JP6930288B2 - 熱可塑性エラストマー組成物、成形体及びエアバッグ収納カバー - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物、成形体及びエアバッグ収納カバー Download PDF

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Description

本発明は、低温耐衝撃性、高温強度、離型性、射出成形性等に優れた熱可塑性エラストマー組成物、該熱可塑性エラストマー組成物を射出成形してなる成形体、及び該熱可塑性エラストマー組成物からなるエアバッグ収納カバーに関する。
自動車用エアバッグシステムは自動車等の衝突の際に運転手や搭乗者を保護するシステムであり、衝突の際の衝撃を感知する装置とエアバッグ装置とからなる。このエアバッグ装置は、ステアリングホイール、助手席前方のインストルメントパネル、運転席及び助手席のシート、フロント及びサイドピラー等に設置される。
エアバッグ装置におけるエアバッグ収納カバーについては、エアバッグ膨脹時に、設計通りに開裂するように、その構造や材質において種々提案がなされている。
エアバッグ収納カバー向けの材料としては例えば、特許文献1において、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物、ゴム用可塑剤、オレフィン系樹脂及び添加剤からなるものが提案されている。また、特許文献2〜4においては、プロピレン系樹脂、エチレン・α−オレフィン共重合体及びスチレン系エラストマーからなるものが提案されている。また、特許文献5には、多段階重合法により得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー、プロピレン系樹脂及びエチレン・α−オレフィン共重合体からなるものが提案されている。
特開平5−38996号公報 特開平10−265628号公報 特開2000−096752号公報 特開2000−324901号公報 特開2002−194098号公報
近年、エアバッグ展開出力向上に対応した安全性の強化、設計の自由度等の観点から、高温強度と低温耐衝撃性がより改善された材料の開発が望まれている。しかしながら、本発明者らの詳細な検討によれば、前記特許文献1〜5に記載されているような従来のエアバッグ収納カバー向けの材料では高温強度や低温耐衝撃性が不十分であることが見出された。
また、エアバッグ収納カバー等の成形工程では、離型時の不具合を防ぐ必要がある。特許文献1〜5に記載されるような熱可塑性エラストマー組成物において、離型性を改善するために脂肪酸アミド等の離型剤を添加することが考えられるが、このような離型剤を添加すると、例えばエアバッグ収納カバーの一部の塗装工程において、離型剤の影響で塗料密着性が悪くなることがあるという問題が見出された。
本発明は上記のような従来技術の問題を鑑みてなされたものである。即ち、本発明の課題は、低温耐衝撃性、高温強度、離型性に優れ、また、エアバッグ収納カバーに用いるために必要な射出成形性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供すること、及び該熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体及びエアバッグ収納カバーを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、共重合体成分の異なる2種類の特定のプロピレン系重合体、特定のオレフィン系ブロック共重合体及びスチレン・共役ジエンブロック共重合体を特定量で含む熱可塑性エラストマー組成物が、低温耐衝撃性、高温強度、離型性、射出成形性等に優れ、エアバッグ収納カバーに好適に用いることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の[1]〜[11]に存する。
[1] 下記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含有し、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を10〜150重量部、成分(C)を10〜150重量部、成分(D)を10〜100重量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(A1)、或いは成分(A1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(A2)からなり、成分(A1)と成分(A2)の合計に対して成分(A1)を80重量%を超え100重量%以下含有するプロピレン系重合体
成分(B):エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体
成分(C):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(C1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(C2)からなり、成分(C1)と成分(C2)との合計に対して、成分(C1)を30〜80重量%含有するプロピレン系重合体
成分(D):スチレン・共役ジエンブロック共重合体
[2] 更に、下記成分(E)を成分(D)100重量部に対して1〜200重量部含む、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
[3] 前記成分(B)が、110〜125℃に結晶融解ピークを有し、かつその結晶融解熱量が20〜60J/gのオレフィン系ブロック共重合体である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4] 前記成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックにおいて、α−オレフィンの炭素数が4〜8である、[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5] 前記成分(B)が、エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・1−オクテン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体である、[1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[6] 前記成分(A)及び成分(C)が、第1工程でプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程でプロピレン・エチレン共重合体を重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体である、[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[7] 前記成分(A)のメルトフローレート(測定温度230℃、測定荷重21.18N)が5〜150g/10分である、[1]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形してなる成形体。
[9] ISO 180に準拠した温度−45℃でのノッチ付きシャルピー衝撃強度が40kJ/m以上である、[8]に記載の成形体。
[10] ISO 37−1Aを参照した85℃での引張破壊強さが3.5MPa以上である、[8]又は[9]に記載の成形体。
