が前段の重合工程で得られ、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分が後段の工程で得られる方法によって製造される共重合体である場合、プロピレン単独重合体成分およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含有量、極限粘度数([η]Total、[η]I、[η]II)の測定および算出の手順は、以下のとおりである。なお、極限粘度数([η]Total)は、プロピレン単独重合体成分およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分からなるブロック共重合体の全体の極限粘度数を示す。
前段の重合工程で得たプロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I)、後段の重合工程後の最終重合体の前記の方法で測定した極限粘度数([η]Total)、最終重合体に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含有量から、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の極限粘度数([η]II)を、下記式により計算する。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII
[η]Total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度数(dl/g)
[η]I:前段重合工程後に重合槽より抜き出した重合体パウダーの極限粘度数(dl/g)
XI:プロピレン単独重合体成分およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分からなるブロック共重合体全体に対するプロピレン単独重合体成分の重量比
XII:プロピレン単独重合体成分およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分からなるブロック共重合体全体に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の重量比
なお、XI、XIIは重合時の物質収支から求める。
前記XII:プロピレン単独重合体成分およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分からなるブロック共重合体全体に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の重量比は、プロピレン単独重合体成分と最終重合体の各々の結晶融解熱量を測定することによって、次式から算出してもよい。
XII=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:最終重合体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレン単独重合体成分の融解熱量(cal/g)
本発明で用いられるプロピレン樹脂(A)が、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)とプロピレン単独重合体(A−2)とを含有するプロピレン重合体混合物(A−3)である場合、プロピレン重合体混合物(A−3)に含有されるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)の含有量は、好ましくは30〜99重量%であり、プロピレン単独重合体(A−2)の含有量は、好ましくは70〜1重量%である。より好ましくはプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)の含有量が45〜95重量%であり、プロピレン単独重合体(A−2)の含有量が55〜5重量%である。
プロピレン単独重合体(A−2)の極限粘度は、1.5dl/g未満であり、好ましくは0.1〜1.2dl/gであり、より好ましくは0.5〜1.0dl/gである。
プロピレン単独重合体(A−2)のアイソタクチック・ペンタッド分率として、好ましくは、0.97以上であり、より好ましくは0.98以上である。
プロピレン単独重合体(A−2)のメルトフローレート(MFR:230℃、荷重2160g)は、好ましくは10〜500g/10分であり、より好ましくは40〜350g/10分である。
プロピレン単独重合体(A−2)の製造方法としては、ブロック共重合体(A−1)の製造に用いられる触媒系と同様の触媒系を用いる製造方法が挙げられ、重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合または気相重合が挙げられる。
プロピレン樹脂(A)は樹脂組成物の剛性と耐衝撃性のバランスの観点から、13C−NMRで測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率が0.97以上であることが好ましく、0.98以上であることがより好ましい。プロピレン樹脂(A)のアイソタクチック・ペンタッド分率が1に近いほどそのプロピレン樹脂(A)は高い立体規則性を示す分子構造を有する高結晶性の重合体であることを表す。
また、プロピレン樹脂(A)が上記ブロック共重合体(A−1)の場合には、ブロック共重合体のプロピレン単独重合体成分中のプロピレン単位の連鎖について測定される値を用いる。
[エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)]
プロピレン樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の各成分の重量の合計量を100重量%として、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)を10重量%以上、25重量%以下含有する。
また、前記エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)は、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する単量体単位とエチレンに由来する単量体単位とを含有し、メルトフローレート(190℃、2.16kgf荷重、JIS−K−7210に準拠)が2g/10分以下であるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体である。
エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)の190℃、2.16kgf荷重下で、JIS−K−7210に準拠して測定されたメルトフローレートは、2g/10分以下であり、好ましくは1g/10分以下であり、より好ましくは0.01〜1g/10分であり、さらに好ましくは0.05〜0.8g/10分である。
