JP5716602B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及びエアバッグ収納カバー - Google Patents
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Description
エアバッグ装置におけるエアバッグ収納カバーは、エアバッグ膨脹時に、それを収納しているカバーの破壊による破片の飛散、又は、カバー取り付け部の破壊によるカバーの飛散により、運転手や搭乗員に当たって怪我をさせる危険性がある。このため、低温から高温までの幅広い温度範囲において、カバーが異常な破壊をして飛散するのを防止することを目的として、その構造或いは材質において種々提案されている。
が望ましく、剛性と低温耐衝撃性のバランスが向上された材料が望まれていた。このような状況の中、本発明が解決しようとする課題は、無塗装のエアバッグ収納カバーとして満足される外観性、低温耐衝撃性、剛性、エアバッグ収納カバーとしたときの展開性能などに優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
[1]下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を10〜200重量部、成分(C)を10〜100重量部含む、熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):第一工程で下記成分(A−1)を重合し、続いて第二工程で下記成分(A−2)を重合してなり、成分(A−1)及び成分(A−2)の合計量に対し、成分(A−1)の含有量が70〜95重量%、成分(A−2)の含有量が30〜5重量%であるポリプロピレン系重合体
成分(A−1):プロピレン単位の含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体
成分(A−2):エチレン単位の含有量が20〜80重量%であるエチレン−α−オレフィン共重合体
成分(B):エチレン単位の含有量と炭素数4〜8のα−オレフィン単位の含有量との合計量に対し、エチレン単位の含有量が50〜80重量%、炭素数4〜8のα−オレフィン単位の含有量が50〜20重量%であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム
成分(C):プロピレン単位の含有量とエチレン単位の含有量との合計量に対し、プロピレン単位の含有量が80〜92重量%、エチレン単位の含有量が20〜8重量%であり、メルトフローレート(測定温度230℃、測定荷重21.18N)が1〜50g/10分、密度が0.890g/cm3以下であるプロピレン−エチレン共重合体
[2]前記成分(A)100重量部に対して下記成分(D)を1〜50重量部含有してなる、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(D):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水素添加物
[3]前記成分(A)100重量部に対して下記成分(E)を1〜50重量部含有してなる、[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
[4]下記(1)から(3) の特性を満足する[1]から[3]の何れか1つに記載の
熱可塑性エラストマー組成物。
(1)JIS K7210に準拠した測定温度230℃、測定荷重21.18Nでのメルトフローレートが0.1〜100g/10分
(2)JIS K7203に準拠した曲げ弾性率が100MPa以上
(3)JIS K7110に準拠した温度−40℃でのノッチ付きアイゾット衝撃強度が
50kJ/m2以上
[5][1]から[4]の何れか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるエアバッグ収納カバー。
ある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)100重量部あたり、成分(B)を10〜200重量部、成分(C)を10〜100重量部含むものである。
成分(A−1):プロピレン単位の含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体
成分(A−2):エチレン単位の含有量が20〜80重量%であるエチレン−α−オレフィン共重合体
成分(B):エチレン単位の含有量と炭素数4〜8のα−オレフィン単位の含有量との合計量に対し、エチレン単位の含有量が50〜80重量%、炭素数4〜8のα−オレフィン単位の含有量が50〜20重量%であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム
成分(C):プロピレン単位の含有量とエチレン単位の含有量との合計量に対し、プロピレン単位の含有量が80〜92重量%、エチレン単位の含有量が20〜8重量%であり、メルトフローレート(測定温度230℃、測定荷重21.18N)が1〜50g/10分、密度が0.890g/cm3以下であるプロピレン−エチレン共重合体