[11] [1]〜[7]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるエアバッグ収納カバー。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、高温強度、低温耐衝撃性、離型性、射出成形性等に優れたものである。このため、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、エアバッグ収納カバー、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル等の自動車内装部品、マッドガード・クロメット等の自動車外装部品、家電部品、建材、家具等として好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本発明において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
なお、本発明において「エアバッグ収納カバー」とは、エアバッグを収納する容器全般を意味するものであり、例えば、エアバッグが収納されている容器において、エアバッグが展開する際の開口部、又はこの開口部と一体となっている容器全体である。
[熱可塑性エラストマー組成物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含有し、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を10〜150重量部、成分(C)を10〜150重量部、成分(D)を10〜100重量部含むものである。
成分(A):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(A1)、或いは成分(A1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(A2)からなり、成分(A1)と成分(A2)の合計に対して成分(A1)を80重量%を超え100重量%以下含有するプロピレン系重合体
成分(B):エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体
成分(C):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(C1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(C2)からなり、成分(C1)と成分(C2)との合計に対して、成分(C1)を30〜80重量%含有するプロピレン系重合体
成分(D):スチレン・共役ジエンブロック共重合体
なお、成分(A1),(A2)等における各単量体単位の含有量は、当該成分を構成する全単量体単位の合計量を100重量%としたときの当該単量体単位の含有量の値である。
<メカニズム>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、従来の熱可塑性エラストマーと比較して、低温耐衝撃性、高温強度、離型性、射出成形性等に優れるという効果を奏する。
これは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物では、成分(A)及び成分(B)により高温強度を得ると共に、成分(B)により低温耐衝撃性を良好なものとし、更に成分(C)により良好な離型性を得ることができ、成分(D)により低温耐衝撃性、射出成形性等の成形性が良好となることによる。
<成分(A)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(A)は、プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(A1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(A2)とからなり、成分(A1)と成分(A2)の合計に対して成分(A1)を80重量%を超え100重量%以下含有するプロピレン系重合体である。
成分(A1)は、プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体であれば、プロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレン単位に加え、エチレン単位、プロピレン以外のα−オレフィン単位、エチレン及びα−オレフィン以外の単量体単位等を10重量%以下含有するプロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、又はプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体等であってもよい。
成分(A)において、プロピレン系重合体成分(A1)は剛性、耐熱性に寄与する。
成分(A)中の成分(A1)がプロピレン・α−オレフィン共重合体又はプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体である場合、プロピレン以外のα−オレフィン単位のα−オレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィンを挙げることができる。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が挙げられる。プロピレン以外のα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数4〜10のα−オレフィンであり、より好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
成分(A1)のプロピレン単位含有量は、成分(A1)全体に対し、90〜100重量%であり、好ましくは95〜100重量%である。成分(A1)のプロピレン単位の含有量が前記下限値以上であることにより、耐熱性及び剛性が良好となる傾向にある。なお、成分(A1)のプロピレン単位含有量は、赤外分光法により求めることができる。後述の成分(A2)のエチレン単位含有量等についても同様である。
成分(A1)としては、具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・エチレン・1−オクテン共重合体などが挙げられる。
成分(A2)は、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体であれば、プロピレン単位及びエチレン単位に加え、プロピレン以外のα−オレフィン単位、その他の単量体単位等を10重量%以下含有するエチレン・プロピレン・α−オレフィン共重合体であってもよい。
成分(A)において、エチレン・プロピレン重合体成分(A2)は耐衝撃性及び成分(B)との分散性に寄与する。
成分(A2)がエチレン・プロピレン・α−オレフィン共重合体である場合、そのα−オレフィン単位のα−オレフィンとしては、成分(A1)のα−オレフィンとして例示したものを挙げることができ、好ましいものも同様である。
ただし、成分(A2)として好適な物性を得るために成分(A2)は、プロピレン単位を成分(A2)全体に対して5重量%以上含むことが好ましく、特に成分(A2)は、エチレン単位を30〜70重量%、プロピレン単位を30〜70重量%含むことが好ましい。
成分(A)としては、成分(A1)に該当するプロピレン系重合体と、成分(A2)に該当するエチレン・プロピレン共重合体とを混合してなるものであってもよいが、成分(A)としては、第1工程で成分(A1)に該当するプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程で成分(A2)に該当するプロピレン・エチレン共重合体を重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体であることが、低温耐衝撃性及び高温強度の観点から好ましい。
成分(A)中の成分(A1)と成分(A2)の比率としては、成分(A1)と成分(A2)との合計に対して成分(A1)が80重量%を超え100重量%以下であるが、好ましくは81〜100重量%、より好ましくは82〜95重量%であり、特に好ましくは83〜93重量%である。
成分(A)中の成分(A1)の含有量が上記下限よりも少ないと剛性や強度が劣るものとなる。成分(A)は、成分(A2)を含まなくてもよいが、成分(A2)を含むことで耐衝撃性や成分(B)との分散性が良好となり、好ましい。
