WO2023105588A1

WO2023105588A1 - 吸収性物品

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Publication number: WO2023105588A1
Application number: PCT/JP2021/044766
Authority: WO
Inventors: 千裕山本; 伸亨加藤; 俊幸谷尾; 央橋野
Original assignee: ユニ・チャーム株式会社
Priority date: 2021-12-06
Filing date: 2021-12-06
Publication date: 2023-06-15

Abstract

紫外線による不飽和脂肪酸の劣化を抑制しつつ油剤による効能を付与できる吸収性物品を提供する。吸収性物品（１）は、着用者の肌に当接するトップシート（１１）と、天然由来であり、かつ不飽和脂肪酸を含む油剤が付された付与領域（Ｓ１０）と、を有する本体部（１０）を含む。トッシートは、吸収性物品の肌面側同士が向き合うように吸収性物品が折り目（ＦＬ）を起点に折り畳まれた状態で、トップシート同士が向き合う内側領域（Ｓ２０）を有する。付与領域は、トップシートの内側領域に設けられた内側付与領域（Ｓ１１）を有する。吸収性物品は、トップシートよりも紫外線透過率が低い低透過部材（１５）を有する。低透過部材は、折り畳まれた状態で、内側付与領域の非肌面側を覆う。

Description

吸収性物品

　本発明は、不飽和脂肪酸を含む油剤が付された吸収性物品に関する。

　特許文献1には、ω－６脂肪等の不飽和脂肪酸を含む油剤が付された吸収性物品が開示されている。特許文献１の油剤は、トップシート、バックシート、及びトップシートとバックシートとの間に配置される吸収コアを有する吸収性物品において、当該吸収性物品の１つ以上の層に配置される。

特表２０１３－５１５５８９号公報

　しかし、特許文献１の吸収性物品には、以下の問題があった。油剤は、外陰皮膚と接触させるように配置され、外陰皮膚の皮膚バリア機能を改善するように構成されている。しかし、不飽和脂肪酸は、紫外線の照射によって劣化し易く、当該劣化に起因して不快な臭いが発生したり、肌に対する効能が低下したりするおそれがあった。一般的に、吸収性物品は、製造から流通過程を経て、消費者に亘り、製造から使用までの時間がかかる。加えて、使用態様によっては、吸収性物品を外に持ち出すことがあり、外部環境による紫外線等の影響を受けやすかった。

　本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、紫外線による不飽和脂肪酸の劣化を抑制しつつ油剤による効能を付与できる吸収性物品を提供することを目的とする。

　一態様に係る吸収性物品は、着用者の肌に当接するトップシートと、天然由来であり、かつ不飽和脂肪酸を含む油剤が付された付与領域と、を有する本体部を含む。前記トップシートは、前記吸収性物品の肌面側同士が向き合うように前記吸収性物品が折り目を起点に折り畳まれた状態で、前記トップシート同士が向き合う内側領域を有する。前記付与領域は、前記トップシートの前記内側領域に設けられた内側付与領域を有する。前記吸収性物品は、前記トップシートよりも紫外線透過率が低い低透過部材を有する。前記低透過部材は、前記折り畳まれた状態で、前記内側付与領域の非肌面側を覆う。

図１は、実施形態に係る第１展開状態の吸収性物品の肌面側から見た平面図である。図２は、実施形態に係る第１展開状態の吸収性物品の非肌面側から見た平面図である。図３は、実施形態に係る第２展開状態の吸収性物品の肌面側から見た平面図である。図４は、図１に示すＡ－Ａ線に沿った断面図である。図５は、個包装状態の吸収性物品を示した図である。

　（１）実施形態の概要
　本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
　一態様に係る吸収性物品は、着用者の肌に当接するトップシートと、天然由来であり、かつ不飽和脂肪酸を含む油剤が付された付与領域と、を有する本体部を含む。前記トップシートは、前記吸収性物品の肌面側同士が向き合うように前記吸収性物品が折り目を起点に折り畳まれた折り畳み状態で、前記トップシート同士が向き合う内側領域を有する。前記付与領域は、前記トップシートの前記内側領域に設けられた内側付与領域を有する。前記吸収性物品は、前記トップシートよりも紫外線透過率が低い低透過部材を有する。前記低透過部材は、前記折り畳まれた状態で、前記内側付与領域の非肌面側を覆う。本態様によれば、不飽和脂肪酸を含む油剤がトップシートの内側付与領域に設けられているため、肌に対して不飽和脂肪酸を付与でき、肌を保護できる。また、油剤が天然由来であるため、使用者は、油剤に対する安心感を得ることができる。内側付与領域は、折り畳まれた状態で、互いに向き合うトップシートによって覆われる。よって、折り畳み状態では、内側付与領域には、吸収性物品の肌面側から紫外線が直に照射され難く、紫外線による油剤の劣化を抑制できる。また、内側付与領域の非肌面側は、低透過部材によって覆われている。低透過部材は、紫外線を透過し難い。よって、吸収性物品の非肌面側から紫外線が内側付与領域に到達することを抑制し、紫外線による油剤の劣化を抑制できる。よって、紫外線による不飽和脂肪酸の劣化を抑制しつつ油剤による効能を使用者に付与できる。

　好ましい一態様によれば、前記本体部は、前記トップシートよりも非肌面側に位置し、吸収材料を有する吸収コアと、前記吸収コアよりも非肌面側に位置する液不透過性のバックシートと、前記バックシートの非肌面側に付された止着部と、を有する。前記吸収性物品は、前記止着部を覆う剥離シートと、を有する。前記低透過部材は、前記吸収コア、前記バックシート及び前記剥離シートの少なくともいずれかによって構成されている。本態様によれば、バックシート、剥離シート及び吸収コアの少なくともいずれかによって、吸収性物品の非肌面側からの紫外線に対して内側付与領域を保護できる。別途の低透過部材を設ける構成と比較して、部品点数の増加を抑制できる。

　好ましい一態様によれば、前記折り畳み状態において、前記吸収コア、前記バックシート及び前記剥離シートは、前記内側付与領域の非肌面側において積層されている。本態様によれば、バックシート、剥離シート及び吸収コアの３つの部材によって内側付与領域を保護でき、内側付与領域における油剤に対して紫外線が到達することをより抑制できる。

