JP7194718B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
前記吸収体は、
第1接着剤と、
前記第1接着剤に接し、前記第1接着剤の粘度を低下させる揮発成分と、を含む。
[ナプキン1の全体構成]
本実施形態の吸収性物品1は、図1に示すように、本体Mと、一対のウイング部Wと、を備える。吸収性物品1は、生理用ナプキンとして構成され、以下、ナプキン1と称する。
ナプキン1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。さらに、ナプキン1は、縦方向X及び横方向Yの双方に直交する厚み方向Zを有する。なお、本明細書では、厚み方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上又は肌側、着衣に近い側を下又は非肌側と表現することがある。
また、本明細書において、「平面視」とは、厚み方向Zから見た平面視を意味する。
中間領域Cは、着用時に着用者の排泄部に対向する領域を含む。排泄部は、吸収性物品がナプキン1の場合、膣口である。図1において、中間領域Cは、ウイング部Wが設けられる領域である。
前方領域Fは、中間領域Cの前方(着用者の腹側)に配される領域であり、着用時に着用者の排泄部の前方に対向する。
後方領域Rは、中間領域Cの後方(着用者の背側)に配される領域であり、着用時に着用者の排泄部の後方に対向する。
ここでいう着用時とは、通常の適正な着用位置(ナプキン1の想定される着用位置)が維持された状態を意味し、ナプキン1が当該着用位置からずれた状態にある場合は含まない。
なお、ナプキン1がウイング部Wを有さない場合には、ナプキン1を縦方向Xに沿って3等分して、中央の領域を中間領域Cとし、その前方に配される領域を前方領域F、後方に配される領域を後方領域Rとする。
吸収体4は、例えば、吸収性コア7と、コアラップシート8と、を有する。
吸収性コア7は、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維で構成された繊維集合体で形成されてもよいし、当該繊維集合体に吸水性ポリマーを保持させた構成を有していてもよい。
コアラップシート8は、吸収性コア7を被覆し、例えば吸収性コア7の形状を保持する機能等を有する。コアラップシート8は、例えばティッシュペーパー状の薄く柔らかい紙や液透過性の不織布等で形成される。
表面シート2は、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤S1によって、吸収体4の上面4aと接合されている。
なお、表面シート2と吸収体4との間には、表面シート2から吸収体4への液の透過性の向上、吸収体4に吸収された液の表面シート2への液戻りの防止等の観点から、サブレイヤーシートが配されていてもよい。
裏面シート3は、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。当該シート材としては、例えば熱可塑性樹脂のフィルムや、当該フィルムと不織布とのラミネート等を用いることができる。
なお、裏面シート3の非肌対向面3aには、着衣に対して本体M及びウイング部W等を固定する粘着部9が設けられている。
図1及び図2に示すように、吸収体4は、第1接着剤11と、第1接着剤11に接し、第1接着剤11の粘度を低下させる揮発成分10と、を含む。本実施形態では、後述するように、揮発成分10が第1接着剤11の粘度を低下させることによって、第1接着剤11の接着性を高めることができる。
なお、図1において、揮発成分10の含まれる領域10rを、一点鎖線で囲まれたドットパターンで示しているが、実際にはこのようなパターンは視認されない。
また、図2~5において、揮発成分10の含まれる領域10rを、2方向に延び相互に交差する斜線のパターンで示している。
また、各図において、第1接着剤11を黒の線状のパターンで示している。
あるいは、第1接着剤11は、吸収体4と吸収体4の厚み方向Z上方又は下方にある部材とを接着するものでもよい。吸収体4の厚み方向Z上方又は下方にある部材は、例えば、表面シート2、裏面シート3及びサブレイヤーシート等を含む。この場合、第1接着剤11は、例えば、吸収体4の上面4a又は下面4bに配される。