また、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)の密度は、好ましくは0.850〜0.880g/cm3であり、より好ましくは0.855〜0.875g/cm3、さらに好ましくは0.860〜0.872g/cm3である。
エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)に用いられるα−オレフィンは、炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましく挙げられる。具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、また例えば、ビニルシクロヘキサンなどの環状構造を有するα−オレフィン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)として具体的には、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体、エチレン−(3−メチル−1−ブテン)共重合体、エチレンと環状構造を有するα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)に含有されるα−オレフィンの含有量は、好ましくは1〜49重量%であり、より好ましくは5〜49重量%であり、さらに好ましくは10〜49重量%である(エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)の重量を各100重量%とする。)。
エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)は、重合触媒を用いて製造することができる。
重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系等が挙げられる。
均一系触媒系としては、例えば、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒系が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒系としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分とを組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。
エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)は、市販品を用いてもよい。例えば、ダウ・ケミカル日本株式会社製エンゲージ(登録商標)、三井化学株式会社製タフマー(登録商標)、株式会社プライムポリマー製ネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、住友化学株式会社製エクセレンFX(登録商標)、スミカセン(登録商標)、エスプレンSPO(登録商標)等が挙げられる。
[無機充填材(C)]
本発明に係るプロピレン樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の各成分の重量の合計量を100重量%として、無機充填材(C)を15重量%以上、25重量%以下含有する。
本発明における無機充填材(C)は、カーボンブラック以外の無機充填材である。無機充填材(C)として具体的には、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、けい砂、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、けいそう土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられる。これらの中でも、タルクを用いることが好ましい。
無機充填材(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、無機充填材(C)の形状は、粉末状、フレーク状、顆粒状、繊維状等の形状が挙げられる。
無機充填材(C)は、無処理のまま使用してもよいが、成分(A)との界面接着性を向上させ、かつ、分散性を向上させるために、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、または、界面活性剤で表面を処理して使用してもよい。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
無機充填材(C)の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。ここで本発明における「平均粒子径」とは、試料をエタノール溶液中に入れ、超音波洗浄装置で10分間分散後、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(SPA方式)を用い、レーザー回折法にて求められる積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
[脂肪酸アミド(D)]
本発明に係るプロピレン樹脂組成物は、脂肪酸アミド(D)を、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)との重量の合計100重量部に対して、0.2重量部以上、0.7重量部以下含有する。
本発明で用いられる脂肪酸アミド(D)は、RCONH2(式中、Rは炭素数5〜21のアルキル基またはアルケニル基を示す。)で表される化合物であることが好ましく、例えば、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。中でも、エルカ酸アミドが特に好ましい。
市販品としては、例えば、日本化成株式会社製ダイヤミッドY、ライオンアクゾ株式会社製アーマイドHT−P、日本精化株式会社製ニュートロン、日本化成株式会社製ダイヤミッドKN、日本精化株式会社製ニュートロンS等が挙げられる。
脂肪酸アミド(D)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[カーボンブラック(E)]
本発明に係るプロピレン樹脂組成物は、カーボンブラック(E)を、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)との重量の合計100重量部に対して、2.2重量部を超え、4.0重量部以下含有する。
カーボンブラック(E)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック、ミディアムサーマルブラック、ランプブラック(油煙)等が挙げられる。これらの中でも、着色力に優れるファーネスブラック、チャンネルブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラック(E)の平均粒子径としては、分散性の問題から、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。また、1nm以上であることが好ましい。
