JP2018102614A - 吸収性物品 - Google Patents

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絵里香 渡邉
Erika Watanabe
絵里香 渡邉
石黒 健司
Kenji Ishiguro
健司 石黒
敬一 吉川
Keiichi Yoshikawa
敬一 吉川
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Abstract

【課題】排泄物の吸収に起因して生じる臭気を香料によって効果的に抑制し得る吸収性物品を提供すること。【解決手段】吸収性物品10は、表面シート11と、裏面シート12と、両シート11,12間に配置された吸収体13とを有する。吸収性物品10は、その長手方向に沿う各側部に、肌対向面側から起立する防漏カフ16をそれぞれ備える。少なくとも防漏カフ16に香料が含まれている。香料が、尿臭成分に起因するヒトの嗅覚受容体の活性化を阻害する物質からなることが好適である。【選択図】図1

Description

本発明は、吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ、失禁パッド及び生理用ナプキンなどの各種の吸収性物品においては、吸収した排泄物から生ずる臭気が知覚されないようにする目的で、該吸収性物品に香料を施して臭気をマスキングすることがしばしば行われている。マスキングの効果を高めるためには、香料の香りを強くする必要があるが、香料の香りが強すぎると、着用者や他者の気分を悪くさせることがある。
香料によるマスキング効果を高める目的で、香料は一般に吸収性物品における吸収体に施されることが多い。しかし、吸収体に吸収された尿等の排泄物が香料と混ざり合うことで別の臭いが発生し、香料によるマスキング効果が低下する場合がある。
香料を配置する部位を工夫することで、香料による臭気のマスキングを試みた提案が特許文献1においてなされている。同文献に記載の吸収性物品は、該吸収性物品の着用状態において、下着のクロッチ領域と、着用者の大腿部との間に香料配置領域が位置するようにしている。このため、経血などの体液などに起因する臭いが、下着と吸収性物品とで覆われた空間に閉じこめられ易くなり、下着の外部には、香料配置領域に配置された香料の臭いだけが発散するようになる、と同文献には記載されている。
特開2013−141511号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では、香料による臭気のマスキング効果には限界があった。
したがって本発明の課題は、賦香された吸収性物品の改良にあり、更に詳しくは排泄物の吸収に起因して生じる臭気を香料によって効果的に抑制し得る吸収性物品を提供することにある。
本発明は、表面シートと、裏面シートと、両シート間に配置された吸収体とを有する吸収性物品であって、
前記吸収性物品の長手方向に沿う各側部に、肌対向面側から起立する防漏カフをそれぞれ備え、
少なくとも前記防漏カフに香料を含む吸収性物品を提供するものである。
本発明によれば、排泄物の吸収に起因して生じる尿臭等の臭気を、香料によって効果的に抑制し得る吸収性物品が提供される。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態を示す長手方向中央域における幅方向に沿った厚み方向断面図である。 図2(a)は、目的の臭い分子が嗅覚受容体を活性化させる機序を示す模式図であり、図2(b)は、嗅覚受容体アンタゴニズムによって、目的の臭い分子に対する受容体の活性化が阻害される機序を示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には本発明の吸収性物品の一実施形態が示されている。同図は、吸収性物品の長手方向中央域(つまり着用状態における着用者の股下部)における幅方向に沿った厚み方向断面図である。同図に示すとおり、本実施形態の吸収性物品10は、表面シート11及び裏面シート12を備えている。表面シート11及び裏面シート12は、いずれも吸収性物品10の長手方向、すなわち図1中、紙面に垂直な方向に延びる縦長の形状をしている。表面シート11は、吸収性物品10の着用状態において、着用者の肌に対向する面側に配置されている。表面シート11における外面は、吸収性物品10における肌対向面となる。一方、裏面シート12は、吸収性物品10の着用状態において、着用者の肌から最も遠い側に位置する。裏面シート12における外面は、吸収性物品10における非肌対向面となる。裏面シート12における外面には、吸収性物品10の具体的な用途に応じて、粘着剤層(図示せず)が設けられていてもよい。粘着剤層は、吸収性物品10の着用状態において、該吸収性物品10を、下着や別の吸収性物品に固定するために用いられる。
