JP2013142140A - エアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物およびエアバックカバー - Google Patents

エアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物およびエアバックカバー Download PDF

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Kazuyuki Matsunaga
和之 松永
Kosuke Otani
幸介 大谷
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Abstract

【課題】エアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物に求められる低温衝撃性を保持しながら引張破断伸びに優れると共に、成形性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)および(B)を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるエアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物であって、成分(A)100重量部あたり、成分(B)の含有量が60〜150重量部であり、成分(A)と(B)の合計量100重量部に対し、架橋剤の添加量が0.01以上、0.10未満である前記エアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):プロピレンとプロピレン以外のα‐オレフィン1種又は2種以上とのランダム共重合体樹脂
成分(B):エチレンに基づく単量体単位の含有量が35〜75重量%、α―オレフィンに基づく単量体単位の含有量が65〜25重量%であり(但し、エチレンに基づく単量体単位の含有量とα―オレフィンに基づく単量体単位の含有量との合計を100重量%とする。)、ヨウ素価が0.1〜7であり、ムーニー粘度(ML1+4125℃)が20〜100であるエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム
【選択図】なし

Description

本発明は、エアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物およびエアバックカバーに関するものである。
自動車用エアバックシステムのエアバックカバーには、運転席用、助手席用等の各用途に適した剛性を有すること、ティアライン部(エアバックが展開する際にエアバックカバーを開裂させるために設けられたエアバックカバーの薄肉部)以外でエアバックカバーが開裂しないように高い引張破断伸びを有すること、寒冷地での使用にも耐えられるように優れた低温衝撃性を有することなどが求められている。
このようなエアバックカバーとしては、プロピレン系樹脂とエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムとを含むポリオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物からなる射出成形体が多く提案されている。例えば、特許文献1には、プロピレン−エチレンランダム共重合体とエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムと低密度ポリエチレンとかを含む熱可塑性エラストマー組成物からなる射出成形体が提案されている。また、特許文献2には、多段重合で製造されたプロピレン系樹脂とエチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴムとを含む熱可塑性エラストマー組成物からなる射出成形体が提案されている。
特開平8−27331号公報 特開2008−45037号公報
しかしながら、上記のポリオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物からなる射出成形体は、成形時の成形不良が生じる場合や優れた低温衝撃性を保持したいがために引張破断伸びが低下するなど、十分満足のいくものではなかった。
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、エアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物に求められる低温衝撃性を保持しながら引張破断伸びに優れると共に、成形性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明は、下記成分(A)および(B)を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるエアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物であって、成分(A)100重量部あたり、成分(B)の含有量が60〜150重量部であり、成分(A)と(B)の合計量100重量部に対し、架橋剤の添加量が0.01以上、0.10未満である前記エアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物にかかるものである。
成分(A):プロピレンとプロピレン以外のα‐オレフィンの1種又は2種以上とのランダム共重合体樹脂
成分(B): エチレンに基づく単量体単位の含有量が35〜75重量%、α―オレフィンに基づく単量体単位の含有量が65〜25重量%であり(但し、エチレンに基づく単量体単位の含有量とα―オレフィンに基づく単量体単位の含有量との合計を100重量%とする。) 、ヨウ素価が0.1〜7であり、ムーニー粘度(ML1+4125℃)が20〜100であるエチレン‐α‐オレフィン‐非共役ジエン共重合体ゴム
さらに、本発明は前記熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られるエアバックカバーにかかるものである。
本発明によれば、低温衝撃性、引張破断伸びおよび成形性に優れるエアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物を提供することができる。
本発明に用いられる成分(A)プロピレンとプロピレン以外のα‐オレフィンの1種又は2種以上とのランダム共重合体樹脂は、プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体である。上記のα−オレフィンとしては、炭素原子数2〜10のα−オレフィン、好ましくは炭素原子数2〜8のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン,1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。プロピレン以外のα‐オレフィンの単位含有量は好ましくは1.5〜5.0重量%であり、より好ましくは2.0〜4.5重量%である。但し、プロピレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量との合計を100重量%とする。プロピレン単位の含有量およびα−オレフィン単位の含有量は、赤外分光法により求めることが出来る。