成分(A)は、下記成分(A−1)を重合し、続いて下記成分(A−2)重合してなり、成分(A−1)及び成分(A−2)の合計量に対し、成分(A−1)の含有量が70〜95重量%、成分(A−2)の含有量が30〜5重量%であるプロピレン系重合体である。
成分(A−2):エチレン単位の含有量が20〜80重量%(但し、成分(A−2)全体を100重量%とする。)であるエチレン−α−オレフィン共重合体
成分(A−1)は、プロピレン単位の含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体であり、プロピレンの単独重合体であっても、プロピレン単位に加え、プロピレン以外のα−オレフィン単位やα−オレフィン以外の単量体単位を10重量%以下含有する共重合体であってもよい。プロピレン以外のα−オレフィン単位としては、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフィンをあげることができる。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテンなどがあげられる。好ましくは、エチレン及び炭素原子数4〜10のα−オレ
フィンであり、より好ましくは、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
撃性の観点から、成分(A)全体を100重量%として、95重量%以下であり、好ましくは93重量%以下である。
成分(A)における成分(A−2)の含有量は、成形体の低温耐衝撃性の観点から、成分(A)を100重量%として、5重量%以上であり、好ましくは7%以上である。また、成分(A−2)の含有量は、成形体の剛性の観点から、成分(A)を100重量%として、30重量%以下であり、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下である。
成分(A)のメルトフローレート(測定温度230℃、測定荷重21.18N)は、限定されないが、通常、0.1g/分以上であり、成形体の外観の観点から、好ましくは10g/10分以上であり、より好ましくは20g/10分以上であり、更に好ましくは30g/10分以上である。また、成分(A)のメルトフローレート(測定温度230℃、測定荷重21.18N)は、通常、200g/10分以下であり、引張り強度の観点から、好ましくは150g/10分以下であり、更に好ましくは100g/10分以下である。メルトフローレートは、JIS−K7210に従って、測定温度230℃、測定荷重21.18Nの条件で測定される。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(A)は市販の該当品を用いることも可能である。市販のポリプロピレン系共重合体(A)は下記に挙げる製造者等から調達可能であり、適宜選択することが出来る。入手可能な市販品としては、プライムポリマー社のPrim Polypro(登録商標)、住友化学社の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社のポリプロピレンブロックコポリマー、日本ポリプロ社のノバテックPP(登録商標)、LyondellBasell社のMoplen(登録商標)、ExxonMobil社のExxonMobil PP、Formosa Plastics社のFormolene(登録商標)、Borealis社のBorealis PP、LG Chemical社のSEETEC PP、A.Schulman社のASI
POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社のINEOS PP、Braskem社のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社のSumsung Total、Sabic社のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社のTOTAL
PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社のYUPLENE(登録商標)などがある。
成分(B)は、エチレン単位の含有量と炭素数4〜8のα−オレフィン単位の含有量との合計量に対し、エチレン単位の含有量が50〜80重量%、炭素数4〜8のα−オレフィン単位の含有量が50〜20重量%であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムである。
−ヘキセン、1−オクテンなどの末端の炭素原子に炭素間二重結合を有する炭素数4〜8のα−オレフィンである。成分(B)のα−オレフィンは1種のみがエチレンと共重合したものであっても、2種以上がエチレンと共重合したものであってもよい。また、成分(B)は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、成分(B)の非共役ジエン単位やプロピレン単位の含有量は、成分(B)全体に対して、通常0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%である。非共役ジエン単位やプロピレン単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(B)として具体的には、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−1−ヘキセン共重合体ゴム、エチレン−1−オクテン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体ゴムなどを例示することができる。これらは1種で用いられてもよく、2種以上組み合わせ用いられてもよい。中でも、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−1−オクテン共重合体ゴムが好ましい。