表面シート11としては、液透過性を有するシート、例えば不織布や穿孔フィルムなどを用いることができる。表面シート11は、その肌対向面側が凹凸形状になっていてもよい。例えば表面シート11の肌対向面側に、散点状に複数の凸部を形成することができる。あるいは、表面シート11の肌対向面側に、一方向に延びる畝部と溝部とを交互に形成することができる。そのような目的のために、2枚以上の不織布を用いて表面シート11を形成することもできる。
一方、裏面シート12としては、例えば液不透過性のフィルムや、液難透過性のシートであるスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド積層不織布などを用いることができる。液不透過性のフィルムに、複数の微細孔を設け、該フィルムに水蒸気透過性を付与してもよい。図1には示していないが、吸収性物品10の肌触り等を一層良好にする目的で、裏面シート12の外面に不織布等の風合いの良好なシートを積層してもよい。
表面シート11と裏面シート12との間には吸収体13が配置されている。吸収体13は、吸収性物品10の長手方向、すなわち図1中、紙面に垂直な方向に延びる縦長の形状をしている。吸収体13は、その上面の全域及び下面の全域が、表面シート11及び裏面シート12によってそれぞれ被覆されている。
吸収体13は、吸収性コア14と、該吸収性コア14の周囲を被覆する被覆シート15とを備えている。吸収性コア14は、パルプ繊維を始めとする各種の吸水性繊維から構成されている。あるいは吸収性コア14は、水を吸収して膨潤し且つ水を保持する性質を有するヒドロゲル材料からなる高吸収性ポリマーから構成されている。吸収性コア14が、吸水性繊維及び高吸収性ポリマーの双方を含んでいてもよい。被覆シート15は液透過性のシートからなる。被覆シート15としては、例えば各種の不織布に親水化処理を施したものや、ティッシュペーパーなどを用いることができる。なお、図1においては、吸収性コア14を被覆する被覆シート15が2枚用いられており、各被覆シート15が、吸収性コア14の肌対向面側及び非肌対向面側をそれぞれ被覆しているが、これに代えて、被覆シートを1枚のみ用い、該1枚の被覆シート15によって、吸収性コア14を被覆してもよい。
吸収体13は、上述した吸収性コア14と被覆シート15とを備えた構成の他に、吸収性シートから構成されていてもよい。吸収性シートとしては、例えば繊維材料及び高吸収性ポリマーを含むシートが用いられる。吸収性シートとしては、湿潤状態の高吸収性ポリマーに生じる粘着力や別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを介して、構成繊維間や構成繊維と高吸収性ポリマーとの間を結合させてシート状としたもの等を好ましく用いることができる。また、吸収性シートとして、特開平8−246395号公報記載の方法にて製造された吸収性シート、気流に乗せて供給した粉砕パルプ及び高吸収性ポリマーを堆積させた後、接着剤(例えば酢酸ビニル系の接着剤、PVA等)で固めた乾式シート、紙や不織布の間にホットメルト接着剤等を塗布した後、高吸収性ポリマーを散布して得られた吸収性シート、スパンボンド又はメルトブロー不織布製造工程中に高吸収性ポリマーを配合して得られた吸収性シート等を用いることもできる。
吸収性物品10は、その長手方向(図1中、紙面に直交する方向)に沿う各側部に、肌対向面側から起立する防漏カフ16をそれぞれ備えている。防漏カフ16は、吸収性物品10の長手方向に沿って、該吸収性物品10のほぼ全長にわたって延びている。防漏カフ16は、基端部16aと自由端16bとを備えている。防漏カフ16は、吸収性物品10の肌対向面側に基端部16aを有し、肌対向面側から起立している。防漏カフ16は、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材から構成されている。
防漏カフ16の自由端16b又はその近傍には、防漏カフ弾性部材16cが伸長状態で配されている。吸収性物品10の着用状態においては、防漏カフ弾性部材16cが収縮することによって防漏カフ16が着用者の身体に向けて起立する。防漏カフ16が起立することで、表面シート11上に排泄された液が、表面シート11上を伝い吸収性物品10の幅方向外方へ漏れ出すことが効果的に阻止される。
吸収性物品10は、これを幅方向に沿って見たとき、各防漏カフ16の基端部16aよりも外方の位置に、長手方向に延びる一対のレッグカフ17,17を有している。各レッグカフ17は、吸収性物品10のほぼ全長にわたって延びている。レッグカフ17の自由端17b又はその近傍には、レッグカフ弾性部材17cが伸長状態で配されている。レッグカフ17は、吸収性物品10の着用状態において、着用者の脚周りにフィットするようになっている。