　好ましい一態様によれば、前記折り目は、着用者の排泄口に対向して配置される股下域を、前後方向に挟んで設けられた第１幅折り目と第２幅折り目を有する。前記折り畳まれた状態で、前記股下域における前記内側付与領域の少なくとも一部は、前記第１幅折り目よりも後側に位置する後側域と、前記第２幅折り目よりも前側に位置する前側域と、によって覆われている。本態様によれば、前側域及び後側域によって股下域の内側付与領域を保護できる。股下域は、デリケートな排泄口に対して当接する領域であり、排泄口に対して不飽和脂肪酸による効能を適切に付与できる。

　好ましい一態様によれば、前記股下域の前記油剤の坪量は、前記前側域の前記油剤の坪量よりも高く、前記後側域の前記油剤の坪量よりも高い。本態様によれば、排泄口に当接する股下域における油剤の坪量が高いため、排泄口に対して不飽和脂肪酸による効能を適切に付与できる。一方、前側域及び後側域は、股下域と比較して着用時に左右に動きやすい領域である。当該前側域及び後側域が着用時の動きによって肌に触れ易く、使用者が前側域及び後側域の油剤の触感を感じ易い。よって、前側域及び後側域の油剤の坪量が比較的低くても、使用者は、油剤による感触を得ることができる。

　好ましい一態様によれば、前記トップシートは、前記トップシートの幅方向の中央に位置する中央領域と、前記中央領域の両側に位置する一対の側部領域と、を有する。前記中央領域における前記付与領域の面積は、各前記側部領域における前記付与領域の面積よりも大きい。本態様によれば、中央領域は、排泄口等の体のデリケートな部分に当たりやすい。排泄口に対して不飽和脂肪酸による効能を適切に付与できる。一方、側部領域の油剤の目付が低いため、脚周りに油剤が付着過ぎることを抑制できる。

　好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、使用時に着用物品の非肌面側に折り返されるウイングと、前記ウイングの非肌面側に付されたウイング止着部を覆うウイング剥離シートと、を有する。前記折り畳み状態において、前記ウイング及び前記ウイング剥離シートは、前記内側付与領域の肌面側を覆う。本態様によれば、ウイング及びウイング剥離シートによって、吸収性物品の肌面側から紫外線が内側付与領域に到達することを抑制し、紫外線による油剤の劣化を抑制できる。また、ウイングが部分的に内側付与領域に重なる場合には、ウイングの一部に油剤が移行する。使用者は、本体部の装着時にウイングを視認したり、触ったりする。その際に、使用者は、ウイングに移行した油剤の色や感触等によって油剤の存在を把握できる。

　好ましい一態様によれば、前記本体部は、前記包装シートによって個別に包装されている。包装シートによって前記本体部が個別に包装された個包装状態において、前記内側付与領域に対する紫外線透過量が０ｍＷ／ｃｍ^２である。本態様によれば、個包装状態で本体部の内側付与領域に到達する紫外線を遮断でき、長期間保管した後においてもトップシートに付与された不飽和脂肪酸を含む油剤が紫外線に被ばくすることを防止できる。

　好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、着色部が設けられている。前記着色部の少なくとも一部は、前記付与領域に重なっている。本態様によれば、当該着色部のインク等の存在によって紫外線の透過が抑制され、付与領域の油剤の劣化を抑制できる。また、着色部によって付与領域を目立たせることができ、使用者が、油剤の存在及び油剤の位置を把握しやすくなる。

　好ましい一態様によれば、前記吸収性物品には、前記油剤を想起させる想起デザインが設けられている。本態様によれば、使用者が、油剤の存在及を把握しやすくなり、油剤を含む吸収性物品であることを認識できる。

　好ましい一態様によれば、前記吸収性物品には、前記油剤をマスキングする香料成分が付されている。使用者によっては、天然由来の油剤の臭い、特に、時間の経過に伴う油剤の組成変化による臭いの変化によって不良品であるか等の違和感を得ることがある。マスキングする香料成分を備えることより、油剤の臭いによる違和感を低減でき、使用者は、より安心して吸収性物品を使用できる。

　好ましい一態様によれば、前記トップシートの肌面側の領域における前記トップシートを構成する繊維の繊維間距離は、前記トップシートの非肌面側の領域における前記繊維の繊維間距離よりも短い。本態様によれば、トップシートの肌面側の領域における繊維間距離が比較的短いため、トップシートの油剤が非肌面側に移行しにくく、肌に対して油剤を付与し続け易い。

　好ましい一態様によれば、前記低透過部材は、酸化チタンを含んでいる。本態様によれば、酸化チタンは、照射された紫外線を散乱及び反射する機能を発揮する。そのため、低透過部材に到達した紫外線の一部を散乱及び反射させ、低透過部材を透過する紫外線量を低下できる。よって、トップシートに到達する紫外線量を低減し、当該トップシートの内側付与領域における油剤に対して紫外線が到達することをより抑制できる。

　好ましい一態様によれば、前記本体部は、前記トップシートよりも非肌面側に位置し、吸収材料を有する吸収コアを有する。前記吸収コアは、リグニン（フェノール誘導体）を含んでいる。前記吸収コアと前記トップシートを圧搾した圧搾部が設けられている。前記内側付与領域は、前記圧搾部と、前記圧搾部が設けられていない非圧搾部と、に設けられている。本態様によれば、リグニンは、紫外線を吸収する機能を発揮する。リグニンを含む吸収コアが内側付与領域の非肌面側に配置されていることにより、トップシートの内側付与領域に到達する紫外線量を低減できる。また、圧搾部の油剤は、非圧搾部の油剤よりも密度が高くなるため、経時による油剤の拡散を低減することができる。一方、非圧搾部の油剤は、肌に対して付着しやすい。そのため、非圧搾部の油剤によって使用時に直ぐに肌に対して効能を付与し、時間が経過した際に劣化を抑制した圧搾部の油剤を付与できる。

　好ましい一態様によれば、前記トップシートの前記内側付与領域には、厚み方向に前記トップシートを貫通したトップ開孔及び前記厚み方向に凹んだトップ凹部の少なくとも一方が設けられている。本態様によれば、トップ開孔及びトップ凹部の少なくとも一方が設けられた領域では、トップシートと肌の接触面積を低減でき、油剤によってトップシートが肌に張り付くことを低減でき、装着感の悪化を抑制できる。また、トップ開孔又はトップ凹部内に油剤が入ることで、油剤がトップシートの表面から内側に入り、油剤の劣化を抑制できる。

　（２）実施形態に係る吸収性物品
　以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品１について説明する。吸収性物品１は、生理用ナプキン、パンティライナー、大人用失禁パッドのような吸収性物品１であってよい。特に、吸収性物品１は、使用者の下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。