また、カーボンブラック(E)は、樹脂への充填性を向上させるための表面処理を行ったものであってもよい。表面処理剤としては、例えば、チタネート系、アルミニウム系表面処理剤が挙げられる。
また、カーボンブラック(E)は、樹脂等の成分とカーボンブラック(E)とを混合したマスターバッチとして、本発明に係る樹脂組成物に添加してもよい。
カーボンブラック(E)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[プロピレン樹脂組成物]
本発明に係るプロピレン樹脂組成物は、前記成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、成分(D)と、成分(E)とを含有する。
プロピレン樹脂組成物における成分(A)の含有量は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の各成分の重量の合計量を100重量%として、50〜75重量%であり、53〜70重量%であることが好ましく、55〜65重量%であることがより好ましい。
プロピレン樹脂組成物における成分(B)の含有量は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の各成分の重量の合計量を100重量%として、10〜25重量%であり、12〜20重量%であることが好ましく、14〜20重量%であることがより好ましい。
プロピレン樹脂組成物における成分(C)の含有量は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の各成分の重量の合計量を100重量%として、15〜25重量%であり、20〜26重量%であることが好ましく、20〜24重量%であることがより好ましい。
本発明に係るプロピレン樹脂組成物における成分(D)の含有量は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)との重量の合計100重量部に対して、0.2〜0.7重量部であり、耐傷付性を高めるために、0.3〜0.7重量部であることが好ましく、0.3〜0.6重量部であることがより好ましい。
本発明に係るプロピレン樹脂組成物における成分(E)の含有量は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)との重量の合計100重量部に対して、2.2重量部を超え、4.0重量部以下であり、耐衝撃性および耐傷付性を高めるために、2.3〜4.0重量部であることが好ましく、2.3〜3.7重量部であることがより好ましい。
本発明に係るプロピレン樹脂組成物全体のメルトフローレート(230℃、2.16kgf荷重、JIS−K−7210に準拠)は、成形加工性を良好にするという観点から、好ましくは0.1〜400g/10分であり、より好ましくは1〜200g/10分であり、さらに好ましくは10〜100g/10分である。
本発明に係るプロピレン樹脂組成物は、各原料成分を好ましくは180℃以上、より好ましくは180〜300℃、さらに好ましくは180〜250℃で溶融混練することにより得られる。溶融混練には、例えば、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸同方向回転押出機等が挙げられる。
プロピレン樹脂組成物の形状は、ストランド状、シート状、平板状、ストランドを適当な長さに裁断したペレット状等が挙げられる。本発明に係る樹脂組成物を成形加工するためには、得られる成形体の生産安定性の観点から、形状として好ましくは、長さが1〜50mmのペレット状である。
各原料成分の混練順序は、以下のような方法で配合し、混練することが好ましい。
方法1:成分(A)〜成分(E)を一括に混練する方法。
方法2:成分(A)〜成分(D)を混練した後、カーボンブラック(E)のマスターバッチを添加し、混練する方法。
方法3:成分(A)の一部とカーボンブラック(E)とを事前に混練してペレット化し、当該ペレットと成分(A)の一部と成分(B)〜成分(D)とを一括に混練する方法。
方法4:成分(A)〜成分(C)を混練した後、脂肪酸アミド(D)およびカーボンブラック(E)を添加し、混練する方法。
方法5:成分(A)の一部と脂肪酸アミド(D)とカーボンブラック(E)とを事前に混練してペレット化し、当該ペレットと成分(A)の一部と成分(B)と成分(C)とを一括に混練する方法。
また、本発明に係るプロピレン樹脂組成物は、この樹脂組成物を成形して得られる成形体の耐衝撃性を高め、外観を改良する観点から、成形体(フィルム、シートまたは射出成形体等)の表面に発生するフィッシュアイ(点状の突起物またはへこみ物)の発生は少ないことが好ましい。
そこで、フィッシュアイの発生を抑制する目的で樹脂組成物を製造する際、各成分を溶融混練後、フィルターを通過させることが好ましい。フィルターは1段式または多段式であってもよい。
本発明に係るプロピレン樹脂組成物は、公知の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、造核剤、中和剤、酸化防止剤、耐光剤、耐候剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、有機系過酸化物、着色剤(無機顔料、有機顔料、顔料分散剤等)、発泡剤、発泡核剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤、抗菌剤、光拡散剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、本発明に係る樹脂組成物は、必要に応じて、前記成分(A)および成分(B)以外の樹脂やゴムを含有してもよい。
例えば、成分(A)以外のプロピレン樹脂、成分(B)以外のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン樹脂、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール、フェニレンエーテル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、エステル樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、天然ゴム等が挙げられる。
EPDMに用いられるジエンモノマーとしては、特に制限はないが、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン(1,4−HD)、ジシクロペンタジエン(DCPD)などが挙げられる。
