JP2017000217A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】着用時の体圧及び着用者の大腿部による内向きの押圧力により、吸収性物品の全体に香りを行き渡らせることができると共に、香料が持続的に香り立ち、香料を十分に香り立たせることができる吸収性物品を提供すること。【解決手段】吸収性物品1は、表面シート2、裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を具備する。表面シート2は、肌対向面側に突出し内部空間S1を有する肌側突出部21を有する。吸収体4は、排泄部対向部Bにスリット43を有する。吸収体4は、排泄部対向部Bに位置する内部に香料9が配置されている。吸収体4を断面視したときに、スリット43は、香料9が配置された面にまで達している。【選択図】図2

Description

本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
香料が付与された吸収性物品として、例えば特許文献1及び特許文献2に記載の吸収性物品が知られている。特許文献1には、香料物質が付与された部位が、製品厚み方向の最も外側の面に配されている吸収性物品が記載されている。特許文献1に記載の吸収性物品によれば、香料物質が付与された部位が最も外側の面に配されているので、着用前から香料を十分に香り立たせることができる。
また、特許文献2には、表面シートと裏面シートとの間に位置する吸収体に香料物質を付与した吸収性物品が記載されている。特許文献2に記載の吸収性物品によれば、表面シートと裏面シートとの間の吸収体に香料物質が付与されているので、香料を持続的に香り立たせることができる。
特開2014−113302号公報 特開2010−110443号公報
しかし、特許文献1に記載の吸収性物品は、香料物質が付与された部位が最も外側の面に配されているので、着用前から香料が香り立たち、香料を持続的に香り立たせることが難しい。また、特許文献1には、着用時の体圧及び着用者の大腿部による内向きの押圧力により、吸収性物品の全体に香りを行き渡らせる構成に関して、何ら記載されていない。
また、特許文献2に記載の吸収性物品は、表面シートと裏面シートとの間の吸収体に香料物質が付与されているので、香料が持続的に香り立ち易い一方、香りが吸収体内部に籠り易く、香料を香り立たせることが難しい。また、特許文献2には、着用時の体圧及び着用者の大腿部による内向きの押圧力により、吸収性物品の全体に香りを行き渡らせる構成に関して、何ら記載されていない。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
本発明は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備し、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部と、該排泄部対向部より着用者の腹側に配される前方部と、該排泄部対向部より着用者の背側に配される後方部とを有する吸収性本体を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有する吸収性物品であって、前記表面シートは、肌対向面側に突出し内部空間を有する複数の肌側突出部を有しており、前記吸収体は、前記排泄部対向部にスリットを複数有しており、前記吸収体は、前記排泄部対向部に位置する内部に香料が配置されており、前記吸収体を前記横方向に沿って断面視したときに、前記スリットは、前記香料が配置された面にまで達している吸収性物品を提供するものである。
本発明によれば、着用時の体圧及び着用者の大腿部による内向きの押圧力により、吸収性物品の全体に香りを行き渡らせることができると共に、香料が持続的に香り立ち、香料を十分に香り立たせることができる。
図1は、本発明の吸収性物品の好ましい一実施形態である生理用ナプキンの肌対向面側(表面シート側)を示す平面図である。 図2は図1のII−II線断面を模式的に示す端面図である。 図3は、図1に示す生理用ナプキンの備える表面シートの要部拡大斜視図である。 図4は、図3に示す表面シートの要部拡大模式断面図である。 図5は、図1に示す生理用ナプキンの備える吸収体の平面図である。 図6(a)ないし図6(b)は、図5に示す吸収体の排泄部スリット領域における縦スリットの好ましい配置を示す部分拡大平面図である。 図7は、本発明の吸収性物品の備える他の実施形態の表面シートの要部拡大斜視図である。
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキン1(以下、「ナプキン1」とも言う。)に基づき図面を参照して説明する。図1には、本実施形態のナプキン1を表面シート側から視た平面図が示されており、図2には、本実施形態のナプキン1の断面図が示されている。本実施形態のナプキン1は、図1及び図2に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を具備する吸収性本体10を有している。
ナプキン1の吸収性本体10は、図1に示すように、着用時に着用者の排泄部(膣口等)に対向配置される排泄部対向部Bと、該排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方部Aと、該排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方部Cとを有している。ナプキン1及び吸収性本体10は、着用者の前後方向に対応する縦方向X及び該縦方向Xに直交する横方向Yを有する。即ち、吸収性本体10は、縦方向Xに、前方部A、排泄部対向部B及び後方部Cの順番で区分される。
尚、本明細書において、肌対向面は、ナプキン1又はその構成部材(例えば吸収性本体10)における、ナプキン1の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、ナプキン1又はその構成部材における、ナプキン1の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。また、縦方向Xは、ナプキン1及び吸収性本体10の長手方向に一致し、横方向Yは、ナプキン1及び吸収性本体10の幅方向(長手方向に直交する方向)に一致する。
本実施形態では、ナプキン1は、図1及び図2に示すように、吸収性本体10に加えて更に、吸収性本体10における排泄部対向部Bの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部10W,10Wを有している。
尚、本発明の吸収性物品において、排泄部対向部Bは、本実施形態のナプキン1のようにウイング部10Wを有する場合には、吸収性物品の縦方向(吸収性物品の長手方向、図中のX方向)においてウイング部10Wを有する領域(一方のウイング部10Wの縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部10Wの縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。ウイング部を有しない吸収性物品における排泄部対向部は、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向(吸収性物品の幅方向、図中のY方向)に横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。
ナプキン1では、表面シート2は、図2に示すように、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述するサイドシート5と共にサイドフラップ部10Sを形成している。裏面シート3とサイドシート5とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。尚、表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。
ナプキン1では、サイドシート5は、図1及び図2に示すように、吸収性本体10の肌対向面(表面シート2の肌対向面)における縦方向Xに沿う両側部に配されている。好適には、サイドシート5は、平面視において吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、吸収性本体10の縦方向Xの全長に亘って配されている。