　図１は、実施形態に係る第１展開状態の吸収性物品１の肌面側Ｔ１から見た平面図であり、図２は、実施形態に係る第１展開状態の吸収性物品１の非肌面側Ｔ２から見た平面図である。図３は、実施形態に係る第２展開状態の吸収性物品１の肌面側Ｔ１から見た平面図である。図４は、図１に示すＡ－Ａ線に沿った断面図である。図５は、個包装状態の吸収性物品１を示した図である。図５（ａ）は、平面図であり、図５（ｂ）は、Ｂ－Ｂ線に沿った断面図である。第１展開状態は、吸収性物品１が、いずれの折り目ＦＬによっても折り畳まれていない状態であり、第２展開状態は、ウイング折り目ＦＬ１，ＦＬ２を基点にウイング３を幅方向Ｗの内側に折り畳み、幅折り目ＦＷ１及びＦＷ２を基点に折り畳まれていない状態である。個包装状態は、包装シート７０によって本体部１０が個別に包装された状態である。本発明における展開状態は、第１展開状態及び第２展開状態を含む概念である。また、ウイング３を有しない形態にあっては、第２展開状態を有していなくてよい。

　吸収性物品１は、前後方向Ｌ及び幅方向Ｗを有する。前後方向Ｌは、着用者の前側（腹側）から後側（背側）に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Ｗは、前後方向Ｌと直交する方向である。吸収性物品１は、肌面側Ｔ１と非肌面側Ｔ２に延びる厚み方向Ｔを有する。ここで、「肌面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。吸収性物品１は、本体部１０を少なくとも有する。本体部１０は、着用者の排泄口に対向して配置される股下域Ｓ３を有する。ウイング３を有する本体部１０にあっては、股下域Ｓ３は、ウイング３が設けられた領域であってよい。本体部１０は、トップシート１１と、バックシート２０と、吸収コア３０と、止着部５０と、を有してよい。トップシート１１は、着用者の肌に当接するシートである。トップシート１１は、吸収コア３０の幅方向の中央を覆うセンターシートと、センターシートの側方を覆うサイドシートと、を有していてもよい。本実施の形態では、センターシートとサイドシートを合わせて、トップシート１１として説明する。トップシート１１は、液透過性シートによって構成されてよい。

　トップシート１１は、トップシート１１の幅方向Ｗの中央に位置する中央領域Ｃ１１と、中央領域の両側に位置する一対の側部領域Ｒ１１と、を有してよい。なお、トップシート１１がセンターシートとサイドシートを有する形態にあっては、本体部１０の肌面にセンターシートが配置された領域が中央領域を構成し、本体部１０の肌面にサイドシートが配置された領域が側部領域を構成してよい。また、他の形態にあっては、トップシート１１の幅方向Ｗ全体を３等分した３つの領域のうち中央に位置する領域が中央領域を構成し、３つの領域のうち側方に位置する領域が、側部領域を構成してよい。本実施の形態では、トップシート１１の幅方向Ｗ全体を３等分した３つの領域のうち中央に位置する領域が中央領域Ｃ１１を構成し、３つの領域のうち側方に位置する領域が、側部領域Ｒ１１を構成する。

　吸収コア３０は、吸収性物品１の前後方向Ｌに沿って延びている。吸収コア３０は、水分を吸収可能な吸収材料を有する。吸収コア３０は、コアラップ３１（図４参照）によって覆われていてよい。コアラップ３１は、例えばティッシュにより構成することができる。吸収性物品１には、少なくとも吸収コア３０とトップシート１１を厚み方向Ｔに圧縮した圧搾部（図示せず）が設けられてよい。バックシート２０は、吸収コア３０よりも非肌面側Ｔ２に位置する。バックシート２０は、使用中に、着用者の肌とは反対側に向けられる。バックシート２０は、液不透過性シートを含んでいてよい。バックシート２０の非肌面には、本体部１０を下着等の着用物品に止着するための止着部５０が設けられてよい。止着部５０は、粘着剤が付与された部分であってよい。本実施の形態の止着部５０は、吸収コア３０と重なる領域に配置された本体止着部５１と、ウイング３に配置されたウイング止着部５２と、を有してよい。

　なお、本明細書において、「前後方向Ｌに沿って」という用語は、前後方向Ｌに対して４５°未満の角度を持った方向を意味し、「幅方向Ｗに沿って」という用語は、幅方向Ｗに対して４５°未満の角度を持った方向を意味する。また、外側縁は、幅方向Ｗの外端である。外側部は、外側縁を含み、かつ幅方向Ｗに一定の長さを有する部分である。前端縁は、前側の縁であり、後端縁は、後側の縁である。外端縁は、前端縁と後端縁を含む概念である。また、外縁は、外側縁、前端縁及び後端縁を含む外周全体の縁である。また、外端部は、外端縁を含み、かつ前後方向Ｌに一定の長さを有する部分である。

　本体部１０は、ウイング３を有してよい。ウイング３は、吸収コア３０よりも幅方向Ｗの外側に延出し、使用時に着用物品の非肌面側Ｔ２に折り返される。ウイング３は、前後方向Ｌに沿って設けられた一対のウイング折り目ＦＬ１、ＦＬ２を基点に折り畳まれてよい。一対の前後折り目ＦＬは、幅方向Ｗに間隔を空けて配置されてよく、本体幅中心２０ＣＷを挟んだ両側に配置されてよい。ウイング折り目ＦＬ１，ＦＬ２は、ウイング３の付け根同士を繋いでよい。

　吸収性物品１は、本体部１０の止着部５０を覆う剥離シート６０と、本体部１０を個別に包装する包装シート７０と、を有してよい。剥離シート６０は、本体止着部５１を覆う本体剥離シート６１と、ウイング止着部５２を覆うウイング剥離シート６２と、を有してよい。本体剥離シート６１は、本体部１０と包装シート７０の間に配置されてよい。ウイング剥離シート６２は、ウイング３がウイング折り目ＦＬ１，ＦＬ２を基点に折り畳まれた第２展開状態（図３参照）において、ウイング止着部５２を覆ってよい。ウイング剥離シート６２は、一対のウイング３を跨がってよい。なお、吸収性物品１は、本体部１０のみによって構成されてよく、止着部５０を有していなくてもよい。また、包装シート７０の本体部１０側の面をシリコン等でコーティングすることによって、剥離シート６０の機能を、包装シート７０が兼ねていてもよい。

