JP6131075B2 - プロピレン樹脂組成物およびその射出成形体 - Google Patents

プロピレン樹脂組成物およびその射出成形体 Download PDF

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Description

本発明は、プロピレン樹脂組成物およびその射出成形体に関する。
従来から、プロピレン樹脂組成物を成形して得られる成形体は、自動車部品や家電製品部品に用いられている。このようなプロピレン樹脂組成物にはプロピレン重合体だけではなく、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体や無機充填材等が配合されている。
例えば、特許文献1には、230℃におけるメルトフローレートが20〜300g/10分であるポリプロピレン、230℃におけるメルトフローレートが0.4g/10分未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体またはエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、230℃におけるメルトフローレートが0.5g/10分以上、20g/10分未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体、変性ポリプロピレンおよび表面改質剤を所定量ずつ配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
さらに、特許文献2には、プロピレン−エチレンブロック共重合体と、密度が0.85〜0.885g/cm3であり、190℃におけるメルトフローレートが5g/10分以下であるエチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体ゴムおよび密度が0.85〜0.885g/cm3であり、190℃におけるメルトフローレートが10g/10分以上であるエチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体ゴムからなるランダム共重合体ゴムと、無機充填材と、脂肪酸アミドを所定量ずつ含有するポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
特開2009−79117号公報 特開2006−111864号公報
本発明は、荷重をかけた時に発生する傷白化が少なく、光沢度が低く、ブツが確認されず、外観が良好な成形体を製造でき、射出成形体にフローマークが発生しにくいプロピレン樹脂組成物およびその射出成形体を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
すなわち本発明は、プロピレン単独重合体成分と、極限粘度数([η])が4dl/g以上であるプロピレン−エチレン共重合体成分とを有する多段重合で得られたプロピレン系重合材料(A)35〜93.5重量%と、
極限粘度数が1.5〜4dl/gであるプロピレン単独重合体(B−1)および極限粘度数が1.5〜4dl/gであるプロピレン単独重合体成分と、極限粘度数が4dl/g以下であるプロピレン−エチレン共重合体成分とを有するプロピレン系重合材料(B−2)から選ばれる少なくとも1種からなるプロピレン樹脂(B)0.4〜12重量%と、
メルトフローレート(190℃、2.16kgf荷重、JIS K7210に準拠)が1g/10分以下であるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−1)1〜13重量%と、
メルトフローレート(190℃、2.16kgf荷重、JIS K7210に準拠)が3g/10分以上であるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−2)0.1〜15重量%と、
無機充填材(D)5〜25重量%とを含有し
(ただし、プロピレン系重合材料(A)と、プロピレン樹脂(B)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−1)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−2)と、無機充填材(D)とのそれぞれの重量の合計量を100重量%とする。)、
さらに脂肪酸アミド(E)0.1〜2重量部と、
カーボンブラック(F)0.4〜3重量部とを含有する
(ただし、プロピレン系重合材料(A)と、プロピレン樹脂(B)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−1)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−2)と、無機充填材(D)とのそれぞれの重量の合計量を100重量部とする。)
プロピレン樹脂組成物。
本発明によれば、荷重をかけた時に発生する傷白化が少なく、光沢度が低く、ブツが確認されず、外観が良好な成形体を製造でき、射出成形体にフローマークが発生しにくいプロピレン樹脂組成物およびその射出成形体を提供することが可能となる。
本明細書において、プロピレン系重合材料(A)、プロピレン樹脂(B)、プロピレン単独重合体(B−1)、プロピレン系重合材料(B−2)、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−1)、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−2)、無機充填材(D)、脂肪酸アミド(E)およびカーボンブラック(F)をそれぞれ成分(A)、成分(B),成分(B−1)、成分(B−2)、成分(C−1)、成分(C−2)、成分(D)、成分(E)、成分(F)と記すことがある。以下、各成分について説明する。
[プロピレン系重合材料(A)]
本発明のプロピレン樹脂組成物は、プロピレン単独重合体成分と、極限粘度数が4dl/g以上であるプロピレン−エチレン共重合体成分とを有する多段重合で得られたプロピレン系重合材料(A)を含有する。
また、本発明のプロピレン樹脂組成物は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)とのそれぞれ重量の合計量を100重量%として、成分(A)を35〜93.5重量%含有する。
本発明における成分(A)は、プロピレン単独重合体成分と、プロピレン−エチレン共重合体成分とを有する。
プロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度数(以下、[η]IIで示す)は、4dl/g以上であり、好ましくは4〜10dl/gであり、より好ましくは5〜7dl/gである。