なお、成分(A)における成分(A1)及び成分(A2)の各成分の含有量は、昇温溶出分別法(TREF)により成分(A1)および成分(A2)を分離し、赤外分光法により成分(A1)および(A2)のプロピレン単位含有量及びエチレン単位含有量を分析することで求めることができる。
成分(A)のメルトフローレートは、得られる成形体の外観の観点から、好ましくは5g/10分以上であり、より好ましくは10g/10分以上であり、更に好ましくは10g/10分以上である。また、成分(A)のメルトフローレートは、通常150g/10分以下であり、引張り強度の観点から、好ましくは130g/10分以下であり、更に好ましくは100g/10分以下である。成分(A)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999年)に従って、測定温度230℃、測定荷重21.18Nの条件で測定される。
成分(A)のプロピレン系重合体の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒を用いた多段重合法を挙げることができる。該多段重合法には、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等を用いることができ、これらを2種以上組み合わせてもよい。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いることのできる成分(A)は市販の該当品を用いることも可能である。成分(A)におけるプロピレン系重合体としては下記に挙げる製造者等から調達可能であり、適宜選択することができる。入手可能な市販品としては、プライムポリマー社のPrim Polypro(登録商標)、住友化学社の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社のポリプロピレンブロックコポリマー、日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)PP、LyondellBasell社のMoplen(登録商標)、ExxonMobil社のExxonMobil PP、Formosa Plastics社のFormolene(登録商標)、Borealis社のBorealis PP、LG Chemical社のSEETEC PP、A.Schulman社のASI POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社のINEOS PP、Braskem社のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社のSumsung Total、Sabic社のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社のTOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社のYUPLENE(登録商標)等がある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)の1種のみを含んでいてもよく、単量体単位組成や物性等の異なるものの2種以上を含んでいてもよい。
<成分(B)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(B)は、エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体である。
成分(B)は110〜125℃に結晶融解ピークを有し、かつその結晶融解熱量が20〜60J/gであることが好ましい。ここで、成分(B)において、110〜125℃結晶融解ピークにおける結晶融解熱量が20〜60J/gであることは、成分(B)が、結晶性のエチレンからなる重合体ブロックを有することを表す指標である。また、成分(B)は、エチレンからなる重合体ブロックに基づく結晶性に加え、エチレン・α−オレフィン共重合体ブロックに基づく非晶性を有することが好ましい。成分(B)がこのような構造を有することにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に高温強度及び低温耐衝撃性の効果が付与される。成分(B)の結晶融解熱量は、高温強度の観点から好ましくは20J/g以上であり、より好ましくは30J/g以上である。また、成分(B)の結晶融解熱量は、低温耐衝撃性の観点から好ましくは60J/g以下であり、より好ましくは50J/g以下である。
成分(B)の結晶融解ピーク、結晶融解熱量、及び後述のガラス転移温度のそれぞれの値は示差走査熱量測定法(DSC法)により求めることができる。結晶融解ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)によって得られる融解ピークのトップ温度であり、結晶融解熱量は、示差走査熱量計により得られる融解ピークの面積から求めることができる。また、ガラス転移温度は、示差走査熱量計によって得られるベースラインと変曲点での接線の交点である。これらの値を求める際の具体的な測定条件は次のようにして求められる。即ち、サンプル量10mgを採り、DSCを用い、25℃から200℃まで100℃/分の昇温速度で融解させ、200℃で1分間保持した後、−130℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、−130℃で10分間保持した後、10℃/分の昇温速度で200℃まで測定して求められる値である。
成分(B)におけるエチレンからなる重合体ブロックは、エチレンを主体とするものであるが、エチレンに加え他の単量体単位を有していてもよい。ここで「主体とする」とは、全体の50重量%以上、特に60〜100重量%を占めることをさす。他の単量体単位の他の単量体としては、1−プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンを例示することができる。好ましくは、1−プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の末端の炭素原子に炭素間二重結合を有する炭素数3〜8のα−オレフィンである。成分(B)におけるエチレンからなる重合体ブロックがα−オレフィン単位を含む場合、α−オレフィンは1種のみがエチレンと共重合したものであっても、2種以上がエチレンと共重合したものであってもよい。
成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックは、エチレン単位に加え、α−オレフィン単位として1−プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィン単位を構成単位として有するものを例示することができる。α−オレフィンは、好ましくは、1−プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の末端の炭素原子に炭素間二重結合を有する炭素数4〜8のα−オレフィンである。成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックにおけるα−オレフィンは1種のみがエチレンと共重合したものであっても、2種以上がエチレンと共重合したものであってもよい。
成分(B)におけるエチレン・α−オレフィン共重合体のブロックは、エチレン単位及びα−オレフィン単位に加え、非共役ジエンに基づく単量体単位(非共役ジエン単位)等の他の単量体単位を有していてもよい。該非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンのような鎖状非共役ジエン;シクロへキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンのような環状非共役ジエン等が挙げられる。好ましくは、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。