　吸収性物品１は、使用前に、折り目ＦＬを基点に吸収性物品１の肌面側Ｔ１同士が向き合うように折り畳まれてよい。折り目ＦＬは、ウイング折り目ＦＬ１，ＦＬ２及び幅折り目ＦＷ１、ＦＷ２の少なくともいずれかを有する。ウイング折り目ＦＬ１、ＦＬ２は、上述のように、ウイング３を折り畳む折り目である。幅折り目ＦＷ１、ＦＷ２は、幅方向Ｗに沿った折り目である。幅折り目は、前後方向Ｌに間隔を空けて一対で配置されてよい。幅折り目は、股下域Ｓ３を挟んで配置された第１幅折り目ＦＷ１及び第２幅折り目ＦＷ２を有してよい。第１幅折り目ＦＷ１は、複数の幅折り目のうち、本体部１０の後端縁１０Ｒに最も近く、第２幅折り目ＦＷ２は、複数の幅折り目のうち、本体部１０の前端縁１０Ｆに最も近い。本体部１０は、図１に示すように、第１幅折り目ＦＷ１よりも後側に位置する後側域Ｓ２と、第２幅折り目よりも前側に位置する前側域Ｓ１と、を有する。後側域Ｓ２は、本体部１０の後端縁１０Ｒと第１幅折り目ＦＷ１の間の領域である。前側域Ｓ１は、本体部１０の前端縁１０Ｆと第２幅折り目ＦＷ２の間の領域である。股下域Ｓ３は、第１幅折り目ＦＷ１と第２幅折り目ＦＷ２の間の領域である。

　吸収性物品１は、本体部１０、剥離シート６０、及び包装シート７０がいずれの折り目ＦＬによっても折り畳まれてない第１展開状態（図１及び図２参照）において、ウイング折り目ＦＬ１、ＦＬ２を基点に折り畳まれて、第２展開状態（図３参照）となる。吸収性物品１は、第２展開状態において、幅折り目ＦＷ１及びＦＷ２を基点に折り畳まれて、図５に示す個包装状態となる。なお、吸収性物品１が、ウイング３を有しない形態にあっては、第２展開状態を実現せずに、第１展開状態から個包装状態となってもよい。吸収性物品１は、ウイング折り目ＦＬ１、ＦＬ２のみによって折り畳まれていてもよいし、幅折り目ＦＷ１、ＦＷ２のみによって折り畳まれてもよい。また、吸収性物品１が、剥離シート６０及び包装シート７０を有しない形態にあっては、折り目は、本体部１０のみを折り畳む折り目であってよい。

　トップシート１１は、吸収性物品１の肌面側Ｔ１同士が向き合うように吸収性物品１が折り目を起点に折り畳まれた状態において、トップシート１１同士が向き合う内側領域Ｓ２０を有する。内側領域Ｓ２０は、ウイング折り目ＦＬ１、ＦＬ２を基点に折り畳まれた状態で、互いに向き合う領域であってもよいし、幅折り目ＦＷ１、ＦＷ２を基点に折り畳まれた状態で、互いに向き合う領域であってもよい。また、折り畳まれた状態でトップシート１１同士が互いに向き合う状態は、トップシート１１同士が他の部材を挟まずに向き合う状態のみならず、トップシート１１同士が他の部材（例えば、ウイング剥離シート６２）を介して向き合っている状態であってもよい。すなわち、内側領域Ｓ２０は、肌面側Ｔ１同士が向き合うように本体部１０が折り畳まれ、トップシート１１の一部がトップシート１１の他の部分を覆った際に、覆われた部分と覆った部分とを合わせた領域である。

　吸収性物品１は、天然由来であり、かつ不飽和脂肪酸を含む油剤が付された付与領域Ｓ１０を有する。ここで、天然由来とは、天然物や天然に由来する物質であり、主に植物抽出物である。不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸を例示でき、天然由来の不飽和脂肪酸を含む油剤は、オリーブオイル、アルガンオイル、アーモンドオイル、シアオイル、マルラオイルを例示できる。付与領域Ｓ１０は、当該油剤が塗布、含浸又は噴射された領域であってもよいし、当該油剤が材料に含有された領域であってもよい。本実施の形態では、トップシート１１に油剤が塗布されており、トップシート１１全体が付与領域Ｓ１０を構成するとともに、コアラップ３１に油剤が塗布されており、コアラップ３１が付与領域Ｓ１０を構成する。

　なお、付与領域Ｓ１０は、以下の方法によって特定できる。（１）測定対象の材料を３ｃｍ×３ｃｍの大きさにカットして、試験管に分取し、ヘキサン、あるいはアセトン１ｍｌを加えて振とう抽出する。なお、必要に応じ、ヘキサン抽出物あるいは、アセトン抽出物の一部を分取して、ヘキサンあるいは、アセトンで希釈する。（２）ガスクロマトグラフィー質量分析計を用いてピーク波長を、標準サンプルと比較する。標準サンプルと比較して、油剤を特定する。このような方法によって、油剤の種類と、当該油剤が付与された付与領域Ｓ１０と、を特定できる。付与領域Ｓ１０の範囲を特定するためには、吸収性物品を上記サイズで切断した複数の試料を準備し、上記方法によって当該試料に対応する領域が付与領域であるか否かを判断する。また、各部材毎に付与領域を特定する場合には、各部材に分解した状態で試料を準備し、付与領域を特定する。

　また、油剤が天然由来であるか否かは、加速器質量分析計（ＡＭＳ）による放射性炭素（Ｃ１４）濃度によって判断できる。具体的には、（１）測定対象の試料（油剤が付与された吸収性物品）を３ｃｍ×３ｃｍの大きさにカットして、試験管に分取し、ヘキサン、あるいはアセトン１ｍｌを加えて振とう抽出する。抽出した試料を液体窒素で冷却して固体化させる。（２）試料を酸化銅と共に石英管に入れ、９００℃で４時間加熱して燃焼し、二酸化炭素を回収する。回収した二酸化炭素は、鉄粉触媒のもとに水素を用いて還元してグラファイトに変える。グラファイトと鉄の混合物を試料ホルダーに詰める。（３）加速器質量分析計を用いて放射性炭素（Ｃ１４）濃度を測定する。放射性炭素（Ｃ１４）濃度を検出できれば、天然由来であると判断する。