なお、第1接着剤11がある部材に「配される」とは、第1接着剤11が接合のために当該部材に接していることを意味する。
以下の説明において、第1接着剤11の塗工領域11rとは、第1接着剤11の塗工部の外縁を囲んで得られた領域を意味し、非塗工部が含まれていてもよい。
揮発成分10は、揮発する過程で、第1接着剤11の主成分(例えば高分子化合物)と反応し、当該主成分の構造を変化させることで、第1接着剤11の粘度を低下させると考えられる。
なお、本明細書で「塗工幅」とは当該工程における所定幅(横方向Yにおける最大幅)のことであるが、製造後の吸収性物品を保存すると、揮発成分10の作用により、第1接着剤11の粘度が低下して滲むような現象が生じ得るので、第1接着剤11の存在領域の幅が塗工幅よりも広くなることがある。そのような場合には、本明細書において、第1接着剤11の存在領域の幅を塗工幅と読み替えることができる。
まず、第1接着剤の粘度を予め測定し、測定値を第1の粘度とする。第1の粘度は、例えば、B型粘度計(例えば東機産業株式会社製 型番TVB-10M、測定条件:ローターNo.19、30rpm)を用いて、25℃の環境下で測定する。
100mLの広口のバイアル瓶に、20gの第1接着剤と2gの揮発成分とを収容し、50℃の環境下において7日間静置する。揮発成分は、例えば10mLの金属容器等に収容される。その後、第1接着剤のみを取り出し、第1接着剤に残っている揮発成分を除去するため、40℃の環境下において24時間静置する。
揮発成分が除去された第1接着剤の粘度を測定し、測定値を第2の粘度とする。第2の粘度は、第1の粘度と同様に測定することができる。第2の粘度が第1の粘度よりも小さかった場合、この揮発成分が、第1接着剤に接することで第1接着剤の粘度を低下させるものであると認定する。
揮発成分10は、第1接着剤11の粘度を低下させつつ、ナプキン1に対して機能性を付与する観点から、冷感剤又は香料として機能する成分を含むことが好ましい。
冷感剤は、液との接触後にも持続的に揮発性及び冷感作用を発揮する観点から、難水溶性であることが好ましい。揮発成分10は、難水溶性で、かつ第1接着剤11の粘度の低下を促進する観点から、メントール、カンファー又は乳酸メンチルの少なくとも一つを含むことが好ましく、メントール及びカンファーを含むことがより好ましい。
なお、「難水溶性」とは、25℃の水(精製水)1Lに対して1g以下の溶解性であることを意味する。
揮発成分10は、種々の方法により吸収体4に配される。例えば、揮発成分10は、懸濁液や溶液の状態でナプキン1に配されてもよい。また、揮発成分10は、水分と接触して溶解するような可溶性マイクロカプセルの形態で吸収体4に配されてもよい。揮発成分10の配置方法としては、例えば、噴霧、塗布、浸漬、転写等が挙げられる。
また、着用中においても、第1接着剤11と揮発成分10とが接することで、第1接着剤11が流動性の高い状態となり得る。これにより、着用中において、第1接着剤11の塗工領域11r及びその近傍の柔軟性が高められ、着用感がより効果的に高められる。
更に、揮発成分10は、吸収性物品内に留まらずに、経時的に系外へと放出されていくので、第1接着剤11との接触量は経時的に減少していく。そのため、第1接着剤11の粘度を過度に低下させる可能性が極めて低いので、粘着力の極端な低下は生じない。なお、この効果を一層確実にするためには、生理用ナプキンのように、各吸収性物品を個別に包装用シートで包装する形態(個包装体)において、揮発成分が少量包装体の外部へ放出され得ることが好ましい。
例えば、個包装体において、揮発成分が少量包装体の外部へ放出されるための方法としては、包装用シートが通気性を有するものとする方法や、個包装体を形成するための包装シートのシールを間欠的なものとして通気性を確保する、等の方法が挙げられる。
図3の拡大図に示すように、揮発成分10は、吸収体4の肌対向面2a側の表面部4sにおいて、第1接着剤11に接することが好ましい。
表面部4sは、具体的には、コアラップシート8の後述する表面領域8a及び吸収体4の上面4aを含む。
つまり、第1接着剤11及び揮発成分10は、それぞれ、コアラップシート8の後述する表面領域8a又は吸収体4の上面4aの少なくとも一方に配されることが好ましい。
さらに、上記構成では、表面部4sにおける第1接着剤11の使用量を削減できるため、表面部4sが柔軟性を維持できる。表面部4sは、吸収体4において肌対向面2a側に位置し、着用時の感触に影響しやすい。したがって、上記構成により、吸収性物品(ナプキン1)の着用感が効果的に高められる。
