JP5205842B2 - 熱可塑性エラストマー組成物およびエアバッグカバー成形体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物およびエアバッグカバー成形体 Download PDF

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本発明は、熱可塑性エラストマー組成物、および該熱可塑性エラストマーを射出成形してなるエアバッグカバー成形体に関するものである。
自動車用エアバッグシステムのエアバッグカバーには、適度な剛性を有し、衝突の際、エアバッグが展開できるように確実に破裂しかつ破片が飛び散らないこと、寒冷地での使用にも耐える強度を有すること、耐熱性を有することなどが求められる。エアバッグカバーに用いられる材料としては、例えば、ランダムポリプロピレンと低密度ポリエチレンとエチレン系共重合体ゴムとを含有する組成物や、オレフィン系樹脂とオレフィン系ゴムとを含有する組成物などからなる材料が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。従来このような材料を用いて、射出成形によりエアバッグカバーが成形されている。
しかしながら、従来のランダムポリプロピレンと低密度ポリエチレンとエチレン系共重合体ゴムとを含有する組成物は、該組成物を射出成形して得られる成形体を金型から離型する際の離型性がよくないことがあった。また従来のオレフィン系樹脂とオレフィン系ゴムとを含有する組成物は、該組成物を射出成形して得られる成形体の低温衝撃性や、ウェルド部分での強度が不十分であった。エアバッグカバー用の材料には、射出成形する際の溶融流動性や、成形体を金型から離型する際の離型性、射出成形により得られるエアバッグカバー成形体の低温衝撃性、ウェルド物性といった要求特性を、バランスよく有することが求められている。
特開平8−27331号公報 特開平10−273001号公報 特開平10−265628号公報
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、射出成形する際の溶融流動性や、成形体を金型から離型する際の離型性、射出成形により得られるエアバッグカバー成形体の低温衝撃性、ウェルド物性といった要求特性を、バランスよく有する熱可塑性エラストマー組成物、および該エラストマー組成物からなるエアバッグカバー成形体を提供することにある。
すなわち本発明は、以下の要件を満たす成分(A)、成分(B)および成分(C)を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、該組成物中の成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量を100重量%とするとき、成分(A)の含有量が30〜55重量%であり、成分(B)と成分(C)の含有量の重量比(成分(B)の含有量/成分(C )の含有量)が0.25〜5.0である熱可塑性エラストマー組成物である。
成分(A):第1工程で重合されたプロピレンを主体とする単量体を重合して得られるプロピレン系重合体部(イ)70〜90重量%と、第2工程で重合された、エチレンと、プロピレン及び/または炭素原子数が4以上のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン系共重合体部であって、該エチレン系共重合体部を100重量%としたときのエチレン由来の単量体単位の含有量が20〜80重量%であるエチレン系共重合体部(ロ)10〜30重量%からなり、20℃キシレン可溶部(CXS部)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度[η]が2.5〜8.0であるプロピレン系重合体(但し、プロピレン系重合体部(イ)とエチレン系共重合体部(ロ)の含有量は、成分(A)全量を100重量%とするときの値である)
成分(B):ムーニー粘度(ML1+4、125℃)20〜100であり、エチレン由来の単量体単位とプロピレン由来の単量体単位の重量比が30/70〜75/25であるエチレン−プロピレン系共重合体ゴム(ただし、成分(B)におけるエチレン由来の単量体単位とプロピレン由来の単量体単位の合計を100とする)
成分(C):エチレンと炭素原子数が4以上のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン系共重合体であって、密度が0.860〜0.910g/cm3であり、かつ温度190℃および荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートが0.01〜10g/10分であるエチレン系共重合体
さらに本発明は、前記熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して得られるエアバッグカバー成形体である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形する際の溶融流動性や、成形体を金型から離型する際の離型性、射出成形により得られるエアバッグカバー成形体の低温衝撃性、ウェルド物性といった要求特性を、バランスよく有するものである。またこのような熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して得られる本発明のエアバッグカバー成形体は、射出成形する際の溶融流動性や、成形体を金型から離型する際の離型性、射出成形により得られるエアバッグカバー成形体の低温衝撃性、ウェルド物性といった要求特性を、バランスよく有する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、後述する成分(A)、成分(B)および成分(C)を含有する。成分(A)とは、第1工程で重合されたプロピレンを主体とする単量体を重合して得られるプロピレン系重合体部(イ)70〜90重量%と、第2工程で重合された、エチレンと、プロピレン及び/または炭素原子数が4以上のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン系共重合体部であって、該エチレン系共重合体部を100重量%としたときのエチレン由来の単量体単位の含有量が20〜80重量%であるエチレン系共重合体部(ロ)10〜30重量%からなり、20℃キシレン可溶部(CXS部)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度[η]が2.5〜8.0であるプロピレン系重合体である(但し、プロピレン系重合体部(イ)とエチレン系共重合体部(ロ)の含有量は、成分(A)全量を100重量%とするときの値である)。