防漏カフ16及びレッグカフ17は同一のシート材から構成されている。詳細には、1枚の縦長のシート材を、その長手方向に折曲線が形成されるように二つ折りし、二つ折りされたシート材における折曲線の近傍の部位に、レッグカフ弾性部材17cを伸長状態で配し、シート材と固定する。これによってレッグカフ17が形成される。また、二つ折りされたシート材における一方の長手方向に沿う側縁の位置にレッグカフ弾性部材17cを伸長状態で配し、シート材と固定する。これによってレッグカフ17が形成される。二つ折りされたシート材における一方の長手方向に沿う側縁は、吸収体13の下側に位置させて、裏面シート12と接合する。更に、表面シート11における長手方向に沿う各側縁を、二つ折りされたシート材の間に挟み、これらを一体的に接合して接合部18を形成する。接合部18は、先に述べた防漏カフ16の基端部16aとなる。なお、基端部16aと、レッグカフ17の自由端17bとの間の部位が、レッグカフ17である。
吸収性物品10においては、少なくとも防漏カフ16に香料を含む。防漏カフ16は、吸収性物品10の着用状態において着用者の身体、特に大腿部や鼠径部に直接に触れる部材なので、防漏カフ16と着用者の身体との接触に起因する摩擦によって、香料が揮散しやすい。香料の揮散は、着用者の体温によって促進される。その結果、吸収性物品に吸収保持された液から生じる臭気に先んじて香料が香るようになり、臭気が知覚されづらくなる。
しかも防漏カフ16は、着用者から排泄された液と直接に接する部位ではないので、防漏カフ16を賦香した場合であっても、香料の芳香と液の臭気とが混ざり合いにくい。その結果、芳香と臭気とが混ざり合うことで新たに生じる別の不快な臭いを着用者や周囲の者が知覚しづらくなる。
防漏カフ16と着用者の身体との接触に起因する摩擦によって、香料を一層揮散させやすくする観点から、香料は、防漏カフ16のうち、自由端16b又はその近傍の位置に含まれていることが有利である。同様の観点から、香料は、防漏カフ16における肌対向面に含まれていることも好ましい。防漏カフ16における肌対向面とは、吸収性物品10の着用状態において防漏カフ16が起立したときに、起立した防漏カフ16の内面及び外面のうち、主として着用者の肌を向く面のことである。防漏カフ16の内面とは、起立状態にある防漏カフ16の2つの面のうち、幅方向の内方を向く面のことである。防漏カフ16の外面とは、起立状態にある防漏カフ16の2つの面のうち、幅方向の外方を向く面のことである。防漏カフ16の内面を肌対向面とするためには、例えば防漏カフ16の長手方向に沿う前方域及び後方域において、防漏カフ16の外面を吸収性物品の肌対向面側に倒伏させて、倒伏した防漏カフ16の外面と、該外面に対向する位置にある部材(例えばレッグカフ17)とを接合状態にすればよい。一方、防漏カフ16の外面を肌対向面とするためには、例えば防漏カフ16の長手方向に沿う前方域及び後方域において、防漏カフ16の内面を吸収性物品の肌対向面側に倒伏させて、倒伏した防漏カフ16の内面と、該内面に対向する位置にある部材(例えばレッグカフ17)とを接合状態にすればよい。
防漏カフ16が香料を含む場合、該防漏カフ16の長手方向に沿う中央域に香料を含むことも好ましい。防漏カフ16の長手方向中央域は、前方域や後方域に比べ、吸収性物品10の着用状態において着用者が歩行等の動作をしたときに、着用者の大腿部や鼠径部に一層触れやすい部材なので、防漏カフ16と着用者の身体との接触に起因する摩擦に起因する香料の揮散が一層促進されるからである。防漏カフ16の長手方向中央域は、吸収性物品10の着用状態において、着用者の股下部に対応する部位である。
吸収性物品10においては、上述のとおり防漏カフ16が賦香されていることに加えて、レッグカフ17に香料が含まれていることも有利である。レッグカフ17は、防漏カフ16と同様に、吸収性物品10の着用状態において着用者の身体、特に大腿部や鼠径部に直接に触れる部材なので、レッグカフ17と着用者の身体との接触に起因する摩擦によって、レッグカフ17に含まれている香料が揮散しやすい。
しかもレッグカフ17は、着用者から排泄された液と直接に接する部位ではないので、レッグカフ17を賦香した場合であっても、香料の芳香と液の臭気とが混ざり合いにくい。その結果、芳香と臭気とが混ざり合うことで新たに生じる別の不快な臭いを着用者や周囲の者が知覚しづらくなる。
レッグカフ17と着用者の身体との接触に起因する摩擦によって、香料を一層揮散させやすくする観点から、レッグカフ17のうち、自由端17b又はその近傍の位置に香料が含まれていることが有利である。同様の観点から、レッグカフ17における肌対向面に香料が含まれていることも好ましい。
