JP2019038925A - 熱可塑性エラストマー組成物、成形体及びエアバッグ収納カバー - Google Patents
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Description
成分(A):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(A1)、或いは成分(A1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(A2)からなり、成分(A1)と成分(A2)の合計に対して成分(A1)を80重量%を超え100重量%以下含有するプロピレン系重合体
成分(B):エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体
成分(C):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(C1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(C2)からなり、成分(C1)と成分(C2)との合計に対して、成分(C1)を30〜80重量%含有するプロピレン系重合体
成分(D):スチレン・共役ジエンブロック共重合体
成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含有し、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を10〜150重量部、成分(C)を10〜150重量部、成分(D)を10〜100重量部含むものである。
成分(A):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(A1)、或いは成分(A1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(A2)からなり、成分(A1)と成分(A2)の合計に対して成分(A1)を80重量%を超え100重量%以下含有するプロピレン系重合体
成分(B):エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体
成分(C):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(C1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(C2)からなり、成分(C1)と成分(C2)との合計に対して、成分(C1)を30〜80重量%含有するプロピレン系重合体
成分(D):スチレン・共役ジエンブロック共重合体
なお、成分(A1),(A2)等における各単量体単位の含有量は、当該成分を構成する全単量体単位の合計量を100重量%としたときの当該単量体単位の含有量の値である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、従来の熱可塑性エラストマーと比較して、低温耐衝撃性、高温強度、離型性、射出成形性等に優れるという効果を奏する。
これは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物では、成分(A)及び成分(B)により高温強度を得ると共に、成分(B)により低温耐衝撃性を良好なものとし、更に成分(C)により良好な離型性を得ることができ、成分(D)により低温耐衝撃性、射出成形性等の成形性が良好となることによる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(A)は、プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(A1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(A2)とからなり、成分(A1)と成分(A2)の合計に対して成分(A1)を80重量%を超え100重量%以下含有するプロピレン系重合体である。
成分(A)において、プロピレン系重合体成分(A1)は剛性、耐熱性に寄与する。
成分(A)において、プロピレン系重合体成分(A2)は耐衝撃性及び成分(B)との分散性に寄与する。
ただし、成分(A2)として好適な物性を得るために成分(A2)は、プロピレン単位を成分(A2)全体に対して5重量%以上含むことが好ましく、特に成分(A2)は、エチレン単位を30〜70重量%、プロピレン単位を30〜70重量%含むことが好ましい。
成分(A)中の成分(A1)の含有量が上記下限よりも少ないと剛性や強度が劣るものとなる。成分(A)は、成分(A2)を含まなくてもよいが、成分(A2)を含むことで耐衝撃性や成分(B)との分散性が良好となり、好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(B)は、エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(C)のプロピレン系重合体は、プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(C1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(C2)とからなり、成分(C1)と成分(C2)との合計に対し、成分(C1)を30〜80重量%含有するものである。
成分(C)において、プロピレン系重合体成分(C1)は剛性、耐熱性に寄与する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いる成分(D)はスチレン・共役ジエンブロック共重合体である。
機器:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC(R)」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super HM−M(6.0mm I.D×15cm×2+G)」
検出器:示差屈折率検出器(RI/内蔵)
溶媒:クロロホルム
温度:40℃
流速:0.25mL/分
注入量:0.1重量%×20μL
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
較正曲線近似式:3次式(双曲線)
排除限界設定時間:12分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性を向上させる観点から更に下記成分(E)を含有することが好ましい。