ナプキン1では、一対のサイドシート5,5は、それぞれ、図1に示すように、排泄部対向部Bに位置する線状の第1接合線61と、該第1接合線61の縦方向Xの前後(前方部A及び後方部C)に位置する線状の第2接合線62とで表面シート2に接合されている。第1接合線61は、平面視において横方向Yの外方に向けて凸の曲線状であり、第2接合線62は、平面視において縦方向に交互に交差するように延びる線状(ジグザグ線状)である。このように、サイドシート5が、第1接合線61及び第2接合線62にて表面シート2に接合されて、吸収性本体10の肌対向面に固定されると、図2に示すように、第1接合線61及び第2接合線62よりも横方向Yの内方に、サイドシート5と表面シート2とで画成される空間部Pが形成される。この空間部Pは、吸収性本体10の横方向Yの中央に向けて開口しているので、横方向Yの中央から外方へ流れる経血等の体液が空間部Pに収容されるようになり、結果として体液の漏れが効果的に防止できる。
ナプキン1では、サイドフラップ部10Sは、図1に示すように、排泄部対向部Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体10の縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部10W,10Wが延設されている。また、表面シート2及び裏面シート3は、図1に示すように、吸収体4の縦方向Xの前端及び後端それぞれから縦方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されてエンドシール部を形成している。
ウイング部10Wは、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面側に折り返されて用いられるものである。ナプキン1では、ウイング部10Wは、図1に示すように、平面視において、下底(上底よりも長い辺)が、吸収性本体10の縦方向Xに沿う側部側に位置する略台形形状を有している。図2に示すように、ウイング部10Wの非肌対向面には、該ウイング部10W(ナプキン1)をショーツ等の着衣(図示せず)に固定するウイング部粘着部71が形成されており、このウイング部粘着部71によって、使用時に、着衣のクロッチ部の非肌対向面(外面)側に折り返されたウイング部10Wを、該クロッチ部に粘着固定できるようになされている。また、図2に示すように、吸収性本体10の非肌対向面にも、吸収性本体10を、ショーツ等の着衣に固定するための本体粘着部72(ズレ止め部)が形成されている。
ナプキン1では、図1及び図2に示すように、吸収性本体10の肌対向面(表面シート2の肌対向面)に、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥してなる線状圧搾溝8が形成されている。線状圧搾溝8における「線状」とは、溝(凹陥部)の形状が平面視において直線に限られず、曲線を含んでいることを意味する。尚、各線は、連続線でも破線でもよい。例えば、線状圧搾溝8は、不連続な多数の点エンボスのなす列から構成されていてもよい。線状圧搾溝8は、前方部A及び後方部Cに、それぞれ横方向Yに延びる第1横圧搾溝81と、排泄部対向部Bの両側部を縦方向Xに延びる縦圧搾溝82とを有している。ナプキン1では、前方部A及び後方部Cの第1横圧搾溝81は、縦方向X外方に向けて凸の曲線状であり、各縦圧搾溝82は、横方向Y内方に向けて凸の曲線状である。ナプキン1では、前方部Aの第1横圧搾溝81、一方の縦圧搾溝82、後方部Cの第1横圧搾溝81、及び他方の縦圧搾溝82が繋がってリング状の全周溝を形成している。また、ナプキン1では、線状圧搾溝8は、前方部A及び後方部Cの第1横圧搾溝81よりも縦方向X内方に、それぞれ、横方向Yに延びる第2横圧搾溝83,83を有している。ナプキン1では、前方部A及び後方部Cの第2横圧搾溝83,83は、縦方向X外方に向けて凸の曲線状である。尚、ナプキン1の第2横圧搾溝83,83はいずれも、図1に示すように、一対の縦圧搾溝82,82と繋がっていないが、繋がっていてもよい。このように形成された線状圧搾溝8は、吸収体4の平面方向への体液の拡散を抑制して、ナプキン1の周囲から液漏れを効果的に防止することができる。
ナプキン1の表面シート2について詳述すると、表面シート2は、図3及び図4に示すように、肌対向面側に突出し内部空間S1を有する複数の肌側突出部21を有している。好適に、ナプキン1では、表面シート2は、複数の肌側突出部21と、非肌対向面側に突出し内部空間S2を有する複数の非肌側突出部22とを有している。表面シート2を平面視したときに、肌側突出部21及び非肌側突出部22は、互いに交差する異なる2方向に沿って交互に連続して配されている。ここで、異なる2方向は、その平面内における任意の第1方向とそれに交差する第2方向とが、30度以上90度以下の角度で交差していることが好ましく、例えばナプキン1では90度で交差している。即ち、例えばナプキン1では、2方向の内の一方向が横方向Yであり、2方向の内の他方向が縦方向Xである。従って、表面シート2を平面視したときに、肌側突出部21及び非肌側突出部22は、縦方向X及び横方向Yに沿って交互に連続して配されている。尚、図4に示す形態では、肌対向面側から見た凸部が肌側突出部21であり、凹部が非肌側突出部22となる。逆に、非肌対向面側から見た凸部が非肌側突出部22であり、凹部が肌側突出部21となる。したがって、肌側突出部21と非肌側突出部22とは一部が共有されている。
ナプキン1では、表面シート2に関し、図3及び図4に示すように、肌側突出部21は、その頂部21Tとその内部空間S1の開口部21Hとの間に環状構造の壁部21Wを有している。また、非肌側突出部22は、その頂部22Tとその内部空間S2の開口部22Hとの間に環状構造の壁部22Wを有している。ナプキン1では、肌側突出部21及び非肌側突出部22は、その頂部21T及び頂部22Tが丸みをもった円錐台形状若しくは半球状にされている。複数の非肌側突出部22の頂部22Tは、その周囲部よりも繊維の密度が低くなっており、透孔23を有していることが好ましい。図3及び図4に示した実施形態においては、非肌側突出部22は、頂部22Tに貫通した透孔23を有している。非肌側突出部22が透孔23を有する場合、複数の非肌側突出部22の頂部22Tの一部が透孔23を有していてもよく、複数の非肌側突出部22の頂部22Tの全てが透孔23を有していてもよい。また、表面シート2は、貫通する透孔23を有する頂部22Tと、透孔23を有さずに繊維密度が低くなっている頂部22Tとの双方を備えた非肌側突出部22を有するものであっても良い。
ナプキン1の表面シート2が有する肌側突出部21及び非肌側突出部22をより詳細に見れば、肌側突出部21の突出形状は半球状であり、他方、非肌側突出部22の突出形状は頂部に丸みのある円錐ないし円錐台形状になっている。尚、肌側突出部21及び非肌側突出部22の突出形状は、前記形状に限定されず、どのような突出形状でもよい。例えば、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等の錐体形状であってもよい。ナプキン1では、肌側突出部21及び非肌側突出部22は、その外径と相似する頂部に丸みのある円錐台形状若しくは半球状の内部空間S1及び内部空間S2を保持している。
表面シート2を肌対向面側から平面視したときに、肌側突出部21の壁部21Wは、肌側突出部21の頂部21Tを中心に環状構造をなしている。また、表面シート2を非肌対向面側から平面視したときに、非肌側突出部22の壁部22Wは、非肌側突出部22の頂部22Tを中心に環状構造をなしている。そして、肌側突出部21の壁部21Wは、図4に示すように、非肌側突出部22の壁部22Wの一部分と部位を共有している。ここで「環状」とは、表面シート2の平面視において無端の一連の形状をなしていれば特に限定されず、表面シート2の平面視において、円形、楕円形、矩形、多角形など、どのような形状であってもよい。表面シート2の連続状態を好適に維持する観点からは、円形又は楕円形が好ましい。更に、「環状」を立体形状として言えば、円柱状、斜円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭斜円錐状、切頭楕円錐状、切頭四角錐状、切頭斜四角錐状など任意の環構造が挙げられ、連続したシート状態を実現する観点からは、円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭楕円錐状が好ましい。