レッグカフ17に香料が含まれている場合、該レッグカフ17の長手方向に沿う中央域に香料が含まれていることも好ましい。レッグカフ17の長手方向中央域は、前方域や後方域に比べ、吸収性物品10の着用状態において着用者が歩行等の動作をしたときに、着用者の大腿部や鼠径部に一層触れやすい部材なので、レッグカフ17と着用者の身体との接触に起因する摩擦に起因する香料の揮散が一層促進されるからである。レッグカフ17の長手方向中央域は、吸収性物品10の着用状態において、着用者の股下部に対応する部位である。
レッグカフ17に含まれている香料と、先に述べた防漏カフ16に含まれている香料とは、同種のものであってもよく、あるいは異種のものであってもよい。
防漏カフ16やレッグカフ17へ香料を含ませる方法としては、例えば、使用される香料を適当な溶媒(例えば水、エタノール、低分子炭化水素類、多価アルコール類、液体LPGガス、ジメチルエーテル等)に希釈したものや原液そのものを、防漏カフ16やレッグカフ17に塗布、噴霧又は含浸させて塗工する方法等が挙げられる。
本発明で用いられる香料としては、大気圧下で香気を大気中に蒸散し得るものであればよく、常温常圧の環境下で、その香気を知覚し得る通常の香料を特に制限なく用いることができ、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものも用いることができる。例えば、香料としては、沸点が約250℃以下の高揮発性香料成分、又は沸点が約250〜約300℃の中揮発性香料成分が好ましく用いられる。
前記高揮発性香料成分としては、例えばアニソール、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、ギ酸ベンジル、酢酸イソボルニル、シトロネラール、シトロネロール、酢酸シトロネリル、パラシメン、デカナール、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメチルフェニルカルビノール、ユーカリプトール、1−カルボン、ゲラニアール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ゲラニルニトリル、酢酸ネリル、酢酸ノニル、リナロール、エチルリナロール、酢酸リナリル、フェニルエチルアルコール、α−ピネン、β−ピネン、γ−ピネン、α−ヨノン、β−ヨノン、γ−ヨノン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、酢酸テルピニル、テンタローム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記中揮発性香料成分としては、例えばアミルシンナムアルデヒド、ジヒドロジャスモン酸メチル、サリチル酸イソアミル、β−カリオフィレン、セドレン、セドリルメチルエーテル、桂皮アルコール、クマリン、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、イソオイゲノール、γ−メチルヨノン、ヘリオトロピン、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、フェニルヘキサノール、ペンタライド等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
香料としては、前述の高揮発性及び中揮発性香料成分以外に、或いはこれら香料成分に加えて更に、バラ香調、ラベンダー香調、ジャスミン香調、イランイラン香調を有する香料を含有した香料組成物を用いることもできる。斯かる香料組成物としては、例えば、ネロール、ラバンジュロール、ジャスマール、シクロピデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、香料には、前述した香料組成物の単体、及び天然精油や調合ベースのように、「複数の香料によって構成される香料素材が組み合わされたもの(香料組成物)で、溶剤によって希釈・調整されたもの」が含まれる。例えば、香料として、バラ、ラベンダー、ジャスミン、イランイラン様香気を有する香料を含有する香料組成物を用いることができる。