分以下であり、より好ましくは1g/10分以下であり、更に好ましくは0.5g/10分以下である。また、成分(B)のメルトフローレートは、通常、0.01g/10分以上であり、流動性の観点から、好ましくは0.05g/10分以上であり、更に好ましくは0.10g/10分以上である。メルトフローレートは、JIS K7210に従い、測定温度190℃、測定荷重21.18Nの条件で測定される。
成分(C)は、プロピレン単位の含有量とエチレン単位の含有量との合計量に対し、プロピレン単位の含有量が80〜92重量%、エチレン単位の含有量が20〜8重量%であり、メルトフローレート(測定温度230℃、測定荷重21.18N)が1〜50g/10分、密度が0.890g/cm3以下であるプロピレン−エチレン共重合体である。ここで、成分(C)には、成分(A)に該当するものは含まないものとする。
なお、成分(C)には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の共重合成分を含有していてもよい。
成分(C)のメルトフローレート(測定温度230℃,測定荷重21.18N)は1g/10分以上であり、より好ましくは2g/10分以上であり、更に好ましくは5g/10分以上である。また、メルトフローレート(測定温度230℃,測定荷重21.18N)は50g/10分以下であり、好ましくは40g/10分以下であり、更に好ましくは30g/10分以下であり、より好ましくは20g/10分以下である。成分(C)のメルトフローレートが前記下限値以上であることにより、成形外観が良好となり、また、前記上限値以下であることにより機械強度が良好となる。
成分(C)の密度は0.890g/cm3以下であり、好ましくは0.885g/cm3以下であり、より好ましくは0.880g/cm3以下であり、更に好ましくは0.875g/cm3以下である。成分(C)の密度が前記上限値以下であることにより、成形体の低温耐衝撃性が良好となる。また、成分(C)の密度の下限は特に制限されないが、通常0.850g/cm3以上であり、好ましくは0.855g/cm3以上であり、更に好ましくは0.860g/cm3以上である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、更に下記成分(D)を含有することがエアバッグ収納カバーのような成形体としたときの外観改良の観点から好ましい。
成分(D):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水素添加物
成分(D)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水素添加物における好適な共役ジエンはブタジエン、イソプレン又はこれらの混合物である。例えば、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(以下、単に「S−B−S」と略記することがある。)及び/又はその水素添加物(以下、単に「水添S−B−S」と略記することがある。)であるスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS) 、或いは、スチ
レン・イソプレンブロック共重合体の水素添加物( 以下、単に「水添S−I−S」と略
記することがある。)であるスチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体(SEPS) 、スチレン・ブタジエン・イソプレンブロック共重合体の水素添加物(以下、単
に「水添S−BI−S 」と略記することがある。) を挙げることができる。
る共役ジエンがイソプレンとブタジエンの混合物の場合の重量比(イソプレン/ブタジエン)は、一般に99/1〜1/99 、好ましくは90/10〜30/70、特に好まし
くは80/20〜40/60のものである。
成分(D)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物及び/又はその水素添加物の重量平均分子量は製品光沢と機械的強度の観点から、好ましくは50,000以上であり、より好ましくは80,000以上であり、更に好ましくは100,000以上
である。また、重量平均分子量は成形体の外観の観点から、1,000,000以下が好ましく、より好ましくは800,000以下であり、更に好ましくは500,000以下である。
ましく、好ましくは5重量以上、より好ましくは10重量部以上である。一方、成分(D)は、成形体の低温耐衝撃性の観点から、成分(A) 100重量部に対し、好ましくは
50重量部以下であり、より好ましくは40重量部以下であり、更に好ましくは30重量以下である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、エアバッグ収納カバーの成形性の観点から下記成分(E)を含有することが好ましい。
