JP2012241055A - ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐傷付性、フローマーク(成形外観)に優れ、流動性(成形性)及び物性バランスにも優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供する。
【解決手段】下記の成分A〜Eを含有してなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体など。
成分A:MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分のポリプロピレン系樹脂;20〜97重量%
成分B:充填剤;3〜40重量%
成分C:熱可塑性エラストマー;0〜40重量%
成分D:変性ポリオレフィン;0.1〜5重量部(対成分A〜Cの合計100部)
成分E:pHが5以下の着色成分;0.01〜5重量部(対成分A〜Cの合計100部)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体に関し、さらに詳しくは、耐傷付性、フローマーク(成形外観)に優れ、流動性(成形性)及び物性バランスにも優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体に関する。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、物性、成形性及び経済性などに優れた材料としてその使用分野が年々拡大し、中でもバンパー、インストルメントパネル、ピラーなどの自動車部品、テレビ、掃除機などの電気機器部品の分野などでは、ポリプロピレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂にタルクなどのフィラーやエラストマー(ゴム)を複合強化した複合ポリプロピレン系樹脂などのポリプロピレン系樹脂組成物が曲げ弾性率・衝撃強度などの物性バランス、成形性、リサイクル性や経済性などに優れるため、その成形体を含め広く用いられている。
これらの分野においては、益々進む成形体の高機能化、大型化、薄肉化、形状の多様化・複雑化などに対応するため、ポリプロピレン系樹脂組成物やその成形体の成形外観、物性バランス、成形性などのほか、前記組成物や成形体の質感の向上、生産工程の自動化・高効率化や溶剤規制などによる無塗装化の促進などに伴い、成形体の耐傷付性の一層の向上がフローマーク(成形外観)の向上とともに、求められている。
一方、自動車部品とりわけ自動車内装部品などの成形体の着色は、各種の着色成分(着色剤)を用いておこなわれている。この中でその色合いとしては、質感の向上や光反射性の抑制(防眩性の向上)などの理由から、黒色、漆黒色、濃紺色、濃灰色などの濃色系が比較的好まれるが、グレー色、ベージュ色などの薄色系も含めて、着色成分の少なくとも一種として、さらに濃色系においては、主成分の一つとして、種々の濃色系着色成分、例えばカーボンブラックが用いられる場合が多い。
上記の着色成分としてのカーボンブラックは、隠蔽力、着色力が大きいなどのため着色効果に優れ、しかも該着色成形体の耐久性や経済性にも優れるなどのため広く用いられている。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂組成物において、タルクなどの無機充填剤を含有した場合、例えば着色成分としてカーボンブラックを用いて着色した該樹脂組成物は、その成形体表面に擦過力などを受けた場合、擦過力の大きさなどによっては、成形体の該部分が白っぽくみえるいわゆる白化傷が認められる(白化傷が付く)場合がある。
この現象は、例えば前記無機充填剤と、その周囲のポリプロピレン系樹脂などとの界面が、該界面の親和力不足などの理由で剥離するなどして、微細なクラックが入ったり、無機充填剤の表面が剥離域に露呈したりして、該部分が光線乱反射するなどのため、生ずるものと考えられる。
本発明においては、この様な白化傷が付き易いことを耐傷付性が不良と称するが、この現象の改良、向上に関しては、様々な手法が提案されている(例えば、特許文献1〜8参照。)。
例えば、脂肪酸アミドやアミド化合物に着目した手法として、特許文献1には、剛性と耐衝撃性のバランス、及び、耐傷付性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びそのポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体を提供することを課題として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)50〜90重量%、密度が0.85〜0.885g/cmであるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体ゴム(B)5〜25重量%、及び、無機充填剤(C)5〜25重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、脂肪酸アミド(D)0.1〜1重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物及びそのポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体が記載されている。
また、特許文献2には、剛性及び衝撃強度に優れ、さらに、塗装性及び耐傷付性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる射出成形体を提供することを課題として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、タルク(B)と、オレフィン系エラストマー及びビニル芳香族化合物含有エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー(C)と、アルキルジアルカノールアミド及びアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)との合計を100重量%として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が55〜92重量%であり、タルク(B)が5〜25重量%であり、エラストマー(C)が3〜20重量%であり、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)の合計100重量部に対して、アミド化合物(D)0.1〜0.5重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる射出成形体が記載されている。
これらの組成物及びそれからなる射出成形体は、物性バランスや塗装性とともに耐傷付性も良好であり、脂肪酸アミドやアミド化合物の含有が耐傷付性改良に効果的であることが記載されているが、着色成分、例えばカーボンブラックなどを含有した場合の耐傷付性の水準や、そのフローマーク(成形外観)の有無・水準については、記載が無く、明らかでない。
また、タルク自体に着目した耐傷付性の向上手法が試みられている。すなわち、特許文献3には、タルクが配合されたオレフィン系重合体組成物でありながら、成形物表面傷は目立たず意匠性、美観、質感等が損なわれるのを防止できるオレフィン系重合体組成物を提供することを課題として、オレフィン系重合体に着色剤被覆タルクが充填材として配合されてなることを特徴とするオレフィン系重合体組成物が記載されている。
該組成物は、傷部分の色が濃く、傷が目立たないことが記載されているが、用いる着色剤被覆タルクの製造に際し、例えば原料タルクの存在下、アルコキシシランをゾル−ゲル反応させるなど、その製造工程が多岐にわたる場合が多いなど組成物の製造コストが高くなり易い傾向がある外、そのフローマーク(成形外観)の有無・水準については、記載が無く、明らかでない。
また、変性ポリプロピレンに着目した耐傷付性の向上手法が試みられている。すなわち、特許文献4には、機械的強度及び耐傷付性に優れたポリプロピレン樹脂組成物ならびにその成形体を提供することを課題として、下記(A)〜(C)成分の合計100重量部に対し、(メタ)アクリル酸金属塩がグラフトされた変性ポリプロピレン樹脂(D)を0.1〜20重量部配合して得られ、(A)〜(D)成分の合計量に対し、(メタ)アクリル酸金属塩由来の構成単位を0.001〜2重量%含有することを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物が記載されている。(A)ポリプロピレン樹脂30〜100重量部、(B)熱可塑性エラストマー0〜30重量部、(C)無機フィラー0〜40重量部(ただし、(A)、(B)、(C)の合計は100重量部)。
さらに、特許文献5には、射出成形に好適で、機械的特性に優れ、フローマークやウェルドマークを生じにくく、しかも、低光沢性や耐傷付性に優れた成形品を製造しうるポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを課題として、(A)MFR20〜300g/10分のポリプロピレン、(B−1)MFRが0.4g/10分未満のエチレン・α−オレフィン共重合体またはエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、(B−2)MFRが0.5g/10分以上、20g/10分未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体、及び(C)無機充填剤からなる(F)樹脂組成物100重量部に対して、(D)変性ポリプロピレン0.1〜5.0重量部、及び(E)表面改質剤0.1〜1.0重量部を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
これらの組成物は、物性バランス(や低光沢性とともに)、耐傷付性が良好であることが記載され、(メタ)アクリル酸金属塩がグラフトされた変性ポリプロピレン樹脂の配合や、変性ポリプロピレンと表面改質剤との併用配合が、耐傷付性改良に効果的であることが記載されているが、例えば、カーボンブラックなどの様々な性状の着色成分(種類)を含有した場合の耐傷付性の水準や、それらのフローマーク(成形外観)の有無・水準については、記載が無く、明らかでない。
一方、ポリプロピレン系樹脂組成物の着色における、着色剤などの着色成分自体の酸性、アルカリ性の観点からの着色成分の適性化に関する方法が種々提案されている(例えば、特許文献6〜8参照。)。