　付与領域Ｓ１０は、トップシート１１の内側領域Ｓ２０に設けられた内側付与領域Ｓ１１を有する。本実施の形態では、トップシート１１全体が付与領域Ｓ１０及び内側領域Ｓ２０を構成するため、トップシート１１全体が、内側付与領域Ｓ１１を構成する。本態様によれば、不飽和脂肪酸を含む油剤がトップシート１１の内側付与領域Ｓ１１に設けられているため、肌に対して不飽和脂肪酸を付与でき、肌を保護できる。また、油剤が天然由来であるため、使用者は、油剤に対する安心感を得ることができる。なお、不飽和脂肪酸を含む油剤は、トップシート１１以外の部材に付されていてもよい。当該形態においては、吸収性物品１は、トップシート１１の内側領域Ｓ２０に油剤が付された内側付与領域Ｓ１１と、トップシート１１以外の部材（例えば、コアラップ）に油剤が付された付与領域Ｓ１０と、を有してよい。また、トップシート１１の一部が内側領域Ｓ２０を構成する形態にあっては、トップシート１１には、内側付与領域Ｓ１１と、内側付与領域Ｓ１１以外の領域に設けられた付与領域Ｓ１０と、が設けられていてよい。

　出願人が鋭意研究を行ったところ、生理期間中に生理用ナプキンを使用していると、着用物品の蒸れ等によって痒み等の肌トラブルが発生したり、経血量の少ない時期（例えば、生理開始後の３～４日後）に乾燥によって肌トラブルが発生したりする。使用者によっては、習慣によって又は衛生面を考慮して剃毛を行うことがある。剃毛を行うことにより、肌がより敏感になり、肌トラブルが発生しやすいことがある。本実施の形態の吸収性物品は、オリーブオイル等の天然由来の油剤を付与することができ、肌トラブルを低減することができる。

　次いで、このように構成された吸収性物品１における紫外線による不飽和脂肪酸の劣化を抑制するための構成について詳細に説明する。吸収性物品１は、トップシート１１よりも紫外線透過率が低い低透過部材１５を有する。ここで、紫外線透過率（％）とは、分光光度計を用いて波長３００（ｎｍ）～４００（ｎｍ）域の吸収スペクトルを測定し、ブランク（紫外線遮断剤を含有しないフィルム）の場合のＵＶ透過率を１００とした場合の相対値を意味する。本実施の形態の低透過部材１５は、バックシート２０、吸収コア３０、本体剥離シート６１、ウイング剥離シート６２、及び包装シート（フィルム）を含む。また、紫外線透過率が部分によって異なる形態にあっては、少なくとも一部の紫外線透過率がトップシート１１の紫外線透過率よりも高ければ、低透過部材１５を構成する。

　低透過部材１５は、折り畳まれた状態で、内側付与領域Ｓ１１の非肌面側Ｔ２を覆う。換言すると、低透過部材１５は、第２展開状態（ウイング折り目ＦＬ１，ＦＬ２によって折り畳まれた状態）で、トップシート１１同士が向き合う領域（ウイング折り目ＦＬ１、ＦＬ２よりも幅方向Ｗの外側の領域、及び当該領域によって覆われた領域）よりも非肌面側Ｔ２に位置する。または、低透過部材１５は、個包装状態で、トップシート１１同士が向き合う領域（幅折り目ＦＷ１、ＦＷ２によって折り畳まれた領域、及び当該領域によって覆われた領域）よりも非肌面側Ｔ２に位置する。本態様によれば、内側付与領域Ｓ１１は、折り畳まれた状態で、互いに向き合うトップシート１１によって覆われる。よって、折り畳み状態では、内側付与領域Ｓ１１には、吸収性物品１の肌面側Ｔ１から紫外線が直に照射され難く、紫外線による油剤の劣化を抑制できる。また、内側付与領域Ｓ１１の非肌面側Ｔ２は、低透過部材１５によって覆われている。低透過部材１５は、紫外線を透過しにくく、吸収性物品１の非肌面側Ｔ２から紫外線が内側付与領域Ｓ１１に到達することを抑制し、紫外線による油剤の劣化を抑制できる。よって、劣化を抑制した良質な油剤を使用者に付与し、肌トラブルを抑制し、吸収性物品の装着感を向上できる。なお、内側付与領域Ｓ１１の少なくとも一部の非肌面側Ｔ２を低透過部材１５によって覆っていればよいが、好適には、内側付与領域Ｓ１１の全域の非肌面側Ｔ２を低透過部材１５によって覆ってよい。

　低透過部材１５は、吸収コア３０、バックシート２０及び剥離シート６０の少なくともいずれかによって構成されてよい。バックシート２０、剥離シート６０及び吸収コア３０の少なくともいずれかによって、吸収性物品１の非肌面側Ｔ２からの紫外線に対してトップシート１１に付与された油剤を保護できる。本態様によれば、別途の低透過部材１５を設ける構成と比較して、部品点数の増加を抑制できる。なお、変形例における低透過部材１５は、バックシート２０、吸収コア３０、本体剥離シート６１、ウイング剥離シート６２、及び包装シート７０以外の別の部材によって構成されていてもよい。当該変形例によれば、別体の低透過部材１５を配置することで、既存の吸収性物品１においても紫外線による油剤の劣化を抑制する効果を発揮することができる。

　低透過部材１５を構成する吸収コア３０、バックシート２０及び剥離シート６０は、内側付与領域Ｓ１１の非肌面側Ｔ２において積層されてよい。換言すると、吸収コア３０、バックシート２０及び剥離シート６０の３層が積層された積層部が、内側付与領域Ｓ１１の非肌面側Ｔ２の少なくとも一部を覆ってよい。本態様によれば、バックシート２０、剥離シート６０及び吸収コア３０の３つの部材によって内側付与領域Ｓ１１を保護でき、内側付与領域Ｓ１１における油剤に対して紫外線が到達することをより抑制できる。

　低透過部材１５は、酸化チタンを含んでよい。酸化チタンは、照射された紫外線を散乱及び反射する機能を発揮する。そのため、低透過部材１５に到達した紫外線の一部を散乱及び反射させ、低透過部材１５を透過する紫外線量を低下できる。よって、トップシート１１に到達する紫外線量を低減し、当該トップシート１１の内側付与領域Ｓ１１における油剤の劣化をより抑制できる。酸化チタンは、低透過部材を構成する不織布の繊維に含有されていてもよいし、低透過部材を構成するフィルムを構成する無機フィラーとして用いられていてもよい。