なお、本発明における極限粘度数(単位:dl/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dl、0.2g/dlおよび0.5g/dlの3点について還元粘度を測定する。極限粘度数は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求められる。
また、プロピレン単独重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分を有する成分(A)が、プロピレン単独重合体成分が前段の重合工程で得られ、プロピレン−エチレン共重合体成分が後段の工程で得られる方法によって製造される重合材料である場合、プロピレン単独重合体成分およびプロピレン−エチレン共重合体成分の含有量、極限粘度数の測定および算出の手順は、以下のとおりである。
前段の重合工程で得たプロピレン単独重合体成分の極限粘度数(以下、[η]Iで示す。)
、後段の重合工程後の最終的に得られた重合材料(これを、最終重合体と称することがある。)を前記の方法で測定した極限粘度数(以下、[η]Totalで示す。)、最終重合体に含有されるプロピレン−エチレン共重合体成分の含有量から、プロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度数[η]IIを、下記式により計算する。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII
[η]Total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度数(dl/g)
[η]I:前段重合工程で得たプロピレン単独重合体成分の極限粘度数(dl/g)
XI:最終重合体全体に対するプロピレン単独重合体成分の重量比
XII:最終重合体全体に対するプロピレン−エチレン共重合体成分の重量比
XI、XIIは重合時の物質収支から求める。
成分(A)におけるプロピレン単独重合体成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度数は、好ましくは0.1〜5dl/gであり、より好ましくは0.5〜3dl/gである。
また、成分(A)におけるプロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I)に対するプロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度数([η]II)の比([η]II/[η]I)は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは2〜9である。
成分(A)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分の含有量は、1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、10〜40重量%であることがさらに好ましく、10〜30重量%であることが最も好ましい(ただし、成分(A)の重量を100重量%とする。)。
成分(A)は、樹脂組成物の引張強度と耐衝撃性のバランスの観点から、13C−NMRで測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率が0.97以上であることが好ましく、0.98以上であることがより好ましい。成分(A)のアイソタクチック・ペンタッド分率が1に近いほどその成分(A)は高い立体規則性を示す分子構造を有する高結晶性の重合体であることを表す。
なお、成分(A)のアイソタクチック・ペンタッド分率とは、プロピレン系重合材料中のプロピレン単独重合体成分のプロピレン単位の連鎖について測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率の値である。
成分(A)の230℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.5〜200g/10分であることが好ましく、20〜150g/10分であることがより好ましく、50〜100g/10分であることがさらに好ましい。
成分(A)は、例えば、プロピレン単独重合体成分を前段の重合工程で製造し、プロピレン−エチレン共重合体成分を後段の重合工程で製造することにより得られる。
成分(A)は、重合触媒を用いて下記の方法により製造することができる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやプロピレンを予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。
上記の触媒系としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平9−316147号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報に記載の触媒系が挙げられる。
重合方法としては、例えば、バルク重合法、溶液重合法、スラリー重合法または気相重合法が挙げられる。ここでバルク重合法とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法をいい、溶液重合法またはスラリー重合法とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法をいう。また気相重合法とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法をいう。
これらの重合方法は、複数の重合反応槽を直列に連結させた装置を用いて行われる多段式により行ってもよい。工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法またはバルク重合法と気相重合法とを連続的に行うバルク−気相重合法による方法が好ましい。
なお、重合工程における各種条件(各工程における重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とする成分(A)に応じて、適宜決定すればよい。
成分(A)の製造において、成分(A)中に含まれる残留溶媒や、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じて成分(A)をその成分(A)が融解する温度以下の温度で乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号公報、特許第2565753号公報に記載の方法等が挙げられる。