例えば、特許文献6には、色分れ及び色すじが発生せず、外観均一性に優れた外観良好な成形品を得ることができるポリオレフィン組成物を提供することを課題として、ポリオレフィン(A)及び顔料(B)を含むポリオレフィン組成物であって、顔料(B)がpH5以下のカーボンブラック(B−1)であるポリオレフィン組成物が記載されている。
該組成物は、色分れ及び色すじが発生せず、外観均一性も優れることが記載されているが、耐傷付性の水準、フローマーク(成形外観)の有無・水準、流動性(成形性)及び物性バランスについては、記載が無く、明らかでない。
また、特許文献7には、黒色顔料を用いて、無機体質材を5〜40重量%含有するエチレン・プロピレン−ブロック共重合体型ポリプロピレンを着色するに際して、上記色分かれの発生を防止するとともに、発色ブレの極めて少ない黒色顔料及び着色方法を提供することを課題として、着色するに際して、前記黒色顔料として、pH2〜4で、かつ、平均粒径30〜100nmのファーネスタイプカーボンブラックを配合する発色安定性に優れたポリプロピレン着色組成物が記載されている。
該組成物は、色分かれを発生せず、発色ブレが極めて少なく、着色度が大きいことが記載されているが、耐傷付性の水準、フローマーク(成形外観)の有無・水準、流動性(成形性)及び物性バランスについては、記載が無く、明らかでない。
さらに、特許文献8には、剛性、衝撃強度、流動性に優れ、かつ、成形体にした場合に成形体に色むらがなく、外観が良好なポリプロピレン系樹脂組成物、及びそれからなる射出成形体を提供することを課題として、ポリプロピレン系樹脂(A)と、エラストマー(B)と、無機充填剤(C)とを含有し(但し、(A)と(B)と(C)の重量合計を100重量部とする)、(A)と(B)と(C)の合計100重量に対して、pHが3以下であるカーボンブラック(D)0.0001〜1重量部と、ステアリン酸亜鉛(E)0.2〜1重量部とを、含有するポリプロピレン系樹脂組成物、及びそれからなる射出成形体が記載されている。
該組成物及びそれからなる射出成形体は、色むらがなく、フローマーク(成形外観)が良好で、流動性(成形性)及び物性バランスにも優れることが記載されているが、耐傷付性の水準については、記載が無く、明らかでない。
上記の様に、ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体においては、その性能向上のために、様々な手法が試みられているが、着色成分、例えばカーボンブラックなどを含有した場合の耐傷付性や、フローマーク(成形外観)が、とりわけ自動車部品などの工業部品分野用途などにおいて、不十分であったり、さらに、流動性(成形性)及び剛性・衝撃強度などの物性バランスが不十分であった。
特開2003−286383号公報 特開2006−83251号公報 特開2010−202682号公報 特開2010−53332号公報 特表2010−537039号公報 特開平10−60184号公報 特開2000−169664号公報 特開2006−225418号公報
こうした状況下、本発明の課題は、従来のポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体の問題点を解消し、各種成形体とりわけ自動車部品用などの成形体を得る際に好適である、着色成分、例えばカーボンブラックなどを含有した場合の耐傷付性やフローマーク(成形外観)に優れ、流動性(成形性)及び物性バランスにも優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特定のポリプロピレン系樹脂20〜97重量%、充填剤3〜40重量%、熱可塑性エラストマー0〜40重量%、変性ポリオレフィン0.1〜5重量部(前記ポリプロピレン系樹脂、充填剤及び熱可塑性エラストマー合計100重量部当たり)、及びpHが5以下の着色成分0.01〜5重量部(前記ポリプロピレン系樹脂、充填剤及び熱可塑性エラストマー合計100重量部当たり)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体が、上記の課題を解決できることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の成分A〜Eを含有してなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
成分A:メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分のポリプロピレン系樹脂;20〜97重量%
成分B:充填剤;3〜40重量%
成分C:熱可塑性エラストマー;0〜40重量%
成分D:変性ポリオレフィン;0.1〜5重量部
成分E:pHが5以下の着色成分;0.01〜5重量部
但し、成分Aと、成分Bと、成分Cとの合計量は、100重量%であり、成分D及び成分Eの含有量は、各々、成分Aと、成分Bと、成分Cとの合計量100重量部当たりの値である。
また、発明の第2の発明によれば、第1の発明において、さらに、成分F:脂肪酸アミドを、成分Aと、成分Bと、成分Cとの合計量100重量部当たり、0.01〜3重量部含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、成分Eは、pHが2〜4.5のカーボンブラックであることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成分Aは、下記特性(A1−1)〜(A1−5)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1と、成分A1に該当しないポリプロピレン系樹脂成分A2とからなり、且つ、成分A1は、成分A全体100重量%に対し、20重量%以上含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
特性(A1−1):プロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が150g/10分以上である。
特性(A1−2):エチレン−プロピレン共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1全体に対する割合が3〜50重量%である。
特性(A1−3):エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが5.3〜10dl/gである。
特性(A1−4):成分A1全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が80〜300g/10分である。
特性(A1−5):エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が15〜80重量%である。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、成分Bがタルクであることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、成分Cは、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)及び/またはエチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、自動車部品であることを特徴とする成形体が提供される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体は、着色成分、例えばカーボンブラックなどを含有した場合の耐傷付性、フローマーク(成形外観)、さらに、流動性(成形性)及び剛性・衝撃強度などの物性バランスにも優れる。
そのため、インストルメントパネル、グローブボックス、トリム類、ハウジング類、ピラー、バンパー、フェンダー、バックドアーなどの自動車内外装部品をはじめ、テレビ・掃除機などの家電機器の各種部品、便座などの住宅設備機器部品、各種工業部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができる。
以下、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体について、項目毎に詳細に説明する。
I.ポリプロピレン系樹脂組成物の各構成成分
1.メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分のポリプロピレン系樹脂(成分A)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう。)に用いられる、メルトフローレート(以下、MFRとも記す。)(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分、好ましくは5〜150g/10分、より好ましくは10〜120g/10分のポリプロピレン系樹脂成分A(以下、単に成分Aともいう。)は、プロピレン単独重合体樹脂、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂やプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂などのプロピレンとα−オレフィンとの共重合体樹脂、プロピレンとビニル化合物との共重合体樹脂、プロピレンとビニルエステルとの共重合体樹脂、プロピレンと不飽和有機酸またはその誘導体との共重合体樹脂、プロピレンと共役ジエンとの共重合体樹脂、プロピレンと非共役ポリエン類との共重合体樹脂及びこれらの混合物などである。
成分Aは、本発明の樹脂組成物において、フローマーク(成形外観)、流動性(成形性)及び剛性・衝撃強度などの物性バランスなどを維持、向上することに寄与する特徴を有する。
成分AのMFRが0.5g/10分未満であると、本発明の樹脂組成物やそれからなる成形体(以下、単に成形体ともいう。)のフローマーク(成形外観)や流動性(成形性)が低下するおそれがある。一方、MFRが200g/10分を超えると、物性バランス(衝撃強度)が低下するおそれがある。なお、成分Aは、2種以上併用してもよく、その場合のMFR値は、当然ながら併用した後の成分A全体の値である。
該MFR値は、JIS K7210に準拠し、測定温度:230℃、荷重:2.16kgで測定する値である。
1−1.成分Aの製造
成分Aの製造法は、特に限定されるものではなく、公知の方法、条件の中から適宜に選択される。
プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられ、例えば、チーグラー系触媒やメタロセン系触媒などを例示することができる。
成分Aは、前記触媒の存在下、気相重合法、液相塊状重合法、スラリー重合法などの製造プロセスを適用することにより得られる。