成分(B)のエチレン単位の含有量は、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量との合計量に対し、50重量%以上80重量%以下であることが好ましい。成分(B)のエチレン単位の含有量は、成分(B)のブロッキングによる融着防止のためには多い方が好ましく、本発明の熱可塑性エラストマーを成形したときの低温耐衝撃性の観点では少ない方が好ましい。成分(B)のエチレン単位の含有量は、より好ましくは55重量%以上であり、更に好ましくは60重量%以上である。また、エチレン単位の含有量は、より好ましくは75重量%以下である。なお、成分(B)におけるエチレン単位の含有量及びα−オレフィン単位の含有量は、それぞれ赤外分光法により求めることができる。
また、成分(B)が非共役ジエン単位等の他の単量体単位を有する場合、その含有量は成分(B)全体に対して、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。非共役ジエン単位の含有量についても、赤外分光法により求めることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(B)として具体的には、エチレンからなる重合体ブロックと、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックとを含むブロック共重合体を例示することができる。これらは1種で用いられてもよく、2種以上組み合わせ用いられてもよい。これらの中でも、成分(B)は、エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・1−オクテン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体であることが最も好ましい。
成分(B)は結晶性を有するエチレンからなる重合体ブロックを有することに加え、通常、エチレン・α−オレフィン共重合体ブロックによる非晶性を有する。この非晶性はガラス転移温度により表すことができ、DSC法によるガラス転移温度が好ましくは−80℃以上であり、より好ましくは−75℃以上であり、一方、好ましくは−50℃以下であり、より好ましくは−60℃以下である。
成分(B)のメルトフローレートは限定されないが、通常、10g/10分以下であり、強度の観点から、好ましくは8.0g/10分以下であり、より好ましくは5.0g/10分以下であり、更に好ましくは3.0g/10分以下である。また、成分(B)のメルトフローレートは、通常0.01g/10分以上であり、流動性の観点から、好ましくは0.05g/10分以上であり、更に好ましくは0.10g/10分以上である。成分(B)のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に従い、測定温度190℃、測定荷重21.18Nの条件で測定される。
成分(B)の密度は低温耐衝撃性の観点から、好ましくは0.88g/cm以下であり、より好ましくは0.87g/cm以下である。一方、その下限については特に制限されないが、通常0.85g/cm以上である。
成分(B)は、特表2007−529617号公報、特表2008−537563号公報、特表2008−543978号公報に開示された方法に従って合成することができる。例えば、第1のオレフィン重合触媒と、同等の重合条件下で第1のオレフィン重合触媒によって調製されるポリマーとは化学的性質又は物理的性質が異なるポリマーを調製可能な第2のオレフィン重合触媒と、鎖シャトリング剤とを組み合わせて得られる混合物又は反応生成物を含む組成物を準備し、上記エチレンとα−オレフィンとを、付加重合条件下で、該組成物と接触させる工程を経て製造することができる。
成分(B)の重合には、好ましくは連続溶液重合法が適用される。連続溶液重合法は、触媒成分、鎖シャトリング剤、モノマー類、並びに場合により溶媒、補助剤、捕捉剤および重合助剤が反応ゾーンに連続的に供給され、ポリマー生成物はそこから連続的に取り出される。また、ブロックの長さは、前記触媒の比率および種類、鎖シャトリング剤の比率および種類、重合温度等を制御することによって変化させることができる。
なお、成分(B)のオレフィン系ブロック共重合体の合成方法において、その他の条件は特表2007−529617号公報、特表2008−537563号公報、特表2008−543978号公報に開示されている。
また、成分(B)は市販の該当品を用いることもでき、例えばダウ・ケミカル社製Engage(登録商標)−XLTシリーズやINFUSE(登録商標)シリーズ等が挙げられる。なお、成分(B)のうち、エチレン・オクテン共重合体ブロックを有するものについては、INFUSE(登録商標)シリーズが2007年に、Engage(登録商標)−XLTシリーズが2011年に、それぞれダウ・ケミカル社において商業的に生産開始されるまで、製品として入手することができなかったものである。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(B)の1種のみを含んでいてもよく、単量体単位組成や物性等の異なるものの2種以上を含んでいてもよい。
<成分(C)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(C)のプロピレン系重合体は、プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(C1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(C2)とからなり、成分(C1)と成分(C2)との合計に対し、成分(C1)を30〜80重量%含有するものである。
成分(C1)は、プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体であれば、プロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレン単位に加え、エチレン単位、プロピレン以外のα−オレフィン単位、エチレン及びα−オレフィン以外の単量体単位等を10重量%以下含有するプロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、又はプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体等であってもよい。
成分(C)において、プロピレン系重合体成分(C1)は剛性、耐熱性に寄与する。
成分(C1)は具体的には、プロピレン単独重合体又はプロピレンとエチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種の単量体との共重合体であることが好ましい。成分(C1)がプロピレンとエチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種の単量体との共重合体である場合、プロピレンと共重合する単量体としては特に、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。なお、これらの炭素数4〜10のα−オレフィンは1種のみを用いたものであっても、2種以上を用いたものであってもよい。
また、成分(C)において、エチレン・プロピレン共重合体成分(C2)はエチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体であり、エチレン単位含有量がこの範囲であれば、更にプロピレン以外のα−オレフィンや非共役ジエンが共重合されたものであってもよい。成分(C)において、プロピレン系重合体成分(C2)は低温耐衝撃性に寄与する。なお、成分(C2)のエチレン単位含有量は好ましくは30〜65重量%である。