成分(A)のプロピレン系重合体は、プロピレン系重合体部(イ)70〜90重量%と、エチレン系共重合体部(ロ)10〜30重量%からなり、好ましくはプロピレン系重合体部(イ)75〜85重量%と、エチレン系共重合体部(ロ)15〜25重量%からなる(但し、成分(A)全量を100重量%とする)。成分(A)のプロピレン系重合体中に含まれるエチレン系共重合体部(ロ)の含有量が多すぎると、熱可塑性エラストマー組成物の溶融流動性に劣る傾向があり、エチレン系共重合体部(ロ)の含有量が少なすぎると、得られるエアバッグカバー成形体の低温衝撃性が劣る傾向がある。
成分(A)のプロピレン系重合体中に含まれる、エチレンと、プロピレン及び/または炭素原子数が4以上のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン系共重合体部(ロ)は、該エチレン系共重合体部を100重量%としたときのエチレン由来の単量体単位の含有量が20〜80重量%であり、好ましくは30〜70重量%であり、さらに好ましくは35〜60重量%である。エチレン由来の単量体単位の含有量が過小または過多であると得られるエアバッグカバー成形体の低温衝撃性に劣る傾向がある。
成分(A)のプロピレン系重合体は、20℃キシレン可溶部(CXS部)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度[η]が2.5〜8.0であり、好ましくは3.0〜7.5である。該極限粘度[η]が過小であると得られるエアバッグカバー成形体のウェルド物性が劣る傾向があり、該極限粘度[η]が過大であると得られる熱可塑性エラストマー組成物の溶融流動性が劣る傾向がある。ここで20℃キシレン可溶部(CXS部)とは、次の方法により得られる部分である。プロピレン系重合体5gを沸騰キシレン500mlに完全に溶解させた後、20℃に降温し、4時間以上放置する。その後、これを析出物と溶液とにろ別し、ろ別した溶液を乾固して減圧下70℃で乾燥することにより得られる。極限粘度[η]は、ウベローデ型粘度計を用いて還元粘度を測定し、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法を用いた外挿法によって求められる。
成分(A)のプロピレン系重合体の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等があげられる。また、市販の該当品を用いることも可能である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれる成分(B)のエチレン−プロピレン系共重合体ゴムは、エチレン由来の単量体単位とプロピレン由来の単量体単位の重量比が30/70〜75/25、好ましくは35/65〜70/30であるエチレン−プロピレン系共重合体ゴム(ただし、成分(B)におけるエチレン由来の単量体単位とプロピレン由来の単量体単位の合計を100とする)である。成分(B)中のエチレン由来の単量体単位とプロピレン由来の単量体単位の比が該範囲を超えると、該成分(B)を含む熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して得られるエアバッグカバーの低温衝撃性が劣る傾向がある。
前記成分(B)のエチレン−プロピレン系共重合体は、100℃で測定されるムーニー粘度(ML1+4,125℃)20〜100であり、好ましくは40〜80である。該ムーニー粘度が過小であると得られるエアバッグカバー成形体の離型性や低温衝撃性が劣ることがあり、過大であると得られる熱可塑性エラストマー組成物の溶融流動性が劣ることがある。ムーニー粘度は、ASTM D−1646に従い測定される。
成分(B)は、エチレン由来の単量体単位と、プロピレン由来の単量体単位以外に、非共役ジエン由来の単量体単位を含んでいてもよい。前記非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンのような鎖状非共役ジエン;シクロへキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンのような環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリテン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエンのようなトリエンなどがあげられ、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンが好ましい。成分(B)が、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムである場合、該ゴムを含む組成物を用いて得られるエアバッグカバーの耐久性の観点から、成分(B)に含まれる非共役ジエン由来の単量体単位の量は10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれる成分(C)のエチレンと炭素原子数が4以上のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン系共重合体は、密度が0.860〜0.910g/cm3であり、好ましくは0.865〜0.905g/cm3であり、さらに好ましくは0.865〜0.900g/cm3である。該密度が0.860g/cm3より小さい場合には、該成分(C)を含む熱可塑性エラストマー組成物を用いて得られるエアバッグカバー成形体のウェルド物性が劣る傾向があり、密度が0.910g/cm3より大きい場合には、該成分(C)を含む熱可塑性エラストマー組成物を用いて得られるエアバッグカバー成形体の低温衝撃性が劣る傾向がある。成分(C)の密度は、JIS K7112に従い、アニール無しで測定される。