また、成分Aがプロピレン−α−オレフィン共重合体である場合のα−オレフィンとしては、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などを例示できる。また、成分Aがプロピレンとビニル化合物との共重合体である場合のビニル化合物としては、例えば、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサンなどを例示できる。さらに、成分Aがプロピレンとビニルエステルとの共重合体である場合のビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニルなどを例示できる。プロピレンと不飽和有機酸またはその誘導体との共重合体における不飽和有機酸またはその誘導体は、例えば、無水マレイン酸などを例示できる。
プロピレンと共重合されるα−オレフィンや上記ビニル化合物などは、一種類でも二種類以上を用いてもよい。このうちエチレン、ブテン−1が好ましい。
1−2.成分A1の含有
成分Aは、本発明の効果をより高めるなどのため、下記特性(A1−1)〜(A1−5)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1(以下、単に成分A1ともいう。)を、成分A全体100重量%のうち、20重量%以上を、好ましくは25〜70重量%を含有することが望ましい。
特性(A1−1):プロピレン重合体部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が150g/10分以上である。
特性(A1−2):エチレン−プロピレン共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1全体に対する割合が3〜50重量%である。
特性(A1−3):エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが5.3〜10dl/gである。
特性(A1−4):成分A1全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が80〜300g/10分である。
特性(A1−5):エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が15〜80重量%である。
1−3.成分A1の特性
(1)特性(A1−1):
本発明の樹脂組成物に用いられる成分A1中のプロピレン重合体部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、150g/10分以上であり、好ましくは200〜2000g/10分、より好ましくは250〜1000g/10分である。MFRが150g/10分未満であると、樹脂組成物および成形体のフローマーク(成形外観)や流動性(成形性)が低下するおそれがある。該MFRは、プロピレン重合体部分の重合を終えた時のMFRであり、該重合(プロピレン重合体部分)を多段重合にて行う場合には、最終の重合槽から取り出されるプロピレン重合体部分のMFRである。
(2)特性(A1−2):
成分A1中のエチレン−プロピレン共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1全体に対する割合は、3〜50重量%であり、好ましくは5〜40重量%であり、より好ましくは7〜20重量%である。
すなわち、プロピレン重合体部分の成分A1全体に対する割合は、50〜97重量%、好ましくは60〜95重量%、より好ましくは80〜93重量%である。エチレン−プロピレン共重合体部分が3重量%未満である(すなわち、プロピレン重合体部分が97重量%を超える)と、本発明の樹脂組成物及び成形体の物性バランス(衝撃強度)が低下するおそれがある。一方、エチレン−プロピレン共重合体部分の割合が50重量%を超える(すなわち、プロピレン重合体部分が50重量%未満である)と、耐傷付性、フローマーク(成形外観)や物性バランス(剛性)が低下するおそれがある。
(3)特性(A1−3):
成分A1中のエチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyは、5.3〜10dl/gであり、好ましくは6〜9.5dl/g、より好ましくは6.5〜9dl/gである。固有粘度[η]copolyが5.3dl/g未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体のフローマーク(成形外観)や物性バランス(衝撃強度)が低下するおそれがある。一方、固有粘度[η]copolyが10dl/gを超えると、成形外観(ブツ発生)及び物性バランス(衝撃強度)が低下するおそれがある。
(4)特性(A1−4):
成分A1全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、80〜300g/10分である必要があり、好ましくは85〜250g/10分であり、より好ましくは100〜200g/10分である。MFRが80g/10分未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体のフローマーク(成形外観)、流動性(成形性)や物性バランスが低下するおそれがある。一方、MFRが300g/10分を超えると、物性バランス(衝撃強度)が低下するおそれがある。
(5)特性(A1−5):
成分A1中のエチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量は、15〜80重量%であり、好ましくは20〜60重量%であり、より好ましくは25〜50重量%である。
該エチレン含量が前記範囲外であると、本発明の樹脂組成物及び成形体の耐傷付性及び物性バランスが低下するおそれがある。
(6)その他の特性:
成分A1全体の、分子量分布を表す重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値:Mw/Mn)は、7〜13が好ましく、より好ましくは8〜12である。Q値が7未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体のフローマーク(成形外観)が低下するおそれがある。また、Q値が13を超えると、成分A1自体の製造が極めて困難になるので好ましくない。
1−4.成分A1の製造
成分A1の製造法は、得られる成分A1が上記特性(A1−1)〜(A1−5)を有している限り、特に限定されるものではなく、公知の方法、条件の中から適宜に選択される。
プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられる。例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、さらに各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(例えば、特開昭56―100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照。)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(例えば、特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照。)など各公報に記載されたものを例示することができる。
前記触媒の存在下、気相重合法、液相塊状重合法、スラリー重合法などの製造プロセスを適用して、プロピレンを重合し、続いてプロピレンとエチレンをランダム重合することにより得られる。前記した溶融特性(MFR)などを有する成分A1を得るためには、スラリー法、気相流動床法にて、多段重合することが好ましい。
プロピレン重合体部分の重合は、プロピレンの一段重合であっても、多段重合であってもかまわないが、前記の特性を発現するためには、多段重合により得ることがより好ましい。
プロピレン重合体部分の多段重合法としては、以下に示す工程(1)と工程(2)による二段重合法を、例示することができる。
工程(1):プロピレンを、分子量調節剤としての水素の存在下で重合する。分子量が大き過ぎる重合体の生成を抑制するためである。
水素は、プロピレン重合体部分のMFRが150g/10分以上になるように、添加される。水素濃度としては、全モノマー量に対して通常0.1モル%〜40モル%の範囲から選択される。
また、重合温度は、通常40℃〜90℃、圧力は、通常大気圧に対する相対圧力で0.1MPa〜5MPaの範囲から選択される。
この工程(1)で得られる重合体の量は、通常全重合量の80〜99重量%となるように調整される。工程(1)で製造される重合体の量が80重量%未満であると、工程(2)で製造される高分子量のプロピレン重合体が多くなり過ぎ、流動性(成形性)を損なう。
工程(2):工程(1)で生成したプロピレン重合体部分と比べ、高分子量のプロピレン重合体を重合するために、なるべく低濃度の水素雰囲気下もしくは、実質上水素の存在しない状態で重合することが好ましい。重合は、工程(1)で生成したプロピレン重合体及び触媒の存在下、引き続いて行われる。
重合温度は、通常40℃〜90℃、圧力は、通常大気圧に対する相対圧力で0.1MPa〜5MPaの範囲から選択される。
この工程(2)で得られる重合体の量は、通常、全重合量の1〜20重量%となるように、調整される。
工程(1)及び工程(2)を結合して、結果として得られる重合体全体の物性値を前記した範囲に調整できれば、いかなる組み合わせを採用してもよい。
プロピレン重合体部分は、本発明の樹脂組成物の物性バランス(剛性)を高めるために、プロピレンの単独重合体であることが好ましいが、流動性(成形性)及び物性バランスなどをさらに改良する目的で、結晶性を著しく損なわない範囲で、少量のコモノマーとの共重合体とすることもできる。
具体的には、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル1−ペンテンなどのプロピレン以外のα−オレフィン、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニル化合物などからなる群から選ばれる1以上のコモノマーに相応するコモノマー単位を、好ましくは5重量%以下の含量で含むことができる。これらのコモノマーは、二種以上共重合されていてもよい。コモノマーは、エチレン及び/または1−ブテンであるのが望ましく、最も望ましいのはエチレンである。ここで、コモノマー単位の含量は、赤外分光分析法(IR)にて求めた値である。
プロピレン重合体部分の重合に続いて、エチレン−プロピレン共重合体部分の重合を行う。エチレン−プロピレン共重合体部分は、固有粘度[η]copolyや分子量分布(Q値)を所定の値に調整するため、高分子量のエチレン−プロピレン共重合体にすることが好ましい。