成分(C2)において、共重合されていてもよいプロピレン以外のα−オレフィンとしては、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。また、成分(C2)において、共重合されていてもよい非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;シクロへキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の環状非共役ジエン等が挙げられる。
成分(C)としては、成分(C1)に該当するプロピレン系重合体と、成分(C2)に該当するエチレン・プロピレン共重合体とを混合してなるものであってもよいが、成分(C)としては、第1工程で成分(C1)に該当するプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程で成分(C2)に該当するプロピレン・エチレン共重合体を重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体であることが、低温耐衝撃性及び高温強度の観点から好ましい。
成分(C)において、成分(C1)の含有量は、成分(C1)と成分(C2)との合計量に対し、30〜80重量%である。成分(C1)の含有量が30重量%以上であることにより、剛性が向上し耐熱性を保持することができるようになり、成分(C1)の含有量が80重量%以下であることにより、低温耐衝撃性を保持することができるようになる。剛性、耐熱性の効果をより高める観点から、成分(C1)の含有量は、35重量%以上であることが好ましい。一方、低温耐衝撃性の効果をより高める観点から、成分(C1)の含有量は75重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましい。
なお、成分(C)における成分(C1)及び成分(C2)の各成分の含有量は、成分(A)におけると同様に求めることができ、昇温溶出分別法(TREF)により成分(C1)および成分(C2)を分離し、赤外分光法により成分(C1)および(C2)の各単量体単位含有量を分析すればよい。
成分(C)のメルトフローレートは、限定されないが、通常、0.1g/分以上であり、成形体の外観の観点から、好ましくは0.2g/10分以上であり、より好ましくは0.3g/10分以上であり、更に好ましくは0.4g/10分以上である。また、成分(C)のメルトフローレートは、通常200g/10分以下であり、低温耐衝撃性の観点から、好ましくは150g/10分以下であり、更に好ましくは100g/10分以下である。成分(C)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999年)に従って、測定温度230℃、測定荷重21.18Nの条件で測定される。
成分(C)のプロピレン系重合体の製造方法としては特に制限はないが、例えば、有機アルミニウム化合物と、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、電子供与性化合物等からなる固体成分とからなる触媒を用いた公知の多段重合法が用いられる。多段重合法の第1工程で成分(C1)を重合する。ここでは、例えば、気相重合法、溶液重合法等を用いることができる。続いて第2工程で成分(C2)を重合する。ここでは気相重合法等を用いることができる。このような多段重合法の例としては特表2004−536212に記載されている製造方法を挙げることができる。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(C)は市販の該当品を用いることも可能である。市販のポリプロピレン系重合体のうち、成分(C)として用いることのできるものとしては下記の製造者等から調達可能であり、適宜選択することができる。入手可能な市販品としては、LyondellBCsell社製のHifax CA138C、Adflex Q300F等がある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(C)の1種のみを含んでいてもよく、単量体単位組成や物性等の異なるものの2種以上を含んでいてもよい。
<成分(D)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(D)はスチレン・共役ジエンブロック共重合体である。
成分(D)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体における好適な共役ジエンはブタジエン、イソプレン又はこれらの混合物である。成分(D)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体としては、例えば、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(以下、単に「S−B−S」と略記することがある。)を挙げることができる。
スチレン・共役ジエンブロック共重合体(D)のスチレン単位含有量は特に制限されないが、強度と耐熱性の観点から、好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは8重量%以上であり、更に好ましくは10重量%以上である。また、スチレン単位含有量は、柔軟性と耐衝撃性の観点から、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは45重量%以下であり、更に好ましくは40重量%以下である。
成分(D)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の共役ジエンは、NMR法で分析した1,2−ミクロ構造が60モル%以下、特に45モル%以下であることが好ましい。1,2−ミクロ構造が60モル%を超えるものは成形性と柔軟性が低下する傾向にある。
成分(D)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の共役ジエンがイソプレンとブタジエンの混合物の場合の重量比(イソプレン/ブタジエン)は、一般に99/1〜1/99、好ましくは90/10〜30/70、特に好ましくは80/20〜40/60である。
成分(D)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、離型性の観点から、好ましくは50,000以上であり、より好ましくは80,000以上であり、更に好ましくは100,000以上である。また、重量平均分子量(Mw)は流動性の観点から、500,000以下が好ましく、より好ましくは450,000以下であり、更に好ましくは400,000以下であり、特に好ましくは350,000以下である。
成分(D)の重量平均分子量(Mw)はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)により測定されるものであり、例えば、下記条件により測定することができる。
機器:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC(R)」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super HM−M(6.0mm I.D×15cm×2+G)」
検出器:示差屈折率検出器(RI/内蔵)
溶媒:クロロホルム
温度:40℃
流速:0.25mL/分
注入量:0.1重量%×20μL
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
較正曲線近似式:3次式(双曲線)
排除限界設定時間:12分
成分(D)のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の製造方法としては、例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒を用いて不活性溶媒中でスチレン・共役ジエンブロック共重合体を合成する方法が挙げられる。