EPDMは、市販品を用いてもよい。例えば、住友化学株式会社製エスプレン(登録商標)、ダウ・ケミカル日本株式会社製ノーデル(登録商標)が挙げられる。
本発明に係るプロピレン樹脂組成物を成形して得られる成形体は、好ましくは射出成形法により製造した射出成形体である。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等の方法が挙げられる。
この成形体は、例えば、自動車部材、家電部材、コンテナー等が挙げられる。中でも自動車内装用部材として好適である。
以下、実施例によって本発明を説明する。
実施例で使用したプロピレン樹脂、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、無機充填材および添加剤を下記に示す。
(1)プロピレン樹脂(A)
(A−1)プロピレン−エチレンブロック共重合体
特開2004−182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる重合触媒を用いて、下記物性のプロピレン−エチレンブロック共重合体が得られるような条件で液相−気相重合法によって製造した。
プロピレン−エチレンブロック共重合体のMFR(230℃、2.16kgf荷重):81g/10分
プロピレン−エチレンブロック共重合体の極限粘度数([η]Total):1.40dl/g
プロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I):0.90dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含有量:12.0重量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のエチレン含有量:30重量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の極限粘度数([η]II):5.1dl/g
(2)エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)
(B−1)エチレン−オクテンランダム共重合体
密度:0.868(g/cm3
MFR(190℃、2.16kg荷重):0.5g/10分
α−オレフィン:1−オクテン
(B−2)エチレン−ブテンランダム共重合体
密度:0.870(g/cm3
MFR(190℃、2.16kg荷重):0.3g/10分
α−オレフィン:1−ブテン
(3)無機充填材(C)
化合物名:タルク
平均粒子径(レーザー回折法、50%相当粒子径D50):5.6μm
(4)脂肪酸アミド(D)
化合物名:エルカ酸アミド
(5)顔料マスターバッチ(E’)
商品名:201B−MB30−EX3620B(日本ピグメント株式会社製)
カーボンブラック(E)含有(含有量:51重量%)
<その他の成分>
上記成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)以外に(A’)プロピレン−エチレンブロック共重合体および(B’)エチレン−プロピレン−ジエン共重合体を用いた。
(A’)プロピレン−エチレンブロック共重合体
特開2004−182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる重合触媒を用いて、下記物性のプロピレン−エチレンブロック共重合体が得られるような条件で液相−気相重合法によって製造した。
プロピレン−エチレンブロック共重合体のMFR(230℃、2.16kgf荷重):1.2g/10分
プロピレンブロック共重合体の極限粘度数([η]Total):2.34dl/g
プロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I):2.25dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含有量:17重量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のエチレン含有量:40重量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の極限粘度数([η]II):2.8dl/g
(B’)エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
密度:0.873(g/cm3
MFR(190℃、2.16kg荷重):0.06g/10分
ジエン:エチリデン−ノルボルネン
原料成分および樹脂組成物の物性は下記に示した方法に従って測定した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−7210に規定された方法に従って測定した。
・プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)、(A’):測定温度230℃、荷重は2.16kg
・エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B−1)、(B−2)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(B’):測定温度190℃、荷重2.16kg
(2)密度
ASTM D792に規定された方法に従って測定した。
(3)極限粘度数([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度数は還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。
プロピレン単独重合体成分およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の割合、極限粘度数([η]Total、[η]I、[η]II)の測定および算出
前段の重合工程で得たプロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I)、後段の重合工程後の最終重合体(プロピレン単独重合体成分とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の合計)の前記の方法で測定した極限粘度数([η]Total)、最終重合体に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含有量(重量比)から、後段の工程で重合されたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の極限粘度数([η]II)を、下記式から計算して求めた。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII
[η]Total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度数(dl/g)