成分(A)に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分におけるプロピレンに由来する構成単位の重量(プロピレン含量)とエチレンに由来する構成単位の重量(エチレン含量)との比(プロピレン含量/エチレン含量(重量/重量))は、良好な剛性と耐衝撃性のバランスを得るという観点から、好ましくは80/20〜20/80であり、より好ましくは80/20〜40/60である。
[プロピレン樹脂(B)]
本発明のプロピレン樹脂組成物は、プロピレン樹脂(B)を含有し、そのプロピレン樹脂(B)は、極限粘度数が1.5〜4dl/gである成分(B−1)および極限粘度数が1.5〜4dl/gであるプロピレン単独重合体成分と、極限粘度数が4dl/g以下であるプロピレン−エチレン共重合体成分とを有する成分(B−2)の少なくとも1種からなる。
また、プロピレン樹脂組成物においては、成分(A)と、成分(B)と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)とのそれぞれ重量の合計量を100重量%として、成分(B)が0.4〜12重量%である。
なお、成分(B−2)は、成分(A)以外のものである。
本発明のプロピレン樹脂組成物は、成分(B−1)および成分(B−2)の少なくとも1種を含有していればよいが、成分(B−1)を少なくとも含有していることが好ましい。
成分(B−1)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度数は、1.5〜4dl/gであり、好ましくは1.8〜4.0dl/gであり、より好ましくは2.0〜3.8dl/gであり、最も好ましくは2.5〜3.5dl/gである。
成分(B−2)のプロピレン単独重合体成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度数は、1.5〜4dl/gであり、好ましくは1.8〜4.0dl/gであり、より好ましくは2.0〜3.8dl/gであり、最も好ましくは2.5〜3.5dl/gである。
これら極限粘度数の測定方法としては、後述した極限粘度数[η]の方法が好ましく挙げられる。
成分(B−2)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分の含有量は、1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、10〜40重量%であることがさらに好ましく、10〜30重量%であることが最も好ましい(ただし、成分(B−2)の重量を100重量%とする。)。
成分(B−2)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度数は、4dl/g以下であり、好ましくは0.5〜3.8dl/gである。
成分(B−2)が、プロピレン単独重合体成分が前段の重合工程で得られ、プロピレン−エチレン共重合体成分が後段の重合工程で得られる方法によって製造される重合材料である場合、プロピレン単独重合体成分及プロピレン−エチレン共重合体成分の含有量、極限粘度数の測定および算出の手順は、以下のとおりである。
前段の重合工程で得たプロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I)、後段の重合工程後の最終的の得られた重合材料(これを、最終重合体と称することがある)の前記の方法で測定した極限粘度数([η]Total)、最終重合体に含有されるプロピレン−エチレン共重合体成分の含有量から、プロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度数[η]IIを、下記式により計算する。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII
[η]Total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度数(dl/g)
[η]I:前段重合工程で得たプロピレン単独重合体成分の極限粘度数(dl/g)
XI:最終重合体全体に対するプロピレン単独重合体成分の重量比
XII:最終重合体全体に対するプロピレン−エチレン共重合体成分の重量比
XI、XIIは重合時の物質収支から求める。
成分(B−2)におけるプロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I)に対するプロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度数([η]II)の比([η]II/[η]I)は、好ましくは1〜10である。
成分(B−2)に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分におけるプロピレンに由来する構成単位の重量(プロピレン含量)とエチレンに由来する構成単位の重量(エチレン含量)との比(プロピレン含量/エチレン含量(重量/重量))は、良好な剛性と耐衝撃性のバランスを得るという観点から、好ましくは80/20〜20/80であり、より好ましくは80/20〜40/60である。
成分(B−1)および成分(B−2)はそれぞれ、樹脂組成物の引張強度と耐衝撃性のバランスを向上させる観点から、13C−NMRで測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率が0.97以上であることが好ましく、0.98以上であることがより好ましい。
なお、成分(B−2)のアイソタクチック・ペンタッド分率とは、プロピレン系重合材料中のプロピレン単独重合体成分のプロピレン単位の連鎖について測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率を用いる。
成分(B−1)およびプロピレン系重合材料(B−2)の230℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR)はそれぞれ、0.01〜100g/10分であることが好ましく、0.1〜10g/10分であることがより好ましく、0.1〜1g/10分であることがさらに好ましい。
成分(B−1)および成分(B−2)の製造方法としては、成分(A)の製造に用いられる触媒系と同様の触媒系を用いる製造方法が挙げられる。重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合または気相重合が挙げられる。
[成分(C−1)、成分(C−2)]