エチレン−プロピレン共重合体部分の重合は、高分子量の重合体を重合するために、なるべく低濃度の水素雰囲気下もしくは、実質上水素の存在しない状態で重合することが好ましい。重合は、プロピレン重合体部分重合工程で生成したプロピレン重合体及び触媒の存在下、引き続いて行われる。重合温度は、通常40℃〜90℃、圧力は、通常大気圧に対する相対圧力で0.1MPa〜5MPaの範囲から選択される。
MFRは、MFR計にて、また、エチレン−プロピレン共重合体部分の含量及びエチレン含量、さらにQ値は、クロス分別装置、フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する。また、固有粘度[η]copolyは、ウベローデ型粘度計を用いて測定する。主な項目の測定条件などは、実施例において記述する。
1−5.成分A2
本発明に用いられる成分A2は、前記成分Aのうち、前記成分A1に該当しないポリプロピレン系樹脂である。具体的な成分A2としては、プロピレン単独重合体樹脂、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂や、前記成分A1に該当しないプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂などのプロピレンとα−オレフィンとの共重合体樹脂、プロピレンとビニル化合物との共重合体樹脂、プロピレンとビニルエステルとの共重合体樹脂、プロピレンと不飽和有機酸またはその誘導体との共重合体樹脂、プロピレンと共役ジエンとの共重合体樹脂、プロピレンと非共役ポリエン類との共重合体樹脂及びこれらの混合物などが挙げられる。
また、そのMFR(230℃、2.16kg荷重)は、通常は0.5〜200g/10分、好ましくは5〜150g/10分、より好ましくは10〜120g/10分のものである。ここで、例えば、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂の場合、該共重合体全体のMFR(230、2.16kg荷重)が80g/10分未満または300g/10分を超えるものは、成分A2に包含され、また、該共重合体全体のMFR(230、2.16kg荷重)が80g/10分〜300g/10分であっても、成分A1の特性(A1−1)、(A1−2)、(A1−3)および(A1−5)のいずれかを満たさない場合、成分A2に包含される。また、該共重合体のエチレン−プロピレン共重合体部分の該共重合体全体に対する割合が3重量%未満または50重量%を超えるものは、成分A2に包含され、また、該共重合体のエチレン−プロピレン共重合体部分の該共重合体全体に対する割合が3〜50重量%であっても、成分A1の特性(A1−1)、(A1−3)、(A1−4)および(A1−5)のいずれかを満たさない場合、成分A2に包含される。
成分A2の製造法は、特に限定されるものではなく、公知の方法、条件の中から適宜に選択される。重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられ、例えば、チーグラー系触媒やメタロセン系触媒などを例示することができる。成分A2は、前記触媒の存在下、気相重合法、液相塊状重合法、スラリー重合法などの製造プロセスを適用することにより得られる。
1−6.配合量比
成分Aの配合割合は、該成分Aと、前記成分Bと、前記成分Cとの合計量100重量%において、20〜97重量%、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%である。成分Aの配合量が20重量%未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体の耐傷付性、フローマーク(成形外観)及び流動性(成形性)が低下するおそれがある。また、配合量が97重量%を超えると、物性バランスが低下するおそれがある。
ここで、本発明の樹脂組成物において、好ましい態様として成分A1を用いる場合の成分A1の配合割合は、前記の様に、成分A全体100重量%のうち、20重量%以上、好ましくは25〜70重量%である。成分A1が20重量%未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体のフローマーク(成形外観)、流動性(成形性)及び物性バランスの一層の向上が図れないおそれがある。
2.充填剤(成分B)
本発明の樹脂組成物に用いられる、充填剤の成分B(以下、単に成分Bともいう。)は、無機または有機の充填剤である。成分Bは、本発明の樹脂組成物及び成形体の物性バランス(剛性など)、寸法安定性(線膨張係数の低減など)、環境適応性の各向上や、耐傷付性の維持向上などに寄与する特徴を有する。
2−1.種類、形状など
成分Bの具体例として、例えば、無機フィラーとして、シリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルンなどの酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイトなどのケイ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球などの炭素類や、硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、マグネシウムオキシサルフェイト、塩基性硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、各種金属繊維などを挙げることができる。
一方、有機フィラーとしては、例えばモミ殻などの殻繊維、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、各種合成繊維、熱硬化性樹脂粉末などを挙げることができる。なお、該成分Bは、2種以上併用してもよい。
成分Bの形状については、特に制限はなく、粒状、板状、繊維状、棒状、ウィスカー状など、いずれの形状のものも、使用することができる。
中でも板状、繊維状、ウィスカー状のものは、物性バランスや寸法安定性などに優れた本発明の樹脂組成物及び成形体が得られやすい点で、好ましい。また、ポリマー用フィラーとして市販されているものは、いずれも使用できる。
これらは、一般的な粉末状の外に、取り扱いの利便性などを高めた、圧縮魂状、ペレット(造粒)状、顆粒状、チョップドストランド状などの形態で製造されることが多いが、いずれも使用することができる。中でも粉末状、圧縮魂状、顆粒状が好ましい。
前記成分Bの内、タルク、ポリエステル繊維、ウィスカー及びガラス繊維から選ばれた少なくとも一種のものは、耐傷付性、物性バランス及び経済性などに優れた本発明の樹脂組成物及び成形体が得られ易い点で好ましい。ここで、ポリエステル繊維は、それと木綿と混紡したものなど、異なる複数の繊維同士を混紡したものでもよい。
また、ここでいうウィスカーとは、塩基性硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、極細炭素繊維などの極細(概ね2μmφ以下、とりわけ1μmφ以下)繊維状のものである。
中でも、成分Bとしては、タルクが好ましく、特に平均粒径が15μm以下、好ましくは0.5〜10μm、とりわけ好ましくは2〜8μmのタルクは、耐傷付性、物性バランス、及び経済性が特に優れた本発明の樹脂組成物及び成形体が得られ易いなどの点で、好ましい。
この平均粒径は、レーザー回折散乱方式粒度分布計などを用いて測定した値であり、測定装置としては、例えば、堀場製作所製LA−920型が挙げられる。また、タルクは、平均アスペクト比が4以上、特に5以上のものがより好ましい。タルクのアスペクト比の測定は、顕微鏡などにより測定された値より求められる。
これらの成分Bは、有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、またはその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルなどによって表面などを処理したものを用いてもよく、また、二種以上併用して表面などを処理してもよい。
2−2.製造
成分Bの製造方法は、特に限定されたものではなく、公知の各種製造方法などにて製造される。例えば、タルクの場合、天然に産出されたものを機械的に微粉砕化することにより得られたものを、さらに精密に1回又は複数回分級することによって得られる。
粉砕機としては、例えば、ジョークラシャ−、ハンマークラシャ−、ロールクラシャー、スクリーンミル、ジェット粉砕機、コロイドミル、ローラーミル、振動ミルなどを用いることができる。
これらの粉砕されたタルクは、本発明で示される平均粒径に調節するために、例えば、サイクロン、サイクロンエアセパレーター、ミクロセパレーター、サイクロンエアセパレーター、シャープカットセパレター、などの装置で1回または繰り返し湿式または乾式分級する。特定の粒径に粉砕した後、シャープカットセパレターにて、分級操作を行うことが好ましい。
2−3.配合量比
成分Bの配合割合は、前記成分Aと、該成分Bと、前記成分Cとの合計量100重量%において、3〜40重量%、好ましくは10〜35重量%、より好ましくは15〜30重量%である。成分Bの配合量が3重量%未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体の物性バランス(剛性、耐熱性など)が低下するおそれがある。また、配合量が40重量%を超えると、耐傷付性、フローマーク(成形外観)及び流動性(成形性)が低下するおそれがある。
3.熱可塑性エラストマー(成分C)
本発明の樹脂組成物に用いられる熱可塑性エラストマーの成分C(以下、単に成分Cともいう。)は、オレフィン系エラストマー及び/またはスチレン系エラストマーなどであり、本発明の樹脂組成物及び成形体において、物性バランス(衝撃強度など)や寸法安定性などの向上に寄与する特徴を有する。
3−1.種類
成分Cは、オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)などのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体などのエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどを挙げることができる。
また、スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SBBS)、部分水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体エラストマー、部分水添スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン共重合体エラストマーなどが挙げられる。