スチレン・共役ジエンブロック共重合体は、市販品として入手することも可能である。スチレン・共役ジエンブロック共重合体の市販品としては、例えば、クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)D」、LCY社製「Globalprene(登録商標)」等が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(D)の1種のみを含んでいてもよく、単量体単位組成や物性等の異なるものの2種以上を含んでいてもよい。
<成分(E)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性を向上させる観点から更に下記成分(E)を含有することが好ましい。
成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(E)の重量平均分子量(Mw)は、成形体のべたつき防止の観点から、好ましくは300以上、より好ましくは500以上である。また、成分(E)の重量平均分子量(Mw)は成形性の観点から、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,500以下である。ここで、成分(E)の重量平均分子量(Mw)は成分(D)におけると同様にゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)により測定される。
成分(E)は、一般に、芳香族環を有する化合物、ナフテン環を有する化合物及びパラフィン環を有する化合物の混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイルと呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系オイルと呼ばれ、芳香族炭素数が30%より多いものが芳香族オイルと呼ばれて区分されている。これらの中では耐候性の点からパラフィン系オイルを用いることが好ましい。
パラフィン系オイルとしては、40℃における動粘度が20〜800cSt(センチストークス)であることが好ましく、50〜600cStであることがより好ましい。また、パラフィン系オイルの流動点は通常0〜−40℃、好ましくは0〜−30℃である。また、パラフィン系オイルの引火点(COC)は通常200〜400℃であり、好ましくは250〜350℃である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(E)の1種のみを含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
<配合量>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(B)の含有量は、得られる成形体の低温耐衝撃性の観点から、成分(A)100重量部に対し、10重量部以上であり、好ましくは20重量部以上であり、より好ましくは30重量部以上である。また、成分(B)の含有量は、得られる成形体の高温強度及び剛性の観点から、成分(A)100重量部に対し、150重量部以下であり、好ましくは140重量部以下であり、より好ましくは130重量部以下である。
成分(C)の含有量は、離型性の観点から、成分(A)100重量部に対し、10重量部以上であり、好ましくは20重量部以上であり、より好ましくは30重量部以上である。また、成分(C)の含有量は、成形性及び剛性の観点から、成分(A)100重量部に対し、150重量部以下であり、好ましくは140重量部以下であり、より好ましくは130重量部以下であり、更に好ましくは120重量部以下である。
成分(D)の含有量は、得られる成形体の低温耐衝撃性の観点から、成分(A)100重量部に対し、10重量部以上であり、好ましくは20重量部以上であり、より好ましくは30重量部以上である。また、成分(D)の含有量は、成形性、得られる成形体の剛性、耐熱老化特性の観点から、成分(A)100重量部に対し、100重量部以下であり、好ましくは80重量部以下であり、より好ましくは60重量部以下であり、更に好ましくは50重量部以下である。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(E)を含む場合、成分(E)の含有量は、成形性の観点から、成分(D)100重量部に対し、好ましくは1重量部以上であり、より好ましくは5重量部以上であり、更に好ましくは10重量部以上である。また、成分(E)の含有量は、得られる成形体の高温強度、剛性の観点から、成分(D)100重量部に対し、好ましくは200重量部以下であり、より好ましくは125重量部以下であり、更に好ましくは110重量部以下である。
<その他の成分>
更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、上記の成分以外に本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、各種目的に応じて以下の添加剤、無機フィラー、有機フィラーや成分(A)〜成分(D)以外の樹脂(以下、「その他の樹脂」と称する。)等の任意成分を配合することができる。
添加剤としては、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防雲剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、難燃剤、分散剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性剤、分子量調整剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各種添加物を挙げることができる。これらの添加剤は通常、成分(A)〜(D)の合計100重量部に対し、それぞれの添加剤を0.01〜2重量部の範囲で配合して用いることができる。
なお、前述の通り、離型性を改善するために脂肪酸アミド等の離型剤を添加すると、例えばエアバッグ収納カバーの一部の塗装工程において、離型剤の影響で塗料密着性が悪くなることがある。一方で、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、離型性に優れ、このような離型剤を配合しなくても十分な離型性を得ることができるため、添加剤として離型剤は配合しないことが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が含有し得るその他の樹脂としては、ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン系樹脂(ただし、成分(A),(C)に該当するものを除く。)、前記以外の各種エラストマー等が挙げられる。上記で挙げたその他の樹脂は1種のみを含有しても2種以上を含有してもよい。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)と成分(D)、必要に応じて配合される成分(E)やその他の成分を通常の押出機やバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブラベンダー等を用いて常法で混練して製造することができる。これらの製造方法の中でも、押出機、特に二軸押出機を用いることが好ましい。本発明の熱可塑性エラストマー組成物を押出機等で混練して製造する際には通常160〜240℃、好ましくは180〜220℃に加熱した状態で溶融混練することによって製造することができる。更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、下記の架橋剤や架橋助剤を配合して動的に熱処理することにより、部分的に架橋させてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を部分的に架橋させるための架橋剤としては、有機過酸化物を用いることが好ましく、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジクミルパーオキサイド等を挙げることができる。