加えて、上記構成では、第1接着剤11の流動性が揮発成分10によって高められることにより、第1接着剤11が表面部4sから吸収体4の内部へ染み出し易くなる。これにより、第1接着剤11の一部が吸収体4の内部へ移動し、第1接着剤11が吸収体4の表面部4sから減少し得る。吸収体4の表面部4sは、排泄された液の吸収経路中に位置する。したがって、上記構成により、第1接着剤11による当該液の吸収阻害が抑制され易くなる。
揮発成分10の排泄部対向領域4cの坪量は、好ましくは1.5g/m2以上、より好ましくは2.5g/m2以上である。
図2及び図3に示すように、コアラップシート8は、揮発成分10を含んでいてもよい。この場合、第1接着剤11はコアラップシート8に配されるともに、コアラップシート8において揮発成分10に接することが好ましい。
第1接着剤11は、例えば、コアラップシート8と吸収性コア7の間、又はコアラップシート8の後述する重なり部8cに配される。揮発成分10は、第1接着剤11に接するようにコアラップシート8に配される。
さらに、揮発成分10により、コアラップシート8に配される第1接着剤11の使用量が削減され、第1接着剤11の塗工領域11r及びその近傍の柔軟性が高められる。
したがって、上記構成により、吸収性物品(ナプキン1)の形状が十分に維持されることに加え、着用感が効果的に高められる。
図3に示すように、コアラップシート8は、吸収性コア7の周囲に横方向Yに巻回されている。コアラップシート8は、例えば、吸収性コア7の肌対向面2a側に位置する表面領域8aと、吸収性コア7の非肌対向面3a側に位置する裏面領域8bと、を有する。表面領域8aは、吸収性コア7の上面を覆い、吸収体4の上面4aを形成する。裏面領域8bは、吸収性コア7の下面を覆い、吸収体4の下面4bを形成する。
揮発成分10は、例えば、表面領域8aに少なくとも含まれる。第1接着剤11は、例えば、表面領域8aに配され、表面領域8aにおいて揮発成分10に接する。
一方、裏面領域8bは、例えば、コアラップシート8の横方向Yにおける側端部8eが重なっている重なり部8cを含む。重なり部8cは、例えば、第2接着剤12によって接合される。
なお、各図において、第1接着剤11と区別するため、第2接着剤12をグレーの線状のパターンで示している。
第2接着剤12の塗工パターンは特に限定されず、第2接着剤12の塗工部と非塗工部とが混在するように間欠に塗工されてもよいし、連続的に塗工されてもよい。第2接着剤12の塗工領域12rの柔軟性を高める観点からは、第2接着剤12は間欠的に塗工されることが好ましい。間欠塗工パターンの例としては、スパイラル状、サミット状、オメガ状、カーテン状、ストライプ状等が挙げられる。
以下の説明において、第2接着剤12の塗工領域12rとは、第2接着剤12の塗工部の外縁を囲んで得られた領域を意味し、非塗工部が含まれていてもよい。
加えて、上記構成では、表面領域8aの第1接着剤11の接着性が揮発成分10によって高められることで、排泄された液との接触によって接着不良が生じやすい表面領域8aの接合が維持され易くなる。これにより、第1接着剤11の使用量が削減され、肌対向面2a側にある第1接着剤11の塗工領域11r及びその近傍の柔軟性が高められる。したがって、着用感が効果的に高められる。
さらに、上記構成では、第1接着剤11が表面領域8aから吸収性コア7に染み出すことにより、排泄された液の吸収阻害が抑制され易くなる。
含有領域10rの幅W1とは、含有領域10rの横方向Yにおける幅のうち最大の幅を意味する。
第1接着剤11の塗工幅W2とは、第1接着剤11の塗工領域11rの横方向Yにおける幅のうち最大の幅を意味する。
第1接着剤11の塗工幅W2に対する揮発成分10の含有領域10rの幅W1の比率は、揮発成分10の含有領域10rと第1接着剤11の塗工領域11rとの重なりを大きくする観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上である。
なお、上記構成を確実に実現する観点から、吸収性物品の製造時において、揮発成分10は、第1接着剤11の塗工幅W2よりも大きな塗工幅で塗工されることが好ましい。揮発成分10の塗工幅は、揮発成分10の塗工領域の横方向Yにおける幅のうち最大の幅を意味する。