さらに、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(CEBC)などの水添ポリマー系エラストマーなども挙げることができる。
中でも、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)及び/またはエチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)を使用すると、本発明の樹脂組成物及び成形体において、物性バランス(衝撃強度など)、流動性(成形性)や寸法安定性などの性能がより優れ、経済性にも優れる傾向にあるなどの点から好ましい。なお、この成分Cは、2種以上を併用してもよい。
3−2.製造
成分Cは、例えば、オレフィン系エラストマーのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーや、エチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどは、各モノマーを触媒の存在下、重合することにより製造される。
触媒としては、例えば、ハロゲン化チタンの様なチタン化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体の様な有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、またはアルキルアルミニウムクロリドなどのいわゆるチーグラー型触媒、WO91/04257号パンフレットなどに記載のメタロセン化合物触媒などを使用することができる。
重合法としては、気相流動床法、溶液法、スラリー法などの製造プロセスを適用して重合することができる。
また、スチレン系エラストマーは、通常のアニオン重合法及びそのポリマー水添技術などにより製造することができる。
3−3.配合量比
成分Cの配合割合は、前記成分Aと、前記成分Bと、該成分Cとの合計量100重量%において、0〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは10〜30重量%である。成分Cの配合量が40重量%を超えると、耐傷付性、物性バランス(剛性)、フローマーク(成形外観)及び流動性(成形性)が低下するおそれがある。
4.変性ポリオレフィン(成分D)
本発明の樹脂組成物に用いられる、変性ポリオレフィンの成分D(以下、単に成分Dともいう。)は、酸変性ポリオレフィン及び/またはヒドロキシ変性ポリオレフィンであり、本発明の樹脂組成物及び成形体において、耐傷付性や物性バランスなどの向上に寄与する特徴を有する。
4−1.種類、製造
成分Dは、酸変性ポリオレフィンとしては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。
該酸変性ポリオレフィンは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン化合物共重合体(EPDMなど)、エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリオレフィンを、例えば、マレイン酸または無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸を用いてグラフト共重合し、変性したものである。このグラフト共重合は、例えば上記ポリオレフィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用いて、不飽和カルボン酸と反応させることにより行われる。また、不飽和カルボン酸またはその誘導体の成分は、ポリオレフィン用モノマーとのランダムもしくはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入することもできる。
変性のため使用される不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基及び必要に応じてヒドロキシル基やアミノ基などの官能基が導入された重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などがあり、その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。好ましくは無水マレイン酸である。
グラフト反応条件としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3などのパーオキシエステル類、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサンなどのヒドロパーオキシド類などの有機過酸化物を、前記ポリオレフィン100重量部に対して、0.001〜10重量部程度用いて、80〜300℃程度の温度で、溶融状態または溶液状態で反応させる方法が挙げられる。
該酸変性ポリオレフィンの酸変性量(グラフト率という場合がある。)は、特に限定されないが、好ましくは酸変性量が無水マレイン酸換算で、0.05〜10重量%、より好ましくは0.07〜5重量%である。
好ましい酸変性ポリオレフィンとしては、本発明効果の大きさなどの点から、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
また、ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、ヒドロキシル基を含有する変性ポリオレフィンである。該変性ポリオレフィンは、ヒドロキシル基を適当な部位、例えば、主鎖の末端や側鎖に有していてもよい。
ヒドロキシ変性ポリオレフィンを構成するオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセンなどのα−オレフィンの単独または共重合体、前記α−オレフィンと共重合性単量体との共重合体などが例示できる。
好ましいヒドロキシ変性ポリオレフィンには、ヒドロキシ変性ポリエチレン(例えば、低密度、中密度または高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリプロピレン(例えば、アイソタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレンホモポリマー、プロピレンとα−オレフィン(例えば、エチレン、ブテン、ヘキサンなど)とのランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリ(4−メチルペンテン−1)などが例示できる。前記反応性基を導入するための単量体としては、例えば、ヒドロキシル基を有する単量体(例えば、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど)が例示できる。
ヒドロキシル基を有する単量体による変性量は、オレフィン系樹脂に対して、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。ヒドロキシ変性ポリオレフィンの平均分子量は特に限定されない。該ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、例えば低分子量系の場合、共役ジエンモノマーをアニオン重合などの公知の方法により重合させ、それを加水分解して得たポリマーを水素添加する方法で得ることができる。
なお、これらの変性ポリオレフィンは2種以上併用してもよい。
4−2.配合量比
成分Dの配合割合は、前記成分Aと、前記成分Bと、前記成分Cとの合計量100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜4重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。成分Dの配合量が0.1重量部未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体の耐傷付性及び物性バランス(剛性、耐熱性など)が低下するおそれがある。また、配合量が5重量部を超えると、物性バランス(衝撃強度など)や経済性が低下するおそれがある。
5.pHが5以下の着色成分(成分E)
本発明の樹脂組成物に用いられる、pHが5以下、好ましくは2〜4.5、より好ましくは2.5〜4の着色成分の成分E(以下、単に成分Eともいう。)は、酸性の着色成分である。成分Eは、本発明の樹脂組成物及び成形体において、耐傷付性、着色外観、見映え、風合い、商品価値、耐候性や耐久性などの付与、向上に寄与する特徴を有する。
成分Eとしては、酸性官能基を含有する着色成分、酸性処理された着色成分及び電子受容性を有する着色成分のうちのいずれか1種または2種以上の着色成分であることが好ましい。
5−1.種類、製造
成分Eは、そのpHが5以下であれば、特に限定されず、各種の無機顔料、有機顔料及び染料など、公知の方法で製造された着色剤である着色成分を用いることができる。
例えば、酸性カーボンブラックの様にスルホン酸基、カルボキシル基や水酸基などの酸性官能基を含有する着色成分、スルホン酸基、カルボキシル基や水酸基などの導入により得られた着色成分、酸性官能基を有する着色成分、顔料誘導体や染料で処理された着色成分、オゾン処理された着色成分、アクリル酸モノマーなどのグラフト反応などで得られた顔料の様な酸性処理された着色成分、臭素化銅フタロシアニン系グリーンやジクロロキナクリドン、塩素化イソインドリン系イエロー顔料の様な電子受容性を有する着色成分などを挙げることができる。
また、成分Eは、前記した様に、無機着色成分でも、有機着色成分あるいはそれらの混合物であってもよいが、無機着色成分としては、カーボン系、チタン系、バリウム系、アルミニウム系、カルシウム系、鉄系、鉛系、コバルト系などが挙げられ、有機着色成分としては、例えば、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、キナクリドンキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、アゾ系などを挙げることができる。
具体的な例としては、三菱化学社製三菱カーボンブラック(#1000などの該当グレード)、DIC社製FASTOGENシリーズ(フタロシアニン顔料GREENなどの該当グレード)などのpH5以下の着色成分が挙げられ、中でもpH2〜4.5の着色成分が好ましく、pH2〜4.5のカーボンブラックがより好ましく、pH2.5〜4のカーボンブラックがさらに好ましい。