これらの有機過酸化物により部分的に架橋させる際に用いられる架橋助剤としては、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド等を有する化合物、P−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等のラジカル重合性の炭素間二重結合を有する化合物等と、成分(B)の炭素直鎖の部分と反応する官能基をもった化合物を挙げることができる。
<物性・用途>
本発明において、ISO180に従って測定された−45℃におけるノッチ付きシャルピー衝撃強度を低温耐衝撃性の指標とする。本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形体のノッチ付きシャルピー衝撃強度は、40kJ/m以上であることが好ましく、50kJ/m以上であることがより好ましく、60kJ/m以上であることが更に好ましく、70kJ/m以上であることが特に好ましい。一方、本発明の熱可塑性エラストマー組成物のノッチ付きシャルピー衝撃強度の上限は特に制限されないが、通常150kJ/m以下である。
本発明において、ISO 37−1Aを参照した85℃での引張破壊強さを高温強度の指標とする。本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形体の高温強度は、3.5MPa以上であることが好ましく、3.7MPa以上であることがより好ましく、4.0MPa以上であることが更に好ましい。85℃での引張破壊強さが、上記下限未満のものを用いた場合には、高温強度が劣るためにエアバッグ収納カバーの高温展開性が低下する傾向がある。なお、本発明は従来のエアバッグ収納カバー用途の熱可塑性エラストマー組成物に比べ、低温耐衝撃性を維持したまま高温強度に優れる点に特長がある。このため、本発明においては高温強度を高めることが特に重要である。
本発明においては後掲の実施例の方法による光沢度の値を離型性の指標とする。本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形体の光沢度は、低い方が好ましく、具体的には、80以下であることが好ましく、75以下であることがより好ましく、70以下であることが更に好ましい。光沢度の下限は特に制限されないが、通常10以上である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いて、一般に、通常の射出成形法、又は、必要に応じて、ガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の各種成形法を用いて成形体とすることによりエアバッグ収納カバーとして用いることができる。特に、本発明の熱可塑性エラストマーを射出成形することにより成形体とすることが好ましく、射出成形を行う際の成形条件は以下の通りである。熱可塑性エラストマー組成物を射出成形する際の成形温度は通常150〜300℃であり、好ましくは180〜280℃である。射出圧力は通常5〜100MPaであり、好ましくは10〜80MPaである。また、金型温度は通常0〜80℃であり、好ましくは20〜60℃である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は低温耐衝撃性、高温強度、離型性、射出成形性等に優れ、各種用途に好適に用いることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は例えば、エアバッグ収納カバー、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル等の自動車内装部品、マッドガード・クロメット等の自動車外装部品、家電部品、建材、家具等として有用である。これらの中でも本発明の熱可塑性エアストマー組成物はエアバッグ収納カバーとして特に有用であり、このエアバッグ収納カバーの中でも、例えば、自動車等の高速移動体が衝突事故等の際に、その衝撃や変形を感知することにより作動し、膨張展開によって乗員を保護するエアバッグシステムのエアバッグ収納カバーとして好適である。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と、下記実施例の値または実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<原料>
[成分(A)]
(A−1):ポリプロピレンブロック共重合体(第1工程でプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程でエチレン・プロピレン共重合体を重合して得られたもの)
MFR(JIS K7210(1999年)):15g/10分(測定条件:230℃、荷重21.18N)
プロピレン系重合体成分(A1)の含有量:91重量%
エチレン・プロピレン共重合体成分(A2)の含有量:9重量%
成分(A2)のエチレン単位含有量:46重量%
成分(A2)のプロピレン単位含有量:54重量%
融解温度:163℃
[成分(B)]
(B−1):ダウ・ケミカル社製 XLT8677(エチレンからなる結晶性の重合体ブロックとエチレン・1−オクテン共重合体のブロックとを有するもの)
結晶融解ピーク温度:119℃
結晶融解熱量:37J/g
MFR(ASTM D1238):1.3g/10分(測定条件:190℃、荷重21.18N)(カタログ値)
密度:0.87g・cm
ガラス転移温度(DSC法):−67℃
[成分(C)]
(C−1):LyondellBasell社製 Adflex Q300F(第1工程でプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程でエチレン・プロピレン共重合体を重合して得られたもの)
MFR(JIS K7210(1999年)):0.65g/10分(測定条件:230℃、荷重21.18N)
プロピレン系重合体成分(C1)の含有量:39重量%
エチレン・プロピレン共重合体成分(C2)の含有量:61%
成分(C2)のエチレン単位含有量:58重量%
成分(C2)のプロピレン単位含有量:42重量%
融解温度:162℃
(C−2):LyondellBasell社製 Hifax X1956A(第1工程でプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程でエチレン・プロピレン共重合体を重合して得られたもの)
MFR(JIS K7210(1999年)):1.1g/10分(測定条件:230℃、荷重21.18N)
プロピレン系重合体成分(C1)の含有量:70重量%
エチレン・プロピレン共重合体成分(C2)の含有量:30重量%
成分(C2)のエチレン単位含有量:65重量%
成分(C2)のプロピレン単位含有量:35重量%
融解温度:162℃
[成分(D)]
(D−1):
LCY社製 Globalprene(登録商標)3411(スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)
スチレン単位含有量:30重量%(カタログ値)
共役ジエン単位含有量:70重量%(カタログ値)
密度:0.94g/cm
共役ジエンの1,2−ミクロ構造:30モル%
重量平均分子量(Mw):240,000
[成分(E)]
(E−1):出光興産製 プロセスオイルPW90(炭化水素系ゴム用軟化剤)
パラフィン系オイル
重量平均分子量(Mw):770
40℃の動粘度:95.54cSt
流動点:−15℃
引火点:272℃
[成分(F)]
(F−1):クレイトンポリマーズ社製 Kraton(登録商標)G1651HU スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS))
重量平均分子量(Mw):264,000
スチレン単位含有量:33重量%
共役ジエン成分の1,2−ミクロ構造:30モル%
[成分(G)]