上述のように設けられた肌側突出部21及び非肌側突出部22を有する表面シート2は、屈曲部を有さず、全体が連続した曲面で構成されている。このように表面シート2は、平面方向に連続した構造を有していることが好ましい。ここで「連続」とは、断続した部分、或いは非肌側突出部22の頂部22Tに形成された透孔23以外の小孔がないことを意味する。ただし、繊維間の隙間のような微細孔は前記小孔に含めない。透孔23を含む前記小孔とは、例えば、その孔径が円相当の直径で1.0mm以上のものと定義することができる。
また、ナプキン1では、表面シート2を前記互いに交差する異なる2方向の内の一方向に沿って断面視したときに、複数の肌側突出部21の内部空間S1どうしが繋がっている。好適に、ナプキン1では、各内部空間S1が隔てられておらず(独立しておらず)、図4に示すように、例えば前記2方向の内の一方向である横方向Yに沿って表面シート2を断面視したときに、縦方向Xと横方向Yとの間の斜め方向に隣り合う複数の肌側突出部21の内部空間S1,S1どうしが繋がっており、内部空間S1,S1どうしの繋がりが、縦方向X及び横方向Yから形成される面方向に広がっている。
ナプキン1では、表面シート2は、その厚み方向に関して、構成繊維の繊維密度が相違している。ここで、繊維密度とは、表面シート2の単位体積当たりの繊維の質量のことである。繊維密度が高いとは、表面シート2の単位体積あたりに存在する繊維の量が多く、繊維間距離が小さいことを意味する。繊維密度が低いとは、表面シート2の単位体積あたりに存在する繊維の量が少なく、繊維間距離が大きいことを意味する。即ち、繊維密度が高い部位は毛管力が高く、繊維密度が低い部位は毛管力が低くなることを意味する。
好適に、ナプキン1では、肌側突出部21の壁部21Wは、その繊維密度が、肌側突出部21の頂部21Tの繊維密度よりも高くなっている。更に好適には、ナプキン1では、非肌側突出部22に形成された透孔23を含む頂部22Tの繊維密度が最も低くなっている。即ち、透孔23を含む頂部22T<肌側突出部21の頂部21T<肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)の順に、繊維密度が高くなっている。したがって、毛管力に関しても、透孔23を含む頂部22T<肌側突出部21の頂部21T<肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)の順に毛管力が高くなっている。この場合、繊維密度及び毛管力は、透孔23を含む頂部22T<肌側突出部21の頂部21T<肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)の順の順に連続的に漸次増加していてもよく、あるいはステップ状に段階的に増加していてもよい。
このように、表面シート2の肌側突出部21から非肌側突出部22にわたる粗密変化による毛管力差により、表面シート2の肌側面から吸収した経血等の排泄物を非肌側面に移行し易くなり、表面シート2の肌側面における排泄液残り量や液戻り量を低減することが出来る。また、透孔23を含む頂部22Tの繊維密度が低いことで、排泄液が吸収体4に移行し易くなるので、排泄液の吸収される速度が速くなると共に、吸収体4に付与した香料成分を吸収性物品であるナプキン1の内部から外部に拡散させやすくなる。
表面シート2の繊維密度の値は、非肌側突出部22の頂部22Tに関しては、2本/mm以上、特に10本/mm以上であることが好ましく、100本/mm以下、特に80本/mm以下であることが好ましく、具体的には、2本/mm以上100本/mm以下であることが好ましく、10本/mm以上80本/mm以下であることが更に好ましい。また、肌側突出部21の頂部21Tに関しては、30本/mm以上、特に50本/mm以上であることが好ましく、130本/mm以下、特に120本/mm以下であることが好ましく、具体的には、30本/mm以上130本/mm以下であることが好ましく、50本/mm以上120本/mm以下であることが更に好ましい。また、肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)に関しては、30本/mm以上、特に50本/mm以上であることが好ましく、200本/mm以下、特に150本/mm以下であることが好ましく、具体的には、30本/mm以上200本/mm以下であることが好ましく、50本/mm以上150本/mm以下であることが更に好ましい。肌側突出部21の頂部21Tの繊維密度は、頂部21Tにおける層厚みTL1の中央付近の位置で測定される。非肌側突出部22の頂部22Tの繊維密度は、頂部22Tにおける層厚みTL2の中央付近の位置で測定される。肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)の繊維密度は、壁部21Wにおける層厚みTL3の中央付近の位置で測定される。繊維密度の測定方法は以下のとおりである。
<繊維密度の測定方法>
表面シート2の切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30〜60本程度計測できる倍率に調整;150〜500倍)し、一定面積当たり(0.5mm程度)の前記切断面によって切断されている繊維の断面数を数える。次に1mm当たりの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度とする。測定は3箇所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とする。
・走査電子顕微鏡;日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)
また、表面シート2は、その圧縮率が、着用時の体圧及び着用者の大腿部による内向きの押圧力により、吸収性物品の全体に香りを行き渡らせる観点から、40%以上、特に60%以上であることが好ましく、95%以下、特に90%以下であることが好ましく、具体的には、40%以上95%以下であることが好ましく、60%以上90%以下であることが更に好ましい。表面シート2の圧縮率は、KES圧縮試験機を用いて測定することができる。KES圧縮試験機を用いて測定された値が大きいほど、クッション性に優れると評価できる。KES圧縮試験機による表面シート2の圧縮率は、「風合いの評価の標準化と解析(第2版)」〔川端季雄著、社団法人日本繊維機械学会 風合い計量と規格化研究委員会発行(昭和55年7月10日)〕に規定されており、布の圧縮特性に関する物性である。KES圧縮試験機による表面シート2の圧縮率の測定方法は以下のとおりである。
<圧縮率の測定方法>
測定装置として、カトー・テック社製のKES−FB3圧縮試験機を用いる。この試験機を用い、圧縮面積2cmで試料(表面シート2)の0.5gf/cm荷重下での厚みTを測定する。次に加圧速度10μm/秒で試料を圧縮する。圧縮に連れて荷重が増加していく。圧縮は荷重が50gf/cmとなるまで行う。そして、50gf/cm荷重下での厚みTを測定する。厚みTから厚みTを引いた値を厚みTで除し、これに100を乗じることで、圧縮試験機による表面シート2の圧縮率(%)を算出する。つまり、圧縮率(%)は、(T−T)/T×100から算出される。
また、表面シート2は、その圧縮エネルギーが、着用時の体圧及び着用者の大腿部による内向きの押圧力により、吸収性物品の全体に香りを行き渡らせる観点から、0.98mN・m/cm以上、特に3.43mN・m/cm以上であることが好ましく、9.8mN・m/cm以下、特に6.86mN・m/cm以下であることが好ましく、具体的には、0.98mN・m/cm以上9.8mN・m/cm以下であることが好ましく、3.43mN・m/cm以上6.86mN・m/cm以下であることが更に好ましい。表面シート2の圧縮エネルギーは、KES圧縮試験機を用いて測定することができる。KES圧縮試験機を用いて測定されたWC値が大きいほど、表面シート2ふんわりしていると評価できる。KES圧縮試験機による表面シート2の圧縮エネルギーの測定方法は以下のとおりである。
<圧縮エネルギーの測定方法>