成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(E)の重量平均分子量は、エアバッグ収納カバーの成形体のべたつき防止の観点から、好ましくは300以上、より好ましくは500以上である。また、成分(E)の重量平均分子量はエアバッグ収納カバーの成形性の観点から、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,500以下である。
ン系オイルと呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系オイルと呼ばれ、芳香族炭素数が30%より多いものが芳香族オイルと呼ばれて区分されている。これらの中では耐候性の点からパラフィン系オイルを用いることが好ましい。パラフィン系オイルとしては、40℃における動粘度が20〜800cstであることが好ましく、50〜600cstであることがより好ましい。また、パラフィン系オイルの流動点は通常0〜−40℃、好ましくは0〜−30℃ である。パラフィン系オイルの引火点(COC)
は通常200〜400℃であり、好ましくは250〜350℃のものである。
100重量部に対し、1重量%以上が好ましく、より好ましくは5重量以上、より好ましくは10重量部以上である。一方、成分(E)は、エアバッグ収納カバーの形状保持性と高温時の展開性の観点から、成分(A) 100重量部に対し、50重量部以下が好まし
く、40重量部以下がより好ましく、30重量以下が更に好ましい。
更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、上記の成分以外に本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、各種目的に応じて以下の添加剤や成分(A)〜(D)以外の樹脂(以下、「その他の樹脂」と称する。)等の任意成分を配合することができる。
任意成分としては、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防雲剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、難燃剤、分散剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性剤、分子量調整剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各種添加物を挙げることができる。例えば、酸化防止剤は成分(A)〜(E)の合計量100重量部あたり、0.01〜0.5重量部の範囲で用いられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(A)、(B)及び(C)の各成分、必要に応じて成分(D)及び/又は(E)を通常の押出機やバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブラベンダー等を用いて常法で混練して製造することができる。これらの製造方法の中でも、押出機、特に二軸押出機を用いることが好ましい。本発明の熱可塑性エラストマー組成物を押出機などで混練して製造する際には通常160〜240℃、好ましくは180〜220℃に加熱した状態で溶融混練することによって製造することができる。更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、下記の架橋剤や架橋助剤を配合して動的に熱処理することにより、部分的に架橋させてもよい。
オキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t −ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−
ブチルパーオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3 、ジクミルパーオキサイド等を挙げること
ができる。
本発明の熱可塑性エラストマーは、前記成分(A)〜(C)を特定量含むことにより、外観性、低温耐衝撃性、剛性などに優れるものであるが、特に、成分(B)のエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムにおいて炭素数4〜8のα−オレフィン単位を使用したことにより、例えば特開2009−263471号公報の実施例に記載されているような炭素数3のαオレフィンを使用した従来品に比べて低温耐衝撃性が特に改良されたものとなる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、低温耐衝撃性が特に改良された理由としては、成分(B)として、炭素数4〜8のα−オレフィン単位を使用することにより、炭素数3のα−オレフィン単位をしようしたものに比べてα−オレフィンの分岐鎖が延長され、分子同士の界面での相互作用が高められたことによるものと推定される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K7210に準拠した温度230℃、測定荷重21.18Nでのメルトフローレートは、通常、0.1g/10分以上であり、エアバッグ収納カバー成形時の流動性の観点から、好ましくは5g/10分以上であり、より好ましくは6g/10分以上であり、更に好ましくは7g/10分以上である。また、メルトフローレートは、通常、100g/10分以下であり、エアバッグ収納カバー成形時のヒケやバリを防止する観点から、メルトフローレートが好ましくは60g/10分以下であり、より好ましくは40g/10分以下であり、更に好ましくは30g/10分以下、特に好ましくは20g/10分以下である。