前記成分(C)であるエチレン系共重合体は、温度190℃および荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレート(以下、MFR)が0.01〜10g/10分であり、好ましくは0.5〜8g/10分である。該MFRが過小であると得られる熱可塑性エラストマー組成物の溶融流動性が劣る傾向があり、過大であると該成分(C)を含む熱可塑性エラストマー組成物を射出成形した際の金型からの離型性や、射出成形して得られるエアバッグカバー成形体のウェルド物性が劣る傾向がある。
成分(B)及び成分(C)の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等があげられる。また、市販の該当品を用いることも可能である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記した成分(A)、成分(B)および成分(C)を含み、その割合は、該熱可塑性エラストマー組成物の全量を100重量%とするとき、成分(A)が30〜55重量%であり、好ましくは35〜53重量%である。成分(A)の含有量が過小であると得られる熱可塑性エラストマーの溶融流動性が劣る傾向があり、過大であると、該組成物を用いて得られるエアバッグカバー成形体の低温衝撃性が劣る傾向がある。
熱可塑性エラストマー組成物に含まれる成分(B)と成分(C)の量は、重量比が(成分(B)の含有量)/(成分(C)の含有量)=0.25〜5.0である。成分(B)の含有量が過小であると、該熱可塑性エラストマー組成物を用いて射出成形した場合に得られる成形体の離型性が劣ることがあり、過大であると得られる成形体のウェルド物性が劣ることがある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形に用いる際には、金型からの離型性を向上させる観点から、前記成分(A)、成分(B)および成分(C)に加え、さらに以下の成分(D)を含有することが好ましい。
成分(D):炭素原子数5以上の脂肪酸、炭素原子数5以上の脂肪酸の金属塩、炭素原子数5以上の脂肪酸のアミド、および、炭素原子数5以上の脂肪酸のエステルからなる化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物
成分(D)の炭素原子数5以上の脂肪酸としては、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リシノール酸を例示することができる。
成分(D)の炭素原子数5以上の脂肪酸の金属塩としては、上記脂肪酸と、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ba、Pbなどの金属との塩を、具体的には、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などを例示することができる。
成分(D)の炭素原子数5以上の脂肪酸のアミドとしては、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリルジエタノールアミドを例示することができる。なかでも、エルカ酸アミドが好ましい。
成分(D)の炭素原子数5以上の脂肪酸のエステルとしては、脂肪族アルコール(ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、12ヒドロキシステアリルアルコールなど)、芳香族アルコール(ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、フタリルアルコールなど)、多価アルコール(グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなど)などのアルコールと、上記脂肪酸とのエステルを、具体的には、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、クエン酸ジステアレートを例示することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(D)を含有する場合には、射出成形時の金型からの離型性と、射出成形して得られる成形体表面の外観とのバランスから、成分(A)、(B)および(C)の合計量100重量部あたり、好ましくは0.01〜1.5重量部であり、より好ましくは0.05〜1重量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じ、無機フィラー(タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン等)、有機フィラー(繊維、木粉、セルロースパウダー等)、滑剤(シリコーンオイル、シリコーンガム等)、酸化防止剤(フェノール系、イオウ系、燐系、ラクトン系、ビタミン系等)、耐候安定剤、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、アニリド系、ベンゾフェノン系等)、熱安定剤、光安定剤(ヒンダードアミン系、ベンゾエート系等)、顔料、造核剤、吸着剤(金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム等)、金属塩化物(塩化鉄、塩化カルシウム等)、ハイドロタルサイト、アルミン酸塩等)等を含有してもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)、成分(B)および成分(C)と、必要に応じて他の成分とを、公知の方法、例えば、二軸押出機、バンバリーミキサーなどにより溶融混練することにより得ることができる。