成分EのpHが5を超えると、本発明の樹脂組成物及び成形体において、耐傷付性が低下するおそれがある。
本発明において、成分EのpHが5以下であることは重要である。成分EのpHが5以下であるということは、前記の様に成分Eの表面などに酸性官能基や電子受容性の部分が十分な量、存在していることを意味していると、考えられる。このことによって、成分Eは充填剤である成分Bの表面などに存在する塩基性部分や電子供与性部分などと強く相互作用するものと、推察される。
本発明における傷付性向上のメカニズムの詳細は定かではないが、上記作用が成形Eと成分Bとの間の親和力(結合力、接着力、耐界面剥離力など)を向上させるなどして耐傷付性を向上させているものと考えられ、該作用は着色力の向上にも寄与しているものと推察される。
さらに、前記作用は、加えて変性ポリオレフィンである成分Dが存在すると、該成分Dが介在することなどにより、成分Eと成分B及び/または成分Dとの間で、より一層強まり、前記耐傷付性向上効果などを促進しているものと推察される。
以上より、本発明の樹脂組成物及び成形体は、流動性(成形性)、物性バランスを良好に保ったままフローマーク(成形外観)も良好であるだけでなく、さらに従来技術とは異なって、成分Bを含有するために、発生し易い白化傷を低減させ、耐傷付性も良好となるものと考えられ、さらに成分Dをも含有した場合、該両成分を含有するため、発生し易い白化傷をより低減させ、耐傷付性がさらにも増して、より良好となるものと考えられる。
成分EのpHの調製方法については、特に限定されないが、例えば、カーボンブラックの場合、ファーネスカーボンブラックなどの表面などを酸化処理するなどして、−OH、−CO、−COOHなどの官能基を導入して調製する方法などが挙げられる。
ここで、pH値の測定方法は、着色成分例えばカーボンブラックと、蒸留水の混合液をガラス電極pHメーターで測定するなどの方法であり、種々の値の商品を各メーカーから入手することができる。
また、例えばカーボンブラックの種類の例としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック、ミディアムサーマルブラック、ランプブラック(油煙)、アセチレンブラックなどが挙げられ、このうち、ファーネスカーボンブラックまたはチャンネルカーボンブラックが、酸性度が比較的高く、調製し易いなどの点で、好ましい。
これらの成分Eは、必要に応じ、湿潤剤や分散剤などを調合してもよく、使用時に2種以上混合・併用してもよい。
また、必要に応じ、本発明効果を著しく損なわない範囲内で、前記成分Eに該当しない各種の着色成分を、1種以上成分Eと併用することもできる。
成分Eの平均粒径は、特に限定されないが、例えば、カーボンブラックを用いる場合、その平均粒子径は、好ましくは5〜120nm、より好ましくは10〜100nm、とりわけ好ましくは15〜80nmである。平均粒子径が5nm未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体のフローマーク(成形外観)及び物性バランス(衝撃強度)が低下するおそれがあり、一方、120nmを超えると、耐傷付性及び着色力が低下するおそれがある。
平均粒子径の測定方法は、カーボンブラック粒子を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径を粒子径とする方法であり、種々の値の商品を各メーカーから入手することができる。
成分EのDBP(ジブチルフタレート)吸着量は、特に限定されないが、例えば、カーボンブラックを用いる場合、好ましくは40〜150cm/100g、より好ましくは50〜120cm/100gである。ここで、DBP吸着量の測定方法は、JIS K6221に準拠する方法である。
このDBP吸着量は、主にカーボンブラックのストラクチャーの発達度合を表す指標であり、この値が40cm/100g未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体の耐傷付性及び着色力が低下するおそれがあり、一方、150cm/100gを超えると、成形外観(分散不良)及び物性バランス(衝撃強度)が低下するおそれがある。
成分Eの窒素吸着比表面積は、特に限定されないが、例えば、カーボンブラックを用いる場合、好ましくは20〜400m/g、より好ましくは30〜200m/gである。
ここで、窒素吸着比表面積の測定方法は、JIS K6217に準拠する方法である。
この窒素吸着比表面積は、カーボンブラックの細孔や粒子径などを表す指標であり、この値が20m/g未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体の耐傷付性及び着色力が低下するおそれがあり、一方、400m/gを超えると、成形外観(分散不良)及び物性バランス(衝撃強度)が低下するおそれがある。
成分Eの製造法は、特に限定されないが、例えば、カーボンブラックの製造法としては、ファーネス法(オイルファーネス法及びガスファーネス法)、チャンネル法、アセチレン法などが挙げられ、いずれの製造法により製造されたものを用いることができる。
上記ファーネス法は、高温ガス中に原料として石油系や石炭系のオイルを吹き込み、不完全燃焼させてカーボンブラックを得る方法である。また、チャンネル法は、主に天然ガスを原料として、不完全燃焼する炎とチャンネル鋼を接触させてカーボンブラックを析出させ、これを掻きとり集める方法である。また、アセチレン法は、アセチレンガスの熱分解によってカーボンブラックを得る方法である。
ここで、ファーネス法及びチャンネル法にて製造されたカーボンブラックを用いた本発明の樹脂組成物及び成形体は、耐傷付性、着色力、剛性、衝撃強度などの物性バランス、色調などが他の方法にて製造されたものを用いた場合より、良好である傾向にあることから、本発明においては、前記のいずれかの方法にて製造されたカーボンブラックを用いることが好ましい。
成分Eは、通常、単体で用いられるが、予めポリオレフィン樹脂などとのマスターバッチなどの形で用いることもできる。
また、成分Eは、通常、前記成分A、前記成分B、前記成分C、前記成分D、後記成分Fと、同時に混合・混練するなどして用いられるが、例えば、耐傷付性をより向上させるなどの目的で、予め(必要であれば前記成分Aの一部などとともに)該成分Eと、前記成分Bとを、混合、または混合・混練して、その後、残りの成分と混合、または混合・混練するのが該成分Eと成分Bとの間(ひいては成分Aとの間)の親和力(結合力、接着力、耐界面剥離力など)を向上させる点などのため、好ましい。
さらに、予め(必要であれば前記成分Aの一部などとともに)該成分Eと、前記成分Bと、成分Dとを、混合、または混合・混練して、その後残りの成分と混合、または混合・混練するのが、該成分Eと、成分Bと、成分Dとの間(ひいては成分Aとの間)の親和力(結合力、接着力、耐界面剥離力など)を向上させる点などのため、より好ましい。
5−2.配合量比
成分Eの配合割合は、前記成分Aと、前記成分Bと、前記成分Cとの合計量100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜4重量部、より好ましくは0.1〜3重量部である。成分Eの配合量が0.01重量部未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体の耐傷付性及び着色力が低下するおそれがある。また、配合量が5重量部を超えると、物性バランス(衝撃強度など)や経済性が低下するおそれがある。
なお、この場合の配合割合は、成分Eすなわち着色成分の実質濃度であり、例えば、成分Eとポリオレフィン樹脂とのマスターバッチを用いる場合は、該マスターバッチ中に含有する成分Eの濃度に基づき算出される。
6.脂肪酸アミド(成分F)
本発明の樹脂組成物に用いられる、脂肪酸アミドの成分F(以下、単に成分Fともいう。)は、一般に滑剤として用いられるものであり、通常、炭素数10以上の脂肪酸アミドであり、好ましくは下記式(1)に表される脂肪酸アミドである。
RCONH・・・・・式(1)
[式(1)中、Rは、炭素数10〜25の直鎖状脂肪族炭化水素基を表す。]
6−1.種類
成分Fは、例えば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミドなどの飽和脂肪酸のアミド、オレイン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、エルカ酸アミド、アラキドン酸アミド、エイコサペンタエン酸アミド、ドコサヘキサエン酸アミドなどの不飽和脂肪酸のアミドが例示される。
これらの中では、不飽和脂肪酸アミドが好ましく、中でもエルカ酸アミド、オレイン酸アミドなどのモノ不飽和脂肪酸アミドがより好ましい。
成分Fは、本発明の樹脂組成物及び成形体において、表面の摩擦を低減するなどして耐傷付性をより向上させることに寄与する特徴を有する。
また、成分Fは、溶融性、離型性、耐摩耗性、アンチブロッキング性、平滑性などの滑剤としての機能に加え、前記充填剤の成分Bを含有する本発明の樹脂組成物を成形する際に、優れた成形加工性及び表面特性をも、発現する。さらに、本発明の成形体においても、その成形段階、流通段階、及び使用段階においての、外部との接触、衝突などにより、前記成分Bを含有するために発生し易い白化傷跡を低減する性能も発現する。
なお、成分Fは、2種以上併用してもよい。
6−2.配合量比
成分Fの必要に応じ用いる場合の配合割合は、前記成分Aと、前記成分Bと、前記成分Cとの合計量100重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは0.1〜2重量部、より好ましくは0.2〜1重量部である。成分Fの配合量が0.01重量部未満であると、本発明の樹脂組成物及び成形体の耐傷付性の向上効果が低下するおそれがある。また、配合量が5重量部を超えると、物性バランス(剛性、耐熱性など)や経済性が低下するおそれがある。
7.任意添加成分
本発明においては、前記成分A〜成分F以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、例えば、発明効果を一層向上させたり、他の効果を付与するなどのため、任意添加成分を配合することができる。
具体的には、フェノール系、リン系などの酸化防止剤、前記成分Eに該当しない着色成分、ヒンダードアミン系などの光安定剤、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、ソルビトール系などの造核剤、非イオン系などの帯電防止剤、無機化合物などの中和剤、チアゾール系などの抗菌・防黴剤、ハロゲン化合物などの難燃剤、可塑剤、有機金属塩系などの分散剤、前記成分Fに該当しない滑剤、窒素化合物などの金属不活性剤、非イオン系などの界面活性剤や、前記成分Aに該当しないポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂、前記成分Cに該当しないエラストマー(ゴム成分)などを挙げることができる。