特に、エアバッグ収納カバーを射出成形する際の成形条件は以下の通りである。エアバッグ収納カバーを射出成形する際の成形温度は一般に150〜300℃であり 、好まし
くは180〜280℃である。射出圧力は通常、5〜100MPaであり 、好ましくは
10〜80MPaである。また、金型温度は通常0〜80℃であり 、好ましくは20〜
60℃ である。
<原材料>
・成分(A)
a−1:市販のポリプロピレンブロック共重合体(第1工程で成分(A−1)を重合し、続いて第2工程で成分(A−2)を重合して得られたもの。)
MFR=60g/10分(測定温度230℃、測定荷重21.18N)、成分(A−1)の含有量=92重量%、成分(A−2)の含有量=8重量%、成分(A−1)のプロピレン単位含有量=100重量%、成分(A−2)のエチレン単位含有量=43重量%、プロピレン単位含有量57重量%、融解温度=163℃
b−1:ダウケミカル社製 Engage(登録商標)7487
エチレン−ブテン共重合体、エチレン単位含有量=70重量%、1−ブテン単位含有量=30重量%、MFR=0.2g/10分(測定温度190℃、測定荷重21.18N)、密度=0.86g/cm3
c−1:ダウケミカル社製 Versify(登録商標) 3401
プロピレン−エチレン共重合体、MFR=8g/10分(測定温度230℃、測定荷重21.18N)、密度=0.864g/cm3、エチレン単位含有量=16重量%、プロピレン単位の含有量=84重量%
c−2:ダウケミカル社製 Versify(登録商標) 3300
プロピレン−エチレン共重合体、MFR=8g/10分(測定温度230℃、測定荷重21.18N)、密度=0.866g/cm3、エチレン単位含有量=14重量%、プロピレン単位の含有量=86重量%
d−1 クレイトン社製 Kraton(登録商標)G1651H
スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS))、重量平均分子量264,000、スチレン含有量33%、共役ジエン成分の1,2−ミクロ構造30%
e−1:出光興産製 PW90
パラフィン系オイル(40℃の動粘度95.54cSt(センチストークス)、流動点−15℃、引火点272℃)
a−2:日本ポリプロ社製 ノバテック(登録商標)PP MA1B
プロピレン単独重合体、MFR=20g/10分(測定温度230℃、測定荷重21.18N)、成分(A−1)の含有量=100重量%、成分(A−2)の含有量=0重量%、成分(A−1)のプロピレン単位含有量=100重量%、融解温度=164℃
b−2:JSR社製 EP57C
エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボネン共重合体ゴム、ムーニー粘度(ML1+4,125℃)=61、エチレン単位含有量=69重量%、プロピレン単位含有量31重量%、エチレン単位及びプロピレン単位の合計100重量部に対するエチリデンノルボルネン含有量=4.8重量部、ポリプロピレン(PP)換算の重量平均分子量333,000、密度=0.86g/cm3
c−3:日本ポリプロ社製 ノバテック(登録商標)PP MG03B
ランダムポリプロピレン、MFR:30g/10分 (測定温度230℃、測定荷重21
.18N)、密度=0.890g/cm3、エチレン単位の含有量=3重量%、プロピレン単位の含有量=97重量%
以下の(2)〜(4)の測定には、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)にて、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、曲げ弾性率の試験片を厚さ4mm×幅10mm×長さ80mmとした試験片に成形し、アイゾット衝撃強度用の試験片をノッチの付いた厚さ4mm×幅12.7mm×長さ64mmとした試験片に成形し、引張り試験の試験片はシート(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mm)を成形した後にJIS K6251準拠(JIS−3号ダンベル
)で打ち抜き使用した。(5)の成形外観の評価には、インラインスクリュウタイプ射出成形機(住友機械社製「SE180」)にて、射出圧力80MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、ティア部(厚さ0.7mm)を有する厚さ3mm×幅200mm×長さ200mmとした試験片に成形し使用した。
JIS K7210に従って、測定温度230℃、測定荷重21.18Nの条件で測定した。
2)曲げ弾性率(単位:MPa)
JIS K7203に従って、スパン間64mm、曲げ速度1mm/分の条件下で測定した。曲げ弾性率の値が高いほど剛性が優れることを示す。