本発明のプロピレン樹脂組成物は、190℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定されたメルトフローレートが1g/10分以下である成分(C−1)1〜13重量%、および190℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定されたメルトフローレートが3g/10分以上である成分(C−2)0.1〜15重量%を含有する。
また、本発明のプロピレン樹脂組成物は、成分(A)と、成分(B−1)と成分(B−2)の両方またはいずれか一方と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)のそれぞれ重量の合計量を100重量%として、成分(C−1)1〜13重量%と、成分(C−2)0.1〜15重量%とを含有する。
成分(C−1)の190℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定されたメルトフローレートは、好ましくは0.001〜1g/10分であり、より好ましくは0.01〜0.8g/10分であり、さらに好ましくは0.1〜0.5g/10分である。
成分(C−2)の190℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定されたメルトフローレートは、好ましくは4〜200g/10分であり、より好ましくは4〜20g/10分であり、さらに好ましくは4〜10g/10分である。
成分(C−1)および成分(C−2)を構成するα−オレフィンは、好ましくは炭素数4〜10のα−オレフィンである。
具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどの環状構造を有さないα−オレフィンや、ビニルシクロヘキサンなどの環状構造を有するα−オレフィン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
成分(C−1)および成分(C−2)として具体的には、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体、エチレン−(3−メチル−1−ブテン)共重合体等が挙げられる。
成分(C−1)および成分(C−2)に含有されるα−オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、好ましくは1〜49重量%であり、より好ましくは5〜49重量%であり、さらに好ましくは10〜49重量%である(共重合体(C−1)および共重合体(C−2)の重量を各100重量%とする。)。
また、成形体の耐衝撃性を向上させるという観点から、成分(C−1)および成分(C−2)の密度はそれぞれ0.85〜0.89g/cm3であり、好ましくは0.85〜0.88g/cm3、より好ましくは0.855〜0.875g/cm3である。
成分(C−1)および成分(C−2)は、重合触媒を用いてモノマーを重合することにより製造することができる。
重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系等が挙げられる。
均一系触媒系としては、例えば、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持した触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒系が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒系としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分とを組み合わせた触媒系が挙げられる。
[無機充填材(D)]
本発明のプロピレン樹脂組成物は、無機充填材(D)を含有する。
また、本発明のプロピレン樹脂組成物は、成分(A)と、成分(B−1)と成分(B−2)の両方またはいずれか一方と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)とのそれぞれ重量の合計量を100重量%として、成分(D)を5〜25重量%含有する。
無機充填材(D)は、カーボンブラック以外の無機充填材である。
無機充填材(D)として具体的には、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、けい砂、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、二硫化モリブデン、けいそう土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられる。これらの中でも、タルクが好ましい。
無機充填材(D)としては、1種の無機充填材を用いてもよく、2種以上の無機充填材を併用してもよい。
また、無機充填材(D)の形状は、粉末状、フレーク状、顆粒状、繊維状等の形状が挙げられる。
無機充填材(D)は、無処理のまま使用してもよいが、成分(A)や成分(B−1)、成分(B−2)との界面接着性を向上させ、かつ、分散性を向上させるために、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、または、界面活性剤で表面を処理して使用してもよい。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
無機充填材(D)の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。ここで、「平均粒子径」とは、試料をエタノール溶液中に入れ、超音波洗浄装置で10分間分散後、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(SPA方式)を用い、レーザー回折法にて求められる積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50を意味する。
[脂肪酸アミド(E)]
本発明のプロピレン樹脂組成物は、成分(A)と、成分(B−1)と成分(B−2)の両方またはいずれか一方と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)との重量の合計100重量部に対して、成分(E)を、0.1〜2重量部含有する。
本発明で用いられる成分(E)は、RCONH2(式中、Rは炭素数5〜21のアルキル基またはアルケニル基を示す。)で表される化合物であることが好ましく、例えば、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、べヘニン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。中でも、エルカ酸アミドが特に好ましい。