成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(B)の含有量は、得られる成形体の低温耐衝撃性の観点から、成分(A)100重量部に対し、10重量部以上であり、好ましくは20重量部以上であり、より好ましくは30重量部以上である。また、成分(B)の含有量は、得られる成形体の高温強度及び剛性の観点から、成分(A)100重量部に対し、150重量部以下であり、好ましくは140重量部以下であり、より好ましくは130重量部以下である。
更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、上記の成分以外に本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、各種目的に応じて以下の添加剤、無機フィラー、有機フィラーや成分(A)〜成分(D)以外の樹脂(以下、「その他の樹脂」と称する。)等の任意成分を配合することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)と成分(D)、必要に応じて配合される成分(E)やその他の成分を通常の押出機やバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブラベンダー等を用いて常法で混練して製造することができる。これらの製造方法の中でも、押出機、特に二軸押出機を用いることが好ましい。本発明の熱可塑性エラストマー組成物を押出機等で混練して製造する際には通常160〜240℃、好ましくは180〜220℃に加熱した状態で溶融混練することによって製造することができる。更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、下記の架橋剤や架橋助剤を配合して動的に熱処理することにより、部分的に架橋させてもよい。
本発明において、ISO180に従って測定された−45℃におけるノッチ付きシャルピー衝撃強度を低温耐衝撃性の指標とする。本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形体のノッチ付きシャルピー衝撃強度は、40kJ/m2以上であることが好ましく、50kJ/m2以上であることがより好ましく、60kJ/m2以上であることが更に好ましく、70kJ/m2以上であることが特に好ましい。一方、本発明の熱可塑性エラストマー組成物のノッチ付きシャルピー衝撃強度の上限は特に制限されないが、通常150kJ/m2以下である。
[成分(A)]
(A−1):ポリプロピレンブロック共重合体(第1工程でプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程でエチレン・プロピレン共重合体を重合して得られたもの)
MFR(JIS K7210(1999年)):15g/10分(測定条件:230℃、荷重21.18N)
プロピレン系重合体成分(A1)の含有量:91重量%
エチレン・プロピレン共重合体成分(A2)の含有量:9重量%
成分(A2)のエチレン単位含有量:46重量%
成分(A2)のプロピレン単位含有量:54重量%
融解温度:163℃
(B−1):ダウ・ケミカル社製 XLT8677(エチレンからなる結晶性の重合体ブロックとエチレン・1−オクテン共重合体のブロックとを有するもの)
結晶融解ピーク温度:119℃
結晶融解熱量:37J/g
MFR(ASTM D1238):1.3g/10分(測定条件:190℃、荷重21.18N)(カタログ値)
密度:0.87g・cm3
ガラス転移温度(DSC法):−67℃
(C−1):LyondellBasell社製 Adflex Q300F(第1工程でプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程でエチレン・プロピレン共重合体を重合して得られたもの)
MFR(JIS K7210(1999年)):0.65g/10分(測定条件:230℃、荷重21.18N)
プロピレン系重合体成分(C1)の含有量:39重量%
エチレン・プロピレン共重合体成分(C2)の含有量:61%
成分(C2)のエチレン単位含有量:58重量%
成分(C2)のプロピレン単位含有量:42重量%
融解温度:162℃
(C−2):LyondellBasell社製 Hifax X1956A(第1工程でプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程でエチレン・プロピレン共重合体を重合して得られたもの)
MFR(JIS K7210(1999年)):1.1g/10分(測定条件:230℃、荷重21.18N)
プロピレン系重合体成分(C1)の含有量:70重量%
エチレン・プロピレン共重合体成分(C2)の含有量:30重量%
成分(C2)のエチレン単位含有量:65重量%
成分(C2)のプロピレン単位含有量:35重量%
融解温度:162℃
(D−1):
LCY社製 Globalprene(登録商標)3411(スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)
スチレン単位含有量:30重量%(カタログ値)
共役ジエン単位含有量:70重量%(カタログ値)
密度:0.94g/cm3
共役ジエンの1,2−ミクロ構造:30モル%
重量平均分子量(Mw):240,000
(E−1):出光興産製 プロセスオイルPW90(炭化水素系ゴム用軟化剤)
パラフィン系オイル
重量平均分子量(Mw):770
40℃の動粘度:95.54cSt
流動点:−15℃
引火点:272℃
(F−1):クレイトンポリマーズ社製 Kraton(登録商標)G1651HU スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS))
重量平均分子量(Mw):264,000
スチレン単位含有量:33重量%
共役ジエン成分の1,2−ミクロ構造:30モル%
(G−1):SK社製 Solumer(登録商標)8605L(エチレン・オクテン共重合体)
結晶融解ピーク:110℃〜125℃にピークなし
結晶融解熱量:0
MFR(ASTM D1238):0.6g/10分(測定条件:190℃、荷重21.18N)(カタログ値)
密度:0.863g/cm3
1)低温耐衝撃性(シャルピー衝撃試験)