成分(A)としては、プロピレンとエチレンからなるランダム共重合体が好ましい。上記成分(A)は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることが出来る。
成分(A)ランダム共重合体樹脂のメルトフローレート(MFR)(230℃,2.16kg荷重)は、好ましくは5〜120g/10分であり、より好ましくは10〜50g/10分である。
成分(A)ランダム共重合体樹脂の融解温度は、好ましくは130〜160℃であり、より好ましくは135℃〜150℃である。
成分(A)の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等が挙げられる。また、市販の該当品を用いることも可能である。
成分(B)のエチレン‐α‐オレフィン‐非共役ジエン共重合体ゴムは、125℃で測定されるムーニー粘度(ML1+4,125℃)が20〜100であり、好ましくは25〜80、より好ましくは30〜75である。該ムーニー粘度が過小であると、得られるエアバックカバー成形体の離型性、または機械的強度が劣ることがあり、過大であると熱可塑性エラストマー組成物の溶融流動性が劣ることがある。該ムーニー粘度は、ASTM D−1646に従い測定される。
成分(B)のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムのエチレンに基づく単量体単位(エチレン単位)の含有量は、35重量%以上であり、エアバックカバー成形体の離型性、または機械的強度の観点から、好ましくは45重量%以上であり、より好ましくは55重量%以上である。また、エチレン単位の含有量は低温衝撃性の観点から、75重量%以下であり、好ましくは73重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下である。
成分(B)のα−オレフィンに基づく単量体単位(α−オレフィン単位)の含有量は、65重量%以下であり、エアバックカバー成形体の離型性、または機械的強度の観点から、好ましくは55重量%以下であり、より好ましくは45重量%以下である。また、α−オレフィン単位の含有量は、25重量%以上であり、低温衝撃性の観点から、好ましくは27重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上である。
但し、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量との合計を100重量%とする。エチレン単位の含有量およびα−オレフィン単位の含有量は、赤外分光法により求めることが出来る。
成分(B)に用いられるα−オレフィンとしては、炭素原子数2〜10のα−オレフィン、好ましくは炭素原子数2〜8のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、または1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン,1−ヘキセン、1−オクテンが挙げられる。
成分(B)に含まれる非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンのような鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンのような環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエンのようなトリエンなどが挙げられ、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンが好ましい。
成分(B)のヨウ素価が0.1〜7であり、好ましくは0.1〜5、さらに好ましくは0.1〜3になるように、成分(B)は非共役ジエンに基づく単量体単位(非共役ジエン単位)を含有する。成分(B)中における非共役ジエン単位の含有量が過小である場合、エアバックカバー成形体の光沢が高い場合があり、過大である場合、得られるエアバックカバー成形体の低温衝撃性が低下する場合がある。
成分(B)のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に1種もしくは2種以上用いることが出来る。2種以上のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムを用いる場合のヨウ素価は、熱可塑性エラストマー組成物中の成分(B)の配合量を100としたとき、それぞれのエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムの重量比に応じて算出される。例えば、熱可塑性エラストマー組成物中にヨウ素が0とヨウ素価が10の成分をそれぞれ50重量部配合した場合、該熱可塑性エラストマー組成物に用いられている成分(B)のヨウ素価は5とする。
成分(B)のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムの製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等が挙げられる。また、市販の該当品を用いることも可能である。
成分(C)のエチレン系樹脂は、その密度(ASTM D1505)が0.90〜0.94g/cmであり、好ましくは0.91〜0.93g/cmである。成分(C)のMFR(190℃,2,16kg荷重)は、好ましくは0.1〜50g/10分であり、より好ましくは0.3〜40g/10分、さらに好ましくは0.5〜25g/10分である。エチレン系樹脂の例としては、エチレン単独重合体又はエチレンと炭素原子数3〜20、好ましくは3〜8のα−オレフィンとからなる結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体が挙げられる。α‐オレフィンの単位含有量は好ましくは0.5〜30モル%であり、より好ましくは0.5〜10モル%である。但し、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量との合計を100重量%とする。エチレン単位の含有量およびα−オレフィン単位の含有量は、赤外分光法により求めることが出来る。
好ましいエチレン系樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンであり、中でも密度(ASTM D1505)が0.91〜0.93g/cmである直鎖状低密度ポリエチレンが好適である。
成分(C)を得る方法としては、たとえば次の方法をあげることができる。すなわち、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンを、不均一遷移金属触媒又はメタロセンなどの均一系触媒を使用して、溶媒の存在下又は不存在下、気−固、液−固又は均一液層下で重合する。重合温度は通常30℃〜300℃であり、重合圧力は常圧〜3000kg/cmである。