成分(D)として用いられる脂肪酸アミドの市販品としては、例えば、日本化成(株)製ダイヤミッドY(ラウリン酸アミド)、ライオンアクゾ(株)製アーマイドHT−P(ステアリン酸アミド)、日本精化(株)製ニュートロン(オレイン酸アミド)、日本化成(株)製ダイヤミッドKN(ベヘン酸アミド)、日本精化(株)製ニュートロンS(エルカ酸アミド)等が挙げられる。
成分(E)は、1種の脂肪酸アミドを用いてもよく、2種以上の脂肪酸アミドを併用してもよい。
[カーボンブラック(F)]
本発明のプロピレン樹脂組成物は、成分(A)と、成分(B−1)と成分(B−2)の両方またはいずれか一方と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)との重量の合計100重量部に対して、成分(F)を、0.4〜3重量部含有する。
成分(F)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック、ミディアムサーマルブラック、ランプブラック(油煙)等が挙げられる。これらの中でも、着色力に優れるファーネスブラックおよびチャンネルブラックが好ましい。
成分(F)の平均粒子径は、樹脂への分散性の問題から、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。また、1nm以上であることが好ましい。
また、成分(F)は、樹脂への分散性を向上させるための表面処理を行ったものであってもよい。表面処理剤としては、例えば、チタネート系表面処理剤、アルミニウム系表面処理剤が挙げられる。
また、成分(F)は、樹脂等の成分と成分(F)とを混合したマスターバッチとして配合してもよい。
成分(F)は、1種のカーボンブラックを用いてもよく、2種以上のカーボンブラックを併用してもよい。
[樹脂組成物]
本発明のプロピレン樹脂組成物は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)と、成分(E)と、成分(F)とを含有する。
プロピレン樹脂組成物における成分(A)の含有量は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)とのそれぞれ重量の合計量を100重量%として、35〜93.5重量%であり、40〜90重量%であることが好ましく、45〜75重量%であることがより好ましい。
プロピレン樹脂組成物における成分(B−1)およびプロピレン系重合材料(B−2)のそれぞれ重量の合計量は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)のそれぞれ重量の合計量を100重量%として、0.4〜12重量%であり、5〜12重量%であることが好ましく、7〜12重量%であることがより好ましい。
プロピレン樹脂組成物における成分(C−1)の含有量は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)のそれぞれ重量の合計量を100重量%として、1〜13重量%であり、5〜12重量%であることが好ましく、6〜11重量%であることがより好ましい。
プロピレン樹脂組成物における成分(C−2)の含有量は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)のそれぞれ重量の合計量を100重量%として、0.1〜15重量%であり、5〜15重量%であることが好ましく、6〜12重量%であることがより好ましい。
プロピレン樹脂組成物における成分(D)の含有量は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)のそれぞれ重量の合計量を100重量%として、5〜25重量%であり、10〜25重量%であることが好ましく、20〜25重量%であることがより好ましい。
本発明のプロピレン樹脂組成物における成分(E)の含有量は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)との重量の合計100重量部に対して、0.1〜2重量部であり、0.1重量部以上1重量部未満であることが好ましく、0.2〜0.8重量部であることがより好ましい。
本発明のプロピレン樹脂組成物における成分(F)の含有量は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)とのそれぞれ重量の合計100重量部に対して、0.4〜3重量部であり、0.5〜3重量部であることが好ましく、0.6〜2.5重量部であることがより好ましく、1.0重量部を超え2.0重量部以下であることがさらに好ましい。
本発明のプロピレン樹脂組成物全体のメルトフローレート(230℃、2.16kgf荷重、JIS K7210に準拠)は、成形加工性を良好にするという観点から、好ましくは0.1〜400g/10分であり、より好ましくは、1〜200g/10分であり、さらに好ましくは、10〜100g/10分である。
本発明のプロピレン樹脂組成物は、各原料成分を好ましくは180℃以上、より好ましくは180〜300℃、さらに好ましくは180〜250℃で溶融混練することにより得られる。溶融混練には、例えば、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸同方向回転押出機等が挙げられる。
本発明のプロピレン樹脂組成物の形状は、ストランド状、シート状、平板状、ストランドを適当な長さに裁断したペレット状等が挙げられる。本発明の樹脂組成物を成形加工するためには、成形体の生産安定性の観点から、形状として好ましくは、長さが1〜50mmのペレット状である。
各原料成分の混練順序としては、以下のような方法で配合し、混練することが好ましい。
方法1:成分(A)〜成分(F)を一括に混練する方法。
方法2:成分(A)〜成分(E)を混練した後、カーボンブラックマスターバッチ(F’)を添加し、混練する方法。
方法3:成分(A)と、成分(B−1)と成分(B−2)の両方またはいずれか一方の一部と、成分(F)とを事前に混練してペレット化し、当該ペレットと成分(A)と、成分(B−1)と成分(B−2)の両方またはいずれか一方の一部と、成分(C−1)と成分(C−2)と成分(D)と成分(E)とを一括に混練する方法。
方法4:成分(A)〜成分(D)を混練した後、成分(E)および成分(F)を添加し、混練する方法。