測定装置として、カトー・テック社製のKES−G5ハンディー圧縮試験機を用いる。この試験機を用い、5cm×10cmの試料(表面シート2)を準備し、試験台に取り付ける。次に、その資料を面積2cmの円形平面を持つ鋼板間で圧縮する。圧縮速度は20μm/sec、圧縮最大荷重は4.9kPaとする。回復過程も同一速度で測定を行う。表面シート2の圧縮エネルギー(WC)は次式で表される。T、T及びPは、それぞれ4.9kPa(50gf/cm2)荷重時の厚み、49Pa(0.5gf/cm2)荷重時の厚み及び測定時の荷重を示す。
Figure 2017000217
また、表面シート2の厚さに関しては、表面シート2を図4に示すように側面視したときの全体の厚さをシート厚みTとし、その凹凸に湾曲した表面シート2の局部的な厚さを層厚みTとする。シート厚みTは、0.5mm以上6.0mm以下が好ましく、0.9mm以上2.0mm以下がより好ましい。この範囲とすることにより、使用時の体液吸収速度が速く、吸収体からの液戻りを抑え、更に、適度なクッション性を実現することができる。
層厚みTは、表面シート2内の各部位において異なっていてもよく、肌側突出部21の頂部21Tにおける層厚みTL1>肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)における層厚みTL3>非肌側突出部22の頂部22Tにおける層厚みTL2の順に、小さくなっていることが好ましい。これにより、肌側突出部21の頂部21Tにおいて、特に肌対向面側では、繊維密度が低く、良好な肌当たりを実現することができる。一方、肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)は繊維密度が高くなり、潰れにくく、型崩れせずに良好なクッション性と液体の吸収速度に優れた表面シート2とすることができる。
シート厚みT及び層厚みTは以下の方法で測定される。
シート厚みTの測定方法は、表面シート2に0.05kPaの荷重を加えた状態で、厚み測定器を用いて測定する。厚み測定器にはオムロン社製のレーザー変位計を用いる。厚み測定は、10点測定し、それらの平均値を算出して厚みとする。また、層厚みTの測定法は、フェザー剃刀(品番FAS‐10、フェザー安全剃刀(株)製)を用いて表面シート2を厚み方向に沿って切断する。そして、切断したシートの断面をキーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−900により約20倍程度で拡大することで、各層の厚みを測定する
表面シート2を平面視したときに最も近い位置にある肌側突出部21の頂部21Tと非肌側突出部22の頂部22Tとの間隔は、1mm以上15mm以下が好ましく、3mm以上10mm以下がより好ましい。また、表面シート2における横方向Yに隣り合う肌側突出部21の頂部21T,21Tどうしの間隔L21(図4参照)は、2mm以上30mm以下が好ましく、3mm以上15mm以下がより好ましい。また、表面シート2における縦方向Xに隣り合う肌側突出部21の頂部21T,21Tどうしの間隔は、2mm以上30mm以下が好ましく、3mm以上15mm以下がより好ましい。また、表面シート2の坪量は、用途によって適宜選択すればよく、生理用品等の吸収性物品用の表面シートとして用いる場合、シート全体の平均値で15g/m以上50g/m以下が好ましく、20g/m以上40g/m以下がより好ましい。
ナプキン1では、吸収体4は、排泄部対向部Bにスリット43を複数有している。好適には、ナプキン1では、図1及び図5に示すように、各スリット43は、縦方向Xに平行に配されている。即ち、各スリット43は、縦方向Xに延びる縦スリットである。ナプキン1では、縦方向Xに延びるスリット(縦スリット)43が、縦方向X及び横方向Yの両方向に分散した状態に形成された排泄部スリット領域4Sを有している。更に好適に、吸収体4は、図5に示すように、吸収体4を平面視して、吸収体4の外形を形成する主吸収体40と、排泄部対向部Bに配された主吸収体40よりも小型の補助吸収体41とを有している。吸収体4は、図2に示すように、補助吸収体41を主吸収体40で包んで形成されている。ナプキン1では、吸収体4が吸収性シート411〜412の積層体から形成されている。
ナプキン1では、主吸収体40は、図2に示すように、1枚の吸収性シート411から形成されており、補助吸収体41の肌対向面側に配され、補助吸収体41を包むように、吸収性シート411の縦方向Xに沿う両側部をそれぞれ、補助吸収体41の非肌対向面側に折り畳んで2層構造としたものである。2層構造の主吸収体40は、平面視して、角が丸みを帯びた略矩形形状であり、前方部Aから排泄部対向部Bを経て後方部Cに亘って延びている。また、ナプキン1では、補助吸収体41は、図2に示すように、1枚の吸収性シート412から形成されており、吸収性シート412の縦方向Xに沿う両側部の一方を、該両側部の間の中央部41Cの肌対向面側に折り畳み、更に両側部の他方を、折り畳んだ一方の側部上に折り畳んで3層構造としたものである。3層構造の補助吸収体41は、平面視して、略矩形形状であり、排泄部対向部Bに配されている。以上のように、ナプキン1では、吸収性シート412から形成された3層構造の補助吸収体41を、吸収性シート411から形成された主吸収体40で包んで形成されている。
吸収性シート411〜412で形成された吸収体4は、図2に示すように、排泄部対向部Bに、2層構造の主吸収体40及び3層構造の補助吸収体41で形成された5層構造の中高部42を有している。また、吸収体4における中高部42以外の部分も2層構造の主吸収体40で形成された2層構造の積層構造となっている。ここで、中高部42とは、その周囲に位置する部分よりも厚みが厚く、排泄部対向部Bに、表面シート2側(ナプキン1の肌対向面側)に隆起した隆起部を形成している部分のことである。ナプキン1においては、中高部42は、図2に示すように、吸収体4を構成する吸収性シートの積層枚数が、その周囲に位置する部分より多い部分である。主吸収体40の一部に3層構造の補助吸収体41を配することで、吸収体4の一部の吸収容量を容易且つ効率的に増大させることができる。各吸収性シート411〜412の層間は、接合されていなくてもよいし、ストライプ状等の部分的な接着剤配置によって部分的に接合されていてもよい。このように、各吸収性シート411〜412の層間が未接合、または部分的に接着していることで、前記吸収性シート411〜412の層間に空隙が生じること、また吸収性シート411〜412の層の表面積が低減されないことから、吸収量、及び吸収速度は維持されるとともに、吸収性シート間に空隙が、香りを拡散させる道筋となり、ナプキン1全体に香りを行き渡らせやすい。
ナプキン1の吸収体4は、中高部42における厚みが、好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは1mm以上であり、また、好ましくは5mm以下、更に好ましくは4mm以下であり、より具体的には、好ましくは0.7mm以上5mm以下、更に好ましくは1mm以上4mm以下である。中高部42の厚みをこのような範囲とすることで、中高部42が形成されている排泄部対向部Bにおける良好な装着感と高い吸収性能を両立することが容易となる。また、本実施形態のナプキン1のように吸収性物品がウイング部を備えている場合には、装着時に排泄部対向部Bでの吸収体4のヨレを抑制しやすくなる。また、吸収体4は、中高部42以外の部分における厚みが、好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは3mm以下、更に好ましくは2.5mm以下であり、より具体的には、好ましくは0.3mm以上3mm以下、更に好ましくは0.5mm以上2.5mm以下である。この範囲であることが、高い吸収性能と着用者の動きへの追従性を高める観点から好ましい。
また、ナプキン1の吸収体4において、中高部42とその周辺部との境界又はその近傍における両者の厚み差(段差)は2mm以下であることが好ましく、更に1.5mm以下であることが好ましい。この目的は、排泄部対向部Bにおいて、中高部42とその周辺部分の主吸収体40のみが存在する領域との境界付近におけるヨレの発生を抑制することである。この段差が大きいと、着用中にナプキン1が着用者の動きに追従した際、段差による隙間を埋めようとするため、結果として段差の影響でヨレが生じ易くなることがあるが、該段差を前記範囲内に設定とすることで、排泄部対向部Bにおけるヨレの発生を抑える効果が高まる。前述した吸収体4の各部の厚みは下記方法により測定される。