上記熱可塑性エラストマー組成物は、公知の成形加工方法、好ましくは射出成形法により、所望の成形体を成形することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形によりエアバッグカバー成形体を製造するための材料として好適である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなるエアバッグカバーは、運転席用エアバッグカバー、助手席用エアバッグカバー、サイドエアバッグカバー、ニーエアバッグカバー、カーテンエアバッグカバーに用いられる。とりわけフープリブ厚み(T1)が1.5〜5mm、(T1)と天板厚み(T2)の比(T1/T2)が0.5〜1.1、フープリブ開口部1箇所あたりの開口面積が7cm2以下であるエアバッグカバー成形体の製造に用いると、極めて良好な外観とウェルド物性に優れるエアバッグカバー成形体となる。
成形体のウェルド物性と外観の観点から、該成形体のフープリブ厚み(T1)は1.5〜5mmであることが好ましく、1.8〜4.8mmであることがより好ましい。
成形体の外観と形状保持性の観点から、該成形体のフープリブ厚み(T1)と天板厚み(T2)の比(T1/T2)が0.5〜1.1であることが好ましく、0.6〜1.0であることがより好ましい。とりわけ該比が大きすぎると、得られる成形体にヒケが発生し易くなる傾向がある。
成形体のウェルド物性の観点から、該成形体のフープリブ開口部1箇所あたりの開口面積が7cm2以下であることが好ましく、6cm2以下であることがより好ましい。
以下、実施例および比較例によって、本発明をより詳細に説明する。
[I] 物性測定方法
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に従い、成分(A)および熱可塑性エラストマー組成物は230℃における2.16kg荷重でのMFRを測定した。
エチレン系共重合体(成分(C))は190℃における2.16kg荷重でのMFRを測定した。
(2)極限粘度[η]の測定方法
プロピレン系重合体5gを沸騰キシレン500mlに完全に溶解させた後、20℃に降温し、4時間以上放置する。その後、これを析出物と溶液とにろ別し、ろ別した溶液を乾固して減圧下70℃で乾燥することによりキシレン可溶部が得られた。
ウベローデ型粘度計を用いて還元粘度を測定し、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法を用いた外挿法によって求められた。
(3)密度
JIS K7112に従い、アニール無しで測定された。
(4)ムーニー粘度
ASTM D−1646に従い測定された。
(5)重合体中のモノマー由来の単量体単位含有量
エチレン−プロピレン系共重合体ゴム(B)の組成は、ASTM D 3900に従い赤外吸収スペクトル(日本分光製 FT−IR5200型)による方法により求めた。
(6)射出成形体の製造方法
東芝機械社製射出成形機IS100−ENにて、サイドゲート平板金型を用い、シリンダー温度220℃、金型温度50℃の条件で、熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して縦90mm、横150mm、厚み2mmの射出成形体を得た。
ウェルド物性用として、対向2点ゲートにおいて上記と同じサイズの射出成形体を得た。
(7)曲げ弾性率(FM)
JIS K7171に従い、上記条件で射出成形した厚さ2mmの試験片を用いて、スパン間30mm、曲げ速度1mm/分の条件下で測定した。
(8)低温衝撃特性(IZOD)
JIS K6911に従い、上記条件で射出成形した試験片を用いて所定の温度で測定した。NB=非破壊、B=破壊
(9)ウェルド物性
上記条件で対向2点ゲートで射出成形した試験片を用い、JIS K6251に従い、3号ダンベル形状、試験速度200mm/分にて測定した。
ウェルドラインが標線間のほぼ中央部に位置する様にダンベルを配置し、射出成形試験片の打ち抜きを行った。
(10)離型性
日精樹脂工業社製射出成形機FS160にて、シリンダー温度220℃、金型温度25℃の条件で射出成形して図1に示すような成形体を得た。得られた成形体を金型から離型した後の、変形状態の評価を行った。ほとんど変形がない=○、僅かな変形がある=△、著しい変形がある=○
[II]原料
(1)プロピレン系重合体(A)
(PP−1):住友化学株式会社製 ノーブレンAX568
MFR(230℃)=65g/10分、プロピレン系重合体部(イ)中のプロピレン由来の単量体単位の含有量=100%、エチレン系共重合体部(ロ)中のエチレン由来の単量体単位の含有量=45重量%、成分(A)中におけるエチレン系共重合体部(ロ)の含有量=16重量%、20℃キシレン可溶部(CXS部)の極限粘度[η]=3.5
(PP−2):住友化学株式会社製 ノーブレンAX564E2
MFR(230℃)=65g/10分、プロピレン系重合体部(イ)中のプロピレン由来の単量体単位の含有量=100重量%、エチレン系共重合体部(ロ)中のエチレン由来の単量体単位の含有量=40重量%、成分(A)中におけるエチレン系共重合体部(ロ)の含有量=20重量%、20℃キシレン可溶部(CXS部)の極限粘度[η]=2.0
(PP−3):住友化学株式会社製 ノーブレンWPX5343
MFR(230℃)=52g/10分、プロピレン系重合体部(イ)中のプロピレン由来の単量体単位の含有量=100重量%、エチレン系共重合体部(ロ)中のエチレン由来の単量体単位の含有量=36重量%、成分(A)中におけるエチレン系共重合体部(ロ)の含量=13重量%、20℃キシレン可溶部(CXS部)の極限粘度[η]=4.6
(2)エチレン−プロピレン系共重合体ゴム(B)
(ゴム−1):住友化学株式会社製 エスプレンSPO V0141