方法5:成分(A)ならびに成分(B−1)と成分(B−2)の両方またはいずれか一方の一部と成分(E)と成分(F)とを事前に混練してペレット化し、当該ペレットと成分(A)ならびに成分(B−1)と成分(B−2)の両方またはいずれか一方の一部と成分(C−1)と成分(C−2)と成分(D)とを一括に混練する方法。
また、本発明のプロピレン樹脂組成物からフィルム、シート、射出成形体などの成形体を製造する際に、成形体の耐衝撃性と外観の観点から、成形体の表面に発生するフィッシュアイ(すなわち、点状の突起またはへこみ)の発生は少ないことが好ましい。
そこで、フィッシュアイの発生を抑制するために、樹脂組成物の各成分を溶融混練した後、溶融状態の樹脂組成物をフィルターを通過させることが好ましい。フィルターは1段式または多段式であってもよい。
本発明のプロピレン樹脂組成物は、公知の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、造核剤、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、有機系過酸化物、着色剤(無機顔料、有機顔料、顔料分散剤等)、発泡剤、発泡核剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤、抗菌剤、光拡散剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、本発明のプロピレン樹脂組成物は、成分(A)、成分(B−1)、成分(B−2)、成分(C−1)および成分(C−2)以外の樹脂やゴムを含有してもよい。
例えば、スチレン樹脂、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール、フェニレンエーテル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、エステル樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、天然ゴム等が挙げられる。
本発明のプロピレン樹脂組成物を成形して得られる成形体は、好ましくは射出成形法により製造した射出成形体である。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等の方法が挙げられる。
この成形体は、例えば、自動車部材、家電製品部材、モニター用部材、OA機器部材、医療用部材、排水パン、トイレタリー部材、ボトル、コンテナー、シート、フィルム、建材等が挙げられる。
以下、実施例および比較例によって本発明を説明する。実施例および比較例で使用したプロピレン系重合材料、プロピレン単独重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、無機充填材および添加剤を下記に示す。
(1)成分(A)
(BPP−1)プロピレン系重合材料
特開2004−182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる重合触媒を用いて、下記物性のプロピレン系重合材料が得られるような条件で液相−気相重合法によって製造した。
プロピレン系重合材料のMFR(230℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定):60g/10分
プロピレン系重合材料の極限粘度数([η]Total):1.55dl/g
プロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I):0.89dl/g
プロピレン−エチレン共重合体成分の含有量:12.0重量%
プロピレン−エチレン共重合体成分のエチレン含有量:32重量%
プロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度数([η]II):6.0dl/g
(BPP−2)プロピレン系重合材料
特開2004−182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる重合触媒を用いて、下記物性のプロピレン系重合材料が得られるような条件で液相−気相重合法によって製造した。
プロピレン系重合材料のMFR(230℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定):32g/10分
プロピレン系重合材料の極限粘度数([η]Total):1.42dl/g
プロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I):1.06dl/g
プロピレン−エチレン共重合体成分の含有量:21重量%
プロピレン−エチレン共重合体成分のエチレン含有量:34重量%
プロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度数([η]II):2.8dl/g
(BPP−3)プロピレン系重合材料
特開2004−182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる重合触媒を用いて、下記物性のプロピレン系重合材料が得られるような条件で液相−気相重合法によって製造した。
プロピレン系重合材料のMFR(230℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定):0.6g/10分
プロピレン系重合材料の極限粘度数([η]Total):2.83dl/g
プロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I):2.77dl/g
プロピレン−エチレン共重合体成分の含有量:16重量%
プロピレン−エチレン共重合体成分のエチレン含有量:40重量%
プロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度数([η]II):3.2dl/g
(2−1)プロピレン単独重合体(B−1)
(HPP−1)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定):0.5g/10分
極限粘度数:2.96dl/g
(HPP−2)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定):120g/10分
極限粘度数:0.92dl/g
(HPP−3)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定):2.1g/10分
極限粘度数:2.12dl/g
(HPP−4)プロピレン単独重合体
極限粘度数:5.67dl/g