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、シャルピー衝撃強度測定用の試験片(ノッチの付いた厚さ4mm×幅10mm×長さ80mmの試験片)を成形した。得られた試験片について、ISO180に従って、温度−45℃でシャルピー衝撃試験を行い、シャルピー衝撃強度の値が大きいものほど、低温耐衝撃性に優れるものと評価した。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、引張試験用の試験片(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mmのシート)を成形した後、JIS K6251(1993年)準拠(JIS−3号ダンベル)で打ち抜いた。この打ち抜き試験片について、ISO37−1Aを参照して、引張破壊強さ(単位:MPa)を引張速度500mm/min、85℃の雰囲気下にて測定した。引張破壊強さの値が大きいほど高温強度に優れるものと評価した。
上記の高温強度の評価におけると同様にして成形した試験片(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mmのシート)について、JIS Z8741に従って、入射角60°で光沢度を測定した。光沢度の値が小さいものほど離型性に優れるものと評価した。
[実施例1]
(A−1)100重量部、(B−1)70重量部、(C−1)85重量部、(D−1)30重量部、(A−1)、(B−1)、(C−1)、(D−1)の合計100重量部に対して酸化防止剤(BASFジャパン社製 商品名イルガノックス(登録商標)1010)0.1重量部及び黒色顔料(カーボン濃度40重量%品)1.5重量部をヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドし、同方向2軸押出機(神戸製鋼製「TEX30α」、L/D=45、シリンダブロック数:13)へ20kg/hの速度で投入し、180〜210℃の範囲で昇温させ溶融混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、前記1)〜3)の評価を行った。それらの評価結果を表−1に示す。
表−1に示す配合にした以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た(ただし、成分(A)〜成分(G)の合計100重量部に対し、酸化防止剤を0.1重量部、黒色顔料を1.5重量部をそれぞれ配合した。これらの配合量の記載については表−1においては省略した。)。得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、実施例1と同様に前記1)〜3)の評価を行った。それらの評価結果を表−1に示す。
表−1より、本発明に該当する実施例1〜5はいずれも低温耐衝撃性、高温強度、離型性に優れたものであることがわかる。
これに対して、比較例1は成分(A)及び成分(D)を含まないため、低温耐衝撃性及び高温強度が悪い。比較例2は成分(C)及び成分(D)を含まないため光沢度が高く、離型性が悪い。比較例3は成分(D)を用いず、代わりに水素添加品の成分(F)を用いたため、低温耐衝撃性が不十分である。また、比較例4は成分(B)を用いず、代わりに成分(G)を用いたため、高温強度が不十分であることがわかる。
Claims (11)
- 下記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含有し、成分(A)100重量部に対し、成分(B)を10〜150重量部、成分(C)を10〜150重量部、成分(D)を10〜100重量部含む熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(A1)、或いは成分(A1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(A2)からなり、成分(A1)と成分(A2)の合計に対して成分(A1)を80重量%を超え100重量%以下含有するプロピレン系重合体
成分(B):エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体
成分(C):プロピレン単位含有量が90〜100重量%であるプロピレン系重合体成分(C1)と、エチレン単位含有量が30〜70重量%であるエチレン・プロピレン共重合体成分(C2)からなり、成分(C1)と成分(C2)との合計に対して、成分(C1)を30〜80重量%含有するプロピレン系重合体
成分(D):スチレン・共役ジエンブロック共重合体 - 更に、下記成分(E)を成分(D)100重量部に対して1〜200重量部含む、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤 - 前記成分(B)が、110〜125℃に結晶融解ピークを有し、かつその結晶融解熱量が20〜60J/gのオレフィン系ブロック共重合体である、請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体ブロックにおいて、α−オレフィンの炭素数が4〜8である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(B)が、エチレンからなる重合体ブロックとエチレン・1−オクテン共重合体ブロックとを含むオレフィン系ブロック共重合体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(A)及び成分(C)が、第1工程でプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程でプロピレン・エチレン共重合体を重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(A)のメルトフローレート(測定温度230℃、測定荷重21.18N)が5〜150g/10分である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形してなる成形体。
- ISO 180に準拠した温度−45℃でのノッチ付きシャルピー衝撃強度が40kJ/m2以上である、請求項8に記載の成形体。
- ISO 37−1Aを参照した85℃での引張破壊強さが3.5MPa以上である、請求項8又は9に記載の成形体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるエアバッグ収納カバー。
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