　本体部１０がいずれかの折り目ＦＬを基点に折り畳まれた状態で、股下域Ｓ３における内側付与領域Ｓ１１の少なくとも一部は、第１幅折り目ＦＷ１よりも後側に位置する後側域Ｓ２と、第２幅折り目ＦＷ２よりも前側に位置する前側域Ｓ１と、によって覆われてよい。より詳細には、第１幅折り目ＦＷ１を基点に折り畳まれた状態で、股下域Ｓ３における内側付与領域Ｓ１１の少なくとも一部は、後側域Ｓ２によって覆われてよく、第２幅折り目ＦＷ２を基点に折り畳まれた状態で、股下域Ｓ３における内側付与領域Ｓ１１の少なくとも一部は、前側域Ｓ１によって覆われてよい。前側域Ｓ１及び後側域Ｓ２によって股下域Ｓ３の内側付与領域Ｓ１１を保護できる。股下域Ｓ３は、デリケートな排泄口に対して当接する領域であり、排泄口に対して不飽和脂肪酸による効能を適切に付与できる。更に、前側域Ｓ１と後側域Ｓ２が重なる形態にあっては、前側域Ｓ１と後側域Ｓ２の両方によって股下域Ｓ３を保護できる。よって、股下域Ｓ３の内側付与領域Ｓ１１に対する紫外線の到達をより抑制できる。

　股下域Ｓ３の油剤の坪量は、前側域Ｓ１の油剤の坪量よりも高く、後側域Ｓ２の油剤の坪量よりも高くてよい。排泄口に当接する股下域Ｓ３における油剤の坪量が高いため、排泄口に対して不飽和脂肪酸による効能を適切に付与できる。一方、前側域Ｓ１及び後側域Ｓ２は、股下域Ｓ３と比較して着用時に左右に動きやすい領域であり、着用時の動きによって肌に触れ易い。使用者は、前側域Ｓ１及び後側域Ｓ２の油剤の触感を感じ易い。よって、前側域Ｓ１及び後側域Ｓ２の油剤の坪量が比較的低くても、使用者は、油剤による感触を得ることができる。加えて、前側域Ｓ１及び後側域Ｓ２における油剤の坪量が低いため、装着時の油剤の触感による不快感を低減できる。変形例において、股下域Ｓ３の付与領域Ｓ１０の面積は、前側域Ｓ１の付与領域Ｓ１０の面積よりも大きくてよく、後側域Ｓ２の付与領域Ｓ１０の面積よりも大きくてよい。当該付与領域Ｓ１０の面積の関係によっても、油剤の坪量の関係と同様に、油剤による不快感を抑制しつつ、本体部１０全体に亘って不飽和脂肪酸による効能を適切に付与できる。

　トップシート１１の中央領域Ｃ１１における付与領域Ｓ１０の面積は、各側部領域Ｒ１１における付与領域Ｓ１０の面積よりも大きくてよい。本態様によれば、中央領域Ｃ１１は、排泄口等、体のデリケートな部分に当たりやすい。排泄口に対して不飽和脂肪酸による効能を適切に付与できる。一方、側部領域Ｒ１１の油剤の目付が低いため、脚周りに油剤が付着過ぎることを抑制できる。変形例において、中央領域Ｃ１１の付与領域Ｓ１０の油剤の坪量は、側部領域Ｒ１１の付与領域Ｓ１０の坪量よりも高くてよい。付与領域Ｓ１０の油剤の坪量の関係によっても付与領域Ｓ１０の面積の関係と同様に、油剤による不快感を抑制しつつ、排泄口に対して不飽和脂肪酸による効能を適切に付与できる。

　トップシート１１は、セルロースを含んでよい。より好適には、トップシート１１は、コットン繊維を含んでよい。当該トップシート１１に油剤を付与することにより、繊維間の空隙により、油剤が入り込み易く、油剤による効能を着用者に適切に付与できる。また、使用者は、コットン繊維を含むトップシート１１に対して肌に優しい心証を持ち、更に、天然由来の油剤が付与されたトップシート１１に対して肌により優しい心証を持つ。使用者は、肌に優しい吸収性物品１であると認識し、安心して吸収性物品１を使用することができる。

　トップシート１１の肌面側Ｔ１の領域におけるトップシート１１を構成する繊維の繊維間距離は、トップシート１１の非肌面側Ｔ２の領域における繊維の繊維間距離よりも短くてよい。トップシート１１の肌面側Ｔ１の領域の繊維間距離が短いため、トップシート１１の油剤が非肌面側Ｔ２に移行しにくく、肌に対して油剤を付与し続け易い。一方、トップシート１１の非肌面側Ｔ２の領域における繊維間距離が比較的長いため、トップシート１１内に引き込まれた経血等の体液がトップシート１１の肌面に再度移行することを抑制でき、トップシートの肌面上に体液が残り続けることを抑制し、肌に対して優しい表面状態を維持できる。

　なお、繊維間距離の比較は、以下の測定方法に従って比較できる。（１）トップシート１１を１０ｍｍ×１０ｍｍの大きさに切り出して試料とする。（２）株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープＶＨＸ－１００（レンズＶＨ－Ｚ２０Ｒ＋可変照明アタッチメントＶＨ－Ｋ２０）を使用して、撮影倍率：２００倍、測定面積：縦１３００μｍ×横１７３５μｍにて、トップシートの表面（肌側側の領域）、裏面（非肌面側の領域）それぞれから画像を撮影する。そのとき、表面・裏面それぞれにつき、深さ０μｍから１００μｍの範囲で、深さ２０μｍ毎に合計五回、画像を撮影する。（３）得られた各画像から、繊維の存在しない部位の面積を求める。そのとき、得られた各画像における各画素での輝度が所定の輝度（閾値）よりも低いか高いかにより当該画素での繊維の有無を判定し、各画像での撮影領域内の繊維の有無を判定する。ただし、繊維が存在しない部位のみ光が透過して明るい、すなわち輝度が高くなる。それにより、撮影領域内の繊維の存在しない部位の面積を求める。（４）求めた繊維の存在しない部位の面積を撮影領域の面積（測定面積）から減算し、撮影領域の面積（測定面積）で除算することで、空隙率を算出する。その計算を深さ２０μｍ毎の画像で行い、五つの空隙率を算出する。（５）五つの空隙率の平均を算出することで、トップシート１１の表面、裏面それぞれの空隙率を決定する。空隙率の大小を比較することで、繊維間距離の大小を判断することができる。すなわち、空隙率が大きい場合、繊維間距離が大きいと見ることができる。