(HPP−5)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定):19g/10分
極限粘度数:1.34dl/g
(2−2)プロピレン系重合材料(B−2)
(BPP−3)プロピレン系重合材料
特開2004−182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる重合触媒を用いて、下記物性のプロピレン系重合材料が得られるような条件で液相−気相重合法によって製造した。
プロピレン系重合材料のMFR(230℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定):0.6g/10分
プロピレン系重合材料の極限粘度数([η]Total):2.83dl/g
プロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I):2.77dl/g
プロピレン−エチレン共重合体成分の含有量:16重量%
プロピレン−エチレン共重合体成分のエチレン含有量:40重量%
プロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度数([η]II):3.2dl/g
(3)エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−1)
(R−1)エチレン−ブテンランダム共重合体
密度:0.860g/cm3
MFR(190℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定):0.25g/10分
α−オレフィン:1−ブテン
(4)エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−2)
(R−2)エチレン−ブテンランダム共重合体
密度:0.865g/cm3
MFR(190℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定):5g/10分
α−オレフィン:1−ブテン
(R−3)エチレン−オクテンランダム共重合体
密度:0.870g/cm3
MFR(190℃、2.16kgf荷重下で、JIS K7210に準拠して測定):5g/10分
α−オレフィン:1−オクテン
(5)無機充填材(D)
化合物名:タルク
平均粒子径(レーザー回折法で測定した50%相当粒子径D50):4.4μm
(6)脂肪酸アミド(E)
化合物名:エルカ酸アミド
(7)カーボンブラックマスターバッチ(F’)
商品名:PPM OKA210 TSOP5 201B−10K(東洋インキ(株)製) 成分(F)含量:13.2重量%
原料成分および樹脂組成物の物性は下記に示した方法に従って測定した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に規定された方法に従って測定した。
・プロピレン重合体(A):測定温度は230℃で、荷重は2.16kgf
・エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(B):測定温度は190℃で、荷重は2.16kgf
(2)密度
ASTM D792に規定された方法に従って測定した。
(3)極限粘度数([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度数は還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。
プロピレン単独重合体成分およびプロピレン−エチレン共重合体成分の割合、極限粘度数([η]Total、[η]I、[η]II)の測定および算出
前段の重合工程で得たプロピレン単独重合体成分の極限粘度数([η]I)、後段の重合工程後の最終的の得られた重合材料(これを、最終重合体と称することがある)を前記の方法で測定した極限粘度数([η]Total)、最終重合体に含有されるプロピレン−エチレン共重合体成分の含有量(重量比)から、後段の重合工程で重合されたプロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度数[η]IIを、下記式から計算して求めた。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII
[η]Total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度数(dl/g)
[η]I:前段重合工程後に重合槽より抜き出した重合体の極限粘度数(dl/g)
XI:前段の工程で重合された成分の重量比
XII:後段の工程で重合された成分の重量比
前記XII:プロピレン単独重合体成分およびプロピレン−エチレン共重合体成分からなる最終重合体全体に対するプロピレン−エチレン共重合体成分の重量比は、プロピレン単独重合体成分と最終重合体の各々の結晶融解熱量を測定することによって、次式から算出した。結晶融解熱量は示差走査型熱分析(DSC)により測定した。
XII=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:最終重合体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレン単独重合体成分の融解熱量(cal/g)
XI=1−XII
(4)成分(F)含量(単位:重量%)
セイコーインスツルメント(株)製TG/DTA-200を用い、下記表1に示す分析条件の第3段階の加熱減量より成分(F)含量を測定した。
Figure 0006131075
(実施例1〜8、および、比較例1〜6)
成分(A)、成分(B−1)、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C)、無機充填材(D)、成分(E)、および、カーボンブラックマスターバッチ(F’)の配合割合を、下記の表2および表3に示す(ただし、成分(A)と、成分(B−1)と成分(B−2)の両方またはいずれか一方と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)のそれぞれ重量の合計量を100重量%とする。)。加えて、この成分(A)と、成分(B−1)とプロピレン系重合材料(B−2)の両方またはいずれか一方と、成分(C−1)と、成分(C−2)と、成分(D)のそれぞれ重量の合計量100重量部に対し、成分(E)、顔料マスターバッチ(F’)を表2および表3に示す配合割合で配合し、二軸混練押出機を用いて、ベント吸引下で混練押出して、樹脂組成物を製造した。
得られた樹脂組成物を下記の成形方法で成形した成形体の物性を下記の表2および表3に示す。