[η]I:前段重合工程後に重合槽より抜き出した重合体パウダーの極限粘度数(dl/g)
XI:前段の工程で重合された成分の重量比
XII:後段の工程で重合された成分の重量比
前記XII:プロピレン単独重合体成分およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分からなるブロック共重合体全体に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の重量比は、プロピレン単独重合体成分と最終重合体の各々の結晶融解熱量を測定することによって、次式から算出した。結晶融解熱量は示差走査型熱分析(DSC)により測定した。
XII=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:最終重合体(プロピレン単独重合体成分とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分)の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレン単独重合体成分の融解熱量(cal/g)
XI=1−XII
(4)カーボンブラック含量(単位:重量部)
セイコーインスツルメント株式会社製TG/DTA−200を用い、下記表1に示す分析条件の第3段階の加熱減量よりカーボンブラック含量を測定した。
Figure 2014034614
(5)IZOD衝撃強度(耐衝撃性、単位:KJ/m2
射出成形機として、住友重機械工業株式会社製SH100C 型締力100トンを用い、金型として、厚みが6.4mmのノッチ付き試験片を用いて、成形温度220℃で成形を実施し、試験片を得た。得た試験片を用いて、JIS−K−7110に規定された方法に従い、IZOD衝撃強度を評価した。測定温度は23℃で行った。
IZOD衝撃強度については、30KJ/m2以上となる場合は、IZOD衝撃強度が高い(耐衝撃性に優れる)と判定した。
(6)耐傷付性
射出成形機として、住友重機械工業株式会社製SE180D 型締力180トン、金型として、100mm×400mm×3.0mmを用いて、成形温度220℃で成形を実施し、GrainJのシボ加工した平板成形体を得た。得た成形体から100mm四方のサンプルを切り出し、測定サンプルとした。以下の条件にて、傷付性試験を行った。
使用機器:テーバースクラッチテスター(東洋精機株式会社製)
回転数:0.5rpm
カッター:タングステンカーバイド
4.8mm角×19mm長、刃先半径12.7mm
カッターの向き:カッターの長い面が上になるように取り付け。
荷重:100g
目視で観察することにより耐傷付性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
傷、白化、シボつぶれが認められない、もしくは、認められるが目立たない:○
傷、白化、シボつぶれが認められ、目立つ:×
(実施例1〜3)
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)、(A’)、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B−1)、(B−2)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(B’)、および、無機充填剤(C)の配合割合を、下記の表2に示す(ただし、成分(A−1)、成分(B−1)、成分(B−2)、成分(C)の合計量を100重量%とする。)。
加えて、この成分(A−1)、成分(B−1)、成分(B−2)、成分(C)の合計量100重量部に対し、脂肪酸アミド(D)、顔料マスターバッチ(E’)を表2に示す配合割合で配合し(ただし、顔料マスターバッチ(E’)は、カーボンブラック(E)の含有量が表2に記載の含有量となる量を配合した。)、二軸混練押出機を用いて、ベント吸引下で混練押出して、樹脂組成物をそれぞれ製造した。
得られた樹脂組成物の物性を下記の表2に示す。
Figure 2014034614

Claims (4)

  1. 下記プロピレン樹脂(A)と、下記エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)と、無機充填材(C)と、脂肪酸アミド(D)と、カーボンブラック(E)とを含有し、
    プロピレン樹脂(A)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)と、無機充填材(C)とのそれぞれの重量の合計を100重量%として、
    プロピレン樹脂(A)の含有量が50重量%以上、75重量%以下であり、
    エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)の含有量が10重量%以上、25重量%以下であり、
    無機充填材(C)の含有量が15重量%以上、25重量%以下であり、
    プロピレン樹脂(A)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B)と、無機充填材(C)との重量の合計100重量部に対して、
    脂肪酸アミド(D)の含有量が0.2重量部以上、0.7重量部以下であり、
    カーボンブラック(E)の含有量が2.2重量部を超え、4.0重量部以下であるプロピレン樹脂組成物。
    プロピレン樹脂(A):
    プロピレン単独重合体成分と極限粘度数が4.5dl/g以上、7.5dl/g以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分とを含有するプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)、または、前記ブロック共重合体(A−1)と、極限粘度数が1.5dl/g未満であるプロピレン単独重合体(A−2)とを含有するプロピレン重合体混合物(A−3)であるプロピレン樹脂
    エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B):
    メルトフローレート(190℃、2.16kgf荷重、JIS−K−7210に準拠)が2g/10分以下であるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体
  2. 前記無機充填材(C)が、タルクである請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。
  3. 前記脂肪酸アミド(D)が、エルカ酸アミドである請求項1または2に記載のプロピレン樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のプロピレン樹脂組成物からなる射出成形体。
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