　トップシート１１の内側付与領域Ｓ１１には、厚み方向Ｔにトップシート１１を貫通したトップ開孔及び厚み方向に凹んだトップ凹部の少なくとも一方が設けられてよい。本態様によれば、トップ開孔及びトップ凹部が設けられた領域では、トップシート１１と肌の接触面積を低減でき、油剤によってトップシート１１が肌に張り付くことを低減でき、装着感の悪化を抑制できる。また、トップ開孔又はトップ凹部内に油剤が入ることで、油剤がトップシート１１の表面から内側に入り、油剤の劣化を抑制できる。

　ウイング３及びウイング剥離シート６２は、折り畳み状態で、内側付与領域Ｓ１１の肌面側Ｔ１を覆ってよい。より詳細には、図３に示すように、ウイング３がウイング折り目ＦＬ１及びＦＬ２を基点に折り畳まれた状態で、ウイング３の低透過部材１５が、ウイング折り目ＦＬ１、ＦＬ２よりも幅方向Ｗの内側の内側付与領域Ｓ１１を覆うとともに、ウイング剥離シート６２が、ウイング折り目ＦＬ１、ＦＬ２よりも幅方向Ｗの内側の内側付与領域Ｓ１１を覆う。ウイング３及びウイング剥離シート６２によって、吸収性物品１の肌面側Ｔ１から紫外線が内側付与領域Ｓ１１に到達することを抑制し、紫外線による油剤の劣化を抑制できる。また、ウイング３が部分的に内側付与領域Ｓ１１に重なる場合には、ウイング３の一部に油剤が移行する。使用者は、本体部１０の装着時にウイング３を視認したり、触ったりする。その際に、使用者は、ウイング３に移行した油剤の色や感触等によって油剤の存在を把握できる。

　図５に示すように、包装シート７０は、個包装状態で本体部１０を個別に包装している。個包装状態において、包装シート７０同士は、包装シール部７１を介して接合されてよい。包装シール部７１は、図５（Ａ）に示すように、個包装状態の包装シート７０の幅方向Ｗの両端部にそれぞれ配置され、かつ包装シート７０の前後方向の外端部のうち、個包装状態において外側に位置する外端部に配置されている。包装シール部７１は、溶着又は接着剤によって包装シート７０同士を接合した部分である。包装シール部７１を介して包装シート７０同士を接合することにより、個包装状態において包装シート７０によって本体部１０を保護でき、本体部１０に対する紫外線の影響をより抑制できる。包装シート７０によって本体部１０を保護する観点から、包装シート７０の資材は、不織布よりもフィルムであることが好ましい。フィルムからなる包装シート７０は、不織布からなる包装シートと比較して、繊維間の隙間が生じず、紫外線の透過をより抑制できる。

　本体部１０が包装シート７０によって個別に包装された個包装状態において、内側付与領域Ｓ１１に対する紫外線透過量が０ｍＷ／ｃｍ^２であってよい。当該紫外線透過量は、照度ＵＶ　Ｒｅｃｏｒｄｅｒ　ＴＲ－７４ｕｉ－Ｈ（ＴＡＮＤＤ製）を用いて測定できる。より詳細には、快晴の日の１４時から１５時に屋外に測定対象の吸収性物品１をおいて測定する。個包装状態の内側付与領域Ｓ１１の測定は、三つ折り状態の吸収性物品１の内部に、照度ＵＶ　Ｒｅｃｏｒｄｅｒを挿入して、紫外線透過量を測定する。なお、包装シール部が設けられた形態にあっては、ＵＶ　Ｒｅｃｏｒｄｅｒが挿入できる隙間分、包装シール部７１を開封し、当該隙間からＵＶ　Ｒｅｃｏｒｄｅｒを挿入して、測定する。本態様によれば、個包装状態で本体部１０の内側付与領域に到達する紫外線を遮断でき、長期間保管した後においてもトップシート１１に付与された不飽和脂肪酸を含む油剤が紫外線に被ばくすることを防止できる。

　吸収性物品１は、着色部９０が設けられてよい。着色部９０の少なくとも一部は、付与領域Ｓ１０に重なってよい。着色部９０と付与領域Ｓ１０が重なる形態は、油剤が付された付与領域Ｓ１０（例えば、トップシート１１）自体が着色されていてもよいし、付与領域Ｓ１０と厚み方向Ｔに重なる部材（例えば、後述する想起デザイン８０が付された包装シート）が着色されていてもよい。図４に示すように、本実施形態の着色部９０は、吸収コア３０を覆うコアラップ３１によって構成されている。コアラップ３１は、図５においては省略している。コアラップ３１は、油剤が付与されており、コアラップ３１が配置された領域は、付与領域Ｓ１０を構成する。着色部９０には、顔料やインクが含まれている。当該着色部のインク等の存在によって紫外線の透過が抑制され、付与領域Ｓ１０の油剤の劣化を抑制できる。また、着色部によって付与領域Ｓ１０を目立たせることができ、使用者が、油剤の存在及び油剤の位置を把握しやすくなる。なお、変形例において、トップシート１１自体に着色部が設けられていてもよい。

　図２及び３に示すように、吸収性物品１には、油剤を想起させる想起デザイン８０が設けられてよい。想起デザイン８０は、油剤の形状、色、文字のいずれかを示すデザインであってよい。本実施の形態の油剤は、オリーブオイルであり、想起デザイン８０は、オリーブの実と葉を示したデザインである。想起デザイン８０は、吸収性物品１を構成するいずれの部材に付されてもよく、包装シート７０、本体剥離シート６１、ウイング剥離シート６２、本体部１０のいずれかに設けられてよい。本態様によれば、使用者が、油剤の存在及を把握しやすくなり、油剤を含む吸収性物品１であることを認識できる。本実施の形態は、包装シートとウイング剥離シート６２に想起デザイン８０が付されている。また、個包装状態の複数の吸収性物品１を収容する収容体にも、想起デザインが付されていてもよい。使用者は、収容体の外側から油剤の存在や効能を把握できる。

　吸収性物品１には、油剤をマスキングする香料成分が付されてよい。例えば、香料成分、好ましくは香りの強度の高い香料成分を採用することにより、油剤の臭い成分の香りのマスキングすることができる。使用者によっては、天然由来の油剤の臭い、特に、時間の経過に伴う油剤の組成変化による臭いの変化によって不良品であるか等の違和感を得ることがある。マスキングする香料成分を備えることより、油剤の臭いによる違和感を低減でき、使用者は、より安心して吸収性物品１を使用できる。