特に、香料は、尿臭成分に起因するヒトの嗅覚受容体の活性化を阻害する物質(以下、この物質のことを「アンタゴニスト香料」とも言う。)を含むことが好ましい。アンタゴニストとは、結合部位を奪い合うことで作用を阻害する競合的拮抗薬のことであり、アンタゴニスト香料とは、図2(a)に示すとおり、結合部位が嗅覚受容体20である場合に、目的の臭い分子21が嗅覚受容体20に結合して該受容体20が活性化して臭い情報が伝達されるときに、図2(b)に示すとおり、目的の臭い分子21と他の分子22をともに適用することにより、当該他の分子22によって目的の臭い分子21に対する受容体の活性化を阻害し、結果的に個体に認識される臭いを抑制するために用いられる当該他の分子のことである。つまり、アンタゴニスト香料を用いることで、嗅覚受容体アンタゴニズムによる臭いの抑制を達成することができる。このように、アンタゴニスト香料を用いることで、該アンタゴニスト香料自体の香気が強くなくても、高い尿臭の抑制効果が発現する。
嗅覚受容体アンタゴニズムによる臭いの抑制は、同様に他の分子を用いる手段であっても、芳香剤による消臭のように、目的の臭いを香料の香気によって隠蔽(マスキング)する手段とは区別される。嗅覚受容体アンタゴニズムによる臭いの抑制の一例は、アンタゴニスト等の嗅覚受容体の活性化を阻害する物質を使用するケースである。特定の臭いをもたらす臭い分子の受容体にその活性化を阻害する物質を適用すれば、当該受容体の当該臭い分子に対する活性化が阻害されるため、最終的に個体に知覚される臭いを抑制することができる。
尿臭成分としては、p−クレゾール及び2−メトキシ−4−ビニルフェノールが代表的なものとして知られている。これらの物質の臭いを嗅覚受容体アンタゴニズムによって抑制することが、効果的な臭気の抑制の点から好ましい。p−クレゾール及び2−メトキシ−4−ビニルフェノールは、放尿又は採尿後時間が経った尿又は飛び散って乾燥した尿から発せられる臭い、あるいは使用後放置した吸収性物品から発せられる尿の臭いの代表的なものである。
本明細書において、「尿臭」とは、好適には、放尿又は採尿後時間が経った尿から発せられる臭いである。例えば、本明細書における「尿臭」は、飛び散って乾燥した尿の臭い又は使用後放置した吸収性物品から発する尿の臭いであり得る。また好適には、本明細書における「尿臭」は、βグルクロニダーゼ処理された尿又はその抽出物の臭いである。
特に、アンタゴニスト香料は、ヒトの嗅覚受容体としてのOR9Q2、OR10G4、OR10G7又はOR2W1の活性化を阻害する物質のいずれかであることが好ましい。これによって尿臭成分に対する活性が一層抑制され、最終的に個体に知覚される臭いを更に一層抑制することができる。これらの嗅覚受容体のうち、OR9Q2又はOR2W1にアンタゴニスト香料を適用することで、p−クレゾールに対して特異的に臭いの抑制効果が発揮される。また、OR10G4又はOR10G7にアンタゴニスト香料を適用することで、2−メトキシ−4−ビニルフェノールに対して特異的に臭いの抑制効果が発揮される。
本発明において、特に好ましく用いられるアンタゴニスト香料としては、例えばOR9Q2に結合し得る以下の化合物が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
・3−(4−tert−ブチルフェニル)プロパナール(Bourgeonal)
・3,7,11−トリメチルドデカ−1,6,10−トリエン−3−オール(Nerolidol)
・メチルセドリルケトン(1−[(1S,2R,5R,7S)−2,6,6,8−tetramethyltricyclo[5.3.1.01,5]undec−8−en−9−yl]ethanone;Acetyl cedrene)
・1−(2−tert−ブチルシクロヘキシル)オキシブタン−2−オール(Ambercore)
・2,2,7,7−テトラメチルトリシクロ[6.2.1.01,6]ウンデカン−5−オン(iso−Longifolanone)
本発明においてアンタゴニスト香料として、OR2W1に結合し得る以下の化合物も好ましく挙げられる。
・(3R,3aS,6S,7R,8aS)−Octahydro−6methoxy−3,6,8,8,−tetramethyl−1H−3a,7−methanoazulene(Methyl Cedryl Ether)
本発明においてアンタゴニスト香料として、OR10G4に結合し得る以下の化合物も好ましく挙げられる。
・5−メチル−2−(1−メチルエチル)−フェノール(Thymol)
本発明においてアンタゴニスト香料として、OR10G7に結合し得る以下の化合物も好ましく挙げられる。
・2−メチルウンデカナール(Aldehyde C−12 MNA)
・Benzoin Siam
上述したOR9Q2アンタゴニスト香料、OR2W1アンタゴニスト香料、OR10G4アンタゴニスト香料及びOR10G7アンタゴニスト香料は、これまで香料素材として知られていたが、これらの嗅覚受容体に対するアンタゴニスト作用を有することや、p−クレゾール臭を始めとする尿臭を選択的に抑制する機能があることは知られていなかった。本発明において香料は、上述した化合物より選択される少なくとも1種を有効成分とするアンタゴニスト香料であることが好ましい。