JIS K7110に従って、温度−40℃で測定した。破壊しなかった場合を「NB」と表示した。
4)引張試験(JIS−3号ダンベル、引張速度500mm/min)
JIS K6251に従って、引張破断強さ(単位:MPa)と引張り破断伸び(単位
:%)を測定した。引張破断試験の値が高いほどエアバッグ収納カバーの展開性能に優れることを示す。
射出成形体の外観を目視観察し、フローマークの発生状態およびティアライン部の艶むらの状態を、それぞれ、次のように評価した。
フローマークの発生状態:
「○」:良好(目視で確認されるフローマークはなかった。)
「×」:不良(目視でフローマークが確認された。)
ティアライン部の艶むらの状態:
「◎」:非常に良好(ティアライン部に艶むらがほとんど確認されなかった。)
「○」:良好(ティアライン部に目立った艶むらは確認されなかった。)
「×」:不良(ティアライン部に目立つ艶むらが確認された。)
6)c−1及びc−2のエチレン単位含有量、プロピレン単位含有量(単位:重量%)
c−1及びc−2について、赤外分光法(JASCO社製 FT/IR−60)により測定を行った。
[実施例1]
上記のa−1を100重量部、b−1を80重量部、c−1を20重量部配合し、更に以上のa−1、b−1及びc−1の合計100重量部に対して酸化防止剤(BASF社製
商品名イルガノックス1010)0.1重量部、黒色顔料(カーボン濃度40%品)1.5重量部をヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドし、同方向2軸押出機(神戸製鋼製「TEX30α」、L/D=45、シリンダブロック数=13)へ20kg/hの速度で投入し、180−210℃の範囲で昇温させ溶融混練を行い、ペレット化して熱可塑性エラストマー組成物を製造した。得られた熱可塑製エラストマー組成物について、前記1)〜5)の評価を実施した。得られた成形体の評価結果を表−1に示す。
表−1に示した材料を用いた以外は実施例1と同様に熱可塑性エラストマーを製造した。得られた成形体の評価結果を表−1に示す。
実施例1〜3は、成分(A)〜(C)を配合したことにより剛性、低温耐衝撃性が優れ
るのに加え、ティアライン部の艶むらの状態が良好であった。実施例4は、成分(A)〜(C)に加え、成分(D)及び成分(E)を配合したことにより、ティアライン部の艶むらの状態が更に改善された。
Claims (5)
- 下記成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を10〜200重量部、成分(C)を10〜100重量部含む、熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):第一工程で下記成分(A−1)を重合し、続いて第二工程で下記成分(A−2)を重合してなり、成分(A−1)及び成分(A−2)の合計量に対し、成分(A−1)の含有量が70〜95重量%、成分(A−2)の含有量が30〜5重量%であるポリプロピレン系重合体
成分(A−1):プロピレン単位の含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体
成分(A−2):エチレン単位の含有量が20〜80重量%であるエチレン−α−オレフィン共重合体
成分(B):エチレン単位の含有量と炭素数4〜8のα−オレフィン単位の含有量との合計量に対し、エチレン単位の含有量が50〜80重量%、炭素数4〜8のα−オレフィン単位の含有量が50〜20重量%であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム
成分(C):プロピレン単位の含有量とエチレン単位の含有量との合計量に対し、プロピレン単位の含有量が80〜92重量%、エチレン単位の含有量が20〜8重量%であり、メルトフローレート(測定温度230℃、測定荷重21.18N)が1〜50g/10分、密度が0.890g/cm3以下であるプロピレン−エチレン共重合体 - 前記成分(A)100重量部に対して下記成分(D)を1〜50重量部含有してなる、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(D):スチレン・共役ジエンブロック共重合体及び/又はその水素添加物 - 前記成分(A)100重量部に対して下記成分(E)を1〜50重量部含有してなる、請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤 - 下記(1)から(3) の特性を満足する請求項1から3の何れか1項に記載の熱可塑
性エラストマー組成物。
(1)JIS K7210に準拠した測定温度230℃、測定荷重21.18Nでのメルトフローレートが0.1〜100g/10分
(2)JIS K7203に準拠した曲げ弾性率が100MPa以上
(3)JIS K7110に準拠した温度−40℃でのノッチ付きアイゾット衝撃強度が
50kJ/m2以上 - 請求項1から4の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるエアバッグ収納カバー。
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