これらの任意添加成分は、2種以上を併用してもよく、組成物に添加してもよいし、前記成分A〜成分Fの各成分に添加されていてもよく、夫々の成分においても2種以上併用することもできる。
前記成分Eに該当しない着色成分として、例えば、無機系や有機系の顔料などは、本発明の樹脂組成物及び成形体の、耐傷付性、着色外観、見映え、風合い、商品価値、耐候性や耐久性などの付与、向上などに有効である。
具体例として、無機系顔料としては、酸化チタン;酸化鉄(ベンガラ等);クロム酸(黄鉛など);モリブデン酸;硫化セレン化物;フェロシアン化物などが挙げられ、有機系顔料としては、難溶性アゾレーキ;可溶性アゾレーキ;不溶性アゾキレート;縮合性アゾキレートなどのアゾ系顔料;フタロシアニンブルー;フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;アントラキノン;ペリノン;ペリレンなどのスレン系顔料;染料レーキ;キナクリドン系;ジオキサジン系;イソインドリノン系などが挙げられる。
光安定剤や紫外線吸収剤として、例えば、ヒンダードアミン化合物、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系やサリシレート系などは、本発明の樹脂組成物及び成形体の耐候性や耐久性などの付与、向上に有効である。
具体例としては、ヒンダードアミン化合物として、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物;ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕;テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート;ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケートなどが挙げられ、ベンゾトリアゾール系としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられ、ベンゾフェノン系としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどが挙げられ、サリシレート系としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート;2,4−ジ−t−ブチルフェニル3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
ここで、前記光安定剤と紫外線吸収剤とを併用する方法は、耐候性、耐久性などの向上効果が大きく、好ましい。
II.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法、成形体の製造方法及び用途
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、前記成分A〜成分F(必要に応じ、任意添加成分)を、前記配合割合で、従来公知の方法で配合・混合・溶融混練することにより、製造することができる。
混合は、通常、タンブラー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどの混合機器を用いて行い、溶融混練は、通常、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーなどの混練機器を用いて溶融混練し、造粒する。
また、溶融混練・造粒して製造する際には、前記各成分の配合物を同時に混練してもよく、さらに、性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、すなわち、例えば、前記5−1項に述べた様に、先ず成分Eと、前記成分Bと、成分Dとを(必要であれば成分Aの一部などとともに)、混練し、その後に残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
本発明の成形体は、前記方法で製造されたポリプロピレン系樹脂組成物を、例えば、射出成形(ガス射出成形、二色射出成形、コアバック射出成形、サンドイッチ射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、シート成形及び中空成形などの周知の成形方法にて、成形することにより得ることができる。このうち、射出成形または射出圧縮成形にて得ることが好ましい。
本発明の成形体は、耐傷付性、フローマーク(成形外観)に優れ、物性バランスにも優れる。
そのため、これらの性能をバランスよく、より高度に必要とされる用途、例えば自動車部品、テレビ・掃除機などの電気電子機器の各種部品、便座などの住宅設備機器部品などの工業分野の各種部品や建材部品などの用途、とりわけインストルメントパネル、グローブボックス、トリム類、ハウジング類、ピラー、バンパー、フェンダー、バックドアーなどの自動車内外装部品の用途に好適に用いることができる。これらの点などから、該ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体の工業的価値は大きい。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で用いた評価法、分析の各法および材料は、以下の通りである。
1.評価方法、分析方法
1−1.耐傷付性(5FINGERテスト):下記要領にて評価する。
試験片:縦120×横120×厚さ3(mm)の射出成形(下記条件)シート。
成形機:東芝機械社製、射出成形機IS170。
成形条件:成形温度=220℃、金型温度=40℃、射出圧力=60MPa。
引掻試験器:ROCKWOOD SYSTEMS AND EQUIPMENT社製 「SCRATCH & MAR TESTER」
試験方法:上記試験器において、3Nから20Nまでを、1N間隔の荷重にて、形状(曲率半径0.5mm、ボール状)加工を施した引掻先端にて、引掻速度=100mm/分にて引掻き、傷の形態を試験片に対して45度の角度で目視判定し、傷の白化が目立ち始める荷重を測定する。n数は10とし、その平均値を前記荷重とする。なお、試験温度は23℃である。
1−2.フローマーク(成形外観):
上記1−1項に記した射出成形機及び条件(但し、射出圧力=50MPa)にて、短辺に幅2mmのフィルムゲートをもつ金型を用いて、350mm×100mm×2mmtなる成形シートを成形し、フローマークの発生を目視で観察し、ゲートからフローマークが発生した部分までの距離を測定する。
1−3.流動性(MFR):
JIS K7210に準拠し、測定温度:230℃、荷重:2.16kgで測定する。該MFRは、流動性を表す指標であって、数値が大きい程、流動性が良好である。
1−4.曲げ弾性率:
JIS K7171に準拠し、測定温度23℃で測定する。試験片は、上記1−1項に記した射出成形機及び条件にて成形の試験片(10×80×4t(mm))にて調製する。
1−5.シャルピー衝撃強度(ノッチ付):
JIS K7111に準拠し、測定温度23℃で測定する。試験片調製は、上記1−4項と同様に行う。
1−6.成分A1中のエチレン−プロピレン共重合部分の含有量及びエチレン含量:
前記した様にクロス分別装置やFT−IRなどを用いて測定した。その定義、測定条件などは、例えば、特許文献:特開2008−189893号公報に記載されている。
主な具体的測定条件は、下記の通りである。
・使用する分析装置
(i)クロス分別装置:
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析:
FT−IR・パーキンエルマー社製 1760X
CFC検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT―IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm・光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(iii)ゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC):
CFCの後段に、GPCカラム(昭和電工社製 AD806MS)を3本直列に接続して使用する。
・CFCの測定条件
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:昇温溶出分別時の分別温度は、40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、後段のGPCを経由して、FT―IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1ml/分
・FT―IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定あたりの積算回数:15回
1−7.成分A1中のエチレン−プロピレン共重合部分の固有粘度[η]copoly
プロピレン重合体部分の重合終了後、一部を重合槽よりサンプリングし、該部分の固有粘度[η]homoを測定する。次に、プロピレン重合体部分を重合した後、エチレン−プロピレン共重合体部分を重合して得られた最終重合物(F)の固有粘度[η]を測定する。この測定は、ウベローデ型粘度計を用いてデカリンを溶媒として温度135℃で行う。[η]copolyは、以下の関係から求める。
[η]=(100−Wc)/100×[η]homo+Wc/100×[η]copoly
ここでWcは、上記1−6項で求められるエチレン−プロピレン共重合部分の含有量(重量%)である。
1−8.成分A1のQ値(Mw/Mn):
上記1−6項のクロス分別装置におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定のフラクション1〜3の分子量分布曲線を合成処理して作成した成分A1全体の分子量分布曲線より求める。この分子量分布曲線から重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を算出する方法は、公知の方法に従い、Mw/MnをもってQ値とする。
2.材料
2−1.成分A(成分A1、成分A2)(ポリプロピレン系樹脂):
(以下、いずれも酸化防止剤、中和剤を添加済のペレットである。)