本発明のエアバックカバー成形体に用いられる熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)100重量部あたり、成分(B)の含有量が60〜150重量部であり、好ましくは80〜120重量部である。該成分(B)の配合量が過少であるとエアバッグカバー成形体の低温衝撃性が不十分となり、過大であると熱可塑性エラストマー組成物の溶融流動性、エアバッグカバー成形体の剛性が不十分となる。
本発明のエアバッグカバー成形体に用いられる熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(A)および(B)、場合によって成分(C)を含有し、成分(A)100重量部あたり、成分(C)の含有量が0〜30重量部であり、好ましくは0〜15重量部である。該成分(C)の配合量が過大であるとエアバッグカバー成形体の溶融流動性がエアバックカバー成形体の剛性が不十分となる。
本発明に用いられる架橋剤として、有機過酸化物が好適である。有機過酸化物として、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類、パーオキシジカーボネート類、およびパーオキシエステル類を例示することができる。具体的な有機過酸化物として、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,2,4−トリメチルペンチル−2−ハイドロパ−オキサイド、ジイソプロピルベンゾハイドロパーオキサイド、クメンパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、およびp−クロロベンゾイルパーオキサイド;ならびに、これらの2以上の組合せを例示することができる。
有機過酸化物の添加量は、成分(A)、(B)および(C)の合計量を100重量部として、0.01以上、0.10未満であり、好ましくは0.02〜0.09重量部、より好ましくは0.02〜0.08重量部である。該有機過酸化物の添加量が過小であると溶融流動性やエアバッグカバー成形体の外観、機械物性が十分でない場合があり、過大であると得られるエアバッグカバー成形体の低温衝撃性能が低下する場合がある。
架橋剤と併せて、架橋助剤を配合することができる。架橋助剤としては、たとえばN,Nm−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン等のパーオキサイド架橋助剤、又は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性のビニルモノマーがあげられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)および(B)、場合によって成分(C)の溶融混練を行った後、架橋剤を添加し動的に熱処理して得ることができる。成分(A)、(B)および(C)を予め溶融混練し、冷却した後、更に溶融混練を行い、架橋剤を添加してもよいし、成分(A)、(B)および(C)の溶融混練中に架橋剤を添加してもよい。例えば、押出し機の上流側で成分(A)、(B)および(C)を供給し、これらの供給位置よりも下流側で架橋剤を供給することが出来る。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、エアバッグカバー成形体の低温衝撃性能、外観を高める観点により、用いられる成分(A)100重量部のうち80〜20重量部を架橋剤の添加後に配合することが好ましい。例えば、押出し機の上流側で成分(A)100重量部のうち20〜80重量部と、成分(B)および(C)の全量とを供給し、これらの供給位置よりも下流側で架橋剤を供給し、更に押出し機の下流側で残りの成分(A)80〜20部を供給することができる。その際、架橋助剤は押出し機の上流側、または架橋剤と同じ位置いずれでも供給することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形での生産安定性を高める観点から離型性を付与するために、上記成分(A)、(B)、(C)および架橋剤に加え、下記成分(D)を含有することが好ましい。
成分(D):炭素原子数5以上の脂肪酸、炭素原子数5以上の脂肪酸の金属塩、炭素原子数5以上の脂肪酸のアミド、および、炭素原子数5以上の脂肪酸のエステルからなる化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物
成分(D)の炭素原子数5以上の脂肪酸としては、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リシノール酸を例示することができる。
成分(D)の炭素原子数5以上の脂肪酸の金属塩としては、上記脂肪酸と、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ba、Pbなどの金属との塩を、具体的には、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などを例示することができる。
成分(D)の炭素原子数5以上の脂肪酸のアミドとしては、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリルジエタノールアミドを例示することができる。なかでも、エルカ酸アミドが好ましい。
成分(D)の炭素原子数5以上の脂肪酸のエステルとしては、脂肪族アルコール(ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、12ヒドロキシステアリルアルコールなど)、芳香族アルコール(ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、フタリルアルコールなど)、多価アルコール(グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなど)などのアルコールと、上記脂肪酸とのエステルであり、具体的には、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、クエン酸ジステアレートを例示することができる。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じ、無機フィラー(タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン等)、有機フィラー(繊維、木粉、セルロースパウダー等)、滑剤(シリコーンオイル、シリコーンガム等)、酸化防止剤(フェノール系、イオウ系、燐系、ラクトン系、ビタミン系等)、耐候安定剤、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、アニリド系、ベンゾフェノン系等)、熱安定剤、光安定剤(ヒンダードアミン系、ベンゾエート系等)、顔料、造核剤、吸着剤(金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム等)、金属塩化物(塩化鉄、塩化カルシウム等)、ハイドロタルサイト、アルミン酸塩等)等を含有してもよい。