(G−1):SK社製 Solumer(登録商標)8605L(エチレン・オクテン共重合体)
結晶融解ピーク:110℃〜125℃にピークなし
結晶融解熱量:0
MFR(ASTM D1238):0.6g/10分(測定条件:190℃、荷重21.18N)(カタログ値)
密度:0.863g/cm
<評価方法>
1)低温耐衝撃性(シャルピー衝撃試験)
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、シャルピー衝撃強度測定用の試験片(ノッチの付いた厚さ4mm×幅10mm×長さ80mmの試験片)を成形した。得られた試験片について、ISO180に従って、温度−45℃でシャルピー衝撃試験を行い、シャルピー衝撃強度の値が大きいものほど、低温耐衝撃性に優れるものと評価した。
2)高温強度(引張破壊試験)
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、引張試験用の試験片(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mmのシート)を成形した後、JIS K6251(1993年)準拠(JIS−3号ダンベル)で打ち抜いた。この打ち抜き試験片について、ISO37−1Aを参照して、引張破壊強さ(単位:MPa)を引張速度500mm/min、85℃の雰囲気下にて測定した。引張破壊強さの値が大きいほど高温強度に優れるものと評価した。
3)離型性(光沢度)
上記の高温強度の評価におけると同様にして成形した試験片(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mmのシート)について、JIS Z8741に従って、入射角60°で光沢度を測定した。光沢度の値が小さいものほど離型性に優れるものと評価した。
<実施例/比較例>
[実施例1]
(A−1)100重量部、(B−1)70重量部、(C−1)85重量部、(D−1)30重量部、(A−1)、(B−1)、(C−1)、(D−1)の合計100重量部に対して酸化防止剤(BASFジャパン社製 商品名イルガノックス(登録商標)1010)0.1重量部及び黒色顔料(カーボン濃度40重量%品)1.5重量部をヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドし、同方向2軸押出機(神戸製鋼製「TEX30α」、L/D=45、シリンダブロック数:13)へ20kg/hの速度で投入し、180〜210℃の範囲で昇温させ溶融混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、前記1)〜3)の評価を行った。それらの評価結果を表−1に示す。
[実施例2〜5及び比較例1〜4]
表−1に示す配合にした以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た(ただし、成分(A)〜成分(G)の合計100重量部に対し、酸化防止剤を0.1重量部、黒色顔料を1.5重量部をそれぞれ配合した。これらの配合量の記載については表−1においては省略した。)。得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、実施例1と同様に前記1)〜3)の評価を行った。それらの評価結果を表−1に示す。
Figure 0006930288
[考察]
表−1より、本発明に該当する実施例1〜5はいずれも低温耐衝撃性、高温強度、離型性に優れたものであることがわかる。
これに対して、比較例1は成分(A)及び成分(D)を含まないため、低温耐衝撃性及び高温強度が悪い。比較例2は成分(C)及び成分(D)を含まないため光沢度が高く、離型性が悪い。比較例3は成分(D)を用いず、代わりに水素添加品の成分(F)を用いたため、低温耐衝撃性が不十分である。また、比較例4は成分(B)を用いず、代わりに成分(G)を用いたため、高温強度が不十分であることがわかる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は低温耐衝撃性、高温強度、離型性、成形性等に優れ、各種用途に好適に用いることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は例えば、エアバッグ収納カバー、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル等の自動車内装部品、マッドガード・クロメット等の自動車外装部品、家電部品、建材、家具等として有用である。これらの中でも本発明の熱可塑性エアストマー組成物はエアバッグ収納カバーとして特に有用であり、このエアバッグ収納カバーの中でも、例えば、自動車等の高速移動体が衝突事故等の際に、その衝撃や変形を感知することにより作動し、膨張展開によって乗員を保護するエアバッグシステムのエアバッグ収納カバーとして好適である。

Claims (10)

  1. 下記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含有し、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を10〜150重量部、成分(C)を10〜150重量部、成分(D)を10〜100重量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(A1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(A2)からなり、成分(A1)と成分(A2)の合計に対して成分(A1)を82〜95重量%含有するプロピレン系重合体
    成分(B):エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体
    成分(C):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(C1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(C2)からなり、成分(C1)と成分(C2)との合計に対して、成分(C1)を30〜80重量%含有するプロピレン系重合体
    成分(D):スチレン・共役ジエンブロック共重合体
  2. 更に、下記成分(E)を成分(D)100重量部に対して1〜200重量部含む、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
  3. 前記成分(B)が、110〜125℃に結晶融解ピークを有し、かつその結晶融解熱量が20〜60J/gのオレフィン系ブロック共重合体である、請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックにおいて、α−オレフィンの炭素数が4〜8である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記成分(B)が、エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・1−オクテン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記成分(A)のメルトフローレート(測定温度230℃、測定荷重21.18N)が5〜150g/10分である、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形してなる成形体。
  8. ISO 180に準拠した温度−45℃でのノッチ付きシャルピー衝撃強度が40kJ/m以上である、請求項に記載の成形体。
  9. ISO 37−1Aを参照した85℃での引張破壊強さが3.5MPa以上である、請求項又はに記載の成形体。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるエアバッグ収納カバー。
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