エチレン−プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン比=73/27、ムーニー粘度(ML1+4,125℃)=33
(ゴム−2):住友化学株式会社製 エスプレン512P
エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボネン共重合体、ムーニー粘度(ML1+4,125℃)=64
(3)エチレン系共重合体(C)
(共重合体−1):ダウケミカル社製 エンゲージ7380
エチレン−ブテン共重合体、密度=0.863g/cm3、MFR(190℃)=0.3g/10分
(共重合体−2):ダウケミカル社製 エンゲージ8480
エチレン−オクテン共重合体、密度=0.903g/cm3、MFR(190℃)=1.1g/10分
(共重合体−3):ダウケミカル社製 エンゲージ8100
エチレン−オクテン共重合体、密度=0.871g/cm3、MFR(190℃)=1.1g/10分
(共重合体−4):ダウケミカル社製 エンゲージ8842
エチレン−オクテン共重合体、密度=0.857g/cm3、MFR(190℃)=1.0g/10分
(共重合体−5):ダウケミカル社製 エンゲージ8407
エチレン−オクテン共重合体、密度=0.870g/cm3、MFR(190℃)=30g/10分
実施例1
成分(A)として(PP−1)46重量部と、成分(B)として(ゴム−1)12重量部と、成分(C)として(共重合体−1)21重量部および(共重合体−2)21重量部と、これら成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対し、エルカ酸アミド(日本精化製 ニュートロンS)を0.05重量部、酸化防止剤2種類(住友化学株式会社製 スミライザーGA80を0.1重量部、チバスペシャリティ株式会社製 イルガフォス168を0.05重量部)を配合し、バンバリーミキサーで溶融混練を実施し、ペレット状に加工した後、熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物および該組成物を射出成形して得られた成形体の物性測定結果を表1に示す。
比較例1
成分(A)としてPP−2を用いた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物および該組成物を射出成形して得られた成形体の物性測定結果を表1に示す。
実施例2〜5
組成を表2に示す配合とした以外は実施例1と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物および該組成物を射出成形して得られた成形体の物性測定結果を表2に示す。
比較例2〜7
組成を表3に示す配合とした以外は実施例1と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物および該組成物を射出成形して得られた成形体の物性測定結果を表3に示す。
Figure 0005205842
Figure 0005205842
Figure 0005205842
離型性評価に用いる成形体の模式図

Claims (3)

  1. 以下の要件を満たす成分(A)、成分(B)および成分(C)を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、該組成物中の成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量を100重量%とするとき、成分(A)の含有量が30〜55重量%であり、成分(B)と成分(C)の含有量の重量比(成分(B)の含有量/成分(C)の含有量)が0.25〜5.0である熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):第1工程で重合されたプロピレンを主体とする単量体を重合して得られるプロピレン系重合体部(イ)70〜90重量%と、第2工程で重合された、エチレンと、プロピレン及び/または炭素原子数が4以上のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン系共重合体部であって、該エチレン系共重合体部を100重量%としたときのエチレン由来の単量体単位の含有量が20〜80重量%であるエチレン系共重合体部(ロ)10〜30重量%からなり、20℃キシレン可溶部(CXS部)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度[η]が2.5〜8.0であるプロピレン系重合体(但し、プロピレン系重合体部(イ)とエチレン系共重合体部(ロ)の含有量は、成分(A)全量を100重量%とするときの値である)
    成分(B):ムーニー粘度(ML1+4,125℃)20〜100であり、エチレン由来の単量体単位とプロピレン由来の単量体単位の重量比が30/70〜75/25であるエチレン−プロピレン系共重合体ゴム(ただし、成分(B)におけるエチレン由来の単量体単位とプロピレン由来の単量体単位の合計を100とする)
    成分(C):エチレンと炭素原子数が4以上のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン系共重合体であって、密度が0.860〜0.910g/cm3であり、かつ温度190℃および荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートが0.01〜10g/10分であるエチレン系共重合体
  2. 請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して得られるエアバッグカバー成形体。
  3. フープリブ厚み(T1)が1.5〜5mm、(T1)と天板厚み(T2)の比(T1/T2)が0.5〜1.1、フープリブ開口部1箇所あたりの開口面積が7cm2以下である請求項2に記載のエアバッグカバー成形体。
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