成分(D)の含有量としては、射出成形での離型性と、成形品表面の外観とのバランスから、成分(A)、(B)および(C)の合計量100重量部あたり、好ましくは0.01〜1.5重量部であり、より好ましくは0.05〜1.0重量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)と成分(B)と架橋剤と、必要に応じて成分(C)や他の成分とを、公知の方法、例えば、二軸押出機、バンバリーミキサーなどにより溶融混練することにより得ることができる。
上記熱可塑性エラストマー組成物は、公知の成形加工方法、好ましくは射出成形法により、本発明のエアバッグカバー成形体に加工される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなるエアバッグカバーは、運転席用エアバッグカバー、助手席用エアバッグカバー、サイドエアバッグカバー、ニーエアバッグカバー、カーテンエアバッグカバーに用いられる。
以下、実施例および比較例によって、本発明をより詳細に説明する。
[I] 物性測定方法
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に従い、成分(A)および熱可塑性エラストマー組成物は230℃2.16kg荷重でのMFRを測定した。成分(C)は190℃2.16kg荷重でのMFRを測定した。
(2)ムーニー粘度
ASTM D−1646に従い測定された。
(3)エチレン単位、プロピレン単位、1−ヘキセン単位の含有量
赤外吸収スペクトル(日本分光製 FT−IR5200型)による方法により求めた。
(4)融解温度(単位:℃)
熱流速型示差走査熱量計(TAインストルメント社製 DSC Q100)により、下記測定条件で示差走査熱量曲線の測定を次の条件で行い、昇温操作での示差走査熱量曲線から融解温度を求めた。
<測定条件>
降温操作:220℃で融解させ、次に、220℃から−90℃まで5℃/分の降温速度で降温した。
昇温操作:降温の操作後、直ちに−90℃から200℃まで5℃/分で昇温した。
(5)射出成形体の製造方法
東芝機械社製射出成形機EC160NIIにて、サイドゲート平板金型を用い、シリンダー温度220℃、金型温度50℃の条件で、得られた熱可塑性エラストマー組成物を縦90mm、横150mm、厚み2mmの射出成形体を得た。
(6)引張破断伸び(Eb)
JIS K6251に準拠した。なお、JIS 3号ダンベル、引張速度200mm/分とした。
(8)低温耐衝撃性(IZOD)
JIS K6911に従い、上記条件で射出成形した試験片を用いて所定の温度で測定した。NB=破壊、Break=破壊
(9)射出成形時の成形性
箱状の射出成形体の成形外観を目視観察し、ピーリングの発生状態を成形性の指標として、次のように評価した。
「○」:良好 「×」:不良 「△」:良好と不良の間
[II]原料
(1)プロピレン系樹脂(A)
(PP−1):住友化学株式会社製 ノーブレンZ144CE4
(MFR=27g/10分; 融解温度=141℃; プロピレン単位含有量=96重量%;エチレン単位含有量=4重量%)
(2)エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム(B)
(EPDM−1):住友化学株式会社製 エスプレンE5128
エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボネン共重合体; ムーニー粘度(M
L1+4,125℃)=42; エチレン単位含有量=69重量%; プロピレン単位含
有量=31重量%; ヨウ素価=1.3
(3)エチレン系樹脂(C)
(直鎖状低密度ポリエチレン):住友化学株式会社製 スミカセンE FV201
(MFR=2.3g/10分; 密度=0.916g/cm; コモノマー:1−ヘキセン)
実施例1
成分(A)として(PP−1)100重量部と、成分(B)として(EPDM−1)103重量部、造核剤成分としてZ144TMB(住友化学株式会社製)1.5重量部、及び添加剤成分としてエルカ酸アミド(日本精化製 ニュートロンS)を0.1重量部、酸化防止剤(住友化学株式会社製 スミライザーGA80)を0.2重量部と(チバスペシャリティ株式会社製 イルガフォス168)0.1重量部、架橋助剤(トリメチロールプロパントリメタクリレート、精工化学株式会社製 商品名ハイクロスMS50)0.8重量部を配合し、二軸押出し機により、シリンダー温度200℃にて溶融混練を行い、さらに溶融混練中に2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン(有機過酸化物)をパラフィン系オイルで10%濃度に希釈したもの0.5重量部(有機過酸化物として0.05重量部)を添加して熱可塑性エラストマー組成物を得た(添加剤と架橋剤の添加量は成分(A)と(B)の合計量100重量部を基準とする)。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性測定結果を表1に示す。
比較例1
有機過酸化物を添加しない以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性測定結果を表1に示す。
実施例2
成分(A)として(PP−1)100重量部と、成分(B)として(EPDM−1)93重量部、成分(C)として(直鎖状低密度ポリエチレン)10重量部、有機過酸化物の添加量が0.02重量部とした以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性測定結果を表1に示す。
実施例3
有機過酸化物の添加量が0.05重量部であること以外は実施例2と同様にして熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性測定結果を表1に示す。
比較例2
有機過酸化物を添加しない以外は実施例2と同様にして熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性測定結果を表1に示す。
比較例3
有機過酸化物の添加量が0.10重量部であること以外は実施例2と同様にして熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性測定結果を表1に示す。
実施例4
成分(A)として(PP−1)100重量部と、成分(B)として(EPDM−1)101重量部、成分(C)として(直鎖状低密度ポリエチレン)11重量部とした以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性測定結果を表2に示す。
実施例5
成分(A)(PP−1)100重量部のうち43重量部は架橋剤を添加し動的熱処理した後に添加する以外は実施例4と同様にして熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性測定結果を表2に示す。
Figure 2013142140