上記構成により、第1接着剤11の塗工領域11rの全幅において流動性が高められ、第1接着剤11の使用量がより効果的に削減され、吸収性物品(ナプキン1)の着用感がより効果的に高められる。
上記構成では、重なり部8cが第2接着剤12によって確実に接合されるとともに、重なり部8cと厚み方向Zに対向し吸収性コア7からの浮きが発生しやすい領域が、第1接着剤11によって接合される。これにより、吸収体4の形状がより確実に維持される。
さらに、上記構成では、第1接着剤11が揮発成分10に接しているため、第1接着剤11の使用量が削減され、第1接着剤11の塗工領域11rの柔軟性が維持される。したがって、平面視において塗工領域11r及び塗工領域12rが重なっていても、高い着用感が維持される。
第1接着剤11の塗工幅W2に対する第2接着剤12の塗工幅W3の比率は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下である。
第2接着剤12の塗工幅W3は、重なり部8cを確実に接合しつつ、ナプキン1の柔軟性を維持する観点から、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上であり、好ましくは60mm以下、より好ましくは50mm以下である。
第1接着剤11は、上記各構成の作用効果を十分に発揮する観点から、揮発成分10によって粘度が低下し易い、ホットメルト接着剤であることが好ましい。
ホットメルト接着剤としては、スチレン系、オレフィン系等が挙げられる。スチレン系ホットメルト接着剤としては、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、SBSの水素添加物であるスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、及びこれらの2種以上を混合したブレンド系ホットメルト接着剤等が挙げられる。
なお、第2接着剤12の塗工量は、確実に重なり部8cを接合する観点から、好ましくは0.5g/m2以上、より好ましくは1g/m2以上であり、好ましくは10g/m2以下、より好ましくは8g/m2以下である。
(第1接着剤11の塗工領域11rの平面視における配置例)
図1に示すように、第1接着剤11の塗工領域11rは、中間領域Cにおいて縦方向Xに延びていることが好ましく、さらに、前方領域Fから中間領域Cを通って後方領域Rまで延びていることが好ましい。これにより、吸収体4の形状が、広範囲にわたって良好に維持される。
なお、本明細書において、「縦方向Xに延びる」とは、縦方向Xに平行な直線状に延びている態様に限定されず、全体として前方から後方に向かって延びている態様を含む。
図1に示すように、第2接着剤12の塗工領域12rも、中間領域Cにおいて縦方向Xに延びていることが好ましく、前方領域Fから中間領域Cを通って後方領域Rまで延びていることがさらに好ましい。これにより、吸収体4の形状が、広範囲にわたって良好に維持される。
図1に示すように、揮発成分10の含有領域10rは、第1接着剤11の塗工領域11rの全体をカバーする観点から、中間領域Cにおいて縦方向Xに延びていることが好ましく、さらに、前方領域Fから中間領域Cを通って後方領域Rまで延びていることが好ましい。例えば、揮発成分10の含有領域10rは、吸収体4の縦方向X全長にわたって延びていることが好ましい。
まず、吸収性物品の対象部材又は対象部位を採取する。この際、揮発成分の揮発を抑制する観点から、例えば5℃のチャンバー内で吸収性物品を分解し、測定する部材又は部位を取り出すことが好ましい。
採取された対象部材又は対象部位の揮発成分を溶媒で抽出し、抽出溶液をガスクロマトグラフィ法(GC)で分析する。測定は、例えば、ガスクロマトグラフに取り付けた水素炎イオン化型検出器で行い、例えば、アジレント・テクノロジー株式会社製「7890A」により測定することができる。具体的には、予め揮発成分を構成する化合物の濃度とピーク面積の関係を検量線化しておき、当該検量線を元に定量作業を行う。これにより、対象部材又は対象部位における揮発成分を検出することができるともに、含有量を測定することができる。