<吸収体の厚みの測定方法>
測定対象物である吸収体を水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、5cN/cm2の荷重下での厚みを測定する。厚みの測定には、ダイヤルゲージ式厚み計(PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製))を用いる。このとき、厚み計の先端部と測定対象物における測定部分との間に、平面視円形状又は正方形状のプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、荷重が5cN/cm2となるようにプレートの大きさを調整する。
ナプキン1では、吸収体4は、図2に示すように、排泄部対向部Bに位置する内部に香料9が配置されている。好適には、香料9は、補助吸収体41に塗工されている。更に好適には、香料9は、ナプキン1では、吸収性シート412の中央部41Cの肌対向面に塗工され、且つ、縦方向Xに平行に補助吸収体41の縦方向Xの前後端に亘って塗工されている。上述したように、補助吸収体41は、排泄部対向部Bに配されており、主吸収体40で包まれているので、ナプキン1の吸収体4は、排泄部対向部Bに位置する内部に香料9が塗工されている形態となっている。
塗工される香料9としては、大気圧下で香気成分を大気中に蒸散し得るものであればよく、常温常圧の環境下で、その香気を知覚し得る通常の香料を特に制限なく用いることができ、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものも用いることができる。例えば、香料9としては、沸点が約250℃以下の高揮発性香料成分、又は沸点が約250〜約300℃の中揮発性香料成分が好ましく用いられる。
前記高揮発性香料成分としては、例えばアニソール、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、ギ酸ベンジル、酢酸イソボルニル、シトロネラール、シトロネロール、酢酸シトロネリル、パラシメン、デカナール、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメチルフェニルカルビノール、ユーカリプトール、1−カルボン、ゲラニアール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ゲラニルニトリル、ネロール、酢酸ネリル、酢酸ノニル、リナロール、酢酸リナリル、フェニルエチルアルコール、α−ピネン、β−ピネン、γ−ピネン、α−ヨノン、β−ヨノン、γ−ヨノン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、酢酸テルピニル、テンタローム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記中揮発性香料成分としては、例えばアミルシンナムアルデヒド、ジヒドロジャスモン酸メチル、サリチル酸イソアミル、β−カリオフィレン、セドレン、セドリルメチルエーテル、桂皮アルコール、クマリン、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エチルバニリン、オイゲノール、イソオイゲノール、γ−メチルヨノン、ヘリオトロピン、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、フェニルヘキサノール、バニリン、ペンタライド等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、塗工される香料9としては、前述の高揮発性及び中揮発性香料成分以外に、或いはこれら香料成分に加えて更に、ラベンダー香調、ジャスミン香調、イランイラン香調を有する香料を含有した香料組成物を用いることもできる。斯かる香料組成物としては、例えば、ラバンジュロール、ジャスマール、シクロピデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、塗工される香料9には、前述した香料組成物の単体、及び天然精油や調合ベースのように、「複数の香料によって構成される香料素材が組み合わされたもの(香料組成物)で、溶剤によって希釈・調整されたもの」が含まれる。例えば、香料9として、ラベンダー、ジャスミン、イランイラン様香気を有する香料を含有する香料組成物を用いることで、該香料から生じる香気の作用によって、月経随伴性症状の中でも特に精神的な不快症状を、身体に物理的刺激を与えること無く、また経口投与にもよらず、安全且つ簡便に緩和させることが可能になる。これに加え、快適感も得られる。
香料9の塗工は、使用される香料9を適当な溶媒(例えば水、エタノール、低分子炭化水素類、液体LPGガス、ジメチルエーテル等)に希釈したものや原液そのものを、例えば、吸収性シート412の中央部41Cの肌対向面に塗布、噴霧又は含浸させて塗工する方法等が挙げられる。
塗工される香料9の、吸収性物品1枚当たりの含有量は0.5〜10.0mgが好ましく、特に1.5〜5.0mgであることが好ましい。
更に、ナプキン1では、補助吸収体41の質量に対する、塗工される香料9の質量の割合((香料の塗工質量(mg)/補助吸収体の質量(mg)×100)は、ナプキンを香り立たせる観点から、0.06%以上であることが好ましく、0.25%以上であることが更に好ましく、6.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることが更に好ましく、そして0.06%以上6.0%以下が好ましく、0.25%以上2.0%以下が更に好ましい。なお、香料9は、排泄部対向部Bの両側部を縦方向Xに延びる一対の縦圧搾溝82,82の間にのみ配置されていることが好ましい。本実施形態のナプキン1においては、吸収体4の補助吸収体41を形成する吸収性シート412にのみ香料9が塗工されることによって、香料9が一対の縦圧搾溝82,82の間にのみ配置されている。
ナプキン1では、吸収体4を横方向Yに沿って断面視したときに、スリット(縦スリット)43が、香料9が配置(塗工)された面にまで達している。ここで、香料9が配置(塗工)された面とは、例えばナプキン1では、補助吸収体41を形成する吸収性シート412の中央部41Cの肌対向面を意味する。尚、香料9が直接塗工された面と、塗工された香料9の直上に配されて香料9が付着した面とが区別し難い場合には、該香料9が付着した面も、香料9が配置(塗工)された面として判断する。また、ナプキン1を表面シート2側から平面視したとき、香料9が塗工され又は付着した面の一部にのみ香料9を配する場合がある。この場合、香料9が塗工され又は付着した面には、香料9が存在する領域と存在しない領域の双方が存在することとなる。そのときは、「スリットが、香料が配置(塗工)された面まで達している」とは、スリット43が、前記香料9が存在する領域に達している必要はなく、前記香料9が存在しない領域に達している場合であっても含まれる。しかし、スリット43は、前記香料9が存在する領域に達していることが好ましい。
ナプキン1では、吸収体4の縦スリット43は、図2に示すように、香料9が直接塗工された中央部41Cの、肌対向面に達しているのみならず、吸収体4をその厚み方向に亘って貫通している。ただし、吸収体4のスリット43は、少なくとも肌面側に開口していれば、吸収性物品内部、外部への香料成分の放出(香気の発散)が起こり易くなる点で好ましい。
好適には、縦スリット43は、排泄部対向部Bにおける香料9が塗工された中高部42に形成され、さらに中高部42以外の部位においても、吸収体4をその厚み方向に亘って貫通する切り込みを入れて形成される。複数の縦スリット43が配された排泄部スリット領域4Sは、図5に示すように、香料9が塗工された排泄部対向部Bのみならず、前方部Aの一部及び後方部Cの一部に亘っている。縦スリット43にはわずかに空間が形成されると共に、吸収シートの表面積が増大するため、表面シート2からの排泄液が取り込み易くなっているうえに、縦スリット43の切断部は、切り込み加工する際にやや圧縮されているため更に吸収スピードが高められる。また、縦スリット43が吸収体4を完全に貫通することで、吸収体4へ到達した液は、吸収体4の非肌対向面側へ到達しやすくなり吸収体4を効率的に使用した吸収が可能になる。尚、縦スリット43は、香料9が直接塗工された中央部41Cの肌対向面にまで達していれば、吸収体4の肌対向面側に開口が存在するようになり、上述した高い吸収スピードが得られるが、縦スリット43が吸収体4を完全に貫通する形態がより好ましい。