A1−1:日本ポリプロ社製ポリプロピレン(商品名:ノバテック)の下記組成・物性のグレードを用いた。
該材料は、チーグラー・ナッタ系触媒で重合されたプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂であって、プロピレン重合体部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が303g/10分、エチレン−プロピレン共重合体部分の該プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂全体に対する割合が8重量%、エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが7.4dl/g、該共重合体樹脂全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が104g/10分、エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が34重量%、該共重合体樹脂全体のQ値が8.2であるもの。
A2−1:日本ポリプロ社製ポリプロピレン(商品名:ノバテック)の下記組成・物性のグレードを用いた。
該材料は、チーグラー・ナッタ系触媒で重合されたプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂であって、エチレン−プロピレンブロック共重合体部分の該プロピレン−エチレン共重合体樹脂全体に対する割合が13重量%、エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが3.7dl/g、該共重合体樹脂全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が65g/10分であるもの。
2−2.成分B(充填剤):
B−1:日本タルク社製の平均粒径=5.1μm、平均アスペクト比=6のタルク。
2−3.成分C(熱可塑性エラストマー):
C−1:ダウケミカル日本社製のオクテン含量=38重量%、MFR(230、2.16kg荷重)=10g/10分である、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(エンゲージ8200)(EOR)。
C−2:三井化学社製のブテン含量=33重量%、MFR(230、2.16kg荷重)=2g/10分である、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(タフマーA1050S)(EBR)。
2−4.成分D(変性ポリオレフィン):
D−1:アルケマ社製の酸変性量(グラフト率)=0.8重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(OREVAC CA100)。
2−5.成分E(着色成分):
E−1:三菱化学社製のpH=3.5、平均粒径=18nm、DBP吸着量=56cm/100g、窒素吸着比表面積=180m/gであるカーボンブラック(三菱カーボンブラック#1000)。
E−2:三菱化学社製のpH=3、平均粒径=55nm、DBP吸着量=93cm/100g、窒素吸着比表面積=36m/gであるカーボンブラック(三菱カーボンブラックMA220)。
E−3:上記E−1=75重量%と、アニリンブラック系有機複合黒顔料=25重量%とを、混合したもの。
E−4:上記A1−1=60重量%と、上記E−1=30重量%と、低密度ポリエチレン=10重量%とを、二軸押出機を用いて溶融・混練した着色マスターバッチ。
E−5:三菱化学社製のpH=7.5、平均粒径=16nm、DBP吸着量=56cm/100g、窒素吸着比表面積=250m/gであるカーボンブラック(三菱カーボンブラック#900)。
2−6.成分F(脂肪酸アミド):
F−1:日本精化社製のエルカ酸アミド(ニュートロン−S)。
3.実施例及び比較例
[実施例1〜7及び比較例1〜4]
3−1.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
前記の成分A〜成分Fを、下記の添加剤とともに、表1に示す割合で配合し、下記の条件で混練、造粒し、製造した。
この際、成分A〜成分Cの合計100重量部当たり、BASF社製IRGANOX1010を0.1重量部及びBASF社製IRGAFOS168を0.05重量部配合した。
混練装置:神戸製鋼社製KCM50型二軸押出機。
混練条件:温度=200℃、スクリュー回転数=800rpm。
Figure 2012241055
3−2.ポリプロピレン系樹脂組成物の成形
前記の造粒したペレットを用い、前記評価方法に示した要領で、夫々の評価用試験片を成形した。
3−3.評価
前記の成形したものについて、性能評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2012241055
表1及び2に示す結果から、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体の発明要件を満たしている実施例1〜7は、耐傷付性、フローマーク(成形外観)、さらに、流動性(成形性)及び剛性・衝撃強度などの物性バランスにも、優れていることが明らかである。
そのため、これらの性能をバランスよく、より高度に必要とされる用途、例えば、インストルメントパネル、グローブボックス、トリム類、ハウジング類、ピラー、バンパー、フェンダー、バックドアーなどの自動車内外装部品をはじめ、家電機器部品、便座などの住宅設備機器部品、各種工業部品、建材部品などの用途に、好適に用いることが明白になっている。
一方、上記本発明の特定事項を満たさない比較例において、比較例1〜4に示す組成を持ったポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体は、これらの性能バランスが不良で、実施例1〜7のものに対して、見劣りしている。
例えば、(1)成分Dを含有せず、成分E−5を用いた比較例1は、耐傷付性において、実施例3と著しい差異が生じた。これは、成分Dの含有量及び成分Eの性状が、本発明の要件を満たさないためと考えられる。
また、(2)成分Dを含有せず、成分E−5を用いた比較例2は、耐傷付性において、実施例4と著しい差異が生じた。これは、成分Dの含有量及び成分Eの性状が、本発明の要件を満たさないためと考えられる。
さらに、(3)成分E−5を用いた比較例3は、耐傷付性において、実施例4及び5と著しい差異が生じた。これは、成分Eの性状が、本発明の要件を満たさないためと考えられる。
またさらに、(4)成分Dを含有しない比較例4は、耐傷付性において、実施例4と著しい差異が生じた。これは、成分Dの含有量が、本発明の要件を満たさないためと考えられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体は、耐傷付性、フローマーク(成形外観)、さらに、流動性(成形性)及び剛性・衝撃強度などの物性バランスにも優れるため、これらの性能をバランスよく、より高度に必要とされる用途、例えばインストルメントパネル、グローブボックス、トリム類、ハウジング類、ピラー、バンパー、フェンダー、バックドアーなどの自動車内外装部品をはじめ、テレビ・掃除機などの家電機器の各種部品、便座などの住宅設備機器部品、各種工業部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 下記の成分A〜Eを含有してなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
    成分A:メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分のポリプロピレン系樹脂;20〜97重量%
    成分B:充填剤;3〜40重量%
    成分C:熱可塑性エラストマー;0〜40重量%
    成分D:変性ポリオレフィン;0.1〜5重量部
    成分E:pHが5以下の着色成分;0.01〜5重量部
    但し、成分Aと、成分Bと、成分Cとの合計量は、100重量%であり、成分D及び成分Eの含有量は、各々、成分Aと、成分Bと、成分Cとの合計量100重量部当たりの値である。
  2. さらに、成分F:脂肪酸アミドを、成分Aと、成分Bと、成分Cとの合計量100重量部当たり、0.01〜3重量部含有することを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 成分Eは、pHが2〜4.5のカーボンブラックであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 成分Aは、下記特性(A1−1)〜(A1−5)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1と、成分A1に該当しないポリプロピレン系樹脂成分A2とからなり、且つ、成分A1は、成分A全体100重量%に対し、20重量%以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    特性(A1−1):プロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が150g/10分以上である。
    特性(A1−2):エチレン−プロピレン共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1全体に対する割合が3〜50重量%である。
    特性(A1−3):エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが5.3〜10dl/gである。
    特性(A1−4):成分A1全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が80〜300g/10分である。
    特性(A1−5):エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が15〜80重量%である。
  5. 成分Bがタルクであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. 成分Cは、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)及び/またはエチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
  8. 自動車部品であることを特徴とする請求項7に記載の成形体。
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