揮発成分がメントール、乳酸メンチル又はカンファーのうちの少なくとも1つの冷感剤を含む場合を例に説明する。溶媒としてメタノールを使用して対象部材又は対象部位から上記冷感剤を抽出する。メタノールを溶媒として、予め濃度の異なる3~5段階程度の冷感剤溶液を準備し、GCのクロマトグラムからそれぞれの濃度のピーク面積を算出する。標準試料として、n-ペンチルアルコールを用い、標準試料の濃度に対してそのピーク面積をプロットした検量線を作成する。検量線を作成した分析と同じ条件で抽出液の分析を行うことで、得られたピーク面積を検量線にあてはめて冷感剤含有量を算出する。
揮発成分の坪量は、得られた含有量を、予め測定した対象部材又は対象部位の面積で除することにより、単位面積当たりの含有量として算出することができる。
揮発成分10として用いられる上記高揮発性香料成分としては、例えばアニソール、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、ギ酸ベンジル、酢酸イソボルニル、シトロネラール、シトロネロール、酢酸シトロネリル、パラシメン、デカナール、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメチルフェニルカルビノール、ユーカリプトール、1-カルボン、ゲラニアール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ゲラニルニトリル、酢酸ネリル、酢酸ノニル、リナロール、エチルリナロール、酢酸リナリル、フェニルエチルアルコール、α-ピネン、β-ピネン、γ-ピネン、α-ヨノン、β-ヨノン、γ-ヨノン、α-テルピネオール、β-テルピネオール、酢酸テルピニル、テンタローム等から選ばれた1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
コアラップシート8は、典型的には、親水性繊維を主体とする不織布、紙などのシート状物である。コアラップシート8に含まれる親水性繊維としては、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;キュプラ、レーヨン等の再生繊維;アテート等の半合成繊維;ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維に親水化処理を施した繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。コアラップシート8における親水性繊維の典型的なものは、天然繊維、セルロース系の再生繊維又は半合成繊維である。
コアラップシート8は、親水性繊維に加えてさらに、合成繊維(疎水性繊維)、例えば熱可塑性繊維を含んでいてもよい。熱可塑性繊維としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の単一の合成樹脂を用いて形成された単一繊維、あるいは、これら2種以上の複合体等の合成樹脂を用いて形成された複合繊維、例えば、2種以上の合成樹脂を用いて形成した芯鞘型、サイドバイサイド型等の複合繊維を用いることもできる。
コアラップシート8は、揮発成分10の揮発性を制御する観点から、空孔や空洞を有している化合物を含有していてもよい。空孔や空洞を有する化合物としては、ゼオライト、ムライト、カオリン等のアルミノ珪酸塩や、シクロデキストリン等が挙げられる。これにより、揮発成分10の急激な揮発が抑制され、揮発成分10による第1接着剤11の粘度を低下させる作用が持続的に発揮される。
さらに、コアラップシート8は、コアラップシート8を通過する液における菌の繁殖を抑制し、異臭を防止する等の観点から、抗菌剤を含んでいてもよい。抗菌剤は、抗菌性を有する成分であって、吸収性物品に使用可能な成分を特に制限なく含むことができ、1種の成分を単独で含んでいてもよく、2種以上の成分を含んでいてもよい。抗菌剤としては、銀、亜鉛又は銅等の金属、銀ゼオライト等の抗菌性金属担持物、有機系抗菌剤等が挙げられ、好ましくは有機系抗菌剤を用いることができる。「有機系抗菌剤」とは、有機化合物を主体とする成分を含む抗菌剤を意味する。抗菌剤は、有機系抗菌剤としてカチオン性抗菌剤を含むことが好ましい。カチオン性抗菌剤としては、特開平8-99841号公報の明細書の段落[0015]~[0018]に記載のものがある。その中でも、抗菌性及び安全性(皮膚への低刺激性)の観点から、カチオン性抗菌剤として、第四級アンモニウム塩を用いることが好ましい。第四級アンモニウム塩としては、アルキルピリジニウム塩、ベンゼトニウム塩、ベンザルコニウム塩、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。抗菌剤は、第四級アンモニウム塩として特にベンザルコニウム塩を含むことが好ましく、この中でも、高い水溶性を有し液に良好に溶解する観点から、塩化ベンザルコニウムを含むことが好ましい。