ナプキン1では、各縦スリット43は、図1に示すように、その横方向長さである幅W43(図5参照)が、表面シート2における横方向Yに隣り合う肌側突出部21の頂部21T,21Tどうしの間隔L21(図4参照)よりも狭く形成されている。また、頂部21T,21Tどうしの間隔L21は、横方向Yに延びる同一スリット列内における縦スリット43どうしの間隔L43(図5参照)よりも狭く形成されている。ここで、スリットの幅W43とは、スリットの延びる方向と直交する方向における該スリットの長さのことをいう。また、ここでいう、スリットの幅とは、吸収性物品を衣類のクロッチ部等に固定する前の、張力を加えない自然状態における幅の内の最大幅であり、体液を吸収体4に吸収させる前の幅のことをいう。具体的に、各スリット(縦スリット)43を平面視したときのスリット(縦スリット)43の幅W43は、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上が更に好ましく、また、1mm以下が好ましく、0.8mm以下が更に好ましく、また、0.1mm以上1mm以下が好ましく、0.3mm以上0.8mm以下が更に好ましい。
縦スリット43どうしの間隔L43(図5参照)に対する肌側突出部21の頂部21Tどうしの間隔L21(図4参照)の割合((L21/L43)×100)は、ナプキン1の全体に香りを行き渡らせる効果、及び高い吸収性の観点から。10%以上であることが好ましく、30%以上であることが更に好ましく、70%以下であることが好ましく、55%以下であることが更に好ましく、そして、10%以上70%以下であることが好ましく、30%以上55%以下であることが更に好ましい。
具体的に、ナプキン1では、縦スリット43どうしの間隔L43(図5参照)は、好ましくは3mm以上、更に好ましくは7mm以上、また、好ましくは20mm以下、更に好ましくは15mm以下であり、また、好ましくは3mm以上20mm以下、更に好ましくは7mm以上15mm以下である。
ナプキン1では、排泄部スリット領域4Sにおけるスリットの配置は、各スリットが、縦方向X及び横方向Yの両方向に分散されている配置であれば、特に制限されないが、図5に示す形態におけるように、縦方向Xに沿う縦スリット43を有する場合、ナプキン1の縦方向Xに沿って直列配置した複数の縦スリット43からなる縦列Lが、横方向Yに複数列形成されていることが好ましい。また、ナプキン1では横方向Yに隣り合う縦列L,Lにおける縦スリット43の縦方向Xの位置が一致していない配置が好ましい。
ナプキン1では、排泄部スリット領域4Sは、図5に示すように、中高部42を含むように形成されている。中高部42には、横方向Yに離間した2本以上の縦スリット43からなるスリット列が縦方向Xに2列以上形成されていることが好ましく、縦方向Xに3列以上形成されていることが更に好ましく、4列以上形成されていることが特に好ましい。また、個々のスリット列に含まれる横方向Xに離間した縦スリット43の本数は、好ましくは2本以上であり、更に好ましくは3本以上である。排泄部スリット領域4Sの縦方向Xには、中高部42に含まれるスリット列に加えて、中高部42より縦方向Xの前方若しくは後方又は前方及び後方の両方に、1列又は2以上のスリット列を有することが好ましい。
図6に、排泄部スリット領域4Sにおける縦スリット43の好ましい配置の例を示している。これらの図に示す配置においては、ナプキン1の横方向Yに離間した複数本の縦スリット43からなるスリット列R1,R2が、ナプキン1の縦方向Xに交互に複数列形成されている。図6に示す配置例においては、横方向Yに離間した2本の縦スリット43からなるスリット列R1と、横方向Yに離間した3本の縦スリット43からなるスリット列R2とが、縦方向Xに交互に形成されている。
図6に示した縦スリット43の好ましい配置の例においては、図6(a)及び図6(b)に示すように、縦方向Xに隣り合う2つのスリット列R1,R2における縦スリット43は、一方のスリット列R1の縦スリット43が、他方のスリット列R2における横方向Yに隣り合う縦スリットどうし43,43の間の中央部に配されている。そして、ナプキン1の縦方向Xに隣り合うスリット列R1,R2間には、間隔を有していない。即ち、縦方向Xに隣り合う2つのスリット列R1,R2間には、間隔は設けていない。隣り合うスリット列間に間隔を有しないという表現には、図6(a)に示すように、隣り合うスリット列R1,R2の縦スリット43の端部どうしの位置が一致している場合と、図6(b)に示すように、隣り合うスリット列R1,R2の縦スリット43の端部どうしが、縦方向Xにおいて重複している場合とが含まれる。図6(b)に示すように、2本のスリット列R1,R2の縦スリット43の端部どうしを重複させた状態で縦方向Xに配置する場合、その重複させる長さL1は、スリット列を構成する縦スリット43の同方向Xの長さL2の20%以下であることが好ましく、10%以下であることが更に好ましい。ナプキン1では、縦スリット43の長さL2(図6参照)は、好ましくは10mm以上、更に好ましくは15mm以上であり、また、好ましくは35mm以下、更に好ましくは25mm以下であり、また、好ましくは10mm以上35mm以下、更に好ましくは15mm以上25mm以下である。
また、ナプキン1では、図1及び図2に示すように、表面シート2と吸収体4との間に、不織布によって構成されたセカンドシート11が配されている。セカンドシート11は、表面シート2及び吸収体4とは別体の、当該技術分野においてサブレーヤーシートとも呼ばれるシートである。セカンドシート11は、表面シート2から吸収体4への液の透過性を向上させたり、吸収体4に吸収された表面シート2への液戻りを低減させたりする役割を担うシートである。セカンドシート11は、吸収体4の肌対向面上に配されていればよいが、ナプキン1では、吸収体4における中高部42である補助吸収体41の肌対向面の全域を被覆しており、補助吸収体41の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。ナプキン1では、セカンドシート11は、その縦方向Xに沿う側縁が、補助吸収体41の縦方向Xに沿う側縁と主吸収体40の縦方向Xに沿う側縁との間に位置している。また、セカンドシート11は、その縦方向Xの前後端縁が、ナプキン1の縦方向Xの前後端縁に位置しており、ナプキン1の縦方向Xの全域に亘って延在している。
セカンドシート11としては、親水性不織布や親水性の繊維集合体からなることが好ましい。不織布としては、エアースルー不織布、レジンボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布等が挙げられる。該不織布体を構成する繊維としては天然繊維、半合成繊維、合成繊維を用いることができる。天然繊維としては、パルプ、綿、麻等が挙げられる。半合成繊維としては、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維等が挙げられる。合成繊維としてはポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールの単独繊維及びこれら樹脂を2種以上含む複合繊維を用いることができる。複合繊維としては、芯鞘型、サイド・バイ・サイド型、偏芯型等が挙げられる。
セカンドシート11は、その坪量が、好ましくは10g/m以上50g/m以下であり、更に好ましくは15g/m以上25g/m以下である。また、セカンドシート11は、その厚みが、好ましくは0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。