　吸収コア３０は、リグニン（フェノール誘導体）を含んでよい。吸収コア３０におけるリグニンの含有を確認する方法としては、天然繊維を含み、有色であるものはリグニンを含むものとし、漂白処理が施されていないか有色を維持する程度に漂白処理が施されているものもリグニンを含むものとする。リグニンは、紫外線を吸収する機能を発揮する。リグニンを含む吸収コア３０が内側付与領域Ｓ１１の非肌面側Ｔ２に配置されていることにより、トップシート１１の内側付与領域Ｓ１１に到達する紫外線量を低減できる。内側付与領域Ｓ１１は、圧搾部と、圧搾部が設けられていない非圧搾部と、に設けられてよい。圧搾部の油剤は、非圧搾部の油剤よりも密度が高くなるため、経時による油剤の拡散を低減することができる。一方、非圧搾部の油剤は、肌に対して付着しやすい。そのため、非圧搾部の油剤によって使用時に直ぐに肌に対して効能を付与し、時間が経過した際に劣化を抑制した圧搾部の油剤を付与できる。

　以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。

　本発明によれば、紫外線による不飽和脂肪酸の劣化を抑制しつつ油剤による効能を付与できる吸収性物品を提供できる。

１　　　　：吸収性物品
３　　　　：ウイング
１０　　　：本体部
１１　　　：トップシート
Ｃ１１　　：中央領域
Ｓ１１　　：側部領域
１５　　　：低透過部材
２０　　　：バックシート
３０　　　：吸収コア
５０　　　：止着部
５１　　　：本体止着部
５２　　　：ウイング止着部
６０　　　：剥離シート
６１　　　：本体剥離シート
６２　　　：ウイング剥離シート
７０　　　：包装シート
８０　　　：想起デザイン
９０　　　：着色部
ＦＬ１，ＦＬ２　　　：ウイング折り目
ＦＷ１，ＦＬ２　　　：幅折り目
Ｓ１　　　：前側域
Ｓ２　　　：後側域
Ｓ３　　　：股下域
Ｓ１０　　：付与領域
Ｓ１１　　：内側付与領域
Ｓ２０　　：内側領域
Ｌ　　　　：前後方向
Ｔ　　　　：厚み方向
Ｔ１　　　：肌面側
Ｔ２　　　：非肌面側
Ｗ　　　　：幅方向

Claims

　着用者の肌に当接するトップシートと、天然由来であり、かつ不飽和脂肪酸を含む油剤が付された付与領域と、を有する本体部を含む吸収性物品であって、
　前記トップシートは、前記吸収性物品の肌面側同士が向き合うように前記吸収性物品が折り目を起点に折り畳まれた折り畳み状態で、前記トップシート同士が向き合う内側領域を有し、
　前記付与領域は、前記トップシートの前記内側領域に設けられた内側付与領域を有し、
　前記吸収性物品は、前記トップシートよりも紫外線透過率が低い低透過部材を有し、
　前記低透過部材は、前記折り畳まれた状態で、前記内側付与領域の非肌面側を覆う、吸収性物品。
　前記本体部は、前記トップシートよりも非肌面側に位置し、吸収材料を有する吸収コアと、前記吸収コアよりも非肌面側に位置する液不透過性のバックシートと、前記バックシートの非肌面側に付された止着部と、を有し、
　前記吸収性物品は、前記止着部を覆う剥離シートと、を有し、
　前記低透過部材は、前記吸収コア、前記バックシート及び前記剥離シートの少なくともいずれかによって構成されている、請求項１に記載の吸収性物品。
　前記折り畳み状態において、前記吸収コア、前記バックシート及び前記剥離シートは、前記内側付与領域の非肌面側において積層されている、請求項２に記載の吸収性物品。
　前記折り目は、着用者の排泄口に対向して配置される股下域を、前後方向に挟んで設けられた第１幅折り目と第２幅折り目を有し、
　前記折り畳み状態において、前記股下域における前記内側付与領域の少なくとも一部は、前記第１幅折り目よりも後側に位置する後側域と、前記第２幅折り目よりも前側に位置する前側域と、によって覆われている、請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記股下域の前記油剤の坪量は、前記前側域の前記油剤の坪量よりも高く、前記後側域の前記油剤の坪量よりも高い、請求項４に記載の吸収性物品。
　前記トップシートは、前記トップシートの幅方向の中央に位置する中央領域と、前記中央領域の両側に位置する一対の側部領域と、を有し、
　前記中央領域における前記付与領域の面積は、各前記側部領域における前記付与領域の面積よりも大きい、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記吸収性物品は、使用時に着用物品の非肌面側に折り返されるウイングと、前記ウイングの非肌面側に付されたウイング止着部を覆うウイング剥離シートと、を有し、
　前記折り畳み状態において、前記ウイング及び前記ウイング剥離シートは、前記内側付与領域の肌面側を覆う、請求項１から請求項６のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記本体部は、包装シートによって個別に包装されており、
　前記包装シートによって前記本体部が個別に包装された個包装状態において、前記内側付与領域に対する紫外線透過量が０ｍＷ／ｃｍ^２である、請求項１から請求項７のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記吸収性物品は、着色部が設けられており、
　前記着色部の少なくとも一部は、前記付与領域に重なっている、請求項１から請求項８のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記吸収性物品には、前記油剤を想起させる想起デザインが設けられている、請求項１から請求項９のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記吸収性物品には、前記油剤をマスキングする香料成分が付されている、請求項１から請求項１０のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記トップシートの肌面側の領域における前記トップシートを構成する繊維の繊維間距離は、前記トップシートの非肌面側の領域における前記繊維の繊維間距離よりも短い、請求項１から請求項１１のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記低透過部材は、酸化チタンを含んでいる、請求項１から請求項１２のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記本体部は、前記トップシートよりも非肌面側に位置し、吸収材料を有する吸収コアを有し、
　吸収コアは、リグニン（フェノール誘導体）を含んでおり、
　前記吸収コアと前記トップシートを圧搾した圧搾部が設けられており、
　前記内側付与領域は、前記圧搾部と、前記圧搾部が設けられていない非圧搾部と、に設けられている、請求項１から請求項１３のいずれか１項に記載の吸収性物品。
　前記トップシートの前記内側付与領域には、厚み方向に前記トップシートを貫通したトップ開孔及び前記厚み方向に凹んだトップ凹部の少なくとも一方が設けられている、請求項１から請求項１４のいずれか１項に記載の吸収性物品。