揮発成分10の含有領域10rは、図1~図3に記載の構成に限定されず、以下のような構成も採り得る。
以下の説明では、上述の第1実施形態と重複する説明は省略し、第1実施形態と異なる部分について説明する。
この場合の揮発成分10の含有領域10rの幅W1も、図4の構成と同様に、表面領域8aの横方向Yにおける幅に等しくなるため、第1接着剤11の塗工幅W2よりも大きくなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、吸収体4は、コアラップシート8を備えていなくてもよい。この場合、吸収体4は、例えば吸収性コア7によって形成され、第1接着剤11は、例えば、吸収性コア7(吸収体4)の上面又は下面に配される。揮発成分10は、例えば、第1接着剤11に接するように、吸収性コア7(吸収体4)の上面又は下面に配される。
例えば、吸収性コア7が吸収性シートの層構造で構成されていた場合、第1接着剤11は、各層間を接合するものであってもよい。この場合、揮発成分10は、第1接着剤11に接するように、吸収性コア7の内部に配される。
2…表面シート
3…裏面シート
4…吸収体
10…揮発成分
11…第1接着剤
Claims (6)
- 肌対向面を形成する表面シートと、非肌対向面を形成する裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配された吸収体と、を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、
第1接着剤と、
前記第1接着剤に直接接し、前記第1接着剤の粘度を低下させる揮発成分と、を含み、
前記吸収体は、さらに、
吸収性コアと、
前記吸収性コアを被覆するコアラップシートと、を備え、
前記コアラップシートは、
前記揮発成分を含み、前記吸収性コアの前記肌対向面側に位置する表面領域と、
前記吸収性コアの前記非肌対向面側に位置する裏面領域と、を有し、
前記第1接着剤は、前記表面領域に配され、前記表面領域において前記揮発成分に直接接し、
前記表面領域において、前記揮発成分の含まれる領域の前記横方向における幅は、前記第1接着剤の前記横方向における塗工幅よりも広い
吸収性物品。 - 前記吸収性物品は、前記縦方向に沿って、前方領域と、中間領域と、後方領域と、に区分され、
前記吸収体は、前記中間領域において、前記横方向における中央部に位置する排泄部対向領域と、前記排泄部対向領域の前記横方向における側部に位置する周辺領域と、に区分され、
前記第1接着剤は、少なくとも前記排泄部対向領域に配され、
前記揮発成分は、前記周辺領域よりも前記排泄部対向領域に多く含まれる
請求項1に記載の吸収性物品。 - 前記裏面領域は、前記コアラップシートの前記横方向における側端部が重なっている重なり部を含み、
前記重なり部は、第2接着剤によって接合される
請求項1又は2に記載の吸収性物品。 - 平面視において、前記第1接着剤の塗工領域は、前記第2接着剤の塗工領域と重なっている
請求項3に記載の吸収性物品。 - 前記第1接着剤は、軟化点が100℃以下のホットメルト接着剤である
請求項1から4のいずれか一項に記載の吸収性物品。 - 肌対向面を形成する表面シートと、非肌対向面を形成する裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配された吸収体と、を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有する吸収性物品の製造方法であって、
前記吸収体に、第1接着剤を塗工する工程と、該第1接着剤の粘度を低下させる揮発成分を前記第1接着剤に直接接するように配置する工程と、を含み、
前記揮発成分は、前記第1接着剤の塗工幅よりも、大きな塗工幅で塗工される
吸収性物品の製造方法。
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