ナプキン1では、表面シート2とセカンドシート11との間、及びセカンドシート11と吸収体4との間は、接着剤を塗布して固定されていることが好ましい。表面シート2、セカンドシート11、吸収体4を、それぞれ固定することで、ヨレやズレを抑制し装着感を向上できる。接着剤は、公知の手段、例えば、スロットコートガン、スパイラルスプレーガン、スプレーガン、或いはドットガンを用いて塗布することができ、ナプキン1の全体に香りを行き渡らせる観点からは、部分的に接着させるスパイラルスプレーガンを用いてスパイラル状に塗布することが好ましい。塗布する接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤が好ましく用いられる。ホットメルト接着剤の塗布量は、3g/m以上10g/m以下であることが好ましい。
上述した本実施形態のナプキン1の各構成部材の形成材料について説明する。
表面シート2としては、原料不織布として、単層構造であるか、又は複数の層が積層されてなる多層構造であるエアースルー不織布を用い、例えば特開2013−133574号公報に記載の方法により好適に製造したシートを用いることができる。特開2013−133574号公報に記載の方法により製造される表面シート2には、肌側突出部21及び非肌側突出部22を有するシートの形に形成するための熱融着部が無い構成となっている。
裏面シート3としては、吸収性物品の裏面シートに従来使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布とのラミネートシート等を用いることができる。
吸収体4を構成する吸収性シート411〜412としては、湿潤状態の吸水性ポリマーに生じる粘着力や別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを介して、構成繊維間や構成繊維と吸水性ポリマーとの間を結合させてシート状としたもの等を好ましく用いることができる。また、吸収性シートとしては、特開平8−246395号公報記載の方法にて製造された吸収性シート、気流に乗せて供給した粉砕パルプ及び吸水性ポリマーを堆積させた後、接着剤(例えば酢酸ビニル系の接着剤、PVA等)で固めた乾式シート、紙や不織布の間にホットメルト接着剤等を塗布した後高吸水性ポリマーを散布して得られた吸収性シート、スパンボンド又はメルトブロー不織布製造工程中に高吸水性ポリマーを配合して得られた吸収性シート等を用いることができる。これらの吸収性シートは、一枚を所定形状に裁断してシート状吸収体として用いることができる。
また、ナプキン1のように、吸収体4にスリットを形成するには、吸収性シートの積層体を、公知の切断手段により部分的に切断すればよく、例えば、ロールの周面に、周方向に延びる切断刃が、ロールの周方向及び軸長方向に分散させて多数形成されたカッターロールと、該カッターロールの刃を受けるアンビルロールとを備えた切断装置を用いることができる。
尚、吸収体4を構成する吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。また、吸収体4を構成する吸収性シートは、そのいずれもが吸水性ポリマーを含有する吸水性シートであることが好ましいが、吸水性ポリマーを含有する吸水性シートと、吸水性ポリマーを含有しない吸水性シートを組み合わせて、吸収体を構成する吸水性シートの積層体としてもよい。
サイドシート5としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。その他の材料としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド不織布(S)とメルトブロー不織布(M)とが複合化されたシート(例えばSM、SMS、SMMS等)、ヒートロール不織布、エアースルー不織布等の撥水性(疎水性)不織布が挙げられる。特に撥水性のスパンボンド不織布を用いることが、香気をより製品中央部から効率的に香り立たせる観点から好ましい。
ウイング部粘着部71や本体粘着部72(ズレ止め部)の形成方法としては、下着等の衣類に固定して用いる吸収性物品に従来用いられる方法を特に制限なく用いることができる。例えば、粘着剤を裏面シート3に直接塗工して形成することもできるし、粘着剤が塗工された粘着テープの他面側を裏面シートに接合して形成することもできる。粘着部の形成に用いる粘着剤としては、例えば、エマルジョン系、水系、溶剤系の粘着剤が挙げられる。また、ズレ止め部は、優れた位置ずれ防止性能及び安定な生産性を得る観点から、ホットメルト粘着剤等の粘着剤を塗布して形成することが好ましい。そのような粘着剤としては、この種の物品に通常用いられるものを制限なく採用することができるが、主に天然ゴム類似の基本構造を有する合成ゴム系のブロック共重合体を用いることが好ましい。そのようなブロック共重合体としては、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。粘着剤は、これらのブロック共重合体から選択される一種又は二種以上のベースポリマーを10〜65重量%、特に30〜50重量%含むことが好ましい。尚、ズレ止め部は、吸収性本体とそれを固定する衣類との間のズレを防止できる限り、粘着性がなくてもよい。
線状圧搾溝8(第1横圧搾溝81、縦圧搾溝82及び第2横圧搾溝83)は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工(いわゆるエンボス加工)、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。
上述したナプキン1の作用効果について説明する。
ナプキン1では、図2に示すように、香料9が吸収体4の排泄部対向部Bに位置する内部に塗工されている。このように香料9が外気に直接触れる位置に配されていないので、香気成分が吸収性物品外部に発散されることを抑制するため、香料を持続的に香り立たせることができる。また、ナプキン1では、図2に示すように断面視したときに、スリット(縦スリット)43が、香料9が塗工された面にまで達している。ここで、ナプキン1の着用中においては、排泄部対向部Bに常時着用者の体圧及び着用者の大腿部による内向きの押圧力を受けることにより、スリット(縦スリット)43がわずかに開口したり閉じたりし易くなっている。その為、スリット(縦スリット)43のわずかな開口を通って、吸収体4の内部に塗工された香料9を十分に香り立たせることができる。特に、ナプキン1の表面シート2は、非肌側突出部22の頂部22Tに透孔23を有しているので、ナプキン1の内部の香気を外部に拡散させやすく、香料9を更に香り立たせることができる。また、ナプキン1では、表面シート2が、肌対向面側に突出し内部空間S1を有する複数の肌側突出部21を有している。その為、着用者の体圧及び着用者の大腿部による内向きの押し圧力を受けることにより、表面シート2と吸収体4との間の複数の内部空間S1が繰り返し変形することによる気流のポンプ効果で、吸収体4の一部に塗工した香料9をナプキン1の全体に香りを行き渡らせることができる。
また、ナプキン1では、図4に示すように、横方向Yに沿って表面シート2を断面視したときに、縦方向Xと横方向Yとの間の斜め方向に隣り合う複数の肌側突出部21の内部空間S1,S1どうしが繋がっており、内部空間S1,S1どうしの繋がりが、縦方向X及び横方向Yから形成される面方向に広がっている。その為、排泄部対向部Bに常時着用者の体圧及び着用者の大腿部による内向きの押圧力を受けることにより、ナプキン1の面方向の全体に香りを更に行き渡らせることができる。
また、ナプキン1の有する表面シート2は、図4に示すように、肌側突出部21の壁部21Wの繊維密度が、肌側突出部21の頂部21Tの繊維密度よりも高くなっている。その為、装着時の圧力により凸状部が潰れにくく、クッション性に優れるためポンプ効果が得られやすく、香料9の香りをナプキン1の全体に行き渡らせ易い。また、毛管力により体液を素早く吸収することができ、非肌側突出部22の頂部22Tに形成された透孔23を通して、体液を吸収体4に移行することができる。
また、ナプキン1の吸収体4は、香料9が塗工された補助吸収体41を、主吸収体40で包んで形成されている。その為、香料9が外気に直接触れる位置に配されていないため、香料9を更に持続的に香り立たせることができる。また、着用者の安全性の観点からも好ましい。特に、ナプキン1では、図2に示すように、香料9が3層構造の補助吸収体41における最下層の中央部41Cの肌対向面に塗工されており、補助吸収体41が主吸収体40で包まれているので、香料9が塗工された補助吸収体41の中央部41Cの上層には、3枚の吸収性シート411,412が重ねられている。その為、香料を更に持続的に香り立たせることができる。