Figure 2013142140
*架橋剤添加し、動的熱処理した後に添加

Claims (4)

  1. 下記成分(A)および(B)を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるエアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物であって、成分(A)100重量部あたり、成分(B)の含有量が60〜150重量部であり、成分(A)と(B)の合計量100重量部に対し、架橋剤の添加量が0.01以上、0.10未満である前記エアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):プロピレンとプロピレン以外のα‐オレフィン1種又は2種以上とのランダム共重合体樹脂
    成分(B):エチレンに基づく単量体単位の含有量が35〜75重量%、α―オレフィンに基づく単量体単位の含有量が65〜25重量%であり(但し、エチレンに基づく単量体単位の含有量とα―オレフィンに基づく単量体単位の含有量との合計を100重量%とする。)、ヨウ素価が0.1〜7であり、ムーニー粘度(ML1+4125℃)が20〜100であるエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム
  2. 下記成分(A)、(B)および(C)を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるエアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物であって、成分(A)100重量部あたり、成分(B)の含有量が60〜150重量部であり、成分(C)の含有量が0〜30重量部であり、成分(A)、(B)および(C)の合計量100重量部に対し、架橋剤の添加量が0.01以上、0.10未満である前記エアバックカバー用熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):プロピレンとプロピレン以外のα‐オレフィン1種又は2種以上とのランダム共重合体樹脂
    成分(B):エチレンに基づく単量体単位の含有量が35〜75重量%、α―オレフィンに基づく単量体単位の含有量が65〜25重量%であり(但し、エチレンに基づく単量体単位の含有量とα―オレフィンに基づく単量体単位の含有量との合計を100重量%とする。)、ヨウ素価が0.1〜7であり、ムーニー粘度(ML1+4125℃)が20〜100であるエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム
    成分(C):密度が0.90〜0.94g/cmであるエチレン系樹脂
  3. 成分(A)添加量100重量部のうち20〜80重量部と、成分(B)および(C)の全量とを押出機の上流側に供給し、これらの供給位置よりも下流側で架橋剤を供給し動的熱処理した後に、残りの成分(A)80〜20重量部を供給し動的に熱処理することを特徴とする、請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られるエアバックカバー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015193710A (ja) * 2014-03-31 2015-11-05 住友化学株式会社 熱可塑性エラストマー組成物
WO2020256000A1 (ja) * 2019-06-21 2020-12-24 三井化学株式会社 熱可塑性エラストマー組成物および熱可塑性エラストマー成形体

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