上述した各種の嗅覚受容体に対するアンタゴニスト香料は、いずれも市販のものを購入して使用することができる(「合成香料 化学と商品知識」増補改訂版、印藤元一著、化学工業日報社、 2005年3月発行を参照)。例えば、OR9Q2アンタゴニスト香料は、Firmenich S. A.,Givaudan S. A.,International Flavors & Fragrances Inc.,SIGMA−ALDRICH Corporation、高砂香料工業株式会社、花王株式会社などから入手することが可能である。あるいは、化学合成によって、該市販品と同一物質又はそれを含む組成物を製造することが可能である。
また、本発明の吸収性物品において、香料の含有量は特に制限されず、所望の消臭性能や吸収性能等に応じて適宜設定することができる。例えば、吸収性物品1枚当たり0.5mg以上100mg以下の香料を含むことができる。特に、香料としてアンタゴニスト香料を用いた場合には、0.1mg以上50mg以下程度の比較的少ない含有量としても、十分な尿臭抑制効果が得られる点で好ましい。
本発明の適用の対象となる吸収性物品は、ヒトの排泄物を吸収保持するために用いられる各種の製品を広く包含する。例えばベビー用及び大人用の使い捨ておむつ、軽失禁用の失禁パッド、大人用の使い捨ておむつの内側に配置して使用される補助パッド、生理用ナプキン及びパンティライナなどが挙げられるが、これらに限られない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1及び2〕
吸収性物品として、花王株式会社の軽失禁パッド50ccタイプ(商品名:ロリエさらピュア50cc)を用いた。また、香料として以下の表1に示すものを用いた。この香料を、吸収性物品における防漏カフに塗布した。塗布部位は、防漏カフにおける肌対向面の長手方向全域にわたる部位とした。
〔比較例1及び2〕
比較例1及び2として、以下の表1に示す香料を吸収性コアの内部に塗布した他は、実施例1及び2と同様に製造した吸収性物品を用いた。各比較例における香料の塗布量は、各実施例とすべて同じとした。
〔評価〕
各実施例及び各比較例の吸収性物品に人尿を各20g注入し、尿臭を官能で評価した。以下の6段階で評価を行い、3名の評価者による評価の平均値を求めた。その結果を以下の表1に示す。
1:尿臭がしない
2:尿臭がほとんどしない
3:尿臭が弱くする
4:尿臭がする
5:尿臭が楽にする
6:尿臭が強くする
Figure 2018102614
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例の値は3未満となり、各比較例に比べて、臭気の抑制効果が高いことが分かる。
10 吸収性物品
11 表面シート
12 裏面シート
13 吸収体
14 吸収性コア
15 被覆シート
16 防漏カフ
16a 基端部
16b 自由端
17 レッグカフ
17b 自由端
18 接合部

Claims (8)

  1. 表面シートと、裏面シートと、両シート間に配置された吸収体とを有する吸収性物品であって、
    前記吸収性物品の長手方向に沿う各側部に、肌対向面側から起立する防漏カフをそれぞれ備え、
    少なくとも前記防漏カフに香料を含む吸収性物品。
  2. 前記防漏カフの自由端に前記香料を含む請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記防漏カフは、その肌対向面に前記香料を含む請求項1に記載の吸収性物品。
  4. 前記防漏カフは、その長手方向に沿う中央域に前記香料を含む請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  5. 着用時に着用者の脚周りに位置するレッグカフを更に有し、該レッグカフに前記香料を含む請求項1ないし4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記香料が、尿臭成分に起因するヒトの嗅覚受容体の活性化を阻害する物質を含む請求項1ないし5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  7. 前記香料が、p−クレゾール又は2−メトキシ−4−ビニルフェノールに起因するヒトの嗅覚受容体の活性化を阻害する物質を含む請求項6に記載の吸収性物品。
  8. 前記嗅覚受容体がOR9Q2、OR10G4、OR10G7及びOR2W1のいずれかである請求項6又は7に記載の吸収性物品。
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