また、ナプキン1では、図2に示すように、表面シート2と吸収体4との間にセカンドシート11が配されており、各々の間は、装着時のヨレやズレを抑制する観点から、接着剤等により固定されていることが好ましい。また、それらを部分的に固定することにより、吸収体4とセカンドシート11との間、及び表面シート2とセカンドシート11との間にも、香りの通路が形成され易く、ナプキン1の全体に香りを更に行き渡らせることができる。また、内部に香料9が塗工された吸収体4をセカンドシート11で覆っているので、香料を更に持続的に香り立たせることができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の吸収性物品は前記実施形態のナプキン1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、ナプキン1の有する表面シート2は、図3に示すように、内部空間S1を有する複数の肌側突出部21部21と内部空間S2を有する複数の非肌側突出部22とを有しており、表面シート2を平面視したときに、肌側突出部21及び非肌側突出部22が、互いに交差する異なる2方向に沿って交互に連続して配されているシートであるが、内部空間S1を有する複数の肌側突出部21を有していればよい。例えば、図7に示すように、縦方向Xに延びる筋状の内部空間S3を有する凸条部24及び凹条部25が横方向Yに交互に配された凹凸構造のシートであってもよい。また、横方向Yに延びる筋状の内部空間S3を有する凸条部24及び凹条部25が縦方向Xに交互に配された凹凸構造のシートであってもよい。
また、ナプキン1では、図2に示すように、表面シート2と吸収体4との間にセカンドシート11が配されているが、セカンドシート11が配されていなくてもよい。
また、ナプキン1では、吸収体4は、吸収性シート411〜412を折り畳んだ積層体から形成されているが、枚葉の吸収性シートを複数枚貼り合わせて積層したものでもよい。また、吸収性シートの折り畳み方も多様な折り畳み方を採用できる。また、吸収性シート411〜412を用いずに、通常、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる、吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成された吸収コアをティッシュペーパによって被覆されている吸収体を用いることもできる。このような吸収体を用いる場合には、例えば該吸収体を2つ用意し、一方の該吸収体の肌対向面上に香料9を塗工し、香料9が塗工された吸収体上に、他方の前記吸収体を配置して積層型の吸収体を形成すれば、内部に香料9が塗工された吸収体となる。
また、ナプキン1の吸収体4が有する複数のスリット43は、図1及び図5に示すように、縦スリットであるが、ナプキン1の横方向に沿う横スリットであってもよいし、縦方向X及び横方向Yの両者に対して角度を有する斜め方向に延びるスリットであってもよいし、縦スリットと横スリットとを混在してもよい。また、ナプキン1の吸収体4が有する複数のスリット43は、図2に示すように、吸収体4をその厚み方向に亘って貫通しているが、香料9が塗工された面にまで達していればよい。
また、ナプキン1の吸収体4の排泄部スリット領域4Sは、排泄部対向部Bのみに形成されていてもよいし、排泄部対向部Bから後方部Cの一部に延在していてもよいし、排泄部対向部Bから、前方部Aの一部及び後方部Cの一部に延在していてもよい。また、中高部42における吸収性シートの積層数は、4枚に代えて、2枚又は3枚でもよく、5枚以上であってもよい。また、中高部42とそれ以外の部分との吸収性シートの積層枚数の差も1枚又は3枚以上であってもよい。香料9の配置位置は、中高部42に設けられていることが好ましいが、中高部42の補助吸収体41に設けられていれば、主吸収部40のみの部分に配置してもよい。また、左右一対の線状圧搾溝82,82の間の領域に香料9を配置することで、着用時に体圧及び着用者の大腿部による内向きの押し圧の影響を受けやすいので、よりポンプ効果が得られやすく、香気を拡散させやすく、製品中央部から効果的に香気を香り立たせることが出来る。
また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティーライナー(おりものシート)、失禁パッド等であってもよい。
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
10B 吸収性本体
10W ウイング部
10S サイドフラップ部10S
2 表面シート
21 肌側突出部
21T 肌側突出部の頂部
21W 肌側突出部の壁部
S1 内部空間
22 非肌側突出部
22T 非肌側突出部の頂部
22W 非肌側突出部の壁部
S2 内部空間
3 裏面シート
4 吸収体
411,412 吸収性シート
4S 排泄部スリット領域
40 主吸収体
41 補助吸収体
42 中高部
43 縦スリット
5 サイドシート
61 第1接合線
62 第2接合線
71 ウイング部粘着部
72 本体粘着部
8 線状圧搾溝
81 第1横圧搾溝
82 縦圧搾溝
83 第2横圧搾溝
9 香料
11 セカンドシート

Claims (8)

  1. 肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備し、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部と、該排泄部対向部より着用者の腹側に配される前方部と、該排泄部対向部より着用者の背側に配される後方部とを有する吸収性本体を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有する吸収性物品であって、
    前記表面シートは、肌対向面側に突出し内部空間を有する複数の肌側突出部を有しており、
    前記吸収体は、前記排泄部対向部にスリットを複数有しており、
    前記吸収体は、前記排泄部対向部に位置する内部に香料が配置されており、
    前記吸収体を前記横方向に沿って断面視したときに、前記スリットは、前記香料が配置された面にまで達している吸収性物品。
  2. 前記吸収体は、前記吸収体の外形を形成する主吸収体と、前記排泄部対向部に配された該主吸収体よりも小型の補助吸収体とを有しており、
    前記香料は、前記補助吸収体に塗工されており、
    前記吸収体は、前記補助吸収体を前記主吸収体で包んで形成されている請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記表面シートは、前記複数の肌側突出部と、非肌対向面側に突出し内部空間を有する複数の非肌側突出部とを有し、該肌側突出部は、その頂部とその内部空間の開口部との間に環状構造の壁部を有しており、
    前記表面シートを平面視したときに、前記肌側突出部及び前記非肌側突出部は、互いに交差する異なる2方向に沿って交互に連続して配されており、
    前記表面シートを前記互いに交差する異なる2方向の内の一方向に沿って断面視したときに、前記複数の肌側突出部の内部空間どうしが繋がっている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記肌側突出部の前記壁部は、その繊維密度が、前記肌側突出部の前記頂部の繊維密度よりも高くなっている請求項3に記載の吸収性物品。
  5. 前記表面シートは、その圧縮率が40%以上95%以下であり、その圧縮エネルギーが0.98mN・m/cm以上9.8mN・m/cm以下である請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記表面シートと前記吸収体との間に、不織布によって構成されたセカンドシートが配されている請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記スリットは、前記吸収体を貫通している、請求項1〜6の何れか1項に記載の吸収性物品。
  8. 前記表面シートと前記吸収体を一体に圧搾し、吸収性物品の横方向両側に、縦方向に沿って延びる左右一対の圧搾溝を備えており、前記香料は該一対の圧搾溝の間にのみ配置されている、請求項1〜7の何れか1項に記載の吸収性物品。
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