(5)荷重時傷白化性1
住友重機械工業(株)製の射出成形機SE180D、キャビティサイズ100mm×400mm×3.0mm厚の金型(型締力180トン;キャビティ面はGrainJのシボ加工)を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃で射出成形を行い、GrainJのシボ模様が表面に転写された平板成形体を得た。その平板をSurface Machine System社製Scratch4傷付試験機を用いて、ASTM7027−05に準拠し、金属製の芯(直径1mm)に2〜50Nまで連続的に荷重をかけ、100mm/sの速度で傷を付けた。目視にて傷が白化しはじめる荷重を傷白化開始荷重(N)とした。傷白化開始荷重が高いほど、荷重時の傷白化が少ない。
(6)荷重時傷白化性2
住友重機械工業(株)製の射出成形機SE180D、キャビティサイズ100mm×400mm×3.0mm厚の金型(型締力180トン;キャビティ面はGrainJのシボ加工)を用いて、成形温度220℃、金型温度50℃で射出成形を行い、鏡面加工した平板成形体を得た。その平板をSurface Machine System社製Scratch4傷付試験機を用いて、ASTM7027−05に準拠し、金属製の芯(直径1mm)に2〜50Nまで連続的に荷重をかけ、100mm/sの速度で傷を付けた。目視にて傷が白化しはじめる荷重を傷白化開始荷重(N)とした。傷白化開始荷重が高いほど、荷重時の傷白化が少ない。
(7)フローマーク発生位置(単位:mm)
住友重機械工業(株)製の射出成形機SE180D、キャビティサイズ100mm×400mm×3.0mm厚の金型(型締力180トン;キャビティ面は鏡面加工)を用いて、成形温度220℃で射出成形を実施し、鏡面加工した平板成形体を得た。作製した平板成形体を用いて、目視によりフローマークを観察した。フローマークが発生し始めた位置とゲート端面との距離(単位:mm)を観察した。
フローマーク発生位置がゲート端面から遠いほど、外観性能が良好である。
(8)光沢(単位:%)
JIS K7105に規定された方法に基づき、成形品の60°鏡面光沢度を測定した。
(9)成形品ブツ外観
前記(6)の方法で作成した平板成形体を用いて、目視によりブツの有無を観察した。
○はブツの存在は確認されないことを示し、×はブツの存在が確認されたことを示す。ブツの存在が確認できない方が、外観性能が良好である。
Figure 0006131075
Figure 0006131075
実施例1〜8の本発明のプロピレン樹脂組成物は、荷重をかけた時に発生する傷白化が少なく、光沢度が低い成形体を製造でき、かつ、射出成形時におけるフローマーク発生位置が遠く、平板成形体にはブツの存在が確認されず、外観性能が良好であった。
一方、比較例1および6のプロピレン樹脂組成物は、荷重をかけた時に発生する傷白化が顕著であり、比較例2および5のプロピレン樹脂組成物は、射出成形時におけるフローマーク発生位置が近く、比較例4のプロピレン樹脂組成物は、ブツの存在が確認され、外観性能に問題があり、また、比較例3のプロピレン樹脂組成物は、光沢度の高い成形体となった。

Claims (5)

  1. プロピレン単独重合体成分と、極限粘度数([η])が4dl/g以上であるプロピレン−エチレン共重合体成分とを有する多段重合で得られたプロピレン系重合材料(A)35〜93.5重量%と、
    極限粘度数が1.5〜4dl/gであるプロピレン単独重合体(B−1)および極限粘度数が1.5〜4dl/gであるプロピレン単独重合体成分と、極限粘度数が4dl/g以下であるプロピレン−エチレン共重合体成分とを有するプロピレン系重合材料(B−2)から選ばれる少なくとも1種からなるプロピレン樹脂(B)0.4〜12重量%と、
    メルトフローレート(190℃、2.16kgf荷重、JIS K7210に準拠)が1g/10分以下であるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−1)1〜13重量%と、
    メルトフローレート(190℃、2.16kgf荷重、JIS K7210に準拠)が3g/10分以上であるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−2)0.1〜15重量%と、
    無機充填材(D)5〜25重量%とを含有し
    (ただし、プロピレン系重合材料(A)と、プロピレン樹脂(B)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−1)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−2)と、無機充填材(D)とのそれぞれの重量の合計量を100重量%とする。)、
    さらに脂肪酸アミド(E)0.1〜2重量部と、
    カーボンブラック(F)0.4〜3重量部とを含有する
    (ただし、プロピレン系重合材料(A)と、プロピレン樹脂(B)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−1)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−2)と、無機充填材(D)とのそれぞれの重量の合計量を100重量部とする。)
    プロピレン樹脂組成物。
  2. カーボンブラック(F)の含有量が、プロピレン系重合材料(A)と、プロピレン樹脂(B)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−1)と、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(C−2)と、無機充填材(D)とのそれぞれの合計100重量部に対して、0.6〜2.5重量部である請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。
  3. プロピレン樹脂(B)5〜12重量%を含有する請求項1または2に記載のプロピレン樹脂組成物。
  4. プロピレン系重合材料(A)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度数が4〜10dl/gである請求項1〜3のいずれか1つに記載のプロピレン樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のプロピレン樹脂組成物からなる射出成形体。
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